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新要介護認定 「要介護度の軽度化」 (一次判定で50%以上が引き下げ)

 以前の当ブログ記事 [「新要介護認定 公開の場で検証へ 早ければ7月にも (厚生労働省)」] で述べたように、「新要介護認定に伴う要介護度の軽度化」 に対する不安・不満・批判・凍結要求が、巷間で渦巻いています。
 
 厚生労働省は、旧要介護認定の見直しの検証過程における 「モデル事業」・「研究事業」 で、新要介護認定の導入により、

  ①一次判定において、「20%」・「26%」 の要介護度の軽度化

  ②二次判定において、「20%」・「11%」 の要介護度の軽度化

が見られたことを報告しています。

 一方、週刊ダイヤモンド (2009/5/2・9合併特大号) の特集 「脱出!介護地獄」 において、下記のような衝撃的な記事が掲載されています。

●ある自治体の一次判定では半分が引き下げ

 一部の自治体では新方式による聞き取り調査が進められ、すでに一次判定の結果が出ている。

 ある自治体の介護保険の担当課長はその結果に驚いた。
 一次判定で50%以上の人が、以前の要介護度より軽くなったからだ。
 しかも、要介護2から要支援2へと2ランクも落ちた例が目立った。

 今後は、認定調査会が結論 (二次判定) を下すが、特記事項の材料が少ない場合は、一次判定の結果を変更してランクを上げるのは難しく、担当課長は頭を抱えている。

 特別養護老人ホーム (特養) や介護老人保健施設 (老健) などの施設には、要介護1以上の人しか入れない。
 仮に要支援に格下げとなれば、退去せざるをえなくなる。

 施設といえば、重度者のイメージが強いが、都内の認定審査会のメンバーは 「現実には、家族のいない軽度者も入所している」 と説明する。
 そこを追い出されれば、生活そのものが立ち行かない。
 要介護認定は、施設、在宅ともに暮らし方そのものを変えるインパクトを持っている。

 さすがにこのままではまずいと思ったのか、厚生労働省は4月13日、本人が希望すれば新しい要介護認定の結果が下っても、一定の期間は以前の要介護度のままサービスを受けられるという 『経過措置』 を発表した。

 だが、全ての人に適用されるかどうかは 「まだわからない」 (老人保健課) というのが現状だ。

(1)新要介護認定により、要介護度が下がると区分支給限度額が下がるため、利用できる介護サービスが制限されます。また、非該当になると、介護サービス自体が利用できなくなります。

 上述の通り、「要介護」 から 「要支援」 に軽度変更された場合、施設に入所できなくなり、訪問介護の利用も制限されます。

 さらに、「要介護2」 以上から 「要介護1」 以下に変わると、電動ベッドなど福祉用具が原則として利用できなくなります。

 そうなると、利用者の介護や生活に多大な影響を及ぼし、また、介護難民が益々増大すると考えられます。

 したがって、新要介護認定および新一次判定ソフトの信頼性などについて、国民に説明し納得が得られるまで、一旦、凍結することが望まれます。

(2)上述のように、認定調査による一次判定が当てにならない可能性が高い以上、現実的な対応としては、要介護認定の適切な二次判定において重視される 「調査員の特記事項または主治医意見書に、介護の手間を一次判定の基準時間に上乗せできる根拠が記載されていること」 の遂行が肝要と考えられます。

 但し、主治医意見書の現状を考えると、特に、調査員の特記事項の記載が重要と考えられます。

(3)厚生労働省に対する要望としては、「要介護度の軽度化→介護給付費の抑制→介護保険料の引き上げの抑制・市町村負担の抑制」 という考えではなく、「高齢者・介護サービス利用者」 の視点を重視した介護報酬改定・要介護認定制度改正を行うという英断を下して頂きたいと思います。(本当は、英断ではなく、本来の責務なのですが・・・)。




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新要介護認定 公開の場で検証へ 早ければ7月にも (厚生労働省)

 現在、国民サイドから非難の的になっている 「新しい要介護認定制度」 について、厚生労働省が、異例にも早期の検証を行うことを表明しました。その関連記事を下記に紹介します。

(資料) 新要介護認定 公開の場で検証へ 早ければ7月にも (厚生労働省) (Japan
   Medicine 2009/3/13)


①厚生労働省は、今年4月から施行する新しい要介護認定制度の検証を公開の場で行う方針を固めた。

 厚労省老健局老人保健課の鈴木康裕課長は3月10日、記者団に対し 「利用者の不安につながらないためにも、新制度について開かれた場で検証することが必要」 と述べ、4月以降の認定結果を踏まえ、早ければ7月に検証を始める見通しを示した。

 鈴木課長はまた 「新制度について説明が十分でなかった点がある」 と話し、3月中にも新制度の留意事項を通知する予定とした。

②要介護認定制度の見直しは、(1) 介護の手間に関する最新データを反映、(2) 調査員らによる認定結果のばらつきの是正、(3) 認定方法の効率化、が柱。

 認定調査項目を現行の82項目から74項目に減らしたほか、認定調査員や介護認定審査会委員向けのテキストを作成し、認定調査員の判断基準として示している 「認定調査項目の定義」 を見直した。

●認定調査の項目判定見直し 「軽度化ではない」

③認定調査項目の定義の見直しでは、実際に介助が行われていない場合は 「介助なし」 を選択し、補足情報を特記事項に記載するように変更。

 従来 「全介助」 とされていた寝たきりの人が、「移動や移乗の必要がない」 ことを理由に 「介助なし」 に判定されるケースなどが予想され、利用者側から 「要介護度認定の軽度化につながる」 と懸念する声が上がっている。

④これに対し、鈴木課長は 「介助がない場合は、これまで調査員の想像で項目を選択しており、推量や主観が入っていた。新制度では観察した結果を選択して、見たままの客観的な情報を特記事項に記載することにした」 と述べ、判定のぶれを解消することを目的とした。

 その上で 「審査会で特記事項を踏まえることで、より適切な2次判定につながる。この最終判定が大きな意味を持つ」 と話した。

⑤厚労省が行った新制度の検証事業で、1次判定では現行制度より軽度に判定される割合が高いとの結果が出たことに関しては 「2次判定では認定調査の特記事項を踏まえて軽度判定は少なくなっている」 と説明。

⑥新制度で 「要介護5」 の割合が現行制度より約2割減少している点についても 「モデル事業は本人から同意を得られた場合のみを対象としているが、一部の要介護5の人から調査への同意を得られなかった」 と述べ、重度者の一部が対象外だったことが影響していると分析した。

⑦新制度の見直しについては 「新しい1次判定ソフトも1月に配布しており、今から元に戻したりすると市町村や利用者はさらに混乱する」 とし、すぐに見直す可能性は低いとした。

 その上で、「公開の場できちんと検証を行い、そこで不具合が分かれば迅速な対応をする」 と話した。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)2009年4月1日に導入される 「新要介護認定制度」 (資料-②) は、資料-③のような理不尽・不可思議・常識外れな点が多数見られます。詳細は、下記のブログ記事・ニュース記事を参照。

● 「masaの介護福祉情報裏板」 ブログ記事
 ◎新認定調査ルールも軽度誘導へ。(前編)
 ◎新認定調査ルールも軽度誘導へ。(中編)
 ◎新認定調査ルールも軽度誘導へ。(後編)

●CBニュース
 ◎認定調査の留意点-09年度要介護認定の改定概要 (1)
 ◎身体機能・起居動作-09年度要介護認定の改定概要 (2)
 ◎生活機能-09年度要介護認定の改定概要 (3)
 ◎精神・行動障害、社会への適応など-09年度要介護認定の改定概要 (4)
 ◎新たな要介護認定は 「軽度に判定」-全日本民医連
 ◎新たな要介護認定は 「常識外れ」-認知症の人と家族の会

●当ブログ記事
 ◎平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解

(2)上記の新要介護認定制度に対する多くの批判に対して、資料-④の通り、厚労省の鈴木老人保健課長は 「介助がない場合は、これまで調査員の想像で項目を選択しており、推量や主観が入っていた。新制度では観察した結果を選択して、見たままの客観的な情報を特記事項に記載することにした」 と述べ、判定のぶれを解消することを目的としたと反論しています。

 「見たままの客観的な情報を特記事項に記載」 することは妥当です。
 しかしながら、「観察した結果を選択する際の、選択方式が非常識・理不尽」 [例:寝たきりなど重度の状態で、「移乗」 や 「移動」 の機会が全くない場合、現行では 「全介助」 と判断されているが、新基準では 「自立 (介助なし)」 と判断される。「食事摂取」 が中心静脈栄養のみの場合も、現行の 「全介助」 から 「自立 (介助なし)」 に変更される] であることが大問題です。

(3)資料-⑤に関しては、平成19年度に厚労省が行った 「変更についての検証」 は、86件という極めて少ない症例数で解析しており、全くエビデンスがないと言わざるを得ません。
 また、資料-⑥についても、全くの詭弁と思われます。

(4)上記(1)の様々な批判は、「新要介護認定制度は、要介護度の軽度化をもたらす。この制度を導入した厚生労働省の目的は、要介護度の軽度化による介護給付費の抑制 (介護保険料の引き上げの抑制、市町村負担の抑制) である」 という意見に集約されます。

(5)上述のように、認定調査による1次判定が当てにならない可能性が高い以上、資料-④の 「審査会で特記事項を踏まえることで、より適切な2次判定につながる」 という点が重要であり、「masaの介護福祉情報裏板ブログ」 の記事 (新認定調査・特記事項の書き方) において、次のように述べられています。

●適切な二次判定のためには 「調査員の特記事項または主治医意見書に、介護の手間を一次判定の基準時間に上乗せできる根拠が記載されていること」 が不可欠である。
 主治医意見書の現状を考えると、特に、調査員の特記事項の記載が重要である。

(6)新要介護認定制度により、要介護度が下がると支給限度額が下がるため、利用できる介護サービスが制限されます。また、非該当になると、介護サービス自体が利用できなくなります
 そうなると、利用者の介護や生活に多大な影響を及ぼします。

 したがって、下記の記事のように、新たな判定ソフトの信頼性などについて国民に説明し、納得が得られるまで、一旦、凍結することが求められています。

●CBニュース
 ◎新たな要介護認定制度、一時凍結を-「介護1000万人の輪」 が要望書
 ◎ 「新認定システム」 は実施の凍結を-全日本民医連

(7)一方、資料-⑦の通り、厚労省側は、新制度の見直しについては 「新しい1次判定ソフトも1月に配布しており、今から元に戻したりすると市町村や利用者はさらに混乱する」 とし、すぐに見直す可能性は低いとしています。
 また、資料-①の通り、「4月以降の認定結果を踏まえ、早ければ7月に公開の場できちんと検証を行い、そこで不具合が分かれば迅速な対応をする」 と話しています。

 しかしながら、新要介護認定制度を強行する方がより混乱すると考えられます。
 早ければ7月に公開の場できちんと検証せざるを得ない代物であれば、一旦、凍結して、制度の再検討をした方がベターと思われます。
 
(8)以上、新要介護認定制度の検証問題・凍結問題について論じました。

 要介護認定をめぐっては、以前から判定基準が明確でないことや、認知症の人の判定が低くなりやすいとして、不平・不満が多く、また、病状や障害の状態は変わらないのに、認定更新のたびに判定が軽くなり、必要なサービスを使えなくなる高齢者も少なくありませんでした。

 今回の新要介護認定制度により、上記の問題が改善されると思っていましたが、上述のように、かえって改悪となりそうです。

 厚生労働省には、「要介護度の軽度化→介護給付費の抑制→介護保険料の引き上げの抑制・市町村負担の抑制」 という考えではなく、「高齢者・介護サービス利用者」 の視点を重視した介護報酬改定・要介護認定制度改正を行うという英断を下して頂きたいと思います。(本当は、英断ではなく、本来の責務なのですが・・・)。




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平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解

 厚生労働省は、今回の要介護認定システム改正について、パブリックコメント [「要介護認定等基準時間の推計の方法 (平成12年厚生省告示第91号) の一部改正について」] の意見公募要領の 「改正概要」 の中で、次のように説明しています。

 現在、要介護認定は、認定調査結果に基づき、コンピュータにより介護に要する時間を推計する一次判定と、一次判定結果及び主治医意見書に基づき、医師等の専門家からなる認定審査会において個々の心身の状況を加味する二次判定により行われている。
 現行の一次判定における介護に要する時間を推計するロジックに関して、「平成13年のデータを用いている」・「調査項目が多く調査が煩雑なものとなっている」 という理由で、平成18年から平成20年にかけて、要介護認定調査検討会、高齢者介護実態調査、モデル事業等を行い、「最新のデータに基づく一次判定ロジックの構築」・「認定調査の負担軽減の観点から、精度が落ちないことを前提にした調査項目の見直し」 を行った。
 そして、「新たに構築した一次判定ロジック」・「新しい調査項目」 を用いて、平成21年4月1日から要介護認定を行うことにしている。

【注釈】 要介護認定の調査項目の変更点
削除項目:①拘縮 (肘関節)、②拘縮 (足関節)、③褥創、④皮膚疾患、⑤飲水、
      ⑥幻視・幻聴、⑦暴言・暴行、⑧火の不始末、⑨不潔行為、⑩異
      食行動、⑪環境等の変化、⑫電話の利用、⑬指示への反応、⑭日
      中の生活
追加項目:①話がまとまらず、会話にならない、②買い物、③簡単な調理、
      ④自分勝手に行動する、⑤独り言や独り笑いをする、⑥集団への
      参加ができない


 一方、要介護認定に関しては、介護保険導入当初より、高齢者や家族等に不平・不満があり、次に、2006年介護保険改正による要支援1・2の導入後の要介護認定の厳格化で、不平・不満が増し、さらには、平成21年4月の要介護認定システム改正を前にして、その判定方法の大きな変更・多くの認定調査項目の削減に対して、対象者 (要介護者・高齢者等) や家族は、「要介護度が下がってサービスが減るのではないか」・「現実と乖離した要介護度の判定が出るのでは」 等の不安が広がっています。

 「要介護調査・認定の見直しに関する質問主意書」 (参議院・質問第149号) (平成20年12月22日、質問者:小池 晃・参院議員) に対する政府答弁書 (内閣参質170第149号) (平成21年1月9日、内閣総理大臣・麻生太郎) にて、今回の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省の見解が公表されましたので、紹介します。


●要介護調査・認定の見直しに関する質問主意書

 来年度実施にむけて要介護調査・認定制度の見直しが進められている。今回の見直しでは調査の簡素化などを目的とする調査項目の大幅な削減、介護認定審査会 (以下、「認定審査会」) 提出資料の簡素化などが行われており、関係者からはより軽度に判定されることになるのではないか、現在以上に実態が反映しにくくなるのではないかと心配の声が寄せられている。
 実際モデル事業の認定審査会に携わった方からも、介護度はより重度と思われるが資料からはそれがわかりにくいなどの指摘がある。
 そこで以下質問する。

1.調査・認定の見直しにおいて、「主治医意見書により代替可能」 な項目は削除するとされている。

①日常的に要介護者の介護業務を行っていない主治医が、「暴言・暴行」・「異食行動」 などについてどの程度状態を把握できると考えているのか。十分に判断できるとするなら、その根拠を示されたい。


(回答) お尋ねについては、被保険者の主治の医師は、その医学的知見や診察の際に同行する家族等からの情報に基づき、「暴言・暴行」、「異食行動」 など認知症に係る周辺症状等についても十分把握できるものと考えている。

②調査項目がなくなることで、項目ごとの特記事項がなくなると、認定審査会に重要な情報が伝わらなくなるおそれはないのか。

(回答) 今般の要介護認定及び要支援認定 (以下、「要介護認定等」 という) に係る調査項目 (以下、「認定調査項目」 という) の見直しに当たっては、介護認定審査会に適切に情報が伝わるよう、認定調査票に認知症高齢者の日常生活自立度及び障害高齢者の日常生活自立度に関する特記事項の記入欄を設けることとしており、御指摘のようなおそれはないものと考えている。

2.社会保障審議会介護給付費分科会 (以下、「給付費分科会」) に提出されたモデル事業用審査会資料の見本を見ると、従来あった 「2.認定調査項目」 の 「〇●」 の欄、「3.中間評価項目得点表」 のレーダーチャート、「4.日常生活自立度の組み合わせ」 の当該自立度の場合の介護度分布の資料、「5.認知機能・廃用の程度の評価結果」 の廃用の程度に関する調査項目の認定調査結果や認知機能・廃用の認定から推定される給付区分の項目や情報が削除されている。モデル事業に携わった方からは、一次判定結果よりも実際の状態の方がより介護度が重いのではないかと疑われる場合でも、情報が少ないため介護度変更が非常に難しくなっているという声が寄せられている。これまで認定審査会に提供してきた項目・情報を減らすことにより適正な判定ができなくなるのではないか。

(回答) 今般の介護認定審査会資料の見直しに当たっては、当該資料に中間評価項目得点や認知機能・状態の安定性の評価結果から推計される給付区分を掲載することとしており、これにより、これまでと同等の情報を介護認定審査会に提供し、適正な認定の確保を図ることとしている。
 また、日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布、要介護度変更の指標については、これらを参照して行った要介護認定等が適正なものになっていない事例が確認されていることから、今般の見直し後は、介護認定審査会に対して当該指標を提供しないこととしている。

3.新しくする認定ロジックのデータは、これまでと同じく入居施設のデータによるものである。

①「電話の使用」 などは、項目を削除してもロジックに影響がないと言うが、それは施設のデータにもとづいているからではないか。

(回答) 御指摘の電話の利用の項目については、平成19年度に実施した在宅の者を含む要介護認定モデル事業の結果についても勘案した上で、これを認定調査項目から削除したとしても、一次判定の精度に大きな影響を与えるものではなく、適正な判断の妨げとはならないと判断したものである。

②「火の不始末」 のように生活実態の基本や、命にかかわるような項目を削除して適正な判断ができるのか。

(回答) 御指摘の 「火の不始末」 の項目については、要介護認定等の一次判定の精度に大きな影響を与えるものではなく、認定調査項目から削除したとしても適正な判断の妨げになるとは考えていない。

③在宅、もしくは在宅により近いグループホームなどのデータをもとにした要介護調査・認定の仕組みを作っていくべきではないか。そうしてこそより実態を反映した要介護認定となるのではないか。

(回答) お尋ねについては、そもそも、在宅介護の状況は家族の状況等により様々であり、これらのデータに基づいた標準的な調査・認定の仕組みを構築できるかどうか疑問があること、また、仮に可能であるとしても、これらのデータ収集のためには、調査者が被保険者個人の居宅に一定期間滞在する必要があるため家族等の協力が得られにくいことなどの問題点があると考えている。

4.現在でも、「状態に変化はないのに、更新で、要介護認定が軽度になった」 などの苦情が寄せられている。実際モデル事業の結果では、要介護度5の出現状況は一次・二次判定結果でも現行制度のもとでの判定との乖離が見られ、給付費分科会でも問題点が指摘されている。今回の調査・認定の 「見直し」 で、申請者の生活実態にてらして、より軽度に判定されるようになるおそれはないのか。

(回答) 今般の要介護認定等の見直しについては、平成19年に厚生労働省が実施した高齢者介護実態調査の結果も踏まえ、これを行うこととしており、仮に、見直し後の要介護認定等によって従来より軽度に判定されたとしても、その結果は介護の状況をより的確に反映したものであると考えられる。

5.事務負担軽減など、見直しの趣旨に賛同する自治体からも、調査項目の大幅な削減については、「情報不足となり、認定審査会の審査・判定が不安定になる」・「問題行動の多い認知症の方の場合、介護度が軽度になる可能性がある」 などの意見が出されており、来年度4月の実施を延期して、さらに慎重に検討すべきではないか。

(回答) 厚生労働省としては、今般の認定調査項目等の見直しについては、1の②について及び4についてでお答えしたとおり、適切なものであると考えており、平成21年4月からの実施を延期して、さらに検討を行う必要はないものと考えている。
 なお、見直し後の要介護認定等が円滑に実施されるよう、自治体等に対し、必要な情報の提供等を行ってまいりたい。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)要介護認定をめぐっては、以前から判定基準が明確でないことや、認知症の人の判定が低くなりやすいとして、不平・不満が少なくありません。病状や障害の状態は変わらないのに、認定更新のたびに判定が軽くなり、必要なサービスを使えなくなる高齢者も少なくありません。
 平成21年4月から、「新たに構築した一次判定ロジック」・「新しい調査項目」 を用いて行われる要介護認定に対しては、多くの関係者の方々が、大きな不安を抱いていると思われます。

(2)厚生労働省は、上記パブリックコメント意見公募要領の 「改正概要」 において、今回の改正の理由を、「平成13年のデータを用いている」・「調査項目が多く調査が煩雑なものとなっている」 と述べていますが、最大の理由は、『2006年度以降、2次判定で振り分けていた 「要介護1」 と 「要支援2」 に、地域によってばらつきが生じているため、1次判定で行えるようにする』 とされています。
 即ち、できるだけ要介護者を減らし (要支援者を増やし)、介護保険料の増大・市町村の負担増大をできうる限り避けたいという意図が見え見えです。

(3)上記の問1-①に対する回答 「主治医意見書により代替可能な削除項目のうち、認知症に係る周辺症状等について主治医は充分把握できると考えている」 については、厚生労働省 (老健局だから?) は全く医療現場のことがわかっていないと思われます。
 繁忙な医師 (特に急性期病院の医師) の負担を軽減しようというのが今のご時世です。平成20年度診療報酬改定で医師事務作業補助体制加算が導入されましたが、全ての急性期病院で算定しているわけではありません。また、認知症について充分な知識・経験を持っている医師 (特に急性期病院の医師) はあまり多くはありません。さらに、回復期リハビリテーション病棟や療養病床の医師も、膨大な書類の山と格闘しています。
 したがって、認定調査の負担軽減の観点ではなく、繁忙な主治医の視点で考えるべきであり、安易な項目削除をすることなく、現行通り、経験豊富な調査員に充分な認定調査を任せるべきです。
 逆に、穿った見方をすると、瑕疵なく秀逸な主治医意見書により、上記(2)の厚生労働省の魂胆 (要介護者をできるだけ少なくしたい) を妨害されたくないのかも知れません・・・。

(4)問1-②、問2も、(3)と同様の厚生労働所の魂胆 (要介護者をできるだけ少なくしたい) に基づく回答と考えられます。
 即ち、「調査項目の削除→項目ごとの特記事項が消失」 ならびに 「日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布や要介護度変更の指標を介護認定審査会に提供しない」 等の介護認定審査会に対する情報隠し・情報操作により、二次審査での介護度変更を困難にしようとしていると考えられます。

 問2の回答において、厚生労働省が本音の一端を次のように吐露しています。
 「日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布、要介護度変更の指標については、これらを参照して行った要介護認定等が適正なものになっていない事例が確認されていることから、今般の見直し後は、介護認定審査会に対して当該指標を提供しないこととしている」。

 したがって、「現行の介護認定審査会による二次判定」 と 「新システムによる介護認定審査会による二次判定」、どちらが適正なのか、しっかりと検証 (第三者委員会で!) して頂きたいと思います。

(5)問3については、以前からの大問題です。即ち、基本的に、在宅ケアを推進する立場の厚生労働省としては、認定ロジックのデータは、(入居施設のデータではなく)、在宅のデータを使うべきであり、本末転倒・言行不一致・支離滅裂です。
 問3-③の回答で、色々言い訳・申し開き・詭弁・言い逃れをしていますが、それを言うならば、そもそも、「入居施設のデータを用いて作成した認定ロジックを、在宅要介護者に適用する」 ことは、全くエビデンスがなく、この認定ロジックを要介護認定に利用してはならないと思います。
 要介護認定一つで、多くの方々の将来・人生が大きく左右される (場合によっては死に至る!) ことを、厚生労働省は肝に銘じてもらいたいと思います。
 また、同様に、問3-①・②の回答には、充分なエビデンスが認められないと考えられます。

(6)問4の回答 「仮に、見直し後の要介護認定等によって従来より軽度に判定されたとしても、その結果は介護の状況をより的確に反映したものであると考えられる」 には唖然としてしまいます。
 エビデンスが不充分な上、官僚特有の 「無謬性・匿名性・無責任体制」 に由来する 「上から目線の無責任かつ厚顔無恥な回答」 です。この回答を作成した輩が 、仮に、自分自身が要介護者の立場あるいは身内に要介護者がいる立場で、このように言われたら、怒り心頭になると思いますが・・・。

(7)問5の回答についても、(6)と同様に、エビデンスが不充分な上、官僚特有の 「無謬性・匿名性・無責任体制」 に由来する 「上から目線の無責任かつ厚顔無恥な回答」 です。また、自治体や国民の声に対して、聞く耳を持たない体質と思われます。
 制度・システムに明らかに問題がある時、国民・自治体等に大きな疑念がある時は、無謬性神話・無責任体制・プライドは捨て、名誉ある勇気ある一時撤退をすべきと思います。

(8)以上、平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解について考察しました。

 以前の当ブログ記事 [『介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)』、「厚生労働省のキャッチフレーズ及び行動指針の策定について」] で述べたように、厚生労働省は、日頃は、「患者・高齢者・介護サービス利用者の視点を一番大事にします」 と言っておきながら、肝心な時には、「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「介護保険料の視点・市町村の視点」 の方を重視してきました。
 この自己矛盾を打破し、国民の安全・安心・納得・満足のために、国民本位の社会保障政策、医療・介護・福祉政策の立案・実施を切望します。
 また、「まやかしのエビデンス」 ではなく、現場の介護従事者・サービス利用者・家族等が納得する 「真のエビデンス」 に基づく要介護認定システム改正を行って頂きたいと思います。

【追記】
 現在、厚生労働省は、「要介護認定等基準時間の推計の方法 (平成12年厚生省告示第91号) の一部改正について」 に関するパブリックコメントを募集中です (締切日:2009年3月2日)。

 要介護認定システム改正の詳細については、「masaの介護福祉情報裏板」 ブログの記事 (「新認定調査ルールも軽度誘導へ。(前編)」・「新認定調査ルールも軽度誘導へ。(中編)」・「新認定調査ルールも軽度誘導へ。(後編)」) をご参照下さい。






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