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厚労省・地域包括ケア研究会報告書 (リハビリテーションサービス)

 Online Med ニュース (2009/5/24) にて、「厚労省・地域包括ケア研究会の報告書に関する記事」 が掲載されていますので、下記に示します。

●訪問診療を量的に確保するための計画を作成すべき、退院後のケアを切れ目な
 く (厚労省・地域包括ケア研究会)


 訪問診療を量的に確保するため実施状況を把握して計画を作成すべき。
 在宅医療推進のため有床診療所を在宅復帰支援の中核として活用することを検討すべき。
 在宅主治医と訪問看護師以外に多様な専門職種が参加して医療を提供すべき。
 脳卒中などによる入院患者の退院後に切れ目なく介護サービスが提供されるよう退院前カンファランスに介護職種が参加することが望ましい。

 厚生労働省の地域包括ケア研究会 (座長:田中滋・慶應大学大学院教授) が3年後の介護報酬改定に向けた 「論点整理」 としてまとめた報告書で提言している。

 報告書は、地域で医療・介護・福祉を一体的に提供する 「地域包括ケア」 の実現に向けた検討を進めるための論点を示したものとし、3年後の介護報酬改定に向け、それらの取組を進めるよう求めている。
 また、65歳以上人口が3,600万人 (全人口の30%) を超え、団塊の世代が75歳以上に達する2025年の状況を目標とした論点整理であり、社会保障国民会議により介護費用の爆発的増加が試算されている中で、効率的・効果的な制度設計を目指していかなければならないとの考え方も示している。

 地域包括ケアを支えるサービスのあり方の中で 「訪問診療等」 をあげ、第1に既存の訪問診療の実施状況を把握して、今後の量の確保のために計画を作成すべきとした。
 また、有床診療所を在宅医療の中核として活用すること、在宅医療に医師、看護師以外の専門職種を参加させることも位置付けている。

 さらに、2025年に向けた対策として、在宅医療の活用で生活を継続できる人の要件や基準として、医療ニーズの一次判定レベルについての標準的システムを開発、アセスメントを行うことで、入院の必要性を含めた医療ニーズの把握を地域レベルで行い共有すべきとの考えを示した。

 脳卒中患者の退院後のケアのあり方については、地域包括ケアに関するケアマネジメントの観点で問題意識を示した。
 脳卒中患者の場合、急激に健康状態が悪化して要介護状態になるため、医療 (病院) と介護 (ケアマネジャー) との連携が十分でない場合には、退院してから要介護認定やケアプランの作成が行われるため、ケアの実施までに空白が生じる例が少なくないと指摘、入院期間中にケアプランが作成されるよう退院時カンファレンスに介護職が参加することが望ましいとした。

 上記報告書の第2章 「地域包括ケアシステムを支えるサービス」・第2項 「ケアサービス」 に、リハビリテーションサービスに関して、下記のように述べられています。

●リハビリテーションサービス

1.リハビリテーションとともに、他の居宅サービスを併せて利用する必要がある場合、他の居宅サービスが優先され、結果的にリハビリテーションの利用が制限されているケースが多いのではないか。

2.要介護度とリハビリテーションの必要性が必ずしも一致しない場合であっても、リハビリテーションが適切に利用されるような仕組みについて検討すべきではないか。

3.リハビリ機能を重視した在宅療養支援診療所を新たに評価することについて、どう考えるべきか。

4.地域包括支援センターにリハビリテーションの専門職を配置することや、地域リハビリテーション広域支援センターと地域包括支援センターが強い連携がとれる体制にすること等についてどう考えるか。

5.医療保険・介護保険といった保険別の枠組みでリハビリを提供しているが、利用者の状況や状態に応じて、両者の連携を図っていくべきではないか。

 上記報告書は、2012年 (平成24年) 診療報酬・介護報酬同時改定の際に反映されると考えられます。

 しかしながら、「2009年度介護報酬改定 (改悪)・要介護認定制度改正 (改悪)」・「区分支給限度額・応益負担 (原則1割自己負担)」 という介護保険制度の構造的問題 (そのため、介護保険において、看護・リハビリテーションの医療系サービスの提供量が不充分という問題も生じている) 等により、今や、「介護崩壊 (介護破壊)」・「介護難民」・「介護殺人・介護心中・介護自殺」 等々、問題山積です。

 したがって、2012年 (平成24年) 診療報酬・介護報酬同時改定を待たずに、早急の 「介護の再建・再生」 のための対策が望まれます。




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「医療と介護の連携」 ではなく、「医療と介護の融合」 へ

 平成21年5月21日の経済財政諮問会議において、舛添厚生労働大臣が、『社会保障の機能強化に向けた今後の取組~「社会保障の機能強化の工程表」 を中心に~』 という資料を提出していますので、「2015年に向けての取組の方向性」 の部分を下記に示します。

●社会保障の機能強化に向けた今後の取組
 ~「社会保障の機能強化の工程表」 を中心に~


2015年に向けての取組の方向性 (医療・介護)

【医療】

○急性期医療の充実強化、地域連携の強化

 ・病床を機能分化し、急性期病床に医療資源を集中投入する。

 ・急性期後の医療や在宅医療を充実するとともに地域連携を強化し、早期
  退院・在宅での療養継続・社会復帰の実現を目指す。

○医師と看護師等との役割分担の推進

 ・看護師等の専門性を高めながら、チーム医療・役割分担を推進し、患者
  本位の医療を目指す。

○新技術、効率化等への対応

【介護】

○地域包括ケアの実現、介護サービス基盤の強化

 ・グループホーム等居住系サービスの拡充や、24時間対応の強化等在宅介
  護の強化・充実を進める。

 ・高齢者が安心して暮らせる住宅の整備

○介護従事者の確保・定着支援等

 ・介護職員の処遇改善と確保、キャリアパスの構築を図る。

 ・医療・介護を通じた専門職種間の連携体制を構築する。

~医療と介護の連携~

○医療と介護が連携したサービスを提供するための診療報酬・介護報酬の見
 直し、など

 上記のように、「お題目」 は立派なのですが、「実現可能性は???」 であり、また、「方向性」 も一見良さそうなのですが、医療の現場で、多くの 「医療難民」・「リハビリ難民」・「救急難民」・「介護難民」・「お産難民」・「障害者難民」 を目の当たりにしていると、疑問符が百個くらい頭上を廻っています。

 当ブログでも、今までに、医療・介護・福祉の多くの課題を取り上げてきました。(詳細は過去のブログ記事参照)。

 2012年 (平成24年) 度の診療報酬・介護報酬同時改定を控えて、現在、当ブログ管理人が、特に望んでいることは、「医療と介護の連携」 ではなく、「医療と介護の融合」 です。

 少なくとも、現在の介護サービスの中の 「看護」 および 「リハビリテーション」 は、(「区分支給限度額」・「原則1割自己負担」 の制約にて利用が不充分という現実もあり)、医療保険で賄うべきと思っています。




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地域包括ケアの実現に向けて (講演:厚生労働省・宮島老健局長)

 Japan Medicine (2009/2/18) によると、厚生労働省の宮島俊彦老健局長は2月14日、都内で開かれた国際医療福祉大・医療福祉経営審査機構共催の医療経営セミナー 「平成21年度介護報酬改定への対応と課題」 において、基調講演 「地域包括ケアの実現に向けて」 を行いました。講演要旨は下記の通りです。

①宮島局長は、次期介護報酬改定で介護従事者の勤続年数などの評価を導入したことに関し、「本当は利用者に対する質の評価が必要」 と指摘。
 介護サービスの質の評価に当たって 「P4P (Pay for Performance) といった評価を介護報酬に導入できないかという考えが上っている」 と話した。
 P4Pは米国のメディケアで始まった医療提供の質に基づく支払い方式で、臨床実績に対し診療報酬を優遇する。

②宮島局長はさらに、「介護人材確保のためにはキャリアラダーも必要。これらをどういった形で制度にうまく取り込むかが次の介護報酬改定の課題」 と述べた。

③介護保険の財源については、「介護報酬は今後も引き上げていかないと、マンパワー確保や処遇改善ができない。そういった意味で財源的な問題がでてくる」 と指摘。
 第3期(2006~2008年度)の65歳以上の第1号介護保険料4,090円について、「4,090円をいつまで払えるのか、限度があるのではないかという議論がある。今後介護報酬を引き上げるとなると、保険料をどうするか工夫しなければならない」 と話した。

社会保障国民会議の改革シナリオ (2025年) で、社会保障費増の方向性が示されたことに対しては、「内閣府の考えでは、医療・介護体制をより充実し問題を解決する方向性で提言したと受け止めてもらいたい」 と話した。その上で、スウェーデンなど高福祉国のGDPや消費税率が高いことに触れて、「消費税が高いと経済成長が悪いというのはおかしな話。医療や介護は公共事業と同じような効果がある」 と述べ、社会保障費増の必要性を強調した。

⑤宮島局長はこのほか、「ヨーロッパ諸国では介護職員にも医療行為をさせるという趨勢だが、基礎的な部分で医療と介護の両方を介護職員ができることにしないと、高齢社会でケアの需要に対応するのは難しい」 と述べ、専門職間の役割分担の見直しが必要との見方を示した。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記①において、宮島局長は、介護サービスの質の評価に、P4P (Pay for Performance) 評価を介護報酬に導入できないかという考えを述べています。

 P4Pは、米国医学院が次のように定義しています。

●P4Pとは、EBMに基づいて設定された基準や指標で、医療の質を測定し、その結果に基づいて質の高い医療提供に対して経済的インセンテイブを与えることである。
 その目的は単に高質で効率的な医療にボーナスを与えることにとどまらず、高質の医療への改善プロセスを促すことにある (2006年)。

 日本版 P4P は、平成20年度診療報酬改定において既に導入されています。
 「回復期リハビリテーション病棟入院料1」・「重症患者回復病棟加算」・(「褥瘡評価実施加算」) における成果主義の導入です。
 但し、問題は、欧米の P4P がプロセス評価が中心であるのに対して、日本版 P4P がアウトカム評価であるということです。
 アウトカム評価は、患者の原疾患の重症度、合併症・併存疾患、病前ADL、介護者、環境要因等に大きく左右されるので、P4Pの指標としてはあまり勧められないと考えられています。

 回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義については、中医協診療報酬改定検証部会で検証される予定ですので、その結果を見てからの、介護保険への P4P の導入と考えられます。(拙速な導入は避けるべきと思います)。

 また、回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義に関しては、以前の当ブログの記事 [「回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)」] も、ご参照下さい。

(2)上記②に関しては、キャリアラダー (キャリア開発教育システム) は、特に看護部門で導入され、成果を上げています。
 したがって、それに準じて、介護職員のキャリアラダーシステムをできる限り早期に構築・実施し、介護職員のモチベーションアップ・離職防止等に活用して頂きたいと思います。

(3)上記③については、
 (a) 介護サービス提供者のための介護報酬引き上げ
 (b) 介護報酬引き上げと相反する、介護サービス利用者の自己負担・支給限度額
   の問題

 (c) 介護報酬引き上げによる、介護保険料の引き上げ・消費税増税に伴う国民の
   負担

 (d) 介護報酬引き上げと相反する、市町村の負担増大
という複雑な連立方程式をどのように解いていくか、厚生労働省の手腕が期待されます!?。

 また、「masaの介護福祉情報裏板」 ブログの記事 「介護保険制度の対象年齢は広げられない?」 において、次のように、警鐘も含めて、述べられています。

●介護保険制度は制度創設時に受益者負担の原則をスローガンにして、それまでの介護サービスの多くが措置制度を始めとした応能負担であったものを、応益負担に変えたもので、今現在もその考え方が引き継がれている。つまり利用者1割負担を原則とする定率負担である。
 よって今回の障害者自立支援法の見直しは、介護保険制度と障害者サービスがまったく別な費用負担制度になることを意味し、両者の統合は事実上不可能になったことを意味し、それは介護保険の被保険者の対象年齢の引下げが事実上不可能になったことを意味しているのではないかと考える。
 そうなると当面、2号被保険者は40歳以上という現行ルールの変更はされないだろうし、3年後の制度改正の本丸は、どうやら自己負担率 (現行の利用者1割負担) のアップとなるのではないだろうか。
 特に3年後は診療報酬とのダブル改正であることから、それに併せる形で、2割負担あるいは3割負担まで議論される可能性が高いといえるだろう。


(4)上記④に関しては、社会保障国民会議の改革シナリオが、消費税増税を正当化する手段として、財務省に悪用されないように、国民一同が充分監視しなければならないと思います。宮島局長も 「消費税が高いと経済成長が悪いというのはおかしな話」 と述べていますので・・・。
 その意味では、宮島局長の 「内閣府の考えでは、医療・介護体制をより充実し問題を解決する方向性で提言したと受け止めてもらいたい」 という言葉はむしろ空疎に聞こえます。

 一方、『「医療や介護は公共事業と同じような効果がある」 と述べ、社会保障費増の必要性を強調した』 という文章には唖然としました。
 以前の当ブログの記事 [「医療立国論Ⅱ 厚生労働省解体-医療庁を設置せよ! (大村昭人氏著)」] で述べていますが、これまで 「医療費亡国論」 に則り、「医療費抑制・医師不足→医療崩壊・医療破壊」 の張本人の一人である方が、上記のような180度正反対の言葉を仰るとは・・・。

(5)上記⑤に関しては、以前の当ブログの記事 (「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケア」) で論じていますが、「介護従事者による医療行為の一部許容」 (特に、経鼻経管栄養及び胃瘻による栄養管理、喀痰吸引) を意図しています。

 平成21年2月12日に開催された 「第1回特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」 においては、法曹・看護・日本医師会サイドより、否定的な発言が出ましたが、うまくソフトランディングするよう、厚生労働省には頑張って頂きたいと思います。
 但し、厚生労働省が、「医療費抑制・介護保険料抑制」 のことばかり考えて、「要介護者の安全」 ならびに 「介護従事者の防護・庇護」 がおろそかにならないように充分配慮して頂きたいと思います。

(6)以上、厚生労働省の宮島俊彦老健局長の基調講演 「地域包括ケアの実現に向けて」 について考察しました。

 以前の当ブログ記事 [『介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)』、「厚生労働省のキャッチフレーズ及び行動指針の策定について」、「平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解」] で述べたように、厚生労働省は、日頃は、「患者・高齢者・介護サービス利用者の視点を一番大事にします」 と言っておきながら、肝心な時には、「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「介護保険料の視点・市町村の視点」 の方を重視してきました。
 この自己矛盾を打破し、国民の安全・安心・納得・満足のために、国民本位の社会保障政策、医療・介護・福祉政策の立案・実施を切望します。
 また、「まやかしのエビデンス」 ではなく、現場の介護従事者・サービス利用者・家族等が納得する 「真のエビデンス」 に基づく介護報酬改定を行って頂きたいと思います。




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