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「DPC新機能評価係数」 と中小病院・ケアミックス病院

 ロハス・メディカル (2009/7/7) の記事 [「診療ガイドライン」 めぐり議論沸騰-DPC評価分科会 (7月6日)] によると、中央社会保険医療協議会 (中医協) のDPC評価分科会 (2009/7/6) において、厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓・企画官が、DPC新機能評価係数に関する興味深い発言をしていますので、下記に示します。
 
 DPCの評価の中で、「標準化についてどうするか」 というのが1点。

 それから、今後 (新たな) 機能評価係数を考えていく上で、高度急性期を扱うような大病院が評価されるような係数も当然あるだろう。
 一方、地域で急性期を担っている中小病院が取れるような係数もあるだろう。

 そのようなことを考えたとき、一つは標準化という観点、もう一つは、当初 (DPCが) 始まったときの82の特定機能病院、144の大きな病院という段階ではなく、今年度は (DPC対象病院が) 1,283病院で、大変小さな病院やケアミックスの病院が (DPCに) 入っている中で、つまり、そのような病院は大学病院の機能とはまた違っていて、"コモンディジーズ的なもの" (頻度の高い疾患) をたくさん診ていると思う。

 そういう病院についての機能の評価の仕方も考えなくてはならないというバックグラウンドで、「医療の標準化」 あるいは 「診療ガイドライン」・「クリティカルパス」 という話が出てきたと我々は理解している。

 決して、「これを特定機能病院に当てはめよう」 とか、そういう話ではなく、やはり現在、かなりDPCの状況が変わってきている中で、どういうものが評価できるか。
 そのためにまず調査をしてみて、使えるかどうかは結果が出てみないと分からないが、そのようなスタンスであるということはご理解いただきたい。

(1)以前の当ブログ記事 (DPC 「急性期病院の多様な機能の評価を検討」 厚労省医療課企画官) でも述べたように、これまでのDPC新機能評価係数の議論によると、(厚生労働省の思惑も含めて)、下記のようなことが浮かび上がってきています。
 
 1.DPC対象病院において、調整係数廃止・新機能評価係数の導入にあた
  り、「特定機能病院」・「400床以上の病院」・「専門病院」 は有利であることが
  予想されます。

 2.一方、上記1以外の病院 [400床未満の病院 (特に200床未満の病院)・ケア
  ミックス病院
] は、DPC対象病院 (特に 「高度な急性期入院医療を担う」と
  いう意味でのDPC対象病院) としての生き残りが困難であることが予想さ
  れます。

 3.上記2の病院のDPC対象病院としての生き残り策としては、「救急医療」
  をはじめとした現在の 「DPC新機能評価係数」 候補の中から最終的に採用
  される指標とその重み付け指数の値、ならびにそのDPC新機能評価係数に
  即時に対応できる病院の体制およびビジョンと戦略にかかっていると考えら
  れます。

(2)一方、最近の講演 (6月26日、十九大都市病院事業主管課長会議) において、宇都宮企画官は、DPC新機能評価係数に関して、「急性期病院の多様な機能を適切に評価できるような評価軸」 を提唱しており、最近の厚労省案にも、「患者実数」・「当該病院のDPC患者に対する割合」 に加えて、地域医療の視点である 「2次医療圏人口に対する割合」 という新しい評価軸が追加されています。

(3)また、今回のDPC評価分科会での同企画官の発言によると、厚生労働省は、DPC新機能評価係数に関して、「大病院や高度急性期総合病院」 だけでなく、「地域で急性期を担っている中小病院」・「大変小さな病院やケアミックスの病院」 も 「ケア」 しており、特に、『「コモン・ディジーズ的なもの」 (頻度の高い疾患) をたくさん診ている』 という観点から、「医療の標準化」 あるいは 「診療ガイドライン」・「クリティカルパス」 という切り口を考慮しているようです。

(4)最終的に、DPC新機能評価係数が、上記(1)のような方向性になるのか、はたまた、上記(2)・(3)の方向性になるのか、現時点では予想が困難ですが、DPC新機能評価係数に 「異なった機能を評価する何種類かの係数」 が選ばれ、「高度急性期総合病院・大規模病院」 のみならず、地域医療において急性期医療機能をきちんと担っている 「地方の病院、へき地の病院、あるいは、中小病院、ケアミックス病院」 が、適切に評価されることが望まれます。




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「病院の再編は避けられない」 (日本慢性期医療協会・武久会長)

 キャリアブレインのCBニュース (2009/6/29) に、日本慢性期医療協会・武久洋三会長の慢性期病床の将来像についての興味深い講演に関する記事が掲載されていますので、下記に示します。

「病院の再編は避けられない」―日本慢性期医療協会・武久会長
 
 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は6月26日、日本慢性期医療学会浜松学会で 「慢性期病床の理念と機能を考える」 と題して講演した。
 この中で武久会長は、社会保障国民会議の最終報告で示されているように、高度急性期病院への医療資源の集約化が進められた場合、病院の再編は避けられず、地域の中小病院は急性期治療後の慢性期医療の役割を果たすことになるとの見方を示した。

 武久会長は、現在の一般病床約90万床のうち、実質的な入院患者数は約70%といわれていると指摘。
 さらに、この中から難病の患者や超長期患者など実質的には急性期でない患者を差し引くと、50万床が 「一応、急性期病床と考えてよい」 との見方を示した。

 また、救急機能と総合医療を提供できる500床規模の高度急性期病院を、人口20万人につき1つ置く場合、高度急性期病院は国内で600病院となり、病床数は約30万床になると指摘。
 「個人的な希望」 と前置きをした上で、「高度急性期病院は30万床かなと思っている」 と述べた。
 残りの20万床については、現在の地域のケアミックス病院の一般病床が想定されるとした。

 さらに、医療資源を高度急性期病院に集中する政策が進められる場合、「少なくとも、100床から200床前後の地域の病院は、高度急性期機能を持つことは不可能になる」 と指摘。
 こうした中小病院は、ケアミックス病院や慢性期病院など、高度急性期治療の後を引き継ぐ病院として機能分化するとの見方を示し、「病院の再編は避けられないだろう」 と述べた。

 武久会長は、病院の機能分化を想定した場合に必要になる慢性期病床数も示した。
 急性期病床を50万床とした場合、平均在院日数を約10日とすると、1日の退院患者は約5万人で、1か月の退院患者は150万人。
 さらに、この3分の2が高齢患者と仮定すると、1か月100万人になるとした。
 また、社会保障国民会議の最終報告で示されているように、急性期病院の平均在院日数が20日から10日に短縮すると、患者は完全に治癒する前に退院することになると指摘。
 こうした 「半分治った状態」 で在宅に戻るのは難しいとして、高齢患者は急性期病院退院後、30万人が慢性期病床に入院し、50万人が自宅へ戻り、介護保険施設と居宅系施設にそれぞれ10万人が流れるとの想定を示した。
 さらにこの場合、慢性期病床への1日当たりの入院患者数は1万人となるため、平均在院日数が90日とすると、「慢性期病床は90万床必要になる」 と指摘した。

 また、慢性期病床から退院する患者を受け入れる介護保険施設の不足も指摘。
 慢性期病床から毎月30万人の患者が退院する場合、「20万人が在宅としても、10万人は介護保険施設に行かざるを得ない」 が、この人数を介護保険施設で吸収するのは数的に難しいと述べた。

 一方で、10数年後には、東京や大阪などを除く地方では、高齢者の総数が減少するため、今、大幅に施設を増やすのは難しいとの見方を示し、「在宅で引き受けざるを得ないというのが、わたしの意見だ」 と述べた。
 その上で、「居住系施設や在宅である程度、本人や家族が満足する医療を受けながら看取りができる体制を取っていくことがわれわれの責務」 と強調。
 慢性期病院が 「医療の最後のとりで」 となり、急性期病床からの退院後も後遺症を抱える患者を受け入れ、治った人を居住系施設や在宅につなげ、さらに在宅療養支援診療所の支援をするなど、在宅や居住系施設の患者をカバーしていくことが求められると述べた。

(1)厚生労働省の現在の病院再編政策 (①医療機関の機能分化と連携、②選択と集中、③集約化・拠点化・重点化、④医療の質の向上と効率化) が続けば、医療資源は 「高度急性期総合病院」 に集中し、200床 (400床?) 未満の中小病院は、

  (a) 特定の診療科に特化した 「専門病院」

  (b) 亜急性期医療 [軽度~中等度の急性期医療、在宅・居住系施設・介護保険
   施設入所者の急性増悪への対処、post-acute (急性期後) の医療、回復期リ
   ハビリテーション病棟] を担う病院

  (c) (急性期~) 亜急性期~慢性期医療を担う 「ケアミックス病院」

  (d) 慢性期医療を担う 「医療療養病床」

  (e) 介護保険施設 (例:介護療養型老人保健施設)

等への移行が考えられます。

(2)しかしながら、医療資源が高度急性期総合病院に集中した場合、上記 (b)~(d) に移行した中小病院の医療レベルはあまり高くないことが危惧され、平均在院日数の短縮を課せられた高度急性期総合病院からの重症患者や重度障害・重複障害患者 (特に高齢患者) の受け入れ困難により、多くの 「医療難民」・「リハビリ難民」・「介護難民」・「高度急性期総合病院での長期入院患者」 の出現が予想されます。

(3)同学会での 「救命救急センターの立場からの講演」 および 「慢性期病院の3次救急病院との連携に関する講演」 でも、下記のように述べられています。

●3次救急と療養病床の連携にインセンティブを

 国立病院機構大阪医療センター救命救急センターの定光大海・診療部長は、「救命救急センターの立場から」 と題して、3次救急の現場における患者の退院先確保をめぐる問題について講演した。
 定光部長は、救命救急センターにおける不応需の理由のうち、45.5%が 「満床」 だったとするデータを提示。
 また、救命救急センターの 「後方病床」 からの退出先の約80%が療養型病院だと述べた。
 その上で、「救急医療と慢性期医療は相補的関係にある」・「救急医療システムの維持に出口問題は避けて通れない」・「慢性期医療の縮小は救急医療の崩壊を加速する」 と語った。

 また、永生病院の飯田達能院長は、「慢性期病院の3次救急病院との連携」 をテーマに講演。
 3次救急病院に入院している比較的軽症の患者を療養病床で受け入れることで、3次救急の病床の回転をよくすることができると指摘し、東京における3次救急病院と療養病床の連携実績を紹介した。
 その上で、こうした連携システムを拡大するには、療養病床を持つ慢性期病院が 「患者を受け入れたいと思うインセンティブが必要」 と強調。
 診療報酬での対応や行政からの支援を求めた。

(4)「限られた医療資源を高度急性期総合病院に集中する」 という厚生労働省の医療政策は、現在の医療崩壊・医療破壊 [例:医師不足 (特に勤務医不足) ならびに医療の高度化により、過重労働にて疲弊し、また、コンビニ受診・モンスターペイシェントに辟易している勤務医の問題] の状況を考えると、致し方ないとも思われます。

 しかしながら、高度急性期総合病院の後方病院・後方病床 (後方連携・地域医療連携) の将来像 (惨状?) を考えると、相当緻密な政策立案が要求されると思われます。
 さもないと、政策が計画倒れになり、益々、「医療崩壊・医療破壊」・「医療難民・リハビリ難民・救急難民・介護難民」 問題が深刻化すると考えられます。




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2009年度の新規DPC対象病院は570病院 (約130病院が移行せず)

 Japan Medicine (2009/3/4) に、平成19年度DPC準備病院の 「平成21年度DPC対象病院への移行状況」 に関する記事が掲載されていますので紹介します。

●09年度の新規DPC対象は570病院 130病院が移行せず

①2007年度からDPC準備病院となった約700病院のうち、570病院が09年度からDPC対象病院へ移行する見通しとなった。移行しない病院は約 130病院で、多くが自主的に準備病院にとどまる選択をしたとみられる。

 DPC対象病院に移行しない理由について厚生労働省保険局医療課は、中医協・診療報酬基本問題小委員会やDPC評価分科会などで検討を進めている調整係数廃止後の新係数の成り行きを見守る病院が多いためではないかとみている。

②医療課によると、09年度の新規DPC対象病院に対しては3月上旬までに調整係数を内示する。対象病院への移行は4月実施と7月実施の2回に分けて行う。
 DPC病院としての告示は、4月実施の病院は3月下旬をめどに、7月実施は6月中旬~下旬頃を予定している。

● 「より良い急性期医療へ貢献」 がDPCの趣旨

③厚労省は2月27日、09年度の新規DPC対象病院に対する説明会を都内で開き、DPC導入までのスケジュールや請求に関する注意点などを説明した。

④医療課の宇都宮啓企画官は、「DPC病院にならなければ生き残れない、DPCはもうかるとの声を聞くが、それは大きな勘違い。対象病院になるのは、標準化や効率化を進めて最終的には医療の質の向上につなげ、より良い急性期の入院医療に貢献するためという認識を持ってほしい」 と呼び掛けた。

⑤また、「データが不正確ではDPC全体の係数や点数に影響を与えてしまう。正確なデータを期限までに出してもらうことが大事。出せない病院は中医協に呼んで事情を聞くこともあり得る」 と述べ、正確なデータを提出することでDPC制度全体に貢献するとの意識も必要とした。

⑥中医協の基本問題小委員会やDPC評価分科会で議論が進む新しい機能評価係数については、「現行の調整係数で担保されている部分をそのまま機能係数にすることはない。何らかの機能を有して地域医療に貢献してもらう必要がある。調整係数が残っているうちに何とか滑り込めたという考えのないようにしてほしい」 と強調した。

⑦療養病棟も併せ持つケアミックス型の病院に向けては、「急性期の病棟と療養病棟の役割分担をきちんとしてほしい」 と要請した。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記①の通り、2007年度からDPC準備病院となった約700病院のうち、570病院が2009年度からDPC対象病院へ移行する見通しとなり、現行のDPC対象病院718病院と合わせて、2009年度は、DPC対象病院が全国で、1,288病院となる予定です。

 一方、移行しない病院は約 130病院で、多くが自主的にDPC準備病院にとどまる選択をしたとみられます。
 そして、その理由として、厚生労働省保険局医療課は、中医協・診療報酬基本問題小委員会やDPC評価分科会などで検討を進めている調整係数廃止後の新係数の成り行きを見守る病院が多いためではないかとみています。

(2)DPC 「新機能評価係数」 に関しては、2009年3月5日のDPC評価分科会において、次のような議論が行われています。

 (a) DPC 「新機能評価係数」 の候補は次の通り。
   [以前の当ブログ記事 (「DPC 「新機能評価係数」 候補の選定)」 参照]
  1.「医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について」:10項目
  2.「社会的に求められている機能・役割の評価について」:8項目
  3.「地域医療への貢献の評価について」:8項目
  4.「その他」:11項目
  5.「ヒアリング医療機関からの要望」:24項目 (重複有り)

 (b) 今後は、(1) 新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方との合致、(2) 現
  行の 「DPCの影響評価に関する調査」 の活用、(3) 現行の機能評価係数や出
  来高部分と評価が重複する可能性がある項目の整理、等を考慮しながら、新
  たな 「機能評価係数」 として評価するべき項目の絞り込みが行われ、そして、
  絞り込まれた項目について、具体的な検討が進める。

 (c) 調整係数の廃止と新機能評価係数の導入は段階的に行うこととされているこ
  とから、次回診療報酬改定で採用にならなかった項目でも、次々回の改定で
  取り上げることもあり得る。
   今回は、上記項目の中から先ず、2010年度改定の候補として、既にデータ
  があるものや、しっかりしたデータの裏付けができるような項目を優先的に
  議論
する。
   現状で、データのない項目については、次回改定での評価は難しいが、次
  々回の評価はあり得るとされた。「副傷病」・「術後合併症」 については、報告
  様式を変更し記載欄を設けてデータを収集することが提案された。

 (d) 分科会では、特に、DPCの係数として評価すると、出来高払い方式の加算
  などと 「重複評価」 になってしまう項目
が議論になった。その他、評価手法
  におけるメリット・デメリット (含、リスク調整、二重評価、変なインセンテ
  ィブ、モラルハザード等)、大学病院 (研究や教育) や地方病院 (地域格差) の立
  場の違い等により、意見を集約できないものも多かった。
   議論の詳細は、『後発医薬品使用状況のDPC評価、結果の公開で 新機
  能係数評価候補の絞り込み議論 分科会 (Online Med:2009/3/5)
』 および
   『病院の機能、「二重評価してもいい」 (CBニュース:2009/3/5)』 を参照。

(3)上記④の通り、厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、「DPC病院にならなければ生き残れない、DPCはもうかるとの声を聞くが、それは大きな勘違い。対象病院になるのは、標準化や効率化を進めて最終的には医療の質の向上につなげ、より良い急性期の入院医療に貢献するためという認識を持ってほしい」 と述べています。

 しかしながら、『DPC対象病院は、標準化や効率化を進めて、最終的には医療の質の向上につなげ、より良い急性期の入院医療に貢献するもの』 との発言は、「DPC対象病院以外の病院は、急性期病院をあきらめて、亜急性期以降に移行しなさい」 と言っているようなものです。上記⑥の発言も、同じような意味と思われます。

 また、厚生労働省の常套手段として、ある医療提供体制が普及するまでは、診療報酬上で優遇し、普及した時点で梯子を外します。DPC対象病院も同じ運命をたどると考えられます。そして、それを受け入れられない (それに耐えられない) と、急性期病院として生き残れない (勝ち残れない) と考えられます。

(4)上記⑤の通り、同企画官は、「データが不正確ではDPC全体の係数や点数に影響を与えてしまう。正確なデータを期限までに出してもらうことが大事。出せない病院は中医協に呼んで事情を聞くこともあり得る」 と述べ、正確なデータを提出することでDPC制度全体に貢献するとの意識が必要と強調しました。

 この件に関しては、DPC 「新機能評価係数」 の候補に、「DPC病院として正確なデータを提出していることの評価」 が含まれています。
 また、DPCの点数、入院期間Ⅰ・Ⅱ・特定入院期間等は、基本的に全DPC対象病院のデータの平均値が用いられますので、不正確なデータがある一定程度以上に増えると、前述の各数値に悪影響を与え、DPC診療報酬体系が崩壊します。
 したがって、各DPC対象病院が正確なデータを提出することが、DPC制度の根幹です。

(5)上記⑦の通り、同企画官は、療養病棟も併せ持つケアミックス型の病院に向けては、「急性期の病棟と療養病棟の役割分担をきちんとしてほしい」 と要請しています。

 この件に関しては、多くの 「中小病院」 および 「ケアミックス型病院」 が関係します。
 以前の当ブログ記事 (「DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)」) でも述べていますが、以前、同企画官は、今後、DPC対象病院として中小病院が多く参入してくる現状にあることや、機能評価係数は必ずしも大病院向けだけのものではないとの基本的考え方を説明。その上で、「係数には大病院向けの係数、中小病院向けの係数があるが、中小病院向けの係数を設定したことで大病院がマイナス評価を受けることはない」 とし、機能評価係数の基本的考え方に沿って検討することを明言し、幅広い視点での議論を求める発言をしています。

 また、ケアミックス型病院についても、当初、「患者を一般病床と療養病床等とでキャッチボールするのではないか」・「後方病床があるケアミックス型病院とそれがない一般急性期病院とでは、平均在院日数等で不公平が生じるのではないか」 等の懸念がありましたが、厚生労働省の調査により、(a) DPC対象病院とDPC準備病院の両方において、ケアミックス型病院のDPC算定病床の割合が少なくても、平均在院日数・救急搬送件数・肺炎等による緊急入院割合・再入院率などにおいて、ケアミックス型病院とDPCのみの病院との間に明らかな差がみられない、(b) 「DPC算定病床の割合が小さい病院では、一部の疾患で、手術などを行う患者の割合が少ない傾向にあるものの、それらは診断群分類が別なものとなることから、大病院で実施される手術などを伴う症例の点数設定には影響しない」 として、医療資源の投入の少なさから、DPC点数が低めに設定されることになるのではないかとする大規模病院側からの懸念も問題はない、ということが判明し、最終的に、ケアミックス型病院をDPC対象病院に加えることが了承されました。

 しかしながら、「中小病院 (特に、民間中小病院)」 および 「急性期一般病床の占める割合が少ないケアミックス型病院」 については、基本的には、高度急性期医療およびDPCを断念して、亜急性期以降の医療を担ってもらいたいという厚生労働省の思惑、即ち、上記病院の役割として、次のような 「亜急性期病院、慢性期病院、ケアミックス型病院、介護保険施設」 が想定されていると推察されます。
 (1) 軽度 (~中等度) の救急・急性期医療 (特に、認知症の合併症がある高齢者
  の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の救急・急性期
  患者)
 (2) 「急性期後」 の亜急性期医療 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回
  復期リハビリテーション病棟)
 (3) 慢性期医療 [療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)]
 (4) 特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
 (5) 在宅医療
 (6) 場合によっては、介護療養型老人保健施設への移行

 したがって、急性期の病棟と療養病棟の役割分担をきちんとできない病院は、上記の (1)~(6) の病院・施設へ、厚生労働省が誘導すると考えられます。

 但し、「専門特化型」 急性期中小病院、あるいは、「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院は、場合によっては、大病院等よりも、質の高い効率的なDPC対象病院であることが少なくないということで、このような病院にインセンティブを与えるような 「新機能評価係数」 の設定が望まれます。(スケールメリット不足を補填する評価、高い専門性・充実したチーム医療への評価等)。

 それ以外は、基本的には、DPCに馴染まず、医療マンパワー不足もあることから、将来的には亜急性期以降への移行を促される可能性が高いと考えられます。

 また、地方の中小自治体病院に多い、「準総合病院型」 急性期中小病院および 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、総務省・公立病院改革ガイドライン (平成19年12月) を厳格に適用すると、廃止・民営化の道をたどると考えられます。
 しかし、その病院が、地域唯一の病院であり、不採算医療 (政策的医療や救急医療等) を担っているということで、充分な公的支援があれば、(DPC適用の可否は別として)、存続できると考えられます。

(6)以上、平成19年度DPC準備病院の 「平成21年度DPC対象病院への移行状況」 について論じました。

 平成21年度DPC対象病院に移行しない約130のDPC準備病院には、おそらく多くの中小病院・ケアミックス型病院が含まれていると推察されます。

 特に、中小病院については、「地方」・「ケアミックス」・「公立・民間 (公私格差要因も含めて)」 の多因子が複雑に絡み、DPCとの整合性を図ることが非常に難しい面があると思われます。

 しかしながら、上記(5)で述べたように、DPC対象病院として相応しいと考えられる中小病院・ケアミックス型病院については、上記(2)で記したDPC 「新機能評価係数」 の候補において、当該病院に相応しい項目を、入念に精査・抽出し、正式項目化を行って頂きたいと思います。




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DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)

 DPCに関して、現行の調整係数に代わる新機能評価係数を検討している中央社会保険医療協議会 (中医協) 診療報酬基本問題小委員会および診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会における、これまでの 「新機能評価係数」 についての議論は、「大病院・特定機能病院・高度急性期総合病院・地域基幹病院 (地域拠点病院) の視点」 での議論に比較的偏っており、「中小病院の視点」 での議論は、あまり活発ではなかったと考えられます。

 Japan Medicine (2009/2/16) によると、平成21年2月12日に開催されたDPC評価分科会において、厚生労働省保険局医療課企画官が次のように発言しています。

●厚労省:幅広い視点での議論を要望

 厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、今後、DPC対象病院として中小病院が多く参入してくる現状にあることや、機能評価係数は必ずしも大病院向けだけのものではないとの基本的考え方を説明。
 その上で、「係数には大病院向けの係数、中小病院向けの係数があるが、中小病院向けの係数を設定したことで大病院がマイナス評価を受けることはない」 とし、機能評価係数の基本的考え方に沿って検討することを明言し、幅広い視点での議論を求めた。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。
 なお、「地方」 というファクターは、問題を複雑化しますので、下記の 「ケアミックス型病院」・「中小病院」 に関する考察からは、敢えて除外しています。

(1)中小病院とは、200床未満の病院 (20~199床) のことですが、その内、DPC対象病院・DPC準備病院には、次のようなパターンが考えられます。

 ①全て 「急性期一般病棟」 の急性期中小病院
  (a) 「専門特化型」 急性期中小病院
  (b) 「複数 (不完全) 専門特化型」 急性期中小病院
  (c) 「準総合病院型」 急性期中小病院

 ②ケアミックス型中小病院
  ●急性期一般病棟と下記の病床・病棟との組合せ
    ◎亜急性期病床 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回復期リハビリ
     テーション病棟)
    ◎療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)
    ◎特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
  (a) 「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (b) 「複数 (不完全) 専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (c) 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (d) 「認知症の合併症がある高齢者の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の
    急性増悪等の急性期患者・(急性期後)・(慢性期患者の急性増悪時)」 用の急性
    期一般病棟を持つケアミックス型中小病院

(2)現在、ケアミックス型病院 (200床以上の大病院と200床未満の中小病院との両方を含む) はDPC対象病院になることは可能ですが、その決定までには紆余曲折がありました。
 上記の小委員会・分科会におけるケアミックス型病院の議論過程は、CBニュースの記事 (「ケアミックス型もDPC対象に-基本小委了承」) (2008/11/19) および Online Med の記事 (「ケアミックス型病院もDPCの対象、中医協が方針決定 急性期病院との違いはない」 (2008/11/19) 等によると、下記の通りです。

①当初、DPC対象病院にケアミックス型病院を含めるかどうかが検討課題の一つになっており、どちらかといえば、「ケアミックス外し」 の方向であった。
 というのは、全国に約700か所ある 「2007年度DPC準備病院」 のうち、ケアミックス型が6割以上を占め、全病床に対するDPC算定病床の割合が50%未満の病院も約9%あったからである。
 また、ケアミックス型病院において、「患者を一般病床と療養病床等とでキャッチボールするのではないか」・「後方病床があるケアミックス型病院とそれがない一般急性期病院とでは、平均在院日数等で不公平が生じるのではないか」 等の懸念があったからでもある。

②しかしながら、厚生労働省が提出した資料により、下記のことが判明した。
 DPC対象病院とDPC準備病院の両方において、ケアミックス型病院のDPC算定病床の割合が少なくても、平均在院日数・救急搬送件数・肺炎等による緊急入院割合・再入院率などにおいて、ケアミックス型病院とDPCのみの病院との間に明らかな差がみられなかった。
 また、「DPC算定病床の割合が小さい病院では、一部の疾患で、手術などを行う患者の割合が少ない傾向にあるものの、それらは診断群分類が別なものとなることから、大病院で実施される手術などを伴う症例の点数設定には影響しない」 として、医療資源の投入の少なさから、DPC点数が低めに設定されることになるのではないかとする大規模病院側からの懸念も問題はないとした。

③このため、西澤寛俊委員 (全日本病院協会会長) は、「ケアミックス病院とそれ以外に差がないなら、当然、すべてを対象に含めていいのではないか」 と指摘。その上で、「2007年度DPC準備病院」 について、基準を満たすことを前提に、来年度、DPC対象病院に加えるよう提案した。

④これに対して、支払側の対馬忠明委員 (健保連専務理事) は、「それはそれでいい」 と同意する一方、医療機関の機能分化が今後、進むのに合わせて、将来的にあらためて議論する必要があるとの認識も示した。

⑤DPCの拡大に慎重な姿勢を持っている日本医師会常任理事の藤原淳委員は、「ケアミックス型を入れることで、急性期病院を対象にする (本来の) 方向と違和感がある」 と指摘した。

⑥これに対して、厚労省側は、「DPCの算定対象とするのは、病院ぐるみというより、急性期病棟という整理だ」 と述べ、ケアミックス型の病院には、DPCを算定する急性期病床のみのデータ提出を求める方針を説明した。

⑦西澤委員は、ケアミックス型の病院では、急性期と慢性期とを区別せずに運営していると誤解されていると指摘した。
 その上で、ケアミックス型について、「(一つの) 病院の中に、明らかに機能の違う病院が2つあると考えていただきたい」 と説明した。

⑧最終的に、ケアミックス型病院をDPC対象病院に加えることへの反対意見はなく、了承された。

(3)一方、中小病院については、現実に、約700の 「2007年度DPC準備病院」 のうち、約半数が200床未満の中小病院であり、DPC対象病院は、当初想定された 「高度急性期病院の代名詞」 とは言えない状況になっています。
 しかしながら、上記小委員会・分科会の議論において、DPCと 「ケアミックス型病院・地方の病院」 に関しては割と論議されていますが、純粋に、「中小病院」 とDPCに関しては、あまり討議されていないと思われます。

 というのも、中小病院 (特に民間中小病院) については、当初は、高度急性期医療およびDPCを断念して、亜急性期以降の医療を担ってもらうという厚生労働省の認識だったからです。
 即ち、中小病院の役割として、次のような 「亜急性期病院、慢性期病院、ケアミックス型病院、介護保険施設」 が想定されていました。
 ①軽度 (~中等度) の救急・急性期医療 (特に、認知症の合併症がある高齢者の骨折
  等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の救急・急性期患者)
 ② 「急性期後」 の亜急性期医療 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回復期
  リハビリテーション病棟)
 ③慢性期医療 [療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)]
 ④特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
 ⑤在宅医療
 ⑥場合によっては、介護療養型老人保健施設への移行

 但し、上記(1)で示した①-(a) の 「専門特化型」 急性期中小病院、あるいは、②-(a) の 「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院は、場合によっては、大病院等よりも、質の高い効率的なDPC対象病院であることが少なくないということで、このような病院にインセンティブを与えるような 「新機能評価係数」 の設定が望まれます。(スケールメリット不足を補填する評価、高い専門性・充実したチーム医療への評価等)。

 一方、民間中小病院に比較的多い、(1)-①-(b) の 「複数 (不完全) 専門特化型」 急性期中小病院および(1)-②-(b) の 「複数 (不完全) 専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院、あるいは、(1)-②-(d) の 「認知症の合併症がある高齢者の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の急性期患者・(急性期後)・(慢性期患者の急性増悪時)」 用の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、基本的には、DPCに馴染まず、医療マンパワー不足もあることから、将来的には亜急性期以降への移行を促される可能性が高いと考えられます。

 また、地方の中小自治体病院に多い、(1)-①-(c) の 「準総合病院型」 急性期中小病院および(1)-②-(c) の 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、総務省・公立病院改革ガイドライン (平成19年12月) を厳格に適用すると、廃止・民営化の道をたどると考えられます。
 しかし、その病院が、地域唯一の病院であり、不採算医療 (政策的医療や救急医療等) を担っているということで、充分な公的支援があれば、(DPC適用の可否は別として)、存続できると考えられます。

(4)「地方」 のファクターに関しては、2009年2月12日のDPC評価分科会にて論議されました。
 議論の内容は、CareNet.com (2009/2/16) の記事 「地域の病院にDPCは不利 DPC評価分化会で佐久総合病院が問題提起」 および Japan Medicine (2009/2/16) の記事 「診療ガイドラインの係数化をめぐり論戦 DPC評価分科会 適切な評価係数の考え方ヒアリング」 によると下記の通りです。

 JA長野厚生連・佐久総合病院の西澤延宏診療部長は、「地方にも目配りした機能評価係数を」 と題した報告書を提出し、地域医療を支える地方の病院は、「高齢者が多く、医療コストが相対的に高い」・「医療圏が広域にわたる」・「周辺の医療機関が乏しく機能分化が困難」・「連携施設不足」 など、都市部に比べDPCの制度化では不利な点が多い、との考え方を示した。
 その上で、地方病院の医療を評価する観点から、①患者の年齢構成による評価 (高齢者診療機能)、②マグネットホスピタルとしての地方の診療所や中小病院への医師派遣機能に対する評価、③入院時医学管理加算の外来縮小要件の廃止、④在宅医療への評価、などを求めた。

 これに対して、小山信彌委員 (東邦大医療センター大森病院教授) は、「地方の病院だけでなく、都市部の病院も同様の状況だ」 とし、地方限定の評価軸ではないとの認識を示した。

(5)上述の通り、中小病院については、「地方」・「ケアミックス」・「公立・民間 (公私格差要因も含めて)」 の多因子が複雑に絡み、DPCとの整合性を図ることが非常に難しい面があります。
 しかしながら、DPC対象病院として相応しいと考えられる中小病院については、当ブログ記事 (『DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件』・『DPC 「新機能評価係数」 (松田研究班長・私案)』) で示している 「新機能評価係数」 候補35項目DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件 (厚生労働省)新機能評価係数に関する8項目 (松田研究班長・私案)、その他、において、当該中小病院に相応しい項目を、入念に精査・抽出あるいは新規作成、そして正式項目化を行って頂きたいと思います。
 
(6)以上、今後の中医協診療報酬基本問題小委員会およびDPC評価分科会の動向が注目されます。

 また、各DPC病院における周到な対策・準備のため、できるだけ早期の 「新機能評価係数」 決定を切望します。





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