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平成22年度診療報酬改定も 「病院に軸足」 (厚労省保険局医療課長)

 Japan Medicine (2009/3/25) に、平成22年度診療報酬改定に関する厚労省保険局医療課長の講演についての記事が掲載されていますので紹介します。

●次期改定も 「病院に軸足」 北海道病院協会研修会で佐藤医療課長

①厚生労働省保険局の佐藤敏信医療課長は21日に開催された、北海道病院協会の研修会の講演の中で、次期診療報酬改定の方向性について触れ、「前回の改定もそうだが、病院に軸足を置いた改定になり、その方向性は変わらないだろう」 との認識を示した。

②その上で佐藤課長は、診療報酬改定を科学的、論理的なものにするためにも、「次回に間に合うかどうかは別にして、科学的なデータの収集が必要になる」 と指摘。

③さらに、「どの診療科がどの程度厳しい状況に置かれているのか、その状況を解消するには診療報酬のどの項目を改定すればよいのか」 をデータを示して取り組む必要があり、そのためには 「部門別収支を将来的に出していかなければならない」 との認識を示した。

④また、講演後の質疑で、DPCの分析データの出来高への反映について問われ、「既に行っているといえる」 と認めた上で、「DPCで分かったデータは出来高の中にどんどん反映していく」 とした。

⑤さらに、ケアミックスのDPC参入によって、「今後は亜急性期、慢性期のデータも集まり出す」 と述べて、期待感を示した。

 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)最近、少し風向きが変わり、医療費増の方向にベクトルが変わったようですが、ⓐ医療費亡国論、ⓑ小泉竹中構造改革 [2006年の骨太の方針に基づく、5年間で1兆1千億円 (毎年度2,200億円) の社会保障費の抑制]、ⓒ膨大な財政赤字 (財務省をはじめとした官僚および与党議員等が何ら責任を取ろうとしない。反省・謝罪の弁も全くない!) に伴う財務省の財政再建至上主義 (財政再建原理主義)、等により、「医療費抑制・医師不足による医療崩壊・医療破壊」 が生じ、社会的な大問題となっています。

 特に、上記要因による 「ⓐ勤務医不足」、および 「ⓑ地域や診療科間の医療の偏在 (特に救急・産科・小児科医療)」 ならびに 『ⓒ急性期病院を中心とした働き盛りの勤務医の 「過重負担・疲弊、医療事故・医療過誤・医療訴訟に対する不安、コンビニ受診問題、モンスター・ペイシェント問題」 等による 「立ち去り型サボタージュ」』、に伴う 「病院崩壊・勤務医崩壊」 は大変深刻な状況です。

 したがって、上記①の医療課長の 「次回診療報酬改定も病院に軸足を置いた改定」 との言は妥当と考えられます。

(2)上記②・③では、(部門別収支・原価計算による診療報酬改定は未だ時期尚早の現況ですが) 科学的なエビデンスのある診療報酬改定の重要性を強調しています。

 しかしながら、これまでの診療報酬改定において、必ずしもエビデンスに基づかない 「勘と度胸」 の改定がなされてきたことも否定できません。

 即ち、少ないサンプルデータ数での結論、データの恣意的解釈に基づく結論、あるいはデータの捏造による改定、さらには、(厚生労働省の意向に沿うような結論を出させるために、メンバーを御用学者で固めた) 審議会・研究会を隠れ蓑にして成された改定も少なからずありました。

 例えば、ⓐ医療療養病床の診療報酬に導入された (不適切・理不尽な) 医療区分、ⓑ (リハビリ難民を生み出し、且つリハビリテーションの理念にも反する) リハビリテーション算定日数制限、ⓒ回復期リハビリテーション病棟に導入された (拙速・不適切且つ 「患者選別」 を助長する) 成果主義および (ADL評価としては不適切な) 「日常生活機能評価表」、ⓓ外来管理加算の (不可解・不適切な) 5分ルール、ⓔ障害者病棟からの脳卒中・認知症患者の (不可解・理不尽な) 排斥、ⓕ介護保険上の (介護給付費の抑制のための理不尽な) 要介護認定の軽度化、等が挙げられ、それが、「医療難民・救急難民・脳卒中難民・認知症難民・リハビリ難民・介護難民・障害者難民」 の出現・増大に繋がっています。

 したがって、国民の安心・安全・納得・満足のために、厚生労働省には、「まやかしのエビデンス」 ではなく、現場の医療介護福祉従事者・患者・介護サービス利用者・障害のある方・高齢者・家族・地域住民等が納得する 「真のエビデンス」 に基づく診療報酬改定・介護報酬改定・障害者自立支援法見直し等を行って頂きたいと思います。

(3)上記④に関しては、DPC対象病院・DPC準備病院は、いわば医療情報が丸裸になっており、今後、新機能評価係数の影響も含めて、DPC病院の差別化が図られ、そう遠くない時期に 「選別・淘汰の時代」 が訪れると考えられます。

(4)一方、DPCにおいて、リハビリテーションは現在出来高ですが、上記④のように、「DPCの分析データの出来高への反映について既に行っており、DPCで分かったデータは出来高の中にどんどん反映していく」 という医療課長の言は重いものがあります。

 在院日数が2週間以内のDPC対象病院で、且つリハビリテーション・スタッフが少ない病院のために、超急性期・急性期リハビリテーション (ベッドサイド・リハビリテーション) の包括化およびセラピスト以外の有資格代替者 (看護師、准看護師) による算定が、現実化する可能性も否定できないと考えられます。

 また、DPC対象病院・DPC準備病院には、リハビリテーションに力を入れている病院とそうでない病院とが混在しているため、その平均を基準にすると、バイアスがかかり、上述の超急性期・急性期リハビリテーションの包括化のみならずリハビリテーション料の単価の引き下げ等の可能性も否めないと思われます。

 さらに、「濃厚且つ集中的な急性期リハビリテーション」 + 「充実したESD (早期支援退院) システム」 + 「充実した訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション」 が普及すると、回復期リハビリテーション病棟も安閑としていられない状況も将来的に到来すると考えられます。

(5)上記⑤の通り、医療課長は、「ケアミックスのDPC参入によって、今後は亜急性期、慢性期のデータも集まり出す」 と期待感を示しています。

 したがって、急性期のみならず亜急性期 (回復期)・慢性期のデータまでもが、厚生労働省に集積されると、「医療機関の機能分化と連携」・「選択と集中」・「集約化・重点化・拠点化」 の錦の御旗のもと、各医療機関の選別と淘汰が進展すると考えられます。

(6)上記(3)~(5)の通り、特に、「中小病院 (特に、民間中小病院)」 および 「急性期一般病床の占める割合が少ないケアミックス型病院」 については、基本的には、高度急性期医療およびDPCを断念して、亜急性期以降の医療を担ってもらいたいという厚生労働省の思惑があり、上記病院の役割として、次のような 「亜急性期病院、慢性期病院、ケアミックス型病院、介護保険施設」 への誘導が加速する可能性が高まると推察されます。

 (1) 軽度 (~中等度) の救急・急性期医療 (特に、認知症の合併症がある高齢者
  の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の救急・急性期
  患者)

 (2) 「急性期後」 の亜急性期医療 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回
  復期リハビリテーション病棟)

 (3) 慢性期医療 [療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)]

 (4) 特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)

 (5) 在宅医療

 (6) 場合によっては、介護療養型老人保健施設への移行

 但し、「専門特化型」 急性期中小病院、あるいは、「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院は、場合によっては、大病院等よりも、質の高い効率的なDPC対象病院であることが少なくないということで、このような病院にインセンティブを与えるような 「新機能評価係数」 の設定が望まれます。(スケールメリット不足を補填する評価、高い専門性・充実したチーム医療への評価等)。

 それ以外は、基本的には、DPCに馴染まず、医療マンパワー不足もあることから、将来的には亜急性期以降への移行を促される可能性が高いと考えられます。

 また、地方の中小自治体病院に多い、「準総合病院型」 急性期中小病院および 「準総合病院型」の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、総務省・公立病院改革ガイドライン (平成19年12月) を厳格に適用すると、廃止・民営化の道をたどると考えられます。
 しかし、その病院が、地域唯一の病院であり、不採算医療 (政策的医療や救急医療等) を担っているということで、充分な公的支援があれば、(DPC適用の可否は別として)、存続できると考えられます。

 将来的には、「疾病管理 (疾病ケアマネジメント)」 を経て、最終的に、アメリカのように、「マネージド・ケア」 [医療コストを減らすために、医療へのアクセスおよび医療サービスの内容を制限する制度。医療の決定権が医師から支払い側 (保険者) に移り、医師以外の人によって医療が管理される結果、医師の意見は参考にはされるものの、最終決定をするのは医師ではない] の大変な時代 (暗黒時代) が到来する可能性も考えられます。

(7)以上、厚生労働省保険局医療課長の平成22年度診療報酬改定の方向性に関する講演について論じました。

 但し、病院に軸足を置いた診療報酬改定において、やはり問題は、財源です。
 「ⓐ保険料のアップ」・「ⓑ (主として消費税増税による) 公費負担のアップ」・「ⓒ患者自己負担のアップ」 が挙げられますが、本丸は、財務省の悲願の 「消費税増税」 です。(社会保障国民会議も、社会保障機能の強化の財源を、消費税増税を前提にしていますが・・・)。

 しかしながら、以前の当ブログ記事で何回も述べていますが、「消費税増税」 を行う前に、「ⓐ充分な景気回復、ⓑ税制の抜本的改革、ⓒ膨大な税金の無駄使いの抜本的是正 (伏魔殿化した特別会計、官僚の天下り・渡りの根絶、天下り用の無駄な公益法人や補助金の根絶、国会議員の定数削減・歳費の削減、国家公務員人件費の削減、無駄な公共事業の根絶等)、ⓓ道路特定財源の完全なる一般財源化、ⓔ年金問題の早期完全解決」 等を達成または実行の約束をしないと、国民の納得を得られないと思われます。

 したがって、「医療立国論」、「医療・介護立国論」、あるいは 「社会保障 (医療・介護・年金・雇用・福祉) 立国論」 に基づき、「医療再生・介護再生・社会保障再生」 を図り、雇用創出効果・経済波及効果を高め、かつ強固なセーフティネットを構築し、「国民の安心・安全・納得・満足」 による内需拡大も含めて、「経済成長を図る」・「法人税・所得税等の税収増を図る (消費税の増税率をできるだけ抑制する)」 という好循環が実現することが望まれます。

【関連記事】
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 ◎DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)




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DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)

 DPCに関して、現行の調整係数に代わる新機能評価係数を検討している中央社会保険医療協議会 (中医協) 診療報酬基本問題小委員会および診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会における、これまでの 「新機能評価係数」 についての議論は、「大病院・特定機能病院・高度急性期総合病院・地域基幹病院 (地域拠点病院) の視点」 での議論に比較的偏っており、「中小病院の視点」 での議論は、あまり活発ではなかったと考えられます。

 Japan Medicine (2009/2/16) によると、平成21年2月12日に開催されたDPC評価分科会において、厚生労働省保険局医療課企画官が次のように発言しています。

●厚労省:幅広い視点での議論を要望

 厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、今後、DPC対象病院として中小病院が多く参入してくる現状にあることや、機能評価係数は必ずしも大病院向けだけのものではないとの基本的考え方を説明。
 その上で、「係数には大病院向けの係数、中小病院向けの係数があるが、中小病院向けの係数を設定したことで大病院がマイナス評価を受けることはない」 とし、機能評価係数の基本的考え方に沿って検討することを明言し、幅広い視点での議論を求めた。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。
 なお、「地方」 というファクターは、問題を複雑化しますので、下記の 「ケアミックス型病院」・「中小病院」 に関する考察からは、敢えて除外しています。

(1)中小病院とは、200床未満の病院 (20~199床) のことですが、その内、DPC対象病院・DPC準備病院には、次のようなパターンが考えられます。

 ①全て 「急性期一般病棟」 の急性期中小病院
  (a) 「専門特化型」 急性期中小病院
  (b) 「複数 (不完全) 専門特化型」 急性期中小病院
  (c) 「準総合病院型」 急性期中小病院

 ②ケアミックス型中小病院
  ●急性期一般病棟と下記の病床・病棟との組合せ
    ◎亜急性期病床 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回復期リハビリ
     テーション病棟)
    ◎療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)
    ◎特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
  (a) 「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (b) 「複数 (不完全) 専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (c) 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (d) 「認知症の合併症がある高齢者の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の
    急性増悪等の急性期患者・(急性期後)・(慢性期患者の急性増悪時)」 用の急性
    期一般病棟を持つケアミックス型中小病院

(2)現在、ケアミックス型病院 (200床以上の大病院と200床未満の中小病院との両方を含む) はDPC対象病院になることは可能ですが、その決定までには紆余曲折がありました。
 上記の小委員会・分科会におけるケアミックス型病院の議論過程は、CBニュースの記事 (「ケアミックス型もDPC対象に-基本小委了承」) (2008/11/19) および Online Med の記事 (「ケアミックス型病院もDPCの対象、中医協が方針決定 急性期病院との違いはない」 (2008/11/19) 等によると、下記の通りです。

①当初、DPC対象病院にケアミックス型病院を含めるかどうかが検討課題の一つになっており、どちらかといえば、「ケアミックス外し」 の方向であった。
 というのは、全国に約700か所ある 「2007年度DPC準備病院」 のうち、ケアミックス型が6割以上を占め、全病床に対するDPC算定病床の割合が50%未満の病院も約9%あったからである。
 また、ケアミックス型病院において、「患者を一般病床と療養病床等とでキャッチボールするのではないか」・「後方病床があるケアミックス型病院とそれがない一般急性期病院とでは、平均在院日数等で不公平が生じるのではないか」 等の懸念があったからでもある。

②しかしながら、厚生労働省が提出した資料により、下記のことが判明した。
 DPC対象病院とDPC準備病院の両方において、ケアミックス型病院のDPC算定病床の割合が少なくても、平均在院日数・救急搬送件数・肺炎等による緊急入院割合・再入院率などにおいて、ケアミックス型病院とDPCのみの病院との間に明らかな差がみられなかった。
 また、「DPC算定病床の割合が小さい病院では、一部の疾患で、手術などを行う患者の割合が少ない傾向にあるものの、それらは診断群分類が別なものとなることから、大病院で実施される手術などを伴う症例の点数設定には影響しない」 として、医療資源の投入の少なさから、DPC点数が低めに設定されることになるのではないかとする大規模病院側からの懸念も問題はないとした。

③このため、西澤寛俊委員 (全日本病院協会会長) は、「ケアミックス病院とそれ以外に差がないなら、当然、すべてを対象に含めていいのではないか」 と指摘。その上で、「2007年度DPC準備病院」 について、基準を満たすことを前提に、来年度、DPC対象病院に加えるよう提案した。

④これに対して、支払側の対馬忠明委員 (健保連専務理事) は、「それはそれでいい」 と同意する一方、医療機関の機能分化が今後、進むのに合わせて、将来的にあらためて議論する必要があるとの認識も示した。

⑤DPCの拡大に慎重な姿勢を持っている日本医師会常任理事の藤原淳委員は、「ケアミックス型を入れることで、急性期病院を対象にする (本来の) 方向と違和感がある」 と指摘した。

⑥これに対して、厚労省側は、「DPCの算定対象とするのは、病院ぐるみというより、急性期病棟という整理だ」 と述べ、ケアミックス型の病院には、DPCを算定する急性期病床のみのデータ提出を求める方針を説明した。

⑦西澤委員は、ケアミックス型の病院では、急性期と慢性期とを区別せずに運営していると誤解されていると指摘した。
 その上で、ケアミックス型について、「(一つの) 病院の中に、明らかに機能の違う病院が2つあると考えていただきたい」 と説明した。

⑧最終的に、ケアミックス型病院をDPC対象病院に加えることへの反対意見はなく、了承された。

(3)一方、中小病院については、現実に、約700の 「2007年度DPC準備病院」 のうち、約半数が200床未満の中小病院であり、DPC対象病院は、当初想定された 「高度急性期病院の代名詞」 とは言えない状況になっています。
 しかしながら、上記小委員会・分科会の議論において、DPCと 「ケアミックス型病院・地方の病院」 に関しては割と論議されていますが、純粋に、「中小病院」 とDPCに関しては、あまり討議されていないと思われます。

 というのも、中小病院 (特に民間中小病院) については、当初は、高度急性期医療およびDPCを断念して、亜急性期以降の医療を担ってもらうという厚生労働省の認識だったからです。
 即ち、中小病院の役割として、次のような 「亜急性期病院、慢性期病院、ケアミックス型病院、介護保険施設」 が想定されていました。
 ①軽度 (~中等度) の救急・急性期医療 (特に、認知症の合併症がある高齢者の骨折
  等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の救急・急性期患者)
 ② 「急性期後」 の亜急性期医療 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回復期
  リハビリテーション病棟)
 ③慢性期医療 [療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)]
 ④特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
 ⑤在宅医療
 ⑥場合によっては、介護療養型老人保健施設への移行

 但し、上記(1)で示した①-(a) の 「専門特化型」 急性期中小病院、あるいは、②-(a) の 「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院は、場合によっては、大病院等よりも、質の高い効率的なDPC対象病院であることが少なくないということで、このような病院にインセンティブを与えるような 「新機能評価係数」 の設定が望まれます。(スケールメリット不足を補填する評価、高い専門性・充実したチーム医療への評価等)。

 一方、民間中小病院に比較的多い、(1)-①-(b) の 「複数 (不完全) 専門特化型」 急性期中小病院および(1)-②-(b) の 「複数 (不完全) 専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院、あるいは、(1)-②-(d) の 「認知症の合併症がある高齢者の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の急性期患者・(急性期後)・(慢性期患者の急性増悪時)」 用の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、基本的には、DPCに馴染まず、医療マンパワー不足もあることから、将来的には亜急性期以降への移行を促される可能性が高いと考えられます。

 また、地方の中小自治体病院に多い、(1)-①-(c) の 「準総合病院型」 急性期中小病院および(1)-②-(c) の 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、総務省・公立病院改革ガイドライン (平成19年12月) を厳格に適用すると、廃止・民営化の道をたどると考えられます。
 しかし、その病院が、地域唯一の病院であり、不採算医療 (政策的医療や救急医療等) を担っているということで、充分な公的支援があれば、(DPC適用の可否は別として)、存続できると考えられます。

(4)「地方」 のファクターに関しては、2009年2月12日のDPC評価分科会にて論議されました。
 議論の内容は、CareNet.com (2009/2/16) の記事 「地域の病院にDPCは不利 DPC評価分化会で佐久総合病院が問題提起」 および Japan Medicine (2009/2/16) の記事 「診療ガイドラインの係数化をめぐり論戦 DPC評価分科会 適切な評価係数の考え方ヒアリング」 によると下記の通りです。

 JA長野厚生連・佐久総合病院の西澤延宏診療部長は、「地方にも目配りした機能評価係数を」 と題した報告書を提出し、地域医療を支える地方の病院は、「高齢者が多く、医療コストが相対的に高い」・「医療圏が広域にわたる」・「周辺の医療機関が乏しく機能分化が困難」・「連携施設不足」 など、都市部に比べDPCの制度化では不利な点が多い、との考え方を示した。
 その上で、地方病院の医療を評価する観点から、①患者の年齢構成による評価 (高齢者診療機能)、②マグネットホスピタルとしての地方の診療所や中小病院への医師派遣機能に対する評価、③入院時医学管理加算の外来縮小要件の廃止、④在宅医療への評価、などを求めた。

 これに対して、小山信彌委員 (東邦大医療センター大森病院教授) は、「地方の病院だけでなく、都市部の病院も同様の状況だ」 とし、地方限定の評価軸ではないとの認識を示した。

(5)上述の通り、中小病院については、「地方」・「ケアミックス」・「公立・民間 (公私格差要因も含めて)」 の多因子が複雑に絡み、DPCとの整合性を図ることが非常に難しい面があります。
 しかしながら、DPC対象病院として相応しいと考えられる中小病院については、当ブログ記事 (『DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件』・『DPC 「新機能評価係数」 (松田研究班長・私案)』) で示している 「新機能評価係数」 候補35項目DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件 (厚生労働省)新機能評価係数に関する8項目 (松田研究班長・私案)、その他、において、当該中小病院に相応しい項目を、入念に精査・抽出あるいは新規作成、そして正式項目化を行って頂きたいと思います。
 
(6)以上、今後の中医協診療報酬基本問題小委員会およびDPC評価分科会の動向が注目されます。

 また、各DPC病院における周到な対策・準備のため、できるだけ早期の 「新機能評価係数」 決定を切望します。





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