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平成20年度DPC導入の影響評価に関する調査結果および評価

 中央社会保険医療協議会 (中医協) のDPC評価分科会 (西岡清分科会長) が実施した 「平成20年度DPC導入の影響評価」 に関する調査結果および評価が、5月20日の中医協診療報酬基本問題小委員会に報告されました。
 同報告の結論を下記に示します。
 
平成20年度 「DPC導入の影響評価に関する調査結果およ
 び評価」 最終報告概要


【まとめ】

 全ての病院類型において、平成19年度までと同様に、平均在院日数は減少傾向であったが、その要因は、患者構成の変化によるものではなく、診断群分類毎の平均在院日数の減少によるものであった。

 一方、緊急入院及び他院からの紹介の患者数は、横ばいから増加傾向であった。

 これらのことから、重症度の高い患者を避けるような患者選別の傾向は見られておらず、診療内容に悪影響は認められないものと考えられる。

 ただし、救急車による搬送の率・患者数については、一部の類型の病院では、平成20年度はやや減少しており、今後も注視していくことが必要である。

 また、退院時転帰の状況においては、治癒及び軽快を合計した割合が横ばいであり、急性期としてある程度病態が安定した時点までの入院医療を反映しているものと考えられる。

 以上のことから、DPCにより、質の確保はされつつ医療の効率化が進んでいるものと考えられる。

 また、これまで増加傾向であった再入院率については、平成20年度も引き続き増加傾向がみられた。
 平成20年度改定において、同一疾患での3日以内の再入院 (病棟間の転棟に伴う再転棟も含む) については、1入院として扱うように算定ルールを見直したところであり、この影響について、今後も注視していくことが必要である。

 上記の 「まとめ」 において、「重症度の高い患者を避けるような患者選別の傾向は見られておらず、診療内容に悪影響は認められない」・「DPCにより、質の確保はされつつ医療の効率化が進んでいるものと考えられる」 と述べられています。

 しかしながら、医療の現場感覚からすると、明らかに 「患者選別」・「患者切り捨て」・「医療難民・リハビリ難民・救急難民・介護難民」 が生じており、「医療の質の確保」・「患者さんの安心・安全・QOL (生命・生活・人生の質) の向上」 は不充分のまま、「医療の効率化」 だけが進んでしまったような印象です。

 中医協や社会保障審議会等において、診療報酬、DPC、回復期リハビリテーション病棟の成果主義、介護報酬、要介護認定等、様々な検証が行われていますが、「真の検証となっているか?」 の検証が必要と考えられます。




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2009介護報酬改定と2012改定に向けた課題 (老健局老人保健課長)

 日経ヘルスケア2009年4月号 「特集.徹底分析09年介護報酬改定」 に、厚生労働省老健局老人保健課長・鈴木康裕氏に対する、「2009年介護報酬改定について及び次回2012年診療報酬・介護報酬同時改定に向けた課題」 に関するインタビュー記事が掲載されていますので、下記に示します。

● 「処遇改善狙い加算中心の改定に」・「次回改定ではアウトカム評価の導入も」

<質問>
 今改定は基本報酬の一律引き上げではなく、加算の新設や見直しで評価したが、その理由は。


<鈴木課長>
①限られた財源を分配するに当たっては、一律に報酬を引き上げる 「平積み」 方式と、加算によってメリハリをつける 「傾斜配分」 の二つのやり方がある。
 今回の処遇改善を軸とした改定では、後者が適切だと考えた。

 例えば、人員基準よりもスタッフを手厚く配置したり、有資格者を多く雇用している事業所は、そうでないところよりも人件費が高くなっている。
 これを一律配分の平積み方式で評価すると、不公平な面が出てくる。
 業界団体からの要望もあり、今回は加算による傾斜配分を中心に評価することにした。
 また、加算の新設で、有資格者の雇用促進や、介護従事者の定着を図り、ケアの質を上げていきたいという狙いもあった。

<質問>
 人件費が高い都市部での処遇改善を図るため、地域区分の報酬単価の見直しが行われた。
 だが、グループホームや通所介護、特定施設では、逆に都市部の報酬単価がダウンした。


<鈴木課長>
②介護事業経営実態調査の結果を見ると、大半のサービスでは、前回調査と比べて収支差率が悪化していた。
 その中で、グループホームなどのサービスは収支差率が高く出ていた。
 異論もあるとは思うが、人件費の割合を正確に計算して反映した結果だ。

 今改定では、様々な加算を新設したり、見直しも行っている。
 報酬単価が若干引き下げになったとはいえ、加算を算定すれば、単純にマイナスになるとは考えにくい。

<質問>
 施設系サービスや通所系サービスの一部に、認知症ケアを推進する加算が数多く設けられた。
 グループホームとの役割分担は。


<鈴木課長>
③認知症高齢者は今後間違いなく増加し、その症状も多様化してくると考えている。
 リハビリが必要な人もいれば、身寄りがなく、特養に入るしかない人もいるだろう。
 こうした様々なケースに対応するには、グループホームが果たす役割に加えて、各施設や通所サービスの特徴を生かして、役割分担しながら進める必要があると考えた。

<質問>
 次回改定に向けた課題は。


<鈴木課長>
④今改定は、診療報酬との同時改定ではなく、制度改正も伴っていない。
 このため、診療報酬との整合性を取ったり、新たなサービスを創設したりすることは難しかった。
 次回2012年度改定では、これらの積み残した課題を検討していく必要があるだろう。

⑤今改定では、ケアの質の評価に当たり、有資格者や常勤職員、勤続年数の長い職員の割合を基準としたが、介護給付費分科会の議論の中では、これらが指標として完全ではないとの指摘を受けている。
 次回改定以降、プロセスやアウトカムなどの評価をどう組み込んでいくかも大きな課題だ。

⑥また、今改定の3.0%引き上げ分が、きちんと介護従事者の処遇改善に反映されているかどうかを検証する必要がある。
 これは単に給与のアップにとどまらず、例えば夜勤回数の減少など労働条件の改善や、職員の定着率の向上なども含めた話だ。

⑦今後は、将来にわたり、介護保険制度を安定的に持続させていくための議論も必要になるだろう。
 介護保険サービスの総量は、毎年4~5%の伸びを示している。
 これに伴い、被保険者が支払う保険料も右肩上がりで伸びており、このままだと保険料を払えない人が出てくる可能性もある。
 そうなると、介護保険制度自体が崩壊しかねない。

⑧長期的には、介護保険は重度者を主な対象にして、軽度者は財源を手当てした上で、地域の高齢者福祉で対応するなどの議論もあり得る。

 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)今回 (平成21年度) の介護報酬改定においては、「介護給付費の抑制→介護保険料の視点・保険者 (市町村) の視点を重視」 に基づいて厚生労働省が導入したと考えられる下記の事項が批判を浴びています。

 ⓐ新要介護認定制度の導入 (→要介護度の軽度化)

 ⓑリハビリテーションマネジメント加算・「月8回」 問題によるリハビリテー
  ション制限


(2)一方、見落としがちな大問題は、「区分限度支給額の据え置き」 および 「利用者の原則1割自己負担」 と考えられます。

 上記2つの大問題によって、今回の介護報酬の引き上げに伴い、「支給限度額超え」・「1割自己負担額増大」 にて、介護サービス利用者がサービスを利用できなくなるという事態が生じています。

 また、サービス提供者側も、「元々有資格者のマンパワーが豊富な事業所あるいは有資格者を積極的に雇用しようとしている事業所が、様々な加算を取得し、介護報酬を引き上げて、当該事業所の介護従事者の定着を図り、ケアの質を上げて行こう」 とすると、逆に、サービス利用者側において、「支給限度額を超える」・「1割自己負担額増大」 という支障を来たすため、事業者側が加算の取得を断念するという矛盾も実際に生じています。

(3)したがって、介護報酬引き上げの際には、「支給限度額も引き上げる」・「利用者の自己負担額を据え置く、あるいは1割自己負担を廃止する」 という施策を同時に行うべきと考えられます。

 診療報酬の場合も、患者さんにおいて、上記問題と同様な 「1~3割窓口自己負担」 問題を抱えており、やはり、窓口自己負担は廃止すべきと思われます。(但し、モラルハザード防止策は必要ですが・・・)。

(4)上記⑤において、鈴木課長は、2012年度診療報酬・介護報酬同時改定にて、介護保険にプロセスやアウトカムなどの評価を組み込む考えを示しています。

 しかしながら、2008年度に導入された回復期リハビリテーション病棟における成果主義、即ち、 「アウトカム評価」 で、実際に、患者選別・患者切捨てが生じています。

 したがって、介護保険においても、同様に、アウトカム評価に伴う 「サービス利用者の選別・切捨て」 が予想されるため、あくまで、「プロセス評価」・「ストラクチャー評価」 に限定すべきと考えられます。

(5)さらに、問題は、上記⑧で鈴木課長が述べているように、「介護保険のサービス対象者を重度者に限定」、即ち、介護保険からの軽度~中等度の要介護者の切り捨てです。

 同課長は、「軽度者は財源を手当てした上で、地域の高齢者福祉で対応する」 と述べていますが、これまでの厚生労働省の政策立案実行の歴史を考えると、あまり信用できないと思われます。

(6)以上、厚生労働省老健局老人保健課長・鈴木康裕氏に対する、「2009年介護報酬改定について及び次回2012年診療報酬・介護報酬同時改定に向けた課題」 に関するインタビュー記事について論じました。

 2012年度診療報酬・介護報酬同時改定は、日本の医療・介護を抜本的に変える大改定が予想されます。

 厚生労働省への要望として、これまでの診療報酬改定および介護報酬改定の結果的な失敗・失政を踏まえ、且つ、(「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「健康保険料の視点・診療報酬支払側 (保険者:国、全国健康保険協会、健康保険組合、共済組合、国民健康保険、後期高齢者医療広域連合) の視点」・「介護保険料の視点・介護報酬支払側 (保険者:市町村) の視点」 ではなく)「国民の安全・安心・納得・満足」 のための 「国民の視点・国民本位」 の2012年度 (平成24年度) 診療報酬・介護報酬の同時改定が望まれます。




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中医協 (回復期リハ病棟に導入された 「質の評価」 の効果の実態調査)

 中央社会保険医療協議会 (中医協) は4月15日、診療報酬改定結果検証部会を開催し、5項目の 「平成20年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査 (平成21年度調査)」 (資料1参照) を年度内に実施することを決めました。

 その内、『回復期リハビリテーション病棟入院料において導入された 「質の評価」 の効果の実態調査』 については、資料2の通りです。

 2008年度診療報酬改定において導入された 「回復期リハビリテーション病棟における成果主義」 に関しては、既に 「患者選別」・「リハビリ難民」・「介護難民」 等の問題点が顕在化しており、上記の実態調査において、回復期リハビリテーション病棟の現状における 「より正確なデータ」・「真のエビデンス」 が把握され、2010年度診療報酬改定に適切に反映されることが望まれます。

 基本的には、回復期リハビリテーション病棟における 「質の評価」・「P4P (Pay for Performance)」 においては、「患者選別」 等の問題を惹起しやすい 「アウトカム評価」 よりも、「プロセス評価」 および 「ストラクチャー評価」 を重視すべきと考えられます。

(資料1) 平成20年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査 (平成21年度調査) の
    実施について (案)


1.目 的
 平成20年5月21日に中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会 (以下、「検証部会」 という) において策定された 「平成20年度診療報酬改定結果検証特別調査項目について」 に基づき、特別調査 (平成21年度調査) を実施し、検証部会における平成20年度診療報酬改定の結果検証のための資料を得ることを目的とする。

2.調査の実施方法
 特別調査は、外部委託により実施することとし、実施に当たっては、調査機関、検証部会委員、関係学会等により構成された 「調査検討委員会」 により、具体的な調査設計及び集計、分析方法の検討を行う。

3.調査項目
 以下に掲げる5項目の調査について平成21年度当初より着手することとする。
  ①明細書発行の一部義務化の実施状況調査 (別紙1)
  ②医療機関における医療機能の分化・連携に与えた影響調査 (別紙2)
  ③回復期リハビリテーション病棟入院料において導入された 「質の評価」 の
   効果の実態調査 (別紙3)

  ④歯科外来診療環境体制加算の実施状況調査 (別紙4)
  ⑤ニコチン依存症管理料算定保険医療機関における禁煙成功率の実態調査
    (別紙5)

(資料2) 別紙3.回復期リハビリテーション病棟入院料において導入された 「質
        の評価」 の効果の実態調査 (案)


<調査概要>
 試行的に導入された 「質の評価」 により、患者の状態の改善の状況はどうなっているのか。又、患者の選別が行われていないか等の調査を行う。

<主な調査項目>
 ①回復期リハビリテーション病棟入院料1又は2を算定している施設毎の入退
  院時の患者の状況
 ②居宅等への復帰率、重症患者の受け入れ割合
 ③リハビリテーション提供体制

<調査客体>
 「回復期リハビリテーション病棟入院料」 を算定している保険医療機関の中から抽出した保険医療機関 (抽出方法及び客体数は調査検討委員会で決定)

<調査スケジュール>
 平成21年5月   調査機関の選定
 平成21年6月   「調査検討委員会」 における調査設計、調査票等の検討
          調査客体の選定
 平成21年7~8月 調査実施
 平成21年9月   調査票回収、集計
 平成21年10~11月 調査結果報告




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脳卒中患者 リハビリ医療を奪われた 「棄民」 (多田富雄氏)

 朝日新聞 (2009/3/2) の 「私の視点」 に、免疫学の世界的権威であり、また、脳梗塞による重度後遺症の御身で、卓越した情報発信力・揺るぎない信念にて厚生労働省の 「リハビリテーション算定日数制限問題」 等の理不尽な政策を糾弾してこられた多田富雄・東京大名誉教授の鬼気迫る文章が掲載されています。

●脳卒中患者 リハビリ医療を奪われた 「棄民」 (多田富雄・東京大名誉教授)

 後遺症で身動きもままならないのに、入院中の病院から出ていってくれといわれた患者。転院を迫られても引き受けるところが見つからない重症者。帰るに帰れない事情を背負ったまひ患者。リハビリを打ち切られて極度に機能が落ちた重度の障害をもつ者。

 声を上げることができない脳卒中の患者が、行政から見放されている。「医療の効率化」 の名の下に重症者が選別され、国から見捨てられた棄民と化している。

 ウソだと思う人もいるだろうが、日本リハビリテーション医学会の最近のアンケートで、回復期リハビリ病棟の専門医の約2割が 「患者を実際に選別している」 と認め、約半数の医師が 「その可能性がある」 と答えているのだ。選別しなければ病院の経営が成り立たないような制度が相次いで施行されたためである。私の周囲でも、悲惨な患者の例を頻々と耳にするようになったのである。

 私は2001年に重症の脳梗塞になり、いまだに言葉を発することも、歩くこともできない。しかしリハビリ訓練を続けたおかげで。かろうじて社会復帰をしている。

 しかし、リハビリをめぐる状況は、この3年で急速に悪化している。

 発端は2006年の診療報酬改定である。政府は、超高齢化社会に対応して社会保障費を増やすどころか削減し、脳卒中のため障害を負った患者のリハビリ医療を、発症から起算して最高180日に制限した。これを機に、脳卒中患者の苦しみは、日を追って絶望的なものになった。

 日数制限の撤廃を求める署名は48万人に達したが、厚生労働省はそれを握りつぶし、翌07年の異例の再改定では、心筋梗塞などごく一部を日数制限から外して、緩和したように見せかけただけだった。

 逆に、日数を超えてリハビリを続ければ、病院には低い診療報酬しか支払われないようになり、慢性期の脳卒中患者のリハビリ継続はますます難しくなった。ことに救急車では込み込まれた重症の患者は、発症日から60日以後は回復リハビリ病棟に移ることもできなくなり、リハビリを始めることさえできない。初めから回復のチャンスが奪われてしまったのである。

 さらに、2008年10月からは治療結果による病院の”懲罰制”まで導入された。回復期リハビリ病棟に入院後180日以内に自宅やそれに準ずる施設に退院した患者が6割を超えないと、病院に支払われる報酬が大幅に減額される。病院はノルマを達成するために、治療途中の患者を自宅に帰さなければならない。そのためリハビリの期間は短くなり、治療半ばで中止させられる例も多い。中には点滴の管をつけたまま、自宅に退院させられる患者まで現れた。退院しても 「老老介護」 では、通院治療もままならない。

 そのうえ、慢性期のリハビリは介護保険のデイケアでやれといって、退院後の機能回復の機会を奪った。リハビリは患者の個別性に応じて行う専門的な医療であり、介護施設のデイケアなどでは対処できるものではないのだ。

 改善が目に見えないからといってリハビリを続けなければ致命的な機能低下が起こることを無視した日数制限の結果、寝たきりになった人が幾人いることか。残った機能の維持こそ命を救い社会復帰させる医療なのに。

 リハビリは単なる機能回復の訓練ではなく、社会復帰を含めた人間の尊厳を回復する医療なのである。患者や医師、リハビリ施設の職員たちから苦悩の声があがっても、厚労省は言を左右に、医師や病院の責任にして自分たちの非を認めない。脳卒中患者を抜き打ち的に狙った迫害、としか言いようがない。

 相次いだ制度の改悪によって、脳卒中の治療に熱心だった病院の収入は減り、重症の患者は初めから受け入れない傾向が生じた。そしてついには、最初に述べた患者の選別までが起こったのだ。

 これが 「文明国」 と称する日本の現状である。「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」 と定めた憲法25条は、脳卒中患者には当てはまらないとでもいうのだろうか。

 リハビリをすれば社会復帰できたのに、寝たきりになった患者の人権はどうなるのか。最後の命綱を断ち切られて、命を落とした人に涙を注がないのか。この日本で、難民ではなく医療を奪われた棄民が発生したのだ。

 リハビリ医療の度重なる制度改悪は、最弱者である患者の最後の希望を打ち砕き、医師や療法士のやる気をなえさせ、病院を疲弊させた。

 医療は崩壊ではなく、破壊されたのだ。

 最弱者を狙い撃ちにするような非人間的な制度は、即刻撤廃するべきである。

 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)多田名誉教授は、下記のような現在の医療行政の失政および医療制度改悪について鋭く指摘されています。

 (a) 医療費亡国論、小泉竹中構造改革、膨大な財政赤字 (官僚・与党議員等が何
  ら責任を取ろうとしない。反省・謝罪の弁も全くない!) に伴う財務省の財政
  再建至上主義 (財政再建原理主義) 等による 「医療費抑制・医師不足による医
  療崩壊・医療破壊 (特に、勤務医・病院)」


 (b) 「患者・高齢者・介護サービス利用者・障害者の視点」 より、「財政再建の視
  点」・「社会保障費削減の視点」・「医療費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生
  労働省の視点 (省益・局益)」・「診療報酬支払い側の視点」・「介護保険料の視
  点・市町村の視点」 等の方を重視してきた厚生労働省

 (c) 平均在院日数の呪縛

 (d) 2006年の診療報酬改定で導入された 「リハビリテーション算定日数制限」
  よび厚生労働省の見せかけの緩和策

 (e) 医療保険において、リハビリテーションを継続することにより 「状態の改善」
  が得られる場合しか算定を認めない厚生労働省
   (*) 「状態の維持」 および 「状態の低下傾向の可能な限りの抑制」 も重要であ
   り、このことは、症例によっては、「状態の改善」 と同等あるいはそれ以
   上に難しいタスクです。したがって、介護保険リハビリテーションでは
   困難 (平成21年度介護報酬改定で導入される短時間通所リハビリテーショ
   ンでも困難) であり、医療保険での集中的かつ濃厚なリハビリテーション
   が必要な場合が少なくありません。

 (f) 2008年10月に導入された 「障害者病棟からの脳卒中患者・認知症患者の排除」

 (g) 量的・質的に不充分な回復期リハビリテーション病棟、発症・手術・損傷か
  ら同病棟入院までの期間の制限 [2ヵ月以内 (一部、1ヵ月以内)] 、2008年10
  月から導入された 「患者選別」 を強要する同病棟への成果主義 [在宅復帰率等
  のアウトカム評価 (通常の成果主義は、プロセス評価が主)]

 (h) 医療療養病床の理不尽な医療区分の問題・不充分な診療報酬の問題

 (i) 量的・質的に不充分かつ経営的に不安定な介護保険施設

 (j) 不充分な在宅ケア体制

 (k) 要介護度の軽度化、介護給付費の抑制、老老介護・介護殺人・介護自殺・孤
  独死等の介護保険の構造的問題 (含、本来の理念 「介護の社会化」 の空疎化)

(2)我々リハビリテーション関係者も、多田名誉教授の忸怩たる思いと腹の底からの叫び・主張・提言を、真摯に受け止め、自らの力不足・努力不足・認識不足・行政へのアピール不足・厚生労働省の分断作戦によるリハビリテーション関連団体の分断・分裂等を深く反省しなければならないと思います。

(3)リハビリテーション (特に、診療報酬・介護報酬) において、下記のように、立場が違うと、それぞれの思惑が大分異なります。

 (a) リハビリテーション関連団体
  (1) 整形外科関連3団体 (日本整形外科学会・日本臨床整形外科学会・日本
    運動器リハビリテーション学会)、
  (2) 日本呼吸器学会・日本呼吸ケアリハビリテーション学会
  (3) 日本心臓リハビリテーション学会
  (4) リハビリテーション関連5団体 (日本リハビリテーション医学会・日本
    リハビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業
    療法士協会、日本言語聴覚士協会)

 (b) 各リハビリテーション・ステージ (急性期、回復期、維持期)

 (c) 各診療科 (整形外科、内科、小児科、脳神経外科・神経内科、呼吸器内科・呼
  吸器外科、循環器内科・心臓血管外科、リハビリテーション科、等)

 (d) 各職種 (医師、PT、OT、ST、あん摩マッサージ指圧師、看護師、准看護
  師、柔道整復師)

 (e) 医療機関 (大学病院等特定機能病院、大病院、中小病院、診療所。総合病院、
  専門病院、等)

 (f) 医療保険 [医療機関、(施術所、治療院、鍼灸院、鍼灸マッサージ院、整骨院、
  接骨院)]、介護保険 (介護保険施設・居宅サービス事業所)、障害者自立支援法

 (g) 民間医療機関、公的医療機関

(4)上記(3)の立場の違い・思惑の違いにつけ込んで、厚生労働省は分断作戦を敢行し、勝利を収めてきました。そしてそれが、多田名誉教授が嘆かれている診療報酬改悪・介護報酬改悪・医療制度改悪に繋がってきました。

 したがって、我々リハビリテーション関係者は、リハビリテーションの理念の原点に戻り、上記(3)の様々な立場を超えて、足並みを揃え、「患者さん・障害のある方」 の視点に立った行動をとり、以て、我々の使命・責務を果たす必要があると思います。
 また、リハビリテーション効果の更なるエビデンスを示していく責任もあると考えられます。

(5)以上、多田名誉教授がお書きになった文章 (脳卒中患者 リハビリ医療を奪われた 「棄民」) について論じました。

 多田名誉教授が指摘された様々な問題点を包含するリハビリテーションの現状を打破するためには、我々リハビリテーション関係者のみならず、厚生労働省とも足並みを揃える必要があり、行政・政治・マスメディア等を巻き込んだ包括的なアプローチが肝要と考えられます。

 そしてそれが、「医療難民 (特に、脳卒中、認知症)・救急難民・リハビリ難民・介護難民・障害者難民」 ならぬ 「医療棄民 (特に、脳卒中、認知症)・救急棄民・リハビリ棄民・介護棄民・障害者棄民」 の出現防止に繋がると考えられます。




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6万床時代を迎える回復期リハビリ病棟 (回リ協・会長講演) ①

 平成21年2月14日~15日、「全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会 第13回研究大会 in 大阪」 が開催され、同協議会の石川誠会長が、基調講演 「6万床時代を迎える回復期リハビリテーション病棟」 を行いました。
 Japan Medicine (2009/2/18) に上記講演の紹介記事が掲載されていますので紹介します。


●「回復期リハ病床は2次医療圏単位での設定を」 (都道府県・2次医療圏の病床格差に懸念)

①全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会・第13回研究大会 in 大阪が14、15の両日、大阪市で約2,000人の参加者を集めて開かれた。
 14日、石川誠会長 (初台リハビリテーション病院理事長) は、回復期リハビリテーション病床数の都道府県格差が広がり、リハビリテーション医療の均てん化を図る上で、各県ごとに2次医療圏域における回復期リハビリテーション病床の整備目標を設定すべきだと提言した。

②石川会長は、回復期リハビリテーションについて、1月30日時点で950病院、1,181病棟、5万2,670病床が地方厚生局に届けられ、増加傾向が続いている。
 これを都道府県別にみると、人口10万対の回復期リハビリテーション病床は茨城県の20床から高知県の130床までと、その格差が顕著になっていると説明した。

③同会長は特に、九州地区は全県で人口10万対50床を上回り平均72床に対して、関東地域は平均26床にも満たない。
 また、ある県では、2次医療圏間で人口10万対の回復期リハビリテーション病床が130床から20床未満まで格差が大きくなっている現状を示し、「回復期リハビリテーション病床は、もはや自然増ではなく目標病床数の設定を医療計画の施策として取り扱うことで、公平な医療提供体制の確保につなげるべきだ」 と指摘した。

④さらに、回復期リハビリテーション病棟では06年度診療報酬改定で6単位から9単位まで提供可能なリハ量が増えたが、医療現場での全国平均は4.5単位で、9単位が提供可能な施設は約3%にとどまるとした。

⑤こうした現状を踏まえ石川会長は、次期診療報酬改定に向け回復期リハビリテーション病棟の質の評価基準を、配置スタッフ数とリハの成果に基づき、新たに2~3段階の評価体系に再構築する方向で検討する考えを示した。

⑥現行の回復期リハビリテーション病棟の診療報酬は、施設要件で大きく2段階となっており、高い点数の回復期リハビリテーション病棟入院料1の中で重症患者回復病棟加算が設けられ、実質3段階になっている。
 石川会長は、4月以降に中医協で行われる回復期リハビリテーション病棟の質の評価の検証結果なども踏まえ、質の評価の基準を配置スタッフ、例えば専任医を専従医とし、看護師、介護福祉士、言語聴覚士 (ST)、社会福祉士など病棟専従スタッフの配置を手厚くし、リハビリテーションの成果を上げている高度回復期と、従来の重症患者回復病棟加算の要件程度であれば通常回復期など、段階的評価体系を検討していきたい意向とした。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記①~③によると、回復期リハビリテーション病棟は、1月30日時点で、5万2,670病床に達したが、都道府県間格差・二次医療圏間格差が相当あり、リハビリテーション医療の均てん化を図る上で、各県ごとに二次医療圏における回復期リハビリテーション病床の整備目標を設定すべきと提言しています。

 脳卒中の地域医療連携・地域リハビリテーション連携において、各二次医療圏で急性期~回復期~維持期のリハビリテーションサービスが円滑に流れることが期待されていますが、回復期リハビリテーション病床が過剰気味な地域では良いとしても、量的未整備地域では急性期病院が連携しようにも回復期リハビリテーション病床が少なすぎるという連携以前の問題が生じます。
 即ち、都道府県間格差・二次医療圏間格差という地域格差を解消し、リハビリテーション医療の均てん化を図る必要があります。
 したがって、各都道府県の地域医療計画に、各二次医療圏における回復期リハビリテーション病床の整備目標を導入する必要があると考えられます。

(2)上記④~⑥については、回復期リハビリテーション病棟の質の向上に関する課題です。
 患者1日あたり9単位の集中的かつ濃厚なリハビリテーションを行うことが、回復期リハビリテーション病棟の義務・使命であるはずですが、上記④のように、実際の実績 (全国平均4.5単位) は低すぎます
 リハビリテーション・マンパワー不足がその要因の一つと考えられます。

 そこで、次期診療報酬改定に向け、回復期リハビリテーション病棟の質の評価基準を、リハビリテーションの成果のみならず、人員配置基準 (配置スタッフ数) の因子も含めて、新たに2~3段階の評価体系に再構築する方向で検討する考えを示しています。

 即ち、回復期リハビリテーション病棟の質の評価基準を、人員配置基準 (配置スタッフ)、例えば、専任医を専従医とし、看護師、介護福祉士、言語聴覚士 (ST)、社会福祉士など病棟専従スタッフの配置を手厚くし、リハビリテーションの成果を上げている 「高度回復期リハビリテーション病棟」 と、従来の重症患者回復病棟加算の要件程度であれば 「通常回復期リハビリテーション病棟」 など、段階的評価体系を検討していきたいとしています。

(3)前回の当ブログ記事 [「医療の提供体制の現状と課題 (講演:厚生労働省保険局医療課長)」] でも述べていますが、回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義に用いられているアウトカム評価は、「医療の不確実性」 を考えると、基本的に医療への適用は差し控えるべきです。
 特に、リハビリテーションの分野においては、在宅等復帰率や患者回復度は、患者の原疾患の重症度、合併症・併存疾患のみならず、病前ADL、介護者因子、環境要因等の多因子に大きく左右されるため、アウトカム評価の適用は控えるべきと思います。

 したがって、回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義の指標としては、アウトカム評価ではなく、プロセス評価・ストラクチャー評価に重きを置くべきと考えられます。
 その意味では、現行のアウトカム評価以外に、ストラクチャー評価・プロセス評価 (人員配置基準、リハビリテーション機能、チーム医療機能、地域連係機能等) を導入すべきと思います。

(4)但し、これまでの長年の診療報酬改定のやり方を見ると、厚生労働省は、ある医療サービス提供体制を導入した当初は、そのサービスを全国に普及させるために、敢えてハードルを下げて (前回改定では、回復期リハビリテーション病棟の専従医師を専任医師へ変更、病棟専従スタッフの要件は据置)、各医療機関からの参入を誘導します。
 しかし、ある程度、そのサービス医療提供体制が普及したと見なすと、いきなりハードルを挙げて、はしごを外します。

 上記⑥のような 「高度回復期リハビリテーション病棟」「通常回復期リハビリテーション病棟」 の創設については、現在、回復期リハビリテーション病床数が、地域格差はあるとしても、全国で5万床を超えたため、診療報酬改定 (全国一律の考え方!) 的には、人員配置基準等のハードルを上げて、上記2種類の病棟に類型化する可能性があると考えられます。(但し、厚生労働省は、最終的には、「通常回復期リハビリテーション病棟」 を医療療養病床へ追いやると思いますが・・・)。
 一方、回復期リハビリテーション病棟には地域格差があるため、その是正には馴染まない診療報酬改定ではなく、上記(1)の通り、各都道府県の地域医療計画に、各二次医療圏における回復期リハビリテーション病床の整備目標を導入する方がベターと考えられます。

(5)一方、講演抄録に次のようなことが記載されています。

 当協議会が毎年実施している2006年の実態調査によれば、脳卒中の自宅復帰率が60%以上の病棟は約60%程度であったが、2008年12月の時点で新たな診療報酬の回復期リハ病棟入院料1の病棟は77%であり各病棟の相応の努力が伺える結果を示した。
 また、改定前には在宅復帰できそうにない患者の受け入れ拒否などの患者選別の懸念があったが、病床過剰地域では患者選別より患者獲得競争の時代となっており、懸念された現象は起きていない。
 すなわち、より質の高い回復期リハ病棟が患者・家族から選ばれる時代に入ったことを意味している。

 上記文章では、在宅復帰できそうにない患者の受け入れ拒否などの患者選別は (病床過剰地域では) あまり問題ないと記していますが、論文 「脳卒中地域医療の現状を把握するための全国アンケート調査-回復期リハビリテーション病棟の現状-」 (脳卒中 30: 735-743, 2008) では次のように論じられています。

●12都道府県 (北海道、秋田県、群馬県、東京都、神奈川県、長野県、大阪府、和歌山県、広島県、徳島県、福岡県、鹿児島県) [12県中、病床過剰地域は7県] における回復期リハビリテーション病棟において、急性期病院からの患者受け入れ制限理由は、多い順より、①透析、②人工呼吸器、③重症、④気管切開、⑤不穏、⑥認知症、⑦合併症多い、⑧MRSA、⑨自宅退院が困難、⑩褥創、⑪経管栄養、⑫胃瘻、でした。

 即ち、病床過剰地域といえども、在宅復帰できそうにない患者の受け入れ拒否などの患者選別は起こっていると考えられ、医療難民 (特に脳卒中・認知症)・リハビリ難民・介護難民の問題は解消されていないと思います。

 したがって、(積極的な回復期リハビリテーションの適応があるか悩む症例も多いとは思いますが)、回復期リハビリテーション病棟が、如何に、高いレベルの医療 (再発予防、合併症・併存疾患の管理、リハビリテーション・リスク管理、急変時対応) を提供できるかが鍵と思われます。(現行の診療報酬では限界があるとは思われますが・・・)。

(6)以上、「全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会 第13回研究大会 in 大阪」 における同協議会の石川誠会長の基調講演 「6万床時代を迎える回復期リハビリテーション病棟」 について考察しました。
 まずは、中医協診療報酬改定検証部会における、回復期リハビリテーション病棟の質の評価に対する検証結果を注目したいと思います。

【関連記事】
 ◎回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎医療の提供体制の現状と課題 (講演:厚生労働省保険局医療課長)






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