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運動器リハの日数制限を180日に (日本臨床整形外科学会が要望)

 Japan Medicine (2009/1/14) に下記の記事が掲載されました。

●運動器リハの日数制限を180日に (自民・議連で臨床整形外科学会が要望)
 自民党の 「運動器の健康を増進させ健康寿命を延伸させる議員連盟」 (会長:尾辻秀久・参院議員会長) は8日、2010年度の診療報酬改定に向けて日本臨床整形外科学会と日本整形外科学会から意見を聞いた。
 日本臨床整形外科学会の藤野圭司理事長は、現在は150日の運動器リハビリテーションの日数制限を脳血管リハと同じ180日にするよう要望した。
 藤野理事長は、高齢者の維持期リハを介護保険で継続する場合、要支援者が急増する可能性があると指摘。要介護者を減らすために、運動器リハについて制限日数を延長するほか、診療報酬上での評価を求めた。
 また、高齢者が要支援や要介護になることを予防するために運動器健診事業の早期実施や、厚生労働省に運動器に関する施策を総合的に扱う対策室の設置を要求した。


 平成18年度診療報酬改定以前のリハビリテーション料は、「心疾患リハビリテーション科」・「理学療法」・「作業療法」・「言語聴覚療法」 に分かれていました。[理学療法 (Ⅰ)・作業療法 (Ⅰ) は総合リハビリテーション承認施設での算定]。
 
 平成18年度診療報酬改定 (3.16%のマイナス改定:診療報酬本体はマイナス1.36%) において、疾患別リハビリテーション料とそれに伴う算定日数制限が導入されました。

 当時の厚労省保険局・麦谷医療課長曰く、
  ①現行制度 (平成16年度診療報酬改定) では、同じリハビリをしても施設に
   よって値段が違う。
  ②疾患の特性や治療の現状 (長期間にわたる効果が明らかでないリハビリ)
   を踏まえ算定日数の上限を新たに設定する。
  ③温熱をあてるだけなどの簡易なリハビリが効果を確かめないで2~3年
   に渡って行われている。リハビリとケアの混同もある。

 また、当時は、以前からの運動器リハビリテーション関連学会 (日本整形外科学会・日本臨床整形外科学会・日本運動器リハビリテーション学会) や呼吸器リハビリテーション関連学会 (日本呼吸器学会・日本呼吸ケア・リハビリテーション学会) の強い分離独立要望・政治的圧力もあり、厚労省は、疾患別リハビリテーション料を導入しました。

 しかし視点を変えてみると、したたかな厚労省は、(上記のような要望・圧力の影響もありましたが)、運動器リハビリテーション関連学会、呼吸器リハビリテーション関連学会、リハビリテーション関連学会・団体 (日本リハビリテーション医学会、日本リハビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会) の思惑・戦略の違いにつけ込み (分断作戦)、結果的に、「算定日数制限」 を付与しやすい疾患別リハビリテーション料を導入したということになります。

 結局、理学療法料・作業療法料・言語聴覚療法料が消滅し、「同じリハビリをしても施設によって値段が違う」→→「同じセラピストがリハビリをしても、疾患によって値段が違う」 となりました。

 平成20年度診療報酬改定では、疾患別リハビリテーション料 (Ⅰ) の1単位当たりの点数 (単価) が減額されましたが、算定日数上限 (標準的算定日数) は変更無しでした。


 さて、上記の記事で、日本臨床整形外科学会は、現在150日の運動器リハビリテーションの日数制限を脳血管リハと同じ180日にするよう要望していますが、次回平成22年度診療報酬改定においては、大方の予想では、標準的算定日数は据え置き、一部の予想では、脳血管疾患等リハビリテーションの標準的算定日数が150日または120日、運動器リハビリテーションが120日または90日程度に短縮になるのでないかとも言われています。

 さらに、運動器リハビリテーションの場合、①運動器リハビリテーション (Ⅰ) の施設基準において、「当分の間、適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了した看護師、准看護師、あん摩マッサージ指圧師又は柔道整復師が、専従の常勤職員として勤務している場合であって、運動器リハビリテーションの経験を有する医師の監督下に当該療法を実施する体制が確保されている場合に限り、理学療法士が勤務しているものとして届け出ることができる」 という代替有資格者の経過措置が存在すること、②平成21年度介護報酬改定において、短時間・個別リハ特化型通所リハビリテーションが導入され、同一医療機関において急性期から維持期までリハビリテーションを継続して実施できるようになること、等により、算定日数制限の緩和 (標準的算定日数の延長) は困難であることが予想されます。

 患者さん・障害のある方のためには、算定日数制限の撤廃が理想的であり、そのためには、各疾患別リハビリテーション関連学会が単独で厚労省と交渉するのではなく、運動器リハビリテーション関連学会 (日本整形外科学会・日本臨床整形外科学会・日本運動器リハビリテーション学会) 、呼吸器リハビリテーション関連学会 (日本呼吸器学会・日本呼吸ケア・リハビリテーション学会)、リハビリテーション関連5団体 (日本リハビリテーション医学会、日本リハビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会)、日本心臓リハビリテーション学会の4つの疾患別リハビリテーション関連団体が合同で厚労省と交渉すべきと思います。




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心大血管疾患・呼吸器リハの起算日が開始日である理由 (政府見解)

 診療報酬における 「リハビリテーション起算日」 において、脳血管疾患等リハビリテーション・運動器リハビリテーションと、心大血管疾患リハビリテーション・呼吸器リハビリテーションとでは異なっています。その理由の政府・厚生労働省見解が、「リハビリテーション料改定等に関する質問主意書」 (平成19年11月15日提出 質問第223号 提出者:山井和則) に対する政府答弁書 (内閣衆質168第223号 平成19年11月22日 内閣総理大臣 福田康夫) に示されていますので紹介します。

(質問7) 脳血管疾患等リハビリテーションと運動器リハビリテーションでは、リハビリテーション起算日が発症日と同日になっている。一方で、心大血管疾患リハビリテーションと呼吸器リハビリテーションでは、リハビリテーション起算日が発症日と異なっている。なぜか。【註:原文にミスあるため、一部訂正】。

(回答) お尋ねについては、心大血管疾患に係るリハビリテーションは発症後一定の検査等を行いその結果を踏まえてその開始日を決める必要があること、また、呼吸器疾患に係るリハビリテーションは発症日の特定が一般に困難であることから、これらについては、その開始日をそれぞれ心大血管疾患リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料の起算日としているものであるのに対して、脳血管疾患及び運動器疾患に係るリハビリテーションは発症、手術又は急性増悪直後からの開始が効果的とされていることを踏まえ、原因疾患の発症日等と脳血管疾患等リハビリテーション料又は運動器リハビリテーション料の起算日を同一としているものである。


 整理すると、下記の様になります。

(1) 心大血管疾患リハビリテーション
 発症後一定の検査等を行いその結果を踏まえてその開始日を決める必要があることから、リハビリテーション開始日をリハビリテーション起算日とする。
(2) 呼吸器リハビリテーション
 発症日の特定が一般に困難であることから、リハビリテーション開始日をリハビリテーション起算日とする。
(3) 脳血管疾患等リハビリテーション
 発症、手術又は急性増悪直後からの開始が効果的とされていることを踏まえ、原因疾患の発症日等をリハビリテーション起算日とする。
(4) 運動器リハビリテーション
 発症、手術又は急性増悪直後からの開始が効果的とされていることを踏まえ、原因疾患の発症日等をリハビリテーション起算日とする。

 (1)・(2) に関しては妥当と考えられます。
 しかしながら、(3)・(4) においても、発症日の特定が困難な症例も少なくなく、また、発症後一定の検査等を行いその結果を踏まえてその開始日を決める必要のある症例 (例:脳卒中の臨床病型、脳卒中患者等の合併症・併存疾患のチェック&リスク管理)、さらには症例によっては全身状態や合併症・併存疾患の影響でリハビリテーション開始が遅延する場合も少なくありません。
 したがって、脳血管疾患等リハビリテーションや運動器リハビリテーションにおいても、心大血管疾患リハビリテーション・呼吸器リハビリテーションと同様に、基本的には、リハビリテーション開始日をリハビリテーション起算日とする方がベターと考えられます。
 また、(官僚の机上の理論特有の) 「全国一律の」 算定日数制限も撤廃して、現場の判断 (医師の裁量) に任せるべきと思います。




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リハビリ算定日数制限 (厚労省保険局医療課の見解)

 2008年12月20日の 「報道特集NEXT:なぜ? 病院追われる高齢者」 において、「リハビリテーション治療の現場に今何が起きているのか?」・「高齢者などリハビリ治療を受ける患者と、病院を取り巻く過酷な現状」 が放送されました。

 「報道特集NEXT」 のホームページの 「放送内容を読む」 のコーナーに、番組からの 「リハビリ算定日数制限」 についての質問に対する厚生労働省のコメントが下記の通り掲載されています。

(問1) 脳血管疾患等リハビリテーションの算定日数の上限を180日とし、その後の診療報酬を引き下げているのはなぜですか。

(答1) 厚生労働省老健局のもと設置された、リハビリテーションに関する専門家、利用者、メディアなどから選出された委員からなる 「高齢者リハビリテーション研究会」 の報告 (平成16年1月) において、リハビリテーションに関する問題点として、

 ●最も重点的に行われるべき急性期のリハビリテーション医療が十分行われていない。
 ●長期にわたって効果の明らかでないリハビリテーション医療が行われている。
 ●リハビリテーションとケアの境界が明確に区分されておらず、リハビリテーションとケアが混在して提供されているものがある。

といったご指摘を頂きました。このような指摘を踏まえ、平成18年度診療報酬改定において関係学会等のご意見を聞きながら、急性期、回復期のリハビリテーションについて評価をした一方、算定日数の目安を設け、それ以降は時間あたりの報酬は変わらないものの、1ヶ月に行うことができるリハビリテーションの回数を少なくしています。
 なお、医師が、リハビリを続けることで症状が改善する見込みがあると医学的に認める場合や先天性又は進行性の神経・筋疾患の患者の場合は、算定日数の目安を超えてもそれまで通り、リハビリテーションを続けることができます。


(問2) 180日が過ぎた後もリハビリを継続し、一定の維持期を経た後、急に機能が回復した症例があります。こうした症例に対する見解をお聞かせ下さい。また、機能を維持するリハビリについての見解をお聞かせ下さい。

 (答2) 御指摘のような例にも対応できるよう、医師がリハビリを続けることで症状が改善する見込みがあると医学的に認める場合等は算定日の目安を超えてもそれまで通り、リハビリテーションを続けることができるよう配慮をしております。
 しかしながら、回復期リハビリテーションを行っている多くの専門家によると、算定日数を超えたリハビリテーションが機能回復につながる事例は極めて珍しいとのことであり、そうした事例については、是非とも積極的に学会発表を行っていただき、専門的な検討を行われることが、望まれます。
 現在のリハビリの概念には、「高齢者リハビリテーション研究会」 にも指摘されているように、リハビリテーションとケアが明確に区分されないまま包含されており、前者は医療保険においてみるべき急性期や回復期のリハビリテーション、後者は介護保険においてみるべき機能を維持するためのリハビリや生活訓練等のケアという形で提供されています。御指摘のような、機能を維持するリハビリは基本的には介護保険から提供されるものと考えています。


 まさに官僚的・冷酷無比なコメントですね。

 問1に関しては、「長期にわたって効果の明らかでないリハビリテーション医療が行われている」 という文言は、 「高齢者リハビリテーション研究会」 の議事録には記載が無く (研究会委員の発言には上記の文言は無し!)、後で、研究会報告書に、平成18年度診療報酬改定にリハビリ算定日数制限を導入するために、厚労省官僚が勝手に挿入したとのことです。まさに 「霞ヶ関文学」 テクニックの一例です。また、官僚御用達の 「御用審議会・御用学者」 の典型です。
 また、算定日数制限の例外規定もありますが、結局、現場にレセプト提出時の効果判定コメント書き等を強要し、極力、例外規定での算定を抑制しようとしているのは明白です。
 さらに、疾患別リハ料の導入が、算定日数制限の導入のために企てられたと言われています。

 問2に関しては、官僚は、おしなべて、専門家 (ここでは、回復期リハビリテーションを行っている多くの専門家)・厚労省研究会 (ここでは、高齢者リハビリテーション研究会)・専門学会 (日本リハ医学会、PT・OT・ST各協会)・関係団体 (全国回復期リハ病棟連絡協議会・日本リハ病院・施設協会) に責任転嫁 します。即ち、官僚の無謬性・匿名性・無責任体質から来ています。

 厚労省官僚には、財政再建・医療費抑制を迫る財務省に抵抗し、かつ厚労省の省益・自益は忘れて、国益・国民益を優先し、国民の安全安心を守るという本来の崇高な使命に立ち戻って、活躍して頂きたいと思います。




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