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  2. 新機能評価係数

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DPCの新機能評価係数、議論進展せず (中医協DPC評価分科会)

 中央社会保険医療協議会 (中医協) のDPC評価分科会 (2009/6/8) に関する記事が、キャリアブレイン (CBニュース:2009/6/8) 「DPCの新係数、議論進展せず―中医協分科会」 と Online Med ニュース (2009/6/8) 「DPC病院 病棟薬剤師数が多いほど平均在院日数が短い、特定機能病院の結果」 に掲載されていますので、下記に示します。

●DPCの新係数、議論進展せず―中医協分科会

 中央社会保険医療協議会 (中医協) のDPC評価分科会は6月8日、現在の調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数をめぐり議論し、厚生労働省側が 「救急・小児救急医療の実施状況」 など新係数の候補として挙がっている項目の評価指標ごとに、実際のデータの集計結果を提示した。
 集計結果は、例えば救急搬送された入院患者の数を評価指標に用いると、病床規模の大きい病院や総合病院などへの評価がより大きくなるのに対し、患者の割合を用いる場合には、病床規模による評価の差が小さくなることを示唆する内容となっている。
 意見交換では、新係数への移行に伴い激変緩和を求める意見が上がり、議論は進展しなかった。

 分科会が評価指標のデータを用いて議論するのは、5月15日に続いて今回が2回目。
 今後は、急性期医療や地域医療への取り組み、医療の質に対する評価などの考え方のほか、出来高との二重評価の取り扱いなどの観点から、項目や指標の候補を絞り込みたい考え。

 厚労省が提示したのは、「救急・小児救急医療の実施状況」 や 「正確なデータの提出」・「効率性指数」など、新係数の候補として挙がっている項目の評価指標ごとのデータ。
 例えば 「救急・小児救急医療の実施状況」 の評価指標としては、救急車で搬送された入院患者の数や、全DPC対象患者に対する割合を 「病床規模/特定機能病院」 (「200床未満」・「200-400床未満」・「400床以上」・「特定機能病院」) や 「DPC算定病床の割合」 (「100%」・「80%以上100%未満」・「60%以上80%未満」・「60%未満」) のほか、病院のタイプ (「総合病院」・「専門病院」・「がん専門病院」) ごとに集計した。

 それによると、救急搬送された入院患者数を評価指標に用いた場合には、病床規模とDPC算定病床の割合に比例し、病院のタイプ別では 「総合病院」、「専門病院」、「がん専門病院」 の順に多かった。
 これに対し、DPC対象患者に占める救急搬送の割合では、病床規模による違いはほとんどなく、DPC算定病床の割合が 「60%以上80%未満」 の病院が、「100%」 と 「80%以上100%未満」 を上回った。
 「60%未満」 は、「100%」・「80%以上100%未満」 と横並びだった。
 病院のタイプ別では、「総合病院」 と 「専門病院」 の差が短縮した。

 また、時間外患者の受け入れ数は、「200床未満」、「200~400床未満」、「400床以上」 の順に数値が大きくなり、「特定機能病院」 は 「200~400床未満」 並みだった。
 これに対して時間外患者の割合を用いると、「200床未満」・「200~400床未満」・「400床以上」 が横並びで、「特定機能病院」 が最低だった。

 意見交換で木下勝之委員 (成城木下病院理事長) は、「調整係数は高いが、新機能評価係数にしてみたら大幅に下がることもあり得る」 とし、「皆が救われる評価」 を求めた。
 これに対し厚労省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、新係数ではそれぞれの機能に応じて病院を評価する考えを強調。
 激変緩和には調整係数の段階廃止で手当てする方針を示した。

●DPC病院 病棟薬剤師数が多いほど平均在院日数が短い 特定機能病院の結果

 中医協・診療報酬基本問題小委員会の下部組織である診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会 (分科会長:西岡清・横浜市立みなと赤十字病院院長) は6月11日、調整係数廃止後の新たな機能評価係数について、効率性指数、複雑性指数、診断群分類カバー率などの議論を進めた。
 また、薬剤師の病棟業務の評価に関連してDPC病院を対象とした薬剤師病棟業務の実態調査の結果が報告され、病棟薬剤師数が多いほど平均在院日数が短い傾向があるとの結果が示された。

 調査は日本病院薬剤師会が行ったもので、薬剤師の主な病棟業務には、
(1)医療スタッフへの医薬品情報提供 (医師、看護師、他の医療スタッフへの情報提供。患者の状況に応じた医薬品の選定、投与方法などの提案、医薬品服用歴の確認、などによる医師の処方設計への支援)
(2)病棟カンファレンスや回診同行による患者情報の提供 (回診同行により主治医の治療方針や医師、看護師からの患者情報を得る。服薬指導や薬学的管理による患者情報を他の医療スタッフに提供)
(3)病棟の医薬品管理 (毒薬、劇薬、麻薬などの管理。病棟の医薬品在庫と有効期限の確認、救急カート配備薬の選定、塩化カリウムやリドカインなど用注医薬の注意喚起)
(4)服薬指導
(5)副作用モニタリング
(6)薬物血中濃度測定 (抗菌薬や免疫抑制剤など)
(7)チーム医療 (緩和ケア、感染対策、栄養サポートチーム、褥瘡)
の7項目があるとした。

 このうち、(4)服薬指導と(5)副作用モニタリングについては 「薬剤管理指導料」 で、また、(6)薬物血中濃度測定は 「特定薬剤治療管理料」 で、(7)チーム医療は緩和ケア診療加算などで、それぞれ点数評価されている。
 一方、(1)医療スタッフへの医薬品情報提供、(2)病棟カンファレンスや回診同行による患者情報の提供、(3)病棟の医薬品管理、については点数上の評価がないとしている。

 調査の結果は、
 ①DPC対象病院でのDPC対象患者100人当たり薬剤師数は全施設の中央値
  が5.31人。
 ②診療報酬上評価されている薬剤師数を除いた病棟薬剤師数のDPC対象患者
  100人当たり中央値は0.32人。
 ③「薬剤管理指導」 に従事する人員も含めた病棟薬剤師数はDPC対象患者100
  人当たり中央値で1.26人。
 ④平成15年度DPC対象病院 (特定機能病院) ではDPC対象患者100人当たり
  病棟薬剤師数が大きい施設の方が平均在院日数が短い傾向がみられる。
などとなった。

 平成22年度診療報酬改定に向けて、DPCの 「調整係数の段階的廃止ならびに新機能評価係数の段階的導入」 に関する論議は、今のところ、遅々として進展していない印象です。

 拙速は避けなければなりませんが、DPC病院 (DPC対象病院・DPC準備病院) の立場からすると、可及的速やかに 「新機能評価係数」 を決定して頂き、平成22年4月1日に向けて、周到な準備をしたいところです。

 中医協の診療報酬基本問題小委員会とDPC評価分科会での充分な論議かつ迅速な決定が望まれます。(しかしながら、現実は、大病院・中小病院、特定機能病院・高度急性期総合病院・一般急性期病院・専門病院・ケアミックス病院等の各医療機関の思惑の違いで相当難航しそうですが・・・)。




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2009年度の新規DPC対象病院は570病院 (約130病院が移行せず)

 Japan Medicine (2009/3/4) に、平成19年度DPC準備病院の 「平成21年度DPC対象病院への移行状況」 に関する記事が掲載されていますので紹介します。

●09年度の新規DPC対象は570病院 130病院が移行せず

①2007年度からDPC準備病院となった約700病院のうち、570病院が09年度からDPC対象病院へ移行する見通しとなった。移行しない病院は約 130病院で、多くが自主的に準備病院にとどまる選択をしたとみられる。

 DPC対象病院に移行しない理由について厚生労働省保険局医療課は、中医協・診療報酬基本問題小委員会やDPC評価分科会などで検討を進めている調整係数廃止後の新係数の成り行きを見守る病院が多いためではないかとみている。

②医療課によると、09年度の新規DPC対象病院に対しては3月上旬までに調整係数を内示する。対象病院への移行は4月実施と7月実施の2回に分けて行う。
 DPC病院としての告示は、4月実施の病院は3月下旬をめどに、7月実施は6月中旬~下旬頃を予定している。

● 「より良い急性期医療へ貢献」 がDPCの趣旨

③厚労省は2月27日、09年度の新規DPC対象病院に対する説明会を都内で開き、DPC導入までのスケジュールや請求に関する注意点などを説明した。

④医療課の宇都宮啓企画官は、「DPC病院にならなければ生き残れない、DPCはもうかるとの声を聞くが、それは大きな勘違い。対象病院になるのは、標準化や効率化を進めて最終的には医療の質の向上につなげ、より良い急性期の入院医療に貢献するためという認識を持ってほしい」 と呼び掛けた。

⑤また、「データが不正確ではDPC全体の係数や点数に影響を与えてしまう。正確なデータを期限までに出してもらうことが大事。出せない病院は中医協に呼んで事情を聞くこともあり得る」 と述べ、正確なデータを提出することでDPC制度全体に貢献するとの意識も必要とした。

⑥中医協の基本問題小委員会やDPC評価分科会で議論が進む新しい機能評価係数については、「現行の調整係数で担保されている部分をそのまま機能係数にすることはない。何らかの機能を有して地域医療に貢献してもらう必要がある。調整係数が残っているうちに何とか滑り込めたという考えのないようにしてほしい」 と強調した。

⑦療養病棟も併せ持つケアミックス型の病院に向けては、「急性期の病棟と療養病棟の役割分担をきちんとしてほしい」 と要請した。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記①の通り、2007年度からDPC準備病院となった約700病院のうち、570病院が2009年度からDPC対象病院へ移行する見通しとなり、現行のDPC対象病院718病院と合わせて、2009年度は、DPC対象病院が全国で、1,288病院となる予定です。

 一方、移行しない病院は約 130病院で、多くが自主的にDPC準備病院にとどまる選択をしたとみられます。
 そして、その理由として、厚生労働省保険局医療課は、中医協・診療報酬基本問題小委員会やDPC評価分科会などで検討を進めている調整係数廃止後の新係数の成り行きを見守る病院が多いためではないかとみています。

(2)DPC 「新機能評価係数」 に関しては、2009年3月5日のDPC評価分科会において、次のような議論が行われています。

 (a) DPC 「新機能評価係数」 の候補は次の通り。
   [以前の当ブログ記事 (「DPC 「新機能評価係数」 候補の選定)」 参照]
  1.「医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について」:10項目
  2.「社会的に求められている機能・役割の評価について」:8項目
  3.「地域医療への貢献の評価について」:8項目
  4.「その他」:11項目
  5.「ヒアリング医療機関からの要望」:24項目 (重複有り)

 (b) 今後は、(1) 新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方との合致、(2) 現
  行の 「DPCの影響評価に関する調査」 の活用、(3) 現行の機能評価係数や出
  来高部分と評価が重複する可能性がある項目の整理、等を考慮しながら、新
  たな 「機能評価係数」 として評価するべき項目の絞り込みが行われ、そして、
  絞り込まれた項目について、具体的な検討が進める。

 (c) 調整係数の廃止と新機能評価係数の導入は段階的に行うこととされているこ
  とから、次回診療報酬改定で採用にならなかった項目でも、次々回の改定で
  取り上げることもあり得る。
   今回は、上記項目の中から先ず、2010年度改定の候補として、既にデータ
  があるものや、しっかりしたデータの裏付けができるような項目を優先的に
  議論
する。
   現状で、データのない項目については、次回改定での評価は難しいが、次
  々回の評価はあり得るとされた。「副傷病」・「術後合併症」 については、報告
  様式を変更し記載欄を設けてデータを収集することが提案された。

 (d) 分科会では、特に、DPCの係数として評価すると、出来高払い方式の加算
  などと 「重複評価」 になってしまう項目
が議論になった。その他、評価手法
  におけるメリット・デメリット (含、リスク調整、二重評価、変なインセンテ
  ィブ、モラルハザード等)、大学病院 (研究や教育) や地方病院 (地域格差) の立
  場の違い等により、意見を集約できないものも多かった。
   議論の詳細は、『後発医薬品使用状況のDPC評価、結果の公開で 新機
  能係数評価候補の絞り込み議論 分科会 (Online Med:2009/3/5)
』 および
   『病院の機能、「二重評価してもいい」 (CBニュース:2009/3/5)』 を参照。

(3)上記④の通り、厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、「DPC病院にならなければ生き残れない、DPCはもうかるとの声を聞くが、それは大きな勘違い。対象病院になるのは、標準化や効率化を進めて最終的には医療の質の向上につなげ、より良い急性期の入院医療に貢献するためという認識を持ってほしい」 と述べています。

 しかしながら、『DPC対象病院は、標準化や効率化を進めて、最終的には医療の質の向上につなげ、より良い急性期の入院医療に貢献するもの』 との発言は、「DPC対象病院以外の病院は、急性期病院をあきらめて、亜急性期以降に移行しなさい」 と言っているようなものです。上記⑥の発言も、同じような意味と思われます。

 また、厚生労働省の常套手段として、ある医療提供体制が普及するまでは、診療報酬上で優遇し、普及した時点で梯子を外します。DPC対象病院も同じ運命をたどると考えられます。そして、それを受け入れられない (それに耐えられない) と、急性期病院として生き残れない (勝ち残れない) と考えられます。

(4)上記⑤の通り、同企画官は、「データが不正確ではDPC全体の係数や点数に影響を与えてしまう。正確なデータを期限までに出してもらうことが大事。出せない病院は中医協に呼んで事情を聞くこともあり得る」 と述べ、正確なデータを提出することでDPC制度全体に貢献するとの意識が必要と強調しました。

 この件に関しては、DPC 「新機能評価係数」 の候補に、「DPC病院として正確なデータを提出していることの評価」 が含まれています。
 また、DPCの点数、入院期間Ⅰ・Ⅱ・特定入院期間等は、基本的に全DPC対象病院のデータの平均値が用いられますので、不正確なデータがある一定程度以上に増えると、前述の各数値に悪影響を与え、DPC診療報酬体系が崩壊します。
 したがって、各DPC対象病院が正確なデータを提出することが、DPC制度の根幹です。

(5)上記⑦の通り、同企画官は、療養病棟も併せ持つケアミックス型の病院に向けては、「急性期の病棟と療養病棟の役割分担をきちんとしてほしい」 と要請しています。

 この件に関しては、多くの 「中小病院」 および 「ケアミックス型病院」 が関係します。
 以前の当ブログ記事 (「DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)」) でも述べていますが、以前、同企画官は、今後、DPC対象病院として中小病院が多く参入してくる現状にあることや、機能評価係数は必ずしも大病院向けだけのものではないとの基本的考え方を説明。その上で、「係数には大病院向けの係数、中小病院向けの係数があるが、中小病院向けの係数を設定したことで大病院がマイナス評価を受けることはない」 とし、機能評価係数の基本的考え方に沿って検討することを明言し、幅広い視点での議論を求める発言をしています。

 また、ケアミックス型病院についても、当初、「患者を一般病床と療養病床等とでキャッチボールするのではないか」・「後方病床があるケアミックス型病院とそれがない一般急性期病院とでは、平均在院日数等で不公平が生じるのではないか」 等の懸念がありましたが、厚生労働省の調査により、(a) DPC対象病院とDPC準備病院の両方において、ケアミックス型病院のDPC算定病床の割合が少なくても、平均在院日数・救急搬送件数・肺炎等による緊急入院割合・再入院率などにおいて、ケアミックス型病院とDPCのみの病院との間に明らかな差がみられない、(b) 「DPC算定病床の割合が小さい病院では、一部の疾患で、手術などを行う患者の割合が少ない傾向にあるものの、それらは診断群分類が別なものとなることから、大病院で実施される手術などを伴う症例の点数設定には影響しない」 として、医療資源の投入の少なさから、DPC点数が低めに設定されることになるのではないかとする大規模病院側からの懸念も問題はない、ということが判明し、最終的に、ケアミックス型病院をDPC対象病院に加えることが了承されました。

 しかしながら、「中小病院 (特に、民間中小病院)」 および 「急性期一般病床の占める割合が少ないケアミックス型病院」 については、基本的には、高度急性期医療およびDPCを断念して、亜急性期以降の医療を担ってもらいたいという厚生労働省の思惑、即ち、上記病院の役割として、次のような 「亜急性期病院、慢性期病院、ケアミックス型病院、介護保険施設」 が想定されていると推察されます。
 (1) 軽度 (~中等度) の救急・急性期医療 (特に、認知症の合併症がある高齢者
  の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の救急・急性期
  患者)
 (2) 「急性期後」 の亜急性期医療 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回
  復期リハビリテーション病棟)
 (3) 慢性期医療 [療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)]
 (4) 特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
 (5) 在宅医療
 (6) 場合によっては、介護療養型老人保健施設への移行

 したがって、急性期の病棟と療養病棟の役割分担をきちんとできない病院は、上記の (1)~(6) の病院・施設へ、厚生労働省が誘導すると考えられます。

 但し、「専門特化型」 急性期中小病院、あるいは、「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院は、場合によっては、大病院等よりも、質の高い効率的なDPC対象病院であることが少なくないということで、このような病院にインセンティブを与えるような 「新機能評価係数」 の設定が望まれます。(スケールメリット不足を補填する評価、高い専門性・充実したチーム医療への評価等)。

 それ以外は、基本的には、DPCに馴染まず、医療マンパワー不足もあることから、将来的には亜急性期以降への移行を促される可能性が高いと考えられます。

 また、地方の中小自治体病院に多い、「準総合病院型」 急性期中小病院および 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、総務省・公立病院改革ガイドライン (平成19年12月) を厳格に適用すると、廃止・民営化の道をたどると考えられます。
 しかし、その病院が、地域唯一の病院であり、不採算医療 (政策的医療や救急医療等) を担っているということで、充分な公的支援があれば、(DPC適用の可否は別として)、存続できると考えられます。

(6)以上、平成19年度DPC準備病院の 「平成21年度DPC対象病院への移行状況」 について論じました。

 平成21年度DPC対象病院に移行しない約130のDPC準備病院には、おそらく多くの中小病院・ケアミックス型病院が含まれていると推察されます。

 特に、中小病院については、「地方」・「ケアミックス」・「公立・民間 (公私格差要因も含めて)」 の多因子が複雑に絡み、DPCとの整合性を図ることが非常に難しい面があると思われます。

 しかしながら、上記(5)で述べたように、DPC対象病院として相応しいと考えられる中小病院・ケアミックス型病院については、上記(2)で記したDPC 「新機能評価係数」 の候補において、当該病院に相応しい項目を、入念に精査・抽出し、正式項目化を行って頂きたいと思います。




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DPC 「新機能評価係数」 候補の選定

 CBニュース (新係数候補の選定 「4月ぐらい」 に) によると、中央社会保険医療協議会 (中医協) の診療報酬基本問題小委員会 (委員長:遠藤久夫・学習院大経済学部教授) は2月25日、DPC評価分科会がまとめた新たな機能評価係数をめぐるこれまでの検討の経過報告を了承しました。

 これを受けて分科会では、現在の調整係数に代わる新たな機能評価係数の候補の選定作業を今後、本格化させます。

 厚生労働省は当初、候補の絞り込みを年度内に完了する方針を示していましたが、同省保険局医療課の宇都宮啓企画官は小委員会の席上、「慎重に検討する必要があり、3月中は難しい。4月ぐらいには入る」 と説明しました。

 25日の小委員会では、「診療所との夜間連携に対する評価」 を求める意見などがあり、分科会ではこれらも含めて候補を絞り込みます。

 厚生労働省によると、候補の選定に当たっては、現行の機能評価係数や出来高部分と重複評価になる可能性がないかなどを考慮。DPC対象病院などからのデータのほか、「病院報告」 などの既存データも活用して妥当性を検討します。
 ただ、「在宅医療への評価」 など、現時点で活用できるデータがない項目について検討するには、あらためて調査を実施する必要があるため、厚生労働省は次の診療報酬改定ではデータがそろっているものを優先する方針です。

 このほか、「チーム医療の実践に対する評価」 などの項目に対しては、「DPC対象病院だけでなく、すべての病院で評価すべき」 といった指摘があり、候補の選定が完了した後に分科会と小委員会で並行して対応を検討します。


(資料1) DPC評価分科会での新たな 「機能評価係数」 に関する検討の経過報告

Ⅰ.概要

 DPCにおける新たな 「機能評価係数」 に係るこれまでの議論


  ①中医協基本問題小委員会において、『新たな 「機能評価係数」 に関する基本
   的考え方』
をまとめた (平成20年12月17日)。(資料2参照)。

  ②DPC評価分科会において、この基本的考え方に沿って、新たな 「機能評価
   係数」 の候補について検討を重ねてきた。

  ③平成21年度より、ケアミックス型病院をはじめ、地域医療において様々な機
   能を担う病院
がDPCの対象となることを踏まえ、DPC評価分科会におい
   て、こうした医療機関との意見交換も行った。

Ⅱ.具体的な項目の提案等

 1.医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について

 (1)透明化の評価

   ア.部位不明・詳細不明コードの発生頻度による評価

 (2)効率化の評価
   ア.効率性指数による評価
   イ.後発医薬品の使用状況による評価

 (3)標準化の評価
   ア.手術症例数又は手術症例割合に応じた評価
   イ.診療ガイドラインに沿った診療の割合による評価
   ウ.標準レジメンによるがん化学療法の割合による評価

 (4)医療の質の評価
   ア.術後合併症の発生頻度による評価
   イ.重症度・看護必要度による改善率
   ウ.医療安全と合併症予防の評価
   エ.退院支援及び再入院の予防の評価

 2.社会的に求められている機能・役割の評価について

 (1)特殊な疾病等に係る医療の評価

   ア.複雑性指数による評価
   イ.副傷病による評価
   ウ.診断群分類のカバー率による評価
   エ.希少性指数による評価:難病や特殊な疾患等への対応状況の評価

 (2)高度な機能による評価
   ア.高度な設備による評価
   イ.特定機能病院又は大学病院の評価
   ウ.がん、治験、災害等の拠点病院の評価
   エ.高度医療指数

 3.地域医療への貢献の評価について

 (1)地域での役割の評価

   ア.医療計画で定める事業について、地域での実施状況による評価
   イ.救急・小児救急医療の実施状況による評価
   ウ.救急医療における患者の選択機能の評価
   エ.産科医療の実施状況の評価
   オ.地域医療支援病院の評価
   カ.地域中核病院の評価
   キ.小児科・産科・精神科の重症患者の受け入れ体制の評価
   ク.全診療科の医師が日・当直体制をとっていることの評価

 4.その他

 (1)医療提供体制による評価

   ア.医師、看護師、薬剤師等の人員配置による評価

 (2)望ましい5基準に係る評価
   ア.ICU入院患者の重症度による評価
   イ.全身麻酔を実施した患者の割合による評価
   ウ.病理医の数による評価
   エ.術中迅速病理組織標本作製の算定割合による評価

 (3)その他
   ア.新規がん登録患者数
   イ.高齢患者数の割合による看護ケアの評価
   ウ.入院患者への精神科診療の対応の評価
   エ.チーム医療の評価
   オ.DPC病院として正確なデータを提出していることの評価
   カ.その他

 5.医療機関との意見交換について

 (1)平成21年2月12日

   ◎財団法人脳血管研究所附属 美原記念病院 院長 美原 盤 氏

    ア.急性期医療の提供体制に対する評価
    イ.チーム医療の実践に対する評価
    ウ.アウトカムを伴う効率化に対する評価
    エ.救急医療への対応実績に対する評価
    オ.政策的医療への対応実績に対する評価

   ◎長野県厚生農業協同組合連合会 佐久総合病院 診療部長 西澤延宏 氏
    ア.患者の年齢構成による評価
    イ.地方の診療所や中小病院へ医師を派遣することに対する評価
    ウ.在宅医療への評価

 (2)平成21年2月23日

   ◎医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 副院長 樫村暢一 氏

    ア.病院機能に対する評価
    イ.政策医療 (救急医療等) の評価
    ウ.臨床研修に対する評価
    エ.地域連携 (支援) に対する評価
    オ.診療機能に対する評価 (1)
      (患者の年齢構成や合併症、在院日数に応じた評価)
    カ.診療機能に対する評価 (2)
      (4疾病5事業、死因究明、細菌検査室、術中病理迅速診断に応じた
       評価)

   ◎医療法人近森会 近森病院 院長 近森正幸 氏
    ア.チーム医療と地域医療連携の評価
      ①チーム医療 (NSTや病棟へのコメディカルの配置)
      ②地域医療連携
    イ.医療の質の向上
      ①効率性指標による評価
      ②医療安全と合併症予防の評価
      ③複雑性指標による評価
      ④医師、看護師、薬剤師等の人員配置による評価
    ウ.救急・重症患者の評価
      ①救急患者
      ②重症患者
    エ.地域医療の充実

   ◎社会医療法人慈泉会 相澤病院 院長補佐 宮田和信 氏
    ア.地域医療支援病院の紹介率や逆紹介率等による評価
    イ.救命救急医療の評価
    ウ.高齢者や精神科系疾患の合併患者、寝たきり患者等の受入れ状況によ
      る評価
    エ.地域医療連携の評価
    オ.地域がん診療連携拠点病院の評価
    カ.マンパワーに係る評価

Ⅲ.今後の検討について

(1)新たな 「機能評価係数」 として評価するべき項目の絞り込み

  以下の点を考慮する。
   ア.新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方との合致
   イ.現行の 「DPCの影響評価に関する調査」 の活用
   ウ.現行の機能評価係数や出来高部分と評価が重複する可能性がある項目の
     整理
、等

(2)絞り込まれた項目について、具体的な検討


(資料2) 新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方
     (平成20年12月17日中医協基本問題小委員会にて了承)

 以下の事項を基本的考え方として、新たな 「機能評価係数」 について議論してはどうか。

1.DPC対象病院は 「急性期入院医療」 を担う医療機関である。新たな 「機能評価
 係数」 を検討する際には、「急性期」 を反映する係数を前提とするべきではないか。

2.DPC導入により医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等、患者の利点 (医
 療全体の質の向上) が期待できる係数
を検討するべきではないか。

3.DPC対象病院として社会的に求められている機能・役割を重視するべきでは
 ないか。

4.地域医療への貢献という視点も検討する必要性があるのではないか。

5.DPCデータを用いて係数という連続性のある数値を用いることができるとい
 う特徴を生かして、例えば一定の基準により段階的な評価を行うばかりではなく、
 連続的な評価の導入についても検討してはどうか。
  その場合、診療内容に過度の変容を来さぬ様、係数には上限値を設けるなど考
 慮が必要ではないか。

6.DPC対象病院であれば、すでに急性期としてふさわしい一定の基準を満たし
 ていることから、プラスの係数を原則としてはどうか。

7.その他の機能評価係数として評価することが妥当なものがあれば検討してはど
 うか。


  上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)DPC 「新機能評価係数」 は、資料2の 『新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方』 に基づき、DPC評価分科会で検討され、最終的に、資料1-Ⅱの通り、次のような候補が決定しました。

  ① 「医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について」:10項目

  ② 「社会的に求められている機能・役割の評価について」:8項目

  ③ 「地域医療への貢献の評価について」:8項目

  ④ 「その他」:11項目

  ⑤ 「ヒアリング医療機関からの要望」:24項目 (重複有り)


(2)今後は、資料1-Ⅲの通り、①新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方との合致②現行の 「DPCの影響評価に関する調査」 の活用③現行の機能評価係数や出来高部分と評価が重複する可能性がある項目の整理、等を考慮しながら、新たな 「機能評価係数」 として評価するべき項目の絞り込みが行われ、そして、絞り込まれた項目について、具体的な検討が進められる予定です。

(3)上述の通り、25日の小委員会では、「診療所との夜間連携に対する評価」 も追加候補となりました。
 また、厚労省によると、候補の選定に当たっては、「現行の機能評価係数や出来高部分と重複評価になる可能性がないかどうか」 を考慮します。
 但し、「在宅医療への評価」 など、現時点で活用できるデータがない項目は、あらためて調査を実施する必要があるため、厚生労働省は次期診療報酬改定ではデータがそろっているものを優先する方針です。
 このほか、「チーム医療の実践に対する評価」 などの項目に対しては、「DPC対象病院だけでなく、すべての病院で評価すべき」 といった指摘があり、候補の選定が完了した後に分科会と小委員会で並行して対応を検討する予定です。

(4)以上、今後のDPC評価分科会および中医協基本問題小委員会の議論の動向が益々注目されます。

 但し、厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、「慎重に検討する必要があり、3月中は難しい。4月ぐらいには入る」 と、DPC 「新機能評価係数」 の最終決定時期の遅延について述べています。

 以前の当ブログ記事 [「DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)」] で述べたように、各DPC病院における周到な対策・準備のため、できるだけ早期の 「新機能評価係数」 決定を切望します。

【関連記事】
 ◎DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)
 ◎DPC 「新機能評価係数」 (松田研究班長・私案)
 ◎DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件





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DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)

 DPCに関して、現行の調整係数に代わる新機能評価係数を検討している中央社会保険医療協議会 (中医協) 診療報酬基本問題小委員会および診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会における、これまでの 「新機能評価係数」 についての議論は、「大病院・特定機能病院・高度急性期総合病院・地域基幹病院 (地域拠点病院) の視点」 での議論に比較的偏っており、「中小病院の視点」 での議論は、あまり活発ではなかったと考えられます。

 Japan Medicine (2009/2/16) によると、平成21年2月12日に開催されたDPC評価分科会において、厚生労働省保険局医療課企画官が次のように発言しています。

●厚労省:幅広い視点での議論を要望

 厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、今後、DPC対象病院として中小病院が多く参入してくる現状にあることや、機能評価係数は必ずしも大病院向けだけのものではないとの基本的考え方を説明。
 その上で、「係数には大病院向けの係数、中小病院向けの係数があるが、中小病院向けの係数を設定したことで大病院がマイナス評価を受けることはない」 とし、機能評価係数の基本的考え方に沿って検討することを明言し、幅広い視点での議論を求めた。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。
 なお、「地方」 というファクターは、問題を複雑化しますので、下記の 「ケアミックス型病院」・「中小病院」 に関する考察からは、敢えて除外しています。

(1)中小病院とは、200床未満の病院 (20~199床) のことですが、その内、DPC対象病院・DPC準備病院には、次のようなパターンが考えられます。

 ①全て 「急性期一般病棟」 の急性期中小病院
  (a) 「専門特化型」 急性期中小病院
  (b) 「複数 (不完全) 専門特化型」 急性期中小病院
  (c) 「準総合病院型」 急性期中小病院

 ②ケアミックス型中小病院
  ●急性期一般病棟と下記の病床・病棟との組合せ
    ◎亜急性期病床 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回復期リハビリ
     テーション病棟)
    ◎療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)
    ◎特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
  (a) 「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (b) 「複数 (不完全) 専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (c) 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (d) 「認知症の合併症がある高齢者の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の
    急性増悪等の急性期患者・(急性期後)・(慢性期患者の急性増悪時)」 用の急性
    期一般病棟を持つケアミックス型中小病院

(2)現在、ケアミックス型病院 (200床以上の大病院と200床未満の中小病院との両方を含む) はDPC対象病院になることは可能ですが、その決定までには紆余曲折がありました。
 上記の小委員会・分科会におけるケアミックス型病院の議論過程は、CBニュースの記事 (「ケアミックス型もDPC対象に-基本小委了承」) (2008/11/19) および Online Med の記事 (「ケアミックス型病院もDPCの対象、中医協が方針決定 急性期病院との違いはない」 (2008/11/19) 等によると、下記の通りです。

①当初、DPC対象病院にケアミックス型病院を含めるかどうかが検討課題の一つになっており、どちらかといえば、「ケアミックス外し」 の方向であった。
 というのは、全国に約700か所ある 「2007年度DPC準備病院」 のうち、ケアミックス型が6割以上を占め、全病床に対するDPC算定病床の割合が50%未満の病院も約9%あったからである。
 また、ケアミックス型病院において、「患者を一般病床と療養病床等とでキャッチボールするのではないか」・「後方病床があるケアミックス型病院とそれがない一般急性期病院とでは、平均在院日数等で不公平が生じるのではないか」 等の懸念があったからでもある。

②しかしながら、厚生労働省が提出した資料により、下記のことが判明した。
 DPC対象病院とDPC準備病院の両方において、ケアミックス型病院のDPC算定病床の割合が少なくても、平均在院日数・救急搬送件数・肺炎等による緊急入院割合・再入院率などにおいて、ケアミックス型病院とDPCのみの病院との間に明らかな差がみられなかった。
 また、「DPC算定病床の割合が小さい病院では、一部の疾患で、手術などを行う患者の割合が少ない傾向にあるものの、それらは診断群分類が別なものとなることから、大病院で実施される手術などを伴う症例の点数設定には影響しない」 として、医療資源の投入の少なさから、DPC点数が低めに設定されることになるのではないかとする大規模病院側からの懸念も問題はないとした。

③このため、西澤寛俊委員 (全日本病院協会会長) は、「ケアミックス病院とそれ以外に差がないなら、当然、すべてを対象に含めていいのではないか」 と指摘。その上で、「2007年度DPC準備病院」 について、基準を満たすことを前提に、来年度、DPC対象病院に加えるよう提案した。

④これに対して、支払側の対馬忠明委員 (健保連専務理事) は、「それはそれでいい」 と同意する一方、医療機関の機能分化が今後、進むのに合わせて、将来的にあらためて議論する必要があるとの認識も示した。

⑤DPCの拡大に慎重な姿勢を持っている日本医師会常任理事の藤原淳委員は、「ケアミックス型を入れることで、急性期病院を対象にする (本来の) 方向と違和感がある」 と指摘した。

⑥これに対して、厚労省側は、「DPCの算定対象とするのは、病院ぐるみというより、急性期病棟という整理だ」 と述べ、ケアミックス型の病院には、DPCを算定する急性期病床のみのデータ提出を求める方針を説明した。

⑦西澤委員は、ケアミックス型の病院では、急性期と慢性期とを区別せずに運営していると誤解されていると指摘した。
 その上で、ケアミックス型について、「(一つの) 病院の中に、明らかに機能の違う病院が2つあると考えていただきたい」 と説明した。

⑧最終的に、ケアミックス型病院をDPC対象病院に加えることへの反対意見はなく、了承された。

(3)一方、中小病院については、現実に、約700の 「2007年度DPC準備病院」 のうち、約半数が200床未満の中小病院であり、DPC対象病院は、当初想定された 「高度急性期病院の代名詞」 とは言えない状況になっています。
 しかしながら、上記小委員会・分科会の議論において、DPCと 「ケアミックス型病院・地方の病院」 に関しては割と論議されていますが、純粋に、「中小病院」 とDPCに関しては、あまり討議されていないと思われます。

 というのも、中小病院 (特に民間中小病院) については、当初は、高度急性期医療およびDPCを断念して、亜急性期以降の医療を担ってもらうという厚生労働省の認識だったからです。
 即ち、中小病院の役割として、次のような 「亜急性期病院、慢性期病院、ケアミックス型病院、介護保険施設」 が想定されていました。
 ①軽度 (~中等度) の救急・急性期医療 (特に、認知症の合併症がある高齢者の骨折
  等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の救急・急性期患者)
 ② 「急性期後」 の亜急性期医療 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回復期
  リハビリテーション病棟)
 ③慢性期医療 [療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)]
 ④特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
 ⑤在宅医療
 ⑥場合によっては、介護療養型老人保健施設への移行

 但し、上記(1)で示した①-(a) の 「専門特化型」 急性期中小病院、あるいは、②-(a) の 「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院は、場合によっては、大病院等よりも、質の高い効率的なDPC対象病院であることが少なくないということで、このような病院にインセンティブを与えるような 「新機能評価係数」 の設定が望まれます。(スケールメリット不足を補填する評価、高い専門性・充実したチーム医療への評価等)。

 一方、民間中小病院に比較的多い、(1)-①-(b) の 「複数 (不完全) 専門特化型」 急性期中小病院および(1)-②-(b) の 「複数 (不完全) 専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院、あるいは、(1)-②-(d) の 「認知症の合併症がある高齢者の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の急性期患者・(急性期後)・(慢性期患者の急性増悪時)」 用の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、基本的には、DPCに馴染まず、医療マンパワー不足もあることから、将来的には亜急性期以降への移行を促される可能性が高いと考えられます。

 また、地方の中小自治体病院に多い、(1)-①-(c) の 「準総合病院型」 急性期中小病院および(1)-②-(c) の 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、総務省・公立病院改革ガイドライン (平成19年12月) を厳格に適用すると、廃止・民営化の道をたどると考えられます。
 しかし、その病院が、地域唯一の病院であり、不採算医療 (政策的医療や救急医療等) を担っているということで、充分な公的支援があれば、(DPC適用の可否は別として)、存続できると考えられます。

(4)「地方」 のファクターに関しては、2009年2月12日のDPC評価分科会にて論議されました。
 議論の内容は、CareNet.com (2009/2/16) の記事 「地域の病院にDPCは不利 DPC評価分化会で佐久総合病院が問題提起」 および Japan Medicine (2009/2/16) の記事 「診療ガイドラインの係数化をめぐり論戦 DPC評価分科会 適切な評価係数の考え方ヒアリング」 によると下記の通りです。

 JA長野厚生連・佐久総合病院の西澤延宏診療部長は、「地方にも目配りした機能評価係数を」 と題した報告書を提出し、地域医療を支える地方の病院は、「高齢者が多く、医療コストが相対的に高い」・「医療圏が広域にわたる」・「周辺の医療機関が乏しく機能分化が困難」・「連携施設不足」 など、都市部に比べDPCの制度化では不利な点が多い、との考え方を示した。
 その上で、地方病院の医療を評価する観点から、①患者の年齢構成による評価 (高齢者診療機能)、②マグネットホスピタルとしての地方の診療所や中小病院への医師派遣機能に対する評価、③入院時医学管理加算の外来縮小要件の廃止、④在宅医療への評価、などを求めた。

 これに対して、小山信彌委員 (東邦大医療センター大森病院教授) は、「地方の病院だけでなく、都市部の病院も同様の状況だ」 とし、地方限定の評価軸ではないとの認識を示した。

(5)上述の通り、中小病院については、「地方」・「ケアミックス」・「公立・民間 (公私格差要因も含めて)」 の多因子が複雑に絡み、DPCとの整合性を図ることが非常に難しい面があります。
 しかしながら、DPC対象病院として相応しいと考えられる中小病院については、当ブログ記事 (『DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件』・『DPC 「新機能評価係数」 (松田研究班長・私案)』) で示している 「新機能評価係数」 候補35項目DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件 (厚生労働省)新機能評価係数に関する8項目 (松田研究班長・私案)、その他、において、当該中小病院に相応しい項目を、入念に精査・抽出あるいは新規作成、そして正式項目化を行って頂きたいと思います。
 
(6)以上、今後の中医協診療報酬基本問題小委員会およびDPC評価分科会の動向が注目されます。

 また、各DPC病院における周到な対策・準備のため、できるだけ早期の 「新機能評価係数」 決定を切望します。





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DPC 「新機能評価係数」 (松田研究班長・私案)

 平成21年2月12日、現行の調整係数に代わる新機能評価係数を検討している中央社会保険医療協議会 (中医協) 下部組織の診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会 (分科会長:西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長) が開催されました。

 Online Med ニュース 「DPC新機能評価係数、総合性・高度性・専門性・地域医療支援病院を軸に検討・分科会議論」 (2009/2/12) によると、同分科会において、「包括払い方式が医療経済及び医療提供体制に及ぼす影響に関する研究」 班 (主任研究者:松田晋哉・産業医科大学公衆衛生学教授) (以下、松田研究班) の松田班長から、次のような新機能評価係数に関する8項目が示されました。

●新機能評価係数に関する8項目 (松田私案)

  ①総合性
  ②高度性 (複雑性)
  ③効率性
  ④専門性 (手術)
  ⑤専門性 (がん手術)
  ⑥専門性 (脳血管疾患)
  ⑦専門性 (循環器疾患)
  ⑧地域医療支援病院。


 現在のDPC病院とDPC準備病院の現状についての分析を行った結果、評価軸としてこうした項目があげられるとのことです。但し、上記の評価項目は今後変更があり得るものとしています。

 また、松田班長は、新機能評価係数の一つとして、「年齢構成に応じた評価」 について言及し、研究班でも討議しているものの、年齢をどこで区分するかで意見がまとまらない状況にあることを明らかにしました。
 65歳以上での区分では違いが見られず、80歳から85歳以上で区分すれば違いがみられるとのことです。

 さらに、松田班長は、研究班としては新機能評価係数を設定するための評価軸を示すことにとどまるものであり、係数の設定方法自体は中医協での議論になるとの姿勢を示しました。

 一方、CBニュース 『新機能係数 「地域病院への配慮を」』 (2009/2/12) によると、厚生労働省は同日のDPC評価分科会終了後、当初は年度内としていた新機能評価係数候補の取りまとめ時期について、平成21年4月以降にずれ込む可能性もあるとの見方を示しました。
 この日の分科会では、DPCだけでなく包括部分の見直しを求める意見もあったため、今後は中医協の基本問題小委員会と並行して議論を進めるとのことです。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)以前の当ブログ記事 (DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件) で述べたように、平成21年1月21日現在のDPC 「新機能評価係数」 候補は、「①医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について」 が10項目、「②社会的に求められている機能・役割の評価について」が8項目、「③地域医療への貢献の評価について」 が8項目、「④その他」 が9項目、合計35項目です。

(2)厚生労働省保険局医療課・宇都宮企画官は、平成21年1月24日の講演 「DPCの調整係数廃止と新機能評価係数の導入」 において、次のようなDPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件を公表しました。

 ①根拠となるデータが提示できること
 ②新規調査ではなく、既存のデータが活用できること
 ③医療現場が具体的に運用していく上で納得できる指標であること


(3)今回、松田私案の8項目が公表され、DPC新機能評価係数候補も大分煮詰まってきたようです。

(4)しかしながら、厚生労働省は同日のDPC評価分科会終了後、当初は年度内としていた新機能評価係数候補の取りまとめ時期について、平成21年4月以降にずれ込む可能性もあるとの見方を示し、且つ、DPCだけでなく包括部分の見直しを求める意見もあったため、今後は中医協の基本問題小委員会と並行して議論を進めると表明しました。

 「包括部分の見直し」 を求める意見の詳細が、現時点では分かりませんので、論評できませんが、場合によっては、DPC病院の経営戦略に影響を及ぼしかねない状況になる可能性も否定できません。詳細な情報が待たれます。

(5)一方、新機能評価係数候補の取りまとめ時期の平成21年4月以降へのずれ込みも、DPC病院の経営戦略立案の遅延に繋がりますので、厚生労働省には善処をお願いしたいと思います。

(6)以上、今後のDPC評価分科会および中医協基本問題小委員会の議論の動向が注目されます。




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