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骨粗鬆症とめまいに関連性 (転倒・骨折等に留意)

 Japan Medicine (2009/3/30) に、骨粗鬆症とめまいの関連性に関する興味深い論文が掲載されていますので紹介します。

●骨粗鬆症とめまいに関連性

 3月23日のニューズワイズのニュースによると、骨粗鬆症とめまいの間に関連性があることが明らかになった。
 韓国ソウル大の研究グループが、学術誌 「神経学」 (Neurology) 3月24日号で報告した。

 良性頭位めまい症の患者209人と、同症状のない被験者202人とを比較したもので、骨粗鬆症の被験者は、骨量が正常の被験者と比べて、同症状を持つ確率が3倍で、骨粗鬆症の前段階である骨減少症の被験者では、同症状を持つ確率が2倍であることが分かった。

 同研究によると、女性では、めまいのある被験者の25%が骨粗鬆症を発症、47%が骨減少症であったのに対し、めまいがない被験者ではそれぞれ9%と33%であった。
 男性被験者では、めまいのある被験者の12%が骨粗鬆症、40%が骨減少症であったのに対し、めまいがない被験者ではそれぞれ6%と27%であった。

(1)論文によると、対象患者は、頭部外傷や耳科外科手術等の明らかな原因を有しない良性頭位めまい症の患者であり、また、交絡因子の影響をできるだけ排除するため、年齢、性、アルコール、喫煙、高リン酸血症を調整した多変量ロジスティック回帰分析を施行し、骨減少症、骨粗鬆症の存在のみが、めまいリスクの増加と関係したと述べています。

(2)また、論文によると、著者らは、今回の結果の原因として、「カルシウム代謝異常」・「特に、女性の閉経後の女性ホルモン (エストロゲン) 喪失に伴うカルシウム代謝異常・骨代謝異常」 を挙げていますが、男性にも同様のめまいと骨粗鬆症の関連性が認められることから、他の因子の関与が示唆されると述べています。

(3)リハビリテーションの臨床の場においては、骨粗鬆症を持つ高齢者を対象とすることが多く、且つ脳卒中その他の神経疾患および整形疾患 (変形性腰椎症・腰部脊柱管狭窄症・脊椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折、等) に伴う転倒リスクを充分配慮する必要があります。

(4)今回の研究結果より、上記(3)に加えて、骨粗鬆症に関連するめまいにも充分配慮し、「転倒・骨折→寝たきり・認知症」 の負のスパイラルを防止することが肝要と考えられます。




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靴の中敷きの微小振動による高齢者の転倒防止

 65 歳以上の高齢者において、転倒の年間発生率は10~20%であり、そのうちの約10%は骨折に至ると報告されています。
 転倒を経験した高齢者は、たとえ軽傷で済んでも心理面に強い影響を受け、閉じこもって不活発な生活に陥り易く、様々な健康障害を招くことが知られています。
 不幸にも、骨折 (特に大腿骨頸部骨折) に至った場合は、その後の手術やリハビリテーションの治療効果ならびに患者要因 (高齢、重度・重複障害、複数の合併症・併存疾患) によっては、廃用症候群も重なり、寝たきりになることも少なくありません。
 したがって、高齢者の転倒防止は、生活・人生の質 (QOL) のためにも、重要な課題です。

【関連記事】
 ◎リハビリテーション医療におけるリスク管理

 Medical Tribune (2008/10/23) に、靴の中敷きの微小振動を用いた転倒防止対策に関する記事が掲載されていますので紹介します。

●靴からの振動で高齢者の転倒防止

 米国ボストン大学生体力学センターの James J. Collins 教授と Attila A. Priplata 博士が行っている研究によると、70歳の高齢者が20歳の若者と同等のバランスを維持するためには、靴の中敷きから雑音 (ノイズ) が出るようにした 「ノイジーシューズ」 が一つの解決策となるかもしれない。

 高齢者は転倒しやすく、骨折に至ることも多い。
 今回の方法は、バランス感覚にかかわるすべての障害の解決策になることは期待できないものの、少なくとも高齢者にとっては役立つ可能性がある。
 また、この方法は、足の感覚が失われてしまう糖尿病患者にも役立つ可能性がある。

 今回考案されたノイジーシューズは、統合閾値を持つ感覚神経系におけるノイズに対する反応を利用するものである。
 高齢者では活動を促す信号が加齢とともに衰えるが、この信号の弱まりを救済するのがノイズである。

 Collins 教授らが開発したのは、ゲル状の中敷きに電気モーターを挿入し、そこから微小振動を足に伝えることで、感覚神経にノイズを加える方法である。

 同教授らは高齢者にノイジーシューズを履いてもらい、静止して立っている間にどの程度揺れてしまうかを測定し、バランス維持能力を調査した。
 その結果、この中敷きの効果によって、高齢者の揺れは普通の靴を履いた20代の若者と同等にまで改善されたという。

 電気中敷きを敷いたノイジーシューズは、Afferent 社 (米国ロードアイランド州) が製造し、2年以内に上市される予定である。

【関連論文】
 ●Priplata AA, Patritti BL, Niemi JB, Hughes R, Gravelle DC, Lipsitz LA, Veves A,
  Stein J, Bonato P, Collins JJ. Noise-enhanced balance control in patients with
  diabetes and patients with stroke. Ann. Neurol. 59 (1): 4-12, 2006.


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)ノイジーシューズは、靴の中敷きタイプの転倒予防装置であり、装着しやすく、実用性・利便性は高いと思われます。

(2)上記関連論文によると、電気モーター (電池式) による微小振動刺激 (ランダムな刺激) については、「本人が気がつかないほど、非常に微弱なもの」 で、不快感は生じにくいとのことです。
 但し、微小振動刺激が、脳卒中・糖尿病患者あるいは高齢者において、下肢のしびれ (異常感覚) を出現・増悪させる可能性も否定できないと思われます。(刺激パターンの工夫が必要と思われます)。
 また、下肢の末梢神経障害の程度によっては、転倒予防効果はあまり望めないと推察されます。

(3)高齢者の転倒・骨折は、寝たきり、あるいは閉じこもり・廃用症候群を生じやすく、医療費も相当かかります。
 転倒には、多くの様々な内的要因・外的要因が関与しますので、本装置だけでは完全には防止できませんが、少しでも、数%でも、高齢者の転倒事故が減少すれば、高齢者のQOLに大きく貢献すると思います。
 できるだけ早期の製品化が望まれます。




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