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脳卒中対策基本法制定で申し入れ (日本脳卒中協会)

 Japan Medicine (2009/6/26) に、「脳卒中対策基本法」 に関する記事が掲載されていますので、下記に示します。

●日本脳卒中協会など 脳卒中対策基本法制定で申し入れ
  総務省と厚労省による 「基本計画」 の策定を


 日本脳卒中協会は24日、脳卒中対策基本法制定のための要綱案を取りまとめ、厚生労働省に申し入れた。
 要綱案は、総務省と厚労省による 「脳卒中対策推進基本計画」 の共同策定を求め、各都道府県にもそれぞれの地域実態を反映させた基本計画の策定を義務付ける考えを明記。
 脳卒中について、急性期から回復期、維持期まで継ぎ目のない医療を提供するための基本理念を打ち出した。

 脳梗塞、脳出血に代表される 「脳卒中」 の死亡者は年間約12万人。
 発症者数が増加傾向にあることに加え、疾患別入院期間が最も長い実態があるなど、大きな社会問題となっている。
 超急性期脳梗塞の画期的治療法として 「t-PA」 が2005年に保険適用されたが、同協会によれば t-PA治療を受けた患者は脳梗塞患者全体の2%にとどまっているのが現状だ。

● 「脳卒中対策推進協議会」 の設置を国、都道府県に義務付け

 要綱案では、脳卒中に関する予防、救急搬送、脳卒中医療、リハビリ、介護・社会福祉にわたる対策を総合的、計画的に進めるための 「脳卒中対策推進基本計画」 が必要と明記。
 基本計画を遂行するには、救急搬送体制を担当する総務省と、医療提供体制を担う厚労省による 「省庁を超えた連携が不可欠」 とし、基本計画の共同策定、閣議決定を義務付けることを要望した。

 都道府県レベルでも地域実態を踏まえた計画策定を求め、国と都道府県それぞれによる 「脳卒中対策推進協議会」 の設置を定めた。
 計画には、具体的な政策と目標、達成時期を明確に盛り込み、インターネットで公表する。
 5年ごとに計画の進捗状況について検証する考えも示した。

●実態把握の重要性にも言及

 要綱案は、国や自治体、医療保険者に求められる脳卒中対策に関する考え方も明記した。
 予防対策では、食生活や喫煙、飲酒といった生活習慣と脳卒中発症の関連性や、脳卒中に関する疾病情報の普及啓発を徹底するよう求めている。

 超急性期では、発症直後の救急搬送、救急医療、遠隔医療に関する体制整備や、必要な人材に対する研修等を要請する考えを盛り込んだ。
 回復期や維持期でも、脳卒中に関する技能、ノウハウを持った専門職の育成を掲げ、施設や事業者の整備に取り組むべきとしている。

 また、それぞれの地域での 「脳卒中の発症状況」・「救急搬送状況」・「救急・急性期、回復期、維持期に至る治療状況や転帰」 などの実態把握に努める必要性にも言及。
 こうした実態分析について、将来の脳卒中対策に反映させる重要性も強調した。
 t-PA静注療法の普及に向けた対策としては、救急隊員の教育をはじめ、t-PA静注療法実施施設の把握、現場での救急隊員による搬送先選定、遠隔医療の実践などを挙げた。

●日本脳卒中協会・山口武典理事長 脳卒中は障害や要介護の最大原因

 脳卒中は、患者さんご本人やご家族の生活を大きく変えてしまう障害や要介護になる最大の原因です。
 また、医療費・介護費の観点でも、がん以上に社会的な負荷がかかります。
 脳卒中対策には、医療のみならず、救急搬送やリハビリテーション、患者さんの生活の質の向上と社会参加の支援が含まれていなければならず、これらが全国どこでも受けられなければなりません。
 このため、脳卒中に特化した法律が必要なのです。
 このたび、関連学術団体、職能団体からもご意見を伺い、脳卒中対策基本法要綱案をまとめることができましたので、今後、立法化に向けた活動を進めていきたいと思っています。

●日本脳卒中協会・中山博文専務理事 法整備で包括的な脳卒中対策を

 脳卒中対策基本法が制定されると、行政として、国を挙げ、自治体を挙げて、包括的な脳卒中対策が進みます。
 たとえば、予防や脳卒中の見分け方、起こった時の対処などの情報を、行政が責務として広報に努め、それによって、「脳卒中を発症したら直ちに受診」、119番を呼べば、 24時間全国どこでも、最新の治療を行う専門病院に搬送される仕組みを整備できます。

 国民病ともいえる脳卒中について、最新の医療・リハビリがひとりでも多くの患者さんに適用されるようになるために、是非、立法化を推進させていきたいと思っています。

(1)日本における死亡率の第3位・寝たきり原因の第1位・要介護原因の第1位である 「脳卒中」 は、今なお、
  ①プレホスピタルケア (病院前救護)
  ②t-PA治療をはじめとした超急性期・急性期治療および再発・増悪予防
   のための慢性期治療
  ③脳卒中 「地域連携パス」 による地域医療連携システム
  ④超急性期・急性期~回復期の濃厚かつ集中的なリハビリテーション体制、
   および急性期~回復期~維持期のシームレスな地域リハビリテーション
   システム
等の不備が指摘されています。
 さらに、「脳卒中の症状・緊急時対応等に関する地域住民の理解不足・周知徹底不足」 も指摘されています。

(2)また、リハビリテーションにおいても、
  ①疾患別リハビリテーション体系の導入
  ②リハビリテーション算定日数上限 (標準的算定日数) の導入
  ③回復期リハビリテーション病棟への成果主義の導入
  ④介護保険リハビリテーション制限問題 (リハビリテーションマネジメント
   加算月8回問題)
等による 「患者選別・患者切り捨て」・「リハビリ難民 (リハビリ棄民)」・「介護難民 (介護棄民)」 等の問題が山積しています。

(3)したがって、「脳卒中対策基本法」 の早急の制定による抜本的かつ包括的な脳卒中対策が望まれます。




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「脳卒中対策基本法」 (仮称) 制定を目指す (日本脳卒中協会)

 CBニュース (2009/3/10) に脳卒中対策基本法 (仮称) に関する記事 (「脳卒中対策基本法」 制定を-日本脳卒中協会) が掲載されていますので紹介します。
 
● 「脳卒中対策基本法」 制定を-日本脳卒中協会

①日本脳卒中協会の山口武典理事長は3月8日、横浜市内で開かれた参加型イベント 「NO梗塞アカデミー」 (主催:同協会、サノフィ・アベンティス日本法人) で、脳卒中を予防したり、後遺症を減らしたりするための 「脳卒中対策基本法」 (仮称) の制定を呼び掛けた。

 山口理事長はあいさつで、「がん対策基本法はあるのに、脳卒中に関する法律はない。厚生労働省管轄の病院と総務省管轄の救急隊が連携を取り合って、スムースな救助活動をするために、一刻も早い法整備が必要」 と指摘。その上で、「要綱案はできているので、国会が正常に動くようになったら、議員立法での制定を目指したい」 と意欲を示した。

②同協会は現状の問題点として、

 (a) 脳卒中に関する知識は、医療者と市民の活動に頼るしかない。

 (b) (発症した場合に) どこの病院に行けばよいか、判断がつきにくい。

 (c) 119番で救急隊員を呼んでも、脳卒中かどうか判断できない。

 (d) 救急隊を呼んでも、(病院との連携がうまくいっていないため) 専門病院に
  運んでもらえる保証がない。

 (e) 受診が遅れると、治る可能性が低くなってしまう。

などを指摘。

 また、山口理事長によると、「3年前に国内でも使えるようになった血栓溶解薬 (t-PA) は効果が大きいが、発症から3時間以内に投与しないと、副作用の恐れがある」という。

③同協会は基本法の制定によって、政府、地方自治体、医療保険者、医療従事者らが協力して予防事業などを進められるようになるとしている。

 具体的には、

 (a) 「脳卒中を発症したら直ちに受診」 を国民に徹底周知。

 (b) 119番すれば、24時間全国どこでも、専門病院に搬送してもらえる仕組み
  を整備。

 (c) 急性期から維持期 (慢性期) まで途切れることなく最新の医療、リハビリ、
  療養支援を受ける仕組みを、全国的に整備。

 (d) 脳卒中の後遺症と共に生きる患者と家族の、生活の質の向上と社会参加
  を支援。

などを目指していく。

④山口理事長は、会場に集まった脳梗塞患者とその家族らに、「国を挙げて脳卒中の予防と後遺症のリハビリに取り組むためにも、一刻も早い法整備が必要」 と呼び掛けた。

⑤ t-PA治療

 2005 年10月から医療保険が適用された。t-PA治療によって、障害が残らない患者は、1.5倍になるといわれている。しかし、同治療は発症3時間以内に行うことが望ましいとされている。

 病院到着後、準備に1時間近くかかるため、発症2時間以内には同治療を実施できる医療機関に到着している必要があり、現状で同治療を受けているのは脳梗塞患者の約2%にとどまっている。

 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記②・⑤の通り、日本の脳卒中急性期診療の問題点の一つとして、「患者・家族・地域住民等の脳卒中発症サインの理解不足」・「救急隊と、血栓溶解療法 (発症から3時間以内の t-PA治療)・血管内治療を含めた超急性期の脳卒中治療が行える医療機関との、連携体制の不備」 等による当該病院受診遅延とそれに伴う 「血栓溶解療法・血管内治療等の超急性期脳卒中治療の断念」 が生じ、後遺症の発現に繋がります。
 また、地域によっては、血栓溶解療法・血管内治療を含めた超急性期の脳卒中治療が行える医療機関の不足・欠如が大きな問題となっています。

(2)上記①~④の通り、「脳卒中対策基本法」 (仮称) が制定されると、「厚生労働省管轄の病院と総務省管轄の救急隊が連携を取り合って、スムースな救助活動ができるようになる」・「政府、地方自治体、医療保険者、医療従事者らが協力して予防事業などを進められる」 等の利点があり、一刻も早い法整備が必要と指摘されています。

(3)また、上記の通り、同基本法の制定によって、下記のような具体的な成果が期待されています。

 (a) 「脳卒中を発症したら直ちに受診」 を国民に徹底周知。

 (b) 119番すれば、24時間全国どこでも、専門病院に搬送してもらえる仕組みを
  整備。

 (c) 超急性期・急性期~回復期 (亜急性期)~維持期 (慢性期) まで途切れること
  なく、最新の医療、リハビリテーション、療養支援を受ける仕組みを、全国
  的に整備。

 (d) 脳卒中の後遺症と共に生きる患者と家族の、「生活の質 (QOL) の向上」 と
  「社会参加」 を支援。

(4)2007年4月1日施行に施行された 「がん対策基本法」 は次の通りです。

【がん対策基本法】

●概要

 日本人の死因で最も多いがんの対策のための国、地方公共団体等の責務を明確にし、基本的施策、対策の推進に関する計画と厚生労働省にがん対策推進協議会を置くことを定めた法律である。

●基本的施策

 1.がんの予防及び早期発見の推進
   ◎がんの予防の推進
   ◎がん検診の質の向上等

 2.がん医療の均てん化の促進等
   ◎専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成
   ◎医療機関の整備等
   ◎がん患者の療養生活の質の維持向上

 3.研究の推進等

 「基本法」 とは、国の制度・政策に関する理念、基本方針が示されているとともに、その方針に沿った措置を講ずべきことを定めている法律です。その基本方針を受けて、その目的・内容等に適合するように行政諸施策が定められ、個別法にて遂行されます。また、基本法は 「親法」 として優越的な地位をもち、他の法律や行政を指導・誘導する役割があります。

 上記のように、がん対策基本法により、がんの対策に対する国、地方公共団体等の責務が明確化されるため、基本的施策 (「がんの予防及び早期発見の推進」・「がん医療の均てん化の促進等」・「研究の推進等」) の実施が推進されます。

 したがって、脳卒中対策基本法が制定されれば、例えば、「予防や脳卒中の見分け方、起こった時の対処などを行政が公に知らせることができる」・「救急隊が、現場で、脳卒中かどうかを判断し、専門病院に直接運ぶ仕組みができる」・「各自治体が、全国に、必要な仕組みを整備する」 等のメリットが生じます。
 特に、医療現場においては、「脳卒中医療の均てん化の推進」 が期待されます。

(5)日本脳卒中協会のホームページに、「脳卒中対策の法制化に向けた取り組み」 について、次のように詳しく説明されています。

●脳卒中対策 (脳卒中を予防し後遺症を減らす) についての法律が必要です。

 現在、法律による解決が必要と思われる課題が二つあります。

 一つは、一般市民の脳卒中の予防や発症時の対応についての啓発活動を全国的に継続的に行うには、行政の力なしには限界があるということです。

 もう一つは、脳梗塞の画期的な治療法である t-PA療法を普及するには救急搬送から t-PA治療を実施できる医療機関の整備まで、省庁を超えた制度的な対応が必要だということです。

 脳卒中予防のための知識、症状、発症時の対応方法を、公的な活動によって広く一般市民に普及させるには、法律が必要です。

 t-PA治療を普及させるには、脳卒中が疑われた場合には、t-PA治療をいつでも直ちに実施できる医療機関に直接搬送できるようにしなければなりません。

 そのためには、脳卒中救急搬送計画の策定、救急隊員の教育、受け入れ側の整備などが必要です。

 したがって、救急搬送を管轄する総務省消防庁と、医療機関を管轄する厚生労働省との、省庁を超えた調整が不可欠です。これは、法的な根拠なしにはなかなか実現できません。

 これらの問題を解決し、脳卒中対策を一層充実させるために、日本脳卒中協会は、脳卒中対策の法制化、すなわち脳卒中対策基本法 (仮称) の制定が必要であると考えています。

●脳卒中対策基本法 (仮称) ができると

(a)脳卒中の発症を防ぐために

 (*) 脳卒中を予防するための事業を、政府、地方自治体、医療保険者、医療
  従事者等が協力して進めることができるようになります。

(b)全国どこでも、いつでも、脳卒中の専門的治療を受けられるように

 (1) 「脳卒中を発症したら直ちに受診」 が国民に広まります。

 (2) 脳卒中が疑われたら、119番を呼べば、 24時間全国どこでも、専門病院
  に搬送してもらえる仕組みが整備できます。

 (3) 超急性期・急性期~回復期 (亜急性期)~維持期 (慢性期) まで継ぎ目なく、
  最新の医療、リハビリ、療養支援を受ける仕組みが、全国的に整備され
  ます。

 (4) 脳卒中後遺症とともに生きる患者と家族の、「生活の質 (QOL) の向上」
  と 「社会参加」 が支援されるようになります。

(c)研究成果が速やかに脳卒中に応用されて

 (1) 脳卒中の発症、救急搬送、受診、治療成果等の情報が集まり、予防対策
  や脳卒中医療の改善に活用できるようになります。

 (2) 救急隊員が脳卒中を現場で判断し直ちに搬送するための仕組みや教育・
  研修が整えられます。

 (3) 必要な地域には、遠隔医療が整備されます。

 (4) 急性期を含む脳卒中リハビリが全国的に普及します。

(6)脳梗塞の啓発啓蒙ホームページとして、 「NO!梗塞.net」 があります。下記の内容が含まれており、一般の方々に推奨されます。

(a) 脳卒中とは?、脳梗塞の種類・診断方法・治療方法・リハビリ・再発予防

(b) 市民公開講座の紹介

(c) 脳梗塞Q&A

(d) 脳梗塞を早く見つけるためのポイント

(e) いざという時、あなたはどうする!? (発作時の対処法)

(f) あなたの脳卒中危険度チェック! (セルフチェック)

(g) アニメでみる発症から退院まで (脳卒中急性期の治療と診断)

(h) 脳梗塞コラム

(7)以上、「脳卒中対策基本法」 (仮称) について論じました。

 以前の当ブログ記事にて何回も強調していますが、実際の脳卒中医療において、(a) 不充分な急性期治療・(b) 不充分な早期リハビリテーション・(c) 「医原性」 の二次的合併症・障害 (廃用症候群・過用症候群・誤用症候群)・(d) 不充分な回復期リハビリテーションあるいは回復期リハビリテーションの欠如のため、結果的に障害の回復が不充分なまま、あるいは余計な障害まで作られた上で、介護保険・福祉に受け継がれることが未だ少なくなく、全県的な脳卒中医療、リハビリテーション・ネットワークの構築の必要性が喚起されてます。

 「脳卒中対策基本法」 (仮称) の制定により、脳卒中の対策に対する国、地方公共団体等の責務が明確化され、各府省庁および各局の施策が 「縦割り」 から 「横の密な連携・コラボレーション」 に変わり、そして、「脳卒中の予防及び早期発見の推進」・「脳卒中医療の均てん化の促進等」・「研究の推進等」 が期待されます。

 そうなれば、超急性期・急性期~回復期~維持期の各ステージの脳卒中医療体制・リハビリテーション体制が確立し、且つ、充実した脳卒中医療連携体制および地域リハビリテーション連携ネットワークの構築が実現し、実際の脳卒中医療において、『濃厚な急性期治療ならびに充分な早期リハビリテーションが実施されることにより、脳の損傷が最小限に抑えられ、且つ 「医原性」 の二次的合併症・障害 (廃用症候群・過用症候群・誤用症候群) の出現も防止でき、そして、その後、充分な回復期リハビリテーションが行われることにより、「可能な限りの障害の回復が得られ、余計な障害も作られることなく」、介護保険・福祉に円滑に受け継がれる』という理想的な流れが得られると思います。

 また、医療難民 (特に、脳卒中難民、認知症難民)・リハビリ難民・救急難民・介護難民・障害者難民等の防止も期待できます。

【関連記事】
 ◎脳卒中急性期医療体制の構築 (東京都脳卒中急性期医療機関 2009)
 ◎脳卒中急性期医療をめぐる課題と展望 (リハビリテーション)
 ◎脳卒中急性期医療をめぐる課題と展望 (TIA:一過性脳虚血発作)
 ◎地域リハビリテーション (CBR:community based rehabilitation)




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