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「転倒予防靴下」 (商品開発物語)

 足が弱り転倒しやすくなったお年寄りの介護のために作られた靴下として、(株) コーポレーションパールスターが開発した 「転倒予防靴下」 [下記の図 (写真) を参照] が好評を博しています。
 
 本商品の特徴は下記の3つのポイントです。

【ポイント1.転倒予防効果・ウォーキング効果】

 特殊な編み方でつま先を反り上げることで、歩行の際につまずきにくくし体のバランスを保ちます (つまづき転倒防止)。
 そして、つま先を上げたウォーキングを自然と実現できるようにし、以下の3つの効果を狙います。

(1)つま先を上げ、かかとから着地させることで、足裏を柔軟にし、土踏まずを鍛え、腰や膝に負担をかけない歩き方を実現できるようにします。

(2)かかとから着地で歩幅を広げ、筋肉を刺激し、歩行時のエネルギー消費量を増大させ、脱メタボ歩行対策を実現できるようにします。

(3)土踏まずが高くなり (ウインドグラス効果)、足腰の疲れ予防。

【ポイント2.むれにくい・においにくい・冷えにくい】

(1)靴下のつま先部は二重式の凹凸編みになっており (詳細は元祖二重式凹凸編み靴下を参照)、保温効果を高め、暖かさ・通気性を持続します。

(2)底部のあぜ編み (凸凹編み) は発汗作用を抑える効果があり足の指の間が蒸れにくく清潔になるので、一日中靴を履く方にとっては効果的です。

【ポイント3.その他の効果】

(※)足関節を保護し、美脚効果やヒップアップ効果を実現します。

 (株) コーポレーションパールスターのホームページに、本商品に関する興味深い商品開発物語が掲載されていますので、下記に紹介します。

● 「転倒予防靴下」 商品開発物語

 平成18年の5月、
 「足先を上げる補装具はあるが、日用性に欠けるので、患者さんが使いたがらない」。
 「10年間、靴下にゴムバンドをつける商品を試作してきたが、うまくいかない」。
 「日用品として使いやすく、そして足先が上がる商品を開発できませんか」。
と言われる義肢装具士さんが尋ねて来られました。

 自信があったわけではないのですが、
 「当社は靴下製造が本業なので、靴下で開発してみます」。

 試作を繰り返す中、平成18年8月に神戸学院大学で行われた日本リハビリテーション工学会で試作品を展示。
 「履いても良いですか」。
 「なるほど、足趾が上がりますね」。
 「装具でなく、靴下でMP関節の背屈機能を得る方法、いいですねぇー」。
 「底屈機能が妨げられるので、立位の時のバランスが悪いですね」。
 「足の機能を勉強して研究開発すると、良い転倒予防靴下になりますよ」。
 「高齢者の転倒事故は、大腿骨頚部骨折、そして寝たきり・認知症につながりますので、良い転倒予防靴下に仕上げてください」。
 専門用語が多く、半分も理解できませんでした。
 後に、この方がべトちゃん・ドクちゃんの執刀医の澤村先生だった事を知りました。

 早速、学会で名刺交換した松江医療福祉専門学校の南場先生 (理学療法士) を訪ね、専門書の紹介、そして広辞苑にない専門用語に平仮名、数回のレクチャーで足の構造の勉強をしました。
 知れば知るほど、転倒事故に対処できる転倒予防靴下ができる自信がなくなってきました。

 半年間の模索、広島銀行より広島大学大学院保健学科・浦辺教授の紹介を受け、
 「なるほど、上がりますね」。
 「靴下で転倒予防の効果を得る発想は、新規性が高いので、一緒に開発しましょう」。

 2ヶ月後のミーティングで、
 「大変面白い測定結果がでました」。
 「転倒予防対策では、かなり期待できる測定結果が得られました」。
 更に、「足趾をあげる効果は、膝痛・腰痛対策にもつながるので、これにも有効性が期待できるかもしれません」、等々の3時間にわたるレクチャーを受ける中で、一気に解決策が見えてきました。
 こうして転倒予防靴下が完成したのです。

 「階段の上り下りができなかったのが、上りだけですが、のぼれるようになりました」。
 「片麻痺で右足をひきずって歩いてたのが、足を持ち上げて歩けるようになりました」。
 「膝の痛みで毎週病院に行っていたのが、今は月に1回だけです」。
 「こむらがかえり、トイレに間に合わないので、オシメをしていましたが、オシメがはずせました」。
 団塊の世代の私には、このような体験は未だありませんが、東京での展示会の時でした。
 電車が入ったので階段を駆け下り、とび乗っていた自分にビックリ、以前は足がもつれるので、次の電車にしていました。
 何故このような現象があるのかを浦辺先生にお聞きしたところ、「促通効果が得られた可能性は考えられますね」。

 中国労災病院を始め、病院等でリハビリ用として転倒予防靴下が売れていく中で、取引先より 「転倒予防靴下で、ウエストが細くなった、履けなかったジーパンが履けるようになったの声が何人かでてきてる」 の報告を受け、メタボ症候の86cmのズボンがブカブカになってる事に気付きました。
 ひょっとしてと思い、若い時代にはいていたノータックの82cmのズボン、スッとはけたのには驚きでした。

 「新商品誕生の裏にドラマあり」
 商品が誕生し、市場に出回るまでには、多くの人々が携わり、各関係機関の連携のもと、それぞれの部署で全力を注いでいます。
 試行錯誤を繰り返し、数々のハードルを越え、見事製品化に成功したストーリーを読むと、熱いものが感じられます。

転倒予防靴下




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新 「要介護認定制度」 パブリックコメントに対する厚生労働省の回答

 平成21年3月31日付けで、「要介護認定等基準時間の推計の方法 (平成12年厚生省告示第91号) の一部を改正する件」 に対して寄せられた御意見 (パブリックコメント) についての厚生労働省老健局老人保健課の回答が公示されていますので、下記に示します。

<御意見>
 要介護認定等基準時間の推計の方法は、なぜ変更になるのか。何を根拠に決めるのか全く理由がわからない。


<回答>
 現行の要介護認定等基準時間を推計するために用いる考え方 (以下 「樹形図」 という) は平成13年のデータを使用しており、介護の実態を反映していないのではないかとの指摘がありました。
 今回の改正は、こうしたご意見を踏まえ、最新のデータを取り込み、介護の状況をより的確に反映させるため、
 ①平成19年に厚生労働省が実施した高齢者介護実態調査におけるタイムスタ
  ディ調査
 ②2度にわたるモデル事業
 ③公開の要介護認定調査検討会における6回にわたる御議論
を経て、実施したものです。
 また、樹形図の作成については、最新の高齢者介護実態調査のデータを基に、介護にかかる手間をより正確に反映するよう、統計的な処理により作成されたものです。

<御意見>
 なぜ、認定調査項目の変更が必要なのか説明がない。


<回答>
 認定調査項目の変更については、ケアにかかる手間をより正確かつ効率的に推計できるよう、現在の項目(82項目) に要介護認定に有効ではないかと推測された多くの候補項目を加えた後に、介護の手間の程度と関連の深い項目の選出等にあたり、公開の場で検討を行うとともに、関係団体からの意見にも配慮を行いながら適切に選定したものです。

<御意見>
 現行の7群の問題行動に関する認定調査項目の 「幻視幻聴」、「暴言暴行」、「火の不始末」、「不潔行為」、「異食行動」 などの削除により、認知症の方の認定が低く出てしまうのではないか。


<回答>
 御指摘の 「幻視幻聴」 等の項目については、これらを用いない場合でもコンピュータによる介護に要する時間の推計の精度にほとんど影響がなく、また、主治医意見書に同じ項目があることから、認定調査項目から削除しても適切な判断が可能と考えています。
 さらに、調査員が記入する認定調査票においても認知症高齢者の日常生活自立度に関する特記事項の記入欄を設け 「幻視幻聴」 等の認定調査項目に含まれていない認知症に関連する症状について記載して、介護認定審査会へ情報提供する機会を増やしています。
 このようなことから、御指摘のようなおそれはないものと考えます。

<御意見>
 認定調査項目に 「買い物」 と 「簡単な調理」 が入ったことは、生活上での困難性がわかりやすくなってよい。

<回答>
 認定調査項目については、現行の82項目に加え、介護の手間を推計するために有効ではないかと考えれる多くの候補項目を加えた上で、実際の介護の手間との関連を分析して選出し、ご指摘のような改正を行いました。

<御意見>
 新認定調査項目において、第1群や第2群及び第5群の多くの項目の選択肢にある 「自立 (介助なし)」、「できる (介助なし)」 は、介助について聞いている項目なので変更すべきではないか。


<回答>
 認定調査項目のうち、介助の程度を問う16項目の選択肢について、「申請者の能力を、問うているかのような誤解を与えかねない」 との関係団体等からの御意見を踏まえ、「介助されていない」 と修正しました。

<御意見>
 食事、排泄、移動、清潔保持の4つの樹形図の末端付近で、麻痺がある方が基準時間が短くなるという逆転現象が存在する。
 このような不合理な逆転現象が樹形図の末端で出現する場合は、樹形図の枝を1つにまとめるなどして、適宜補正するべきではないか。

<回答>
 樹形図は、同じ特性をもった人たちがどれだけ介護に時間を要するかを推計するものです。
 樹形図をたどる際に関与したすべての調査項目のなかから介護に要する時間が算定されるため、一つの分岐における調査項目の結果の軽重だけからのみ介護に要する時間の長短が決まるわけではありません。
 介護の手間全体としては逆転現象は生じておらず、介護の手間を正確に反映するものとなっていると考えます。

<御意見>
 現在の樹形図は、視力が良好であることが前提に開始されています。
 全盲など視力障害者の場合、環境が変わったりすると一人ではどこになにがあるのかを認識できず、自分では着衣などできないが、そのような点が全く考慮されていない。

<回答>
 樹形図を作成する基礎データである介護にかかる手間をタイムスタディにより測定した高齢者介護実態調査では、視力が低下しておられる方も含まれており、必ずしも視力が良好な方だけを選定しているわけではありません。
 また、視力に障害がある場合に必要となる 「上衣の着脱」、「つめ切り」 など、実際に行われている介助等も樹形図には反映されており、ご指摘のような懸念は考えにくいと思われます。




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骨粗鬆症とめまいに関連性 (転倒・骨折等に留意)

 Japan Medicine (2009/3/30) に、骨粗鬆症とめまいの関連性に関する興味深い論文が掲載されていますので紹介します。

●骨粗鬆症とめまいに関連性

 3月23日のニューズワイズのニュースによると、骨粗鬆症とめまいの間に関連性があることが明らかになった。
 韓国ソウル大の研究グループが、学術誌 「神経学」 (Neurology) 3月24日号で報告した。

 良性頭位めまい症の患者209人と、同症状のない被験者202人とを比較したもので、骨粗鬆症の被験者は、骨量が正常の被験者と比べて、同症状を持つ確率が3倍で、骨粗鬆症の前段階である骨減少症の被験者では、同症状を持つ確率が2倍であることが分かった。

 同研究によると、女性では、めまいのある被験者の25%が骨粗鬆症を発症、47%が骨減少症であったのに対し、めまいがない被験者ではそれぞれ9%と33%であった。
 男性被験者では、めまいのある被験者の12%が骨粗鬆症、40%が骨減少症であったのに対し、めまいがない被験者ではそれぞれ6%と27%であった。

(1)論文によると、対象患者は、頭部外傷や耳科外科手術等の明らかな原因を有しない良性頭位めまい症の患者であり、また、交絡因子の影響をできるだけ排除するため、年齢、性、アルコール、喫煙、高リン酸血症を調整した多変量ロジスティック回帰分析を施行し、骨減少症、骨粗鬆症の存在のみが、めまいリスクの増加と関係したと述べています。

(2)また、論文によると、著者らは、今回の結果の原因として、「カルシウム代謝異常」・「特に、女性の閉経後の女性ホルモン (エストロゲン) 喪失に伴うカルシウム代謝異常・骨代謝異常」 を挙げていますが、男性にも同様のめまいと骨粗鬆症の関連性が認められることから、他の因子の関与が示唆されると述べています。

(3)リハビリテーションの臨床の場においては、骨粗鬆症を持つ高齢者を対象とすることが多く、且つ脳卒中その他の神経疾患および整形疾患 (変形性腰椎症・腰部脊柱管狭窄症・脊椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折、等) に伴う転倒リスクを充分配慮する必要があります。

(4)今回の研究結果より、上記(3)に加えて、骨粗鬆症に関連するめまいにも充分配慮し、「転倒・骨折→寝たきり・認知症」 の負のスパイラルを防止することが肝要と考えられます。




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介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」

 2008年11月、全日本民主医療機関連合会 (全日本民医連) は、『介護保険の利用実態と制度改善の課題 「介護1000事例調査」 報告書』 を公表し、728事例の分析に基づき、介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」 について、対策を含めて考察していますので、紹介します。


●介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」

 ①重い費用負担のため、利用を断念もしくは手控えざるを得ない事態が広がって
  いる。

 ②認定結果と本人の状態が著しく乖離する傾向が強まっており、その結果、サー
  ビスの利用に制約が生じている。

 ③予防給付への移行や、軽度者に対する福祉用具の利用制限などにより、状態の
  悪化や生活上の支障を生じている。

 ④支給限度額の範囲では十分なサービスを受けられない、もしくは支給限度額を
  超えた利用が必要なため、多額の自費負担が発生している。

 ⑤家族との同居を理由とする生活援助の機械的な打ちきりなどの 「ローカルルー
  ル」 の適用、外出支援など、利用に対する様々な制約が広がっている。

 ⑥重度化が進むが施設入所もままならず、家族介護、介護費用の二重の負担が増
  大する中で、在宅生活の維持、療養の場の確保に困難をきたしている。

 ⑦医学的管理を要する場合の施設入所、在宅生活が困難になっている。

 ⑧独居・老々世帯では、在宅での介護、生活の継続に様々な困難をかかえている。

 ⑨在宅での重度認知症の生活・介護が深刻化している。


 全体の特徴として、第1に、利用者の経済状態が非常に厳しくなっている中で、利用料をはじめとする費用負担の問題 (①) が多くの事例で共通していること、第2に、給付を抑制するしくみによって利用の手控えやとりやめが広がっており、利用者・家族の介護、生活に様々な支障をもたらしていること (②~⑤)、第3に、いわゆる 「行き場のない」 利用者の事例 (⑥~⑨) が過去に実施した調査と比較して数多く寄せられたこと、が挙げられます。

●求められる介護保険制度の大幅な改善

 介護保険制度は、「介護の社会化」 の理念を掲げてスタートしました。しかし、国による給付抑制が徹底されるなか、この理念そのものが、もはやほとんど顧みられなくなっているのが現実です。
 介護の充実は、「安心して老後を送りたい」 というすべての高齢者・国民の願いです。今後いっそう高齢化が進行します。独居、老々世帯が急増し、重度の疾患や障害をかけた高齢者、「認々介護」 と報じられるような認知症の高齢者も増えていきます。「誰もが経済的な心配なく、必要な介護を受けながら住み慣れた地域で暮らし続けること」 を保障しうる 「介護の社会化」 の真の実現が求められています。
 2009年度は介護報酬の改定が実施されますが、それだけにとどまることなく、利用者の介護・生活実態に正面から向き合い、介護保険の運用に対する真摯でかつ詳細な検証、それに基づいた制度全般の総合的な見直しを行うことが必要であると私たちは考えます。

1.制度の何を見直すべきか

(1)重い費用負担

 高齢者の生活状態がかつてなく悪化しています。高齢者世帯のうち生活保護基準の以下の収入で生活をしている世帯が26% (女性独居世帯は42%) となっており (「国民生活基礎調査」)、「低所得者ほど要介護状態になりやすい」 (近藤克則:『健康格差社会』、医学書院) という事実は、最も公的サービスを必要とする層が、費用を負担できないために最も利用から遠ざけられている事態を類推させます。
 今回の調査では、利用料や施設等での居住費・食費などの支払いが在宅サービスの利用、施設入所の大きな足かせになっていることを改めて浮き彫りにしました。税制改定や後期高齢者医療制度の保険料など、ここ2~3年、介護費用以外の様々な負担も大幅に増えています。
 利用者負担の軽減と、抜本的な低所得者対策が必要です。

(2)利用の制約につながる様々な仕組み
 現行の介護保険制度には、前述の費用負担の他、不透明な要介護・要支援認定、サービス内容や提供方法が改編された予防給付、保険給付の上限を定めた支給限度額、「これもダメ、あれもダメ」 の提供基準など、必要なサービスであってもその利用を遠ざける様々な仕組みが組み込まれています。
 こうした仕組みを改め、必要に応じて介護サービスを利用できる (必要充足原則) 制度への改善が必要です。例えば、支給限度額の大幅な引き上げ (または廃止) が利用料負担の軽減と合わせて実施されれば、要介護5、独居でも介護保険サービスを利用しながら在宅生活を継続できる条件が広がるでしょう。「同居家族がいる場合の生活援助の機械的打ち切り」 など、自治体 (保険者) の独自判断による利用制限は即刻やめるべきです。

(3)施設などの基盤整備
 全国で38万人と言われている特養待機者は減る兆しがみえません。重度の待機者は医療機関の入転院、家族介護でつなぎながら空きを待っている状態です。レスパイトや緊急時のショートステイもなかなか利用できません。療養病床の削減などにより、在宅で胃瘻、経管栄養などの医学的管理を要する高齢者も急増しています。夜間を含めた在宅24時間対応や認知症高齢者への支援はまだまだ遅れています。
 高齢化が進む中、このままでは施設にも入れず、入院もできず、在宅では暮らしていけない、いわば 「行き場のない高齢者」 が今後いっそう増えていくことが予想されます。施設整備、在宅ケアの拠点づくりなど、介護や医療が必要になっても、安心して過ごせる生活や療養の場を確保・保障することが急務です。

(4)利用者の視点での介護報酬 (基準) 改定
 介護報酬 (基準) は、保険で給付される介護サービスの水準や内容を規定します。例えば、介護予防訪問介護での月定額制報酬や1時間以上の生活援助に対する報酬頭打ちの仕組みはヘルパーの長時間の滞在を困難にし、利用者とのコミュニケーションの機会を減らすとともに、買い物などの家事の十分なサポートや 「調理などをヘルパーと共に行うことで自立を促す 『自立支援型』 の援助」 を難しくしています、このような 「細切れ、駆け足」 介護では、利用者一人一人の生活を総合的に支えることは困難です。
 すべての利用者に対して、「安心・安全の介護、行き届いた介護」 を保障する観点からも、介護報酬 (基準) の体系と水準、内容の見直しが必要です。

2.具体的提言

(1)介護保険制度の緊急改善

 現状の困難を直ちに打開するため、以下の緊急改善を求めます。
 ①利用料、介護保険料の負担軽減を図ること。
 ②本人の状態が正確に反映されるよう認定制度を改善すること。がん末期の場合
  は要介護5とみなし、相当の介護サービスを利用できるようにすること。認知
  症については、見守りや精神的援助の必要性を考慮した認定結果になるようシ
  ステムを見直すこと。
 ③支給限度額を大幅に引き上げること。要介護5については支給限度額を廃止す
  ること。
 ④予防給付の対象であっても、必要な介護サービスを利用できる仕組みに改善す
  ること。
 ⑤特養建設に対する国の補助金を復活させ整備を進めること。緊急で入所できる
  ショートステイの拡充等、介護者を支援するための基盤整備を強化すること。
 ⑥同居家族がいる場合の生活援助の規制など、いわゆる 「ローカルルール」 によっ
  て、利用の抑制や打ち切りが行われることがないよう、保険者に対する国の指
  導を強めること。
 ⑦介護報酬を大幅に引き上げるとともに、利用しやすい制度になるよう諸基準を
  見直すこと。

(2)介護保険制度の抜本的改善
 現行制度に組み込まれている様々な 「制約・排除の仕組み」 を抜本的に改めることを求めます。
 ①利用の足かせとなっている利用料を廃止すること。介護保険料は応能負担とし、
  滞納者への制裁措置や特別徴収をとりやめること。
 ②支給限度額を廃止すること。
 ③認定制度を抜本的に見直し、国は状態像に関する大枠のガイドラインのみ定め、
  具体的な利用内容は、本人とケアマネジャーが協議し決定する仕組みに改める
  こと。
 ④適切なケアマネジメントに基づいて必要と判断されたサービスは、すべて保険
  から給付すること。
 ⑤サービス体系を見直すこと。医療系サービスは医療保険に戻すとともに、予防
  給付のあり方を見直すこと。
 ⑥施設をはじめとする基盤整備に対する公的支援を強化すること、地域支援事業
   (地域包括支援センター) は介護保険と切り離し、別財源とすること。
 ⑦介護報酬の体系・水準を抜本的に見直すこと。

(3)高齢者福祉制度の強化・拡充
 介護保険制度だけで、介護問題すべてに対応することは困難です。介護保険ではカバーしきれない介護 (=生活) 問題に対応するために、現行の老人福祉法の改善など高齢者福祉制度の強化・拡充を求めます。

(4)以上を実現するために
 介護保険は、介護サービスの拡充、介護報酬の引き上げが介護保険料、利用料に直結する制度設計になっています。今後の高齢化に伴う介護費用の増大に対応し、「制度の持続可能性の確保」 をはかるためにも、介護保険に対する国の負担分の構成比を引き上げることが必要です。
 ①調整交付金分をのぞいた国の負担分を50%に引き上げること、少なくても当面
  30%まで引き上げること。
 ②財源は、逆進性が強く応能原則に逆行する消費税増税によるのではなく、税金
  のあり方を根本的な見直しによって生み出すこと。
 ③社会保障費2,200億円削減方針を直ちに撤回すること。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記の通り、全日本民医連では、介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」 を挙げ、介護保険制度の見直すべき点として、「重い費用負担」・「利用の制約につながる様々な仕組み」・「施設などの基盤整備」・「利用者の視点での介護報酬 (基準) 改定」 の4項目を指摘しています。

 また、具体的な提言では、現状の困難を直ちに打開するための 「介護保険制度の緊急改善」 として、利用料・介護保険料の負担軽減を図ることや本人の状態が正確に反映される認定制度への改善など7項目を要求しています。

 さらに、7項目の 「介護保険制度の抜本的改善」 策および介護保険ではカバーしきれない介護 (=生活) 問題に対応するための高齢者福祉制度の強化・拡充を求めており、その財源について、「介護保険に対する国の負担分 (調整交付金分を除く) を50%に引き上げること、少なくても当面、30%まで引き上げること」・「財源は、逆進性が強く応能原則に逆行する消費税増税によるのではなく、税金のあり方を根本的な見直しによって生み出すこと」・「社会保障費の2,200億円削減方針を直ちに撤回すること」 の3項目を提言しています。

(2)平成21年度介護報酬改定は、以前の当ブログ記事 [介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)] で記した通り、3つの基本的視点 「①介護従事者の人材確保・処遇改善、②医療との連携や認知症ケアの充実、③効率的なサービスの提供や新たなサービスの検証」 に則って、改定が行われます。

 2009年度 (平成21年度) 介護報酬改定においては、改定率がプラス3% (うち、在宅分:1.7%、施設分:1.3%) です。
 しかしながら、過去2回の介護報酬改定は、2003年 (マイナス2.3%)、2006年 (2005年10月を含め、マイナス2.4%) と大幅なマイナス改定であり、また、2006年の介護保険制度改定による軽度者の介護給付制限 (介護予防給付の創設) による影響を換算すると、マイナス10%以上にもなるとされています。

(3)したがって、改定率プラス3%では、介護保険制度の改善は甚だ不充分なものになると考えられ、ましてや、上述の全日本民医連の要求レベルには到底及ばないと考えられます。

 「masaの介護福祉情報裏板」 ブログ記事 「戦いの本番は3年後。」 でも次のように強調されています。

 今回の介護報酬はとりあえずの対症的処方でとりあえず3%報酬をアップさせたが、改革の本丸は3年後のダブル改定であると考えている官僚は多いだろう。

 まさしく、2012年度の診療報酬・介護報酬の同時改定の時が、最大の山場になると思われますので、医療・介護従事者連合軍で、国民の安心・安全・納得・満足を勝ち取っていくのが、我々の使命と考えられます。




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介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)

 Japan Medicine (2008/9/19) にて、「NPO在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク第14回全国の集い」 (平成20年9月14~15日、京都市) に関する記事が掲載されています。

 その中で、9月14日のシンポジウム 「介護保険制度と家族」 に関する記事において興味深い部分がありましたので紹介します。

【実質は家族をアテにした制度】
 14日の 「介護保険制度と家族」 をテーマにしたシンポジウムには、厚生労働省の宮島俊彦老健局長が参加、今後の高齢化社会を支えるには基本的な医療モデルの転換を促す必要などを語った。
 このシンポジウムでは、社会学者の上野千鶴子・東京大大学院教授、立岩真也・立命館大大学院教授、黒岩卓夫・同ネットワーク会長らも参加、家族介護のとらえ方と地域のかかわり、地域医療との連携などを討論した。
 シンポジウムは、「おひとりさまの老後」 などの著書で、現行介護保険制度が家族をベースにしたものとなっているとの批判を続けている上野千鶴子氏など、「家族に依拠した制度」 への批判を中心に進んだ。
 これに対して宮島氏は、「制度構築時に家族の問題が論議され、運用での実態としてあるかもしれないが、制度自体には家族の関与は入っていない」 としたほか、今後の制度改革についても、「今後の高齢化での在宅ケアを考えるときには、家族の問題は遮断して考える必要がある」 とのスタンスを明確にした。


 上記の老健局長の言葉を聞いて、唖然とする介護従事者・介護サービス利用者・家族の方も多いと思います。「患者さん・介護サービス利用者・家族の視点」・「一般国民の視点」・「現場感覚」 が、為政者には大切なのですが・・・。

 「介護の社会化」 (「介護」 が 「個人・家族の責任」 から 「社会の責任」 として定着するプロセス) という 「錦の御旗?」 を掲げて、鳴り物入りで華々しく登場した 「介護保険制度」 も、いつのまにか、2回連続の介護報酬マイナス改定を経て、要介護度判定の厳格化もあり、「介護の社会化」 から程遠いものになってしまいました。
 即ち、現在は、「実質は家族をアテにした制度」 に他なりません。

 平成21年度介護報酬改定は、プラス3%の改定率 (うち、在宅分1.7%、施設分1.3%) のもと、下記の基本的な視点に立って施行されます (厚生労働省パブリックコメント参照)。

(1)介護従事者の人材確保・処遇改善
 介護従事者の離職率が高く、人材確保が困難である現状を改善し、質の高いサービスを安定的に提供するためには、介護従事者の処遇改善を進めるとともに、経営の効率化への努力を前提としつつ経営の安定化を図ることが必要である。
 このため、
  ①各サービスの機能や特性に応じ、夜勤業務など負担の大きな業務に対して
   的確に人員を確保する場合に対する評価
  ②介護従事者の能力に応じた給与を確保するための対応として、介護従事者
   の専門性等のキャリアに着目した評価
  ③介護従事者の賃金の地域差への対応として、介護報酬制度における地域差
   の勘案方法 (地域区分毎の単価設定) 等の見直し
を行う。
(2)医療との連携や認知症ケアの充実
①医療と介護の機能分化・連携の推進

 介護が必要となっても住み慣れた地域で自立した生活を続けることができるよう、医療から介護保険でのリハビリテーションに移行するにあたり、介護保険によるリハビリテーションの実施機関数やリハビリテーションの内容の現状等を踏まえ、医療と介護の継ぎ目のないサービスを効果的に利用できるようにする観点からの見直しを行う。
 また、利用者の状態に応じた訪問看護の充実を図る観点からの評価の見直しや、居宅介護支援における入院時や退院・退所時の評価を行う。
 介護療養型老人保健施設については、療養病床からの転換が円滑に進められるよう、実態に応じた適切な評価を行うという観点から評価の見直しを行う。
②認知症高齢者等の増加を踏まえた認知症ケアの推進
 「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」 報告を踏まえ、認知症高齢者等やその家族が住み慣れた地域での生活を継続できるようにするとともに、認知症ケアの質の向上を図るため、認知症行動・心理症状への緊急対応や若年性認知症の受け入れへの評価、認知症高齢者等へのリハビリテーションの対象拡大、専門的なケア提供体制に対する評価等を行う。
 また、居宅介護支援や訪問介護において、認知症高齢者等へのサービスの評価を行う。
(3)効率的なサービスの提供や新たなサービスの検証
①サービスの質を確保した上での効率的かつ適正なサービスの提供

 介護サービス事業の運営の効率化を図るため、サービスの質の確保を図りつつ、人員配置基準等の見直しを行う。例えば、訪問介護事業所のサービス提供責任者の常勤要件、夜間対応型訪問介護事業所のオペレーター資格要件、小規模多機能型居宅介護の夜勤体制要件、介護老人保健施設の支援相談員の常勤要件等必要な見直しを行う。
 また、介護保険制度の持続性の確保及び適切な利用者負担の観点から、居住系施設に入所している要介護者への居宅療養管理指導や介護保険施設における外泊時費用を適正化するなど、効率的かつ適正なサービス提供に向けた見直しを行う。
②平成18年度に新たに導入されたサービスの検証及び評価の見直し
 平成18年度に新たに導入された各種サービス (新予防給付・地域密着型サービス等) について、より多くの利用者に適切に利用されるよう、サービスに対する評価の算定状況、普及・定着の度合いや事業者の経営状況等を把握した上で、より適切な評価の在り方についての検討を行い、必要な見直しを行う。


 プラス3%の改定率では不充分であり、上記の基本的視点の達成は困難と考えられます。即ち、当分の間は未だ未だ、「家族をアテにした制度」 が続くと思われます。
 1日24時間、在宅における介護サービス利用者 (独居の方も含めて) や家族の方が、安心・安全・納得・満足した生活を送れるようになるのは、いつの日になることやら・・・。

 今回は、介護報酬改定が不充分ながらもプラス3%改定 (但し、在宅分1.7%、施設分1.3%) となりましたが、厚生労働省は、財務省の財政再建・社会保障費削減の圧力に屈し、これまで様々な介護保険制度改悪・介護報酬改定・改悪 (要介護認定の厳格化、介護給付費の抑制) を行ってきた歴史があります。
 厚生労働省は、日頃は、「患者さん・介護サービス利用者の視点を一番大事にします」 と言っておきながら、肝心な時には、「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「介護保険料の視点・市町村の視点」 の方を重視してきました。
 この自己矛盾を打破し、国民の安全・安心・納得・満足のために、国民本位の社会保障政策、医療・介護・福祉政策の施行を切望します。

【追記】
 厚生労働省が提唱している、今後の高齢化社会を支えるための基本的な 「医療モデルの転換」 に関しては、また別の機会に、詳述したいと思っています。




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