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平成22年度診療報酬改定に係る要望書・第2報 (日本病院団体協議会)

 日本病院団体協議会 (日病協:国立大学附属病院長会議、独立行政法人国立病院機構、全国公私病院連盟、全国自治体病院協議会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本私立医科大学協会、日本精神科病院協会、日本病院会、日本慢性期医療協会、独立行政法人労働者健康福祉機構) が、厚生労働省保険局長宛に提出した 「平成22年度診療報酬改定に係る要望書 (第2報)」 (2009/7/31) を下記に示します。

●平成22年度診療報酬改定に係る要望書 (第2報)-日病協-

 日本病院団体協議会は、崩壊しつつある病院医療の再生のために、平成21年4月16日付で 「平成22年度診療報酬改定に係る要望書 (第1報)」 を提出した。
 第1報では、医師不足に起因した日本の病院医療崩壊の現状、看護師不足に起因した病院閉鎖の現状を述べるとともに、下記の2項目を要望した。

 1.入院基本料の根拠に基づく算定方式の創設と増額
 2.介護 (看護補助) 業務の確立と看護基準の柔軟な運用

 この度、平成22年度診療報酬改定において、上記2項目とともに病院医療全般に関して次の事項を要望する。

1.入院医療全般について

(1)入院基本料の根拠に基づく算定方式の創設と増額

 病院医療の再生に向け、根拠に基づく算定方式の創設と入院基本料の増額を要望する。
 *平成22年改定においては、医療経済実態調査、各病院団体の経営調査等
  の結果を反映し、実態に即した入院基本料の増額を要望する。
 *短中期的課題として根拠に基づく入院基本料の算定方式の創設が必須で
  ある。このためには診療報酬調査専門組織医療機関のコスト調査分科会
  等、専門的な議論が可能な組織での立案、検証が行われるべきである。
 *また、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハ職員、MSW、PSW
  等の多専門職によるチーム医療を評価し、入院基本料に加算することを
  要望する。

(2)介護 (看護補助) 業務の確立と看護基準の柔軟な運用
 医療の安全と質を向上させるとともに、慢性的に不足している看護職員にとって働きやすい職場を創造するために、以下を要望する。
 *7:1、10:1入院基本料の病棟においても、現実には介護 (看護補助)
  業務も多く、介護 (看護補助) 職を配置せざるを得ない。上記病棟におい
  て、看護補助加算を算定可能とするとともに、介護 (看護補助) 職の夜勤
  に対する評価を要望する。
 *病棟における患者の状態によっては、医療安全のために3名以上の夜勤
  看護師が必要となる。さらに、小規模な病棟では月平均夜勤72時間の基
  準を満たすことは不可能である。看護基準において、72時間の制限を緩
  和するとともに、2人夜勤体制は看護職員不足等の現実を考慮し、その
  一部を介護 (看護補助) 職の適応を認めるなど、現場の状況に応じた柔軟
  な対応を可能とすることを要望する。
 *日勤のみ勤務者や短時間労働者の雇用を促進するために月平均夜勤時間
  の算定において月夜勤時間数16時間以下の者も含めることを要望する。
 *1週あたり40時間労働は日本における全産業の労働時間の基本である。
  夜勤専従看護師においても例外ではなく、このように診療報酬によって
  労働時間の制限を規定することは避けるべきである。

(3)医師事務作業補助体制加算の適用拡大
 *入院医療全般にわたり医師事務作業は増加しており、その補助体制加算
  の点数を引き上げるとともに、すべての病院に対する加算に適用拡大す
  ることを要望する。

(4)診療情報の電子化加算の正当な評価
 *電子カルテやオンラインレセプトなど診療情報のIT化を推進するため
  必要な費用を診療報酬上正当に評価した電子化加算を要望する。

2.急性期入院医療について

(1)「入院時医学管理加算」 の見直し
 *平成20年度改定での見直しは現実に即したものではない。現状を勘案し
  た運用に変更すべきである。

(2)「救急搬送受け入れ加算」 の創設と 「緊急手術加算」 の増額
 *円滑な救急医療体制の構築においては三次救急 (救命救急センター) への
  患者一極集中を緩和する必要がある。しかしながら、二次救急医療体制
  の維持や緊急手術に備えるためには、多くの人件費等の固定支出が必要
  である。「救急搬送受け入れ加算」 の創設と 「緊急手術加算」 の増額を要
  望する。

(3)DPC救急入院時の評価
 *DPC対象病院への救急入院時、診断確定までの診療報酬を出来高方式
  とすることを要望する。

3.慢性期入院医療について

(1)医療療養病床における緊急対応の評価
 *在宅や介護保険施設などで療養中の慢性期患者が急変した場合の入院に
  ついて、「緊急対応入院加算」 の創設を要望する。

(2)急性期病床からの積極的受け入れの評価
 *急性期病棟から、医療区分2、3に相当する患者を受け入れる場合、30
  日間の 「医療対応初期加算」 の創設を要望する。

4.精神科医療について

(1)精神病棟入院基本料の増額
 *精神科の入院料は他科に比べ著しく低く、精神科入院基本料の大幅な増
  額を要望する。

(2)精神科救急・合併症入院料の算定要件の緩和
 *精神科疾患患者の身体合併症への対応を図るため、算定要件の大幅な緩
  和を要望する。

(3)児童精神科医療の充実
 *児童精神科医療の充実を要望する。

5.リハビリテーションについて

(1)急性期病院におけるリハビリテーションの評価
 *ベッドサイド・リハが中心となる急性期病院については、「施設基準」 で
  はなく、「人員配置基準」 として評価することを要望する。

(2)リハビリテーション起算日の変更
 *各疾患において、リハビリテーションの開始はその個々の病態において
  大きく異なる。リハビリテーション起算日は、リハビリテーション開始
  日とすることを要望する。

(3)維持期リハビリテーションの適用拡大
 *医学的に長期にわたるリハビリテーションを要する疾患・病態について、
  根拠に基づく適用の拡大を要望する。

6.外来診療について

 外来の診療報酬については、病院・診療所の一物多価を改めるとともに、現行の同日多科受診時における第2科以降の診療報酬の算定不可を改める必要がある。
 *再診料等の同一診療行為は同一診療報酬とすることを要望する。
 *同日多科受診時、第2科以降もすべて同様の算定を可能とすることを要
  望する。

(1)上記の通り、日本病院団体協議会の 「平成22年度診療報酬改定に係る要望書 (第2報)」 において、リハビリテーション医療の分野では、下記の3つの要望が成されています。

 ①急性期病院におけるリハビリテーションの評価
  ◎ベッドサイド・リハビリテーションが中心となる急性期病院について
   は、「施設基準」 ではなく、「人員配置基準」 として評価する。

 ②リハビリテーション起算日の変更
  ◎各疾患において、リハビリテーションの開始はその個々の病態におい
   て大きく異なるため、リハビリテーション起算日は、リハビリテーシ
   ョン開始日
とする。

 ③維持期リハビリテーションの適用拡大
  ◎医学的に長期にわたるリハビリテーションを要する疾患・病態につい
   て、根拠に基づく適用の拡大を行う。

 その他の各団体のリハビリテーション診療報酬に対する要望ならびに各種問題点に関しては、以前の当ブログ記事 (『回復期リハ病棟の評価に 「プロセス指標」・「構造指標」 の導入を提唱』 および 『2010年度リハビリ診療報酬改定に対する各医療団体の要望』) をご参照下さい。

(2)次期2010年度 (平成22年度) 診療報酬改定は、基本的にはプラス改定と巷間で言われていますが、問題は、やはり財源です。

 日本福祉大学の二木立教授は、公的医療費増加の財源について、
  ①消費税の増税
  ②政府の税金の無駄使いの根絶
  ③社会保険料の引き上げ
を挙げ、現実的には③が妥当と述べています。
 詳細は、同教授のインタビュー記事 [医療改革の 「希望の芽」 の拡大を (『医療改革と財源選択』の出版にあたって)] をご参照下さい。

(3)ともあれ、現在、衆議院総選挙を控え、「民主党への政権交代」 あるいは 「自公与党の政権維持」 の決着がつくまでは、次期2010年度診療報酬改定の行方は、「不明確・未確定」 であり、国民による政権選択後の診療報酬改定あるいは社会保障 (医療・介護・福祉・雇用・年金・子育て・教育) の行方が楽しみでもあり、また、不安でもあります。




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2010年度リハビリ診療報酬改定に対する各医療団体の要望

 前回の当ブログ記事 (回復期リハ病棟の評価に 「プロセス指標」・「構造指標」 の導入を提唱) にて、2010年度診療報酬改定に対する全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会の要望を紹介しました。

 今回、2009年7月31日現在の各医療団体の2010年度リハビリテーション診療報酬改定に対する要望を下記に示します。

●日本病院団体協議会 (日病協) 「平成22年度診療報酬改定に関
 する要望書・第2報」
 [出典:CBニュース (2009/07/31)]

 ①急性期病院におけるリハビリテーションの評価を、「施設基準」 ではなく、
  「人員配置基準」 とすること。

 ②現在、「治療開始日」 や 「発症、手術または急性増悪」 からとなっている
  リハビリテーション起算日を、「リハビリテーションの開始日」 に変更す
  ること。

●リハビリ医療関連5団体連絡協議会
  [出典:Japan Medicine Mail (2009/7/29)]

 日本リハビリテーション医学会などリハビリ医療関連5団体連絡協議会は、次期診療報酬改定に向け要望事項の協議を進めている。
 最終要望書は検討中だが、急性期リハビリの実施を推奨するため、疾患別リハビリ点数体系の中に、新たに 「総合リハビリテーション料」 の設定を要望することについて合意した。

●全国自治体病院協議会 「重点要望項目」 (2009/7/15)

 ①リハビリテーション料・疾患別の廃止 (理学療法料等の復活)
  ◎現行の疾患別リハビリテーションは、重複する疾患や廃用症候群など整理
   困難な問題を抱えており、また、治療内容として理学療法、作業療法、言
   語聴覚療法の区別が無視されており、必要な治療別にすることが患者にと
   っても理解が得られるので理学療法料等へ改正すること。

 ②早期リハビリテーション加算の起算日
  ◎入院時 (発症時・受傷時) において持続点滴・酸素吸入などのライフライン
   が接続されており、救命・治療に専念され、リハビリが実施できないこと
   がある。発症・受傷日からの算定開始では 「早期加算」 の算定がほとんど
   出来ないため算定要件を見直し、リハビリが可能になった時点から、同じ
   期間、加算を取れる
ように改正すること。

●日本慢性期医療協会 「平成22年度診療報酬改定に係る要望
 書」 (2009/7/16)


 ①回復期リハビリテーション病棟
  (1) 回復期リハ病棟の診療の質は重症割合15%、在宅復帰60%で評価されて
   いるため軽度の患者を選択しがちである。即ち、合併症のある脳卒中患者
   の入院を制限する傾向にある。そのため、重症割合30%以上、在宅復帰40
   %というような2段階の評価を考えて欲しい。また在宅復帰先の施設に老
   人保健施設を含めて欲しい。
  (2) 回復期リハ病棟では透析手技料が入院料に含まれ透析費用が請求できな
   いため、透析患者を敬遠しがちである。療養病床において回復期リハと同
   様のリハ環境を整備することは診療報酬上からみても難しいため、結果と
   して透析患者に十分なリハを提供できていないのが現状である。回復期リ
   ハ病棟で透析手技を算定しても全体としての医療費が増大するわけではな
   く、むしろ透析患者の社会復帰率を向上させることにつながると思われる
   ため、透析手技の算定を認めてほしい。

 ②維持期リハビリテーション
  (*) リハビリテーションの回数を1日1単位、月20単位までとして欲しい。

(1)これまでの医療制度改革・診療報酬改定・介護報酬改定等に伴う下記の種々の問題点により、現在、「患者選別・患者切り捨て」・「リハビリ難民・介護難民」 が既に現実に生じているとされています。

 ①疾患別リハビリテーション体系の導入ならびにリハビリテーション算定日
  数上限 (標準的算定日数) の導入
 ②回復期リハビリテーション病棟への成果主義の導入
 ③障害者病棟からの脳卒中・認知症患者の排斥
 ④医療療養病床の医療区分問題
 ⑤在宅医療システム・在宅ケアシステムの不備
 ⑥要介護認定の軽度化、区分支給限度額の据え置き
 ⑦介護保険の構造的問題 [区分支給限度額・応益負担 (原則1割自己負担)] に
  よる介護サービス利用制限
 ⑧介護保険リハビリテーション制限問題 (リハビリテーションマネジメント加
  算月8回問題)
 ⑨介護保険施設 (特に特養) の整備不足、等々。

(2)2010年度 (平成22年度) 診療報酬改定においては、少なくとも上記(1)の①~⑤の改正・正常化が必要であり、特に、リハビリテーション医療においては、「疾患別リハビリテーション体系ならびにリハビリテーション算定日数上限 (標準的算定日数)」 および 「回復期リハビリテーション病棟の成果主義」 の適切な改定が望まれます。

(3)そのためには、下記の4つの疾患別リハビリテーション関連団体の緊密な連携が肝要と思われます。

 ①運動器リハビリテーション関連3団体 (日本整形外科学会・日本臨床整形外
  科学会・日本運動器リハビリテーション学会)
 ②呼吸器リハビリテーション関連学会 (日本呼吸器学会・日本呼吸ケア・リハ
  ビリテーション学会)
 ③リハビリテーション関連5団体 (日本リハビリテーション医学会、日本リハ
  ビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協
  会、日本言語聴覚士協会)
 ④日本心臓リハビリテーション学会

(4)次期2010年度診療報酬改定に向けて、リハビリテーション医療の正常化ならびに患者さん・障害のある方の安心・安全・納得・満足のために、また、「リハビリ難民・介護難民」 の解消および防止のためにも、(各疾患別リハビリテーション関連学会が、それぞれ独自の思惑・戦略に基づいて、単独で厚生労働省と交渉するのではなく)、上記の4つの疾患別リハビリテーション関連団体が、「合同で (スクラムを組んで)」、厚生労働省と交渉すべきと考えられます。




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平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設のリハビリ:追加情報)

 以前の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」) において、介護療養型医療施設におけるリハビリテーション改定について論じました。

 「旅とグルメの日々 イニシア 田原はじめのblog」 ブログの記事 「介護報酬改定のナイショ話 (その4)」 において、介護療養型医療施設におけるリハビリテーション改定に関する興味深い話が掲載されていますので紹介します。


(資料1) 介護療養型医療施設におけるリハビリテーション (特定診療費)

 介護療養型医療施設におけるリハビリテーションについては、医療保険との役割分担の明確化や整合性を図る観点から評価を見直すとともに、ADLの自立等を目的とした理学療法等を行った場合の評価を廃止する。併せて、リハビリテーションマネジメント及び短期集中リハビリテーションについて、介護老人保健施設と同様の見直しを行う。

  理学療法 (Ⅰ) 180 単位/回
  理学療法 (Ⅱ) 100 単位/回→→→理学療法 (Ⅰ) 123 単位/回
  理学療法 (Ⅲ) 50 単位/回→→→理学療法 (Ⅱ) 73 単位/回
  作業療法   180 単位/回→→→作業療法   123 単位/回
  言語聴覚療法 180 単位/回→→→言語聴覚療法 203 単位/回
  摂食機能療法 185 単位/日→→→摂食機能療法 208 単位/日
   (注) リハビリテーションマネジメントについては、理学療法(Ⅰ)等に包括
    化する。

  短期集中リハビリテーション 60単位/日→→→240単位/日
   注1.入院日から起算して3月以内に限る。
   注2.理学療法 (Ⅰ)・(Ⅱ)、作業療法、言語聴覚療法又は摂食機能療法を算
      定する場合には、短期集中リハビリテーションを算定できない。

  集団コミュニケーション療法の評価
  ◎言語聴覚士が集団に対して実施するコミュニケーション療法について、新
   たに評価を行う。
  ◎集団コミュニケーション療法 (新規):50単位/回 (1日に3回を限度)
    ※算定要件 (次のいずれにも該当する場合)
      ①専任の常勤医師を配置していること。
      ②常勤かつ専従の言語聴覚士を配置していること。
      ③専用かつ8平方メートル以上の集団コミュニケーション療法室を確
      保していること。(言語聴覚療法を行う個別療法室との共用は可能)。
      ④必要な器械及び器具が具備されていること。


(資料2) 介護報酬改定のナイショ話 (その4)
 
「施設系は、どうかな?」。

H氏 「介護療養には厳しいね」。

「リハビリをかなりカットしているね。介護療養にはリハは要らないということ?」。

H氏 「ひどいね、確かに。リハをやって在宅に帰すなら老健にしろと言っているように見える。確かに要介護1~3が多ければ、介護療養より老健の方が有利だ。もっともそんなに軽い人を診ている介護療養はないだろうけど」。

「介護療養は、ほとんど要介護4、5で平均介護度は4.5以上というところも、ざらにあるからね。むしろ、そんなに重い人ばかりだから、リハビリは要らないだろうと言っているかのようだね。そのくせ重度療養管理もカットしている」。

H氏 「まったくだ。上がったのはSTと口腔ケアだけ。実態を反映しているとも言えなくはないが」。

「介護療養を2012年で廃止という決定は覆らないの?」。

H氏 「政権がこれからどうなるかだが・・・。ウルトラCの大逆転で介護療養存続になった方がいいように思うな」。

このあたりで芋焼酎のロックを呷る速度が上がったのを感じた。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)以前の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」) において述べたように、「理学療法 (Ⅰ) (180単位/回)」・「作業療法 (180単位/回)」は、人員配置基準上、医療保険における脳血管疾患等リハビリテーション (Ⅲ) (100点) や運動器リハビリテーション料 (Ⅱ) (80点) と同等とみなされ、両方ともベースを 「理学療法 (Ⅱ) (100単位/回)」 へランク下げした上で、一律 「+23単位」 し、123単位/回になったと考えられます。
 一方、言語聴覚療法 (ST) と摂食機能療法は、(ランク下げせずに) 現行の点数にそのまま一律 「+23単位」 しています (上記資料1参照)。

(2)理学療法 (PT)・作業療法 (OT) のマイナス改定の理由として、次のことが挙げられます。

①上記(1)の通り、医療保険の人員配置基準との整合性を図った結果と考えられます。

②上記資料2の通り、介護療養型医療施設の入所者は、ほとんどの方が要介護4・5の重度の方であり、積極的なPT・OTアプローチはあまり必要ないのではないかと厚生労働省が判断した可能性が考えられます。

③以前の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」) において示した数字ですが、月平均の理学療法等 (特定診療費:リハビリテーション全体の数字) が約113万件、一方、STの算定実績 (STが1対1で行うもの) が約9万7千回と大きな開きがあります。
 即ち、介護療養型医療施設におけるリハビリテーションにおいて、STに比して、PT・OTは相対的に算定実績があり、充分浸透・定着したと厚生労働省が判断した可能性が考えられます。(リハビリテーションマネジメントの包括化も、同様の理由と考えられます) 【従来からの厚生労働省の狡猾な常套手段ですが・・・】。

(3)一方、STと摂食機能療法のプラス改定の理由として、次のことが挙げられます。

①上記資料2において、「上がったのはSTと口腔ケアだけ。実態を反映しているとも言えなくはないが」 と述べられており、また、以前の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」) においても論じていますが、介護療養型医療施設においては、失語症・構音障害・摂食嚥下障害を持つ脳卒中患者が多く、STのニーズ (特に摂食嚥下障害) が高いとされています。
 即ち、介護療養型医療施設の入所者は、ほとんどの方が要介護4・5の重度の方であり、積極的なPT・OTアプローチはあまり必要ないが、失語症・構音障害・摂食嚥下障害に対する積極的なSTアプローチは効果が見込めるのではないかと厚生労働省が判断した可能性が考えられます。
 但し、介護療養型医療施設におけるSTのニーズは、通常、失語症・構音障害よりも、摂食嚥下障害の方がかなり高く、その意味では、摂食機能療法だけプラス改定でもよかったのではないかと主張されている方々もいるようですが・・・。

②別の理由としては、上述の通り、月平均の理学療法等 (特定診療費:リハビリテーション全体の数字) (約113万件) に比して、STの算定実績 (STが1対1で行うもの) が約9万7千回と少なく、患者ニーズと乖離しており、介護療養型医療施設のSTを増やす必要があると厚生労働省が判断した可能性が考えられます。

(4)リハビリテーションマネジメントの包括化ならびに集団コミュニケーション療法の新規導入についての詳細は、以前の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」) を、ご参照下さい。

(5)以上、介護療養型医療施設におけるリハビリテーション改定に関する追加情報について論じました。

 但し、現時点で、解釈通知等が発出されてないため、不明確・不透明な点が多々あります。
 したがって、介護現場および介護サービス利用者・家族等が混乱しないためにも、平成21年3月末までに公布・発出される予定の 「改正省令・告示」・「関係通知・Q&A」 が、出来るだけ早期に公表されることを切望します。




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リハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性

 以前、当ブログに掲載した記事
  ◎リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)
  ◎疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準
  ◎リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務
において言及したリハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性について考察したいと思います。

(資料1) 超急性期リハビリテーションで急性期加算の設定を要望
 全国医学部長病院長会議 (平成19年5月18日) において、平成20年度診療報酬改定に対する要望について討議が行われた。
 大学病院における超急性期リハビリテーションは、ベッドサイドでの訓練の必要性や、患者にとっては突然の機能喪失に対するモチベーションの低下など多くの困難を伴うが、発病後2週間で主病名の治療以外に適切なリハビリテーションを行うことが重要であるということで、同会議・DPC検討委員会では、大学病院の超急性期リハビリテーションの提供を促進するため、個別のリハビリテーション点数だけでなく発病後2週間以内のリハビリテーションに急性期加算を設定すべきという要望を出すことになった。

(資料2) 「医療経営Phase3 (フェイズ・スリー)」 (平成19年12月号) の中の記事 (霞が関ズームアップ「平成20年度診療報酬改定の評価項目が浮上」) において、下記の 「急性期リハビリテーション料の新設」 に関する予測記事が掲載されたが、結局、平成20年度診療報酬改定での導入は見送られた。
【急性期リハビリテーション料の新設】
 リハビリテーションは発症初期から開始することが重要であり、平成18年度診療報酬改定でも急性期・回復期のリハビリを評価している。
 急性期・回復期のリハビリは、発症直後から関節可動域訓練などを開始することが重要視されているが、急性期は臥床したままで、リハビリの専門病院に転院した後、または回復期リハビリ病棟に転棟した後に、リハビリを開始する事例も多い。
 この場合、リハビリを開始する時点で既に回復が困難なレベルにまで拘縮が進んでいるため、回復期リハビリが充分な効果を発揮できない事例があることも、厚労省は把握している。
 これらをもとに同省では、発症直後から何らかのリハビリを開始することを評価した点数を設定することを検討している。
 具体的には、「1日につき150点の急性期リハビリテーション加算を新設する」 意向だ。
 算定条件としては、
  ①リハビリを必要と認める患者に対して発症直後から2週間までの間に、
   医師の指示の下、看護師 (准看護師を含む)、または理学療法士が関節
   可動域訓練などを実施した場合に、入院基本料に加算できる。
  ②対象者を疾患別リハビリの対象患者に限定する。
  ③疾患別リハビリ料とは併算不可とする。
などが考えられている。
 財政負担は、年間16億円程度と試算されている。

(資料3) 次期衆議院総選挙のマニフェストの基になる 「民主党 INDEX 2008」 の 「厚生」 の章26ページに下記の記載がある。
【包括払い制度の推進】
 超急性期・回復期・維持期リハビリテーションについては、その重要性を考慮し、当面は出来高払い制度としますが、スタッフの充実度および成果を検証し、将来的には包括払い制度に組込みます。

(資料4) 疾病横断的なリハの包括化は難しい
     [厚生労働省DPC研究班・主任研究者 松田教授 (産業医科大学)]
 Japan Medicine (2007/6/11) によると、第44回日本リハビリテーション医学会学術集会 (平成19年6月6~8日) において 「DPC導入とリハビリテーション医療」 に関するシンポジウムが開催された。
 同シンポでは、厚労省がDPC参加への拡大方針を示すとともに、2010年度診療報酬改定での調整係数の廃止の動きから、現行体系で出来高払いのリハビリテーションが、今後、包括範囲に組み込まれる可能性を危ぐする意見もだされた。
 これに対して松田教授は、「制度設計は厚労省、中医協が行うことだ」 と前置きした上で、DPCについては、傷病名が優先される分類であるため、疾病横断的なリハビリテーションを包括化していくことは難しく、出来高範囲に置く方が妥当との見方を示した。
 また、聖隷浜松病院の高橋博達氏は、「同院のDPC適用患者の85%がリハビリ非提供だったことを考慮すると、リハビリを包括範囲に組み込む必要性がない」 との見方を示した。

(資料5) リハビリテーション医療のあり方 (日病協)
 日本病院会 (日病) など11の団体で構成する日本病院団体協議会 (日病協、議長:山本修三・日病会長)は、2008年12月25日、「医療・介護提供体制および診療報酬体系のあり方について」 (2008/12/19) という提言書を公表した。
 提言書は、入院医療、精神科医療、介護入所施設、外来診療、入院基本料、医療専門職の職掌、リハビリテーション、DPC、の8章より構成されている。その中で、リハビリテーション医療の部分を下記の通り。
(1) 急性期リハビリテーションについて
 リハビリテーションは発症後や手術後、提供が早期であればあるほど高い効果が期待できることは周知の事実である。また、手術によっては術後発生する可能性の高い障害を予防するための術前 (予防的) リハビリテーションも効果がある。
 これらのリハビリテーションはベッドサイドで行えるものが主体であり、専用の施設や病床は必ずしも必要としない。「施設基準」ではなく、「人員配置基準」 を定めることが効率的である。
 また、急性期リハビリテーションの提供については、高度な判断が必要となるため、リハビリテーション専門医の配置を高く評価すべきである。
(2) 回復期・亜急性期リハビリテーションについて
 回復期・亜急性期リハビリテーションについては、多くの面から制度改正が行われたため、施設整備は順調である。
 しかし、「回復度」 や 「一律の提供時間・期間」、「限られた疾病・部位」 など、まだ科学的根拠が確立されていないものまで診療報酬制度で規定されているため、利用者・国民の理解が得られない場合がある。今後は充分なデータに基づく制度設計が望まれる。
(3) 維持期リハビリテーションについて
 維持期リハビリテーションは、その必要性が高いことから、医療保険、介護保険を問わず両制度下で提供されるべきである。特に進行性疾患や重度障害に対しては、疾患治療の継続と同時に、医療保険下での長期的リハビリテーションが必要であり、本来、適応、期間等は医師の裁量に任せるべきものである。一方、介護保険下では、体力や機能の維持・向上、社会参加の促進、介護負担の軽減、等を通して自立生活を支援することが目標となる。しかしながら、現行の介護保険制度下では、その量・質とも十分とは言い難く、早急な改善が必要である。
 症状増悪期や廃用症候群に対しては、適切なリハビリテーションを医療・介護、在宅・施設を問わず、短期集中的に実施出来る環境・制度が求められる。


 資料1では、平成20年度診療報酬改定に対して、大学病院での超急性期リハビリテーションとして、個別のリハビリテーション点数だけでなく発病後2週間以内のリハビリテーションにおける急性期加算の要望が挙げられています。

 資料1の提案が、資料2の 「急性期リハビリテーション料の新設」 に繋がっていると考えられます。
 この 「急性期リハビリテーション料」 は、発症から2週間看護師・准看護師・理学療法士 (PT) がベッドサイドで関節可動域 (ROM) 訓練等を施行した場合、入院基本料に加算されます。但し、疾患別リハビリテーション料とは併算不可であり、いわゆる 「包括化」 された点数です。
 しかしながら、結局、平成20年度診療報酬改定での導入は見送られました。

 資料3では、民主党が、超急性期・回復期・維持期リハビリテーションの将来的な包括払い制度 (「包括化」) の導入を謳っています。但し、急性期は出来高制度を堅持するようです。

 資料4では、平成19年の時点において、DPCのキーマンである松田教授が、「DPCについては、傷病名が優先される分類であるため、疾病横断的なリハビリテーションを包括化していくことは難しく、出来高範囲に置く方が妥当」 と述べています。

 資料5の 「リハビリテーション医療のあり方」 (日病協) では、リハビリテーションの 「包括化」 については明確には記されていませんが、急性期リハビリテーションにおいて、ベッドサイドで行えるものが主体であり、専用の施設や病床は必ずしも必要とせず、「施設基準」 ではなく「人員配置基準」 を定めることが効率的であると記載しており、資料2の急性期リハビリテーション 「包括化」 のニュアンスが少し滲んでいます。

 以上の資料より、リハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入は、未だ未だみたいです。しかしながら、次回診療報酬改定にて、DPC対象病院である大学病院や高度急性期総合病院 (多数の病院が、セラピストの配置が元々少ない) での急性期リハビリテーション対策のため、資料2のような包括化された 「急性期リハビリテーション料」 が導入される可能性も捨て切れません。(一方、セラピストが充分配置されている病院もありますので、そういう病院は疾患別リハビリテーションを算定しても良いという、二本立てかも知れません)。

 今後の中医協とDPC評価分科会の動向を注視する必要があります。




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