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平成21年度介護報酬改定・緊急調査結果 (NHK解説委員の見解)

 NHK解説委員室ブログ (2009/7/9) の 『スタジオパークからこんにちは 「暮らしの中のニュース解説」』 カテゴリーに、平成21年度介護報酬改定3%引き上げに関する緊急調査結果についての記事が掲載されていますので、下記に示します。

スタジオパーク 「介護報酬は上がったけれど・・・」
 
(稲塚キャスター)
 介護サービスを提供した事業者に支払われる介護報酬が今年4月、3%引き上げられました。
 その後、介護の仕事をする人たちにどんな変化が起きたのか、緊急調査の結果がまとまりました。
 後藤千恵解説委員です。

(Q1)
 そもそも、今回の介護報酬の引き上げ、狙いはなんだったのでしょうか?


(A1)
 一言で言いますと、介護職員の待遇を改善して、人材の確保につなげるということです。
 介護の仕事は、お年寄りの命を預かる大変な仕事です。
 でも、その割に賃金が低く、人が集まらない。
 人手が確保できなければ、介護保険という制度はあっても、必要なサービスが受けられないという事態にもなりかねない。
 そこで、介護事業者に支払う報酬を引き上げて職員の待遇の改善につなげようというのが狙いなんです。

(Q2)
 その結果、どうなったんでしょうか?


(A2)
 東京都社会福祉協議会がこの5月から6月にかけて、緊急に行った調査の結果がまとまりました。
 こちらです (註:図省略)。
 まず、今回の改定で介護事業者の収入がどうなったのか。
 今年4月の収入の見込みを、去年の4月と比較しました。
 その結果、「増えた」 というところが55%。
 「変わらない」 というところが14%。
 「減った」 ところが30%でした。

(Q3)
 増えたというところが半分ちょっと?


(A3)
 そうなんです。
 しかも、収入が増えたと答えた事業所に、その理由を聞いたところ、「報酬単価が上がったから」 というところは25%、4分の1にとどまっていました。
 そして、「報酬の改定以外の要因」、たとえば、利用者の数が増えたなどという理由をあげた事業者が40%以上に上っていました。

(Q4)
 報酬が上がったのに、どうして収入が増えないのですか?


(A4)
 実は今回、報酬の引き上げにあたって、すべての報酬単価を一律、3%引き上げるのではなく、一定の条件を満たした場合に加算をする、というやり方をしたからなんです。
 事業者の質を高めることが目的だとされているんですが、たとえば、お年寄りの家にヘルパーを派遣する訪問介護事業者の場合ですと、
  ①介護福祉士の資格を持つ職員が30%以上いる場合
  ②すべてのヘルパーに個別の研修を行った場合
などに加算されます。
 ですから、そうした条件を満たせる事業者の報酬は上がったんですが、一方で、条件を満たせないところは恩恵にあずかれない。
 特に規模の小さな事業者の間で、加算ができなかったところが多いと見られているんです。

(Q5)
 そもそも収入が増えなければ、介護職員の待遇の改善といっても難しい?


(A5)
 はい。
 職員の処遇改善の取組みについて聞いた結果がこちらです (註:図省略)。
 まず、基本給について、今年4月以降、「上げた」、または 「上げる予定」、というところがおよそ40%、「予定していない」 ところが半数以上に上っていました。
 また、基本給以外の手当てについて、「上げた」、「上げる予定」 というところがおよそ3分の1、「上げることを予定していない」 というところが3分の2という結果でした。

(Q6)
 待遇の改善ができない理由としては、どんなことがあげられているのでしょうか?

(A6)
 主な理由は、やはり、「赤字の補填にしかならず、処遇の改善にまで回らない」 というもので37%、3分の1以上を占めていました。
 そもそも、介護事業者はこれまで、介護報酬が低く抑えられてきたために、経営状況が厳しいところが多いんです。
 厚生労働省の去年の調査によりますと、たとえば、訪問介護事業者の場合、51%、半数以上が赤字でした。
 このうち、20%以上の大幅な赤字だった事業所が全体の4分の1以上に上っているんです。
 事業者の間からは、「たくさん、もうけさせてくれとは言わない。せめて、介護という仕事の内容を正しく評価してほしい」 という声が上がっています。

(Q7)
 結局、報酬を3%程度、引き上げても、人材を確保することにはつながっていかないということでしょうか?


(A7)
 少なくとも今の段階では、そう言えると思います。
 ただ、介護報酬をさらに大きく引き上げるとなると、やはり、財源が問題になります。
 報酬の1割は、介護サービスを使うお年寄りの利用料ですし、残りは私たちの税金と保険料です。
 報酬の引き上げは、そうした私たちの負担と裏表の関係なんです。
 実は今回の調査で意外な結果がありました。
 そもそも、加算できる要件を満たしているのに加算の申請をしていないという事業者が少なくなくて、訪問介護事業者では、10%以上に上っていたんです。
 あえて、加算をしなかったという事業者に話を聞きますと、「加算をすれば、その分、お年寄りの利用料が上がってしまう。ぎりぎりの生活をしている利用者に、これ以上の負担は求められない」 とか、「介護福祉士が多くいるので、加算はできるのだけれど、利用者にしてみると、毎回、必ず介護福祉士が来るわけではない。それなのに利用料を上げる理由を説明できない」 といった声が聞かれました。
 経営の改善と利用者の負担増、両方の狭間で頭を悩ませているようでした。

(Q8)
 難しいですね。


(A8)
 そうですね。
 ただ、介護の人材確保は、何とかしなければならない大きな課題です。
 これから介護サービスを必要とするお年寄りはどんどん増えて、このままでいくと、2025年に必要となる介護職員の数は、少なく見積もっても、今の1.8倍、212万人に達すると推計されています。
 このまま、人材が確保できなければ、多くのお年寄りが必要なサービスを受けられないという事態に陥ってしまいます。
 政府は、緊急の経済対策で、介護職員の賃金を月に1万5千円程度引き上げるための交付金を事業者に助成することにしているんですが、3年の期限つきです。
 一時的な緊急の対策ではなく、介護という仕事をやりがいのある、魅力的な仕事にしていくにはどうすればいいのか、財源の問題を含め、早急に考えていかなければならないと思います。

(1)結局、今回の介護報酬3%引き上げ改定は、下記の要因等にて、必ずしも成功とはいえないと考えられます。

  ①過去2回の介護報酬引き下げによるこれまでの介護事業者への大きなダメ
   ージ→「今回の介護報酬引き上げ分は、赤字の補填にしかならず、介護職
   員の待遇の改善にまで回らない」。

  ②今回の介護報酬引き上げ方法の結果的な失敗 [すべての報酬単価を一律3
   %引き上げるのではなく、一定の条件を満たした場合に加算をするやり方
   をしたため、加算の条件を満たせない介護事業者 (特に、小規模の事業者)
   は恩恵にあずかれない]。

  ③介護保険制度の構造的な問題 [区分支給限度額 (今回据え置き) 問題、応益
   負担 (原則1割自己負担) 問題、要介護認定制度改正 (改悪) 問題、等] に伴
   う介護サービス利用者負担増による 『介護サービス 「利用」 手控え問題お
   よび介護事業者 「加算取得」 手控え問題』。

  ④財源問題 [介護保険料 (含、市町村負担) 引き上げ問題、自己負担引き上げ
   問題、公費負担引き上げ問題 (消費税増税問題)]。

(2)以前の当ブログ記事 [社会保障財源問題 (消費税増税:財務省主計局主計官の見解)] でも述べていますが、最終的には、財源が命運を決めますので、「社会保障 (医療・介護・年金・雇用・福祉) 立国論」 に基づき、社会保障に対して可能な限りの財源を優先して注ぎ込み、もって 「医療再生・介護再生・社会保障再生」 を図り、雇用創出効果・経済波及効果を高め、かつ強固なセーフティネットを構築し、「国民の安心・安全・納得・満足」 による内需拡大も含めて、「経済成長を図る」・「法人税・所得税等の税収増を図る (消費税の増税率をできるだけ抑制する)」 という好循環を実現させることを優先すべきと考えられます。

 また、介護保険制度の構造的な問題 [区分支給限度額、応益負担 (原則1割自己負担)、 要介護認定制度、等] の抜本的な改革も必要と考えられます。




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社会保障財源問題 (消費税増税:財務省主計局主計官の見解)

 日本医師会主催の平成20年度医療政策シンポジウムが、平成21年3月13日に開催されました。(プログラムは、下記の資料1参照)。

(資料1) 日本医師会・平成20年度医療政策シンポジウム
     「わが国の未来を支える社会保障-社会保障財源のあり方-

●講演Ⅰ.社会保障財源と制度設計の思想
      田中 滋 (慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)

●講演Ⅱ,社会保障給付と税負担及び保険料負担
      太田 充 (財務省主計局主計官 厚生労働係担当)

●講演Ⅲ,構造改革と社会保障
      高橋洋一 (東洋大学経済学部総合政策学科教授)

●講演Ⅳ.今後の医療改革に向けて
      吉川 洋 (東京大学大学院経済学研究科教授)

●日本医師会の考え方 中川俊男 (日本医師会常任理事)

●パネルディスカッション

 Medical Tribune (2009/4/23) によると、上記シンポジウムにおいて、持続可能な社会保障政策として、(短期的には、霞ヶ関の各省庁が管理する特別会計の剰余金や積立金、いわゆる 「埋蔵金」 を社会保障費の財源として活用できるが)、中長期的には、やはり、消費税増税で財源を確保すべきという方向性でした。

 さらに、パネルディスカッションにおいて、財務省主計局主計官 (厚生労働担当) は、消費税増税の前における 「消費税の国と地方の配分論議の必要性」 を下記のように述べています。

(資料2) 消費税増税の前に配分の議論を (財務省主計局厚生労働担当主計官)

 財務省主計局厚生労働担当の太田充主計官は、社会保障財源の観点から消費税の仕組みを説明した。

 5%の消費税のうち国には4%が回るが、その29.5%は地方交付税となるため、「実質的に国に残るのは全体の56%しかない」 と解説した。

 年金や医療、介護の給付の負担割合は国が8割、地方2割である実態に触れ、「消費税の国と地方の配分を現行のままにして社会保障の給付を国民に負担してもらうとすると、もっと上げなければならなくなる」 との見方を示した。

 上記に関するブログ管理人の考察・結論は下記の通りです。

(1)消費税増税に関しては、以前の当ブログ記事にて、何回も何回も (口酸っぱくして) 述べています。

 即ち、「消費税増税」 を行う前に、

  ①充分な景気回復

  ②税制の抜本的改革 (特に、財界・大企業・株主・金持ち優遇税制の是正)

  ③膨大な税金 (国民の血税) の無駄使いの抜本的是正
   (1) 伏魔殿化した特別会計の透明化・是正
   (2) 官僚の天下り・渡りの根絶および天下り用の無駄な公益法人や補助金
     の根絶 (約12兆円)
   (3) 国会議員の定数削減・歳費の削減
   (4) 国家公務員人件費の削減
   (5) 道路・空港・整備新幹線・ハコモノ等の無駄な公共事業の根絶、等

  ④道路特定財源の完全なる一般財源化

  ⑤年金問題の早期完全解決

等を達成または実行の約束をしないと、国民の納得を得られないと思われます。

(2)さらに、資料2の財務省官僚の説明により、消費税には、「国と地方の配分により、増税率が大きく左右される」 という問題が潜んでいることが判明しました。

 この問題は、地方交付税の問題および地方分権・道州制論議にも波及すると考えられます。

(3)以上、社会保障財源問題における消費税増税 (財務省主計局厚生労働担当主計官の見解) について論じました。

 持続可能な社会保障政策の財源というと、いつも、有識者の大多数は、消費税増税を主張します。

 しかしながら、消費税増税を声高に叫ぶ前に、上記(1)の各対策に加えて、「以前の当ブログ記事にて、何回も何回も (口酸っぱくして) 述べている」 下記の事柄を優先して考慮すべきと思われます。

 即ち、「医療立国論」、「医療・介護立国論」、あるいは 「社会保障 (医療・介護・年金・雇用・福祉) 立国論」 に基づき、「医療再生・介護再生・社会保障再生」 を図り、雇用創出効果・経済波及効果を高め、かつ強固なセーフティネットを構築し、「国民の安心・安全・納得・満足」 による内需拡大も含めて、「経済成長を図る」・「法人税・所得税等の税収増を図る (消費税の増税率をできるだけ抑制する)」 という好循環を実現させることを優先すべきと考えられます。




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