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特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケア

 厚生労働省は、平成21年2月12日、第1回特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会を開催しました。
 この検討会の目的は、「特別養護老人ホームにおける重度化の進行等により、医療的なケアを提供するニーズが高まっている状況に対応するため、看護職員と介護職員が連携・協働して、入所者にとって安心・安全なケアを提供するための方策について検討する」 ことです。
 この検討会は、医政局長及び老健局長の私的検討会としての位置づけで、事務局は、医政局医事課及び老健局計画課です。

 CBニュース 「特養での看護と介護の連携で検討会-厚労省」 (平成21年2月12日) によると、厚生労働省および各委員から次のような趣旨の発言があったそうです。


(a)厚生労働省・宮島俊彦老健局長
 「特養の入所者の重度化が進んでおり、医療ニーズが高まっている」 と指摘。「2009年度の介護報酬改定でも、看護職員の手厚い配置への評価などをしている。今後、いかに看護と介護で連携していくかが重要だ」 と述べた。

(b)厚生労働省・外口崇医政局長
 「今後の高齢化を踏まえると、介護現場での医療的なケアについて考えることは必要」 と強調。「看護職員と介護職員の連携はもちろん、入所者や入所者の家族にとっての安心・安全も考慮して議論してほしい」 と述べた。

(c)厚生労働省 「特別養護老人ホームにおける医療的ケアに関する実態調査」
 1.平成20年9~10月に特養6,083施設に対して調査票を送付し、3,370施設か
  ら回答を得た。
 2.午前9時~午後5時に看護職員が勤務している施設は全体の99.8%。午後
  8~10時は3.4%。午後10時~午前6時は2.6%
 3.実施頻度の高い医療的ケアについては、①服薬管理が74.6%で最も多く、
  以下、②経鼻経管栄養及び胃瘻による栄養管理 9.9%、③吸引5.3%、④創傷
  処置4.6%、⑤浣腸3.7%、⑥摘便3.7%と続いた。

(d)老施協総研介護委員長・桝田和平氏
 現場での医療的ケアの提供の実態と比べると 「数字が少し低いのでは」 と指摘。介護職員による医療的ケアは違法なため、「無記名のアンケートとはいえ、心理的に書けない部分があり、実態より低い数値が出たのでは」 との見方を示した。
 「多くの施設で基準より手厚く看護職員を配置しているが、夜間の配置には難しい面がある」 と指摘。「(医療ニーズに対応するには) 手厚い看護配置をするということも一つの考えかもしれないが、現場実態を踏まえた議論をしてほしい」 と述べ、介護職員による医療的ケアの必要性を示唆した。

(e)日本介護福祉士会副会長・木村晴恵氏
 「そういう (介護職員による医療的ケアの) 実態があるとは聞いている」 と語った。

(f)首都大学東京都市教養学部法学系学系長・木村光江氏
 「違法性があるという状態は、利用者にとっても介護従事者にとっても危ない状態だ」 と指摘。

(g)日本看護協会常任理事・高階恵美子氏
 「働く職員の 『安全』 を考える必要がある」 と述べた。

(h)日本医師会常任理事・三上裕司氏
 「そもそも、24時間医療行為を必要とする人が特養に入って来ていいものか。医療ニーズのある人が増えているのであれば、医療行為ができる施設を増やしていくのが本来あるべき姿だ」 と強調。
 特養での医療ニーズの増加に合わせて医療行為にかかわるスタッフを増やしていく方向性に疑問を呈した。
 また、「喀痰吸引は、場合によっては窒息を起こしてしまう、命にかかわる行為だ」 と指摘した。

(i)樋口座長 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
 「ニーズに合わせて多数の医師や看護師を配置するのは、実際には難しい」 などとした上で、「今の現場の状況を踏まえた現実的な対応が必要では」 と述べた。

(j)その他
 「介護職員が医療的ケアにかかわる場合、そのための研修体制を整えることが必要」 との意見も出た。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)本検討会の主目的は、「安心と希望の介護ビジョン」 (平成20年11月20日) における下記の事項の実現と考えられます。

【医療と介護の連携強化 「関係者間での連携」】

①介護従事者が、質の高い総合的なケアを提供できるようにするため、将来的には、医師や看護師との連携の下に、介護の現場で必要な医療行為を行うことができるようにすることを含め、資格・研修のあり方の検討

②当面、利用者の重度化が進み、夜間も含めた医療的なケアのニーズが高まっている施設において、必要な知識・技術に関する研修を受けた介護従事者が、医師や看護師との連携の下に、経管栄養や喀痰吸引を安全性が確保される範囲内で行うことができる仕組みの整備

(2)厚生労働省サイドの発言(a)・(b)は、上記(1)の 「介護従事者による医療行為の一部許容」 を意図しています。
 また、2012年 (平成24年) 3月の介護療養型医療施設の廃止を念頭に、医療必要度の高い要介護者を、病院ではなく、特養にて看護職員と介護職員が協働してケアしていくという意図があります。
 それらのことを座長の発言(i)がサポートしています。

(3)上記(c)の厚生労働省提出資料は、現実の介護現場において、看護師が勤務していない時間帯は、 介護職員が医療行為を現に施行していることを示唆しています。(厚生労働省お得意の 「既成事実化」)。
 介護職員サイドの発言(d)・(e)は、そういう実態を肯定し、現場実態を踏まえた 「介護職員による医療的ケアの必要性」 を主張しています。

(4)一方、法学者の発言(f)・看護サイドの発言(g)は、法律上・安全上の立場から、否定的な発言です。

(5)医師サイドの発言(h)は、そもそも論 (医療必要度が高い要介護者は、特養ではなく、介護療養型医療施設または病院でケアすべき) および 医療安全管理・医療事故・医療過誤・医療訴訟を念頭においた否定的な発言です。

(6)以上、「介護従事者による医療行為の一部許容」 に向けて、厚生労働省と座長が、どう軟着陸させるかが見物です。
 但し、厚生労働省が、「医療費抑制・介護保険料抑制」 のことばかり考えて、「要介護者の安全」 ならびに 「介護従事者の防護・庇護」 がおろそかにならないように充分配慮して頂きたいと思います。





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