●リハビリテーションの定義 (「障害者に関する世界行動計画」 国連総会決議1982)
リハビリテーションとは、障害を負った者が精神的、身体的およびまたは社会的に最も適した機能水準を達成することを目的とした、目標指向的かつ時間を限定したプロセスであり、これにより、各個人に対し自らの人生を変革する手段を提供することを意味する。これには、機能の喪失あるいは機能の制約を補う (たとえば補助具により) ことを目的とした施策、および社会的適応あるいは再適応を促進するための施策を含みうる。
上記の定義の通り、リハビリテーションは、本来、
目標指向型ならびに時間限定型のプロセスです。即ち、リハビリテーションにおいては、
到達時期を明示した明確な目標設定が肝要です。
しかしながら、臨床の場において、患者さん・家族とリハビリテーションスタッフとの間に、目標の乖離がしばしば生じ、リハビリテーションプロセスを阻害することが少なくありません。実際、患者さん・家族の過度の要望 (あるいはリハビリテーションへの過度の期待) に接することがよくあります。
「リハ医の独白」 ブログ (
目標はニーズと評価から導きだされる) でも、次のように述べられています。
リハビリテーションの目標を設定する上で、私は以下の点に注意している。
◎希望・要望=ニーズではない。
◎目標はニーズと評価から導きだされる。
◎リハビリテーションは目標指向的であると同時に時間限定的アプローチで
ある。
以前、ある方から教わった言葉で、感銘を受けたものが、次のことばです。
●
ニーズ (患者における客観的必要性) とデマンド (患者の主観的要求・要望) と
を取り違えるべからず。 即ち、患者さんのデマンド (患者の主観的要求・要望) を受け入れすぎると、リハビリテーション・ゴール設定ならびに円滑な社会復帰に悪影響を及ぼします。
したがって、あくまで、患者さんのニーズ (患者における客観的必要性) を優先して、リハビリテーション・アプローチを行うべきです。
但し、そのためには、患者さんのニーズ (患者における客観的必要性) をしっかりと把握することが重要であり、各リハビリテーション・スタッフのスキルならびに各専門職種による充実したチーム・アプローチが肝要と考えられます。