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「要介護認定軽くし給付費を抑制」 厚労省内部文書 (舛添大臣見解)

 最近、世間を揺るがせ、特に、介護サービス利用者・家族、介護サービス事業者、介護従事者等を憤らせた 「要介護認定を軽くして、介護給付費を抑制させる」 という厚生労働省の内部文書に関する記事は、下記の通りです。

「要介護認定軽くし給付費を抑制」 厚労省が内部文書 (産経ニュース 2009.4.13)

 厚生労働省は13日、平成21年度からの新しい要介護認定基準の導入に合わせ、介護給付費抑制のため要介護認定を軽めに誘導することを目指すなどとした 「内部文章」 を約1年前に作成していたことを明らかにした。

 作成理由については 「実現可能性は問わず、21年度予算要求の議論のため」 としている。厚労省は、合わせて新認定基準の適用を一部先送りする経過措置の導入も発表したが、今後の国会審議で野党の批判が強まるのは必至だ。

 内部文書は、参院厚労委員会で、共産党の小池晃氏が存在を指摘。同日開かれた新認定基準見直しに関する有識者検討会の初会合で、厚労省の宮島俊彦老健局長が、局内の議論のため作成した資料であることを認めた。

 厚労省によると、内部文書は昨年2~4月、21年度予算概算要求に向け、介護給付費抑制の具体的項目に関する検討資料として作成。要介護認定については、給付費負担の少ない 「要支援2」 と負担の多い 「要介護1」 の比率が 「5対5」 となっていることを取り上げ、新認定基準で判定ソフトなどを見直し 「当初想定していた割合 (7対3) に近づける」 と明記し、介護給付費の抑制を狙っていた。

 ただ厚労省は、20年度に実施したモデル事業で新認定基準を試行したところ、両者の割合が 「4.5対5.5」 となり、実際には要介護1の割合の方が増えると説明。自治体への指導の有無に対しても 「望ましい標準として言及したものではない」 としている。

 一方、厚労省は同日の検討会で、新認定基準の経過措置導入も発表。4月からの新認定基準で要介護度が変わっても、利用者の申請があれば最長2年間、元の要介護度に基づき従来通りのサービスが受けられるとした。

 上記の厚労省内部文書問題に関して、舛添厚労大臣は、4月14日の閣議後記者会見で、下記のように述べています。

厚生労働大臣・閣議後記者会見 (2009/4/14)

<記者>
 昨日、検討会で認められた介護の内部文書について、大臣の見解をお願いします。


<大臣>
 昨日、要介護認定基準の見直しということで、これは色々な関係の方に入っていただいて良い議論ができたと思います。
 その中で、共産党の小池議員から委員会で質問があった文書、つまり、意図的に財政的な観点から介護認定を減らすというような検討が行われたのではないかということについて、委員の樋口さんから説明して欲しいということがありました。
 私は途中までしか出られなかったので、あとは局長の方から説明をわかる範囲でしなさいということで言いました。
 基本的には役所の中で色々な検討をする、樋口さんもおっしゃっていたように、役人の立場というのは、「これだけの財源の中でやりなさい。2,200億円をカットしなさい」 と来たときに、どこで辻褄を合わせるか、今回の2,200億円でもどこからお金を取ってくるか、本当に苦労しました。
 後発医薬品ジェネリックは230億円位しか無いわけですから、よくぞこんな所にお金を捻出できたなという感じになってしまうわけです。
 本来は役人の仕事というのはそうではなくて、どうすれば介護が良くなるか、どうすれば医療が良くなるかに全力を尽くす環境を政治家が作らなくてはいけない。
 だから、例えば難病にしても、25億を4倍にしたのは、「一生懸命やって下さいよ」 と言えば官僚は一生懸命やる。
 ところが、これだけの金しかない中でやれというのがあって、もし予算が増えなければどうなんだろうといって、官僚の習い性で一生懸命やったのだと思います。
 「とてもじゃないけど介護の分をどんどん削れ」 と言われた時にどう削るのか内部で検討をした。もちろん私も見ていません。今の局長も見ていません。どういう所でどう行ったかまで、細かい関係者は他の所に行ってますからわかりませんが、そういうことの一部が出たということなんですね。
 だから、一つは文書管理をしっかりしないといけないということは当然ですが、それより前に、政治家の立場として言うと、そういう議論に役人が力を使うのは、非生産的で、むしろ私達政治家のリーダーがやることは、2,200億円にしても、縛りをかけるのではなくて、どうすれば介護が良くなるのか、国民の立場に立って検討しなさいということを指示すれば、彼らも一生懸命やると思います。
 今、3%上げ、今度の検討している補正でも予算規模を上げれば、生き生きとやろうということが出てくるわけです。ですから、私は、樋口さんがいみじくも言ったように、こういうことをやるのはけしからんけれど、元々、2,200億円があったからこういうことになったということは彼女も良く理解していました。
 色々なシュミレーションを検討することが悪いとは言いません。
 ただ、やっぱり、役人だけの責任ではなくて、大きな大枠を決めることに対して、政治の決断をやるべき時期に来ている。そうしないと、私に言わせると、くだらない検討までしないといけなくなります。
 幸い、あのようなものは公式な見解にもなっていないし、「ちょっとやってみたよ」 ということだけです。
 そういうことではなくて、全体の処遇を上げようとして、今、努力をしている。認定基準の問題も、問題があるので、希望者は前の基準のままでしばらくはいいですよということをやっているので、そういうリーダーシップを今後とも発揮していきたいと思います。
 先ほどご質問のあったように、国民が安心できる社会保障とは何なのか、そういう原点に返った議論をやらないと、役人の使わせ方ももったいないというか国民の為になっていません。
 ですから、省を挙げて反省し、謝罪するところは謝罪するにしても、積極的に、ポジティブに更に良い方向に目指すように努力したいと思っています。

<記者>
 少し細かい話ですが、例えば、介護認定審査会の委員の関与を減らしということが書いてあります。
 そうしますと、口では一次判定のコンピューターの判定を厚生労働省的には二次判定で救いますと説明していたのですが、これによりますと二次判定も形骸化しようということになるのですが、その点についてはいかがでしょうか。


<大臣>
 そこはそう読むかどうかです。
 要するに、公平性ということから考えた時に二次判定でどうにでもひっくり返るというのであれば、一次判定の介護ソフトの意味がありません。
 昨日の検証委員会でも半分くらいの委員の先生方がこの認定基準を持っているのは世界一すばらしいとほめられているということをおっしゃった先生方もおられます。
 つまり、公平性の担保を確保しておかないと、極論すればそのような判定ソフトはいらない、その時の先生が勝手にコネや何かを使って 「あなたを要介護認定3に上げます、4に上げます」 というのではおかしいので、そういう意味でなるべく人為的、意図的な事が入らないようにするために、相当なところは一次判定で行います。
 しかし、二次判定については、救えなかった人はそこで救う。火の不始末の問題などです。一律的にそこに入れた方がいいかどうか、私の母親もそういうケースだったで、火の不始末なんかを二次判定できちんと行いなさいということを言っておりますので、公平性のバランスでそういうことだということです。
 認定ソフトを公平と見るか、先生方を公平と見るか、それは先生方の恣意が入ると困るわけですから、そういう意味だと理解しておりますので、引き続き目指すべき目標というのは介護保険をより良いものにしていって、介護で苦しむ本人、御家族の悩みを少しでもなくして行き 「介護保険が本当にあってよかったな」 と言われるような制度に育てていくことだと思っておりますので、努力して行きたいと思っております。

<記者>
 担当課の説明では、介護給付費の削減を意図したものではないという説明だったのですが、今の大臣の御説明だと、削れと言われたので職員で検討したという話だったのですが、それは削る意図が職員の中であったということを大臣として御認識されているのでしょうか。


<大臣>
 それは違います。樋口委員がおしゃっていたのですが、要するにいろいろな政治家からの要求があります。「予算をどのくらいでまとめなさい、これだけ全体で削減しなさい」。
 今回も2,200億円を削減しなさいとあるわけです。
 役人としては政権交代があっても、「今度の予算を何百億増やせ」 と言われたら、役人の仕事はどこを増やすかを考えないといけないのです。
 政治のリーダーの言ったことに従い、それの辻褄を合わせるということを行っているので、そういうシミュレーションの一つです。

<記者>
 大臣は樋口さんがおしゃられた見解を今述べたということでしょうか。


<大臣>
 そういうことではなくて、樋口さんもそういう指摘をしたということです。

<記者>
 大臣としても政治的背景があり職員が追い込まれたとお考えですか


<大臣>
 そういう面もあるだろうと思います。
 ですから、自発的に 「こんなものはどんどん減らしていけ」 ということを職員は思いません。
 それは内閣が決めることですから。すべての役人の習いは 「ああいう指示が出てくるな、今度こういう指示が出てくるな、こうカットしろと」 指示が出て来て、すぐ動けと言った時に動けないですから、そういう情報を察知したら習性としてすぐに動きだすのです。
 そういう面があったと思いますから、寧ろ、私は政治の大きな舵の取り方の方が大きな問題だろうと思っておりますので、結果としてより良い介護保険制度にすればいいということです。

<記者>
 大臣は厚生労働省改革推進室も作って、今年はかなり体制を強化されてきたと思うのですが、それでもこの介護認定の見直しがチェックできなかったということは大臣としてどのようにお考えでしょうか。


<大臣>
 それはこれだけ大きな仕事ですから、課長レベルのものが全部私に上がってきたら、私が百人くらいいないと無理です。
 ガバナンスの強化をすることを行わないといけないですが、雇用の問題、医療の問題をどうするか、私も24時間しか時間がありませんから、全力を挙げて行い、手足も使っておりますが、それは漏れるところがあります。
 それは非常に申し訳ないと思いますので、放っておかないで 「漏れて困った」 というところにはすぐに手を打っているわけで、今後、更にガバナンスを高める努力をしたいと思います。

 前回ブログでも述べましたが、我々医療スタッフは、厚生労働省から、「エビデンスに基づいた医療」・「透明性と説明責任」 を、日頃から、強く要求されています。

 したがって、今回の問題に関しても、厚生労働省には、「透明性」・「情報開示」・「国民に対する説明責任」・「エビデンスに基づいた要介護認定制度改正・介護報酬改定」 が強く望まれます。

 また、官僚特有の 「無謬性」・「匿名性」・「無責任体制」・「情報非開示・情報隠蔽・情報操作」 を変革させるのが、政治家としての重要な役割と考えられます。




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平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解

 厚生労働省は、今回の要介護認定システム改正について、パブリックコメント [「要介護認定等基準時間の推計の方法 (平成12年厚生省告示第91号) の一部改正について」] の意見公募要領の 「改正概要」 の中で、次のように説明しています。

 現在、要介護認定は、認定調査結果に基づき、コンピュータにより介護に要する時間を推計する一次判定と、一次判定結果及び主治医意見書に基づき、医師等の専門家からなる認定審査会において個々の心身の状況を加味する二次判定により行われている。
 現行の一次判定における介護に要する時間を推計するロジックに関して、「平成13年のデータを用いている」・「調査項目が多く調査が煩雑なものとなっている」 という理由で、平成18年から平成20年にかけて、要介護認定調査検討会、高齢者介護実態調査、モデル事業等を行い、「最新のデータに基づく一次判定ロジックの構築」・「認定調査の負担軽減の観点から、精度が落ちないことを前提にした調査項目の見直し」 を行った。
 そして、「新たに構築した一次判定ロジック」・「新しい調査項目」 を用いて、平成21年4月1日から要介護認定を行うことにしている。

【注釈】 要介護認定の調査項目の変更点
削除項目:①拘縮 (肘関節)、②拘縮 (足関節)、③褥創、④皮膚疾患、⑤飲水、
      ⑥幻視・幻聴、⑦暴言・暴行、⑧火の不始末、⑨不潔行為、⑩異
      食行動、⑪環境等の変化、⑫電話の利用、⑬指示への反応、⑭日
      中の生活
追加項目:①話がまとまらず、会話にならない、②買い物、③簡単な調理、
      ④自分勝手に行動する、⑤独り言や独り笑いをする、⑥集団への
      参加ができない


 一方、要介護認定に関しては、介護保険導入当初より、高齢者や家族等に不平・不満があり、次に、2006年介護保険改正による要支援1・2の導入後の要介護認定の厳格化で、不平・不満が増し、さらには、平成21年4月の要介護認定システム改正を前にして、その判定方法の大きな変更・多くの認定調査項目の削減に対して、対象者 (要介護者・高齢者等) や家族は、「要介護度が下がってサービスが減るのではないか」・「現実と乖離した要介護度の判定が出るのでは」 等の不安が広がっています。

 「要介護調査・認定の見直しに関する質問主意書」 (参議院・質問第149号) (平成20年12月22日、質問者:小池 晃・参院議員) に対する政府答弁書 (内閣参質170第149号) (平成21年1月9日、内閣総理大臣・麻生太郎) にて、今回の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省の見解が公表されましたので、紹介します。


●要介護調査・認定の見直しに関する質問主意書

 来年度実施にむけて要介護調査・認定制度の見直しが進められている。今回の見直しでは調査の簡素化などを目的とする調査項目の大幅な削減、介護認定審査会 (以下、「認定審査会」) 提出資料の簡素化などが行われており、関係者からはより軽度に判定されることになるのではないか、現在以上に実態が反映しにくくなるのではないかと心配の声が寄せられている。
 実際モデル事業の認定審査会に携わった方からも、介護度はより重度と思われるが資料からはそれがわかりにくいなどの指摘がある。
 そこで以下質問する。

1.調査・認定の見直しにおいて、「主治医意見書により代替可能」 な項目は削除するとされている。

①日常的に要介護者の介護業務を行っていない主治医が、「暴言・暴行」・「異食行動」 などについてどの程度状態を把握できると考えているのか。十分に判断できるとするなら、その根拠を示されたい。


(回答) お尋ねについては、被保険者の主治の医師は、その医学的知見や診察の際に同行する家族等からの情報に基づき、「暴言・暴行」、「異食行動」 など認知症に係る周辺症状等についても十分把握できるものと考えている。

②調査項目がなくなることで、項目ごとの特記事項がなくなると、認定審査会に重要な情報が伝わらなくなるおそれはないのか。

(回答) 今般の要介護認定及び要支援認定 (以下、「要介護認定等」 という) に係る調査項目 (以下、「認定調査項目」 という) の見直しに当たっては、介護認定審査会に適切に情報が伝わるよう、認定調査票に認知症高齢者の日常生活自立度及び障害高齢者の日常生活自立度に関する特記事項の記入欄を設けることとしており、御指摘のようなおそれはないものと考えている。

2.社会保障審議会介護給付費分科会 (以下、「給付費分科会」) に提出されたモデル事業用審査会資料の見本を見ると、従来あった 「2.認定調査項目」 の 「〇●」 の欄、「3.中間評価項目得点表」 のレーダーチャート、「4.日常生活自立度の組み合わせ」 の当該自立度の場合の介護度分布の資料、「5.認知機能・廃用の程度の評価結果」 の廃用の程度に関する調査項目の認定調査結果や認知機能・廃用の認定から推定される給付区分の項目や情報が削除されている。モデル事業に携わった方からは、一次判定結果よりも実際の状態の方がより介護度が重いのではないかと疑われる場合でも、情報が少ないため介護度変更が非常に難しくなっているという声が寄せられている。これまで認定審査会に提供してきた項目・情報を減らすことにより適正な判定ができなくなるのではないか。

(回答) 今般の介護認定審査会資料の見直しに当たっては、当該資料に中間評価項目得点や認知機能・状態の安定性の評価結果から推計される給付区分を掲載することとしており、これにより、これまでと同等の情報を介護認定審査会に提供し、適正な認定の確保を図ることとしている。
 また、日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布、要介護度変更の指標については、これらを参照して行った要介護認定等が適正なものになっていない事例が確認されていることから、今般の見直し後は、介護認定審査会に対して当該指標を提供しないこととしている。

3.新しくする認定ロジックのデータは、これまでと同じく入居施設のデータによるものである。

①「電話の使用」 などは、項目を削除してもロジックに影響がないと言うが、それは施設のデータにもとづいているからではないか。

(回答) 御指摘の電話の利用の項目については、平成19年度に実施した在宅の者を含む要介護認定モデル事業の結果についても勘案した上で、これを認定調査項目から削除したとしても、一次判定の精度に大きな影響を与えるものではなく、適正な判断の妨げとはならないと判断したものである。

②「火の不始末」 のように生活実態の基本や、命にかかわるような項目を削除して適正な判断ができるのか。

(回答) 御指摘の 「火の不始末」 の項目については、要介護認定等の一次判定の精度に大きな影響を与えるものではなく、認定調査項目から削除したとしても適正な判断の妨げになるとは考えていない。

③在宅、もしくは在宅により近いグループホームなどのデータをもとにした要介護調査・認定の仕組みを作っていくべきではないか。そうしてこそより実態を反映した要介護認定となるのではないか。

(回答) お尋ねについては、そもそも、在宅介護の状況は家族の状況等により様々であり、これらのデータに基づいた標準的な調査・認定の仕組みを構築できるかどうか疑問があること、また、仮に可能であるとしても、これらのデータ収集のためには、調査者が被保険者個人の居宅に一定期間滞在する必要があるため家族等の協力が得られにくいことなどの問題点があると考えている。

4.現在でも、「状態に変化はないのに、更新で、要介護認定が軽度になった」 などの苦情が寄せられている。実際モデル事業の結果では、要介護度5の出現状況は一次・二次判定結果でも現行制度のもとでの判定との乖離が見られ、給付費分科会でも問題点が指摘されている。今回の調査・認定の 「見直し」 で、申請者の生活実態にてらして、より軽度に判定されるようになるおそれはないのか。

(回答) 今般の要介護認定等の見直しについては、平成19年に厚生労働省が実施した高齢者介護実態調査の結果も踏まえ、これを行うこととしており、仮に、見直し後の要介護認定等によって従来より軽度に判定されたとしても、その結果は介護の状況をより的確に反映したものであると考えられる。

5.事務負担軽減など、見直しの趣旨に賛同する自治体からも、調査項目の大幅な削減については、「情報不足となり、認定審査会の審査・判定が不安定になる」・「問題行動の多い認知症の方の場合、介護度が軽度になる可能性がある」 などの意見が出されており、来年度4月の実施を延期して、さらに慎重に検討すべきではないか。

(回答) 厚生労働省としては、今般の認定調査項目等の見直しについては、1の②について及び4についてでお答えしたとおり、適切なものであると考えており、平成21年4月からの実施を延期して、さらに検討を行う必要はないものと考えている。
 なお、見直し後の要介護認定等が円滑に実施されるよう、自治体等に対し、必要な情報の提供等を行ってまいりたい。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)要介護認定をめぐっては、以前から判定基準が明確でないことや、認知症の人の判定が低くなりやすいとして、不平・不満が少なくありません。病状や障害の状態は変わらないのに、認定更新のたびに判定が軽くなり、必要なサービスを使えなくなる高齢者も少なくありません。
 平成21年4月から、「新たに構築した一次判定ロジック」・「新しい調査項目」 を用いて行われる要介護認定に対しては、多くの関係者の方々が、大きな不安を抱いていると思われます。

(2)厚生労働省は、上記パブリックコメント意見公募要領の 「改正概要」 において、今回の改正の理由を、「平成13年のデータを用いている」・「調査項目が多く調査が煩雑なものとなっている」 と述べていますが、最大の理由は、『2006年度以降、2次判定で振り分けていた 「要介護1」 と 「要支援2」 に、地域によってばらつきが生じているため、1次判定で行えるようにする』 とされています。
 即ち、できるだけ要介護者を減らし (要支援者を増やし)、介護保険料の増大・市町村の負担増大をできうる限り避けたいという意図が見え見えです。

(3)上記の問1-①に対する回答 「主治医意見書により代替可能な削除項目のうち、認知症に係る周辺症状等について主治医は充分把握できると考えている」 については、厚生労働省 (老健局だから?) は全く医療現場のことがわかっていないと思われます。
 繁忙な医師 (特に急性期病院の医師) の負担を軽減しようというのが今のご時世です。平成20年度診療報酬改定で医師事務作業補助体制加算が導入されましたが、全ての急性期病院で算定しているわけではありません。また、認知症について充分な知識・経験を持っている医師 (特に急性期病院の医師) はあまり多くはありません。さらに、回復期リハビリテーション病棟や療養病床の医師も、膨大な書類の山と格闘しています。
 したがって、認定調査の負担軽減の観点ではなく、繁忙な主治医の視点で考えるべきであり、安易な項目削除をすることなく、現行通り、経験豊富な調査員に充分な認定調査を任せるべきです。
 逆に、穿った見方をすると、瑕疵なく秀逸な主治医意見書により、上記(2)の厚生労働省の魂胆 (要介護者をできるだけ少なくしたい) を妨害されたくないのかも知れません・・・。

(4)問1-②、問2も、(3)と同様の厚生労働所の魂胆 (要介護者をできるだけ少なくしたい) に基づく回答と考えられます。
 即ち、「調査項目の削除→項目ごとの特記事項が消失」 ならびに 「日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布や要介護度変更の指標を介護認定審査会に提供しない」 等の介護認定審査会に対する情報隠し・情報操作により、二次審査での介護度変更を困難にしようとしていると考えられます。

 問2の回答において、厚生労働省が本音の一端を次のように吐露しています。
 「日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布、要介護度変更の指標については、これらを参照して行った要介護認定等が適正なものになっていない事例が確認されていることから、今般の見直し後は、介護認定審査会に対して当該指標を提供しないこととしている」。

 したがって、「現行の介護認定審査会による二次判定」 と 「新システムによる介護認定審査会による二次判定」、どちらが適正なのか、しっかりと検証 (第三者委員会で!) して頂きたいと思います。

(5)問3については、以前からの大問題です。即ち、基本的に、在宅ケアを推進する立場の厚生労働省としては、認定ロジックのデータは、(入居施設のデータではなく)、在宅のデータを使うべきであり、本末転倒・言行不一致・支離滅裂です。
 問3-③の回答で、色々言い訳・申し開き・詭弁・言い逃れをしていますが、それを言うならば、そもそも、「入居施設のデータを用いて作成した認定ロジックを、在宅要介護者に適用する」 ことは、全くエビデンスがなく、この認定ロジックを要介護認定に利用してはならないと思います。
 要介護認定一つで、多くの方々の将来・人生が大きく左右される (場合によっては死に至る!) ことを、厚生労働省は肝に銘じてもらいたいと思います。
 また、同様に、問3-①・②の回答には、充分なエビデンスが認められないと考えられます。

(6)問4の回答 「仮に、見直し後の要介護認定等によって従来より軽度に判定されたとしても、その結果は介護の状況をより的確に反映したものであると考えられる」 には唖然としてしまいます。
 エビデンスが不充分な上、官僚特有の 「無謬性・匿名性・無責任体制」 に由来する 「上から目線の無責任かつ厚顔無恥な回答」 です。この回答を作成した輩が 、仮に、自分自身が要介護者の立場あるいは身内に要介護者がいる立場で、このように言われたら、怒り心頭になると思いますが・・・。

(7)問5の回答についても、(6)と同様に、エビデンスが不充分な上、官僚特有の 「無謬性・匿名性・無責任体制」 に由来する 「上から目線の無責任かつ厚顔無恥な回答」 です。また、自治体や国民の声に対して、聞く耳を持たない体質と思われます。
 制度・システムに明らかに問題がある時、国民・自治体等に大きな疑念がある時は、無謬性神話・無責任体制・プライドは捨て、名誉ある勇気ある一時撤退をすべきと思います。

(8)以上、平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解について考察しました。

 以前の当ブログ記事 [『介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)』、「厚生労働省のキャッチフレーズ及び行動指針の策定について」] で述べたように、厚生労働省は、日頃は、「患者・高齢者・介護サービス利用者の視点を一番大事にします」 と言っておきながら、肝心な時には、「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「介護保険料の視点・市町村の視点」 の方を重視してきました。
 この自己矛盾を打破し、国民の安全・安心・納得・満足のために、国民本位の社会保障政策、医療・介護・福祉政策の立案・実施を切望します。
 また、「まやかしのエビデンス」 ではなく、現場の介護従事者・サービス利用者・家族等が納得する 「真のエビデンス」 に基づく要介護認定システム改正を行って頂きたいと思います。

【追記】
 現在、厚生労働省は、「要介護認定等基準時間の推計の方法 (平成12年厚生省告示第91号) の一部改正について」 に関するパブリックコメントを募集中です (締切日:2009年3月2日)。

 要介護認定システム改正の詳細については、「masaの介護福祉情報裏板」 ブログの記事 (「新認定調査ルールも軽度誘導へ。(前編)」・「新認定調査ルールも軽度誘導へ。(中編)」・「新認定調査ルールも軽度誘導へ。(後編)」) をご参照下さい。






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