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  2. 運動器リハビリテーション

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ロコモティブ・シンドローム (日本人の40歳以上に推定約4,700万人)

(1)日本ロコモティブ・シンドローム研究会の定義によると、ロコモティブ・シンドローム (ロコモティブ症候群) とは、「運動器の障害のために要介護となる危険の高い状態」 をさします。(運動器とは、身体機能を担う筋・骨格・神経系の総称であり、筋肉、腱、靭帯、骨、関節、神経、脈管系など、身体運動の関わる組織・器官の機能的連合です)。

 ロコモティブ・シンドロームは、高齢社会・超高齢社会の運動器障害を考える上での重要なキーワードです。

 また、ロコモティブ・シンドロームは、診療報酬上の 「運動器リハビリテーション」・「運動器不安定症」、介護保険上の 「維持期 (運動器) リハビリテーション」、介護予防・地域包括支援上の運動器機能向上サービス等のベースとなるものです。

(2)m3.com (2009/7/1) に、ロコモティブ・シンドロームに関する興味深い記事 (提供:共同通信社) が掲載されていますので、下記に示します。

運動器症候群4,700万人 骨、関節から 「要介護」 に 東大グループが推定

 骨や関節などの障害で、要介護になったり危険性が高まったりする 「ロコモティブ (運動器) 症候群」 の原因となる病気がある日本人が、40歳以上で約4,700万人に達するとの推定結果を、吉村典子・東京大病院特任准教授らのグループが30日、発表した。

 原因として頻度が多いとされる変形性膝関節症と変形性腰椎症、骨粗鬆症の有病者数を推定。
 三つのいずれかを持つ人は男性の84%、女性の79%で、すべてを合併していると考えられる人も540万人に及んだ。

 研究グループは 「予防対策の確立は今後の課題だが、適切なトレーニングなどを心掛けてほしい」 としている。

 ロコモティブ症候群は日本整形外科学会が2007年に提唱。
 寝たきり予防などの観点から、骨や関節、筋肉などの運動器を全体としてとらえ、病気の予防と治療を総合して行おうとしている。

 研究グループは、日本の都市部、山村部、漁村を代表する住民の集団として、それぞれ東京都板橋区、和歌山県日高川町と太地町の計約3千人に協力してもらい、2005年からエックス線検査や骨密度測定などを実施。

 結果を国際的な進行度分類や学会の診断基準にあてはめ、自覚症状のない人も含めて有病率を算出。
 これを基に日本人全体の有病者数を推定した。

 三つの病気いずれかの有病率は年齢とともに上昇し、70歳以上では男女とも95%を超えた。
 病気別では男女とも変形性腰椎症の有病率が最も高いが、女性は男性に比べ変形性膝関節症や骨粗鬆症が高率だった。

 変形性膝関節症の人は、そうでない人に比べ軽い記憶障害など 「軽度認知障害」 の危険性が約1.8倍になるとの結果も示された。

(3)一方、Japan Medicine (2009/7/1) に、上記(1)・(2)に関連した運動器リハビリテーションに関する興味深い記事が掲載されていますので、下記に示します。

●運動器医療の改善を 自民・議連が申し入れ

 自民党の 「運動器の健康を増進させ健康寿命を延伸させる議員連盟」 (会長=尾辻秀久参院議員会長) は6月24日、運動器医療の改善に関する要請を取りまとめた。
 2010年度予算の概算要求や診療報酬改定に向けて、運動器医療の改善につながる施策を求めた。
 葉梨康弘事務局長 (衆院議員) が 25日、渡辺孝男厚生労働副大臣に提出した。

 要請では、運動器リハビリテーション制度の改善を訴えた。
 運動器リハビリの点数、制限日数の設定については、脳血管疾患等リハビリに比べてバランスを欠いていると指摘。
 極めて低いとされる消炎鎮痛処置の問題を含めて改善を求めた。
 さらに、地域で適切な運動器健診が実施できるよう求めたほか、専門医による指導管理の充実が不可欠とも申し入れた。

(4)以前の当ブログ記事 [運動器リハと脳血管リハとの格差是正を要望 (日本臨床整形外科学会)] でも述べましたが、運動器リハビリテーション料と脳血管疾患等リハビリテーション料との点数格差の原因として、次のようなことが挙げられます。

 ①医療機関によっては、運動器リハビリテーションにおいて少なからず指摘
  されている (脳血管疾患等リハビリテーションにおいても、医療機関によっ
  ては、指摘を受けていますが) 「セラピストおまかせリハビリテーション」
  即ち、医師およびリハビリテーション専任医師の関与が少ないリハビリテ
  ーション
という現実。(時に、「無診察リハビリテーション」 の実態)。

 ②施設基準におけるリハビリテーション専任医師の数の差異 【運動器リハビ
  リテーション料 (Ⅰ)
は、運動器リハビリテーションの経験を有する専任の
  常勤医師が1名以上勤務、一方、脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)
  は、専任の常勤医師が2名以上勤務していること [ただし、そのうち1名
  は、脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する3年以上の臨床経験
  又は脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する研修会、講習会の受
  講歴 (又は講師歴) を有すること]】。

 ③施設基準におけるセラピストの数の差異 【運動器リハビリテーション料
  (Ⅰ)
は、専従の常勤理学療法士 (PT) が2名以上勤務、又は、専従の常勤
  作業療法士 (OT) が2名以上勤務、又は、専従の常勤PT及び専従のOT
  が合せて2名以上勤務していること、一方、脳血管疾患等リハビリテーシ
  ョン料 (Ⅰ)
は、専従の常勤PT5名以上勤務&専従の常勤OTが3名以上
  勤務 [言語聴覚療法を行う場合は、専従の常勤言語聴覚士 (ST) が1名以
  上勤務]】。

 ④運動器リハビリテーション料 (Ⅰ) の施設基準における有資格者による代替
  者の問題
(当分の間、適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了し
  た看護師、准看護師、あん摩マッサージ指圧師又は柔道整復師が、専従の
  常勤職員として勤務している場合であって、運動器リハビリテーションの
  経験を有する医師の監督下に当該療法を実施する体制が確保されている場
  合に限り、理学療法士が勤務しているものとして届け出ることができる)。

 ⑤一部の医療機関にて、「処置 (介達牽引および消炎鎮痛等処置) と区別がつ
  かないような運動器リハビリテーション」
が行われている。また、定期的
  なリハビリテーション治療効果判定がなされていない (長期漫然としたリ
  ハビリテーション
)。

 ⑥一部の医療機関において、運動器リハビリテーションの算定日数上限が来
  るたびに、リセットを繰り返している。(例:変形性頸椎症→右肩関節周囲
  炎→左肩関節周囲炎→変形性腰椎症→右変形性膝関節症→左変形性膝関節
  症→腰部脊柱管狭窄症→左変形性股関節症→・・・・・・)。

  ●上記リセット問題に対して発出された厚労省疑義解釈。

(問)「膝の変形性関節症」 での運動器リハビリテーションが終了した日以降、「脊椎疾患」 や 「隣接関節疾患」 などで、新たな運動器リハビリテーション料を算定できるのか。

(答)脊椎疾患等の傷病が新たに発症したものであれば算定できる。なお、脊椎疾患等の慢性的な疾患については、膝変形性関節症に対するリハビリテーションを実施中に既に発症していた可能性が高いことから、発症日を十分に確認する必要がある。

 ⑦疾患別リハビリテーション料の施設基準の要件 [(a) リハビリテーションに
  関する記録 (医師の指示、実施時間、訓練内容、担当者等) は患者ごとに一
  元的に保管され、常に医療従事者により閲覧が可能であること。(b) 定期的
  に担当の多職種が参加するカンファレンスが開催されていること] が遵守さ
  れていない一部の医療機関。

 ⑧ 「運動器不安定症」 は、慢性期的、廃用症候群的、介護保険的、あるいは介
  護予防的な 「疾患名 (?)」 であり、医療保険・診療報酬には馴染まず、使用
  すべきではないと考えられている。(レセプト減額査定も少なくない)。

 上記の種々の課題が解決されない限り、運動器リハビリテーション料と脳血管疾患等リハビリテーション料との点数格差は解消されないと思われます。

(5)しかしながら、超高齢社会を迎え、寝たきり予防・介護予防のためにも、脳卒中対策に加えて、ロコモティブ・シンドロームに対する対策も重要と考えられます。

 メタボリックシンドロームと同様に、ロコモティブ・シンドロームの概念を、先ずは、一般の方々 (特に中高年の方々) に啓発・啓蒙し、そして、「運動器の障害のために要介護となる危険の高い状態」 を早期発見・早期介入して、極力、運動器能力・ADL能力の低下を防止することにより、特に高齢者の方々の 「健康寿命の延伸」・「QOL (生活の質・人生の質) の維持向上」 を図ることが肝要と考えられます。




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運動器リハと脳血管リハとの格差是正を要望 (日本臨床整形外科学会)

 Japan Medicine (2009/6/24) に、運動器リハビリテーションに関する興味深い記事が掲載されていますので、下記に示します。

●日本臨床整形外科学会/次期改定で運動器リハの点数体系
 を要望 脳血管疾患等リハとの格差是正が課題


 日本臨床整形外科学会は、次期診療報酬改定に向け現行の疾患別リハビリテーション体系を維持した上で、運動器リハビリテーションについては施設基準を見直し、脳血管系疾患等リハビリテーションとの点数格差の是正を図り、医療現場の歪みを解消することを求めていく方針を固めた。

 現行の脳血管疾患等リハは、PT、OTの人員配置によって235点、190点、100点の3段階設定で、算定日数上限は180日になっている。
 これに対して、運動器リハ料は、170点と80点の2段階で、算定上限は150日。
 同学会では、運動器リハ点数と脳血管系リハの点数格差があることで、運動器リハ施設におけるPT、OTの雇用が難しい状況になっていることが課題として挙げられた。

 実際に、2007年度社会保険診療行為別調査からリハビリテーションのレセプト件数は、運動器リハが脳血管疾患リハの2.5倍となっているのに対して、リハビリテーション総収入では脳血管疾患リハの方が1.9倍高くなっている。
 運動器リハは、リハ回数が多いが、それが実収入に反映されていない薄利多売の実態がある。
 このため現行の点数体系では、運動器リハ施設の雇用環境の改善が図れないとしている。

 改善提案について同学会では、運動器リハについても脳血管系疾患リハと同様にPT、OT合計4人以上、運動器リハの経験を有する医師の配置などを施設基準とした240点を新設し、点数を3段階に組み直すことを要望する。
 このほか、65歳以上の運動器不安定症を有する患者に対する運動機能指導管理料の新設なども盛り込む予定だ。

 藤野圭司理事長は、「PT、OTは毎年1万3,000人ずつ増える計画だが、現行の点数体系では、運動器リハ施設では、経営的にも受け皿になれない厳しい状況にあることを理解してもらいたい」 と指摘した。

 特に、同理事長は、「2,200億円の社会保障費の抑制が骨太の方針09に盛り込むようなことがあってはならない。日本医師会は全力をあげて阻止するよう働き掛けるべきだ」 と述べ、実質的に形骸化された形になったとしても、骨太09に記載することは阻止すべきだと語った。

(1)2006年度改定において、運動器リハビリテーション関連3団体および呼吸器リハビリテーション関連団体が各々の思惑・戦略により (あるいは、良かれと思って?) 行ったロビー活動が功を奏して (且つ厚生労働省の思惑にも合致して) 導入された 「疾患別リハビリテーション体系」 は、結果的に下記のような多くの問題を引き起こしました。

 ①リハビリテーションの理念である 「障害のある方に対する全人的アプローチ」
  の象徴であった 「総合リハビリテーション施設」 の形骸化、ならびに、セラ
  ピストの専門性をないがしろにした 「理学療法料」・「作業療法料」・「言語聴
  覚療法料」 の削除。

 ②疾患別リハビリテーション体系の導入に伴う大きな代償
  (a) 厚生労働省にねじ込まれたリハビリテーション算定日数制限とそれに
   伴って生じた多くの 「リハビリ難民・介護難民」
  (b) 算定日数制限除外患者における算定日数上限超え時の疾患別リハビリ
   テーション継続に必要な毎月の膨大な書類作成 (事務的作業の負担増
   大→その割にはレセプト審査で理不尽な減額査定)。
  (c) 結果的に生じた疾患別リハビリテーション診療報酬点数の減額。

 ③各疾患別リハビリテーションの 「厚生労働省が明示している対象疾患」 以
  外の疾患において、疾患別リハビリテーションの選択が困難な症例 (ある
  いはレセプト審査で却下または減額査定される症例:都道府県あるいは
  国保・社保で格差あり) が少なからず存在する。

 ④複数の疾患および重複障害を有する患者 (特に高齢者) は、疾患別リハビリ
  テーションに馴染まず、充分なリハビリテーションが享受できない。

(2)運動器リハビリテーション料と脳血管疾患等リハビリテーション料との点数格差の原因として、次のようなことが挙げられます。

 ①医療機関によっては、運動器リハビリテーションにおいて少なからず指摘
  されている (脳血管疾患等リハビリテーションにおいても、医療機関によっ
  ては、指摘を受けていますが) 「セラピストおまかせリハビリテーション」
  即ち、医師およびリハビリテーション専任医師の関与が少ないリハビリテ
  ーション
という現実。(時に、「無診察リハビリテーション」 の実態)。

 ②施設基準におけるリハビリテーション専任医師の数の差異 【運動器リハビ
  リテーション料 (Ⅰ)
は、運動器リハビリテーションの経験を有する専任の
  常勤医師が1名以上勤務、一方、脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)
  は、専任の常勤医師が2名以上勤務していること [ただし、そのうち1名
  は、脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する3年以上の臨床経験
  又は脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する研修会、講習会の受
  講歴 (又は講師歴) を有すること]】。

 ③施設基準におけるセラピストの数の差異 【運動器リハビリテーション料
  (Ⅰ)
は、専従の常勤理学療法士 (PT) が2名以上勤務、又は、専従の常勤
  作業療法士 (OT) が2名以上勤務、又は、専従の常勤PT及び専従のOT
  が合せて2名以上勤務していること、一方、脳血管疾患等リハビリテーシ
  ョン料 (Ⅰ)
は、専従の常勤PT5名以上勤務&専従の常勤OTが3名以上
  勤務 [言語聴覚療法を行う場合は、専従の常勤言語聴覚士 (ST) が1名以
  上勤務]】。

 ④運動器リハビリテーション料 (Ⅰ) の施設基準における有資格者による代替
  者の問題
(当分の間、適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了し
  た看護師、准看護師、あん摩マッサージ指圧師又は柔道整復師が、専従の
  常勤職員として勤務している場合であって、運動器リハビリテーションの
  経験を有する医師の監督下に当該療法を実施する体制が確保されている場
  合に限り、理学療法士が勤務しているものとして届け出ることができる)。

 ⑤一部の医療機関にて、「処置 (介達牽引および消炎鎮痛等処置) と区別がつ
  かないような運動器リハビリテーション」
が行われている。また、定期的
  なリハビリテーション治療効果判定がなされていない (長期漫然としたリ
  ハビリテーション)


 ⑥一部の医療機関において、運動器リハビリテーションの算定日数上限が来
  るたびに、リセットを繰り返している。(例:変形性頸椎症→右肩関節周囲
  炎→左肩関節周囲炎→変形性腰椎症→右変形性膝関節症→左変形性膝関節
  症→腰部脊柱管狭窄症→左変形性股関節症→・・・・・・)。

  ●上記リセット問題に対して発出された厚労省疑義解釈。

(問)「膝の変形性関節症」 での運動器リハビリテーションが終了した日以降、「脊椎疾患」 や 「隣接関節疾患」 などで、新たな運動器リハビリテーション料を算定できるのか。

(答)脊椎疾患等の傷病が新たに発症したものであれば算定できる。なお、脊椎疾患等の慢性的な疾患については、膝変形性関節症に対するリハビリテーションを実施中に既に発症していた可能性が高いことから、発症日を十分に確認する必要がある。

 ⑦疾患別リハビリテーション料の施設基準の要件 [(a) リハビリテーションに
  関する記録 (医師の指示、実施時間、訓練内容、担当者等) は患者ごとに一
  元的に保管され、常に医療従事者により閲覧が可能であること。(b) 定期的
  に担当の多職種が参加するカンファレンスが開催されていること] が遵守さ
  れていない一部の医療機関。

 ⑧ 「運動器不安定症」 は、慢性期的、廃用症候群的、介護保険的、あるいは介
  護予防的な 「疾患名 (?)」 であり、医療保険・診療報酬には馴染まず、使用
  すべきではないと考えられている。(レセプト減額査定も少なくない)。

(3)上記(2)の種々の課題が解決されない限り、運動器リハビリテーション料と脳血管疾患等リハビリテーション料との点数格差は解消されないと思われます。

(4)以前の当ブログ記事 [運動器リハの日数制限を180日に (日本臨床整形外科学会が要望)] で述べたように、これまでのリハビリテーション診療報酬改定において、したたかな厚生労働省は、

 ①運動器リハビリテーション関連3団体 (日本整形外科学会・日本臨床整形外
  科学会・日本運動器リハビリテーション学会)

 ②呼吸器リハビリテーション関連学会 (日本呼吸器学会・日本呼吸ケア・リハ
  ビリテーション学会)

 ③リハビリテーション関連5団体 (日本リハビリテーション医学会、日本リハ
  ビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協
  会、日本言語聴覚士協会)

 ④日本心臓リハビリテーション学会

の思惑・戦略の違いにつけ込み (分断作戦)、結果的に、「リハビリテーション算定日数制限」 を付与しやすい疾患別リハビリテーション料を導入し、リハビリテーション医療を混乱に陥れました。

 したがって、次期平成22年度診療報酬改定に向けて、リハビリテーション医療の正常化ならびに患者さん・障害のある方の安心・安全・納得・満足のために、また、「リハビリ難民・介護難民」 の解消および防止のためにも、(各疾患別リハビリテーション関連学会が単独で厚生労働省と交渉するのではなく)、上記の4つの疾患別リハビリテーション関連団体が 「合同で (スクラムを組んで)」 厚生労働省と交渉すべきと考えられます。




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脳血管疾患等リハビリ料における廃用症候群の 「外科手術」 とは

 リハビリテーション医療従事者の一部で、脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者である 「廃用症候群」 における 「外科手術」 の解釈に関して、未だ混乱があるようです。
 下記の各資料を用いて考察したいと思います。

(資料1) 脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者 (平成20年度診療報酬改定)
 ア.急性発症した脳血管疾患又はその手術後の患者とは、脳梗塞、脳出血、
  くも膜下出血、脳外傷、脳炎、急性脳症 (低酸素脳症等)、髄膜炎等のも
  のをいう。
 イ.急性発症した中枢神経疾患又はその手術後の患者とは、脳膿瘍、脊髄
  損傷
、脊髄腫瘍、脳腫瘍摘出術などの開頭術後、てんかん重積発作等の
  ものをいう。
 (中略)
 キ.リハビリテーションを要する状態であって、一定程度以上の基本動作
  能力、応用動作能力、言語聴覚能力の低下及び日常生活能力の低下を来
  している患者とは、外科手術又は肺炎等の治療時の安静による廃用症候
  群
、脳性麻痺等に伴う先天性の発達障害等の患者であって、治療開始時
  のFIM 115 以下、BI85 以下の状態等のものをいう。

(資料2) 運動器リハビリテーション料の対象患者 (平成20年度診療報酬改定)
 ア.急性発症した運動器疾患又はその手術後の患者とは、上・下肢の複合
  損傷 (骨、筋・腱・靭帯、神経、血管のうち3種類以上の複合損傷)、
  脊椎損傷による四肢麻痺 (1肢以上)、体幹・上・下肢の外傷・骨折、
  切断・離断 (義肢)、運動器の悪性腫瘍等のものをいう。
 イ.慢性の運動器疾患により、一定程度以上の運動機能の低下及び日常生
  活能力の低下を来している患者とは、関節の変性疾患、関節の炎症性疾
  患、熱傷瘢痕による関節拘縮、運動器不安定症等のものをいう。

(資料3) 呼吸器リハビリテーション料の対象患者 (平成20年度診療報酬改定)
 ア.急性発症した呼吸器疾患の患者とは、肺炎、無気肺等のものをいう。
 イ.肺腫瘍、胸部外傷その他の呼吸器疾患又はその手術後の患者とは、肺
  腫瘍、胸部外傷、肺塞栓、肺移植手術、慢性閉塞性肺疾患 (COPD) に
  対するLVRS (Lung volume reduction surgery) 等の呼吸器疾患又はそ
  の手術後の患者をいう。
 (中略)
 エ.食道癌、胃癌、肝臓癌、咽・喉頭癌等の手術前後の呼吸機能訓練を要
  する患者とは、食道癌、胃癌、肝臓癌、咽・喉頭癌等の患者であって、
  これらの疾患に係る手術日から概ね1週間前の患者及び手術後の患者で
  呼吸機能訓練を行うことで術後の経過が良好になることが医学的に期待
  できる患者のことをいう。

(資料4) 早期リハビリテーション加算の対象患者 (急性発症した脳血管疾患等の
    疾患) (平成16年度診療報酬改定)

 ①脳血管疾患
 ②脊髄損傷等の脳・脊髄 (中枢神経) 外傷
 ③大腿骨頸部骨折、下肢・骨盤等の骨折、上肢骨折
 ④開腹・開胸手術後
 ⑤脳腫瘍などの開頭術後
 ⑥急性発症した脳炎、ギランバレーなどの神経筋疾患
 ⑦高次脳機能障害
 ⑧脳性麻痺
 ⑨四肢 (手部、足部を含む) の骨折・切断・離断・腱損傷
 ⑩脊椎・肩甲骨・関節の手術後
 ⑪四肢の熱傷 (Ⅱ度は体表面積15%以上、Ⅲ度は10%以上)、気道熱傷を伴
  う熱傷
 ⑫多発外傷
 ⑬植皮術後
 ⑭15歳未満の先天性股関節脱臼症 (LCC) の手術後


 基本的に、脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者における廃用症候群 (資料1-キ) の 「外科手術」 とは、胸腹部の手術のことであり、通常、開胸術ならびに開腹術 [資料4-④] のことを指します。
 開胸術・開腹術の一部で、呼吸機能訓練のみで対処できる場合は、呼吸器リハビリテーション料の対象患者 (資料3-イ・エ) となります。
 胸腔鏡下手術・腹腔鏡下手術の場合は、(通常、開胸術・開腹術と同様に、術後廃用症候群として取り扱いますが)、手術侵襲が低く、廃用症候群が生じにくいと見なされると、レセプト返戻 (呼吸器リハビリテーションへの変更勧告等) もしくは減額査定されやすくなります (都道府県によって温度差がありますが・・・)。

 四肢・体幹・脊椎 (整形外科領域:運動器) の手術後 [資料4-③術後・⑨術後・⑩・⑭] は、運動器リハビリテーション料の対象患者 (資料2-アの手術後の患者) に該当します。但し、脊髄障害を呈している場合は脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者 (資料1-イ) に該当します。

 ちなみに、頭部の外科手術後 [開頭術後 (資料4-⑤)] は、脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者 (資料1-イ) に該当します。

 上述の通り、基本的には、四肢・体幹・脊椎 (整形外科領域:運動器) の手術後は、「臨床的に廃用症候群症状が合併していても」、診療報酬上は、脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者における廃用症候群 (資料1-キ) の 「外科手術」 には該当せず、脳血管疾患等リハビリテーション料は算定できません。運動器リハビリテーション料での算定になります。
 即ち、診療報酬上、脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者における廃用症候群 (資料1-キ) は、あくまで、運動器リハビリテーション料の対象患者に該当しない場合に適用できます。
 呼吸器リハビリテーション料との関係は微妙ですが、上述のように、通常、呼吸機能訓練のみの場合は呼吸器リハビリテーション料での算定、それ以外は、術後廃用症候群として脳血管疾患等リハビリテーション料を算定するのがベターと考えられます。


 厚生労働省も、「術後の整形疾患なども廃用症候群として算定してくる例が多く、何でも廃用症候群として算定してくる例が多い」 という認識であり、一時期、「廃用症候群を対象患者から削除する」 という考えでした。リハビリテーション関連5団体等との交渉により、削除案は撤回されましたが、平成20年度診療報酬改定における 「廃用症候群に係る評価表」 (下記参照) の義務化に繋がりました。

●廃用症候群に該当するものとして脳血管疾患等リハビリテーション料を算定する場合は、廃用をもたらすに至った要因、臥床・活動性低下の期間、廃用の内容、介入による改善の可能性、改善に要する見込み期間、前回の評価からの改善や変化、廃用に陥る前のADLについて別紙様式22を用いて、月ごとに評価し、診療報酬明細書に添付すること。

 運動器リハビリテーション料の対象患者の中にも、運動器疾患の廃用症候群とも呼ばれている 「運動器不安定症 (資料2-イ)」 がありますが、整形外科手術後の廃用症候群にはあまり馴染みません。
 そこで、日本運動器リハビリテーション学会は、「社会保険診療報酬に関する改正要望書 (概要版) 平成20年11月12日 外科系学会社会保険委員会連合 (外保連)」 にて、平成22年度診療報酬改定に向けて、「運動器リハビリテーションにも廃用症候群を追加」 という要望を出しています。 (導入されるかどうかは、今のところは懐疑的ですが・・・)。

 以上、現時点では、医療機関において、安易に 「術後の整形疾患など、何でも廃用症候群として算定する」 ことは厳に慎み、また、「廃用症候群に係る評価表」 をきちんと作成することにより、廃用症候群が、脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者から削除されないために、リハビリテーション関係者の不断の努力が肝要と思われます。また、廃用症候群に対するリハビリテーション治療効果等についての更なる強いエビデンスの確立が望まれます。

【追記】
 疾患別リハビリテーション料体系を廃止すれば、上記の件も含めて、多くの混乱
がなくなるのですが・・・。




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運動器リハの日数制限を180日に (日本臨床整形外科学会が要望)

 Japan Medicine (2009/1/14) に下記の記事が掲載されました。

●運動器リハの日数制限を180日に (自民・議連で臨床整形外科学会が要望)
 自民党の 「運動器の健康を増進させ健康寿命を延伸させる議員連盟」 (会長:尾辻秀久・参院議員会長) は8日、2010年度の診療報酬改定に向けて日本臨床整形外科学会と日本整形外科学会から意見を聞いた。
 日本臨床整形外科学会の藤野圭司理事長は、現在は150日の運動器リハビリテーションの日数制限を脳血管リハと同じ180日にするよう要望した。
 藤野理事長は、高齢者の維持期リハを介護保険で継続する場合、要支援者が急増する可能性があると指摘。要介護者を減らすために、運動器リハについて制限日数を延長するほか、診療報酬上での評価を求めた。
 また、高齢者が要支援や要介護になることを予防するために運動器健診事業の早期実施や、厚生労働省に運動器に関する施策を総合的に扱う対策室の設置を要求した。


 平成18年度診療報酬改定以前のリハビリテーション料は、「心疾患リハビリテーション科」・「理学療法」・「作業療法」・「言語聴覚療法」 に分かれていました。[理学療法 (Ⅰ)・作業療法 (Ⅰ) は総合リハビリテーション承認施設での算定]。
 
 平成18年度診療報酬改定 (3.16%のマイナス改定:診療報酬本体はマイナス1.36%) において、疾患別リハビリテーション料とそれに伴う算定日数制限が導入されました。

 当時の厚労省保険局・麦谷医療課長曰く、
  ①現行制度 (平成16年度診療報酬改定) では、同じリハビリをしても施設に
   よって値段が違う。
  ②疾患の特性や治療の現状 (長期間にわたる効果が明らかでないリハビリ)
   を踏まえ算定日数の上限を新たに設定する。
  ③温熱をあてるだけなどの簡易なリハビリが効果を確かめないで2~3年
   に渡って行われている。リハビリとケアの混同もある。

 また、当時は、以前からの運動器リハビリテーション関連学会 (日本整形外科学会・日本臨床整形外科学会・日本運動器リハビリテーション学会) や呼吸器リハビリテーション関連学会 (日本呼吸器学会・日本呼吸ケア・リハビリテーション学会) の強い分離独立要望・政治的圧力もあり、厚労省は、疾患別リハビリテーション料を導入しました。

 しかし視点を変えてみると、したたかな厚労省は、(上記のような要望・圧力の影響もありましたが)、運動器リハビリテーション関連学会、呼吸器リハビリテーション関連学会、リハビリテーション関連学会・団体 (日本リハビリテーション医学会、日本リハビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会) の思惑・戦略の違いにつけ込み (分断作戦)、結果的に、「算定日数制限」 を付与しやすい疾患別リハビリテーション料を導入したということになります。

 結局、理学療法料・作業療法料・言語聴覚療法料が消滅し、「同じリハビリをしても施設によって値段が違う」→→「同じセラピストがリハビリをしても、疾患によって値段が違う」 となりました。

 平成20年度診療報酬改定では、疾患別リハビリテーション料 (Ⅰ) の1単位当たりの点数 (単価) が減額されましたが、算定日数上限 (標準的算定日数) は変更無しでした。


 さて、上記の記事で、日本臨床整形外科学会は、現在150日の運動器リハビリテーションの日数制限を脳血管リハと同じ180日にするよう要望していますが、次回平成22年度診療報酬改定においては、大方の予想では、標準的算定日数は据え置き、一部の予想では、脳血管疾患等リハビリテーションの標準的算定日数が150日または120日、運動器リハビリテーションが120日または90日程度に短縮になるのでないかとも言われています。

 さらに、運動器リハビリテーションの場合、①運動器リハビリテーション (Ⅰ) の施設基準において、「当分の間、適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了した看護師、准看護師、あん摩マッサージ指圧師又は柔道整復師が、専従の常勤職員として勤務している場合であって、運動器リハビリテーションの経験を有する医師の監督下に当該療法を実施する体制が確保されている場合に限り、理学療法士が勤務しているものとして届け出ることができる」 という代替有資格者の経過措置が存在すること、②平成21年度介護報酬改定において、短時間・個別リハ特化型通所リハビリテーションが導入され、同一医療機関において急性期から維持期までリハビリテーションを継続して実施できるようになること、等により、算定日数制限の緩和 (標準的算定日数の延長) は困難であることが予想されます。

 患者さん・障害のある方のためには、算定日数制限の撤廃が理想的であり、そのためには、各疾患別リハビリテーション関連学会が単独で厚労省と交渉するのではなく、運動器リハビリテーション関連学会 (日本整形外科学会・日本臨床整形外科学会・日本運動器リハビリテーション学会) 、呼吸器リハビリテーション関連学会 (日本呼吸器学会・日本呼吸ケア・リハビリテーション学会)、リハビリテーション関連5団体 (日本リハビリテーション医学会、日本リハビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会)、日本心臓リハビリテーション学会の4つの疾患別リハビリテーション関連団体が合同で厚労省と交渉すべきと思います。




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心大血管疾患・呼吸器リハの起算日が開始日である理由 (政府見解)

 診療報酬における 「リハビリテーション起算日」 において、脳血管疾患等リハビリテーション・運動器リハビリテーションと、心大血管疾患リハビリテーション・呼吸器リハビリテーションとでは異なっています。その理由の政府・厚生労働省見解が、「リハビリテーション料改定等に関する質問主意書」 (平成19年11月15日提出 質問第223号 提出者:山井和則) に対する政府答弁書 (内閣衆質168第223号 平成19年11月22日 内閣総理大臣 福田康夫) に示されていますので紹介します。

(質問7) 脳血管疾患等リハビリテーションと運動器リハビリテーションでは、リハビリテーション起算日が発症日と同日になっている。一方で、心大血管疾患リハビリテーションと呼吸器リハビリテーションでは、リハビリテーション起算日が発症日と異なっている。なぜか。【註:原文にミスあるため、一部訂正】。

(回答) お尋ねについては、心大血管疾患に係るリハビリテーションは発症後一定の検査等を行いその結果を踏まえてその開始日を決める必要があること、また、呼吸器疾患に係るリハビリテーションは発症日の特定が一般に困難であることから、これらについては、その開始日をそれぞれ心大血管疾患リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料の起算日としているものであるのに対して、脳血管疾患及び運動器疾患に係るリハビリテーションは発症、手術又は急性増悪直後からの開始が効果的とされていることを踏まえ、原因疾患の発症日等と脳血管疾患等リハビリテーション料又は運動器リハビリテーション料の起算日を同一としているものである。


 整理すると、下記の様になります。

(1) 心大血管疾患リハビリテーション
 発症後一定の検査等を行いその結果を踏まえてその開始日を決める必要があることから、リハビリテーション開始日をリハビリテーション起算日とする。
(2) 呼吸器リハビリテーション
 発症日の特定が一般に困難であることから、リハビリテーション開始日をリハビリテーション起算日とする。
(3) 脳血管疾患等リハビリテーション
 発症、手術又は急性増悪直後からの開始が効果的とされていることを踏まえ、原因疾患の発症日等をリハビリテーション起算日とする。
(4) 運動器リハビリテーション
 発症、手術又は急性増悪直後からの開始が効果的とされていることを踏まえ、原因疾患の発症日等をリハビリテーション起算日とする。

 (1)・(2) に関しては妥当と考えられます。
 しかしながら、(3)・(4) においても、発症日の特定が困難な症例も少なくなく、また、発症後一定の検査等を行いその結果を踏まえてその開始日を決める必要のある症例 (例:脳卒中の臨床病型、脳卒中患者等の合併症・併存疾患のチェック&リスク管理)、さらには症例によっては全身状態や合併症・併存疾患の影響でリハビリテーション開始が遅延する場合も少なくありません。
 したがって、脳血管疾患等リハビリテーションや運動器リハビリテーションにおいても、心大血管疾患リハビリテーション・呼吸器リハビリテーションと同様に、基本的には、リハビリテーション開始日をリハビリテーション起算日とする方がベターと考えられます。
 また、(官僚の机上の理論特有の) 「全国一律の」 算定日数制限も撤廃して、現場の判断 (医師の裁量) に任せるべきと思います。




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