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平成22年度診療報酬改定も 「病院に軸足」 (厚労省保険局医療課長)

 Japan Medicine (2009/3/25) に、平成22年度診療報酬改定に関する厚労省保険局医療課長の講演についての記事が掲載されていますので紹介します。

●次期改定も 「病院に軸足」 北海道病院協会研修会で佐藤医療課長

①厚生労働省保険局の佐藤敏信医療課長は21日に開催された、北海道病院協会の研修会の講演の中で、次期診療報酬改定の方向性について触れ、「前回の改定もそうだが、病院に軸足を置いた改定になり、その方向性は変わらないだろう」 との認識を示した。

②その上で佐藤課長は、診療報酬改定を科学的、論理的なものにするためにも、「次回に間に合うかどうかは別にして、科学的なデータの収集が必要になる」 と指摘。

③さらに、「どの診療科がどの程度厳しい状況に置かれているのか、その状況を解消するには診療報酬のどの項目を改定すればよいのか」 をデータを示して取り組む必要があり、そのためには 「部門別収支を将来的に出していかなければならない」 との認識を示した。

④また、講演後の質疑で、DPCの分析データの出来高への反映について問われ、「既に行っているといえる」 と認めた上で、「DPCで分かったデータは出来高の中にどんどん反映していく」 とした。

⑤さらに、ケアミックスのDPC参入によって、「今後は亜急性期、慢性期のデータも集まり出す」 と述べて、期待感を示した。

 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)最近、少し風向きが変わり、医療費増の方向にベクトルが変わったようですが、ⓐ医療費亡国論、ⓑ小泉竹中構造改革 [2006年の骨太の方針に基づく、5年間で1兆1千億円 (毎年度2,200億円) の社会保障費の抑制]、ⓒ膨大な財政赤字 (財務省をはじめとした官僚および与党議員等が何ら責任を取ろうとしない。反省・謝罪の弁も全くない!) に伴う財務省の財政再建至上主義 (財政再建原理主義)、等により、「医療費抑制・医師不足による医療崩壊・医療破壊」 が生じ、社会的な大問題となっています。

 特に、上記要因による 「ⓐ勤務医不足」、および 「ⓑ地域や診療科間の医療の偏在 (特に救急・産科・小児科医療)」 ならびに 『ⓒ急性期病院を中心とした働き盛りの勤務医の 「過重負担・疲弊、医療事故・医療過誤・医療訴訟に対する不安、コンビニ受診問題、モンスター・ペイシェント問題」 等による 「立ち去り型サボタージュ」』、に伴う 「病院崩壊・勤務医崩壊」 は大変深刻な状況です。

 したがって、上記①の医療課長の 「次回診療報酬改定も病院に軸足を置いた改定」 との言は妥当と考えられます。

(2)上記②・③では、(部門別収支・原価計算による診療報酬改定は未だ時期尚早の現況ですが) 科学的なエビデンスのある診療報酬改定の重要性を強調しています。

 しかしながら、これまでの診療報酬改定において、必ずしもエビデンスに基づかない 「勘と度胸」 の改定がなされてきたことも否定できません。

 即ち、少ないサンプルデータ数での結論、データの恣意的解釈に基づく結論、あるいはデータの捏造による改定、さらには、(厚生労働省の意向に沿うような結論を出させるために、メンバーを御用学者で固めた) 審議会・研究会を隠れ蓑にして成された改定も少なからずありました。

 例えば、ⓐ医療療養病床の診療報酬に導入された (不適切・理不尽な) 医療区分、ⓑ (リハビリ難民を生み出し、且つリハビリテーションの理念にも反する) リハビリテーション算定日数制限、ⓒ回復期リハビリテーション病棟に導入された (拙速・不適切且つ 「患者選別」 を助長する) 成果主義および (ADL評価としては不適切な) 「日常生活機能評価表」、ⓓ外来管理加算の (不可解・不適切な) 5分ルール、ⓔ障害者病棟からの脳卒中・認知症患者の (不可解・理不尽な) 排斥、ⓕ介護保険上の (介護給付費の抑制のための理不尽な) 要介護認定の軽度化、等が挙げられ、それが、「医療難民・救急難民・脳卒中難民・認知症難民・リハビリ難民・介護難民・障害者難民」 の出現・増大に繋がっています。

 したがって、国民の安心・安全・納得・満足のために、厚生労働省には、「まやかしのエビデンス」 ではなく、現場の医療介護福祉従事者・患者・介護サービス利用者・障害のある方・高齢者・家族・地域住民等が納得する 「真のエビデンス」 に基づく診療報酬改定・介護報酬改定・障害者自立支援法見直し等を行って頂きたいと思います。

(3)上記④に関しては、DPC対象病院・DPC準備病院は、いわば医療情報が丸裸になっており、今後、新機能評価係数の影響も含めて、DPC病院の差別化が図られ、そう遠くない時期に 「選別・淘汰の時代」 が訪れると考えられます。

(4)一方、DPCにおいて、リハビリテーションは現在出来高ですが、上記④のように、「DPCの分析データの出来高への反映について既に行っており、DPCで分かったデータは出来高の中にどんどん反映していく」 という医療課長の言は重いものがあります。

 在院日数が2週間以内のDPC対象病院で、且つリハビリテーション・スタッフが少ない病院のために、超急性期・急性期リハビリテーション (ベッドサイド・リハビリテーション) の包括化およびセラピスト以外の有資格代替者 (看護師、准看護師) による算定が、現実化する可能性も否定できないと考えられます。

 また、DPC対象病院・DPC準備病院には、リハビリテーションに力を入れている病院とそうでない病院とが混在しているため、その平均を基準にすると、バイアスがかかり、上述の超急性期・急性期リハビリテーションの包括化のみならずリハビリテーション料の単価の引き下げ等の可能性も否めないと思われます。

 さらに、「濃厚且つ集中的な急性期リハビリテーション」 + 「充実したESD (早期支援退院) システム」 + 「充実した訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション」 が普及すると、回復期リハビリテーション病棟も安閑としていられない状況も将来的に到来すると考えられます。

(5)上記⑤の通り、医療課長は、「ケアミックスのDPC参入によって、今後は亜急性期、慢性期のデータも集まり出す」 と期待感を示しています。

 したがって、急性期のみならず亜急性期 (回復期)・慢性期のデータまでもが、厚生労働省に集積されると、「医療機関の機能分化と連携」・「選択と集中」・「集約化・重点化・拠点化」 の錦の御旗のもと、各医療機関の選別と淘汰が進展すると考えられます。

(6)上記(3)~(5)の通り、特に、「中小病院 (特に、民間中小病院)」 および 「急性期一般病床の占める割合が少ないケアミックス型病院」 については、基本的には、高度急性期医療およびDPCを断念して、亜急性期以降の医療を担ってもらいたいという厚生労働省の思惑があり、上記病院の役割として、次のような 「亜急性期病院、慢性期病院、ケアミックス型病院、介護保険施設」 への誘導が加速する可能性が高まると推察されます。

 (1) 軽度 (~中等度) の救急・急性期医療 (特に、認知症の合併症がある高齢者
  の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の救急・急性期
  患者)

 (2) 「急性期後」 の亜急性期医療 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回
  復期リハビリテーション病棟)

 (3) 慢性期医療 [療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)]

 (4) 特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)

 (5) 在宅医療

 (6) 場合によっては、介護療養型老人保健施設への移行

 但し、「専門特化型」 急性期中小病院、あるいは、「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院は、場合によっては、大病院等よりも、質の高い効率的なDPC対象病院であることが少なくないということで、このような病院にインセンティブを与えるような 「新機能評価係数」 の設定が望まれます。(スケールメリット不足を補填する評価、高い専門性・充実したチーム医療への評価等)。

 それ以外は、基本的には、DPCに馴染まず、医療マンパワー不足もあることから、将来的には亜急性期以降への移行を促される可能性が高いと考えられます。

 また、地方の中小自治体病院に多い、「準総合病院型」 急性期中小病院および 「準総合病院型」の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、総務省・公立病院改革ガイドライン (平成19年12月) を厳格に適用すると、廃止・民営化の道をたどると考えられます。
 しかし、その病院が、地域唯一の病院であり、不採算医療 (政策的医療や救急医療等) を担っているということで、充分な公的支援があれば、(DPC適用の可否は別として)、存続できると考えられます。

 将来的には、「疾病管理 (疾病ケアマネジメント)」 を経て、最終的に、アメリカのように、「マネージド・ケア」 [医療コストを減らすために、医療へのアクセスおよび医療サービスの内容を制限する制度。医療の決定権が医師から支払い側 (保険者) に移り、医師以外の人によって医療が管理される結果、医師の意見は参考にはされるものの、最終決定をするのは医師ではない] の大変な時代 (暗黒時代) が到来する可能性も考えられます。

(7)以上、厚生労働省保険局医療課長の平成22年度診療報酬改定の方向性に関する講演について論じました。

 但し、病院に軸足を置いた診療報酬改定において、やはり問題は、財源です。
 「ⓐ保険料のアップ」・「ⓑ (主として消費税増税による) 公費負担のアップ」・「ⓒ患者自己負担のアップ」 が挙げられますが、本丸は、財務省の悲願の 「消費税増税」 です。(社会保障国民会議も、社会保障機能の強化の財源を、消費税増税を前提にしていますが・・・)。

 しかしながら、以前の当ブログ記事で何回も述べていますが、「消費税増税」 を行う前に、「ⓐ充分な景気回復、ⓑ税制の抜本的改革、ⓒ膨大な税金の無駄使いの抜本的是正 (伏魔殿化した特別会計、官僚の天下り・渡りの根絶、天下り用の無駄な公益法人や補助金の根絶、国会議員の定数削減・歳費の削減、国家公務員人件費の削減、無駄な公共事業の根絶等)、ⓓ道路特定財源の完全なる一般財源化、ⓔ年金問題の早期完全解決」 等を達成または実行の約束をしないと、国民の納得を得られないと思われます。

 したがって、「医療立国論」、「医療・介護立国論」、あるいは 「社会保障 (医療・介護・年金・雇用・福祉) 立国論」 に基づき、「医療再生・介護再生・社会保障再生」 を図り、雇用創出効果・経済波及効果を高め、かつ強固なセーフティネットを構築し、「国民の安心・安全・納得・満足」 による内需拡大も含めて、「経済成長を図る」・「法人税・所得税等の税収増を図る (消費税の増税率をできるだけ抑制する)」 という好循環が実現することが望まれます。

【関連記事】
 ◎健康長寿・新経済成長戦略 (新たな成長市場の創出) (厚生労働省)
 ◎医療の提供体制の現状と課題 (講演:厚生労働省保険局医療課長)
 ◎2009年度の新規DPC対象病院は570病院 (約130病院が移行せず)
 ◎医療立国論Ⅱ 厚生労働省解体-医療庁を設置せよ! (大村昭人氏著)
 ◎医療・介護の機能強化 (2012年度診療・介護報酬同時改定で体制構築)
 ◎回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎リハビリ算定日数制限 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎リハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性
 ◎脳卒中急性期医療をめぐる課題と展望 (リハビリテーション)
 ◎DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)




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「脳卒中対策基本法」 (仮称) 制定を目指す (日本脳卒中協会)

 CBニュース (2009/3/10) に脳卒中対策基本法 (仮称) に関する記事 (「脳卒中対策基本法」 制定を-日本脳卒中協会) が掲載されていますので紹介します。
 
● 「脳卒中対策基本法」 制定を-日本脳卒中協会

①日本脳卒中協会の山口武典理事長は3月8日、横浜市内で開かれた参加型イベント 「NO梗塞アカデミー」 (主催:同協会、サノフィ・アベンティス日本法人) で、脳卒中を予防したり、後遺症を減らしたりするための 「脳卒中対策基本法」 (仮称) の制定を呼び掛けた。

 山口理事長はあいさつで、「がん対策基本法はあるのに、脳卒中に関する法律はない。厚生労働省管轄の病院と総務省管轄の救急隊が連携を取り合って、スムースな救助活動をするために、一刻も早い法整備が必要」 と指摘。その上で、「要綱案はできているので、国会が正常に動くようになったら、議員立法での制定を目指したい」 と意欲を示した。

②同協会は現状の問題点として、

 (a) 脳卒中に関する知識は、医療者と市民の活動に頼るしかない。

 (b) (発症した場合に) どこの病院に行けばよいか、判断がつきにくい。

 (c) 119番で救急隊員を呼んでも、脳卒中かどうか判断できない。

 (d) 救急隊を呼んでも、(病院との連携がうまくいっていないため) 専門病院に
  運んでもらえる保証がない。

 (e) 受診が遅れると、治る可能性が低くなってしまう。

などを指摘。

 また、山口理事長によると、「3年前に国内でも使えるようになった血栓溶解薬 (t-PA) は効果が大きいが、発症から3時間以内に投与しないと、副作用の恐れがある」という。

③同協会は基本法の制定によって、政府、地方自治体、医療保険者、医療従事者らが協力して予防事業などを進められるようになるとしている。

 具体的には、

 (a) 「脳卒中を発症したら直ちに受診」 を国民に徹底周知。

 (b) 119番すれば、24時間全国どこでも、専門病院に搬送してもらえる仕組み
  を整備。

 (c) 急性期から維持期 (慢性期) まで途切れることなく最新の医療、リハビリ、
  療養支援を受ける仕組みを、全国的に整備。

 (d) 脳卒中の後遺症と共に生きる患者と家族の、生活の質の向上と社会参加
  を支援。

などを目指していく。

④山口理事長は、会場に集まった脳梗塞患者とその家族らに、「国を挙げて脳卒中の予防と後遺症のリハビリに取り組むためにも、一刻も早い法整備が必要」 と呼び掛けた。

⑤ t-PA治療

 2005 年10月から医療保険が適用された。t-PA治療によって、障害が残らない患者は、1.5倍になるといわれている。しかし、同治療は発症3時間以内に行うことが望ましいとされている。

 病院到着後、準備に1時間近くかかるため、発症2時間以内には同治療を実施できる医療機関に到着している必要があり、現状で同治療を受けているのは脳梗塞患者の約2%にとどまっている。

 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記②・⑤の通り、日本の脳卒中急性期診療の問題点の一つとして、「患者・家族・地域住民等の脳卒中発症サインの理解不足」・「救急隊と、血栓溶解療法 (発症から3時間以内の t-PA治療)・血管内治療を含めた超急性期の脳卒中治療が行える医療機関との、連携体制の不備」 等による当該病院受診遅延とそれに伴う 「血栓溶解療法・血管内治療等の超急性期脳卒中治療の断念」 が生じ、後遺症の発現に繋がります。
 また、地域によっては、血栓溶解療法・血管内治療を含めた超急性期の脳卒中治療が行える医療機関の不足・欠如が大きな問題となっています。

(2)上記①~④の通り、「脳卒中対策基本法」 (仮称) が制定されると、「厚生労働省管轄の病院と総務省管轄の救急隊が連携を取り合って、スムースな救助活動ができるようになる」・「政府、地方自治体、医療保険者、医療従事者らが協力して予防事業などを進められる」 等の利点があり、一刻も早い法整備が必要と指摘されています。

(3)また、上記の通り、同基本法の制定によって、下記のような具体的な成果が期待されています。

 (a) 「脳卒中を発症したら直ちに受診」 を国民に徹底周知。

 (b) 119番すれば、24時間全国どこでも、専門病院に搬送してもらえる仕組みを
  整備。

 (c) 超急性期・急性期~回復期 (亜急性期)~維持期 (慢性期) まで途切れること
  なく、最新の医療、リハビリテーション、療養支援を受ける仕組みを、全国
  的に整備。

 (d) 脳卒中の後遺症と共に生きる患者と家族の、「生活の質 (QOL) の向上」 と
  「社会参加」 を支援。

(4)2007年4月1日施行に施行された 「がん対策基本法」 は次の通りです。

【がん対策基本法】

●概要

 日本人の死因で最も多いがんの対策のための国、地方公共団体等の責務を明確にし、基本的施策、対策の推進に関する計画と厚生労働省にがん対策推進協議会を置くことを定めた法律である。

●基本的施策

 1.がんの予防及び早期発見の推進
   ◎がんの予防の推進
   ◎がん検診の質の向上等

 2.がん医療の均てん化の促進等
   ◎専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成
   ◎医療機関の整備等
   ◎がん患者の療養生活の質の維持向上

 3.研究の推進等

 「基本法」 とは、国の制度・政策に関する理念、基本方針が示されているとともに、その方針に沿った措置を講ずべきことを定めている法律です。その基本方針を受けて、その目的・内容等に適合するように行政諸施策が定められ、個別法にて遂行されます。また、基本法は 「親法」 として優越的な地位をもち、他の法律や行政を指導・誘導する役割があります。

 上記のように、がん対策基本法により、がんの対策に対する国、地方公共団体等の責務が明確化されるため、基本的施策 (「がんの予防及び早期発見の推進」・「がん医療の均てん化の促進等」・「研究の推進等」) の実施が推進されます。

 したがって、脳卒中対策基本法が制定されれば、例えば、「予防や脳卒中の見分け方、起こった時の対処などを行政が公に知らせることができる」・「救急隊が、現場で、脳卒中かどうかを判断し、専門病院に直接運ぶ仕組みができる」・「各自治体が、全国に、必要な仕組みを整備する」 等のメリットが生じます。
 特に、医療現場においては、「脳卒中医療の均てん化の推進」 が期待されます。

(5)日本脳卒中協会のホームページに、「脳卒中対策の法制化に向けた取り組み」 について、次のように詳しく説明されています。

●脳卒中対策 (脳卒中を予防し後遺症を減らす) についての法律が必要です。

 現在、法律による解決が必要と思われる課題が二つあります。

 一つは、一般市民の脳卒中の予防や発症時の対応についての啓発活動を全国的に継続的に行うには、行政の力なしには限界があるということです。

 もう一つは、脳梗塞の画期的な治療法である t-PA療法を普及するには救急搬送から t-PA治療を実施できる医療機関の整備まで、省庁を超えた制度的な対応が必要だということです。

 脳卒中予防のための知識、症状、発症時の対応方法を、公的な活動によって広く一般市民に普及させるには、法律が必要です。

 t-PA治療を普及させるには、脳卒中が疑われた場合には、t-PA治療をいつでも直ちに実施できる医療機関に直接搬送できるようにしなければなりません。

 そのためには、脳卒中救急搬送計画の策定、救急隊員の教育、受け入れ側の整備などが必要です。

 したがって、救急搬送を管轄する総務省消防庁と、医療機関を管轄する厚生労働省との、省庁を超えた調整が不可欠です。これは、法的な根拠なしにはなかなか実現できません。

 これらの問題を解決し、脳卒中対策を一層充実させるために、日本脳卒中協会は、脳卒中対策の法制化、すなわち脳卒中対策基本法 (仮称) の制定が必要であると考えています。

●脳卒中対策基本法 (仮称) ができると

(a)脳卒中の発症を防ぐために

 (*) 脳卒中を予防するための事業を、政府、地方自治体、医療保険者、医療
  従事者等が協力して進めることができるようになります。

(b)全国どこでも、いつでも、脳卒中の専門的治療を受けられるように

 (1) 「脳卒中を発症したら直ちに受診」 が国民に広まります。

 (2) 脳卒中が疑われたら、119番を呼べば、 24時間全国どこでも、専門病院
  に搬送してもらえる仕組みが整備できます。

 (3) 超急性期・急性期~回復期 (亜急性期)~維持期 (慢性期) まで継ぎ目なく、
  最新の医療、リハビリ、療養支援を受ける仕組みが、全国的に整備され
  ます。

 (4) 脳卒中後遺症とともに生きる患者と家族の、「生活の質 (QOL) の向上」
  と 「社会参加」 が支援されるようになります。

(c)研究成果が速やかに脳卒中に応用されて

 (1) 脳卒中の発症、救急搬送、受診、治療成果等の情報が集まり、予防対策
  や脳卒中医療の改善に活用できるようになります。

 (2) 救急隊員が脳卒中を現場で判断し直ちに搬送するための仕組みや教育・
  研修が整えられます。

 (3) 必要な地域には、遠隔医療が整備されます。

 (4) 急性期を含む脳卒中リハビリが全国的に普及します。

(6)脳梗塞の啓発啓蒙ホームページとして、 「NO!梗塞.net」 があります。下記の内容が含まれており、一般の方々に推奨されます。

(a) 脳卒中とは?、脳梗塞の種類・診断方法・治療方法・リハビリ・再発予防

(b) 市民公開講座の紹介

(c) 脳梗塞Q&A

(d) 脳梗塞を早く見つけるためのポイント

(e) いざという時、あなたはどうする!? (発作時の対処法)

(f) あなたの脳卒中危険度チェック! (セルフチェック)

(g) アニメでみる発症から退院まで (脳卒中急性期の治療と診断)

(h) 脳梗塞コラム

(7)以上、「脳卒中対策基本法」 (仮称) について論じました。

 以前の当ブログ記事にて何回も強調していますが、実際の脳卒中医療において、(a) 不充分な急性期治療・(b) 不充分な早期リハビリテーション・(c) 「医原性」 の二次的合併症・障害 (廃用症候群・過用症候群・誤用症候群)・(d) 不充分な回復期リハビリテーションあるいは回復期リハビリテーションの欠如のため、結果的に障害の回復が不充分なまま、あるいは余計な障害まで作られた上で、介護保険・福祉に受け継がれることが未だ少なくなく、全県的な脳卒中医療、リハビリテーション・ネットワークの構築の必要性が喚起されてます。

 「脳卒中対策基本法」 (仮称) の制定により、脳卒中の対策に対する国、地方公共団体等の責務が明確化され、各府省庁および各局の施策が 「縦割り」 から 「横の密な連携・コラボレーション」 に変わり、そして、「脳卒中の予防及び早期発見の推進」・「脳卒中医療の均てん化の促進等」・「研究の推進等」 が期待されます。

 そうなれば、超急性期・急性期~回復期~維持期の各ステージの脳卒中医療体制・リハビリテーション体制が確立し、且つ、充実した脳卒中医療連携体制および地域リハビリテーション連携ネットワークの構築が実現し、実際の脳卒中医療において、『濃厚な急性期治療ならびに充分な早期リハビリテーションが実施されることにより、脳の損傷が最小限に抑えられ、且つ 「医原性」 の二次的合併症・障害 (廃用症候群・過用症候群・誤用症候群) の出現も防止でき、そして、その後、充分な回復期リハビリテーションが行われることにより、「可能な限りの障害の回復が得られ、余計な障害も作られることなく」、介護保険・福祉に円滑に受け継がれる』という理想的な流れが得られると思います。

 また、医療難民 (特に、脳卒中難民、認知症難民)・リハビリ難民・救急難民・介護難民・障害者難民等の防止も期待できます。

【関連記事】
 ◎脳卒中急性期医療体制の構築 (東京都脳卒中急性期医療機関 2009)
 ◎脳卒中急性期医療をめぐる課題と展望 (リハビリテーション)
 ◎脳卒中急性期医療をめぐる課題と展望 (TIA:一過性脳虚血発作)
 ◎地域リハビリテーション (CBR:community based rehabilitation)




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DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)

 DPCに関して、現行の調整係数に代わる新機能評価係数を検討している中央社会保険医療協議会 (中医協) 診療報酬基本問題小委員会および診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会における、これまでの 「新機能評価係数」 についての議論は、「大病院・特定機能病院・高度急性期総合病院・地域基幹病院 (地域拠点病院) の視点」 での議論に比較的偏っており、「中小病院の視点」 での議論は、あまり活発ではなかったと考えられます。

 Japan Medicine (2009/2/16) によると、平成21年2月12日に開催されたDPC評価分科会において、厚生労働省保険局医療課企画官が次のように発言しています。

●厚労省:幅広い視点での議論を要望

 厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、今後、DPC対象病院として中小病院が多く参入してくる現状にあることや、機能評価係数は必ずしも大病院向けだけのものではないとの基本的考え方を説明。
 その上で、「係数には大病院向けの係数、中小病院向けの係数があるが、中小病院向けの係数を設定したことで大病院がマイナス評価を受けることはない」 とし、機能評価係数の基本的考え方に沿って検討することを明言し、幅広い視点での議論を求めた。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。
 なお、「地方」 というファクターは、問題を複雑化しますので、下記の 「ケアミックス型病院」・「中小病院」 に関する考察からは、敢えて除外しています。

(1)中小病院とは、200床未満の病院 (20~199床) のことですが、その内、DPC対象病院・DPC準備病院には、次のようなパターンが考えられます。

 ①全て 「急性期一般病棟」 の急性期中小病院
  (a) 「専門特化型」 急性期中小病院
  (b) 「複数 (不完全) 専門特化型」 急性期中小病院
  (c) 「準総合病院型」 急性期中小病院

 ②ケアミックス型中小病院
  ●急性期一般病棟と下記の病床・病棟との組合せ
    ◎亜急性期病床 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回復期リハビリ
     テーション病棟)
    ◎療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)
    ◎特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
  (a) 「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (b) 「複数 (不完全) 専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (c) 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (d) 「認知症の合併症がある高齢者の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の
    急性増悪等の急性期患者・(急性期後)・(慢性期患者の急性増悪時)」 用の急性
    期一般病棟を持つケアミックス型中小病院

(2)現在、ケアミックス型病院 (200床以上の大病院と200床未満の中小病院との両方を含む) はDPC対象病院になることは可能ですが、その決定までには紆余曲折がありました。
 上記の小委員会・分科会におけるケアミックス型病院の議論過程は、CBニュースの記事 (「ケアミックス型もDPC対象に-基本小委了承」) (2008/11/19) および Online Med の記事 (「ケアミックス型病院もDPCの対象、中医協が方針決定 急性期病院との違いはない」 (2008/11/19) 等によると、下記の通りです。

①当初、DPC対象病院にケアミックス型病院を含めるかどうかが検討課題の一つになっており、どちらかといえば、「ケアミックス外し」 の方向であった。
 というのは、全国に約700か所ある 「2007年度DPC準備病院」 のうち、ケアミックス型が6割以上を占め、全病床に対するDPC算定病床の割合が50%未満の病院も約9%あったからである。
 また、ケアミックス型病院において、「患者を一般病床と療養病床等とでキャッチボールするのではないか」・「後方病床があるケアミックス型病院とそれがない一般急性期病院とでは、平均在院日数等で不公平が生じるのではないか」 等の懸念があったからでもある。

②しかしながら、厚生労働省が提出した資料により、下記のことが判明した。
 DPC対象病院とDPC準備病院の両方において、ケアミックス型病院のDPC算定病床の割合が少なくても、平均在院日数・救急搬送件数・肺炎等による緊急入院割合・再入院率などにおいて、ケアミックス型病院とDPCのみの病院との間に明らかな差がみられなかった。
 また、「DPC算定病床の割合が小さい病院では、一部の疾患で、手術などを行う患者の割合が少ない傾向にあるものの、それらは診断群分類が別なものとなることから、大病院で実施される手術などを伴う症例の点数設定には影響しない」 として、医療資源の投入の少なさから、DPC点数が低めに設定されることになるのではないかとする大規模病院側からの懸念も問題はないとした。

③このため、西澤寛俊委員 (全日本病院協会会長) は、「ケアミックス病院とそれ以外に差がないなら、当然、すべてを対象に含めていいのではないか」 と指摘。その上で、「2007年度DPC準備病院」 について、基準を満たすことを前提に、来年度、DPC対象病院に加えるよう提案した。

④これに対して、支払側の対馬忠明委員 (健保連専務理事) は、「それはそれでいい」 と同意する一方、医療機関の機能分化が今後、進むのに合わせて、将来的にあらためて議論する必要があるとの認識も示した。

⑤DPCの拡大に慎重な姿勢を持っている日本医師会常任理事の藤原淳委員は、「ケアミックス型を入れることで、急性期病院を対象にする (本来の) 方向と違和感がある」 と指摘した。

⑥これに対して、厚労省側は、「DPCの算定対象とするのは、病院ぐるみというより、急性期病棟という整理だ」 と述べ、ケアミックス型の病院には、DPCを算定する急性期病床のみのデータ提出を求める方針を説明した。

⑦西澤委員は、ケアミックス型の病院では、急性期と慢性期とを区別せずに運営していると誤解されていると指摘した。
 その上で、ケアミックス型について、「(一つの) 病院の中に、明らかに機能の違う病院が2つあると考えていただきたい」 と説明した。

⑧最終的に、ケアミックス型病院をDPC対象病院に加えることへの反対意見はなく、了承された。

(3)一方、中小病院については、現実に、約700の 「2007年度DPC準備病院」 のうち、約半数が200床未満の中小病院であり、DPC対象病院は、当初想定された 「高度急性期病院の代名詞」 とは言えない状況になっています。
 しかしながら、上記小委員会・分科会の議論において、DPCと 「ケアミックス型病院・地方の病院」 に関しては割と論議されていますが、純粋に、「中小病院」 とDPCに関しては、あまり討議されていないと思われます。

 というのも、中小病院 (特に民間中小病院) については、当初は、高度急性期医療およびDPCを断念して、亜急性期以降の医療を担ってもらうという厚生労働省の認識だったからです。
 即ち、中小病院の役割として、次のような 「亜急性期病院、慢性期病院、ケアミックス型病院、介護保険施設」 が想定されていました。
 ①軽度 (~中等度) の救急・急性期医療 (特に、認知症の合併症がある高齢者の骨折
  等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の救急・急性期患者)
 ② 「急性期後」 の亜急性期医療 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回復期
  リハビリテーション病棟)
 ③慢性期医療 [療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)]
 ④特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
 ⑤在宅医療
 ⑥場合によっては、介護療養型老人保健施設への移行

 但し、上記(1)で示した①-(a) の 「専門特化型」 急性期中小病院、あるいは、②-(a) の 「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院は、場合によっては、大病院等よりも、質の高い効率的なDPC対象病院であることが少なくないということで、このような病院にインセンティブを与えるような 「新機能評価係数」 の設定が望まれます。(スケールメリット不足を補填する評価、高い専門性・充実したチーム医療への評価等)。

 一方、民間中小病院に比較的多い、(1)-①-(b) の 「複数 (不完全) 専門特化型」 急性期中小病院および(1)-②-(b) の 「複数 (不完全) 専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院、あるいは、(1)-②-(d) の 「認知症の合併症がある高齢者の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の急性期患者・(急性期後)・(慢性期患者の急性増悪時)」 用の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、基本的には、DPCに馴染まず、医療マンパワー不足もあることから、将来的には亜急性期以降への移行を促される可能性が高いと考えられます。

 また、地方の中小自治体病院に多い、(1)-①-(c) の 「準総合病院型」 急性期中小病院および(1)-②-(c) の 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、総務省・公立病院改革ガイドライン (平成19年12月) を厳格に適用すると、廃止・民営化の道をたどると考えられます。
 しかし、その病院が、地域唯一の病院であり、不採算医療 (政策的医療や救急医療等) を担っているということで、充分な公的支援があれば、(DPC適用の可否は別として)、存続できると考えられます。

(4)「地方」 のファクターに関しては、2009年2月12日のDPC評価分科会にて論議されました。
 議論の内容は、CareNet.com (2009/2/16) の記事 「地域の病院にDPCは不利 DPC評価分化会で佐久総合病院が問題提起」 および Japan Medicine (2009/2/16) の記事 「診療ガイドラインの係数化をめぐり論戦 DPC評価分科会 適切な評価係数の考え方ヒアリング」 によると下記の通りです。

 JA長野厚生連・佐久総合病院の西澤延宏診療部長は、「地方にも目配りした機能評価係数を」 と題した報告書を提出し、地域医療を支える地方の病院は、「高齢者が多く、医療コストが相対的に高い」・「医療圏が広域にわたる」・「周辺の医療機関が乏しく機能分化が困難」・「連携施設不足」 など、都市部に比べDPCの制度化では不利な点が多い、との考え方を示した。
 その上で、地方病院の医療を評価する観点から、①患者の年齢構成による評価 (高齢者診療機能)、②マグネットホスピタルとしての地方の診療所や中小病院への医師派遣機能に対する評価、③入院時医学管理加算の外来縮小要件の廃止、④在宅医療への評価、などを求めた。

 これに対して、小山信彌委員 (東邦大医療センター大森病院教授) は、「地方の病院だけでなく、都市部の病院も同様の状況だ」 とし、地方限定の評価軸ではないとの認識を示した。

(5)上述の通り、中小病院については、「地方」・「ケアミックス」・「公立・民間 (公私格差要因も含めて)」 の多因子が複雑に絡み、DPCとの整合性を図ることが非常に難しい面があります。
 しかしながら、DPC対象病院として相応しいと考えられる中小病院については、当ブログ記事 (『DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件』・『DPC 「新機能評価係数」 (松田研究班長・私案)』) で示している 「新機能評価係数」 候補35項目DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件 (厚生労働省)新機能評価係数に関する8項目 (松田研究班長・私案)、その他、において、当該中小病院に相応しい項目を、入念に精査・抽出あるいは新規作成、そして正式項目化を行って頂きたいと思います。
 
(6)以上、今後の中医協診療報酬基本問題小委員会およびDPC評価分科会の動向が注目されます。

 また、各DPC病院における周到な対策・準備のため、できるだけ早期の 「新機能評価係数」 決定を切望します。





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急性期・亜急性期のリハビリ料の出来高払いの既定事実化 (二木教授)

 以前の当ブログ記事 (リハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性) においてリハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性について論じました。

 『二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター (通巻54号)』に転載された、日本福祉大学の二木教授の対談記事 「対談:リハビリテーションの制度改革と診療報酬」 において、リハビリテーション診療報酬における 「制限診療の導入」 および 「急性期・亜急性期のリハビリテーション料の出来高払いの既定事実化」 について述べられていますので紹介します。

1.リハビリテーション診療報酬における 「制限診療の導入」
 ①2002年に患者一人当たりの合計回数の上限が導入。
  ◎当時は回復期リハビリテーション病棟でも、6単位まで
 ②2006年にリハビリテーション算定日数の上限が導入。
  ◎急性期~亜急性期 (回復期) リハビリテーションは医療保険で給付、維持期
   リハビリテーションは介護保険で給付という、厚生労働省の 「医療保険の純
   化」
路線。

2.リハビリテーション診療報酬における 「急性期・亜急性期のリハビリテーション
 料の出来高払いの既定事実化」

 私は、介護保険がスタートした2000年の段階では、中長期的には、リハ医療は回復期リハ病棟を含めて、包括払いに組み込まれるようになると予測していました。
 しかし、2003年3月に閣議決定された 「医療制度改革基本方針」 で、「診療報酬体系については、①医療技術の適正な評価 [ドクターフィー的要素 (注1)]、②医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価 [ホスピタルフィー的要素 (注1)]、③患者の視点の重視等の基本的考え方に立って見直しを進める」 とされたこと、および同年から大学病院等の特定機能病院を対象にして導入されたDPC包括評価の対象からリハ料が除外されたことを総合判断して、急性期・亜急性期医療 (回復期リハ病棟も含む) のリハ料は、今後も出来高払いであり続けると考えるようになりました。
 「医療制度改革基本方針」では、「ドクターフィー的要素」 の範囲は明示されていませんでしたが、DPC包括評価の実績から、それには医師技術料だけでなく、リハ料も含まれる=出来高払いとされると判断したわけです。
 その後の3回の診療報酬改定 (2004、2006、2008年) により、急性期・亜急性期のリハ料は包括払いの対象に含めないとの方針は、既定事実化あるいは既得権化したと思います。

(注1) ドクターフィー的要素、ホスピタルフィー的要素
 これらの表現は、坂口力氏 (元厚生労働大臣) が2002年9月に 「診療報酬体系の見直しについての改革私案」 を発表したときに用いられ、「診療報酬体系を医療技術の評価 (ドクターズフィー的要素) と医療機関の運営コストを反映した評価 (ホスピタルフィー的要素) に再編」 することを提起した。[『医療改革と病院』 (勁草書房、2004)]。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記1の通り、リハビリテーション診療報酬においては、「患者一人当たり合計回数の上限の導入」・「リハビリテーション算定日数上限の導入」 という 「制限医療」 が既に導入されていることを厳粛に受け止める必要があります。

 リハビリテーション医療の分野は、他の医療分野に比して、医療費等への影響が比較的小さい領域ということで、これまでの診療報酬改定において、厚生労働省による実験場的役割 (制限医療の導入、疾患別リハビリテーション体系化、回復期リハビリテーション病棟への成果主義の導入) を果たしていました。

 しかしながら、リハビリテーション従事者・現場の立場としては、短期間に制度がガラッと変わるので、辟易の極致です!!
 次期改定はリハビリテーションの何がターゲットになるのかと考えると憂鬱になります。(厚生労働省の机上の理論に振り回されるのは、もう懲り懲りです・・・)。[今日はちょっと情緒不安定です (苦笑)]。

(2)上記2の 「診療報酬における急性期・亜急性期のリハビリテーション料の出来高払い」 に関しては、二木先生が仰るとおり、これまでの診療報酬改定の歴史・経緯を見ても、「急性期・亜急性期医療 (回復期リハビリテーション病棟も含む) のリハビリテーション料は、今後も出来高払いであり続ける」・「急性期・亜急性期のリハビリテーション料は包括払いの対象に含めないとの方針は、既定事実化あるいは既得権化した」 と思われます。

 厚生労働省DPC研究班・主任研究者の松田教授 (産業医科大学) も、「制度設計は厚労省、中医協が行うことだ」 と前置きした上で、DPCについては、傷病名が優先される分類であるため、疾病横断的なリハビリテーションを包括化していくことは難しく、出来高範囲に置く方が妥当との見方を示しています。[Japan Medicine (2007/6/11)]。

(3)一方、全国医学部長病院長会議は、前回の平成20年度診療報酬改定の際に、次のような 「超急性期リハビリテーションにて急性期加算の設定」 を要望していました。
 「大学病院における超急性期リハビリテーションは、ベッドサイドでの訓練の必要性や、患者にとっては突然の機能喪失に対するモチベーションの低下など多くの困難を伴うが、発病後2週間で主病名の治療以外に適切なリハビリテーションを行うことが重要であるということで、同会議・DPC検討委員会では、大学病院の超急性期リハビリテーションの提供を促進するため、個別のリハビリテーション点数だけでなく、発病後2週間以内のリハビリテーションに急性期加算を設定すべきという要望を出すことになった」。

 その要望を受けて、前回の平成20年度診療報酬において、次のような 幻の急性期リハビリテーション料包括化計画」 が考えられていたそうです。 [「医療経営Phase3 (フェイズ・スリー)」 (平成19年12月号)]。
●急性期リハビリテーション料の新設
 リハビリテーションは発症初期から開始することが重要であり、平成18年度診療報酬改定でも急性期・回復期のリハビリを評価している。
 急性期・回復期のリハビリは、発症直後から関節可動域訓練などを開始することが重要視されているが、急性期は臥床したままで、リハビリの専門病院に転院した後、または回復期リハビリ病棟に転棟した後に、リハビリを開始する事例も多い。
 この場合、リハビリを開始する時点で既に回復が困難なレベルにまで拘縮が進んでいるため、回復期リハビリが充分な効果を発揮できない事例があることも、厚労省は把握している。
 これらをもとに同省では、発症直後から何らかのリハビリを開始することを評価した点数を設定することを検討している。
 具体的には、「1日につき150点の急性期リハビリテーション加算を新設する」 意向だ。
 算定条件としては、
  ①リハビリを必要と認める患者に対して発症直後から2週間までの間に、
   医師の指示の下、看護師 (准看護師を含む)、または理学療法士が関節
   可動域訓練などを実施した場合に、入院基本料に加算できる。
  ②対象者を疾患別リハビリの対象患者に限定する。
  ③疾患別リハビリ料とは併算不可とする。
などが考えられている。
 財政負担は、年間16億円程度と試算されている。

 また、次期衆議院総選挙のマニフェストの基になる 「民主党 INDEX 2008」 の 「厚生」 の章26ページに下記の記載があります。
●包括払い制度の推進
 超急性期・回復期・維持期リハビリテーションについては、その重要性を考慮し、当面は出来高払い制度としますが、スタッフの充実度および成果を検証し、将来的には包括払い制度に組込みます。

(4)以上、次期平成22年度診療報酬改定における急性期リハビリテーション料の 「包括化およびセラピスト以外の代替有資格者 (看護職員) の算定可能化」 の導入の可能性は完全には否定できませんが、基本的には、二木教授が仰るとおり、「急性期・亜急性期医療 (回復期リハビリテーション病棟も含む) のリハビリテーション料は、今後も出来高払いであり続ける」・「急性期・亜急性期のリハビリテーション料は包括払いの対象に含めないとの方針は、既定事実化あるいは既得権化した」 と思われます。

 しかしながら、DPC対象病院に限らず、急性期・亜急性期のリハビリテーション料において、「ドクターフィー (医師技術料) あるいはドクターフィー的要素 (コメディカル技術料)」 と 「ホスピタルフィー」 の考え方が、導入される可能性も否めません。

 急性期・亜急性期のリハビリテーション料の出来高制度を守るためにも、以前の当ブログ記事 (リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務) で論じたように、リハビリテーション医療における医師および疾患別リハビリテーション専任医師の関与度 (特に、リハビリテーション適応判定、定期的なリハビリテーション治療効果判定、原疾患・合併症・併存疾患の医学的コントロールならびにリハビリテーション・リスク管理等の責務) をより高め、且つ、セラピストのスキルアップおよび多専門職種による徹底したチーム・アプローチによる、リハビリテーション治療効果の更なる向上を図る必要があります。

 そして、リハビリテーション医療の効率化と質の管理、リハビリテーション成果 [アウトカム評価は、患者・家族要因、環境要因、社会的要因等に左右されるため、「プロセス評価」 および人員基準等の一部のストラクチャー評価がベター] のエビデンスを示していく必要があると思います。

【関連記事】
 ◎リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)
 ◎疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準
 ◎リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務
 ◎リハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性)




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