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介護保険制度に関する質問主意書 (水戸将史参院議員) と政府答弁書

 水戸将史・民主党参議院議員の介護保険制度に関する質問主意書 (質問第174号:平成21年5月22日) に対する政府答弁書 (内閣参質171第174号:平成21年6月2日、内閣総理大臣・麻生太郎) が公表されていますので、下記に示します。

●介護保険制度に関する質問主意書 (水戸将史・民主党参議院
 議員) ならびに政府答弁書


 去る2006年度より介護保険制度の改定が実施され、介護認定基準の見直しが却って介護現場での混乱を招いていると聞いている。
 また、今年度より介護報酬の改定がなされているものの、当初予測されていた報酬アップにつながらず、やむを得ず補正予算で今後3年間にわたって、その不足分につき補填することになるという。
 こうした状況に鑑み、以下質問する。

<質問1>
 介護認定基準の見直しにより、多くの利用者が改正前と身体の状態が変わっていないのにもかかわらず、自費で負担しなければ以前と同じサービスを受けることが出来なくなったと指摘している。
 また介護度によるサービス利用制限の幅も広がったため、サービスの使い勝手が悪くなり、介護現場では制度改正への疑問や、不安、不満が高まっていると聞く。
 こうした状況をどう把握し、分析しているのか明らかにされたい。

<回答>
 今回の要介護認定等の方法の見直しの影響については、今後、「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」 において、できるだけ早急に検証を行うこととしている。

 また、今回の要介護認定等の方法の見直しにより、要介護状態区分等が変化し、これまで受けていた介護サービスの利用量が変化するのではないかという不安が利用者にあることから、要介護認定等の方法の見直しの影響について検証を実施している期間中、要介護認定等の更新申請者が希望する場合には、従前の要介護状態区分等によるサービス利用も可能となるよう経過措置を設けているところである。

 なお、今回の要介護認定等の方法の見直しは、平成19年度に実施された研究事業及び平成20年度に実施されたモデル事業の結果も踏まえたものであり、これらの事業の結果においては、従来の要介護状態区分等と比較して、軽度に判定された者ばかりではなく、重度に判定された者も同程度に存在する。

<質問2>
 3年ごとに見直されてきた介護報酬は、過去2回の改定によってトータル4.7%の減額となっていた。
 今回初めて3%分の引き上げとなったが、過去の介護報酬の減額と介護人材の確保難を招いたことについての相関関係を、どう分析しているのか。
 また、3%引き上げることにより、当初、平均して2万円程度報酬額がアップすると予想されていた。
 ところが、それに反してマスコミ調査や一部の報道にもあったように、実際には5千円程度しかアップしていない現状について、どう認識しているのか。

<回答>
 平成19年12月に社会保障審議会介護給付費分科会介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチームが取りまとめた報告においても、介護事業の経営や介護労働者の処遇に影響を与えると考えられる要因については、介護報酬の水準以外にも、介護事業市場の状況、介護サービス事業のマネジメント、人事労務管理の在り方、労働者市場の状況等様々なものがあると指摘されており、お尋ねの 「過去の介護報酬の減額と介護人材の確保難を招いたことについての相関関係」 について、その有無を明確にお答えすることは困難である。

 また、厚生労働省としては、仮に今回の介護報酬の引上げ分すべてを常勤換算で約80万人と見込まれる全国の介護職員の給与に充てれば一人当たり月額2万円を超える水準となると考えているが、実際の賃金の引上げ額は、当該介護従事者の雇用形態や事業所の経営状況等により異なってくるものと考える。

 なお、過去の介護報酬の改定率の合計は、マイナス4.7パーセントであるが、平成18年の改定率には、施設における食費及び居住費の自己負担の導入による介護報酬の減額分1.9パーセントが含まれており、これを除くと、マイナス2.8パーセントとなる。

<質問3>
 今般の補正予算案においては、介護報酬充当のため約4千億円の予算計上がなされている。
 現時点の報酬額と、今後の3年間の追加支援を勘案した場合、約4千億円の積算根拠を明らかにされたい。


<回答>
 平成21年度第1次補正予算においては、介護職員の賃金の引上げを実施する事業者に対する助成を行うための基金として、御指摘の4千億円を計上しているが、この額は、平成21年度の所要額について、賃金引上げの対象となる介護職員の数を常勤換算で約80万人とし、当該介護職員一人当たりの助成額を月1万5千円として算定するとともに、平成22年度及び平成23年度の所要額について、介護サービスの提供量の増大に応じた助成額の増加を見込んで算定し、さらに、これらに事務費を加えて算定したものである。
 なお、平成21年度の事業実施期間は6か月としている。

<質問4>
 介護サービスを提供する立場から、例えば介護現場において必要とされる医療行為を、迅速かつ適切に行っていくことは望ましいことである。
 昨今の看護師の人材確保難といった事態にも対処していくため、介護人材の養成過程においては、特定の医療処置が出来るよう専門的な知識や経験を習得させるべきであると思うが、その必要性についてどう認識しているのか。

<回答>
 介護現場において医療の必要性が高まっていることは認識しているが、そもそも、介護職員が 「医療処置」 を行うことについては、医師法 (昭和23年法律第201号)、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)等に基づく規制があり、お尋ねの介護職員の人材養成の在り方については、これらの規制の在り方も含め、検討を行う必要があると考える。

 なお、当面の対応として、平成21年2月に、特別養護老人ホームにおいて医療的なケアを提供するニーズが高まっている状況に対応するため、看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会を立ち上げたところである。

<質問5>
 一般的に施設介護における介護報酬費は、利用者の要介護度を基にして全体の枠が算定されている。
 他方、利用者と介護職員との配置基準は3対1の比率とされているものの、実際の介護現場では、理論上の配置基準よりも多くの職員配置がされていると聞く。
 したがって、職員の数を増やせば自ずと職員一人当たりの労務報酬は下げざるを得ず、これがひいては介護職員離れを助長するといった指摘もある。
 ここで、前述した介護報酬費と要介護度の関係について、どういった手法や基準をもって、その金額が設定されてきたのか明らかにされたい。

<質問6>
 現況に照らした場合、前記5の配置基準を2対1くらいまでシフトしつつ、介護報酬費の設定単価をそれに見合った部分にまで拡大すべきとの意見もあるようだが、こうした意見を採用する考えはないのか。


<質問5及び6に対する回答>

 介護保険施設に係る介護報酬については、介護保険法 (平成9年法律第123号) 第48条第2項の規定に基づき、施設の種類ごとにサービスに要する平均的な費用の額を勘案して、厚生労働大臣がその算定基準を定めているが、これを定めるに当たっては、入所者の要介護度に応じた介護の手間や実際の職員の配置状況等を勘案しているところであり、御指摘のように、法令上の最低限の人員配置基準である3対1の職員配置を基礎としているわけではない。

<質問7>
 今回の介護報酬の改定により、地域加算の考え方に着手したことは評価できる。
 しかし、同一地域においても介護サービスの種類によって、地域加算が上がるものもあれば下がるものもある。
 こうした上下することについての客観的な根拠は何か、明らかにされたい。
 また例えば、特別区である東京都と、特甲地である横浜市及び川崎市との比較において、それらの上乗せ割合が開いた原因はどこにあるのか、具体的に明らかにされたい。

<回答>
 お尋ねの地域区分ごとの介護報酬単価の上乗せ割合については、平成20年4月に実施した介護事業経営実態調査によって得られたデータを基に、地域区分における人件費水準の違いを踏まえて設定したものであり、御指摘の東京23区が該当する特別区と横浜市や川崎市が該当する特甲地の上乗せ割合の違いについても、それぞれの地域区分の人件費水準の違いを反映したものである。

<質問8>
 介護保険制度の見直し等により新型特養が主流となる中、入居する利用者の収入区分が4段階に分けられたことによって、施設自体が収入の少ない利用者の経費 (居住費および給食費) 負担を強いられることとなった。
 こうした利用者負担分の一部を肩代わりする施設にとっては、経営圧迫の一因のみならず、経営そのものが成り立たなくなるといった危険性も指摘されている。
 こうした現状についてどう認識しているのか。
 また、施設側の負担軽減を図る必要性についてどう認識しているのか。

<回答>
 現行の介護保険制度においては、介護保険施設における居住及び食事の提供に係る利用料は、利用者と介護保険施設との間の契約に基づき、決定されるものであるが、低所得者については、その所得に応じて負担限度額を定め、利用料がこれを上回る場合には、基準費用額と負担限度額の差額を限度として補足給付を支給することとしている。
 したがって、介護保険施設は、少なくとも基準費用額についてまでは、その収入が確保される仕組みとなっており、御指摘の 「利用者負担分の一部を肩代わりする施設」 については、居住及び食事の提供に基準費用額を上回る経費をかけているものと考えられるが、これは各施設の経営の結果によるものであり、このような施設に対する支援を行う必要性は乏しいものと考える。

<質問9>
 また施設運営上、前記8の負担のみならず、独立行政法人福祉医療機構に対する償還金の存在は看過できないものである。
 昨今の社会情勢や経済状況を加味した上で、その償還期間について延長を含めさらに融通性を持たせるべきであるとの指摘もあるが、こうした考え方を導入することについてどう考えるか。


<回答>
 独立行政法人福祉医療機構においては、長期低利の融資を行っており、その条件は、民間の金融機関による融資と比較しても、有利なものとなっているところ、現時点において、お尋ねのように償還期間を更に延長する等の措置を講じることは考えていない。

<質問10>
 特別養護老人ホームへの入所に対する利用者の希望は、従来型とユニット型を比較した場合には、経済的に従来型を望む声が多いと聞く。
 ところが現時点では、地方自治体サイドは国の意向を受け従来型の新設に対して許可を与えず、国もまたユニット型を推進していくとの方針に対して、利用者ニーズに対応した政策転換を図るべき時期に来ていると思えるが、どう認識しているか。
 また、他方でユニット型の利用者負担の軽減を図る必要があるとの指摘についてどう考えるか、明らかにされたい。


<回答>
 厚生労働省としては、特別養護老人ホームにおけるユニット型施設については、入所前までの自宅での生活様式の継続や、より良い生活環境の実現を図る等の観点から、整備を進めていくことが必要であると考えており、第4期介護保険事業計画の策定に当たり改定した 「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」 (平成18年厚生労働省告示第314号)においても、平成26年度における特別養護老人ホームの定員数に占めるユニット型施設の定員数の割合を7割以上とするという目標を掲げているところであるが、「従来型の新設」 について認可するか否かは、各都道府県が地域の実情を踏まえて判断するものである。

 低所得であるユニット型個室の利用者の負担については、利用者に過大なものとならないよう、負担限度額が定められているところである。

(1)上記の介護保険制度に関する政府・厚生労働省の回答および介護保険制度の制度設計・介護報酬改定においては、根底に、「介護給付費の抑制→介護保険料の引き上げの抑制・市町村負担の抑制」 というネガティブな思考の論理があると考えられます。

 次期政権には、発想の転換をして頂き (既に発想の転換をして頂いている政党もあるかとは思いますが・・・)、

①先ず、国民の安全・安心・納得・満足の実現を最優先に考える。
   ↓
②量・質ともに充分なレベルの介護保険制度に必要な予算および必要な介護給付
 費を確保する (介護給付費抑制のための 「要介護認定制度改正による要介護度
 の軽度化および介護報酬改定 (含、区分支給限度額の据え置き)」 は可及的速や
 かに改正する)。
   ↓
③そのための財源を確保する (その際、安易な 「介護保険料の引き上げ・介護サ
 ービス利用者の自己負担の引き上げ・市町村負担の増大」 は控える)。
   ↓
④そのために、社会保障 (医療・介護・福祉・年金・雇用・子育て) 以外の分野
 における 「税金の無駄遣い」 を止め、且つ 「(一般国民の目線から見た) 優先順
 位の低い事業」 は、予算執行を先送りするあるいは中止する (消費税増税は最
 後の最後の手段!)。

という新しい発想 (一般国民の目線での発想) で、現在の 「介護崩壊・介護難民・介護棄民・社会保障崩壊」 の負のスパイラルから、「介護再生・社会保障再生」・「国民の安心・安全・納得・満足が得られる社会」 の実現を達成して頂きたいと思います。

(2)来る8月30日の衆議院総選挙に向け、各政党が様々な政策を訴えています。

 消費税増税問題も、総選挙の大きな争点になると思われます。

 しかしながら、「消費税増税」 を行う前に、

①充分な景気回復

②税制の抜本的改革 (特に、財界・大企業・株主・金持ち優遇税制の是正)

③膨大な税金 (国民の血税) の無駄使いの抜本的是正
 (1) 伏魔殿化した特別会計の透明化・是正
 (2) 官僚の天下り・渡りの根絶および天下り用の無駄な公益法人や補助金の
  根絶 (約12兆円)
 (3) 国会議員の定数削減・歳費の削減
 (4) 国家公務員人件費の削減
 (5) 道路・空港・整備新幹線・ハコモノ等の無駄な公共事業の根絶、等

④道路特定財源の完全なる一般財源化

⑤年金問題の早期完全解決

等々の諸課題を達成または実行の約束をしないと、国民の納得を得られないと思います。

 次期政権には、国民の安心・安全・納得・満足のために 「医療再生・介護再生をはじめとした社会保障 (医療・介護・福祉・年金・雇用・子育て) 再生」 を図るという大前提で、他の分野の 「税金の無駄使い」 を大胆にカットして頂き、その結果、「削減するものが最早ない」 ということを一般国民が充分納得した上で、最後の最後で消費税増税論議に入って頂きたいと思います。




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要介護度の軽度化 (新要介護認定制度導入の影響調査で判明)

 2009年度・要介護認定制度改正に伴う 「要介護度の軽度化」 に関する記事が、毎日新聞ホームページ (2009/6/30) および共同通信ホームページ (2009/7/10) に掲載されていますので、下記に示します。

要介護認定:1次判定、新基準で4割超軽く、2次の修正相次ぐ (毎日新聞)

 4月から運用が始まった新しい要介護認定の基準について、淑徳大の結城康博准教授 (社会保障論) が全国15自治体の約5,050人を調べたところ、4割強の人がコンピューターによる1次判定で現在の要介護度より軽くされていることが分かった。
 新基準は厚生労働省が専門会議を設け検証しているが、調査は利用者の不信感を裏付ける形となり見直し論議に影響しそうだ。

 調査は専門会議メンバーの結城准教授が自治体にデータ提供を要請し、認定更新を申請して5月に新たな認定が出た例を分析した。
 1次判定では申請者の約43%が現在の要介護度より軽度になり、現在と同じになった人は約37%、重度になった人は約20%だった。

 この結果を踏まえ結論を出す2次判定では、1次の結果をより重度に修正するケースが相次ぎ、最終的に現状より軽度と判定された人は約23%にとどまった。
 2次判定に携わる各自治体の介護認定審査会メンバーからは、「要介護3だった人が非該当にまで下がったケースがある」・「1次判定で半分以上の人の要介護度が下がり、吟味して救っている」 などの報告があった。

 要介護認定では市区町村ごとのばらつきが大きいとして厚労省は1次判定基準を改定。
 だが利用者らの批判を受け、経過措置として現在と異なる判定が出た人は希望すれば今と同じサービスが受けられるようにしている。

介護認定の軽度化進む:新基準導入の影響調査で判明 (共同通信)
 
 介護保険のサービスを受けるのに必要な要介護認定の判定基準が4月から変わった影響について、全国約5千人を調べたところ、23%が更新前の要介護度より軽く認定されていることが10日、淑徳大の結城康博准教授の調査で分かった。

 調査によると、コンピューターによる1次判定で軽度となったのは43%。この結果を参考に、医師らが結論を出す2次判定で、最終的に軽度と判定されたのは23%、更新前と同じ人は55%、重度の人は22%だった。

 軽度化した人の割合を要介護度別に見ると、最も高いのは 「要支援2」 の34%。以下、「要介護3」 (27%)、「要介護2」 (26%) の順。
 一方、介護度の重い 「要介護4」・「要介護5」 で軽度化する割合は比較的小さかった。

 結城准教授は 「今回はケーススタディーで全国データを待たなければならないが、介護サービスを受けられない要介護認定非該当の人の割合が前年より増えた自治体が多く、注目していく必要がある」 と指摘している。

(1)前回の当ブログ記事 [平成21年度介護報酬改定・緊急調査結果 (NHK解説委員の見解)] でも述べましたが、介護保険制度の構造的問題に対する下記のような 「構造改革」 が必要と考えられます。

  ①介護報酬引き上げに連動した 「区分支給限度額の引き上げ」

  ② 「看護およびリハビリテーションの医療系サービス」 費用の区分支給限度
   額からの除外

  ③応益負担 (原則1割自己負担) から、応能負担への転換。

  ④要介護度の軽度化を助長する 「新要介護認定制度」 の改正 (真の適正化)

(2)上記①~④の対策により、介護サービス利用者負担増による 『介護サービス 「利用」 手控え問題および介護事業者 「加算取得」 手控え問題』 等が解消され、「介護難民・介護棄民」 の出現・増大防止が図れると考えられます。

(3)しかしながら、最大の問題は、「財源」 です。

 前回の当ブログ記事 [平成21年度介護報酬改定・緊急調査結果 (NHK解説委員の見解)] および以前の当ブログ記事 [社会保障財源問題 (消費税増税:財務省主計局主計官の見解)] でも述べていますが、これまでの財源配分のやり方を変革し、発想の転換のもと、先ず、「国民の安心・安全・納得・満足」 の拠り所である 「社会保障 (医療・介護・年金・雇用・福祉)」 の分野に、財源を優先して注ぎ込み、もって 「医療再生・介護再生・社会保障再生」 を図るべきと考えられます。

 そうすれば、社会保障 (医療・介護・年金・雇用・福祉) の再生に伴い、雇用創出効果・経済波及効果が高まり、かつ強固なセーフティネットが構築され、「国民の安心・安全・納得・満足」 による内需拡大も含めて、「経済成長を図る」・「法人税・所得税等の税収増を図る (消費税の増税率をできるだけ抑制する)」 という好循環が実現できる可能性が期待できると考えられます。




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平成21年度介護報酬改定・緊急調査結果 (NHK解説委員の見解)

 NHK解説委員室ブログ (2009/7/9) の 『スタジオパークからこんにちは 「暮らしの中のニュース解説」』 カテゴリーに、平成21年度介護報酬改定3%引き上げに関する緊急調査結果についての記事が掲載されていますので、下記に示します。

スタジオパーク 「介護報酬は上がったけれど・・・」
 
(稲塚キャスター)
 介護サービスを提供した事業者に支払われる介護報酬が今年4月、3%引き上げられました。
 その後、介護の仕事をする人たちにどんな変化が起きたのか、緊急調査の結果がまとまりました。
 後藤千恵解説委員です。

(Q1)
 そもそも、今回の介護報酬の引き上げ、狙いはなんだったのでしょうか?


(A1)
 一言で言いますと、介護職員の待遇を改善して、人材の確保につなげるということです。
 介護の仕事は、お年寄りの命を預かる大変な仕事です。
 でも、その割に賃金が低く、人が集まらない。
 人手が確保できなければ、介護保険という制度はあっても、必要なサービスが受けられないという事態にもなりかねない。
 そこで、介護事業者に支払う報酬を引き上げて職員の待遇の改善につなげようというのが狙いなんです。

(Q2)
 その結果、どうなったんでしょうか?


(A2)
 東京都社会福祉協議会がこの5月から6月にかけて、緊急に行った調査の結果がまとまりました。
 こちらです (註:図省略)。
 まず、今回の改定で介護事業者の収入がどうなったのか。
 今年4月の収入の見込みを、去年の4月と比較しました。
 その結果、「増えた」 というところが55%。
 「変わらない」 というところが14%。
 「減った」 ところが30%でした。

(Q3)
 増えたというところが半分ちょっと?


(A3)
 そうなんです。
 しかも、収入が増えたと答えた事業所に、その理由を聞いたところ、「報酬単価が上がったから」 というところは25%、4分の1にとどまっていました。
 そして、「報酬の改定以外の要因」、たとえば、利用者の数が増えたなどという理由をあげた事業者が40%以上に上っていました。

(Q4)
 報酬が上がったのに、どうして収入が増えないのですか?


(A4)
 実は今回、報酬の引き上げにあたって、すべての報酬単価を一律、3%引き上げるのではなく、一定の条件を満たした場合に加算をする、というやり方をしたからなんです。
 事業者の質を高めることが目的だとされているんですが、たとえば、お年寄りの家にヘルパーを派遣する訪問介護事業者の場合ですと、
  ①介護福祉士の資格を持つ職員が30%以上いる場合
  ②すべてのヘルパーに個別の研修を行った場合
などに加算されます。
 ですから、そうした条件を満たせる事業者の報酬は上がったんですが、一方で、条件を満たせないところは恩恵にあずかれない。
 特に規模の小さな事業者の間で、加算ができなかったところが多いと見られているんです。

(Q5)
 そもそも収入が増えなければ、介護職員の待遇の改善といっても難しい?


(A5)
 はい。
 職員の処遇改善の取組みについて聞いた結果がこちらです (註:図省略)。
 まず、基本給について、今年4月以降、「上げた」、または 「上げる予定」、というところがおよそ40%、「予定していない」 ところが半数以上に上っていました。
 また、基本給以外の手当てについて、「上げた」、「上げる予定」 というところがおよそ3分の1、「上げることを予定していない」 というところが3分の2という結果でした。

(Q6)
 待遇の改善ができない理由としては、どんなことがあげられているのでしょうか?

(A6)
 主な理由は、やはり、「赤字の補填にしかならず、処遇の改善にまで回らない」 というもので37%、3分の1以上を占めていました。
 そもそも、介護事業者はこれまで、介護報酬が低く抑えられてきたために、経営状況が厳しいところが多いんです。
 厚生労働省の去年の調査によりますと、たとえば、訪問介護事業者の場合、51%、半数以上が赤字でした。
 このうち、20%以上の大幅な赤字だった事業所が全体の4分の1以上に上っているんです。
 事業者の間からは、「たくさん、もうけさせてくれとは言わない。せめて、介護という仕事の内容を正しく評価してほしい」 という声が上がっています。

(Q7)
 結局、報酬を3%程度、引き上げても、人材を確保することにはつながっていかないということでしょうか?


(A7)
 少なくとも今の段階では、そう言えると思います。
 ただ、介護報酬をさらに大きく引き上げるとなると、やはり、財源が問題になります。
 報酬の1割は、介護サービスを使うお年寄りの利用料ですし、残りは私たちの税金と保険料です。
 報酬の引き上げは、そうした私たちの負担と裏表の関係なんです。
 実は今回の調査で意外な結果がありました。
 そもそも、加算できる要件を満たしているのに加算の申請をしていないという事業者が少なくなくて、訪問介護事業者では、10%以上に上っていたんです。
 あえて、加算をしなかったという事業者に話を聞きますと、「加算をすれば、その分、お年寄りの利用料が上がってしまう。ぎりぎりの生活をしている利用者に、これ以上の負担は求められない」 とか、「介護福祉士が多くいるので、加算はできるのだけれど、利用者にしてみると、毎回、必ず介護福祉士が来るわけではない。それなのに利用料を上げる理由を説明できない」 といった声が聞かれました。
 経営の改善と利用者の負担増、両方の狭間で頭を悩ませているようでした。

(Q8)
 難しいですね。


(A8)
 そうですね。
 ただ、介護の人材確保は、何とかしなければならない大きな課題です。
 これから介護サービスを必要とするお年寄りはどんどん増えて、このままでいくと、2025年に必要となる介護職員の数は、少なく見積もっても、今の1.8倍、212万人に達すると推計されています。
 このまま、人材が確保できなければ、多くのお年寄りが必要なサービスを受けられないという事態に陥ってしまいます。
 政府は、緊急の経済対策で、介護職員の賃金を月に1万5千円程度引き上げるための交付金を事業者に助成することにしているんですが、3年の期限つきです。
 一時的な緊急の対策ではなく、介護という仕事をやりがいのある、魅力的な仕事にしていくにはどうすればいいのか、財源の問題を含め、早急に考えていかなければならないと思います。

(1)結局、今回の介護報酬3%引き上げ改定は、下記の要因等にて、必ずしも成功とはいえないと考えられます。

  ①過去2回の介護報酬引き下げによるこれまでの介護事業者への大きなダメ
   ージ→「今回の介護報酬引き上げ分は、赤字の補填にしかならず、介護職
   員の待遇の改善にまで回らない」。

  ②今回の介護報酬引き上げ方法の結果的な失敗 [すべての報酬単価を一律3
   %引き上げるのではなく、一定の条件を満たした場合に加算をするやり方
   をしたため、加算の条件を満たせない介護事業者 (特に、小規模の事業者)
   は恩恵にあずかれない]。

  ③介護保険制度の構造的な問題 [区分支給限度額 (今回据え置き) 問題、応益
   負担 (原則1割自己負担) 問題、要介護認定制度改正 (改悪) 問題、等] に伴
   う介護サービス利用者負担増による 『介護サービス 「利用」 手控え問題お
   よび介護事業者 「加算取得」 手控え問題』。

  ④財源問題 [介護保険料 (含、市町村負担) 引き上げ問題、自己負担引き上げ
   問題、公費負担引き上げ問題 (消費税増税問題)]。

(2)以前の当ブログ記事 [社会保障財源問題 (消費税増税:財務省主計局主計官の見解)] でも述べていますが、最終的には、財源が命運を決めますので、「社会保障 (医療・介護・年金・雇用・福祉) 立国論」 に基づき、社会保障に対して可能な限りの財源を優先して注ぎ込み、もって 「医療再生・介護再生・社会保障再生」 を図り、雇用創出効果・経済波及効果を高め、かつ強固なセーフティネットを構築し、「国民の安心・安全・納得・満足」 による内需拡大も含めて、「経済成長を図る」・「法人税・所得税等の税収増を図る (消費税の増税率をできるだけ抑制する)」 という好循環を実現させることを優先すべきと考えられます。

 また、介護保険制度の構造的な問題 [区分支給限度額、応益負担 (原則1割自己負担)、 要介護認定制度、等] の抜本的な改革も必要と考えられます。




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失敗しない高専賃選び (確認すべき8つのポイント)

 CBニュース (2009/03/17) に、日本介護経営学会のシンポジウムにおける厚生労働省・宮島俊彦老健局長の講演 「介護報酬と介護経営」 に関する記事が掲載されています。

 講演において、同局長は、居住系施設に関して、下記のように述べています。

 日本では有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅 (高専賃) など居住系施設が少ないと指摘。

 今後も特養や老健は一定数を整備する必要があるが、圧倒的に足りないのが 「高齢者の集合住宅」 とし、国土交通省との間で、集合住宅の1階部分にデイサービスや訪問看護ステーションを置き、2階から上をバリアフリーの住宅にするといった計画を進めているとした。

 都会での高齢化が急速に進む中、「居住系施設を整備し、訪問診療、訪問看護、訪問介護が外からサービスを入れる形にならざるを得ない」 と説明した。

 上記に関連して、週刊ダイヤモンド (2009/5/2・9合併特大号) の特集 「脱出!介護地獄」 において、「失敗しない高専賃選び」 に関する記事が掲載されていますので、紹介します。

●こんな高専賃は選ぶな!!

その1,入居金が高額。償却や保全措置の情報を開示しない。

その2.介護度によって入居を拒んだり介護度が上がった場合の対応が不明確。

その3.共益費やサービスの細目、総額費用を明示しない。

その4.最低限の要件であるバリアフリーと緊急通報施設しかない。

その5.24時間対応する介護に慣れた管理人がいない。

その6.介護サービスを運営母体の系列からしか選べない。

その7.連携病院が近隣にない。あっても24時間対応でないなど不充分。

その8.居室面積が25平方メートル (共同型は18平方メートル) 未満。

 上記のように、高専賃選びには、正確な情報に基づく賢い選択が肝要ですが、結局は、「先立つもの」 がなければ、どうにもなりません。

 老後の安全・安心が充分に担保されてない今、「約1,500兆円もの個人金融資産」 は活用されることなく、ほとんど眠ったままであり、内需拡大による景気回復もままならず、「不況の負のスパイラル」 からの脱却は難しいと考えられます。

 したがって、「社会保障 (医療・介護・年金・雇用・福祉) 立国論」 に基づく 「社会保障再生」 により、雇用創出効果・経済波及効果を高め、かつ強固なセーフティネットを構築し、「国民の安心・安全・納得・満足」 による内需拡大も含めて、「経済成長を図る」・「法人税・所得税等の税収増を図る (消費税の増税率をできるだけ抑制する)」 という好循環の実現が望まれます。




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社会保障財源問題 (消費税増税:財務省主計局主計官の見解)

 日本医師会主催の平成20年度医療政策シンポジウムが、平成21年3月13日に開催されました。(プログラムは、下記の資料1参照)。

(資料1) 日本医師会・平成20年度医療政策シンポジウム
     「わが国の未来を支える社会保障-社会保障財源のあり方-

●講演Ⅰ.社会保障財源と制度設計の思想
      田中 滋 (慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)

●講演Ⅱ,社会保障給付と税負担及び保険料負担
      太田 充 (財務省主計局主計官 厚生労働係担当)

●講演Ⅲ,構造改革と社会保障
      高橋洋一 (東洋大学経済学部総合政策学科教授)

●講演Ⅳ.今後の医療改革に向けて
      吉川 洋 (東京大学大学院経済学研究科教授)

●日本医師会の考え方 中川俊男 (日本医師会常任理事)

●パネルディスカッション

 Medical Tribune (2009/4/23) によると、上記シンポジウムにおいて、持続可能な社会保障政策として、(短期的には、霞ヶ関の各省庁が管理する特別会計の剰余金や積立金、いわゆる 「埋蔵金」 を社会保障費の財源として活用できるが)、中長期的には、やはり、消費税増税で財源を確保すべきという方向性でした。

 さらに、パネルディスカッションにおいて、財務省主計局主計官 (厚生労働担当) は、消費税増税の前における 「消費税の国と地方の配分論議の必要性」 を下記のように述べています。

(資料2) 消費税増税の前に配分の議論を (財務省主計局厚生労働担当主計官)

 財務省主計局厚生労働担当の太田充主計官は、社会保障財源の観点から消費税の仕組みを説明した。

 5%の消費税のうち国には4%が回るが、その29.5%は地方交付税となるため、「実質的に国に残るのは全体の56%しかない」 と解説した。

 年金や医療、介護の給付の負担割合は国が8割、地方2割である実態に触れ、「消費税の国と地方の配分を現行のままにして社会保障の給付を国民に負担してもらうとすると、もっと上げなければならなくなる」 との見方を示した。

 上記に関するブログ管理人の考察・結論は下記の通りです。

(1)消費税増税に関しては、以前の当ブログ記事にて、何回も何回も (口酸っぱくして) 述べています。

 即ち、「消費税増税」 を行う前に、

  ①充分な景気回復

  ②税制の抜本的改革 (特に、財界・大企業・株主・金持ち優遇税制の是正)

  ③膨大な税金 (国民の血税) の無駄使いの抜本的是正
   (1) 伏魔殿化した特別会計の透明化・是正
   (2) 官僚の天下り・渡りの根絶および天下り用の無駄な公益法人や補助金
     の根絶 (約12兆円)
   (3) 国会議員の定数削減・歳費の削減
   (4) 国家公務員人件費の削減
   (5) 道路・空港・整備新幹線・ハコモノ等の無駄な公共事業の根絶、等

  ④道路特定財源の完全なる一般財源化

  ⑤年金問題の早期完全解決

等を達成または実行の約束をしないと、国民の納得を得られないと思われます。

(2)さらに、資料2の財務省官僚の説明により、消費税には、「国と地方の配分により、増税率が大きく左右される」 という問題が潜んでいることが判明しました。

 この問題は、地方交付税の問題および地方分権・道州制論議にも波及すると考えられます。

(3)以上、社会保障財源問題における消費税増税 (財務省主計局厚生労働担当主計官の見解) について論じました。

 持続可能な社会保障政策の財源というと、いつも、有識者の大多数は、消費税増税を主張します。

 しかしながら、消費税増税を声高に叫ぶ前に、上記(1)の各対策に加えて、「以前の当ブログ記事にて、何回も何回も (口酸っぱくして) 述べている」 下記の事柄を優先して考慮すべきと思われます。

 即ち、「医療立国論」、「医療・介護立国論」、あるいは 「社会保障 (医療・介護・年金・雇用・福祉) 立国論」 に基づき、「医療再生・介護再生・社会保障再生」 を図り、雇用創出効果・経済波及効果を高め、かつ強固なセーフティネットを構築し、「国民の安心・安全・納得・満足」 による内需拡大も含めて、「経済成長を図る」・「法人税・所得税等の税収増を図る (消費税の増税率をできるだけ抑制する)」 という好循環を実現させることを優先すべきと考えられます。




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