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リハビリテーション診療報酬は 「包括払い制度」 へ???

 「民主党政策集 INDEX 2009 医療政策<詳細版>」 (2009/7/31) における 「国民皆保険制度の維持発展」 の章の 「包括払い制度の推進」 の項を下記に示します。

●包括払い制度の推進

 国内どこに住んでいても、医学的根拠に基づく医療 (EBM) が受けられるよう、急性期病院において、より一層の包括払い制度 (特定の疾患に定額の報酬が支払われる制度) の導入を推進します。
 同時にクリティカルパス (註) を可能な限り導入し、療養病床においては食費・居住費を含めた包括払い制度を導入します。
 超急性期・回復期・維持期リハビリテーションについては、その重要性を考慮し、当面は出来高払い制度としますが、スタッフの充実度および成果を検証し、将来的には包括払い制度に組込みます。
 なお、後期高齢者医療制度でも外来医療費を定額にできる 「包括払い」 のような制度が導入されていますが、仕組みはまったく異なります。
 75歳以上の高齢者のかかりつけ担当医が、慢性疾患を抱えがちな高齢者について、定期的に診療計画書を作成し、生活全般にかかわる指導・診察を行えば後期高齢者診療料が算定できるというものです。
 これは医療現場の理解を得られておらず、後期高齢者に限って医師へのフリーアクセスが制限され、必要な検査ができなくなる恐れがあることなどから民主党は反対しています。

 (註) クリティカルパス
   ◎医療の内容を標準化し、質の高い医療を提供することを目的として、
    疾患ごとに入院から退院までの経過や検査の予定などをスケジュール
    表のようにまとめたもの。

(1)上記の文中に、「超急性期・回復期・維持期リハビリテーションについては、その重要性を考慮し、当面は出来高払い制度としますが、スタッフの充実度および成果を検証し、将来的には包括払い制度に組込みます」 という文言がありますが、少なくとも、「急性期」 は包括払い制度からは除外されていると考えられます。

(2)全く同じ文言が、昨年の 「民主党 INDEX 2008」 の 「厚生」 の章にも記載されています。

(3)リハビリテーション診療報酬における 「包括化 (包括払い制度の導入)」 に関しては、当ブログ記事 (『リハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性』および 『急性期・亜急性期のリハビリ料の出来高払いの既定事実化 (二木教授)』) において、既に詳細に考察していますので、ご参照下さい。

(4)現時点での当ブログ管理人の予想は、下記の通りです。

 ①次期2010年度 (平成22年度) 診療報酬改定における 「超急性期 (~急性期) の
  リハビリテーション料」 の 「包括化ならびにセラピスト以外の代替有資格者
  (看護職員) の算定可能化」
の導入の可能性は 「完全には否定できない」 と考
  えられます (下記の参考資料を参照)。(特に、DPCにて在院日数の短縮が
  より強く求められており、且つ配置セラピストが不足している 「DPC対象
  病院である高度急性期総合病院および急性期総合病院」 に対する対策)。

(参考資料)

 「医療経営Phase3 (フェイズ・スリー)」 (平成19年12月号) の中の記事 (霞が関ズームアップ「平成20年度診療報酬改定の評価項目が浮上」) において、下記の 「急性期リハビリテーション料の新設」 に関する予測記事が掲載されましたが、結局、平成20年度診療報酬改定での導入は見送らました。

【急性期リハビリテーション料の新設】
 リハビリテーションは発症初期から開始することが重要であり、平成18年度診療報酬改定でも急性期・回復期のリハビリを評価している。
 急性期・回復期のリハビリは、発症直後から関節可動域訓練などを開始することが重要視されているが、急性期は臥床したままで、リハビリの専門病院に転院した後、または回復期リハビリ病棟に転棟した後に、リハビリを開始する事例も多い。
 この場合、リハビリを開始する時点で既に回復が困難なレベルにまで拘縮が進んでいるため、回復期リハビリが充分な効果を発揮できない事例があることも、厚労省は把握している。
 これらをもとに同省では、発症直後から何らかのリハビリを開始することを評価した点数を設定することを検討している。
 具体的には、「1日につき150点の急性期リハビリテーション加算を新設する」 意向だ。
 算定条件としては、
  (1) リハビリを必要と認める患者に対して発症直後から2週間までの間に
   医師の指示の下、看護師 (准看護師を含む)、または理学療法士が関節
   可動域訓練などを実施した場合に、入院基本料に加算できる。
  (2) 対象者を疾患別リハビリの対象患者に限定する。
  (3) 疾患別リハビリ料とは併算不可とする。
などが考えられている。
 財政負担は、年間16億円程度と試算されている。

 ②但し、基本的には、日本福祉大学の二木教授が仰るとおり、「急性期・亜急
  性期医療 (回復期リハビリテーション病棟も含む) のリハビリテーション料
  は、今後も出来高払いであり続ける」・「急性期・亜急性期のリハビリテー
  ション料は包括払いの対象に含めないとの方針は、既定事実化あるいは既
  得権化した」
と思われます。

 ③また、厚生労働省DPC研究班・主任研究者の松田教授 (産業医科大学) も、
  「DPCについては傷病名が優先される分類であるため、疾病横断的なリハ
  ビリテーションを包括化していくことは難しく、出来高範囲に置く方が妥
  当」
との見方を示しています。

(5)しかしながら、DPC対象病院に限らず、急性期・亜急性期のリハビリテーション料において、「ドクターフィー (医師技術料) あるいはドクターフィー的要素 (コメディカル技術料)」 と 「ホスピタルフィー」 の考え方が、導入される可能性も否めません。

 急性期・亜急性期のリハビリテーション料の出来高制度を守るためにも、以前の当ブログ記事 (『リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)』、『疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準』、『リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務』) で論じたように、リハビリテーション医療における医師および疾患別リハビリテーション専任医師の関与度 (特に、リハビリテーション適応判定および適切な指示、定期的なリハビリテーション治療効果判定、原疾患・合併症・併存疾患の医学的コントロールならびにリハビリテーション・リスク管理等の責務) をより高め、且つ、セラピストのスキルアップおよび多専門職種による徹底したチーム・アプローチによる、リハビリテーション治療効果の更なる向上を図る必要があると考えられます。

 そして、リハビリテーション医療の効率化と質の管理リハビリテーション治療効果および成果 [アウトカム評価は、患者・家族要因、環境要因、社会的要因等に左右されるため、「プロセス評価」 および人員基準等の一部のストラクチャー評価がベター] のエビデンスを示していく必要があると考えられます。




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2010年度リハビリ診療報酬改定に対する各医療団体の要望

 前回の当ブログ記事 (回復期リハ病棟の評価に 「プロセス指標」・「構造指標」 の導入を提唱) にて、2010年度診療報酬改定に対する全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会の要望を紹介しました。

 今回、2009年7月31日現在の各医療団体の2010年度リハビリテーション診療報酬改定に対する要望を下記に示します。

●日本病院団体協議会 (日病協) 「平成22年度診療報酬改定に関
 する要望書・第2報」
 [出典:CBニュース (2009/07/31)]

 ①急性期病院におけるリハビリテーションの評価を、「施設基準」 ではなく、
  「人員配置基準」 とすること。

 ②現在、「治療開始日」 や 「発症、手術または急性増悪」 からとなっている
  リハビリテーション起算日を、「リハビリテーションの開始日」 に変更す
  ること。

●リハビリ医療関連5団体連絡協議会
  [出典:Japan Medicine Mail (2009/7/29)]

 日本リハビリテーション医学会などリハビリ医療関連5団体連絡協議会は、次期診療報酬改定に向け要望事項の協議を進めている。
 最終要望書は検討中だが、急性期リハビリの実施を推奨するため、疾患別リハビリ点数体系の中に、新たに 「総合リハビリテーション料」 の設定を要望することについて合意した。

●全国自治体病院協議会 「重点要望項目」 (2009/7/15)

 ①リハビリテーション料・疾患別の廃止 (理学療法料等の復活)
  ◎現行の疾患別リハビリテーションは、重複する疾患や廃用症候群など整理
   困難な問題を抱えており、また、治療内容として理学療法、作業療法、言
   語聴覚療法の区別が無視されており、必要な治療別にすることが患者にと
   っても理解が得られるので理学療法料等へ改正すること。

 ②早期リハビリテーション加算の起算日
  ◎入院時 (発症時・受傷時) において持続点滴・酸素吸入などのライフライン
   が接続されており、救命・治療に専念され、リハビリが実施できないこと
   がある。発症・受傷日からの算定開始では 「早期加算」 の算定がほとんど
   出来ないため算定要件を見直し、リハビリが可能になった時点から、同じ
   期間、加算を取れる
ように改正すること。

●日本慢性期医療協会 「平成22年度診療報酬改定に係る要望
 書」 (2009/7/16)


 ①回復期リハビリテーション病棟
  (1) 回復期リハ病棟の診療の質は重症割合15%、在宅復帰60%で評価されて
   いるため軽度の患者を選択しがちである。即ち、合併症のある脳卒中患者
   の入院を制限する傾向にある。そのため、重症割合30%以上、在宅復帰40
   %というような2段階の評価を考えて欲しい。また在宅復帰先の施設に老
   人保健施設を含めて欲しい。
  (2) 回復期リハ病棟では透析手技料が入院料に含まれ透析費用が請求できな
   いため、透析患者を敬遠しがちである。療養病床において回復期リハと同
   様のリハ環境を整備することは診療報酬上からみても難しいため、結果と
   して透析患者に十分なリハを提供できていないのが現状である。回復期リ
   ハ病棟で透析手技を算定しても全体としての医療費が増大するわけではな
   く、むしろ透析患者の社会復帰率を向上させることにつながると思われる
   ため、透析手技の算定を認めてほしい。

 ②維持期リハビリテーション
  (*) リハビリテーションの回数を1日1単位、月20単位までとして欲しい。

(1)これまでの医療制度改革・診療報酬改定・介護報酬改定等に伴う下記の種々の問題点により、現在、「患者選別・患者切り捨て」・「リハビリ難民・介護難民」 が既に現実に生じているとされています。

 ①疾患別リハビリテーション体系の導入ならびにリハビリテーション算定日
  数上限 (標準的算定日数) の導入
 ②回復期リハビリテーション病棟への成果主義の導入
 ③障害者病棟からの脳卒中・認知症患者の排斥
 ④医療療養病床の医療区分問題
 ⑤在宅医療システム・在宅ケアシステムの不備
 ⑥要介護認定の軽度化、区分支給限度額の据え置き
 ⑦介護保険の構造的問題 [区分支給限度額・応益負担 (原則1割自己負担)] に
  よる介護サービス利用制限
 ⑧介護保険リハビリテーション制限問題 (リハビリテーションマネジメント加
  算月8回問題)
 ⑨介護保険施設 (特に特養) の整備不足、等々。

(2)2010年度 (平成22年度) 診療報酬改定においては、少なくとも上記(1)の①~⑤の改正・正常化が必要であり、特に、リハビリテーション医療においては、「疾患別リハビリテーション体系ならびにリハビリテーション算定日数上限 (標準的算定日数)」 および 「回復期リハビリテーション病棟の成果主義」 の適切な改定が望まれます。

(3)そのためには、下記の4つの疾患別リハビリテーション関連団体の緊密な連携が肝要と思われます。

 ①運動器リハビリテーション関連3団体 (日本整形外科学会・日本臨床整形外
  科学会・日本運動器リハビリテーション学会)
 ②呼吸器リハビリテーション関連学会 (日本呼吸器学会・日本呼吸ケア・リハ
  ビリテーション学会)
 ③リハビリテーション関連5団体 (日本リハビリテーション医学会、日本リハ
  ビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協
  会、日本言語聴覚士協会)
 ④日本心臓リハビリテーション学会

(4)次期2010年度診療報酬改定に向けて、リハビリテーション医療の正常化ならびに患者さん・障害のある方の安心・安全・納得・満足のために、また、「リハビリ難民・介護難民」 の解消および防止のためにも、(各疾患別リハビリテーション関連学会が、それぞれ独自の思惑・戦略に基づいて、単独で厚生労働省と交渉するのではなく)、上記の4つの疾患別リハビリテーション関連団体が、「合同で (スクラムを組んで)」、厚生労働省と交渉すべきと考えられます。




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回復期リハ病棟の評価に 「プロセス指標」・「構造指標」 の導入を提唱

 Japan Medicine (2009/7/29) に、回復期リハビリテーション病棟の成果主義に関する記事が掲載されていますので、下記に示します。

●全国回復期リハ協:回復期リハの評価に 「プロセス指標」 と
 「構造指標」、質評価の強化策を提唱


 全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会は、回復期リハビリテーション病棟入院料について、2008年度試行導入された 「質の評価」 を、アウトカム指標だけでなく、プロセス指標と構造指標を併用し、さらに充実するよう見直しを求める基本方針を固めた。
 石川誠会長 (初台リハビリテーション病院理事長) は27日、本紙の取材に対して、質の高いリハ提供施設を評価する前回改定からの考え方には基本的に賛成としながらも、「重症患者の受け入れが進んでいるが、それに見合う看護師やリハスタッフが配置されていない。この実態を放置すれば、回復期リハ施設で重症患者に適切なリハ量が提供できす、患者のADLが低下する事態につながる」 と問題提起した。

●約7割の病棟で365日・24時間のリハが提供されず

 現行の回復期リハビリテーション病棟入院料は、昨年度の改定で重症患者受け入れ率、在宅復帰率を基準に2段階の点数が設定された。
 特に、重症患者についてリハの成果を評価する重症患者回復病棟加算を新設し、診療報酬体系に質の評価の概念を試行的に導入している。

 しかし、同協議会が昨年9月に会員施設を対象にした調査によると、約7割の病棟で365日、24時間のリハ提供が実施されておらず、リハ提供単位数が平均4.5単位にとどまり、リハ実施単位数が4単位以下の病棟が4割以上存在することが判明した。
 さらに、日常生活機能評価 (いわゆる回復期リハ看護必要度) について必要人員配置数と実際の配置人数を見ると、重症患者の受け入れ数から必要と算定される人員数の半分程度の配置にとどまる施設が多いことも明らかになった。

 その一方で、同時に実施した調査では、リハ提供時間の増加に伴いADL改善が図られるとするエビデンスも明確になった。
 中でも1日7単位以上のリハを提供した場合にADL改善度が有意に上昇するほか、重度障害では1日7単位以上のリハ提供を行うと在宅復帰率が2倍以上に向上することが確認できたとしている。

●回復期リハ入院料は3段階に

 こうした調査結果を踏まえ石川会長は、回復期リハビリテーション病棟入院料を3段階に設定。
 特に、現行の重症患者回復病棟加算を廃止し、患者1人1日6単位以上を365日実施する体制を評価する 「リハ実施体制強化加算 (仮称)」 の新設を求める方向だ。

 最も点数の高い入院料1については、前回の改定で緩和した専任医師は専従医師1人以上に復活させ、専従の理学療法士と作業療法士を現行要件よりも1人ずつ増やすなど人員配置の要件を厳しくしている。
 また、病棟専従の社会福祉士を1名以上配置し、在宅復帰率60%は現状維持すべきとし、入院時重症者が40%を超す病棟は、在宅復帰率を50%以上に緩和する措置も必要としている。

 石川会長は、回復期リハ病棟の評価は中医協の検証部会が特別調査を、今月中にも開始する予定であることに言及。
 「具体的な議論は、その結果を踏まえてということになるだろうが、協議会として回復期リハビリテーション病棟入院料をさらに質の評価を充実させる方向で見直す方向を提示しておくことが必要だろう」 との考えを示した。

 さらに、同会長は、回復期リハビリテーション病棟入院料に包括されているインターフェロン、抗がん剤などの高額薬剤、COPD (慢性閉塞性肺疾患) やSAS (睡眠時無呼吸症候群) に対する人工呼吸、透析については出来高算定として包括範囲から除外するよう要望していく考えだ。
 「不採算性が高いとして該当する患者の受け入れを拒否する事例があると聞いている。そうしたことがないように対応策を講ずることが必要だ」 と指摘した。

(1)2008年度診療報酬改定にて導入された 「回復期リハビリテーション病棟の成果主義 (アウトカム評価)」 により、現実に、「患者選別・患者切り捨て」 が生じているとされています。

 医療の質の評価において、欧米でさえも、評価指標の中心は、「アウトカム指標」 ではなく、「ストラクチャー (構造) 指標」・「プロセス (過程) 指標」 です。

(2)今回、上記の通り、全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会が、2010年度診療報酬改定における 「回復期リハビリテーション病棟の質の評価の指標」 に、プロセス指標と構造指標を導入することを、厚生労働省に提唱することは良いことだ思います。(但し、遅きに失した感は否めませんが・・・)。

(3)現在、全国で5万床を超えた回復期リハビリテーション病棟ですが、「地域格差」・「リハビリテーションの質・量の病院間格差」 が未だに解消されていません。

 上記のような全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会の要望が、2010年度診療報酬改定において採用され、全国的に 「回復期リハビリテーション病棟の質・量の向上・充実」 が実現し、「患者選別・患者切り捨て」・「リハビリ難民・リハビリ棄民」・「介護難民・介護棄民」 が少しでも解消されることが望まれます。




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ロコモティブ・シンドローム (日本人の40歳以上に推定約4,700万人)

(1)日本ロコモティブ・シンドローム研究会の定義によると、ロコモティブ・シンドローム (ロコモティブ症候群) とは、「運動器の障害のために要介護となる危険の高い状態」 をさします。(運動器とは、身体機能を担う筋・骨格・神経系の総称であり、筋肉、腱、靭帯、骨、関節、神経、脈管系など、身体運動の関わる組織・器官の機能的連合です)。

 ロコモティブ・シンドロームは、高齢社会・超高齢社会の運動器障害を考える上での重要なキーワードです。

 また、ロコモティブ・シンドロームは、診療報酬上の 「運動器リハビリテーション」・「運動器不安定症」、介護保険上の 「維持期 (運動器) リハビリテーション」、介護予防・地域包括支援上の運動器機能向上サービス等のベースとなるものです。

(2)m3.com (2009/7/1) に、ロコモティブ・シンドロームに関する興味深い記事 (提供:共同通信社) が掲載されていますので、下記に示します。

運動器症候群4,700万人 骨、関節から 「要介護」 に 東大グループが推定

 骨や関節などの障害で、要介護になったり危険性が高まったりする 「ロコモティブ (運動器) 症候群」 の原因となる病気がある日本人が、40歳以上で約4,700万人に達するとの推定結果を、吉村典子・東京大病院特任准教授らのグループが30日、発表した。

 原因として頻度が多いとされる変形性膝関節症と変形性腰椎症、骨粗鬆症の有病者数を推定。
 三つのいずれかを持つ人は男性の84%、女性の79%で、すべてを合併していると考えられる人も540万人に及んだ。

 研究グループは 「予防対策の確立は今後の課題だが、適切なトレーニングなどを心掛けてほしい」 としている。

 ロコモティブ症候群は日本整形外科学会が2007年に提唱。
 寝たきり予防などの観点から、骨や関節、筋肉などの運動器を全体としてとらえ、病気の予防と治療を総合して行おうとしている。

 研究グループは、日本の都市部、山村部、漁村を代表する住民の集団として、それぞれ東京都板橋区、和歌山県日高川町と太地町の計約3千人に協力してもらい、2005年からエックス線検査や骨密度測定などを実施。

 結果を国際的な進行度分類や学会の診断基準にあてはめ、自覚症状のない人も含めて有病率を算出。
 これを基に日本人全体の有病者数を推定した。

 三つの病気いずれかの有病率は年齢とともに上昇し、70歳以上では男女とも95%を超えた。
 病気別では男女とも変形性腰椎症の有病率が最も高いが、女性は男性に比べ変形性膝関節症や骨粗鬆症が高率だった。

 変形性膝関節症の人は、そうでない人に比べ軽い記憶障害など 「軽度認知障害」 の危険性が約1.8倍になるとの結果も示された。

(3)一方、Japan Medicine (2009/7/1) に、上記(1)・(2)に関連した運動器リハビリテーションに関する興味深い記事が掲載されていますので、下記に示します。

●運動器医療の改善を 自民・議連が申し入れ

 自民党の 「運動器の健康を増進させ健康寿命を延伸させる議員連盟」 (会長=尾辻秀久参院議員会長) は6月24日、運動器医療の改善に関する要請を取りまとめた。
 2010年度予算の概算要求や診療報酬改定に向けて、運動器医療の改善につながる施策を求めた。
 葉梨康弘事務局長 (衆院議員) が 25日、渡辺孝男厚生労働副大臣に提出した。

 要請では、運動器リハビリテーション制度の改善を訴えた。
 運動器リハビリの点数、制限日数の設定については、脳血管疾患等リハビリに比べてバランスを欠いていると指摘。
 極めて低いとされる消炎鎮痛処置の問題を含めて改善を求めた。
 さらに、地域で適切な運動器健診が実施できるよう求めたほか、専門医による指導管理の充実が不可欠とも申し入れた。

(4)以前の当ブログ記事 [運動器リハと脳血管リハとの格差是正を要望 (日本臨床整形外科学会)] でも述べましたが、運動器リハビリテーション料と脳血管疾患等リハビリテーション料との点数格差の原因として、次のようなことが挙げられます。

 ①医療機関によっては、運動器リハビリテーションにおいて少なからず指摘
  されている (脳血管疾患等リハビリテーションにおいても、医療機関によっ
  ては、指摘を受けていますが) 「セラピストおまかせリハビリテーション」
  即ち、医師およびリハビリテーション専任医師の関与が少ないリハビリテ
  ーション
という現実。(時に、「無診察リハビリテーション」 の実態)。

 ②施設基準におけるリハビリテーション専任医師の数の差異 【運動器リハビ
  リテーション料 (Ⅰ)
は、運動器リハビリテーションの経験を有する専任の
  常勤医師が1名以上勤務、一方、脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)
  は、専任の常勤医師が2名以上勤務していること [ただし、そのうち1名
  は、脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する3年以上の臨床経験
  又は脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する研修会、講習会の受
  講歴 (又は講師歴) を有すること]】。

 ③施設基準におけるセラピストの数の差異 【運動器リハビリテーション料
  (Ⅰ)
は、専従の常勤理学療法士 (PT) が2名以上勤務、又は、専従の常勤
  作業療法士 (OT) が2名以上勤務、又は、専従の常勤PT及び専従のOT
  が合せて2名以上勤務していること、一方、脳血管疾患等リハビリテーシ
  ョン料 (Ⅰ)
は、専従の常勤PT5名以上勤務&専従の常勤OTが3名以上
  勤務 [言語聴覚療法を行う場合は、専従の常勤言語聴覚士 (ST) が1名以
  上勤務]】。

 ④運動器リハビリテーション料 (Ⅰ) の施設基準における有資格者による代替
  者の問題
(当分の間、適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了し
  た看護師、准看護師、あん摩マッサージ指圧師又は柔道整復師が、専従の
  常勤職員として勤務している場合であって、運動器リハビリテーションの
  経験を有する医師の監督下に当該療法を実施する体制が確保されている場
  合に限り、理学療法士が勤務しているものとして届け出ることができる)。

 ⑤一部の医療機関にて、「処置 (介達牽引および消炎鎮痛等処置) と区別がつ
  かないような運動器リハビリテーション」
が行われている。また、定期的
  なリハビリテーション治療効果判定がなされていない (長期漫然としたリ
  ハビリテーション
)。

 ⑥一部の医療機関において、運動器リハビリテーションの算定日数上限が来
  るたびに、リセットを繰り返している。(例:変形性頸椎症→右肩関節周囲
  炎→左肩関節周囲炎→変形性腰椎症→右変形性膝関節症→左変形性膝関節
  症→腰部脊柱管狭窄症→左変形性股関節症→・・・・・・)。

  ●上記リセット問題に対して発出された厚労省疑義解釈。

(問)「膝の変形性関節症」 での運動器リハビリテーションが終了した日以降、「脊椎疾患」 や 「隣接関節疾患」 などで、新たな運動器リハビリテーション料を算定できるのか。

(答)脊椎疾患等の傷病が新たに発症したものであれば算定できる。なお、脊椎疾患等の慢性的な疾患については、膝変形性関節症に対するリハビリテーションを実施中に既に発症していた可能性が高いことから、発症日を十分に確認する必要がある。

 ⑦疾患別リハビリテーション料の施設基準の要件 [(a) リハビリテーションに
  関する記録 (医師の指示、実施時間、訓練内容、担当者等) は患者ごとに一
  元的に保管され、常に医療従事者により閲覧が可能であること。(b) 定期的
  に担当の多職種が参加するカンファレンスが開催されていること] が遵守さ
  れていない一部の医療機関。

 ⑧ 「運動器不安定症」 は、慢性期的、廃用症候群的、介護保険的、あるいは介
  護予防的な 「疾患名 (?)」 であり、医療保険・診療報酬には馴染まず、使用
  すべきではないと考えられている。(レセプト減額査定も少なくない)。

 上記の種々の課題が解決されない限り、運動器リハビリテーション料と脳血管疾患等リハビリテーション料との点数格差は解消されないと思われます。

(5)しかしながら、超高齢社会を迎え、寝たきり予防・介護予防のためにも、脳卒中対策に加えて、ロコモティブ・シンドロームに対する対策も重要と考えられます。

 メタボリックシンドロームと同様に、ロコモティブ・シンドロームの概念を、先ずは、一般の方々 (特に中高年の方々) に啓発・啓蒙し、そして、「運動器の障害のために要介護となる危険の高い状態」 を早期発見・早期介入して、極力、運動器能力・ADL能力の低下を防止することにより、特に高齢者の方々の 「健康寿命の延伸」・「QOL (生活の質・人生の質) の維持向上」 を図ることが肝要と考えられます。




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運動器リハと脳血管リハとの格差是正を要望 (日本臨床整形外科学会)

 Japan Medicine (2009/6/24) に、運動器リハビリテーションに関する興味深い記事が掲載されていますので、下記に示します。

●日本臨床整形外科学会/次期改定で運動器リハの点数体系
 を要望 脳血管疾患等リハとの格差是正が課題


 日本臨床整形外科学会は、次期診療報酬改定に向け現行の疾患別リハビリテーション体系を維持した上で、運動器リハビリテーションについては施設基準を見直し、脳血管系疾患等リハビリテーションとの点数格差の是正を図り、医療現場の歪みを解消することを求めていく方針を固めた。

 現行の脳血管疾患等リハは、PT、OTの人員配置によって235点、190点、100点の3段階設定で、算定日数上限は180日になっている。
 これに対して、運動器リハ料は、170点と80点の2段階で、算定上限は150日。
 同学会では、運動器リハ点数と脳血管系リハの点数格差があることで、運動器リハ施設におけるPT、OTの雇用が難しい状況になっていることが課題として挙げられた。

 実際に、2007年度社会保険診療行為別調査からリハビリテーションのレセプト件数は、運動器リハが脳血管疾患リハの2.5倍となっているのに対して、リハビリテーション総収入では脳血管疾患リハの方が1.9倍高くなっている。
 運動器リハは、リハ回数が多いが、それが実収入に反映されていない薄利多売の実態がある。
 このため現行の点数体系では、運動器リハ施設の雇用環境の改善が図れないとしている。

 改善提案について同学会では、運動器リハについても脳血管系疾患リハと同様にPT、OT合計4人以上、運動器リハの経験を有する医師の配置などを施設基準とした240点を新設し、点数を3段階に組み直すことを要望する。
 このほか、65歳以上の運動器不安定症を有する患者に対する運動機能指導管理料の新設なども盛り込む予定だ。

 藤野圭司理事長は、「PT、OTは毎年1万3,000人ずつ増える計画だが、現行の点数体系では、運動器リハ施設では、経営的にも受け皿になれない厳しい状況にあることを理解してもらいたい」 と指摘した。

 特に、同理事長は、「2,200億円の社会保障費の抑制が骨太の方針09に盛り込むようなことがあってはならない。日本医師会は全力をあげて阻止するよう働き掛けるべきだ」 と述べ、実質的に形骸化された形になったとしても、骨太09に記載することは阻止すべきだと語った。

(1)2006年度改定において、運動器リハビリテーション関連3団体および呼吸器リハビリテーション関連団体が各々の思惑・戦略により (あるいは、良かれと思って?) 行ったロビー活動が功を奏して (且つ厚生労働省の思惑にも合致して) 導入された 「疾患別リハビリテーション体系」 は、結果的に下記のような多くの問題を引き起こしました。

 ①リハビリテーションの理念である 「障害のある方に対する全人的アプローチ」
  の象徴であった 「総合リハビリテーション施設」 の形骸化、ならびに、セラ
  ピストの専門性をないがしろにした 「理学療法料」・「作業療法料」・「言語聴
  覚療法料」 の削除。

 ②疾患別リハビリテーション体系の導入に伴う大きな代償
  (a) 厚生労働省にねじ込まれたリハビリテーション算定日数制限とそれに
   伴って生じた多くの 「リハビリ難民・介護難民」
  (b) 算定日数制限除外患者における算定日数上限超え時の疾患別リハビリ
   テーション継続に必要な毎月の膨大な書類作成 (事務的作業の負担増
   大→その割にはレセプト審査で理不尽な減額査定)。
  (c) 結果的に生じた疾患別リハビリテーション診療報酬点数の減額。

 ③各疾患別リハビリテーションの 「厚生労働省が明示している対象疾患」 以
  外の疾患において、疾患別リハビリテーションの選択が困難な症例 (ある
  いはレセプト審査で却下または減額査定される症例:都道府県あるいは
  国保・社保で格差あり) が少なからず存在する。

 ④複数の疾患および重複障害を有する患者 (特に高齢者) は、疾患別リハビリ
  テーションに馴染まず、充分なリハビリテーションが享受できない。

(2)運動器リハビリテーション料と脳血管疾患等リハビリテーション料との点数格差の原因として、次のようなことが挙げられます。

 ①医療機関によっては、運動器リハビリテーションにおいて少なからず指摘
  されている (脳血管疾患等リハビリテーションにおいても、医療機関によっ
  ては、指摘を受けていますが) 「セラピストおまかせリハビリテーション」
  即ち、医師およびリハビリテーション専任医師の関与が少ないリハビリテ
  ーション
という現実。(時に、「無診察リハビリテーション」 の実態)。

 ②施設基準におけるリハビリテーション専任医師の数の差異 【運動器リハビ
  リテーション料 (Ⅰ)
は、運動器リハビリテーションの経験を有する専任の
  常勤医師が1名以上勤務、一方、脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)
  は、専任の常勤医師が2名以上勤務していること [ただし、そのうち1名
  は、脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する3年以上の臨床経験
  又は脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する研修会、講習会の受
  講歴 (又は講師歴) を有すること]】。

 ③施設基準におけるセラピストの数の差異 【運動器リハビリテーション料
  (Ⅰ)
は、専従の常勤理学療法士 (PT) が2名以上勤務、又は、専従の常勤
  作業療法士 (OT) が2名以上勤務、又は、専従の常勤PT及び専従のOT
  が合せて2名以上勤務していること、一方、脳血管疾患等リハビリテーシ
  ョン料 (Ⅰ)
は、専従の常勤PT5名以上勤務&専従の常勤OTが3名以上
  勤務 [言語聴覚療法を行う場合は、専従の常勤言語聴覚士 (ST) が1名以
  上勤務]】。

 ④運動器リハビリテーション料 (Ⅰ) の施設基準における有資格者による代替
  者の問題
(当分の間、適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了し
  た看護師、准看護師、あん摩マッサージ指圧師又は柔道整復師が、専従の
  常勤職員として勤務している場合であって、運動器リハビリテーションの
  経験を有する医師の監督下に当該療法を実施する体制が確保されている場
  合に限り、理学療法士が勤務しているものとして届け出ることができる)。

 ⑤一部の医療機関にて、「処置 (介達牽引および消炎鎮痛等処置) と区別がつ
  かないような運動器リハビリテーション」
が行われている。また、定期的
  なリハビリテーション治療効果判定がなされていない (長期漫然としたリ
  ハビリテーション)


 ⑥一部の医療機関において、運動器リハビリテーションの算定日数上限が来
  るたびに、リセットを繰り返している。(例:変形性頸椎症→右肩関節周囲
  炎→左肩関節周囲炎→変形性腰椎症→右変形性膝関節症→左変形性膝関節
  症→腰部脊柱管狭窄症→左変形性股関節症→・・・・・・)。

  ●上記リセット問題に対して発出された厚労省疑義解釈。

(問)「膝の変形性関節症」 での運動器リハビリテーションが終了した日以降、「脊椎疾患」 や 「隣接関節疾患」 などで、新たな運動器リハビリテーション料を算定できるのか。

(答)脊椎疾患等の傷病が新たに発症したものであれば算定できる。なお、脊椎疾患等の慢性的な疾患については、膝変形性関節症に対するリハビリテーションを実施中に既に発症していた可能性が高いことから、発症日を十分に確認する必要がある。

 ⑦疾患別リハビリテーション料の施設基準の要件 [(a) リハビリテーションに
  関する記録 (医師の指示、実施時間、訓練内容、担当者等) は患者ごとに一
  元的に保管され、常に医療従事者により閲覧が可能であること。(b) 定期的
  に担当の多職種が参加するカンファレンスが開催されていること] が遵守さ
  れていない一部の医療機関。

 ⑧ 「運動器不安定症」 は、慢性期的、廃用症候群的、介護保険的、あるいは介
  護予防的な 「疾患名 (?)」 であり、医療保険・診療報酬には馴染まず、使用
  すべきではないと考えられている。(レセプト減額査定も少なくない)。

(3)上記(2)の種々の課題が解決されない限り、運動器リハビリテーション料と脳血管疾患等リハビリテーション料との点数格差は解消されないと思われます。

(4)以前の当ブログ記事 [運動器リハの日数制限を180日に (日本臨床整形外科学会が要望)] で述べたように、これまでのリハビリテーション診療報酬改定において、したたかな厚生労働省は、

 ①運動器リハビリテーション関連3団体 (日本整形外科学会・日本臨床整形外
  科学会・日本運動器リハビリテーション学会)

 ②呼吸器リハビリテーション関連学会 (日本呼吸器学会・日本呼吸ケア・リハ
  ビリテーション学会)

 ③リハビリテーション関連5団体 (日本リハビリテーション医学会、日本リハ
  ビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協
  会、日本言語聴覚士協会)

 ④日本心臓リハビリテーション学会

の思惑・戦略の違いにつけ込み (分断作戦)、結果的に、「リハビリテーション算定日数制限」 を付与しやすい疾患別リハビリテーション料を導入し、リハビリテーション医療を混乱に陥れました。

 したがって、次期平成22年度診療報酬改定に向けて、リハビリテーション医療の正常化ならびに患者さん・障害のある方の安心・安全・納得・満足のために、また、「リハビリ難民・介護難民」 の解消および防止のためにも、(各疾患別リハビリテーション関連学会が単独で厚生労働省と交渉するのではなく)、上記の4つの疾患別リハビリテーション関連団体が 「合同で (スクラムを組んで)」 厚生労働省と交渉すべきと考えられます。




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