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「無診察リハビリ」 に対する 「個別指導」 (「自主返還」 Q&A)

 以前の当ブログ記事 (「無診察によるリハビリの禁止 (毎回のリハビリ前診察の義務)」) に関する下記の質問がありましたので、回答かたがた、本ブログで説明したいと思います。

<質問>

 「個別指導」 (当ブログ管理人・註) において、外来リハビリテーション患者の 「無診察リハビリテーション (医師の再診なしで、リハビリテーションを施行)」 を指摘され、診療報酬の 「自主返還」 対象となった場合、「再診料」 のみの返還ですか? それとも、「再診料」・「リハビリテーション料」 両方とも返還ですか?


 (当ブログ管理人・註)
  ① 「監査」 という言葉は安易に使用しないこと!。
  ②上記①の理由は、以前の当ブログ記事 (『「保険医療機関等の指導・監査」
   と 「保健所による立入検査」
』) を参照。


<当ブログ管理人の回答>

(1)「医科点数表の解釈 平成20年4月版」 (社会保険研究所) (所謂、「青本」) における 「基本診療料と特掲診療料との関係」 に関する記載は下記の通りです。

●基本診療料と特掲診療料との関係 (「青本」 p.18)

 基本診療料として一括して支払うことが適当でない特殊な診療行為の費用は、第2章特掲診療料に定められているが、特掲診療料が設定されている診療行為及びそれらに準ずる特殊な診療行為を行った場合は、それぞれ特掲診療料を基本診療料のほかに算定できるものである。
 従って、1人の患者に対する診療報酬は、基本診療料と特掲診療料を合算した額となる。

●特掲診療料の性格と内容 (「青本」 p.152)

 (1) 特掲診療料は、特殊な診療行為についての費用であるが、基本診療料が基
  本的な医療行為及び通常初診時、再診時又は入院時に行われる基本的な診
  療行為に対する費用であるのに対し、基本診療料として、一括支払うこと
  が妥当でない特別の医療行為に対して個別的な評価をなし、個々に点数を
  設定し、それらの診療行為を行った場合は、個々にそれらの費用を算定す
  ることとしているのである。

 (2) 特掲診療料に掲げられている診療行為を行った場合は、特に規定されてい
  る場合を除き、基本診療料と特掲診療料とをあわせて算定する。

(2)したがって、特掲診療料の算定の原則は、「特掲診療料に規定してある医療行為を行った場合は、それぞれの区分により基本診療料とともに算定するものである。つまり基本診療料の算定のない特掲診療料の算定は無い」 ということです。

(3)上記(2)を再診料とリハビリテーション料との関係で説明したのが、下記の文言 (上記質問に対する当ブログ管理人の回答) です。

●特掲診療料の算定の原則は、「特掲診療料 (リハビリテーション料) に規定してある医療行為を行った場合は、それぞれの区分により基本診療料 (再診料) とともに算定するものである。つまり基本診療料 (再診料) の算定のない特掲診療料 (リハビリテーション料) の算定は無い」 ということです。

 即ち、厚生労働省地方厚生局各県事務所および都道府県が施行する保険医療機関に対する 「個別指導」 において、外来リハビリテーション患者の 「無診察リハビリテーション (医師の再診なしで、リハビリテーションを施行)」 を指摘され、診療報酬の 「自主返還」 対象となった場合、基本的に、「再診料」 と 「リハビリテーション料」 との両方の返還となります。

(4)同様に、上記(3)を再診料と消炎鎮痛等処置との関係で説明したのが、下記の文言です。

●特掲診療料の算定の原則は、「特掲診療料 (消炎鎮痛等処置) に規定してある医療行為を行った場合は、それぞれの区分により基本診療料 (再診料) とともに算定するものである。つまり基本診療料 (再診料) の算定のない特掲診療料 (消炎鎮痛等処置) の算定は無い」 ということです。

 即ち、「個別指導」 において、外来患者の 「無診察による消炎鎮痛等処置 (医師の再診なしで、消炎鎮痛等処置を施行)」 を指摘され、診療報酬の 「自主返還」 対象となった場合、基本的に、「再診料」 と 「消炎鎮痛等処置」 との両方の返還となります。

(5)以前の当ブログ記事 (「無診察によるリハビリの禁止 (毎回のリハビリ前診察の義務)」) でも述べましたが、リハビリテーション前診察の内容は、医師自ら (または、医療クラークが代行入力し、医師が確認署名) が、診療録 (Drカルテの2号用紙) に記載しなければなりません。
 但し、記載する診察内容は、単にバイタルサインのみの記入では不充分です。

リハビリテーション専任医師の責務として、

  ①リハビリテーション診察時の全身状態・健康状態・体調・バイタルサイン
   等 (「当該日にリハビリテーションを受けることができる状態である」とい
   う根拠・データ)

  ②リハビリテーション治療効果判定 [患者の障害像・生活機能 (移動歩行能
   力・ADL能力・コミュニケーション能力等) による客観的効果判定]

  ③上記②の効果判定の結果、「現状として、リハビリテーション継続が必要
   である」 という文言

を、毎回、簡潔に記載する必要があります。

●また、長期漫然とした効果のないリハビリテーションを防止するために、

 「疾患別リハビリテーションの実施に当たっては、医師は、定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、リハビリテーション実施計画を作成 (リハビリテーション実施計画書またはリハビリテーション総合実施計画書:多専門職種によるチームアプローチによる詳細なリハビリテーション実施計画の作成) する必要があり、リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者に対して当該リハビリテーション実施計画の内容を説明し、診療録 (Drカルテの2号用紙) にその要点を記載すること」

が、保険診療上、定められています。

 また、リハビリテーション専任医師は、専任、即ち、「リハビリテーション医療業務に50%以上の関わり」 が必要であり、リハビリテーション部門に常駐していることが望ましいとされています。
 リハビリテーション専任医師としての担当時間帯において、他の業務との兼任も可能ですが、リハビリテーション室にて患者さんの急変・事故等が生じた場合、すぐに駆けつけることが出来るように、「手術に入ったり、途中で中止できない検査や処置をする」 ことは控える必要があります。

(6)上述の議論は、外来患者および外来リハビリテーション患者は全て該当します。

 一方、入院患者については、1年365日、毎朝、医師が診察しており、無診察の投薬・検査・処置・リハビリテーション等は無いという大前提があるため、入院患者のリハビリテーション前診察については、ほとんど指導対象となりませんでした。

 しかしながら、「個別指導」 で、医師による入院カルテの記載漏れ・記載不備が、以前から、大きな問題になっており、今後、入院患者の無診察治療等についても、個別指導等の指導が厳しくなるかもしれません。
 場合によっては、入院基本料 (基本診療料) の自主返還も有り? [→連動して、自動的に。リハビリテーション料 (特掲診療料) も返還?]。

 仮に、その場合は、入院リハビリテーション患者は、(本来は施行すべきものなのですが)、全員、リハビリテーション前診察かつ診療録への記載 [上記(5)参照] を施行することになり、特に、リハビリテーション専任医師体制に不備のある病院等での医療現場は混乱すると思われます。
 1年365日リハビリテーション体制の場合、日直医または当番医が大変になると思います。
 但し、逆に、1年365日リハビリテーション体制を敷いている病院等のリハビリテーション専任医師体制は完璧かも知れませんが・・・。

(7)以上、以前の当ブログ記事 [『リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)』、「疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準」、『リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務』] で論じたように、リハビリテーション料の出来高制度を守るためにも、リハビリテーション医療における医師および疾患別リハビリテーション専任医師の関与度 (特に、リハビリテーション適応判定、定期的なリハビリテーション治療効果判定、原疾患・合併症・併存疾患の医学的コントロールならびにリハビリテーション・リスク管理等の責務) をより高め、且つ、セラピストのスキルアップおよび多専門職種による徹底したチーム・アプローチによる、リハビリテーション治療効果の更なる向上を図る必要があります。




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無診察によるリハビリの禁止 (毎回のリハビリ前診察の義務)

 以前の当ブログ記事 (リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務) に対する下記の質問がありましたので、回答かたがた、本ブログで説明したいと思います。

(質問) 2009/1/22 記載の疾患別リハビリテーション専任医の責務について、ご質問させてください。現在、私はリハ専任医の診察はどの程度の頻度で実施することになっているのかを調べています。上記、1/22 には 「医師は全ての患者に対し、毎回リハビリテーション前に必ず診察を行い~ 注釈2」 とありますが、これの出所はどこでしょうか? 疑義解釈を調べてみましたが、リハ専任医の診察頻度に関する記述が見当たりません。もし、よろしければ具体的にご教授いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

(当ブログ管理人の回答)

(1)「医師は、全ての患者に対し、毎回リハビリテーション前に、必ず診察を行い、診療録に病理学的所見などの評価項目を記載すること」「無診察によるリハビリテーション実施は認められない」 という項目の出典は、「整形外科外来におけるリハビリテーションの理念と取り組みについて」 (梶浦一郎) [越智隆弘・梶浦一郎・編:(整形外科 外来シリーズ 7) 「リハビリテーション外来」、メジカルビュー社1998] です。
 この項目は、実際に 「社会保険事務局 (現在の地方厚生局各県事務所)」 による 「個別指導」 等で指摘された事項を示したものです。

(2)上記(1)は、保険診療の禁止事項の一つである 「無診察治療等の禁止」 (下記参照) が基本にあり、それが、「無診察によるリハビリテーションの禁止」・「毎回のリハビリテーション前診察の義務」 に繋がります。

(3)無診察治療等の禁止 (療担規則第12条) (註1参照)

 医師が自ら診察を行わずに治療、投薬 (処方箋の交付)、診断書の作成等を行うことについては、保険診療の必要性について医師の判断が的確に行われているとはいえず、保険診療としては認められるものではない。

 なお、無診察治療については、保険診療上不適切であるのみならず、医師法違反 [「医師は、自ら診察しないで治療をしてはならない」 (第20条)] (註2参照) に当たるものであり、また、倫理的にも医療安全の観点からも極めて不適切な行為であることは言うまでもない。

●無診察治療の例
 ①定期的に通院する慢性疾患の患者に対し、診察を行わず処方箋のみ交付。
 ②通院リハビリテーション目的で訪れた患者が、理学療法士等によるリハビリテ
  ーションを行ったのみで、医師の診察の事実がないのに再診料等を請求。

 ③診療録に、診察に関する記載が全くなかったり、「薬のみ (medication)」 等の記
  載しかない (無診察治療の疑い)。

(註1) 保険医療機関及び保険医療養担当規則 (療担規則)
   ◎昭和32年4月30日 厚生省令第15号
   ●最終改正:平成20年9月30日 厚生労働省令第150号

第2章 保険医の診療方針等

(診療の一般的方針)
第12条 保険医の診療は、一般に医師又は歯科医師として診療の必要があると認められる疾病又は負傷に対して、適確な診断をもととし、患者の健康の保持増進上妥当適切に行われなければならない

(註2) 医師法 (昭和23年7月30日 法律201号)
   ●改正:平成19年6月27日 法律96号 (施行:平成19年12月26日)

第4章 業務

第20条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

(4)上記(1)のタスクは、医師であればOK、即ち、疾患別リハビリテーション専任医師だけでなく、非専任医師でも可能ですが、基本的には通常、専任医師のタスクと見なされます。

(5)リハビリテーション前診察の内容は、医師自ら (または、医療クラークが代行入力し、医師が確認署名) が、診療録 (Drカルテの2号用紙) に記載しなければなりません。
 但し、記載する診察内容は、単にバイタルサインのみの記入では不充分です。

 リハビリテーション専任医師の責務として、①リハビリテーション診察時の全身状態・健康状態・体調・バイタルサイン等 (「当該日にリハビリテーションを受けることができる状態である」 という根拠・データ)、②リハビリテーション治療効果判定 [患者の障害像・生活機能 (移動歩行能力・ADL能力・コミュニケーション能力等) による客観的効果判定]、③上記②の効果判定の結果、「現状として、リハビリテーション継続が必要である」 ということ を、毎回、簡潔に記載する必要があります。

 そして、長期漫然とした効果のないリハビリテーションを防止するために、「疾患別リハビリテーションの実施に当たっては、医師は、定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、リハビリテーション実施計画を作成 (リハビリテーション実施計画書またはリハビリテーション総合実施計画書:多専門職種によるチームアプローチによる詳細なリハビリテーション実施計画の作成) する必要があり、リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者に対して当該リハビリテーション実施計画の内容を説明し、診療録 (Drカルテの2号用紙) にその要点を記載すること」 が、保険診療上、定められています。

 また、リハビリテーション専任医師は、専任、即ち、「リハビリテーション医療業務に50%以上の関わり」 が必要であり、リハビリテーション部門に常駐していることが望ましいとされています。リハビリテーション専任医師としての担当時間帯において、他の業務との兼任も可能ですが、リハビリテーション室にて患者さんの急変・事故等が生じた場合、すぐに駆けつけることが出来るように、「手術に入ったり、途中で中止できない検査や処置をする」 ことは控える必要があります。

(6)上述の議論は、外来患者および外来リハビリテーション患者は全て該当します。

 一方、入院患者については、1年365日、毎朝、医師が診察しており、無診察の投薬・検査・処置・リハビリテーション等は無いという大前提があるため、入院患者のリハビリテーション前診察については、ほとんど指導対象となりませんでした。

 しかしながら、個別指導で、医師による入院カルテの記載漏れ・記載不備が、以前から、大きな問題になっており、今後、入院患者の無診察治療等についても、個別指導等の指導が厳しくなるかもしれません。(場合によっては、入院基本料の自主返還も有り?)。

 仮に、その場合は、入院リハビリテーション患者は、(本来は施行すべきものなのですが)、全員、リハビリテーション前診察かつ診療録への記載 [上記(5)参照] を施行することになり、特に、リハビリテーション専任医師体制に不備のある病院等での医療現場は混乱すると思われます。(1年365日リハビリテーション体制の場合、日直医または当番医が大変になると思います。但し、逆に、1年365日リハビリテーション体制を敷いている病院等のリハビリテーション専任医師体制は完璧かも知れませんが・・・)。

(7)以上、以前の当ブログ記事 [『リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)』、「疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準」、『リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務』] で論じたように、リハビリテーション料の出来高制度を守るためにも、リハビリテーション医療における医師および疾患別リハビリテーション専任医師の関与度 (特に、リハビリテーション適応判定、定期的なリハビリテーション治療効果判定、原疾患・合併症・併存疾患の医学的コントロールならびにリハビリテーション・リスク管理等の責務) をより高め、且つ、セラピストのスキルアップおよび多専門職種による徹底したチーム・アプローチによる、リハビリテーション治療効果の更なる向上を図る必要があります。




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疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準

 以前、当ブログに掲載した記事
  ◎リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)
  ◎「保険医療機関等の指導・監査」 と 「保健所による立入検査」
  ◎リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務
に関連した話題として、「疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準」 について整理・考察したいと思います。

●参考1.リハビリテーション施設基準における専任医師の役割
 ①リハビリテーション診察業務の徹底、当日分の全症例のリハビリテーション
  実施前診察をすること。
 ②専任医師は、リハビリテーション部門に常駐していることが望ましい。
 ③診療報酬上、「専任」 は50%以上の関わり (「専従」 は100%の関わり)。

●参考2.リハビリテーション専任医師または非専任医師による定期的なリハビリ
    テーション実施計画の作成等

 医師は定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、リハビリテーション実施計画を作成する必要がある。また、リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者に対して当該リハビリテーション実施計画の内容を説明し、診療録 (Drカルテの2号用紙) にその要点を記載すること。【入院リハ患者ならびに外来リハ患者の全症例】。

●参考3.リハビリテーション専任医師 (または非専任医師) によるリハビリテー
    ション診察・カルテ記載内容の例示
 ①リハビリテーション施行患者の状態を、診察・評価し、リハビリテーション
  訓練 (治療) が必要か、最適か、できる状態か、等を把握する。
 ②リハビリテーション施行患者を診察し、「その時の全身状態・健康状態・体
  調・バイタルサイン等 (リハビリテーションを受けることができる状態であ
  るという根拠・データ)」、「リハビリテーション治療効果判定 [患者の障害像・
  生活機能 (移動歩行能力・ADL能力・コミュニケーション能力等) による
  客観的効果判定]」、ならびに 「現状として、リハビリテーション継続が必要
  である」 ということを診療録 (Drカルテの2号用紙) に記載する。

●参考4.リハビリテーション専任医師とは、主にリハビリテーション指示、リハビリテーション方針・リハビリテーション実施計画の策定に従事する医師であり、リハビリテーションを実施していない患者への診察業務と兼務も可能であるが、割合としてリハビリテーションへの関わりが多くなくてはいけない (リハビリテーション科へ配置されている医師が必要)。通常では、主治医からの依頼についてリハビリテーション専任医師が確認後に指示を出し、セラピストと共に方針や実施計画等を決定していく形が望ましい。


●疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準

【脳血管疾患等リハビリテーション料】
①脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)
 専任の常勤医師が2名以上勤務していること。ただし、そのうち1名は、脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する3年以上の臨床経験又は脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する研修会、講習会の受講歴 (又は講師歴) を有すること。
②脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅱ)
 専任の常勤医師が1名以上勤務していること。
③脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅲ)
 専任の常勤医師が1名以上勤務していること。

【運動器リハビリテーション料】
①運動器リハビリテーション料 (Ⅰ)
 運動器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること。なお、運動器リハビリテーションの経験を有する医師とは、運動器リハビリテーションの経験を3年以上有する医師又は適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了した医師であることが望ましい。
②運動器リハビリテーション料 (Ⅱ)
 専任の常勤医師が1名以上勤務していること。

【呼吸器リハビリテーション料】
①呼吸器リハビリテーション料 (Ⅰ)
 呼吸器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること。
②呼吸器リハビリテーション料 (Ⅱ)
 専任の常勤医師が1名以上勤務していること。

【心大血管疾患リハビリテーション料】
①心大血管疾患リハビリテーション料 (Ⅰ)
 届出保険医療機関 (循環器科又は心臓血管外科を標榜するものに限る) において、循環器科又は心臓血管外科の医師が常時勤務しており、心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること。
②心大血管疾患リハビリテーション料 (Ⅱ)
 届出保険医療機関 (循環器科又は心臓血管外科を標榜するものに限る) において、循環器科又は心臓血管外科を担当する常勤医師又は心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する常勤医師が1名以上勤務していること。


 過去ブログ [リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)] において、一部の医療機関の管理者・医師の 「診療報酬上におけるリハビリテーション医療のあり方」 についての理解不足による 「おまかせリハビリテーションの蔓延」 や 「リハビリテーション専任医師の形骸化または不充分な勤務状況」 等が生じており、そのことの常態化、即ち、「リハビリテーションへの医師の関与が少ない医療機関の存在」 が、「リハビリテーション・レセプトの返戻および減額査定の増加」・「疾患別リハビリテーション料の1単位当たりの点数の減額」・「個別指導における医師および疾患別リハビリテーション専任医師に対する厳しい指摘・指導」 に繋がっていると警鐘を鳴らしました。

 一方、医療機関の管理者・医師の言い分として、特に急性期病院の場合、「医師不足 (勤務医不足)・診療科による医師偏在」・「救急医療、急性期治療、手術、IVR (Interventional Radiology)、内視鏡検査・治療等にて繁忙でリハビリテーションにまで充分に手が回らない」・「リハビリテーションについての知識と経験があまりない」・「これまでの個別指導では、そこまで厳しく指摘・指導されていない」 等の話をよく聞きます。

 しかし、最近の個別指導において、リハビリテーションに対する指摘・指導が厳格化しており、診療報酬の自主返還も少なくありません。例えば、「無診察リハビリテーション」・「医師による開始時及び3ヶ月ごとのリハビリテーション実施計画の患者への説明とその要点の診療録 (Drカルテの2号用紙) への記載の不備」 にて、診療報酬の自主返還になった例が少なくありません。但し、個別指導は、都道府県によって、厳しさの温度差が相当あるようです。

 また、絶対的・相対的医師不足によるマンパワーの問題といっても、仮に、その病院が、下記の3つのリハビリテーション施設基準を届けている場合、
  ①脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)
   ◎専任の常勤医師が2名以上 [そのうち1名は、脳血管疾患等のリハビリ
    テーション医療に関する3年以上の臨床経験又は脳血管疾患等のリハビ
    リテーション医療に関する研修会、講習会の受講歴 (又は講師歴) を有
    すること]。
  ②運動器リハビリテーション料 (Ⅰ)
   ◎運動器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上
    勤務していること。(なお、運動器リハビリテーションの経験を有する
    医師とは、運動器リハビリテーションの経験を3年以上有する医師又
    は適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了した医師である
    ことが望ましい)。
  ③呼吸器リハビリテーション料 (Ⅰ)
   ◎呼吸器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上
    勤務していること。
 即ち、制度上、リハビリテーション専任医師 (専任:当該業務に 「50%以上」 関わっていること) は、経験豊富な医師3名を含めて合計4名以上必要です。逆に厚生労働省の言い分としては、「合計4名以上のリハビリテーション専任医師が常勤勤務しているはずだから、充分、上述のリハビリテーションの責務を果たせるはずである」 との論法で、個別指導を行っています。また、セラピストの数が充足していても、リハビリテーション専任医師が不足と見なされれば、診療報酬の自主返還や、場合によっては、リハビリテーション施設基準の格下げ・返上があり得ます。(ちなみに、某県の個別指導では、「施設基準について申請書類上は常勤の医師が全員、リハ専任医師となっていますが、実際には全員が、リハ専任医師として勤務できていますか?」 と指摘されたそうです)。

 しかしながら、そうは言っても、病院 (特に急性期病院) の現状は、勤務医不足等による医師の過重労働・疲弊が存在し、上述のリハビリテーション対策は困難な状況であることは否めません。
 但し、「リハビリテーション・レセプトの返戻および減額査定の増加」・「疾患別リハビリテーション料の1単位当たりの点数の減額」・「個別指導における医師および疾患別リハビリテーション専任医師に対する厳しい指摘・指導」 という問題が現に存在し、その上、リハビリテーションへの医師の関与の低下傾向がさらに強まると、最悪の場合、急性期病院の支払制度として定着したDPCにおいて、現在出来高部分のリハビリテーション料が、包括部分に含まれる (即ち、リハビリテーションが、ドクターフィーから、薬・検査・放射線等と同様のホスピタルフィーとなる) など、急性期・回復期・維持期のリハビリテーションの包括化へと進展する可能性も完全には否定できません。

 したがって、[前回ブログ (リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務) と同じ結論となり、恐縮ですが]、リハビリテーション医療の出来高制度・ドクターフィー制度の維持ならびに質の向上のためにも、また、障害のある方とその家族の幸福ならびにリハビリ難民解消のためにも、リハビリテーションを施行している医療機関の医師、特に、リハビリテーション医学を専門とされていない又はリハビリテーションに馴染みの少ない 「管理者・各診療科医師・施設基準届出上のリハビリテーション専任医師等」 のご理解とご協力をお願いしたいと思います。





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リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務

 リハビリテーション医療における 「医師および疾患別リハビリテーション専任医師」 の役割・責務ならびに 「個別指導」 対策 [以前のブログ記事 (「保険医療機関等の指導・監査」 と 「保健所による立入検査」) 参照] について、 「整形外科外来におけるリハビリテーションの理念と取り組みについて」 (梶浦一郎) [越智隆弘・梶浦一郎・編:(整形外科 外来シリーズ 7) 「リハビリテーション外来」、メジカルビュー社1998] に記されていますので紹介します。

健保診療におけるリハビリテーション医療のあり方
 最近、リハビリテーション医療の件数が増大するに伴い、漫然とした長期の医療行為を防ぐ意味で適正化の指導がなされている。それらの項目の一部を抜粋した。
 ①リハビリテーションを実施するにあたって、医師は、患者ごとの実施計画
  を作成し、訓練効果の評価を行う (下記 「注釈1」 参照)。
 ②医師は、全ての患者に対し、毎回リハビリテーション前に、必ず診察を行
  い、診療録に病理学的所見などの評価項目を記載すること (下記 「注釈2」
  参照)。
 ③無診察によるリハビリテーション実施は認められない。
 ④処方箋は、患者の病状、治療種目、治療メニュー、治療期間を、記録する
  こと (特に治療期間は明確にすること)。
 ⑤処方内容においても、例えば筋力増強訓練と記載するだけでなく、訓練箇
  所、訓練方法、訓練期間などを記載しなければならない。
 ⑥リハビリテーション施設基準における専任医師の役割 (下記 「注釈3」 参照)
  ⓐリハビリテーション診察業務の徹底、当日分の全症例のリハビリテーショ
   ン実施前診察をすること (下記 「注釈2」 参照)。
  ⓑ専任医師は、リハビリテーション部門に常駐していることが望ましい。

●注釈1(医師による定期的なリハビリテーション実施計画の作成等)
 医師は定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、リハビリテーション実施計画を作成する必要がある。また、リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者に対して当該リハビリテーション実施計画の内容を説明し、診療録 (Drカルテの2号用紙) にその要点を記載すること。【入院リハ患者ならびに外来リハ患者の全症例】。

●注釈2(リハビリテーション診察・カルテ記載内容の例示)
 ⓐリハビリテーション施行患者の状態を、診察・評価し、リハビリテーション
  訓練 (治療) が必要か、最適か、できる状態か、等を把握する。
 ⓑリハビリテーション施行患者を診察し、「その時の全身状態・健康状態・体
  調・バイタルサイン等 (リハビリテーションを受けることができる状態であ
  るという根拠・データ)」、「リハビリテーション治療効果判定 [患者の障害
  像・生活機能 (移動歩行能力・ADL能力・コミュニケーション能力等) に
  よる客観的効果判定]」、ならびに 「現状として、リハビリテーション継続が
  必要である」 ということを診療録 (Drカルテの2号用紙) に記載する。

●注釈3.診療報酬上、「専任」 は50%以上の関わり、「専従」 は100%の関わり。

(参考) リハビリテーション専任医師とは、主にリハビリテーション指示、リハビリテーション方針・リハビリテーション実施計画の策定に従事する医師であり、リハビリテーションを実施していない患者への診察業務と兼務も可能であるが、割合としてリハビリテーションへの関わりが多くなくてはいけない (リハビリテーション科へ配置されている医師が必要)。通常では、主治医からの依頼についてリハビリテーション専任医師が確認後に指示を出し、セラピストと共に方針や実施計画等を決定していく形が望ましい。

 以前のブログ [リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)] でも述べたように、一部の医療機関の管理者・医師において、上記のような 「診療報酬上におけるリハビリテーション医療のあり方」 についての理解不足があり、「おまかせリハビリテーションの蔓延」・「リハビリテーション専任医師の形骸化または不充分な勤務状況」 等が生じています。
 そして、そのことが実際に常態化し、リハビリテーションへの医師の関与が少ない医療機関も少なくなく、それが、「リハビリテーション・レセプトの返戻および減額査定の増加」・「疾患別リハビリテーション料の1単位当たりの点数の減額」・「個別指導における医師および疾患別リハビリテーション専任医師に対する厳しい指摘・指導」 に繋がっているとされています。

 さらに、リハビリテーションへの医師の関与の低下傾向が強まると、最悪の場合、現在DPCで出来高部分であるリハビリテーション料が包括部分に含まれる (即ち、リハビリテーションが、ドクターフィーから、薬・検査・放射線等と同様のホスピタルフィーとなる) など、急性期・回復期・維持期のリハビリテーションの包括化へと進展する可能性も完全には否定できません。

 したがって、リハビリテーション医療の出来高制度・ドクターフィー制度の維持ならびに質の向上のためにも、また、障害のある方とその家族の幸福ならびにリハビリ難民解消のためにも、リハビリテーションを施行している医療機関の医師、特に、リハビリテーション医学を専門とされていない又はリハビリテーションに馴染みの少ない 「管理者・各診療科医師・施設基準届出上のリハビリテーション専任医師等」 のご理解とご協力をお願いしたいと思います。




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リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)

 診療報酬上のリハビリテーション料における 「医師の技術料」 については、「リハビリテーション料改定等に関する質問主意書」 (平成19年11月15日提出 質問第223号 提出者:山井和則) に対する答弁書 (内閣衆質168第223号 平成19年11月22日 内閣総理大臣 福田康夫) において、政府・厚生労働省の見解が下記のように示されています。

(質問9) リハビリテーションの点数の評価中、医師の技術料はどこに含まれて
   いるのか。

(回答) リハビリテーションに係る診療報酬については、リハビリテーションの
  実施に当たって、患者に対するリハビリテーション実施計画の作成や直接
  訓練、理学療法士、作業療法士等に対する指導監督等を医師が行っている
  ことを評価しているものである。


 診療報酬上のリハビリテーションの点数における 「ドクターフィー (医師の技術料)」 に関しては、これまで割と曖昧で、明確な定義等は (ブログ管理人の知る限り) なかったと思われます。

 今回、民主党の山井衆院議員の質問主意書に対する政府答弁書の中で、上記の通り、リハビリテーション・ドクターフィーの定義が明らかになりました。但し、リハビリテーション料の中のセラピストの人件費・技術料、設備投資費、水道光熱費等の内訳は、上記の定義では不明確です。(技術料・人件費は、基本的には、医師・セラピストの基準人件費と時間等で積算していると思われます)。

 医療機関の管理者・医師・セラピストの中には、「リハビリテーション料はセラピストの技術料・人件費」 と勘違いしている方も少なくなく、下記のような問題が生じています。
  ①「おまかせリハビリテーション」 が蔓延する。
  ②リハビリテーション料の収入を、(疾患別リハビリテーション専任医師
   を除く) セラピストの人件費とみなし、セラピストのみの人員配置予算
   計画を立てるため、施設基準に比して専任医師が不足状況もしくは不充
   分な勤務状況 (専任=リハビリテーション業務に50%以上の関わりが必
   要) となる。
  ③セラピストによっては、「自らの月間売上げ」 と 「自分の月給」 との間の
   乖離に疑問を持ち、モチベーションが下がる。

 実際に、上記①&②が常態化し、リハビリテーション料への医師の関与が少ない医療機関も少なくなく、それが、下記の事項に繋がっているとされています。
  (1) リハビリテーション・レセプトの返戻および減額査定の増加。
  (2) 疾患別リハビリテーション料の1単位当たりの点数の減額。
  (3) 個別指導における医師および疾患別リハビリテーション専任医師に対す
   る厳しい指摘・指導
    (a) 無診察リハビリテーション
    (b) 専任医師のリハビリテーション業務への実際の関わり状況 (50%以
     上の関わりが必要)
    (c) リハビリテーション・カンファレンスへの医師の参加状況
    (d) 医師による開始時及び3ヶ月ごとのリハビリテーション実施計画の
     患者への説明とその要点の診療録 (Drカルテの2号用紙) への記載

(参考) リハビリテーション専任医師とは、主にリハビリテーション指示、リハビリテーション方針・リハビリテーション実施計画の策定に従事する医師であり、リハビリテーションを実施していない患者への診察業務と兼務も可能であるが、割合としてリハビリテーションへの関わりが多くなくてはいけない (リハビリテーション科へ配置されている医師が必要)。通常では、主治医からの依頼についてリハビリテーション専任医師が確認後に指示を出し、セラピストと共に方針や実施計画等を決定していく形が望ましい。

 さらに、リハビリテーション料への医師の関与の低下傾向が強まると、上記 (1)~(3) の悪化だけでなく、最悪の場合、現在DPCで出来高部分であるリハビリテーション料が包括部分に含まれる (即ち、リハビリテーションが、ドクターフィーから、薬・検査・放射線等と同様のホスピタルフィーとなる) など、急性期・回復期・維持期のリハビリテーションの包括化へと進展する可能性も完全には否定できません。

 したがって、リハビリテーション医療に携わる医師とセラピストがスクラムを組んで、リハビリテーション医療の出来高制度・ドクターフィー制度の維持ならびに質の向上のために努力・邁進することが肝要であり、それが、障害のある方とその家族の幸福ならびにリハビリ難民解消にも繋がると思われます。
 そのためには、リハビリテーションを施行している医療機関の管理者・他科医・リハビリテーション医学が専門でないリハビリテーション専任医師等の理解と協力が必要であると考えられます。




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