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PA (非医師高度臨床師) ・NP (ナース・プラクティショナー)

(1)近年、①医師不足 (特に勤務医不足)、②地域や診療科間の医療の偏在 (特に救急・産科・小児科・麻酔科・外科医療)、および③急性期病院を中心とした働き盛りの勤務医の 「過重負担・疲弊、医療訴訟に対する不安、コンビニ受診問題、モンスター・ペイシェント問題」 等による 「立ち去り型サボタージュ」、等による医療崩壊・病院崩壊・勤務医崩壊が大問題となっています。

 その解決策の一つとして、以前の当ブログ記事 [『医療職種の役割分担 「検討の場、設置を」 (医道審議会)』] で述べた通り、医療職種の役割分担、医師・看護師・コメディカル等のスキルミクスが注目されています。

(2)医師から看護師・コメディカル等への 「エンパワーメント」 (裁量権の委譲、権限と責任の委譲) については、未だ賛成・反対、推進派・慎重派の意見が錯綜しています。

(3)医療職種の役割分担に関して、厚生労働省は、2007年12月28日医政局長通知 「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」 を発布し、「医師が、自らの専門性を必要とする業務に専念し、効率的な運営ができるよう、各医療機関の実情、責任の所在を明確化した上で、医療関係職、事務職員等の間で役割分担を進める」 というエンパワーメントが些少ながらも行われました。

(4)一方、以前の当ブログ記事 (① 「医行為のコメディカルへの権限委譲」 厚労省見解) および Japan Medicine の2つの記事、② 「医療戦略セミナー:8割が看護師の業務拡大に賛成 日本版PA、NP導入の活動が活発化 (2009/3/18)」・③ 「日本外科学会学術集会 外科医の労働環境改善策を論議 PA・NPは 『必要』 で意見集約 (2009/4/6)」 において述べられているように、医療系の日本版のPA (Physician Assistant:非医師高度臨床師) ・高度実践看護師 (NP:ナース・プラクティショナー) や、事務系の医療クラーク等の必要性が喚起されています。

(5)NP (ナース・プラクティショナー) とは、「医療従事者の一つで、大学院において専門的な教育を受け、比較的安定した状態にある患者を主たる対象として、自律的に問診や検査の依頼、処方等を行うことが認められた看護師」 のことで、アメリカ、カナダ、イギリス、韓国で認められています。
 
 また、米国では、NPと同様の Non-Physician Clinician として診療行為を行うPA (医師助手・非医師高度臨床師) も多く活躍しています。2年前後の修士号を取得後、国家試験を受けます。NPとは異なり医師会によってその教育が形作られましたが、現在では、PAとNPの役割や待遇は多くの地域で似てきています。

 NP・PAの詳細は、「チーム医療維新-日本のNP、PA制度を考える-」 ホームページをご参照下さい。

(6)上記(4)の①・③の記事によると、日本版のPA・NPおよびスキルミクス・エンパワーメントに対する厚生労働省の見解は次の通りです。

 厚生労働省医政局医事課医師臨床研修推進室の田原克志室長は、PA・NPを育てる上での裁量権の問題等について質問されて、「現在抱えている問題を提起していきながら、その中で解決策を見つけていきたいと考えている」 との基本的考え方を示した上で、「裁量権については、医療界全体が一つにまとまり、国民の理解を得て進めるとなれば、厚労省も後押しができる」 とし、医療界のコンセンサスと国民の合意形成が必要だとの認識を示しました。

 また、医政局看護課の野村陽子課長は、「約130万人すべての看護職員が裁量権の拡大などに入っていけるのかという問題もある。どのような体制で進めていけるかは検討が必要だ」 と述べています。

(7)以上、日本版のPA (非医師高度臨床師) ・NP (ナース・プラクティショナー) について論じました。

 矢崎義雄氏 (国立病院機構・理事長) は、 「スキルミクスは、医師の裁量権の委譲ということが前提にあって、その上で多職種が専門性を発揮しながら協働して、ベストの選択を行い、効率的に医療を進めていこうというもの。これこそが本来あるべきチーム医療の姿である」 と定義しており、その趣旨に則り、我が国でも、適切なスキルミクスが円滑に導入されることが望まれます。

 その際、スキルミクスは、近年の医療崩壊・病院崩壊・勤務医崩壊の解決のための単なる一手段ではなく、看護師・コメディカル等の有効活用およびモチベーションアップ・スキルアップ・キャリアアップを推進するための重要なファクターと考えるべきです。

 また、看護師以外のコメディカルにも、日本版のPA・NPに準じた資格の確立が必要と思われます。

 そして、上述のようなシステム構築により、「医療の質の向上」・「医療安全管理体制の確立」・「患者さんのQOLの向上」 が望まれます。




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「医行為のコメディカルへの権限委譲」 厚労省見解

 「医行為」 は、「医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼすおそれのある行為」 あるいは 「医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生じるおそれのある行為」 と定義されています。
 ちなみに、医行為のうち、診療の補助業務として看護師が補助できるものは 「相対的医行為」 と呼び、医師でなければ行うことのできない 「絶対的医行為」 と区別することもあります。また、医療行為という言葉も使われていますが、診療の補助業務等を医療行為と呼んで医行為と区別していることもあります。実際には医行為と医療行為とが混同して使用されていることも多いようです。

 最近、医師不足 (特に勤務医不足) に伴う勤務医の過重労働・疲弊・立ち去り型サボタージュ等の対策として、勤務医の負担軽減を目的とした事務職員による業務代行、コメディカルへのエンパワーメント(権限委譲:当然、責任も重くなりますが・・・)、およびスキルミクス (多職種協働) が 話題となっています。特に、コメディカル的には 「医行為のエンパワーメント」 の関心が高いようです。

 Japan Medicine (2009/1/5) によると、大分県立看護科学大学大学院修士課程で養成している高度実践看護師 (NP: ナースプラクティショナー) が一定範囲の医行為が行える構造改革特区の申請 (2008/11) に対して、下記のような厚生労働省の医行為等に関する見解が同年12月に出されました。

 1.「患者を診察し、必要な検査を自ら実施あるいは指示するとともに、その結果を判断すること」 は、医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼす行為であり、「看護師のみで当該行為を実施することは認められない」。

 2.「医師が予め指示した薬剤の範囲内」 で 「薬剤を用いて治療、処方」 を行うことや、「医師が予め指示した範囲内」 で 「診療録、診断書、処方箋などの代筆」 を行うことは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼす行為であり、看護師のみで当該行為を実施することは認められない。

 3.「診断書、診療録及び処方箋を医師が最終的に確認し署名することを条件に、看護師等が医師の補助者として記載を代行することは、可能である」。

 従って、現時点では、医師の補助業務にとどまることになるとのことです。

 医行為の責任の重大性を鑑みると、上記の厚生労働省の見解は妥当と思われます。しかしながら、医行為にも難易度等には軽重があり、現在の勤務医の過重労働と疲弊等を考えると、コメディカルへの医行為のエンパワーメントをもう少し推進する必要があると思われます。(ただし、コメディカルへの充分な教育・研修および様々な環境調整等、慎重なアプローチが必要ですが・・・)。




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