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「わが国の医療政策の方向」 (厚生労働事務次官・講演)

 Japan Medicine (2009/5/27) に、日本病院会総会において江利川厚生労働事務次官が行った講演 「わが国の医療政策の方向」 に関する記事が掲載されていますので、下記に示します。

【わが国の医療政策の方向】

●少子化問題克服が安定的制度設計につながる

 厚生労働省の江利川毅事務次官は、「わが国の医療政策の方向」 をテーマに、最近の医療施策の動向について言及し、少子化問題が克服できないと安定的な制度設計ができないと指摘した。
 特に、医療費の現状は、高齢者の医療費が若人の約5倍だが、諸外国では同じ数値が約3倍にとどまるとし、高齢者の医療費の削減は避けられない施策であることを示唆した。

 講演後の質疑応答では、フロアから医師の負担軽減策として入院時医学管理加算や、入院基本料7対1など、打たれる施策がちぐはぐとの意見が出された。
 これに対して、江利川事務次官は、「政策の連携が重要」 とし、それを意識した人事異動を夏に行いたいとの考えを示した。

 さらに、医師不足等や医療技術の高度化に伴い、医師、看護師等の役割分担の見直しが求められる中で、NP (ナースプラクティショナー) などの医療職の検討に関する質問が出された。
 同事務次官は、歩みは遅いが検討を進めている状況ではないかと回答した。

(1)相も変わらず、「高齢者の医療費の削減は避けられない」 との御託宣です。
 事ここに至っては、発想の大転換をして頂き、「必要な高齢者の医療費は確保する」 という大前提で、他の分野の 「税金の無駄使い」 を大胆にカットして頂き、その結果、「削減するものが最早ない」 ということを一般国民が充分納得した上で、最後の最後で消費税増税論議に入って頂きたいと思います。

(2)フロアからの質疑応答時の 「打たれる施策がちぐはぐ」 との意見に関しては、2年ごとの診療報酬改定の総責任者である厚生労働省保険局医療課長が変わるたびに、診療報酬体系の精神・思想および方向性が相当変わる、あるいはブレる印象があります。
 政府が最終決定する診療報酬改定率に翻弄されるからかも知れませんが・・・。

(3)上記のNPをはじめとした 「医師から看護師等のコメディカルへのエンパワーメント (権限と責任の委譲)」・「スキルミクス (真の多専門職種協働)」 については、「医師 (特に勤務医) の負担軽減」・「チーム医療」 において大変重要な課題です。

 法律上の諸問題ならびに各専門職種における様々な利害関係等がネックとなり、遅々として進展しない印象を受けますが、「医療崩壊・医療破壊」 のこれ以上の増悪を防ぐためにも、拙速は避けつつ、一歩一歩前進して頂きたいと思います。

【関連記事】
 ◎ 「医師不足対策の誤りを指摘」 (日野原重明・聖路加国際病院理事長)
 ◎PA (非医師高度臨床師) ・NP (ナース・プラクティショナー)
 ◎医療職種の役割分担 「検討の場、設置を」 (医道審議会)
 ◎ 「医行為のコメディカルへの権限委譲」 厚労省見解




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医療・介護の機能強化 (2012年度診療・介護報酬同時改定で体制構築)

 2012年度診療報酬・介護報酬同時改定における医療・介護の機能強化に関して、 厚生労働省保険局医療課の企画官が、医業経営セミナーで講演していますので紹介します (Japan Medicine 2009/3/4)。

●医療・介護の機能強化 2012年改定で体制構築

①厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は2009年2月28日、北海道札幌市内で開催された日本医業経営コンサルタント協会の医業経営セミナーで講演し、社会保障国民会議の報告書にある医療・介護の機能評価については、「2012年の診療・介護報酬改定で大きな体制構築を行うことになる」 との見通しを示した。

②宇都宮氏は、昨年11月に出された社会保障国民会議の報告書に示された医療・介護の機能評価のシミュレーションについて、12年の診療報酬・介護報酬の同時改定で 「どこまで支援するか」 が課題になっているが、「内容が決まらなければ (12年の改定で) 支援のしようがない」 と指摘。
 例年は秋口から開催される社会保障審議会・医療部会が今年は時期を早めて2月26日に開催したのは 「早く開催して計画・プランを作り上げたい」 という意図だと説明した。

③その上で、「医療のプラン、介護のプランを検討して固めた上で、12年の同時改定で大きな体制構築を行うことになる」 との見通しを示した。

④また、宇都宮氏は、「社会保障費や医療費について、どの政党も削減をとなえられる状況ではないだろう」 との認識を示し、また同報告書の内容が 「高齢化社会を迎えるにあたって必要な体制をどう構築するかのシミュレーションである」 と指摘して、次期衆議院選挙の結果によって 「(取扱いが) 大きく左右されることはないだろう」 との見方を示した。

 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記①~③の通り、厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、「社会保障国民会議最終報告書 (2008/11/4) の 『医療・介護の機能評価のシミュレーション』 に基づいて、2012年度の診療報酬・介護報酬同時改定で大きな体制構築を行うことになる」 との見通しを示しています。

(2)最終報告書を、当ブログ管理人なりに解釈すると、医療・介護において、「財源」 「サービス提供体制」 の2つに集約されると思われます。

(3)医療・介護の財源として、公費負担 (税負担)・保険料負担 (医療保険・介護保険)・自己負担 (現在、1~3割負担) の3つが挙げられますが、最終報告書では、消費税アップを強調しています。

 但し、『二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター (通巻53号)』 (2009/1/1) の 「インタビュー:医療立て直しの道筋は? 医療費抑制政策の転換へ 焦点は保険料の引き上げ」 において、日本福祉大学の二木教授は、上記の3つのうち、保険料の引き上げを主張しており、「サラリーマンの健康保険料 (事業主拠出分を含む) は国際的な水準と比べて低いために、引き上げ余地は大きい。国民健康保険も、高額所得者の保険料引き上げが必要だ」 と述べています。

 一方、以前の当ブログ記事 [『医療政策サミット2009 (日本医療政策機構)』・『「平成23年度からの消費税増税」 麻生政権の新たな火種』] で述べていますが、時の政府が、国民に消費税増税をお願いする時には、充分な景気回復税制の抜本的改革膨大な税金の無駄使いの抜本的是正 (伏魔殿化した特別会計、官僚の天下り・渡りの根絶、天下り用の無駄な公益法人や補助金の根絶、国会議員の定数削減・歳費の削減、国家公務員人件費の削減、無駄な公共事業の根絶等)、道路特定財源の完全なる一般財源化年金問題の早期完全解決等の達成または実行の約束を、明確化・数値化して、国民の納得を得る努力をすべきです。

(4)一方、医療・介護サービス提供体制については、最終報告書にて、厚生労働省は下記のような 「B2シナリオ」 を強調しています。

●B2シナリオ (選択と集中による改革:大胆な改革シナリオ) (2025年)

 1.急性期病床:病床数67万床 (重点化)
         入院患者数47万人
         平均在院日数10日 (短縮)
         人員数100%増 (増員)

 2.亜急性期・回復期等病床:病床数44万床
               入院患者数40万人
               平均在院日数60日 (短縮)
               人員数 (コメディカルを中心に30%増員)

 3.長期療養 (医療療養) 病床:病床数23.4万床
                入院患者数23万人
                平均在院日数154日

 4.介護施設:入所者数149万人 (特養78万人、老健72万人)

 5.居住系施設:入所者数68万人 (特定施設33万人、グループホーム35万人)

 6.在宅介護:利用者数429万人

 しかしながら、「機能分化と連携、選択と集中、集約化・重点化・拠点化」 により、医療に関する人材・財源を急性期病床に集中投入するのは、基本的には妥当なのですが、そのために、急性期後を受け持つ 「亜急性期・回復期等病床、長期療養 (医療療養) 病床、介護施設、在宅医療」 に対する人員・財源が不足し、不充分な医療サービス体制となれば、急性期病床を後方支援できず、結果的に、救急・急性期医療が崩壊する可能性があります。そして、医療難民・救急難民・脳卒中難民・認知症難民・リハビリ難民・介護難民等が増大すると考えられます。

 したがって、上記の問題を防止するためには、バランスのとれた医療・介護サービス提供体制・連携体制を、綿密なプランのもと、地域事情に合わせて (全国一律ではなく) 構築することが肝要と考えられます。

(5)以上、厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官の 「医療・介護の機能強化 (2012年診療報酬・介護報酬同時改定で体制構築)」 に関する講演について論じました。

 上記④の通り、同企画官が、「社会保障費や医療費について、どの政党も削減をとなえられる状況ではないだろう」 との認識を示し、また社会保障国民会議最終報告書の内容が 「高齢化社会を迎えるにあたって必要な体制をどう構築するかのシミュレーションである」 と指摘して、次期衆議院選挙の結果によって 「(取扱いが) 大きく左右されることはないだろう」 との見方を示しています。

 しかしながら、政権交代によっては、同報告書 (特に、医療・介護シミュレーション) の取扱いが相当左右されるのではないかと推察されます。
 但し、現在、西松建設の違法献金問題 [民主党の小沢代表ならびに複数の自民党議員 (特に二階経済産業大臣)] にて、政治が混乱に陥っており、解散・総選挙も含めて、不透明な状況です。
 可及的速やかに、上記混乱状態から脱出し、早期に解散・総選挙を施行して、国民の信任を得た強力な内閣にて、景気回復・社会保障等の多くの懸案を解決して頂きたいと思います。




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厚生労働省のキャッチフレーズ及び行動指針の策定について

 「新小児科医のつぶやき」 ブログ (管理人:Yosyan さん) にて、「厚労省の行動指針」 という興味深い記事が掲載されていました。

 当ブログ管理人なりの解釈・考察を述べたいと思います。

 平成21年1月5日付けで厚生労働省のホームページにて公表された 「厚生労働省のキャッチフレーズ及び行動指針の策定について」 は下記の通りです。

 厚生労働省では、シンボルマークが一般公募を踏まえて策定されたことを踏まえ、厚生労働省発足後に入省した若手職員を中心に、全職員の意見を聞きつつ、「職員が一丸となり、国民にとってあるべき厚生労働行政を推進していくための支柱となるもの」 として、キャッチフレーズを策定しました。
 また、キャッチフレーズの趣旨を実現するために職員が遵守すべきこととして、行動指針を以下のとおり策定しました。

●キャッチフレーズ
 「ひと、くらし、みらいのために」
 ※.現在だけでなく未来にわたって、人や暮らしを守る役割を担っているという
  ことを簡潔に表現しました。

●行動指針
 キャッチフレーズの趣旨である 「現在だけでなく未来にわたって人や暮らしを守る」 という役割を果たすため、私たちは、次の1から4に掲げる指針に基づき、行動します。

 1.高い倫理観を持って公正・公平に職務を遂行します。
 2.国民と時代の要請に応じた行政サービスを提供します。
 3.国民一人ひとりの立場に立って考え、行動します。
 4.わかりやすい言葉で広く情報を提供し、開かれた行政を目指します。


 そして、以上の行動を実践するため、私たちは、日々、次に掲げることに心がけて職務に取り組み、活力溢れる組織となるよう努めます。
 ・誇りと使命感を持って職務に臨み、効率的かつ迅速に業務を遂行します。
 ・自ら進んで課題を見つけ、皆で協力しながら解決に向けて取り組みます。
 ・自己研鑽に励み、自らの向上心を高めます。


 「脱藩官僚」 の方々も異口同音に主張されているように、若手官僚は、国民の安全・安心を守るという 「崇高な理念」 と 「高邁な精神」 で、上記の行動指針の如く、「高い倫理観を持って公正・公平に職務を遂行し、国民と時代の要請に応じた行政サービスを提供し、国民一人ひとりの立場に立って考え、行動し、わかりやすい言葉で広く情報を提供し、開かれた行政を目指している」 と思います。

 しかしながら、官僚は、出世するごとに、(国民の血税に巣くう政官業癒着の 「既得権益構造」 を守るため)、「崇高な理念」 と 「高邁な精神」 は徐々に薄れていき、「倫理観が乏しくなり、不公正・不公平な職務の遂行に陥り、国民と時代の要請からかなり乖離した行政サービスを提供し、国民一人ひとりの立場よりも、既得権益グループ (政治家・族議員、財界・大企業・株主、外国資本、米国、中央省庁、天下り先の企業・公益法人) ならびに厚生労働省の省益・局益の立場に立って考え、行動し、わかりやすい言葉で広く情報を提供することを拒み、情報を隠し、不透明な閉鎖的な行政をする」 ようになるようです。
 その上、官僚特有の 「無謬性」・「匿名性」 による無責任体制が上記に拍車をかけています。
【関連記事】
 ◎オバマ大統領就任演説からみた麻生内閣・自民党の 「旧態依然」
 ◎「平成23年度からの消費税増税」 麻生政権の新たな火種
    

 厚生労働省は、財務省の財政再建・医療費削減の圧力に屈し、これまで様々な医療制度改悪、診療報酬改定 (改悪)、介護報酬改定・改悪 (要介護認定の厳格化、介護給付費の抑制) 、悪名高き障害者自立支援法・後期高齢者医療制度の導入等を行ってきました。
 厚生労働省は、日頃は、「患者・高齢者・介護サービス利用者・障害者の視点を一番大事にします」 と言っておきながら、肝心な時には、「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「医療費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「診療報酬支払い側の視点」・「介護保険料の視点・市町村の視点」の方を重視してきました。
 この自己矛盾を打破し、国民本位の社会保障政策、医療・介護・福祉政策、診療報酬改定、介護報酬改定、障害のある方ならびに高齢者に対する施策を施行することを切望します。
 さらに、出世して巨大な公権力を手にした高級官僚の方には、上記のような若手官僚の時の 「崇高な理念」 と 「高邁な精神」 を思い出して頂き、既得権益グループのためではなく、「ひと、くらし、みらいのために」、国民の安心・安全・納得・満足のために、その権力を存分に行使して頂きたいと切に願っています、
【関連記事】
 ◎介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)
 ◎平成20年度リハビリ診療報酬改定 (日本リハビリ医学会の総括)
 ◎障害者施設等入院基本料・算定要件の解釈の厳格化
 ◎回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎リハビリ算定日数制限 (厚労省保険局医療課の見解)




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「医行為のコメディカルへの権限委譲」 厚労省見解

 「医行為」 は、「医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼすおそれのある行為」 あるいは 「医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生じるおそれのある行為」 と定義されています。
 ちなみに、医行為のうち、診療の補助業務として看護師が補助できるものは 「相対的医行為」 と呼び、医師でなければ行うことのできない 「絶対的医行為」 と区別することもあります。また、医療行為という言葉も使われていますが、診療の補助業務等を医療行為と呼んで医行為と区別していることもあります。実際には医行為と医療行為とが混同して使用されていることも多いようです。

 最近、医師不足 (特に勤務医不足) に伴う勤務医の過重労働・疲弊・立ち去り型サボタージュ等の対策として、勤務医の負担軽減を目的とした事務職員による業務代行、コメディカルへのエンパワーメント(権限委譲:当然、責任も重くなりますが・・・)、およびスキルミクス (多職種協働) が 話題となっています。特に、コメディカル的には 「医行為のエンパワーメント」 の関心が高いようです。

 Japan Medicine (2009/1/5) によると、大分県立看護科学大学大学院修士課程で養成している高度実践看護師 (NP: ナースプラクティショナー) が一定範囲の医行為が行える構造改革特区の申請 (2008/11) に対して、下記のような厚生労働省の医行為等に関する見解が同年12月に出されました。

 1.「患者を診察し、必要な検査を自ら実施あるいは指示するとともに、その結果を判断すること」 は、医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼす行為であり、「看護師のみで当該行為を実施することは認められない」。

 2.「医師が予め指示した薬剤の範囲内」 で 「薬剤を用いて治療、処方」 を行うことや、「医師が予め指示した範囲内」 で 「診療録、診断書、処方箋などの代筆」 を行うことは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼす行為であり、看護師のみで当該行為を実施することは認められない。

 3.「診断書、診療録及び処方箋を医師が最終的に確認し署名することを条件に、看護師等が医師の補助者として記載を代行することは、可能である」。

 従って、現時点では、医師の補助業務にとどまることになるとのことです。

 医行為の責任の重大性を鑑みると、上記の厚生労働省の見解は妥当と思われます。しかしながら、医行為にも難易度等には軽重があり、現在の勤務医の過重労働と疲弊等を考えると、コメディカルへの医行為のエンパワーメントをもう少し推進する必要があると思われます。(ただし、コメディカルへの充分な教育・研修および様々な環境調整等、慎重なアプローチが必要ですが・・・)。




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