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新型インフルエンザ (90歳代以上に免疫、スペイン風邪で抗体)

 毎日新聞 (2009/7/14) に、新型インフルエンザに関する興味深い記事が掲載されていますので、下記に示します。

新型インフルエンザ:90歳代以上に免疫、スペイン風邪で抗体--東大など

 新型インフルエンザに対する免疫を1918年以前に生まれた人は持っている可能性があることを、東京大医科学研究所などが明らかにした。
 また、新型ウイルスは季節性と違い、肺で増殖するなど強い毒性を持つことが動物実験で示された。
 医科研の河岡義裕教授 (ウイルス学) は 「秋冬の流行時には広い世代で早期治療を心がける必要がある」 と注意を促している。
 13日の英科学誌ネイチャー (電子版) に掲載された。

 河岡教授らは、献血などのため新潟大などに保管されていた日本人約250人の血液を調べた。
 新型ウイルスに対する抗体を持っていたのは、多くがスペイン風邪が発生した1918年より前に生まれた人だった。

 新型インフルエンザに関して、米疾病対策センター (CDC) などの調査から60歳以上に免疫がある可能性が指摘されている。
 だが、河岡教授は 「1918年のウイルスは人で流行するうちに大きく変異した。一方、新型ウイルスはほとんど変異しないまま豚で流行していたため、1920年代以降に生まれた人に免疫はないとみられる」 と指摘している。

 さらに、イタチの仲間で実験したところ、新型ウイルスに感染させた3匹は気道内で広く増殖して肺に侵入し増殖するのに対し、季節性に感染させた3匹は鼻などの上気道にとどまった。

 米国などでも健康な人がウイルス性肺炎を起こして重症化する例がある。
 河岡教授は 「新型ウイルスには季節性にはない毒性があることを示す結果で、今後さらに毒性を増す恐れもある。60~80代の高齢者も免疫がないとみられ、十分な警戒が必要だ」 と話している。

(1)以前の当ブログ記事 [「国内の大規模感染拡大は確実 (新型インフルエンザ)」 および 「新型インフルエンザ (秋冬の大流行に備え、肺炎球菌ワクチン接種を)」] でも述べましたが、新型インフルエンザの死亡原因として、「ウイルス性肺炎」・「細菌性肺炎」 (特に高齢者) が提起されています。

 前者において、「ウイルス増殖のコントロールを全くできていないというのが基本にある」 とされており、重症化例に対する抗インフルエンザ薬治療に関しては、「ウイルス性肺炎を起こしてウイルスの増殖が全く抑えられないような症例にタミフル、リレンザを使っても効くとは思えないところがあり、早期からウイルス増殖をコントロールする対策が今後の課題になる」 と報告されています。

 また、スペイン風邪や鳥インフルエンザによる死亡原因として、サイトカイン・ストーム説 [サイトカインの過剰産生:サイトカインは免疫系による感染症への防御反応として産生されるが、それが過剰なレベルになると気道閉塞や多臓器不全を引き起こす (アレルギー反応と似ている)。これらの疾患では免疫系の活発な反応がサイトカインの過剰産生につながるため、若くて健康な人がかえって罹患しやすいと考えられる] も唱えられており、新型インフルエンザの死亡原因の早急な特定・解明が重要と考えられます。

(2)新型インフルエンザの今年の秋冬における大流行に向けて、①肺炎の重症化例に対する人工呼吸器および集中治療室 (ICU) の早急な整備、② 「肺炎球菌ワクチン」 (特に、高齢者) ならびに 「新型インフルエンザワクチン」 の両方の接種、が必要と考えられます。

 政府・厚生労働省の早急かつ周到な新型インフルエンザ対策が望まれます。




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国内の大規模感染拡大は確実 (新型インフルエンザ)

 前回の当ブログ記事 [新型インフルエンザ (秋冬の大流行に備え、肺炎球菌ワクチン接種を)] に引き続き、新型インフルエンザに関する Japan Medicine (2009/6/22) の記事を紹介します。

●東北大・押谷氏/新型インフル 「国内の大規模感染拡大は確
 実」 ハイリスク患者で死者の可能性も


①東北大大学院医学系研究科微生物学分野の押谷仁氏は13日、東京都内で開かれた第49回日本呼吸器学会学術講演会で 「インフルエンザA (H1N1) による新型インフルエンザの各国の状況と日本の課題」 と題して緊急報告し、「国内でも半年以内に大規模な感染拡大が確実に起こる」 と言明した。
 また喘息患者や妊婦への感染は、重症化する恐れがあるとの見方を紹介。
 感染の広がりとともに、リスク要因を抱えた患者が一定の割合で死亡する可能性が高いことも指摘した。

●入院患者の8割に喘息などのリスク保有

②押谷氏は米ニューヨーク市の最新データから、今回のインフルエンザの特徴を説明した。
 6月12日時点の入院患者数は567人で、6月2日と比べて 226人増加。
 死者は9人増えて16人となった。
 ICUでのケアを必要としているのは入院患者全体の21%で、mechanical ventilation (人工呼吸器) が必要な患者も10%に達していた。

③特に25~64歳のグループを見ると、入院患者は219人で10日前のデータから100人増加。
 それに伴い死者も10人にまで膨らんだ。
 0~4歳、65歳以上の層でも入院患者が大幅に増えたことなどから、押谷氏は 「重症化するのは必ずしも若い層ばかりでない」 と解説した。

④また入院患者の80%が喘息、妊娠、2歳以下、糖尿病などのリスク要因を保有しており、全死亡例のうち12例が65歳以下であったとするデータを報告。
 肥満を伴う患者が、ハイリスク群に入る可能性のあることも示唆した。

⑤押谷氏はさらに、WHO関係者からの情報を基に重症化例のほとんどがウイルス性肺炎であると推測。
 重症化の理由に関しては、ニューヨークで扱われた全剖検例の気道がウイルスで満たされていたことなどを踏まえ、「ウイルス増殖のコントロールを全くできていないというのが基本にある」 と述べた。

●抗インフル薬:重症化例での効果に疑問

⑥押谷氏は国内における新型インフルエンザについて、「明らかに感染拡大が続いており、それがいま段々と明らかになってきている」 との見方を示した。
 その根拠として疫学リンクのない例 (感染源が特定されていない例) が多数確認されていることを挙げ、「感染源が分からない人が出たということは当然、コミュニティーで感染が広がっているという兆候であると見るべき」 と強調した。

⑦こうした状況を踏まえ、国内でもコミュニティーで妊婦などにも感染が拡大すれば、一定の割合で重症化する患者が出現し、死亡例も出てくる状況は避けられないとの見解を提示。
 「こういうことが日本でもこれから起きてくる可能性が高い」 と述べた。

⑧また、国の行動計画で想定されている新型インフルエンザへの罹患率は人口の25% (約3,200万人) で、仮に致死率が0.4%にまで上がると12万人を超える死者が出るとの推計を紹介した。
 通常の季節性インフルエンザと同程度の致死率 (0.1~0.2%) であっても、死者の多くを子どもや50代までの成人が占める状況になりうることから、「社会的なインパクトが全く違う形で出てくる」 と見通した。

⑨重症化例に対する抗インフルエンザ薬治療に関しては、「ウイルス性肺炎を起こしてウイルスの増殖が全く抑えられないような症例にタミフル、リレンザを使っても効くとは思えないところがある」 と発言。
 早期からウイルス増殖をコントロールする対策が今後の課題になるとした。

●10月にも国内第2波か

⑩このほか重症化例を受け入れる国内医療体制に懸念を表明。
 「ICUが全くない地域もあるという今の医療体制の中で、こういう患者が多発した場合はどうするのか」 と訴えた。
 押谷氏によると、新型インフルエンザへの対策が世界で最も進んでいるとされるニューヨークでさえも、罹患率5%の段階で医療機関にかなりの混乱が生じているという。

⑪押谷氏は、WHOによる警戒レベル 「フェーズ6」 の宣言を、「世界中にインフルエンザウイルスが大規模に広がって非常に大きな被害が起こる可能性があるということ」 と説明。
 季節性インフルエンザとは異なる新型であると世界に強く警告するために、WHOが宣言を決断したとの認識を示した。

⑫WHOが現在のパンデミックを 「モデレート」 と表現したことに関しては、新型インフルエンザによる致死率が、季節性インフルエンザ時の0.1%程度からスペインインフルエンザ時の2%の間に該当すると判断しているためだと解説した。

⑬世界的に感染が拡大している状況については、「いまわれわれが見ているのは本当にごく初期のパンデミックで、本格的なインフルエンザシーズンは地球上のどこも体験していない」 とし、これから冬を迎える南半球を注視する姿勢を見せた。

⑭特にオーストラリアでは急速に感染が広まっているとの認識を示し、このまま一気にパンデミックに突入すれば東南アジアにも拡大し得るとの見方を披露。
 「そうなると日本は全く感染者の流入を止められない」 とし、場合によっては国内流行の「第2波」 を10~11月に迎える可能性も十分に考えられるとした。

(1)前回の当ブログ記事 [新型インフルエンザ (秋冬の大流行に備え、肺炎球菌ワクチン接種を)] で紹介しました 「菅谷氏 (神奈川県警友会けいゆう病院小児科部長) 見解」 と今回の 「押谷氏 (東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授) 見解」 (上記②) の一致点は、「重症化症例に対する人工呼吸器の必要性」 です。

 現在の日本の医療体制では、人工呼吸器の絶対数が不足していると考えられ、また、上記②・⑩の通り、必要な集中治療室 (ICU) の数も不充分と考えられます。

 新型インフルエンザの今年の秋冬における大流行に向けて、人工呼吸器およびICUの早急な整備が望まれます。

(2)「菅谷氏見解」 では、新型インフルエンザの死亡原因のほとんどは、細菌性肺炎とされています。一方、「押谷氏見解」 では、上記⑤の通り、WHO関係者からの情報を基に重症化例のほとんどがウイルス性肺炎であると推測しており、「ウイルス増殖のコントロールを全くできていないというのが基本にある」 と述べています。

 さらに、「押谷氏見解」 では、上記⑨の通り、重症化例に対する抗インフルエンザ薬治療に関しては、「ウイルス性肺炎を起こしてウイルスの増殖が全く抑えられないような症例にタミフル、リレンザを使っても効くとは思えないところがあり、早期からウイルス増殖をコントロールする対策が今後の課題になる」 と述べられています。

 スペイン風邪や鳥インフルエンザによる死亡原因として、サイトカイン・ストーム説 [サイトカインの過剰産生:サイトカインは免疫系による感染症への防御反応として産生されるが、それが過剰なレベルになると気道閉塞や多臓器不全を引き起こす (アレルギー反応と似ている)。これらの疾患では免疫系の活発な反応がサイトカインの過剰産生につながるため、若くて健康な人がかえって罹患しやすいと考えられる] も唱えられており、新型インフルエンザの死亡原因の早急な特定・解明が重要と考えられます。

(3)両者の見解より、現時点では、「肺炎球菌ワクチン」 (特に、高齢者) ならびに 「新型インフルエンザワクチン」 の両方の接種が必要と考えられます。

 しかしながら、共同通信 (2009/6/19) の下記の記事を読むと、不安に駆られます。
 政府・厚生労働省の早急かつ周到な新型インフルエンザ対策が望まれます。

ワクチン製造7月中旬から 新型インフルで、厚労省
 
 厚生労働省は19日、新型インフルエンザワクチンの製造を7月中旬から始めると発表した。
 政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会 (尾身茂委員長) から 「季節性インフルエンザワクチンの製造を中止し、新型に切り替えるのが適当」 との答申を受け、正式決定した。

 厚労省によると、新型ワクチンの原料となる種ウイルスが季節性のウイルスと同程度に増殖するとすれば、12月末までに約2,500万人分を製造可能。
 早ければ10月から接種できるようになる。
 7月中旬の切り替えまでに季節性のワクチンも昨年の約8割に当たる約4千万人分を確保できるという。

 厚労省は今後、新型用のワクチンをどのような人に優先的に接種するかの順位を検討する。




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新型インフルエンザ (秋冬の大流行に備え、肺炎球菌ワクチン接種を)

 WHO (世界保健機関) が6月11日に 「世界的大流行 (パンデミック)」 を意味する最高度のフェーズ6を宣言した新型インフルエンザ (2009インフルエンザ) は、今年の秋冬の大流行が予想されています。

 現在、新型インフルエンザは、弱毒性で、感染力も季節型インフルエンザより少し強い程度とされています。

 しかしながら、これから冬を迎えるオーストラリア、南米、オセアニア等にて、大流行し、且つ、突然変異または遺伝子交雑が生じて、強毒性・強い感染性の新型インフルエンザに変貌する可能性があります。

 文藝春秋2009年7月号に掲載されているインタビュー記事 「新型インフルエンザ50問50答 秋冬の大流行に備えよ」 にて、菅谷憲夫・神奈川県警友会けいゆう病院小児科部長が、新型インフルエンザについて、非常にわかりやすく解説されています。

 その中で、同部長が、新型インフルエンザでの死亡を避けるために、肺炎球菌ワクチンの接種の重要性を喚起されていますので、下記に示します。

 新型、季節型問わず、インフルエンザで死亡する原因のほとんどが細菌性肺炎であることから、特に、肺炎球菌ワクチンの接種が重要であり、高齢者 (特に、種々の合併症・併存疾患を抱える方々) とその家族へのワクチン接種についての啓発・啓蒙が肝要と考えられます。
 医療スタッフ・リハビリテーションスタッフ・介護スタッフ等からの積極的な啓発・啓蒙が望まれます。

●新型インフルエンザ50問50答 秋冬の大流行に備えよ

【肺炎球菌ワクチンを打て】

(問31)今後の対策で重要な点は。

(答)
 新型インフルエンザで死ぬ原因はほとんどが肺炎、しかも細菌性肺炎です。
 スペインかぜやアジアかぜ、香港かぜで死んだ人も90%以上は細菌性肺炎だったことが最近明らかになりました。
 毎年のインフルエンザでも高齢者が死んでますが、ほとんどは細菌性肺炎。
 だから、これからすべきことは細菌性肺炎への備えです。

(問32)インフルエンザになると気道が炎症を起こして、細菌を増殖しやすくさせる?

(答)
 その通りです。
 気道がひどくやられて、もともといる細菌が肺炎を起こす。
 重症の細菌性肺炎で死亡するんですね。
 なかでも肺炎球菌による死亡はかなり出ると思います。
 ところが、日本は肺炎球菌ワクチンの接種がものすごく低い。
 肺炎球菌ワクチンは、65歳以上の高齢者に打つことになっているんですが、接種率は5%程度。
 欧米ではインフルエンザワクチンと同程度、60~70%の接種率があります。

(問33)なぜ日本は低いんですか。

(答)
 一つは、知らない人が多いからだと思います。
 インフルエンザで死亡する原因は細菌性肺炎だというメッセージはすごく大事で、日本感染症学会が5月に緊急アピールを出しました。

(問34)肺炎球菌ワクチンはいつ受けたらいいですか。

(答)
 第1波 (註:今秋あるいは来年の1、2月)、第2波の流行の前。
 今こそ高齢者は受けるべきです。

(問35)効果の持続時間は。

(答)
 5年間ですから、新型インフルに備えるには今が好機です。
 問題は、接種回数を日本は1回しか認めていないこと。
 2回目は腫れやすいからといいますが、欧米は2回認めています。
 硬直化した制度が問題ですね。
 加えて、重症の細菌性肺炎で呼吸不全にもなるので、人工呼吸器が必要です。
 水際対策とかマスクとかいってますが、それより人工呼吸器の準備が全然足りない。
 病床が足りたとしても呼吸器がなくては。
 高齢者の場合、肺炎に対する備えは非常に重要ですよ。

(問36)肺炎球菌とインフルエンザのワクチンは一緒に接種してよい?

(答)
 1週間あければ問題ありません。
 H5N1 (註:鳥インフルエンザ) に対するプレパンデミックワクチンを打つよりは、肺炎球菌ワクチンを打った方がいいというのが私の意見です。




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新型インフルエンザ (「豚インフル」) 対処心得 (神戸大学・岩田教授)

 2009年3月下旬にメキシコや米国で発生した豚インフルエンザの人への大量感染を受け、世界保健機関 (WHO) は、4月27日夜 (日本時間28日朝)、世界の警戒水準 (フェーズ) を、「3」 から、豚インフルエンザウイルスが人から人への感染力を十分に得た段階を示す 「4」 に引き上げました。

 即ち、「新型インフルエンザ」 発生を認定したことになります。(名称も、「豚インフルエンザ」 から、「新型インフルエンザ」 に変更されました)。

 さらに、WHOは4月29日夜 (日本時間30日朝)、全世界で拡大を続けている新型インフルエンザについて、警戒水準 (フェーズ) を、現行の 「4」 から、 「5」 に引き上げました。

 新型インフルエンザの警戒レベルは6段階あり、フェーズ 「6」 (世界的大流行:パンデミック) の一歩手前の状況です。

 神戸大学 大学院医学研究科・医学部 微生物感染症学講座 (感染治療学分野) の岩田健太郎教授が提唱されている 「研修医への新型インフルエンザ症例への対処心得」 が参考になると考えられますので、下記に示します。

豚インフルについて、研修医の皆さんへ (神戸大学・岩田教授:2009/4/28)

(1)まず、毎日の診療を大切にしてください。
 呼吸器症状の有無を確認し、ないときに安易に 「上気道炎」 と診断せず、旅行歴、シックコンタクト、動物暴露歴など問診を充分に聴取してください。

 患者さんが言わない、ということは、その事実がない、という意味ではありません。
 「せきをしていますか?」 と聞かなければ、せきをしているとは言わないかも知れません。

 原因不明の発熱であれば、必ず血液培養を検討してください。
 バイタルサインを大切にしてください。

 バイタルサインの重要度は重要な順番に、血圧、脈拍、呼吸数、(第5のバイタル) 酸素飽和度、そして、体温です。
 極端な低体温などはまずいですが、発熱患者で大切なのは体温 「以外」 のバイタルサインと意識状態であることは認識してください。

 発症のオンセット、潜伏期など、時間の感覚には鋭敏になってください。
 要するに、ブタインフルエンザ診療のポイントは普段の診療の延長線上にしかありません。
 ほとんど特別なものはないことを理解してください。

 上記の診療は診療所、大学病院、どこのセッティングでも可能です。
 大抵の感染症診療は、大抵のセッティングで可能なのです。

(2)自分の身を護ってください。
 とくに初診患者では外科用マスクの着用をお奨めします。
 患者の診察前とあとで、ちゃんと手を洗っていますか。
 呼吸器検体を採取するなら採痰ブースが理想的ですが、理想的な環境がないからといって嘆く必要は少しもありません。

 「うちには○○がない」 と何百万遍となえても嘆いても、物事は一つも前に進みません。
 「うちには○○がないので、代わりに何が出来るだろう」 と考えてください。
 考えても思いつかなかったら、そこで思考停止に陥るのではなく、分かっていそうな上の先生に相談してください。
 いつだって相談することは大切なのです。
 診察室で痰を採取するなら、部屋の外に出て患者さんだけにしてあげるのもいいかもしれません。
 日常診療でも、とくに女性の患者は人前で痰なんて出せないものです。
 呼吸器検体を扱うとき、気管内挿管時などはゴーグル、マスク (できればN95)、ガウン、手袋が必要です。
 採血時やラインを取るときも手袋をしたほうがよいでしょう。

 こういうことは豚インフルに関わらず、ほとんどすべての患者さんに通用する策に過ぎません。
 繰り返しますが、日常診療をまっとうにやることが最強の豚インフル対策です。

(3)あなたが不安に思っているときは、それ以上に周りはもっと不安かも知れません。
 自分の不安は5秒間だけ棚上げにして、まずは周りの不安に対応してあげてください。
 豚インフルのリスクは、少なくとも僕たちが今知っている限り、かつて遭遇した感染症のリスクをむちゃくちゃに逸脱しているわけではありません。
 北京にいたときは、在住日本人がSARSのリスクにおののいてパニックに陥りましたが、実際にはそれよりもはるかに死亡者の多かった交通事故には全く無頓着でした。
 ぼくたちはリスクをまっとうに見つめる訓練を受けておらず、しばしばリスクを歪めて捕らえてしまいます。
 普段の診療をちゃんとやっているのなら、豚インフルのリスクに不安を感じるのはいいとしても、パニックになる必要はありません。

(4)今分かっていることでベストを尽くしてください。
 分からないことはたくさんあります。
 なぜメキシコ? なぜメキシコでは死亡率が高いの? これからパンデミックになるの? 分かりません。
 今、世界のどの専門家に訊いても分かりません。
 時間と気分に余裕のあるときにはこのような疑問に思考をめぐらせるのも楽しい知的遊戯ですが、現場でどがちゃかしているときは、時間の無駄以外の何者でもありません。
 知者と愚者を分けるのは、知識の多寡ではなく、自分が知らないこと、現時点ではわかり得ないこととそうでないものを峻別できるか否かにかかっています。
 そして、分からないことには素直に 「分かりません」 というのが誠実でまっとうな回答なのです。

(5)情報は一所懸命収集してください。
 でも、情報には 「中腰」 で対峙しましょう。
 炭疽菌事件では、米国CDCが 「過去のデータ」 を参照して郵便局員に 「封をした郵便物から炭疽感染はない。いつもどおり仕事をしなさい」 と言いました。
 それは間違いで、郵便局員の患者・死者がでてしまいました。
 未曾有の出来事では、過去のデータは参考になりますが、すがりつくほどの価値はありません。

 「最新の」 情報の多くはガセネタです。
 ガセネタだったことにむかつくのではなく、こういうときはガセネタが出やすいものである、と腹をくくってしまうのが一番です。
 他者を変えるのと、自分が変わるのでは、後者が圧倒的にらくちんです。

(6)自らの不安を否定する必要はありません。
 臆病なこともOKです。
 ぼくが北京で発熱患者を診療するとき、本当はこわくてこわくて嫌で嫌で仕方がありませんでした。
 危険に対してなんのためらいもなく飛び込んでいくのは、ノミが人を咬みに行くような蛮行で、それを 「勇気」 とは呼びません。
 勇気とは恐怖を認識しつつ、その恐怖に震えおののきながら、それでも歯を食いしばってリスクと対峙する態度を言います。
 従って勇気とは臆病者特有の属性で、リスクフリーの強者は、定義からして勇気を持ち得ません。

(7)チームを大切にしてください。
 チーム医療とは、ただ集団で仕事をすることではありません。
 今の自分がチームの中でどのような立ち位置にあるのか考えてみてください。
 自分がチームに何が出来るか、考えてください。
 考えて分からなければ、チームリーダーに訊くのが大切です。
 自分が自分が、ではなく、チームのために自分がどこまで役に立てるか考えてください。
 タミフルをだれにどのくらい処方するかは、その施設でちゃんと決めておきましょう。
 「俺だけに適用されるルール」 を作らないことがチーム医療では大切です。
 我を抑えて、チームのためにこころを尽くせば、チームのみんなもあなたのためにこころを尽くしてくれます。
 あなたに求められているのは、不眠不休でぶっ倒れるまで働き続ける勇者になることではなく、適度に休養を取って 「ぶったおれない」 ことなのです。
 それをチームは望んでいるのです。

(8)ぼくは、大切な研修医の皆さんが安全に確実に着実に、この問題を乗り越えてくれることを、こころから祈っています。

 我々リハビリテーション関係者も、新型インフルエンザに限らず、様々な感染症のリスクに曝されています。

 特に、ボディコンタクト等の機会が多いリハビリテーションスタッフにおいて、患者さんからの飛沫感染・接触感染等 (含、尿便、咳、痰、唾液等の体液) [時に、血液感染 (患者さんの創部等の血液がスタッフの傷口<含、口腔内>から感染)・患者さんによる咬傷による感染、等] による感染リスクが比較的高く、また、患者さんからの感染のみならず、スタッフ自身が媒介して、他の患者さんとその家族・同僚スタッフ・その他の医療スタッフ・自身の家族等に感染を拡大させる可能性があるため、周到な院内感染防止対策が肝要です。

 各医療機関・各介護保険施設等において、「院内 (施設内) 感染防止対策マニュアル」 あるいは 「リハビリテーションにおける感染防止対策マニュアル」 が作成され、各スタッフに周知徹底されているとは思いますが、この機会に、上記の対処心得のエッセンスの組み込みも含めて、再度、各々の 「院内感染防止対策マニュアルおよび運用体制の見直し」 を行うことが必要と考えられます。




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