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新要介護認定 公開の場で検証へ 早ければ7月にも (厚生労働省)

 現在、国民サイドから非難の的になっている 「新しい要介護認定制度」 について、厚生労働省が、異例にも早期の検証を行うことを表明しました。その関連記事を下記に紹介します。

(資料) 新要介護認定 公開の場で検証へ 早ければ7月にも (厚生労働省) (Japan
   Medicine 2009/3/13)


①厚生労働省は、今年4月から施行する新しい要介護認定制度の検証を公開の場で行う方針を固めた。

 厚労省老健局老人保健課の鈴木康裕課長は3月10日、記者団に対し 「利用者の不安につながらないためにも、新制度について開かれた場で検証することが必要」 と述べ、4月以降の認定結果を踏まえ、早ければ7月に検証を始める見通しを示した。

 鈴木課長はまた 「新制度について説明が十分でなかった点がある」 と話し、3月中にも新制度の留意事項を通知する予定とした。

②要介護認定制度の見直しは、(1) 介護の手間に関する最新データを反映、(2) 調査員らによる認定結果のばらつきの是正、(3) 認定方法の効率化、が柱。

 認定調査項目を現行の82項目から74項目に減らしたほか、認定調査員や介護認定審査会委員向けのテキストを作成し、認定調査員の判断基準として示している 「認定調査項目の定義」 を見直した。

●認定調査の項目判定見直し 「軽度化ではない」

③認定調査項目の定義の見直しでは、実際に介助が行われていない場合は 「介助なし」 を選択し、補足情報を特記事項に記載するように変更。

 従来 「全介助」 とされていた寝たきりの人が、「移動や移乗の必要がない」 ことを理由に 「介助なし」 に判定されるケースなどが予想され、利用者側から 「要介護度認定の軽度化につながる」 と懸念する声が上がっている。

④これに対し、鈴木課長は 「介助がない場合は、これまで調査員の想像で項目を選択しており、推量や主観が入っていた。新制度では観察した結果を選択して、見たままの客観的な情報を特記事項に記載することにした」 と述べ、判定のぶれを解消することを目的とした。

 その上で 「審査会で特記事項を踏まえることで、より適切な2次判定につながる。この最終判定が大きな意味を持つ」 と話した。

⑤厚労省が行った新制度の検証事業で、1次判定では現行制度より軽度に判定される割合が高いとの結果が出たことに関しては 「2次判定では認定調査の特記事項を踏まえて軽度判定は少なくなっている」 と説明。

⑥新制度で 「要介護5」 の割合が現行制度より約2割減少している点についても 「モデル事業は本人から同意を得られた場合のみを対象としているが、一部の要介護5の人から調査への同意を得られなかった」 と述べ、重度者の一部が対象外だったことが影響していると分析した。

⑦新制度の見直しについては 「新しい1次判定ソフトも1月に配布しており、今から元に戻したりすると市町村や利用者はさらに混乱する」 とし、すぐに見直す可能性は低いとした。

 その上で、「公開の場できちんと検証を行い、そこで不具合が分かれば迅速な対応をする」 と話した。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)2009年4月1日に導入される 「新要介護認定制度」 (資料-②) は、資料-③のような理不尽・不可思議・常識外れな点が多数見られます。詳細は、下記のブログ記事・ニュース記事を参照。

● 「masaの介護福祉情報裏板」 ブログ記事
 ◎新認定調査ルールも軽度誘導へ。(前編)
 ◎新認定調査ルールも軽度誘導へ。(中編)
 ◎新認定調査ルールも軽度誘導へ。(後編)

●CBニュース
 ◎認定調査の留意点-09年度要介護認定の改定概要 (1)
 ◎身体機能・起居動作-09年度要介護認定の改定概要 (2)
 ◎生活機能-09年度要介護認定の改定概要 (3)
 ◎精神・行動障害、社会への適応など-09年度要介護認定の改定概要 (4)
 ◎新たな要介護認定は 「軽度に判定」-全日本民医連
 ◎新たな要介護認定は 「常識外れ」-認知症の人と家族の会

●当ブログ記事
 ◎平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解

(2)上記の新要介護認定制度に対する多くの批判に対して、資料-④の通り、厚労省の鈴木老人保健課長は 「介助がない場合は、これまで調査員の想像で項目を選択しており、推量や主観が入っていた。新制度では観察した結果を選択して、見たままの客観的な情報を特記事項に記載することにした」 と述べ、判定のぶれを解消することを目的としたと反論しています。

 「見たままの客観的な情報を特記事項に記載」 することは妥当です。
 しかしながら、「観察した結果を選択する際の、選択方式が非常識・理不尽」 [例:寝たきりなど重度の状態で、「移乗」 や 「移動」 の機会が全くない場合、現行では 「全介助」 と判断されているが、新基準では 「自立 (介助なし)」 と判断される。「食事摂取」 が中心静脈栄養のみの場合も、現行の 「全介助」 から 「自立 (介助なし)」 に変更される] であることが大問題です。

(3)資料-⑤に関しては、平成19年度に厚労省が行った 「変更についての検証」 は、86件という極めて少ない症例数で解析しており、全くエビデンスがないと言わざるを得ません。
 また、資料-⑥についても、全くの詭弁と思われます。

(4)上記(1)の様々な批判は、「新要介護認定制度は、要介護度の軽度化をもたらす。この制度を導入した厚生労働省の目的は、要介護度の軽度化による介護給付費の抑制 (介護保険料の引き上げの抑制、市町村負担の抑制) である」 という意見に集約されます。

(5)上述のように、認定調査による1次判定が当てにならない可能性が高い以上、資料-④の 「審査会で特記事項を踏まえることで、より適切な2次判定につながる」 という点が重要であり、「masaの介護福祉情報裏板ブログ」 の記事 (新認定調査・特記事項の書き方) において、次のように述べられています。

●適切な二次判定のためには 「調査員の特記事項または主治医意見書に、介護の手間を一次判定の基準時間に上乗せできる根拠が記載されていること」 が不可欠である。
 主治医意見書の現状を考えると、特に、調査員の特記事項の記載が重要である。

(6)新要介護認定制度により、要介護度が下がると支給限度額が下がるため、利用できる介護サービスが制限されます。また、非該当になると、介護サービス自体が利用できなくなります
 そうなると、利用者の介護や生活に多大な影響を及ぼします。

 したがって、下記の記事のように、新たな判定ソフトの信頼性などについて国民に説明し、納得が得られるまで、一旦、凍結することが求められています。

●CBニュース
 ◎新たな要介護認定制度、一時凍結を-「介護1000万人の輪」 が要望書
 ◎ 「新認定システム」 は実施の凍結を-全日本民医連

(7)一方、資料-⑦の通り、厚労省側は、新制度の見直しについては 「新しい1次判定ソフトも1月に配布しており、今から元に戻したりすると市町村や利用者はさらに混乱する」 とし、すぐに見直す可能性は低いとしています。
 また、資料-①の通り、「4月以降の認定結果を踏まえ、早ければ7月に公開の場できちんと検証を行い、そこで不具合が分かれば迅速な対応をする」 と話しています。

 しかしながら、新要介護認定制度を強行する方がより混乱すると考えられます。
 早ければ7月に公開の場できちんと検証せざるを得ない代物であれば、一旦、凍結して、制度の再検討をした方がベターと思われます。
 
(8)以上、新要介護認定制度の検証問題・凍結問題について論じました。

 要介護認定をめぐっては、以前から判定基準が明確でないことや、認知症の人の判定が低くなりやすいとして、不平・不満が多く、また、病状や障害の状態は変わらないのに、認定更新のたびに判定が軽くなり、必要なサービスを使えなくなる高齢者も少なくありませんでした。

 今回の新要介護認定制度により、上記の問題が改善されると思っていましたが、上述のように、かえって改悪となりそうです。

 厚生労働省には、「要介護度の軽度化→介護給付費の抑制→介護保険料の引き上げの抑制・市町村負担の抑制」 という考えではなく、「高齢者・介護サービス利用者」 の視点を重視した介護報酬改定・要介護認定制度改正を行うという英断を下して頂きたいと思います。(本当は、英断ではなく、本来の責務なのですが・・・)。




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地域包括ケアの実現に向けて (講演:厚生労働省・宮島老健局長)

 Japan Medicine (2009/2/18) によると、厚生労働省の宮島俊彦老健局長は2月14日、都内で開かれた国際医療福祉大・医療福祉経営審査機構共催の医療経営セミナー 「平成21年度介護報酬改定への対応と課題」 において、基調講演 「地域包括ケアの実現に向けて」 を行いました。講演要旨は下記の通りです。

①宮島局長は、次期介護報酬改定で介護従事者の勤続年数などの評価を導入したことに関し、「本当は利用者に対する質の評価が必要」 と指摘。
 介護サービスの質の評価に当たって 「P4P (Pay for Performance) といった評価を介護報酬に導入できないかという考えが上っている」 と話した。
 P4Pは米国のメディケアで始まった医療提供の質に基づく支払い方式で、臨床実績に対し診療報酬を優遇する。

②宮島局長はさらに、「介護人材確保のためにはキャリアラダーも必要。これらをどういった形で制度にうまく取り込むかが次の介護報酬改定の課題」 と述べた。

③介護保険の財源については、「介護報酬は今後も引き上げていかないと、マンパワー確保や処遇改善ができない。そういった意味で財源的な問題がでてくる」 と指摘。
 第3期(2006~2008年度)の65歳以上の第1号介護保険料4,090円について、「4,090円をいつまで払えるのか、限度があるのではないかという議論がある。今後介護報酬を引き上げるとなると、保険料をどうするか工夫しなければならない」 と話した。

社会保障国民会議の改革シナリオ (2025年) で、社会保障費増の方向性が示されたことに対しては、「内閣府の考えでは、医療・介護体制をより充実し問題を解決する方向性で提言したと受け止めてもらいたい」 と話した。その上で、スウェーデンなど高福祉国のGDPや消費税率が高いことに触れて、「消費税が高いと経済成長が悪いというのはおかしな話。医療や介護は公共事業と同じような効果がある」 と述べ、社会保障費増の必要性を強調した。

⑤宮島局長はこのほか、「ヨーロッパ諸国では介護職員にも医療行為をさせるという趨勢だが、基礎的な部分で医療と介護の両方を介護職員ができることにしないと、高齢社会でケアの需要に対応するのは難しい」 と述べ、専門職間の役割分担の見直しが必要との見方を示した。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記①において、宮島局長は、介護サービスの質の評価に、P4P (Pay for Performance) 評価を介護報酬に導入できないかという考えを述べています。

 P4Pは、米国医学院が次のように定義しています。

●P4Pとは、EBMに基づいて設定された基準や指標で、医療の質を測定し、その結果に基づいて質の高い医療提供に対して経済的インセンテイブを与えることである。
 その目的は単に高質で効率的な医療にボーナスを与えることにとどまらず、高質の医療への改善プロセスを促すことにある (2006年)。

 日本版 P4P は、平成20年度診療報酬改定において既に導入されています。
 「回復期リハビリテーション病棟入院料1」・「重症患者回復病棟加算」・(「褥瘡評価実施加算」) における成果主義の導入です。
 但し、問題は、欧米の P4P がプロセス評価が中心であるのに対して、日本版 P4P がアウトカム評価であるということです。
 アウトカム評価は、患者の原疾患の重症度、合併症・併存疾患、病前ADL、介護者、環境要因等に大きく左右されるので、P4Pの指標としてはあまり勧められないと考えられています。

 回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義については、中医協診療報酬改定検証部会で検証される予定ですので、その結果を見てからの、介護保険への P4P の導入と考えられます。(拙速な導入は避けるべきと思います)。

 また、回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義に関しては、以前の当ブログの記事 [「回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)」] も、ご参照下さい。

(2)上記②に関しては、キャリアラダー (キャリア開発教育システム) は、特に看護部門で導入され、成果を上げています。
 したがって、それに準じて、介護職員のキャリアラダーシステムをできる限り早期に構築・実施し、介護職員のモチベーションアップ・離職防止等に活用して頂きたいと思います。

(3)上記③については、
 (a) 介護サービス提供者のための介護報酬引き上げ
 (b) 介護報酬引き上げと相反する、介護サービス利用者の自己負担・支給限度額
   の問題

 (c) 介護報酬引き上げによる、介護保険料の引き上げ・消費税増税に伴う国民の
   負担

 (d) 介護報酬引き上げと相反する、市町村の負担増大
という複雑な連立方程式をどのように解いていくか、厚生労働省の手腕が期待されます!?。

 また、「masaの介護福祉情報裏板」 ブログの記事 「介護保険制度の対象年齢は広げられない?」 において、次のように、警鐘も含めて、述べられています。

●介護保険制度は制度創設時に受益者負担の原則をスローガンにして、それまでの介護サービスの多くが措置制度を始めとした応能負担であったものを、応益負担に変えたもので、今現在もその考え方が引き継がれている。つまり利用者1割負担を原則とする定率負担である。
 よって今回の障害者自立支援法の見直しは、介護保険制度と障害者サービスがまったく別な費用負担制度になることを意味し、両者の統合は事実上不可能になったことを意味し、それは介護保険の被保険者の対象年齢の引下げが事実上不可能になったことを意味しているのではないかと考える。
 そうなると当面、2号被保険者は40歳以上という現行ルールの変更はされないだろうし、3年後の制度改正の本丸は、どうやら自己負担率 (現行の利用者1割負担) のアップとなるのではないだろうか。
 特に3年後は診療報酬とのダブル改正であることから、それに併せる形で、2割負担あるいは3割負担まで議論される可能性が高いといえるだろう。


(4)上記④に関しては、社会保障国民会議の改革シナリオが、消費税増税を正当化する手段として、財務省に悪用されないように、国民一同が充分監視しなければならないと思います。宮島局長も 「消費税が高いと経済成長が悪いというのはおかしな話」 と述べていますので・・・。
 その意味では、宮島局長の 「内閣府の考えでは、医療・介護体制をより充実し問題を解決する方向性で提言したと受け止めてもらいたい」 という言葉はむしろ空疎に聞こえます。

 一方、『「医療や介護は公共事業と同じような効果がある」 と述べ、社会保障費増の必要性を強調した』 という文章には唖然としました。
 以前の当ブログの記事 [「医療立国論Ⅱ 厚生労働省解体-医療庁を設置せよ! (大村昭人氏著)」] で述べていますが、これまで 「医療費亡国論」 に則り、「医療費抑制・医師不足→医療崩壊・医療破壊」 の張本人の一人である方が、上記のような180度正反対の言葉を仰るとは・・・。

(5)上記⑤に関しては、以前の当ブログの記事 (「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケア」) で論じていますが、「介護従事者による医療行為の一部許容」 (特に、経鼻経管栄養及び胃瘻による栄養管理、喀痰吸引) を意図しています。

 平成21年2月12日に開催された 「第1回特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」 においては、法曹・看護・日本医師会サイドより、否定的な発言が出ましたが、うまくソフトランディングするよう、厚生労働省には頑張って頂きたいと思います。
 但し、厚生労働省が、「医療費抑制・介護保険料抑制」 のことばかり考えて、「要介護者の安全」 ならびに 「介護従事者の防護・庇護」 がおろそかにならないように充分配慮して頂きたいと思います。

(6)以上、厚生労働省の宮島俊彦老健局長の基調講演 「地域包括ケアの実現に向けて」 について考察しました。

 以前の当ブログ記事 [『介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)』、「厚生労働省のキャッチフレーズ及び行動指針の策定について」、「平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解」] で述べたように、厚生労働省は、日頃は、「患者・高齢者・介護サービス利用者の視点を一番大事にします」 と言っておきながら、肝心な時には、「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「介護保険料の視点・市町村の視点」 の方を重視してきました。
 この自己矛盾を打破し、国民の安全・安心・納得・満足のために、国民本位の社会保障政策、医療・介護・福祉政策の立案・実施を切望します。
 また、「まやかしのエビデンス」 ではなく、現場の介護従事者・サービス利用者・家族等が納得する 「真のエビデンス」 に基づく介護報酬改定を行って頂きたいと思います。




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平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーションに関する別の情報)

 前回の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)」) において、「利用者の自己負担・支給限度額」 が、訪問リハビリテーションに及ぼす悪影響について論じました。

 日経ヘルスケア2009年2月号 「特集② 速報! 09年度介護報酬改定 プラス3%の中身は? 訪問介護と通所介護で明暗」 に、訪問リハビリテーションの解説記事が掲載されていますので紹介します。


(資料1) 訪問リハビリテーション費
 ①理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が実施:305単位/回
                        (現行:500単位/日)
 ②20分間リハビリテーションを行った場合に1回として算定。
 ③短期集中リハビリテーション実施加算
  (a) 退所・退院または要介護認定を受けた日から1ヶ月以内
    ◎+340単位/日 (週2回以上・1回40分以上)
      [現行:+330単位/日 (週2回以上・1回20分以上)]
  (b) 退所・退院または要介護認定を受けた日から1ヶ月超3ヶ月以内
    ◎+200単位/日 (現行と同じ)
 ④サービス提供体制強化加算+6単位/回 (新設)
    ※算定要件:利用者にサービスを直接提供する理学療法士等に、勤続年数
          3年以上の者を配置。
 ⑤現行のリハビリテーションマネジメント加算 (20単位/日) は廃止。


(資料2) 60分の訪問リハで報酬がほぼ倍増

①訪問リハビリテーションは、サービス提供拠点を増やす狙いから、次回改定で手厚く評価される。地域区分の報酬単価が見直され、都市部は1単位当たりの額が0.88~3.34%上がるほか、基本報酬が大幅に引き上げられる。

②具体的には、算定方式が1日500単位から1回305単位に見直される。20分間のリハビリを1回と数えるため、1日40分のリハビリを行えば計610単位、60分行えば計915単位算定できるようになる。3月までに厚労省が出す通知では、週6回まで算定を認める見通しだ。
 「現状では週1日、40~60分のリハビリを行っているケースが多いので、改定後は増収になるはずだ」 と全国訪問リハビリテーション研究会顧問の石川誠氏 (医療法人輝生会理事長) は話す。

③さらに厚労省は、訪問看護ステーションが行う訪問リハビリも推進する。現在、理学療法士などの訪問回数が看護師、保健師の訪問回数を上回ることを制限しているが、これを撤廃する通知を出すもよう。管理者要件も緩和し、看護師、保健師に限らず、理学療法士なども認める方針だ。

④そのほか、介護老人保健施設が行う訪問リハビリの対象患者も広がる。従来は、老健施設を退所して1ヶ月以内の利用者に限られていた。次回改定では、老健施設に併設された通所リハビリの利用者が通所困難になった場合にも、1ヶ月に限り訪問リハビリを算定できるようになる。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記資料2のタイトル (解説記事の小見出し) および①~④によると、
 ①60分の訪問リハで報酬がほぼ倍増。
 ②訪問リハビリテーションは、サービス提供拠点を増やす狙いから、次回改定
  で手厚く評価される。
 ③ (現行は500単位/日だが)、改定後は、1日40分のリハビリを行えば、計610
  単位、60分行えば計915単位算定できる。
 ④2009年3月までに厚労省が出す通知では、週6回まで算定を認める見通し。
 ⑤ 「現状では週1日、40~60分のリハビリを行っているケースが多いので、改
  定後は増収になるはずだ」 という石川氏の言。
 ⑥厚労省は、訪問看護ステーションが行う訪問リハビリも推進する。現在、理
  学療法士などの訪問回数が看護師、保健師の訪問回数を上回ることを制限し
  ているが、これを撤廃する通知を出すもよう。
等々、改定後の訪問リハビリテーション・訪問看護7は、非常に手厚い評価であり、バラ色の人生が待っているかのように見えます。

(2)しかしながら、前回の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)」) にて論じたように、現実はそう甘くはないと考えられます。

 やはり、「サービス利用者の自己負担・支給限度額の問題」 が、相当、訪問リハビリテーションに悪影響を及ぼすのではないかと思われます。
 ケースバイケースですが、訪問リハビリテーションの利用が真に必要なのに、上記問題にてやむなく、ケアプランに組み込めない方も少なくないのではないかと推察されます。(金持ちの方で、1割の自己負担分、あるいは支給限度額を超えた分の全額自己負担分を払える人は、いいのですが・・・)。

(3)診療報酬・介護報酬における 「患者またはサービス利用者の自己負担の問題 (負のスパイラル問題)」 に関しては、前回の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)」) にて詳述していますので、ご参照下さい。

(4)以上、平成21年度介護報酬改定後、最終的に 「訪問リハビリテーションのサービス提供拠点は充分に増えるのか」「訪問看護7も含めて、介護保険における訪問リハビリテーションは今以上に充実した質の高い体制ができるのか」 については、
  ①サービス利用者の自己負担・支給限度額等の問題
  ②質の高い充分な訪問リハビリテーション・サービスを提供するために必要な
   リハビリテーション・マンパワーが未だ不充分であり、且つ施設間格差・地
   域格差もあるという問題

等にて、未だ不透明な部分がありますが、是非、それらを克服して、介護保険における訪問リハビリテーションの質・量とも充分な体制が、全国的に普及することを切望します。




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平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)

 平成21年度介護報酬改定において、「訪問リハビリテーション」 が次のように改定されました。

(資料1) 訪問リハビリテーションの改定概要

 基本報酬については、医療保険等との整合性を図る観点から、1日単位ではなく、サービス提供時間に応じた評価に見直す

  ●訪問リハビリテーション費:500単位/日→→→→→→305単位/回

    (注) 20分間リハビリテーションを行った場合に1回として算定

①介護老人保健施設からの訪問リハビリテーション
 通所リハビリテーションの利用者が通所できなくなった際にも円滑な訪問リハビリテーションの提供を可能とする観点から、介護老人保健施設で通所リハビリテーションを受けている利用者については通所リハビリテーション終了後1月に限り、当該施設の配置医師がリハビリテーション計画を作成し訪問リハビリテーションを提供することを可能とする。

②短期集中リハビリテーション実施加算
 早期かつ集中的なリハビリテーションを推進する観点から、短期集中リハビリテーション実施加算の評価を見直す。

  退院・退所日又は認定日から起算して  退院・退所日又は認定日から起算して
   1月以内の場合330単位/日→→→→→→1月以内の場合340単位/日
   (週2回以上・1回20分以上)      (週2回以上・1回40分以上)


 資料1の改定概要において、「訪問リハビリテーション」 は一見有利な改定に見えますが、「旅とグルメの日々 イニシア 田原はじめのblog」 ブログの記事 「介護報酬改定のナイショ話 (その2)」 において、次のような怖い話が語られています。


(資料2) 「介護報酬改定のナイショ話 (その2)」

「訪問リハも見直しになったよね。在宅復帰を推進するためにプラスの評価なんだろうね」。

H氏 「どうかな・・・」。

「訪問リハ費が1日500単位から、1回305単位になったよね。1回が20分だから、訪問して40分、つまり2回算定すれば610単位になるから引き上げってこと?」

H氏 「それが素人考えというもの」。

「なんで?」

H氏 「自己負担を考えると、2回にすると訪問リハの負担額が今より多くなるということ。なかなかそうしたプランを組めないよ」。

「短期集中リハの、1月以内は1日340単位という加算は、週2回で1回40分以上という条件になっているね」。

H氏 「これもなかなか取れないね。今は1回20分以上の規定だから、これも今より算定が難しくなる」。

「じゃあ、訪問リハは実質マイナス?」

H氏 「その可能性が大きいね。訪問リハはとても重要なのに、なんでこんな改定をしたんだろうね」。

酔いが瞬時に醒めるような会話だった。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)資料1の改定概要の通り、訪問リハビリテーションは、医療保険等との整合性を図る観点から、1日単位ではなく、「サービス提供時間に応じた評価」 に見直され、「介護老人保健施設からの訪問リハビリテーションにおける特例」、早期かつ集中的なリハビリテーションを推進する観点からの 「短期集中リハビリテーション実施加算の増額」 という評価も成されて、基本的にはプラス改定と考えられます。

(2)しかしながら、資料2のブログ記事で示された 「利用者の自己負担の問題」 により、次のようなことが想定されます。

訪問リハビリテーションを、利用者1人あたり、1日2回分 (20分×2=40分) 算定すると、305単位/回×2回=610単位、3回分 (60分) だと915単位 (現行は1日500単位) と成り、サービス提供者側は増収になります。
 一方、サービス利用者側からすると、自己負担額が今より多くなるため (場合によっては、支給限度額も影響)、そういうケアプランを容易には組めなくなると想定されます。

短期集中リハビリテーション実施加算も、算定要件が、週2回以上・1回40分以上 (現行は、週2回以上・1回20分以上) と成り、上記①と同じ理由で算定が難しくなると想定されます。

(3)結局、厚生労働省は、介護保険における訪問リハビリテーションをどうしようと思っているのでしょうか? 「訪問リハビリテーションは重要だから、より普及させよう」 とは思っていないのでしょうか?

(4)同様の矛盾が、リハビリテーションに限らず、また、介護保険に限らず、現実に生じています。即ち、診療報酬・介護報酬における 「患者またはサービス利用者の自己負担の問題」 です。

 厚生労働省が、診療報酬・介護報酬において、ある医療・介護サービスをもっと評価しよう・普及させようとして、報酬をアップ (医療・介護サービス提供者にとっては増収) させると、「自己負担制度」 により、患者またはサービス利用者の負担が増えるために、その医療・介護サービスを利用することを手控えてしまい、結局、医療・介護サービス提供者の増収も望めないという 「矛盾・悪循環・負のスパイラル」 が生じます。

 また、場合によっては、患者またはサービス利用者が必要な医療・介護サービスの利用を手控えることにより、その方の病状・障害像・要介護度・介護者負担等が増悪します! (最悪の場合、死に至ります!!)

(5)厚生労働省は、上記(4)の矛盾を理解していなくて、「現場感覚無しの机上の理論 (空論)」 で施策を行っているのでしょうか? それとも、全て分かっていながら、恣意的に行っているのでしょうか?
 後者ではないことを祈りますが・・・。財務省の財政再建至上主義に逆らえないため、やはり後者かな!? (苦笑&泣笑)。

 以前の当ブログ記事 (『日本慢性期医療協会からの 「7つの約束と3つのお願い」』) でも述べましたが、厚生労働省は、本来の使命 (国民の安心・安全・納得・満足) のために、机上の理論 (空論) はやめ、現場感覚・国民の視点で、医療・介護・福祉施策を立案・実施して頂きたいと思います。

(6)さらに、現実に、上記(4)の問題が全国的に少なからず生じていると思われますので、「医療費の窓口負担 『ゼロの会』」 も提唱していますが、医療・介護サービスの自己負担ゼロ化が望まれます。

(7)以上、上述の 「介護サービス利用者の1割自己負担、要介護度・支給限度額、ケアマネジメント等の問題」 ならびに 「充分な質の高い訪問リハビリテーションサービスを提供するために必要なリハビリテーション・マンパワーが未だ不充分であり、且つ施設間格差・地域格差もあるという問題」 等を克服して、介護保険における訪問リハビリテーションが全国的に普及することを切望します。




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介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」

 2008年11月、全日本民主医療機関連合会 (全日本民医連) は、『介護保険の利用実態と制度改善の課題 「介護1000事例調査」 報告書』 を公表し、728事例の分析に基づき、介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」 について、対策を含めて考察していますので、紹介します。


●介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」

 ①重い費用負担のため、利用を断念もしくは手控えざるを得ない事態が広がって
  いる。

 ②認定結果と本人の状態が著しく乖離する傾向が強まっており、その結果、サー
  ビスの利用に制約が生じている。

 ③予防給付への移行や、軽度者に対する福祉用具の利用制限などにより、状態の
  悪化や生活上の支障を生じている。

 ④支給限度額の範囲では十分なサービスを受けられない、もしくは支給限度額を
  超えた利用が必要なため、多額の自費負担が発生している。

 ⑤家族との同居を理由とする生活援助の機械的な打ちきりなどの 「ローカルルー
  ル」 の適用、外出支援など、利用に対する様々な制約が広がっている。

 ⑥重度化が進むが施設入所もままならず、家族介護、介護費用の二重の負担が増
  大する中で、在宅生活の維持、療養の場の確保に困難をきたしている。

 ⑦医学的管理を要する場合の施設入所、在宅生活が困難になっている。

 ⑧独居・老々世帯では、在宅での介護、生活の継続に様々な困難をかかえている。

 ⑨在宅での重度認知症の生活・介護が深刻化している。


 全体の特徴として、第1に、利用者の経済状態が非常に厳しくなっている中で、利用料をはじめとする費用負担の問題 (①) が多くの事例で共通していること、第2に、給付を抑制するしくみによって利用の手控えやとりやめが広がっており、利用者・家族の介護、生活に様々な支障をもたらしていること (②~⑤)、第3に、いわゆる 「行き場のない」 利用者の事例 (⑥~⑨) が過去に実施した調査と比較して数多く寄せられたこと、が挙げられます。

●求められる介護保険制度の大幅な改善

 介護保険制度は、「介護の社会化」 の理念を掲げてスタートしました。しかし、国による給付抑制が徹底されるなか、この理念そのものが、もはやほとんど顧みられなくなっているのが現実です。
 介護の充実は、「安心して老後を送りたい」 というすべての高齢者・国民の願いです。今後いっそう高齢化が進行します。独居、老々世帯が急増し、重度の疾患や障害をかけた高齢者、「認々介護」 と報じられるような認知症の高齢者も増えていきます。「誰もが経済的な心配なく、必要な介護を受けながら住み慣れた地域で暮らし続けること」 を保障しうる 「介護の社会化」 の真の実現が求められています。
 2009年度は介護報酬の改定が実施されますが、それだけにとどまることなく、利用者の介護・生活実態に正面から向き合い、介護保険の運用に対する真摯でかつ詳細な検証、それに基づいた制度全般の総合的な見直しを行うことが必要であると私たちは考えます。

1.制度の何を見直すべきか

(1)重い費用負担

 高齢者の生活状態がかつてなく悪化しています。高齢者世帯のうち生活保護基準の以下の収入で生活をしている世帯が26% (女性独居世帯は42%) となっており (「国民生活基礎調査」)、「低所得者ほど要介護状態になりやすい」 (近藤克則:『健康格差社会』、医学書院) という事実は、最も公的サービスを必要とする層が、費用を負担できないために最も利用から遠ざけられている事態を類推させます。
 今回の調査では、利用料や施設等での居住費・食費などの支払いが在宅サービスの利用、施設入所の大きな足かせになっていることを改めて浮き彫りにしました。税制改定や後期高齢者医療制度の保険料など、ここ2~3年、介護費用以外の様々な負担も大幅に増えています。
 利用者負担の軽減と、抜本的な低所得者対策が必要です。

(2)利用の制約につながる様々な仕組み
 現行の介護保険制度には、前述の費用負担の他、不透明な要介護・要支援認定、サービス内容や提供方法が改編された予防給付、保険給付の上限を定めた支給限度額、「これもダメ、あれもダメ」 の提供基準など、必要なサービスであってもその利用を遠ざける様々な仕組みが組み込まれています。
 こうした仕組みを改め、必要に応じて介護サービスを利用できる (必要充足原則) 制度への改善が必要です。例えば、支給限度額の大幅な引き上げ (または廃止) が利用料負担の軽減と合わせて実施されれば、要介護5、独居でも介護保険サービスを利用しながら在宅生活を継続できる条件が広がるでしょう。「同居家族がいる場合の生活援助の機械的打ち切り」 など、自治体 (保険者) の独自判断による利用制限は即刻やめるべきです。

(3)施設などの基盤整備
 全国で38万人と言われている特養待機者は減る兆しがみえません。重度の待機者は医療機関の入転院、家族介護でつなぎながら空きを待っている状態です。レスパイトや緊急時のショートステイもなかなか利用できません。療養病床の削減などにより、在宅で胃瘻、経管栄養などの医学的管理を要する高齢者も急増しています。夜間を含めた在宅24時間対応や認知症高齢者への支援はまだまだ遅れています。
 高齢化が進む中、このままでは施設にも入れず、入院もできず、在宅では暮らしていけない、いわば 「行き場のない高齢者」 が今後いっそう増えていくことが予想されます。施設整備、在宅ケアの拠点づくりなど、介護や医療が必要になっても、安心して過ごせる生活や療養の場を確保・保障することが急務です。

(4)利用者の視点での介護報酬 (基準) 改定
 介護報酬 (基準) は、保険で給付される介護サービスの水準や内容を規定します。例えば、介護予防訪問介護での月定額制報酬や1時間以上の生活援助に対する報酬頭打ちの仕組みはヘルパーの長時間の滞在を困難にし、利用者とのコミュニケーションの機会を減らすとともに、買い物などの家事の十分なサポートや 「調理などをヘルパーと共に行うことで自立を促す 『自立支援型』 の援助」 を難しくしています、このような 「細切れ、駆け足」 介護では、利用者一人一人の生活を総合的に支えることは困難です。
 すべての利用者に対して、「安心・安全の介護、行き届いた介護」 を保障する観点からも、介護報酬 (基準) の体系と水準、内容の見直しが必要です。

2.具体的提言

(1)介護保険制度の緊急改善

 現状の困難を直ちに打開するため、以下の緊急改善を求めます。
 ①利用料、介護保険料の負担軽減を図ること。
 ②本人の状態が正確に反映されるよう認定制度を改善すること。がん末期の場合
  は要介護5とみなし、相当の介護サービスを利用できるようにすること。認知
  症については、見守りや精神的援助の必要性を考慮した認定結果になるようシ
  ステムを見直すこと。
 ③支給限度額を大幅に引き上げること。要介護5については支給限度額を廃止す
  ること。
 ④予防給付の対象であっても、必要な介護サービスを利用できる仕組みに改善す
  ること。
 ⑤特養建設に対する国の補助金を復活させ整備を進めること。緊急で入所できる
  ショートステイの拡充等、介護者を支援するための基盤整備を強化すること。
 ⑥同居家族がいる場合の生活援助の規制など、いわゆる 「ローカルルール」 によっ
  て、利用の抑制や打ち切りが行われることがないよう、保険者に対する国の指
  導を強めること。
 ⑦介護報酬を大幅に引き上げるとともに、利用しやすい制度になるよう諸基準を
  見直すこと。

(2)介護保険制度の抜本的改善
 現行制度に組み込まれている様々な 「制約・排除の仕組み」 を抜本的に改めることを求めます。
 ①利用の足かせとなっている利用料を廃止すること。介護保険料は応能負担とし、
  滞納者への制裁措置や特別徴収をとりやめること。
 ②支給限度額を廃止すること。
 ③認定制度を抜本的に見直し、国は状態像に関する大枠のガイドラインのみ定め、
  具体的な利用内容は、本人とケアマネジャーが協議し決定する仕組みに改める
  こと。
 ④適切なケアマネジメントに基づいて必要と判断されたサービスは、すべて保険
  から給付すること。
 ⑤サービス体系を見直すこと。医療系サービスは医療保険に戻すとともに、予防
  給付のあり方を見直すこと。
 ⑥施設をはじめとする基盤整備に対する公的支援を強化すること、地域支援事業
   (地域包括支援センター) は介護保険と切り離し、別財源とすること。
 ⑦介護報酬の体系・水準を抜本的に見直すこと。

(3)高齢者福祉制度の強化・拡充
 介護保険制度だけで、介護問題すべてに対応することは困難です。介護保険ではカバーしきれない介護 (=生活) 問題に対応するために、現行の老人福祉法の改善など高齢者福祉制度の強化・拡充を求めます。

(4)以上を実現するために
 介護保険は、介護サービスの拡充、介護報酬の引き上げが介護保険料、利用料に直結する制度設計になっています。今後の高齢化に伴う介護費用の増大に対応し、「制度の持続可能性の確保」 をはかるためにも、介護保険に対する国の負担分の構成比を引き上げることが必要です。
 ①調整交付金分をのぞいた国の負担分を50%に引き上げること、少なくても当面
  30%まで引き上げること。
 ②財源は、逆進性が強く応能原則に逆行する消費税増税によるのではなく、税金
  のあり方を根本的な見直しによって生み出すこと。
 ③社会保障費2,200億円削減方針を直ちに撤回すること。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記の通り、全日本民医連では、介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」 を挙げ、介護保険制度の見直すべき点として、「重い費用負担」・「利用の制約につながる様々な仕組み」・「施設などの基盤整備」・「利用者の視点での介護報酬 (基準) 改定」 の4項目を指摘しています。

 また、具体的な提言では、現状の困難を直ちに打開するための 「介護保険制度の緊急改善」 として、利用料・介護保険料の負担軽減を図ることや本人の状態が正確に反映される認定制度への改善など7項目を要求しています。

 さらに、7項目の 「介護保険制度の抜本的改善」 策および介護保険ではカバーしきれない介護 (=生活) 問題に対応するための高齢者福祉制度の強化・拡充を求めており、その財源について、「介護保険に対する国の負担分 (調整交付金分を除く) を50%に引き上げること、少なくても当面、30%まで引き上げること」・「財源は、逆進性が強く応能原則に逆行する消費税増税によるのではなく、税金のあり方を根本的な見直しによって生み出すこと」・「社会保障費の2,200億円削減方針を直ちに撤回すること」 の3項目を提言しています。

(2)平成21年度介護報酬改定は、以前の当ブログ記事 [介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)] で記した通り、3つの基本的視点 「①介護従事者の人材確保・処遇改善、②医療との連携や認知症ケアの充実、③効率的なサービスの提供や新たなサービスの検証」 に則って、改定が行われます。

 2009年度 (平成21年度) 介護報酬改定においては、改定率がプラス3% (うち、在宅分:1.7%、施設分:1.3%) です。
 しかしながら、過去2回の介護報酬改定は、2003年 (マイナス2.3%)、2006年 (2005年10月を含め、マイナス2.4%) と大幅なマイナス改定であり、また、2006年の介護保険制度改定による軽度者の介護給付制限 (介護予防給付の創設) による影響を換算すると、マイナス10%以上にもなるとされています。

(3)したがって、改定率プラス3%では、介護保険制度の改善は甚だ不充分なものになると考えられ、ましてや、上述の全日本民医連の要求レベルには到底及ばないと考えられます。

 「masaの介護福祉情報裏板」 ブログ記事 「戦いの本番は3年後。」 でも次のように強調されています。

 今回の介護報酬はとりあえずの対症的処方でとりあえず3%報酬をアップさせたが、改革の本丸は3年後のダブル改定であると考えている官僚は多いだろう。

 まさしく、2012年度の診療報酬・介護報酬の同時改定の時が、最大の山場になると思われますので、医療・介護従事者連合軍で、国民の安心・安全・納得・満足を勝ち取っていくのが、我々の使命と考えられます。




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