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  2. 2009年02月

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医療政策サミット2009 (日本医療政策機構)

 Japan Medicine (2009/2/25) に、日本医療政策機構主催の 「医療政策サミット2009」 の記事が掲載されていますので紹介します。

●消費税を社会保障財源とすべきか

①NPO法人の日本医療政策機構 (黒川清代表理事) が2009年2月21日に都内で開催した 「医療政策サミット2009」 で、医療政策のマニフェストをテーマとしたパネルディスカッションが企画され、与野党の医療政策担当者らが医療財源策や医療産業の発展などについて、総選挙に向けた討論を行った。

②パネルディスカッションには、自民党の鴨下一郎衆院議員 (医師)、公明党の福島豊衆院議員 (医師)、民主党の山田正彦 (弁護士) が登壇した。

③次の総選挙の最重要課題について、自民党・鴨下氏は、「有権者の関心は、経済の立て直しにある。セーフティーネットの中でも医療は最優先されるべきものだが、強い経済と安定した雇用を守りながら医療を充実させていきたい」 とした。
 公明党・福島氏は、雇用不安や生活不安への対策が重要とした上で 「確実に保険料を払えなくなる人が増える。低所得者が医療を受けられなくなることがないようにきめ細やかな対応をしていきたい」 とした。
 一方、民主党・山田氏は 「医療や介護といった社会保障に思い切った財源を投入すべきだ」 と強調した。

④同機構が2009年1月に実施した世論調査で、回答者の6割が社会保障費の増加分を消費税で賄うことについてやむを得ないと答えている。

医療費の財源問題について、民主党・山田氏は、民主党が政権を取った場合には、1兆9千億円の新規追加予算を盛り込むことを説明し、「特別会計には毎年40~50兆円の剰余金がある。消費税を上げる必要はない。(財源の確保は) 予算の組み替えで可能だ」 とした。
 公明党・福島氏は民主党とは認識の相違があるとしながらも 「特別会計の剰余金など使って差し支えないものは使っていいと考えている。税の役割は高まっているが、今、消費税率を上げる議論をしても始まらない。大事なことは将来にツケを回さないこと」 とした。

⑥自民党・鴨下氏は 「国のバランスシートをスリム化するという骨太方針の方向性は間違っていない。不要な国有資産の売却や行政改革などすべてをやった上で、社会保障の目的税的に消費税を使うことについて国民の理解を求める必要がある」 とした。
 また、低所得で保険料を負担できない人について、負担の在り方を考えねばならないとした。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記③によると、社会保障 (年金・雇用・医療・介護・福祉・生活保護等) というセーフティーネットの再構築経済の立て直し等で、各党間で、優先順位の温度差があるようです。

(2)上記④~⑥に関して、「将来的に、社会保障費の増加分を、消費税増税で賄わざるを得ない」 ということは、国民のコンセンサス (合意形成) がほぼ出来つつあると思われます。
 但し、それには、大前提があります。

 以前の当ブログ記事 (「平成23年度からの消費税増税」 麻生政権の新たな火種) にて述べましたが、やはり、国民に増税をお願いする時には、下記のように、前提条件 (特に景気回復および税金の無駄使いの撲滅) を明確化・数値化し、国民の納得を得る努力をすべきです。

 (a) 景気回復
   ◎但し、消費税増税の実施時期の決定方法において、中川秀直氏 (増税を
    するなら景気が成長軌道に回復してから
) と、政府・財務省・与謝野財
    務金融相兼経済財政担当大臣 (景気が良くなってから増税をするといえ
    ば、やっと良くなった景気を再び悪くするのかと世論が反発するので、
    景気が上向きになり始めた頃から徐々に増税していくのが本筋
) とでは
    考え方が異なります。

 (b) 一般会計と特別会計を可能な限り一体化し、予算の組み換えや無駄の排除ある
  いは予算の組み方の一新により、少なくとも1割はカットする (約20兆円?)。
  (自治体によっては総予算の削減でもっとスリム化しています!。自治体が出来
  て、国が出来ないわけがないです)。


 (c) 税制の抜本的改革 (特に所得税・相続税・法人税・株式関連税等のメリハリを
  きかした増税・減税)


 (d) 官僚の天下り・渡りの根絶

 (e) 天下り用の無駄な公益法人や補助金の根絶

 (f) 国会議員の定数削減 (例:衆議院480→小選挙区300のみ) ・歳費の削減 (例:2
  割カット)


 (g) 国家公務員人件費の削減 (例:2割カット)

 (h) 無駄な公共事業 (道路、ダム、空港、新幹線等) の廃止・中止

 (i) 道路特定財源の完全なる一般財源化

 (j) その他の税金の無駄使い (例:本来は、定額給付金という選挙目当てのばらまき
  政策は撤回すべき、等)


 (k) 年金問題の早期完全解決 (今となっては困難とは思いますが・・・)

 消費税増税に関しては、国・地方合わせた財政赤字が約千兆円、少子高齢社会を迎えて増大する社会保障費のことを考えると、いずれは増税もやむなしと、多くの国民の方も心の中では思っていると思います。

 しかしながら、百年に一度の米国発世界金融危機による未曾有の日本の経済危機・雇用危機の今の状況下で、しかも、内閣不支持率が70~80%に達し、もはや信頼・信用されていない麻生首相から、 「景気対策・行政改革を行ったうえで増税をお願いする」 と言われても、多くの国民は信用しないと思います。

 財務省ならびに (財務省とグルの?) 今や影の総理といわれている与謝野大臣に操られ洗脳された麻生首相あるいは与謝野 「首相」 は、「結局、景気が回復しなくても、また、行政改革・公務員改革が不充分であっても、平成23年度に消費税増税を強行する」 と予想されます。(但し、その時、麻生首相・与謝野首相・自公政権かどうかは怪しいですが・・・)。

 消費税増税の際は、(政権がどの党であれ、首相が誰であれ)、「(a)~(k) [(a) に関しては不透明な部分がありますが・・・] の案件を身を削り血のにじむ努力で十二分に行いましたが、それでも社会保障費・教育等の公共財・セーフティーネットの維持に○兆円不足しますので、どうか消費税を○%上げさせて下さい。但し、生活必需品の税率は据え置きます」 と、時の首相に言われたら、国民の多くは反対しないと思います。

 一方、これまでの麻生首相あるいは与謝野大臣は、消費税増税について、上記のような前提条件に関する明確化・数値化した答弁は、(当ブログ管理人が知る限り)、行っていません。

 麻生首相あるいは与謝野大臣が、(特に、影の総理であり野党からもある程度信頼されている与謝野大臣が)、「(a)~(k) [[(a) に関しては不透明な部分がありますが・・・] の案件をクリアすることを条件に、平成23年度の消費税増税をお願いします。但し、生活必需品の税率は据え置きます] と、明確に仰れば、内閣支持率・自民党支持率も上がるし、次期総選挙の自民党勝利もあり得るかも (?????)

(3)以前の当ブログ記事 [「医療立国論Ⅱ 厚生労働省解体-医療庁を設置せよ! (大村昭人氏著)」] でも述べていますが、(最近、少し風向きが変わり、医療費増の方向にベクトルが変わったようではありますが)、未だに、「医療費亡国論」 ならびに 「小泉竹中構造改革」 が引き起こした 「医療費抑制、医師不足 (特に勤務医不足)」 による 「医師 (特に勤務医) の過重労働と疲弊および立ち去り型サボタージュ (→残された医師の過重労働と疲弊が増悪→悪循環)、医療崩壊 (特に病院崩壊、救急医療崩壊) および医療破壊、医療難民 (特に脳卒中、認知症)、救急難民、妊産婦難民、リハビリ難民、介護難民、等々」 の現状 (惨状) を、「医療再建・医療再生」 させるには、いまだ道遠しの状況です。

 2007年、大村昭人氏 (帝京大学名誉教授・麻酔科) は、「医療立国論 崩壊する医療制度に歯止めをかける!」 を刊行され、

  ①医療費の削減・市場原理主義の導入では医療改革は成功しない。

  ②医療費亡国論から医療立国論へ。

  ③医療は、経済活性化の要である。即ち、1兆円医療費を使えば、1兆円以上
   の経済波及効果がある。医療費は消費されて消えてしまうものでなく、医療
   に直接または間接的に関係する方々の雇用 (雇用創出効果) などを通して、医
   療費は国の経済発展の原動力となる。


等を主張され、広い支持を集めました。

(4)即ち、社会保障 (年金・雇用・医療・介護・福祉・生活保護等) は、(単なる財政への負担ではなく)、国民の安心・安全・納得・満足を担保するセーフティーネットであり、且つ、経済活性化 (経済波及効果)・雇用創出効果・内需拡大効果がある成長産業の一つです。

 したがって、20数年前からの厚生労働省の医療亡国論財務省の財政再建至上主義 (財政再建原理主義)および小泉竹中政権の 「結果的に聖域があり、格差社会を拡大させた」 構造改革 [当ブログ記事 (小泉・竹中政権の 「聖域なき構造改革」 に存在した 「聖域」) 参照] に騙され洗脳された (あるいは、官僚に騙され洗脳された、もしくは利権・権益に群がった) 自民党国会議員には早く目を覚ましてもらい、根本的な発想の転換のもと (旧態依然とした公共工事・官僚天下り等の政官業癒着体質からの脱却)、経済効果・雇用創出効果・内需拡大効果の高い、新たな成長産業として、社会保障を位置づけ、積極的な財源投入を行ってもらいたいと思います。

 そうすれば、国民の安心・安全・納得・満足が担保され、約1,500兆円の国民の眠っている個人金融資産が、消費に使われ、内需が拡大し、経済が好転するという好循環が生じると考えられます。[今のままでは、只でさえ、百年に一度の米国発世界金融危機による未曾有の日本の経済危機・雇用危機のもと、社会保障 (年金・雇用・医療・介護・福祉・生活保護等) に対する国民の不安で、内需も冷え切ったままと思われます]。

(5)上記の好循環により、医療においても、医療費増額・医師数増員等によって、医療崩壊 ・医療破壊が、医療再建・医療再生へと、転換が図られることが望まれます。
 
 そして、①勤務医不足による勤務医の過重労働と疲弊および立ち去り型サボタージュ (→残された医師の過重労働と疲弊が増悪→悪循環)、②病院崩壊、救急医療崩壊、産科・小児科医療崩壊、③医療難民 (特に脳卒中、認知症)、救急難民、妊産婦難民、リハビリ難民、介護難民、障害者難民、等々の現状 (惨状) ができるだけ早期に改善されることを切望します。

(6)以上、日本医療政策機構主催の 「医療政策サミット2009」 について論じました。

 上述の 「経済や社会保障の好循環」・「医療再建・医療再生」 の具現化のためには、政治家・官僚・公務員の 「国民の公僕たる理念、見識、そしてそれに則った行動」 が肝要と思います。

【追記】
 ちなみに、ブログ管理人は、以前は自民党支持者でしたが、現在は、自民党支持者でもなく、民主党支持者でもなく、「政権交代論者」 です。どの党であれ、長期政権は、様々な 「しがらみ」 のため、結局は腐敗します。
 したがって、日本の場合、自民党と民主党とで政権交代を繰り返すことにより、健全な議会制民主主義を我が国に定着させて頂きたいと思っています。
 そして、国民が選んだ政治家が、国民が選ぶことが出来ない官僚・公務員を、うまくコントロールして、より良い政治・行政を遂行して頂きたいと思います。




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DPC 「新機能評価係数」 候補の選定

 CBニュース (新係数候補の選定 「4月ぐらい」 に) によると、中央社会保険医療協議会 (中医協) の診療報酬基本問題小委員会 (委員長:遠藤久夫・学習院大経済学部教授) は2月25日、DPC評価分科会がまとめた新たな機能評価係数をめぐるこれまでの検討の経過報告を了承しました。

 これを受けて分科会では、現在の調整係数に代わる新たな機能評価係数の候補の選定作業を今後、本格化させます。

 厚生労働省は当初、候補の絞り込みを年度内に完了する方針を示していましたが、同省保険局医療課の宇都宮啓企画官は小委員会の席上、「慎重に検討する必要があり、3月中は難しい。4月ぐらいには入る」 と説明しました。

 25日の小委員会では、「診療所との夜間連携に対する評価」 を求める意見などがあり、分科会ではこれらも含めて候補を絞り込みます。

 厚生労働省によると、候補の選定に当たっては、現行の機能評価係数や出来高部分と重複評価になる可能性がないかなどを考慮。DPC対象病院などからのデータのほか、「病院報告」 などの既存データも活用して妥当性を検討します。
 ただ、「在宅医療への評価」 など、現時点で活用できるデータがない項目について検討するには、あらためて調査を実施する必要があるため、厚生労働省は次の診療報酬改定ではデータがそろっているものを優先する方針です。

 このほか、「チーム医療の実践に対する評価」 などの項目に対しては、「DPC対象病院だけでなく、すべての病院で評価すべき」 といった指摘があり、候補の選定が完了した後に分科会と小委員会で並行して対応を検討します。


(資料1) DPC評価分科会での新たな 「機能評価係数」 に関する検討の経過報告

Ⅰ.概要

 DPCにおける新たな 「機能評価係数」 に係るこれまでの議論


  ①中医協基本問題小委員会において、『新たな 「機能評価係数」 に関する基本
   的考え方』
をまとめた (平成20年12月17日)。(資料2参照)。

  ②DPC評価分科会において、この基本的考え方に沿って、新たな 「機能評価
   係数」 の候補について検討を重ねてきた。

  ③平成21年度より、ケアミックス型病院をはじめ、地域医療において様々な機
   能を担う病院
がDPCの対象となることを踏まえ、DPC評価分科会におい
   て、こうした医療機関との意見交換も行った。

Ⅱ.具体的な項目の提案等

 1.医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について

 (1)透明化の評価

   ア.部位不明・詳細不明コードの発生頻度による評価

 (2)効率化の評価
   ア.効率性指数による評価
   イ.後発医薬品の使用状況による評価

 (3)標準化の評価
   ア.手術症例数又は手術症例割合に応じた評価
   イ.診療ガイドラインに沿った診療の割合による評価
   ウ.標準レジメンによるがん化学療法の割合による評価

 (4)医療の質の評価
   ア.術後合併症の発生頻度による評価
   イ.重症度・看護必要度による改善率
   ウ.医療安全と合併症予防の評価
   エ.退院支援及び再入院の予防の評価

 2.社会的に求められている機能・役割の評価について

 (1)特殊な疾病等に係る医療の評価

   ア.複雑性指数による評価
   イ.副傷病による評価
   ウ.診断群分類のカバー率による評価
   エ.希少性指数による評価:難病や特殊な疾患等への対応状況の評価

 (2)高度な機能による評価
   ア.高度な設備による評価
   イ.特定機能病院又は大学病院の評価
   ウ.がん、治験、災害等の拠点病院の評価
   エ.高度医療指数

 3.地域医療への貢献の評価について

 (1)地域での役割の評価

   ア.医療計画で定める事業について、地域での実施状況による評価
   イ.救急・小児救急医療の実施状況による評価
   ウ.救急医療における患者の選択機能の評価
   エ.産科医療の実施状況の評価
   オ.地域医療支援病院の評価
   カ.地域中核病院の評価
   キ.小児科・産科・精神科の重症患者の受け入れ体制の評価
   ク.全診療科の医師が日・当直体制をとっていることの評価

 4.その他

 (1)医療提供体制による評価

   ア.医師、看護師、薬剤師等の人員配置による評価

 (2)望ましい5基準に係る評価
   ア.ICU入院患者の重症度による評価
   イ.全身麻酔を実施した患者の割合による評価
   ウ.病理医の数による評価
   エ.術中迅速病理組織標本作製の算定割合による評価

 (3)その他
   ア.新規がん登録患者数
   イ.高齢患者数の割合による看護ケアの評価
   ウ.入院患者への精神科診療の対応の評価
   エ.チーム医療の評価
   オ.DPC病院として正確なデータを提出していることの評価
   カ.その他

 5.医療機関との意見交換について

 (1)平成21年2月12日

   ◎財団法人脳血管研究所附属 美原記念病院 院長 美原 盤 氏

    ア.急性期医療の提供体制に対する評価
    イ.チーム医療の実践に対する評価
    ウ.アウトカムを伴う効率化に対する評価
    エ.救急医療への対応実績に対する評価
    オ.政策的医療への対応実績に対する評価

   ◎長野県厚生農業協同組合連合会 佐久総合病院 診療部長 西澤延宏 氏
    ア.患者の年齢構成による評価
    イ.地方の診療所や中小病院へ医師を派遣することに対する評価
    ウ.在宅医療への評価

 (2)平成21年2月23日

   ◎医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 副院長 樫村暢一 氏

    ア.病院機能に対する評価
    イ.政策医療 (救急医療等) の評価
    ウ.臨床研修に対する評価
    エ.地域連携 (支援) に対する評価
    オ.診療機能に対する評価 (1)
      (患者の年齢構成や合併症、在院日数に応じた評価)
    カ.診療機能に対する評価 (2)
      (4疾病5事業、死因究明、細菌検査室、術中病理迅速診断に応じた
       評価)

   ◎医療法人近森会 近森病院 院長 近森正幸 氏
    ア.チーム医療と地域医療連携の評価
      ①チーム医療 (NSTや病棟へのコメディカルの配置)
      ②地域医療連携
    イ.医療の質の向上
      ①効率性指標による評価
      ②医療安全と合併症予防の評価
      ③複雑性指標による評価
      ④医師、看護師、薬剤師等の人員配置による評価
    ウ.救急・重症患者の評価
      ①救急患者
      ②重症患者
    エ.地域医療の充実

   ◎社会医療法人慈泉会 相澤病院 院長補佐 宮田和信 氏
    ア.地域医療支援病院の紹介率や逆紹介率等による評価
    イ.救命救急医療の評価
    ウ.高齢者や精神科系疾患の合併患者、寝たきり患者等の受入れ状況によ
      る評価
    エ.地域医療連携の評価
    オ.地域がん診療連携拠点病院の評価
    カ.マンパワーに係る評価

Ⅲ.今後の検討について

(1)新たな 「機能評価係数」 として評価するべき項目の絞り込み

  以下の点を考慮する。
   ア.新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方との合致
   イ.現行の 「DPCの影響評価に関する調査」 の活用
   ウ.現行の機能評価係数や出来高部分と評価が重複する可能性がある項目の
     整理
、等

(2)絞り込まれた項目について、具体的な検討


(資料2) 新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方
     (平成20年12月17日中医協基本問題小委員会にて了承)

 以下の事項を基本的考え方として、新たな 「機能評価係数」 について議論してはどうか。

1.DPC対象病院は 「急性期入院医療」 を担う医療機関である。新たな 「機能評価
 係数」 を検討する際には、「急性期」 を反映する係数を前提とするべきではないか。

2.DPC導入により医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等、患者の利点 (医
 療全体の質の向上) が期待できる係数
を検討するべきではないか。

3.DPC対象病院として社会的に求められている機能・役割を重視するべきでは
 ないか。

4.地域医療への貢献という視点も検討する必要性があるのではないか。

5.DPCデータを用いて係数という連続性のある数値を用いることができるとい
 う特徴を生かして、例えば一定の基準により段階的な評価を行うばかりではなく、
 連続的な評価の導入についても検討してはどうか。
  その場合、診療内容に過度の変容を来さぬ様、係数には上限値を設けるなど考
 慮が必要ではないか。

6.DPC対象病院であれば、すでに急性期としてふさわしい一定の基準を満たし
 ていることから、プラスの係数を原則としてはどうか。

7.その他の機能評価係数として評価することが妥当なものがあれば検討してはど
 うか。


  上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)DPC 「新機能評価係数」 は、資料2の 『新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方』 に基づき、DPC評価分科会で検討され、最終的に、資料1-Ⅱの通り、次のような候補が決定しました。

  ① 「医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について」:10項目

  ② 「社会的に求められている機能・役割の評価について」:8項目

  ③ 「地域医療への貢献の評価について」:8項目

  ④ 「その他」:11項目

  ⑤ 「ヒアリング医療機関からの要望」:24項目 (重複有り)


(2)今後は、資料1-Ⅲの通り、①新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方との合致②現行の 「DPCの影響評価に関する調査」 の活用③現行の機能評価係数や出来高部分と評価が重複する可能性がある項目の整理、等を考慮しながら、新たな 「機能評価係数」 として評価するべき項目の絞り込みが行われ、そして、絞り込まれた項目について、具体的な検討が進められる予定です。

(3)上述の通り、25日の小委員会では、「診療所との夜間連携に対する評価」 も追加候補となりました。
 また、厚労省によると、候補の選定に当たっては、「現行の機能評価係数や出来高部分と重複評価になる可能性がないかどうか」 を考慮します。
 但し、「在宅医療への評価」 など、現時点で活用できるデータがない項目は、あらためて調査を実施する必要があるため、厚生労働省は次期診療報酬改定ではデータがそろっているものを優先する方針です。
 このほか、「チーム医療の実践に対する評価」 などの項目に対しては、「DPC対象病院だけでなく、すべての病院で評価すべき」 といった指摘があり、候補の選定が完了した後に分科会と小委員会で並行して対応を検討する予定です。

(4)以上、今後のDPC評価分科会および中医協基本問題小委員会の議論の動向が益々注目されます。

 但し、厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、「慎重に検討する必要があり、3月中は難しい。4月ぐらいには入る」 と、DPC 「新機能評価係数」 の最終決定時期の遅延について述べています。

 以前の当ブログ記事 [「DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)」] で述べたように、各DPC病院における周到な対策・準備のため、できるだけ早期の 「新機能評価係数」 決定を切望します。

【関連記事】
 ◎DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)
 ◎DPC 「新機能評価係数」 (松田研究班長・私案)
 ◎DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件





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平成21年度介護報酬改定 (リハビリテーション関連追加情報)

 「ポイントからのメッセージ」 ブログの記事 「全国介護保険・高齢者福祉担当課長会議の状況 (補足)」 において、医療福祉専門チャンネル動画配信サイト 「医療福祉eチャンネル」 から無料配信されている 「全国介護保険・高齢者福祉担当課長会議」 の模様 (各担当官からの説明) を撮影した動画から得られた情報が紹介されています。

 本ブログでは、リハビリテーション関連情報のみ紹介します。


(1)訪問看護ステーションの管理者について

 訪問看護ステーションの管理者として、看護師等の確保が難しい場合は、理学療法士等でも可とする。今後Q&Aで示す。

(2)リハビリテーションマネジメント加算について

 リハビリテーションマネジメント加算は、一月に8回以上通所している場合に、一月に1回算定できるが、

 ①月半ばからの利用開始

 ②利用者の都合により8回のサービス提供ができなかった場合

 ③利用者の心身の状態により8回のサービス提供ができなかった場合

も算定可とする。


 上記(1)・(2)は、今後、Q&Aあるいは追加通知にて示されると考えられます。

 上記(1)に関しては、前回の当ブログ記事 [「6万床時代を迎える回復期リハビリ病棟 (回リ協・会長講演) ②」] の情報を併せて考えると、「訪問看護ステーションの管理者要件の 『特例』として、専ら訪問看護ステーションからのPT・OT・STの訪問を行っている事業所について、管理者として看護師等の確保が難しい場合には、PT・OT・STも訪問看護ステーションの管理者になれる」 ということになると考えられます。

 上記(2)に関しては、以前の当ブログ記事 [「平成21年度介護報酬改定 (医療機関による短時間通所リハビリ)」] において、「短期集中リハビリテーション実施加算」 および 「個別リハビリテーション実施加算」 の算定上の不具合として問題視していましたが、上記(2)が具現化すれば問題解決と思われます。

【関連記事】
 ◎平成21年度介護報酬改定 関係通知改正案 (たたき台) 短時間通所リハ
 ◎平成21年度介護報酬改定 (医療機関による短時間通所リハビリ)
 ◎6万床時代を迎える回復期リハビリ病棟 (回リ協・会長講演) ②




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6万床時代を迎える回復期リハビリ病棟 (回リ協・会長講演) ②

 前回の当ブログ記事 「6万床時代を迎える回復期リハビリ病棟 (回リ協・会長講演) ①」 の続編です。
 
 Japan Medicine (2009/2/18) に掲載された記事を紹介します。


●「回復期リハ病棟を有する病院に要請」 (在宅生活支援リハへの積極的取り組みを)

①4月の介護報酬改定によって医療保険の脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料を算定する病院は、通所リハ (1~2時間) の 「みなし指定」 を行うことが可能になるほか、新短時間通所リハ、従来型通所リハ、訪問リハ、短期入所療養介護によるリハ (療養病床に限定) と多様な形態でのリハ提供が可能になる。
 石川会長は、回復期リハビリテーション病棟を有する病院に対して在宅生活支援リハビリテーションに積極的に取り組むよう求めた。

②さらに、訪問看護ステーションにおけるリハビリテーションについては、3月初旬に発出される通知で訪問看護ステーションの50%規制の撤廃のほか、訪問看護ステーションの管理者に特例として理学療法士 (PT)、作業療法士 (OT)、言語聴覚士 (ST) を認めることが盛り込まれる見通しだ。

③これまでの介護保険によるPT、OT、STによる訪問サービスは、1例ごとに看護職の訪問回数を超えてはならないとの規制がある。
 そのため、PT、OT、STによる訪問サービスは、訪問看護ステーションからの 「訪問看護7」 は減少し、病院・診療所・老人保健施設からの訪問リハビリテーションが増加している。
 そこで、訪問看護ステーションからのPT、OT、STの訪問制限について見直しを図り、専ら訪問看護ステーションからのPT、OT、STの訪問を行っている事業所については、新たにPT、OT、STも一定の要件を満たせば、事業所の管理者になれるというもの。

④こうした改定を踏まえ同会長は、今後訪問リハ等に積極的に取り組むことで、訪問リハビリステーションの単独創設につなげていきたいとしている。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記①に関して、次期介護報酬改定にて、医療機関において、通所リハビリテーションの 「みなし指定」 が可能になります。
 その関連通知 (たたき台) は、下記の通りです。

●介護保険法施行規則の一部を改正する省令の施行について (たたき台)
 ◎2009/2/19 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議 (別冊):603ページ

2.通所リハビリテーションに関すること (施行規則第127条)


 (1) 法第71条第1項の規定に基づき、病院等が健康保険法第63条第3項第1号の規定により保険医療機関の指定があったときに、その指定の際に当該病院等により行われる居宅サービスに係る法第41条第1項の指定があったものとみなされるサービスに、通所リハビリテーションを加えること。
 なお、介護予防サービスにおいても同様の改正を行うこと。

 (2) 法第71条第1項の規定に基づいて通所リハビリテーションの指定があったものとみなされる病院等については、通所リハビリテーションが実施される病院等の環境にかんがみ、診療報酬の算定方法 (平成20年厚生労働省告示第59号) 別表第1 医科診療報酬点数表の脳血管疾患等リハビリテーション料又は運動器リハビリテーション料に係る施設基準に適合しているものとして届出をしていることを想定している。
 なお、介護予防通所リハビリテーションにおいても同様であること。

 (3) 改正省令の施行の際現に通所リハビリテーションに係る法第41条第1項本文の指定を受けている病院等の開設者については、当該指定に係る法第70条の2の指定の更新の際にみなし指定に切り替えることとし、その際、事業所番号の取り扱いについては、従前の事業所番号を用いること。
 なお、介護予防通所リハビリテーションにおいても同様であること。

 即ち、通所リハビリテーションに加えて、介護予防通所リハビリテーションも、みなし指定が可能となる予定です。

【関連記事】
 ◎平成21年度介護報酬改定 関係通知改正案 (たたき台) 短時間通所リハ
 ◎平成21年度介護報酬改定 (医療機関による短時間通所リハビリ)


(2)上記①・(1)のように、みなし指定の拡大により、医療機関において、介護保険における通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、短期入所療養介護によるリハビリテーション (療養病床に限定) という多様な形態でのリハビリテーション提供が可能となります。
 したがって、急性期~回復期~維持期のシームレスな地域リハビリテーション連携システムの構築と充実のために、回復期リハビリテーション病棟を有する病院は、在宅生活支援リハビリテーションに積極的に取り組むことが求められます。

(3)上記②の訪問看護7の50%規制は、次のように撤廃される予定です。

●2009/2/19 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議 (別冊):345ページ
 ◎現行の訪問看護費の関連通知にある 「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健師又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」 という文章が削除されることにより、訪問看護7の50%規制は撤廃される予定です。

 以前の上記規制の発出により、訪問看護ステーションからの 「訪問看護7」 が減少し、病院・診療所・老人保健施設からの訪問リハビリテーションが増加しました。
 しかしながら、地域によっては、訪問看護ステーションは存在するが、病院・診療所・老人保健施設からの訪問リハビリテーション提供体制がほとんどないため、訪問リハビリテーションサービスを受けられないという地域格差の問題が生じたため、次期改定で、同規制の撤廃の運びとなりました。

(4)上記②・③に、訪問看護ステーションの管理者要件の緩和に関する、
  (a) 訪問看護ステーションの管理者に 「特例として」、PT・OT・STを認め
   ることが盛り込まれる見通しだ。
  (b)専ら訪問看護ステーションからのPT・OT・STの訪問を行っている事
   業所については、新たにPT・OT・STも一定の要件を満たせば、事業所
   の管理者になれる。
という2つの文章が記されてますが、これを意味する条文・文章は、現時点において、「2009/2/19 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議 (別冊)」 の文中には、当ブログ管理人が見る限り、無いようです。
 別途、関連通知として発出されるものと思われます。

(5)少し気がかりなのは、上記④の (おそらく、平成24年度診療報酬・介護報酬同時改定時になると推察されますが)、訪問リハビリステーションの創設の件です。

 厚生労働省が、訪問リハビリステーションの創設に比較的消極的なのは、日本看護協会の影響もあるとは思いますが、「訪問看護7の50%規制後、病院・診療所・老人保健施設からの訪問リハビリテーションが増加したのだから、わざわざ訪問リハビリステーションを創設しなくてもいいのではないか」 という言い分でした。

 しかし、上記(3)の地域格差があり、かつ、訪問看護7の 「50%規制→完全廃止 (以前の予想では)」 の方向性では、やはり訪問リハビリステーションは必要であるとの空気になりました。

 ところが、今回の改定により、訪問看護7の 「50%規制」 が撤廃となり、訪問看護ステーションからの訪問リハビリテーションが増加し、かつ、訪問看護ステーションの管理者にPT・OT・STが成れるとなると、ある意味では 「わざわざ訪問リハビリステーションを創設しなくてもいいのではないか」 という議論になるのではないかと危惧しております。(当ブログ管理人の考え過ぎ・考え違いとは思いますが・・・)。

(6)以上、急性期~回復期~維持期のシームレスな地域リハビリテーション連携システムの構築と充実のために、在宅生活支援リハビリテーションの要として、訪問リハビリステーションの制度化に向けて、関係学会・協会の強力な連携・提言が望まれます。





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6万床時代を迎える回復期リハビリ病棟 (回リ協・会長講演) ①

 平成21年2月14日~15日、「全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会 第13回研究大会 in 大阪」 が開催され、同協議会の石川誠会長が、基調講演 「6万床時代を迎える回復期リハビリテーション病棟」 を行いました。
 Japan Medicine (2009/2/18) に上記講演の紹介記事が掲載されていますので紹介します。


●「回復期リハ病床は2次医療圏単位での設定を」 (都道府県・2次医療圏の病床格差に懸念)

①全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会・第13回研究大会 in 大阪が14、15の両日、大阪市で約2,000人の参加者を集めて開かれた。
 14日、石川誠会長 (初台リハビリテーション病院理事長) は、回復期リハビリテーション病床数の都道府県格差が広がり、リハビリテーション医療の均てん化を図る上で、各県ごとに2次医療圏域における回復期リハビリテーション病床の整備目標を設定すべきだと提言した。

②石川会長は、回復期リハビリテーションについて、1月30日時点で950病院、1,181病棟、5万2,670病床が地方厚生局に届けられ、増加傾向が続いている。
 これを都道府県別にみると、人口10万対の回復期リハビリテーション病床は茨城県の20床から高知県の130床までと、その格差が顕著になっていると説明した。

③同会長は特に、九州地区は全県で人口10万対50床を上回り平均72床に対して、関東地域は平均26床にも満たない。
 また、ある県では、2次医療圏間で人口10万対の回復期リハビリテーション病床が130床から20床未満まで格差が大きくなっている現状を示し、「回復期リハビリテーション病床は、もはや自然増ではなく目標病床数の設定を医療計画の施策として取り扱うことで、公平な医療提供体制の確保につなげるべきだ」 と指摘した。

④さらに、回復期リハビリテーション病棟では06年度診療報酬改定で6単位から9単位まで提供可能なリハ量が増えたが、医療現場での全国平均は4.5単位で、9単位が提供可能な施設は約3%にとどまるとした。

⑤こうした現状を踏まえ石川会長は、次期診療報酬改定に向け回復期リハビリテーション病棟の質の評価基準を、配置スタッフ数とリハの成果に基づき、新たに2~3段階の評価体系に再構築する方向で検討する考えを示した。

⑥現行の回復期リハビリテーション病棟の診療報酬は、施設要件で大きく2段階となっており、高い点数の回復期リハビリテーション病棟入院料1の中で重症患者回復病棟加算が設けられ、実質3段階になっている。
 石川会長は、4月以降に中医協で行われる回復期リハビリテーション病棟の質の評価の検証結果なども踏まえ、質の評価の基準を配置スタッフ、例えば専任医を専従医とし、看護師、介護福祉士、言語聴覚士 (ST)、社会福祉士など病棟専従スタッフの配置を手厚くし、リハビリテーションの成果を上げている高度回復期と、従来の重症患者回復病棟加算の要件程度であれば通常回復期など、段階的評価体系を検討していきたい意向とした。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記①~③によると、回復期リハビリテーション病棟は、1月30日時点で、5万2,670病床に達したが、都道府県間格差・二次医療圏間格差が相当あり、リハビリテーション医療の均てん化を図る上で、各県ごとに二次医療圏における回復期リハビリテーション病床の整備目標を設定すべきと提言しています。

 脳卒中の地域医療連携・地域リハビリテーション連携において、各二次医療圏で急性期~回復期~維持期のリハビリテーションサービスが円滑に流れることが期待されていますが、回復期リハビリテーション病床が過剰気味な地域では良いとしても、量的未整備地域では急性期病院が連携しようにも回復期リハビリテーション病床が少なすぎるという連携以前の問題が生じます。
 即ち、都道府県間格差・二次医療圏間格差という地域格差を解消し、リハビリテーション医療の均てん化を図る必要があります。
 したがって、各都道府県の地域医療計画に、各二次医療圏における回復期リハビリテーション病床の整備目標を導入する必要があると考えられます。

(2)上記④~⑥については、回復期リハビリテーション病棟の質の向上に関する課題です。
 患者1日あたり9単位の集中的かつ濃厚なリハビリテーションを行うことが、回復期リハビリテーション病棟の義務・使命であるはずですが、上記④のように、実際の実績 (全国平均4.5単位) は低すぎます
 リハビリテーション・マンパワー不足がその要因の一つと考えられます。

 そこで、次期診療報酬改定に向け、回復期リハビリテーション病棟の質の評価基準を、リハビリテーションの成果のみならず、人員配置基準 (配置スタッフ数) の因子も含めて、新たに2~3段階の評価体系に再構築する方向で検討する考えを示しています。

 即ち、回復期リハビリテーション病棟の質の評価基準を、人員配置基準 (配置スタッフ)、例えば、専任医を専従医とし、看護師、介護福祉士、言語聴覚士 (ST)、社会福祉士など病棟専従スタッフの配置を手厚くし、リハビリテーションの成果を上げている 「高度回復期リハビリテーション病棟」 と、従来の重症患者回復病棟加算の要件程度であれば 「通常回復期リハビリテーション病棟」 など、段階的評価体系を検討していきたいとしています。

(3)前回の当ブログ記事 [「医療の提供体制の現状と課題 (講演:厚生労働省保険局医療課長)」] でも述べていますが、回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義に用いられているアウトカム評価は、「医療の不確実性」 を考えると、基本的に医療への適用は差し控えるべきです。
 特に、リハビリテーションの分野においては、在宅等復帰率や患者回復度は、患者の原疾患の重症度、合併症・併存疾患のみならず、病前ADL、介護者因子、環境要因等の多因子に大きく左右されるため、アウトカム評価の適用は控えるべきと思います。

 したがって、回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義の指標としては、アウトカム評価ではなく、プロセス評価・ストラクチャー評価に重きを置くべきと考えられます。
 その意味では、現行のアウトカム評価以外に、ストラクチャー評価・プロセス評価 (人員配置基準、リハビリテーション機能、チーム医療機能、地域連係機能等) を導入すべきと思います。

(4)但し、これまでの長年の診療報酬改定のやり方を見ると、厚生労働省は、ある医療サービス提供体制を導入した当初は、そのサービスを全国に普及させるために、敢えてハードルを下げて (前回改定では、回復期リハビリテーション病棟の専従医師を専任医師へ変更、病棟専従スタッフの要件は据置)、各医療機関からの参入を誘導します。
 しかし、ある程度、そのサービス医療提供体制が普及したと見なすと、いきなりハードルを挙げて、はしごを外します。

 上記⑥のような 「高度回復期リハビリテーション病棟」「通常回復期リハビリテーション病棟」 の創設については、現在、回復期リハビリテーション病床数が、地域格差はあるとしても、全国で5万床を超えたため、診療報酬改定 (全国一律の考え方!) 的には、人員配置基準等のハードルを上げて、上記2種類の病棟に類型化する可能性があると考えられます。(但し、厚生労働省は、最終的には、「通常回復期リハビリテーション病棟」 を医療療養病床へ追いやると思いますが・・・)。
 一方、回復期リハビリテーション病棟には地域格差があるため、その是正には馴染まない診療報酬改定ではなく、上記(1)の通り、各都道府県の地域医療計画に、各二次医療圏における回復期リハビリテーション病床の整備目標を導入する方がベターと考えられます。

(5)一方、講演抄録に次のようなことが記載されています。

 当協議会が毎年実施している2006年の実態調査によれば、脳卒中の自宅復帰率が60%以上の病棟は約60%程度であったが、2008年12月の時点で新たな診療報酬の回復期リハ病棟入院料1の病棟は77%であり各病棟の相応の努力が伺える結果を示した。
 また、改定前には在宅復帰できそうにない患者の受け入れ拒否などの患者選別の懸念があったが、病床過剰地域では患者選別より患者獲得競争の時代となっており、懸念された現象は起きていない。
 すなわち、より質の高い回復期リハ病棟が患者・家族から選ばれる時代に入ったことを意味している。

 上記文章では、在宅復帰できそうにない患者の受け入れ拒否などの患者選別は (病床過剰地域では) あまり問題ないと記していますが、論文 「脳卒中地域医療の現状を把握するための全国アンケート調査-回復期リハビリテーション病棟の現状-」 (脳卒中 30: 735-743, 2008) では次のように論じられています。

●12都道府県 (北海道、秋田県、群馬県、東京都、神奈川県、長野県、大阪府、和歌山県、広島県、徳島県、福岡県、鹿児島県) [12県中、病床過剰地域は7県] における回復期リハビリテーション病棟において、急性期病院からの患者受け入れ制限理由は、多い順より、①透析、②人工呼吸器、③重症、④気管切開、⑤不穏、⑥認知症、⑦合併症多い、⑧MRSA、⑨自宅退院が困難、⑩褥創、⑪経管栄養、⑫胃瘻、でした。

 即ち、病床過剰地域といえども、在宅復帰できそうにない患者の受け入れ拒否などの患者選別は起こっていると考えられ、医療難民 (特に脳卒中・認知症)・リハビリ難民・介護難民の問題は解消されていないと思います。

 したがって、(積極的な回復期リハビリテーションの適応があるか悩む症例も多いとは思いますが)、回復期リハビリテーション病棟が、如何に、高いレベルの医療 (再発予防、合併症・併存疾患の管理、リハビリテーション・リスク管理、急変時対応) を提供できるかが鍵と思われます。(現行の診療報酬では限界があるとは思われますが・・・)。

(6)以上、「全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会 第13回研究大会 in 大阪」 における同協議会の石川誠会長の基調講演 「6万床時代を迎える回復期リハビリテーション病棟」 について考察しました。
 まずは、中医協診療報酬改定検証部会における、回復期リハビリテーション病棟の質の評価に対する検証結果を注目したいと思います。

【関連記事】
 ◎回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎医療の提供体制の現状と課題 (講演:厚生労働省保険局医療課長)






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医療の提供体制の現状と課題 (講演:厚生労働省保険局医療課長)

 平成21年2月15日開催の 「全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会 第13回研究大会 in 大阪」 にて、厚生労働省保険局医療課長が基調講演 「医療の提供体制の現状と課題」 をされていますので、その紹介記事と講演抄録を紹介します。

(資料1) 回復期リハのより良い質の評価指標を検討-中医協検証部会で議論へ [Japan Medicine (2009/2/18)]

①全国回復期リハ協・第13回研究大会2日目の15日、厚生労働省保険局医療課の佐藤敏信課長は、2008年度診療報酬改定で試行導入された回復期リハビリテーション病棟における質の評価の在り方について、中医協診療報酬改定検証部会でより良い質の評価指標などについて検討していく考えを示した。

②08年度改定で在宅復帰率と日常生活機能評価の改善、重症患者の受け入れの割合が指標として使用されている。

③佐藤課長は、回復期リハ病棟の質の評価は試行的であり、検証部会を通じて評価指標の在り方や、評価区分 (重症患者回復病棟加算) も唯一の設定でいいのかなど、今後、議論してもらいたいとし、「質のより良い評価指標を導入することで、医療現場の努力が報われるようにしたい」 と語った。

④このほか、医療分野の問題や社会保障費の問題などについて解説した。


(資料2) 医療の提供体制の現状と課題 (講演抄録)

(a)我が国の医療提供体制は、医療法と国民皆保険制度の下で整備が進められ、WHO等の評価においても、世界最高のシステムとの評価を得るに至っている。
 しかしながら、
  ①諸外国と比較して人口当たりの病床数が多く、医療機能の分化・連携が十分
   に進んでいない。
  ②病院当たりの医療従事者数が少ない。
  ③平均在院日数が長い。
  ④患者・国民への医療に関する情報提供が不十分。

などの指摘もある。

(b)こうした背景の中で、一昨年夏、健康保険法及び医療法、さらにその関連で医師法、歯科医師法など計7本の法律が改正された。
 その主なポイントは次の通りである。
  ①患者・国民の選択の支援に資する医療に関する情報提供の推進
  ②医療計画制度の見直しなどを通じた医療機能の分化・連携の推進
  ③地域や診療科における医師不足問題への対応
  ④医療安全対策の推進
  ⑤医療従事者の資質の向上


(c)上記(b)の項目のうち、病院の機能分化に直接関係すると思われるものは、(b)-②であり、間接的に(b)-①である。

(d)まず、(b)-①は、医療機関に関する情報提供を通じて患者が適切に医療機関を選択できるよう支援し、ひいては医療機関の機能分化を図ろうとするものである。
 内容的には2つの事項からなっている。すなわち、「都道府県を通じた医療情報の提供制度の創設」 と 「医療に関する広告規制制度の見直し」 である。
 後者は 「これまでのような原則禁止から、客観的な事実については広告可能な範囲を大幅に拡大」 するものである。
 前者は、広告のような医療機関の任意の情報提供のみでなく、一定の情報については医療機関から都道府県に報告することを義務づけ、これを都道府県が比較可能な形式に整理し、インターネット等で公表する仕組みである。

(e)次に(b)-②の医療計画制度は、昭和60年以来、主として医療圏ごとの総病床数の規制としての役割を果たしてきたが、医療機能の分化・連携を推進するという役割を追加することとしたものである。
 具体的には、脳卒中、小児医療など主要な疾病・事業 (4疾病5事業) について、都道府県ごとに医療の連携体制を構築することとし、併せてその結果を計画に書き込むこととしたものである。

(f)今回の改正がきっかけとなって、医療機関はあらたな競争と淘汰の時代に突入するであろう。
 一方、厚生行政全体を眺めると、医療費適正化計画、介護保険事業支援計画、さらには、がん対策推進計画、地域ケア整備構想、健康増進計画など、各種計画も同時進行している。今後はこうした動きも注視していく必要があろう。
 また、診療報酬についても、こうした動きを踏まえて適宜・適切に評価していくこととなろう。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)資料1の①~③によると、平成20年度診療報酬改定で試行導入された回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義 (回復期リハビリテーション病棟入院料1における在宅等復帰率・重症患者受け入れ率、および重症患者回復病棟加算) に関しては、回復期リハビリテーション病棟における質の評価の在り方について、中医協診療報酬改定検証部会で、より良い質の評価指標などについて検討していく考えを示しました。

 一つ気になったのが、「評価区分 (重症患者回復病棟加算) も唯一の設定でいいのか」 という発言です。詳細は、検証部会の議論を待ちたいと思います。

 但し、一般的に、医療の成果主義は、プロセス評価が基本です。
 回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義にアウトカム評価が用いられているのは大問題です。
 アウトカム評価は、「医療の不確実性」 を考えると、基本的に医療への適用は差し控えるべきです。
 特に、リハビリテーションの分野においては、在宅等復帰率や患者回復度は、患者の原疾患の重症度、合併症・併存疾患のみならず、病前ADL、介護者因子、環境要因等の多因子に大きく左右されるため、アウトカム評価の適用は控えるべきと思います。
 したがって、回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義の指標としては、アウトカム評価ではなく、プロセス評価・ストラクチャー評価に重きを置くべきと考えられます。

(2)資料1の④については、資料2が参考になります。
 資料2の(a)は、これまでの使い古された (これからも使い回される) 厚生労働省の主張であり、しかも、まやかしの論理も含まれています。
 例えば、(a)-①については、米国にはナーシングホーム (療養病床かそれ以上) が整備されており、その病床数を入れると日米の人口当たりの病床数の差はなくなります。
 また、(a)-②については、医療費抑制のため、政府・厚生労働省の方が、病院当たりの医療従事者を増やしていないためです。これが、医師・看護師等の過重負担・疲弊に繋がっています。
 さらに、(a)-③の平均在院日数については、これも統計のマジックで、欧米の平均在院日数は純粋に急性期病院のみの数字で、日本の療養病床に相当するナーシングホーム等が計算から除外されているので、必然的に、日本の平均在院日数は、他国と比べて長くなるのは当然です。

 これらの厚生労働省の主張の裏には、「急性期病院を二段階に分けて、高次急性期拠点病院に集約・統合再編成していくための布石 (民間中小急性期病院は亜急性期以降へ誘導)」 という陰謀・謀略が隠れています。
 医療マンパワーを高度急性期総合病院・救命救急センターに集約化・重点化するのは、ある意味では妥当ですが、その後方病院の医療パワーが落ちれば、患者、特に重症患者は、高度急性期総合病院から後方病院へ転院できず、長期入院化するという矛盾が生じます。
 やはり、医療費の増額、医師・看護師・コメディカルおよびそのサポーターの増員が必要です。

 上記の厚生労働省の旧態依然とした論法に則り、これからも医療提供体制の構築・診療報酬改定がなされるかと思うと、我々医療現場はモチベーションが益々下がると思います。
 机上のまやかしの理論 (空論) ではなく、斬新な発想の転換が望まれます。

(3)資料2の(a)が、資料2-(b)~(e)に繋がり、そしてそれが、資料2の(f)の 「医療機関の淘汰」・「医療費の適正化=削減」・「介護保険制度の改悪」・「がん対策推進計画・地域ケア整備構想・健康増進計画の計画倒れ・構想倒れ」・「診療報酬改定=改悪」 をもたらし、「医療崩壊」・「医療破壊」 という負のスパイラルが止まらないという最悪の結果を生じさせます。

(4)下記のことは、当ブログにて、何回も何回も繰り返して主張してきたことですが、何回言っても言い足りません!

 厚生労働省は、財務省の財政再建・医療費削減の圧力に屈し、これまで様々な①医療制度改悪、②診療報酬改定 (改悪)、③介護報酬改定・改悪 [要介護認定の厳格化 (平成21年4月より更なる改悪!)、介護給付費の抑制 (平成21年度介護報酬改定における改定率プラス3%では不足!)]、④悪名高き障害者自立支援法 (応益負担→応能負担等、抜本的見直しが実現?)、⑤悪名高き後期高齢者医療制度の導入 (政権与党が約束した抜本的見直しは遅々として進まず) 等を行ってきました。

 厚生労働省は、日頃は、「患者・高齢者・介護サービス利用者・障害者の視点を一番大事にします」 と言っておきながら、肝心な時には、「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「医療費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「診療報酬支払い側の視点」・「介護保険料の視点・市町村の視点」の方を重視してきました。

 この自己矛盾を打破し、国民の安心・安全・納得・満足のために、国民本位の社会保障政策、医療・介護・福祉政策、診療報酬改定、介護報酬改定、障害のある方ならびに高齢者に対する施策を施行することを切望します。

 また、「まやかしのエビデンス」 ではなく、現場の医療介護福祉従事者・患者・介護サービス利用者・障害のある方・高齢者・家族・地域住民等が納得する 「真のエビデンス」 に基づく診療報酬改定・介護報酬改定・障害者自立支援法見直し等を行って頂きたいと思います。

【関連記事】
 ◎地域包括ケアの実現に向けて (講演:厚生労働省・宮島老健局長)
 ◎厚生労働省のキャッチフレーズ及び行動指針の策定について
 ◎回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎水面下で決まった2008年度診療報酬改定の改定率





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平成21年度介護報酬改定 関係通知改正案 (たたき台) 短時間通所リハ

 平成21年2月19日に開催された全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議において、「介護報酬改定関係通知の改正案 (たたき台)」 が提示されましたので、参考までに、主に短時間通所リハビリテーションに関する部分を紹介します。

【介護報酬改定関係通知の改正案 (たたき台) 】

●短時間 (1時間以上2時間未満) 通所リハビリテーション

8.通所リハビリテーション費

(3)短時間リハビリテーションの取扱いについて
「研修」 とは、運動器リハビリテーションに関する理論、評価法等に関する基本的内容を含む研修会であって、関係学会等により開催されているものを指す。
 具体的には () 日本運動器リハビリテーション学会の行う運動器リハビリテーションセラピスト研修、() 全国病院理学療法協会の行う運動療法機能訓練技能講習会が該当するものである。
1時間以上2時間未満の通所リハビリテーション( ③に該当する場合を除く。) については、短期集中リハビリテーション加算の算定は可能であるが、個別リハビリテーション加算の算定はできない。
③看護師、准看護師、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師による1時間以上2時間未満の通所リハビリテーションを算定する場合は、短期集中リハビリテーション実施加算及び個別リハビリテーション実施加算についてはいずれも算定できないこと。
④注4における 「専従」 とは、当該通所リハビリテーション事業所において行うリハビリテーションについて、当該リハビリテーションを実施する時間に専らその職務に従事していることで足りるものとすること。

(7)平均利用延人員数の取扱い
 (前略)。なお、1時間以内2時間未満の報酬を算定している利用者については、利用者数に四分の一を乗じて得た数を用いるものとすること。

(10)リハビリテーションマネジメント加算の取扱い
①リハビリテーションマネジメント加算は、一月に8回以上通所している場合に、一月に1回算定するものとすること。ただし、指定通所リハビリテーションの利用を開始した月にあって、個別リハビリテーション、短期集中リハビリテーション又は認知症短期集中リハビリテーションを行っている場合にあっては、8回を下回る場合であっても、算定できるものとする。
(中略)
④リハビリテーションマネジメント加算はリハビリテーション実施計画原案を利用者又はその家族に説明し、その同意を得られた日の属する月から算定を開始するものとすること。

(11)短期集中リハビリテーション実施加算の取扱い
 短期集中リハビリテーション実施加算における集中的な通所リハビリテーションとは、退院 (所) 日又は認定日から起算して一月以内の期間に行われた場合は一週につき概ね2回以上、一回当たり40分以上、退院 (所) 日又は認定日から起算して一月を超え三月以内の期間に行われた場合は一週につき概ね2回以上、一回当たり20分以上の個別リハビリテーションを行う必要があること。
 なお、指定通所リハビリテーションの利用を終了する日の属する月にあっては、一月に8回以上通所していないためにリハビリテーションマネジメント加算を算定できない場合であっても、本加算を算定することができることとする。


【参考】

(12)個別リハビリテーション実施加算の取扱い (短時間通所リハビリテーションでは算定不可)
 指定通所リハビリテーションの利用を終了する日の属する月にあっては、一月に8回以上通所していないためにリハビリテーションマネジメント加算を算定できない場合であっても、本加算を算定することができることとする。
 また、以下の疾患を有する者であって、指定通所リハビリテーション事業所の医師の診察内容及び運動機能検査の結果を基に、リハビリテーションの提供に関わる理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士、看護職員又は介護職員等が協働して作成する通所リハビリテーション実施計画において、一月に8回以下の通所であっても効果的なリハビリテーションの提供が可能であると判断された場合についても同様とする。
a.高次脳機能障害 (失語症を含む。)
b.先天性又は進行性の神経・筋疾患 (医科診療報酬点数表における難病患者リハビ
  リテーション料に規定する疾患)

(13)認知症短期集中リハビリテーション実施加算の取扱い

①認知症短期集中リハビリテーションは、認知症利用者の生活機能の改善を目的として行うものであり、記憶の訓練、日常生活活動の訓練等を組み合わせたプログラムを週二日実施することを標準とする。

②当該リハビリテーション加算は、精神科医師若しくは神経内科医師又は認知症に対するリハビリテーションに関する専門的な研修を修了した医師により、認知症の利用者であって生活機能の改善が見込まれると判断された者に対して、生活機能の改善を目的として、リハビリテーションマネジメントにおいて作成したリハビリテーション実施計画に基づき、医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士 (以下この項において 「理学療法士等」 という。) が記憶の訓練、日常生活活動の訓練等を組み合わせたプログラムを実施した場合に算定できるものである。
 なお、記憶の訓練、日常生活活動の訓練等を組み合わせたプログラムは認知症に対して効果の期待できるものであること。

③当該リハビリテーションに関わる医師は精神科医師又は神経内科医を除き、認知症に対するリハビリテーションに関する研修を修了していること。
 なお、認知症に対するリハビリテーションに関する研修は、認知症の概念、認知症の診断及び記憶の訓練、日常生活活動の訓練等の効果的なリハビリテーションのプログラム等から構成されており、認知症に対するリハビリテーションを実施するためにふさわしいと認められるものであること。

④当該リハビリテーションにあっては、一人の医師又は理学療法士等が一人の利用者に対して個別に行った場合にのみ算定する。

⑤当該加算は、利用者に対して、20分以上当該リハビリテーションを実施した場合に算定するものであり、時間が20分に満たない場合は、算定を行わないものとする。

⑥当該リハビリテーションの対象となる入所者はMMSE(Mini Mental State Examination) 又はHDS-R (改訂長谷川式簡易知能評価スケール) において概ね5点から25点に相当する者とする。

⑦当該リハビリテーションに関する記録(実施時間、訓練内容、訓練評価、担当者等)は利用者毎に保管されること。

⑧注11の短期集中リハビリテーション実施加算を算定している場合であっても、別途当該リハビリテーションを実施した場合は当該リハビリテーション加算を算定することができる。

⑨当該リハビリテーション加算は、当該利用者が過去三月間の間に、当該リハビリテーション加算を算定していない場合に限り算定できることとする。
 なお、指定通所リハビリテーションの利用を終了する日の属する月にあっては、一月に8回以上通所していないためにリハビリテーションマネジメント加算を算定できない場合であっても、本加算を算定できることとする。


●介護保険法施行規則の一部を改正する省令の施行についての課長通知 (たたき台)

2.通所リハビリテーションに関すること (施行規則第127条)


(1)法第71条第1項の規定に基づき、病院等が健康保険法第63条第3項第1号の規定により保険医療機関の指定があったときに、その指定の際に当該病院等により行われる居宅サービスに係る法第41条第1項の指定があったものとみなされるサービスに、通所リハビリテーションを加えること。
 なお、介護予防サービスにおいても同様の改正を行うこと。

(2)法第71条第1項の規定に基づいて通所リハビリテーションの指定があったものとみなされる病院等については、通所リハビリテーションが実施される病院等の環境にかんがみ、診療報酬の算定方法 (平成20年厚生労働省告示第59号) 別表第1医科診療報酬点数表の脳血管疾患等リハビリテーション料又は運動器リハビリテーション料に係る施設基準に適合しているものとして届出をしていることを想定している。
 なお、介護予防通所リハビリテーションにおいても同様であること。

(3)改正省令の施行の際、現に通所リハビリテーションに係る法第41条第1項本文の指定を受けている病院等の開設者については、当該指定に係る法第70条の2の指定の更新の際にみなし規定に切り替えることとし、その際、事業所番号の取扱いについては、従前の事業者番号を用いること。
 なお、介護予防通所リハビリテーションにおいても同様であること。

 本件に関連して、当ブログ記事 [「平成21年度介護報酬改定 (医療機関による短時間通所リハビリ)」] において紹介した、日経ヘルスケア2009年2月号 の短時間通所リハビリテーション解説記事では、次のように述べられています。

●一方、整形外科の診療所にとって、みなし指定のメリットはほとんどない。
 「診療所が外来で行う運動器リハビリの患者の大半は、要介護認定を受けると要支援のランク。みなし指定を受けても、対象となる要介護1以上の人は少数しかいない」 (日本臨床整形外科学会理事長の藤野圭司氏)。
 診療所にとって悩ましいのは、介護予防通所リハビリがみなし指定の対象外になることだ。「介護予防の実施時間には定めがなく、制度上、短時間のリハビリを行えるため、みなし指定は必要ない」 というのが厚労省の見解。
 だが、2010年度診療報酬改定で、仮に算定日数上限を超えてリハビリの算定ができなくなれば、患者確保のために介護予防の指定を受けざるを得ない。人員配置や設備、運営に関する基準を満たさなければならない手間から、転換を断念すれば、患者を失いかねない。
 診療所は今後、生き残りをかけて厳しい選択を迫られそうだ。

 
 上記のたたき台によると、介護予防通所リハビリテーションもみなし指定OKであり、上述の整形外科診療所の将来像・経営戦略が変わってくると考えられますが、正式な通知の発出待ちといえます。
 

 以上、主として短時間通所リハビリテーションに関する 「介護報酬改定関係通知の改正案 (たたき台)」 を紹介しました。

 あくまで、現時点でのたたき台 (ほぼ完成版とは思いますが・・・) ですので、ご了承下さい。





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地域包括ケアの実現に向けて (講演:厚生労働省・宮島老健局長)

 Japan Medicine (2009/2/18) によると、厚生労働省の宮島俊彦老健局長は2月14日、都内で開かれた国際医療福祉大・医療福祉経営審査機構共催の医療経営セミナー 「平成21年度介護報酬改定への対応と課題」 において、基調講演 「地域包括ケアの実現に向けて」 を行いました。講演要旨は下記の通りです。

①宮島局長は、次期介護報酬改定で介護従事者の勤続年数などの評価を導入したことに関し、「本当は利用者に対する質の評価が必要」 と指摘。
 介護サービスの質の評価に当たって 「P4P (Pay for Performance) といった評価を介護報酬に導入できないかという考えが上っている」 と話した。
 P4Pは米国のメディケアで始まった医療提供の質に基づく支払い方式で、臨床実績に対し診療報酬を優遇する。

②宮島局長はさらに、「介護人材確保のためにはキャリアラダーも必要。これらをどういった形で制度にうまく取り込むかが次の介護報酬改定の課題」 と述べた。

③介護保険の財源については、「介護報酬は今後も引き上げていかないと、マンパワー確保や処遇改善ができない。そういった意味で財源的な問題がでてくる」 と指摘。
 第3期(2006~2008年度)の65歳以上の第1号介護保険料4,090円について、「4,090円をいつまで払えるのか、限度があるのではないかという議論がある。今後介護報酬を引き上げるとなると、保険料をどうするか工夫しなければならない」 と話した。

社会保障国民会議の改革シナリオ (2025年) で、社会保障費増の方向性が示されたことに対しては、「内閣府の考えでは、医療・介護体制をより充実し問題を解決する方向性で提言したと受け止めてもらいたい」 と話した。その上で、スウェーデンなど高福祉国のGDPや消費税率が高いことに触れて、「消費税が高いと経済成長が悪いというのはおかしな話。医療や介護は公共事業と同じような効果がある」 と述べ、社会保障費増の必要性を強調した。

⑤宮島局長はこのほか、「ヨーロッパ諸国では介護職員にも医療行為をさせるという趨勢だが、基礎的な部分で医療と介護の両方を介護職員ができることにしないと、高齢社会でケアの需要に対応するのは難しい」 と述べ、専門職間の役割分担の見直しが必要との見方を示した。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記①において、宮島局長は、介護サービスの質の評価に、P4P (Pay for Performance) 評価を介護報酬に導入できないかという考えを述べています。

 P4Pは、米国医学院が次のように定義しています。

●P4Pとは、EBMに基づいて設定された基準や指標で、医療の質を測定し、その結果に基づいて質の高い医療提供に対して経済的インセンテイブを与えることである。
 その目的は単に高質で効率的な医療にボーナスを与えることにとどまらず、高質の医療への改善プロセスを促すことにある (2006年)。

 日本版 P4P は、平成20年度診療報酬改定において既に導入されています。
 「回復期リハビリテーション病棟入院料1」・「重症患者回復病棟加算」・(「褥瘡評価実施加算」) における成果主義の導入です。
 但し、問題は、欧米の P4P がプロセス評価が中心であるのに対して、日本版 P4P がアウトカム評価であるということです。
 アウトカム評価は、患者の原疾患の重症度、合併症・併存疾患、病前ADL、介護者、環境要因等に大きく左右されるので、P4Pの指標としてはあまり勧められないと考えられています。

 回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義については、中医協診療報酬改定検証部会で検証される予定ですので、その結果を見てからの、介護保険への P4P の導入と考えられます。(拙速な導入は避けるべきと思います)。

 また、回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義に関しては、以前の当ブログの記事 [「回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)」] も、ご参照下さい。

(2)上記②に関しては、キャリアラダー (キャリア開発教育システム) は、特に看護部門で導入され、成果を上げています。
 したがって、それに準じて、介護職員のキャリアラダーシステムをできる限り早期に構築・実施し、介護職員のモチベーションアップ・離職防止等に活用して頂きたいと思います。

(3)上記③については、
 (a) 介護サービス提供者のための介護報酬引き上げ
 (b) 介護報酬引き上げと相反する、介護サービス利用者の自己負担・支給限度額
   の問題

 (c) 介護報酬引き上げによる、介護保険料の引き上げ・消費税増税に伴う国民の
   負担

 (d) 介護報酬引き上げと相反する、市町村の負担増大
という複雑な連立方程式をどのように解いていくか、厚生労働省の手腕が期待されます!?。

 また、「masaの介護福祉情報裏板」 ブログの記事 「介護保険制度の対象年齢は広げられない?」 において、次のように、警鐘も含めて、述べられています。

●介護保険制度は制度創設時に受益者負担の原則をスローガンにして、それまでの介護サービスの多くが措置制度を始めとした応能負担であったものを、応益負担に変えたもので、今現在もその考え方が引き継がれている。つまり利用者1割負担を原則とする定率負担である。
 よって今回の障害者自立支援法の見直しは、介護保険制度と障害者サービスがまったく別な費用負担制度になることを意味し、両者の統合は事実上不可能になったことを意味し、それは介護保険の被保険者の対象年齢の引下げが事実上不可能になったことを意味しているのではないかと考える。
 そうなると当面、2号被保険者は40歳以上という現行ルールの変更はされないだろうし、3年後の制度改正の本丸は、どうやら自己負担率 (現行の利用者1割負担) のアップとなるのではないだろうか。
 特に3年後は診療報酬とのダブル改正であることから、それに併せる形で、2割負担あるいは3割負担まで議論される可能性が高いといえるだろう。


(4)上記④に関しては、社会保障国民会議の改革シナリオが、消費税増税を正当化する手段として、財務省に悪用されないように、国民一同が充分監視しなければならないと思います。宮島局長も 「消費税が高いと経済成長が悪いというのはおかしな話」 と述べていますので・・・。
 その意味では、宮島局長の 「内閣府の考えでは、医療・介護体制をより充実し問題を解決する方向性で提言したと受け止めてもらいたい」 という言葉はむしろ空疎に聞こえます。

 一方、『「医療や介護は公共事業と同じような効果がある」 と述べ、社会保障費増の必要性を強調した』 という文章には唖然としました。
 以前の当ブログの記事 [「医療立国論Ⅱ 厚生労働省解体-医療庁を設置せよ! (大村昭人氏著)」] で述べていますが、これまで 「医療費亡国論」 に則り、「医療費抑制・医師不足→医療崩壊・医療破壊」 の張本人の一人である方が、上記のような180度正反対の言葉を仰るとは・・・。

(5)上記⑤に関しては、以前の当ブログの記事 (「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケア」) で論じていますが、「介護従事者による医療行為の一部許容」 (特に、経鼻経管栄養及び胃瘻による栄養管理、喀痰吸引) を意図しています。

 平成21年2月12日に開催された 「第1回特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」 においては、法曹・看護・日本医師会サイドより、否定的な発言が出ましたが、うまくソフトランディングするよう、厚生労働省には頑張って頂きたいと思います。
 但し、厚生労働省が、「医療費抑制・介護保険料抑制」 のことばかり考えて、「要介護者の安全」 ならびに 「介護従事者の防護・庇護」 がおろそかにならないように充分配慮して頂きたいと思います。

(6)以上、厚生労働省の宮島俊彦老健局長の基調講演 「地域包括ケアの実現に向けて」 について考察しました。

 以前の当ブログ記事 [『介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)』、「厚生労働省のキャッチフレーズ及び行動指針の策定について」、「平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解」] で述べたように、厚生労働省は、日頃は、「患者・高齢者・介護サービス利用者の視点を一番大事にします」 と言っておきながら、肝心な時には、「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「介護保険料の視点・市町村の視点」 の方を重視してきました。
 この自己矛盾を打破し、国民の安全・安心・納得・満足のために、国民本位の社会保障政策、医療・介護・福祉政策の立案・実施を切望します。
 また、「まやかしのエビデンス」 ではなく、現場の介護従事者・サービス利用者・家族等が納得する 「真のエビデンス」 に基づく介護報酬改定を行って頂きたいと思います。




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DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)

 DPCに関して、現行の調整係数に代わる新機能評価係数を検討している中央社会保険医療協議会 (中医協) 診療報酬基本問題小委員会および診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会における、これまでの 「新機能評価係数」 についての議論は、「大病院・特定機能病院・高度急性期総合病院・地域基幹病院 (地域拠点病院) の視点」 での議論に比較的偏っており、「中小病院の視点」 での議論は、あまり活発ではなかったと考えられます。

 Japan Medicine (2009/2/16) によると、平成21年2月12日に開催されたDPC評価分科会において、厚生労働省保険局医療課企画官が次のように発言しています。

●厚労省:幅広い視点での議論を要望

 厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、今後、DPC対象病院として中小病院が多く参入してくる現状にあることや、機能評価係数は必ずしも大病院向けだけのものではないとの基本的考え方を説明。
 その上で、「係数には大病院向けの係数、中小病院向けの係数があるが、中小病院向けの係数を設定したことで大病院がマイナス評価を受けることはない」 とし、機能評価係数の基本的考え方に沿って検討することを明言し、幅広い視点での議論を求めた。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。
 なお、「地方」 というファクターは、問題を複雑化しますので、下記の 「ケアミックス型病院」・「中小病院」 に関する考察からは、敢えて除外しています。

(1)中小病院とは、200床未満の病院 (20~199床) のことですが、その内、DPC対象病院・DPC準備病院には、次のようなパターンが考えられます。

 ①全て 「急性期一般病棟」 の急性期中小病院
  (a) 「専門特化型」 急性期中小病院
  (b) 「複数 (不完全) 専門特化型」 急性期中小病院
  (c) 「準総合病院型」 急性期中小病院

 ②ケアミックス型中小病院
  ●急性期一般病棟と下記の病床・病棟との組合せ
    ◎亜急性期病床 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回復期リハビリ
     テーション病棟)
    ◎療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)
    ◎特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
  (a) 「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (b) 「複数 (不完全) 専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (c) 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院
  (d) 「認知症の合併症がある高齢者の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の
    急性増悪等の急性期患者・(急性期後)・(慢性期患者の急性増悪時)」 用の急性
    期一般病棟を持つケアミックス型中小病院

(2)現在、ケアミックス型病院 (200床以上の大病院と200床未満の中小病院との両方を含む) はDPC対象病院になることは可能ですが、その決定までには紆余曲折がありました。
 上記の小委員会・分科会におけるケアミックス型病院の議論過程は、CBニュースの記事 (「ケアミックス型もDPC対象に-基本小委了承」) (2008/11/19) および Online Med の記事 (「ケアミックス型病院もDPCの対象、中医協が方針決定 急性期病院との違いはない」 (2008/11/19) 等によると、下記の通りです。

①当初、DPC対象病院にケアミックス型病院を含めるかどうかが検討課題の一つになっており、どちらかといえば、「ケアミックス外し」 の方向であった。
 というのは、全国に約700か所ある 「2007年度DPC準備病院」 のうち、ケアミックス型が6割以上を占め、全病床に対するDPC算定病床の割合が50%未満の病院も約9%あったからである。
 また、ケアミックス型病院において、「患者を一般病床と療養病床等とでキャッチボールするのではないか」・「後方病床があるケアミックス型病院とそれがない一般急性期病院とでは、平均在院日数等で不公平が生じるのではないか」 等の懸念があったからでもある。

②しかしながら、厚生労働省が提出した資料により、下記のことが判明した。
 DPC対象病院とDPC準備病院の両方において、ケアミックス型病院のDPC算定病床の割合が少なくても、平均在院日数・救急搬送件数・肺炎等による緊急入院割合・再入院率などにおいて、ケアミックス型病院とDPCのみの病院との間に明らかな差がみられなかった。
 また、「DPC算定病床の割合が小さい病院では、一部の疾患で、手術などを行う患者の割合が少ない傾向にあるものの、それらは診断群分類が別なものとなることから、大病院で実施される手術などを伴う症例の点数設定には影響しない」 として、医療資源の投入の少なさから、DPC点数が低めに設定されることになるのではないかとする大規模病院側からの懸念も問題はないとした。

③このため、西澤寛俊委員 (全日本病院協会会長) は、「ケアミックス病院とそれ以外に差がないなら、当然、すべてを対象に含めていいのではないか」 と指摘。その上で、「2007年度DPC準備病院」 について、基準を満たすことを前提に、来年度、DPC対象病院に加えるよう提案した。

④これに対して、支払側の対馬忠明委員 (健保連専務理事) は、「それはそれでいい」 と同意する一方、医療機関の機能分化が今後、進むのに合わせて、将来的にあらためて議論する必要があるとの認識も示した。

⑤DPCの拡大に慎重な姿勢を持っている日本医師会常任理事の藤原淳委員は、「ケアミックス型を入れることで、急性期病院を対象にする (本来の) 方向と違和感がある」 と指摘した。

⑥これに対して、厚労省側は、「DPCの算定対象とするのは、病院ぐるみというより、急性期病棟という整理だ」 と述べ、ケアミックス型の病院には、DPCを算定する急性期病床のみのデータ提出を求める方針を説明した。

⑦西澤委員は、ケアミックス型の病院では、急性期と慢性期とを区別せずに運営していると誤解されていると指摘した。
 その上で、ケアミックス型について、「(一つの) 病院の中に、明らかに機能の違う病院が2つあると考えていただきたい」 と説明した。

⑧最終的に、ケアミックス型病院をDPC対象病院に加えることへの反対意見はなく、了承された。

(3)一方、中小病院については、現実に、約700の 「2007年度DPC準備病院」 のうち、約半数が200床未満の中小病院であり、DPC対象病院は、当初想定された 「高度急性期病院の代名詞」 とは言えない状況になっています。
 しかしながら、上記小委員会・分科会の議論において、DPCと 「ケアミックス型病院・地方の病院」 に関しては割と論議されていますが、純粋に、「中小病院」 とDPCに関しては、あまり討議されていないと思われます。

 というのも、中小病院 (特に民間中小病院) については、当初は、高度急性期医療およびDPCを断念して、亜急性期以降の医療を担ってもらうという厚生労働省の認識だったからです。
 即ち、中小病院の役割として、次のような 「亜急性期病院、慢性期病院、ケアミックス型病院、介護保険施設」 が想定されていました。
 ①軽度 (~中等度) の救急・急性期医療 (特に、認知症の合併症がある高齢者の骨折
  等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の救急・急性期患者)
 ② 「急性期後」 の亜急性期医療 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回復期
  リハビリテーション病棟)
 ③慢性期医療 [療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)]
 ④特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
 ⑤在宅医療
 ⑥場合によっては、介護療養型老人保健施設への移行

 但し、上記(1)で示した①-(a) の 「専門特化型」 急性期中小病院、あるいは、②-(a) の 「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院は、場合によっては、大病院等よりも、質の高い効率的なDPC対象病院であることが少なくないということで、このような病院にインセンティブを与えるような 「新機能評価係数」 の設定が望まれます。(スケールメリット不足を補填する評価、高い専門性・充実したチーム医療への評価等)。

 一方、民間中小病院に比較的多い、(1)-①-(b) の 「複数 (不完全) 専門特化型」 急性期中小病院および(1)-②-(b) の 「複数 (不完全) 専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院、あるいは、(1)-②-(d) の 「認知症の合併症がある高齢者の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の急性期患者・(急性期後)・(慢性期患者の急性増悪時)」 用の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、基本的には、DPCに馴染まず、医療マンパワー不足もあることから、将来的には亜急性期以降への移行を促される可能性が高いと考えられます。

 また、地方の中小自治体病院に多い、(1)-①-(c) の 「準総合病院型」 急性期中小病院および(1)-②-(c) の 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、総務省・公立病院改革ガイドライン (平成19年12月) を厳格に適用すると、廃止・民営化の道をたどると考えられます。
 しかし、その病院が、地域唯一の病院であり、不採算医療 (政策的医療や救急医療等) を担っているということで、充分な公的支援があれば、(DPC適用の可否は別として)、存続できると考えられます。

(4)「地方」 のファクターに関しては、2009年2月12日のDPC評価分科会にて論議されました。
 議論の内容は、CareNet.com (2009/2/16) の記事 「地域の病院にDPCは不利 DPC評価分化会で佐久総合病院が問題提起」 および Japan Medicine (2009/2/16) の記事 「診療ガイドラインの係数化をめぐり論戦 DPC評価分科会 適切な評価係数の考え方ヒアリング」 によると下記の通りです。

 JA長野厚生連・佐久総合病院の西澤延宏診療部長は、「地方にも目配りした機能評価係数を」 と題した報告書を提出し、地域医療を支える地方の病院は、「高齢者が多く、医療コストが相対的に高い」・「医療圏が広域にわたる」・「周辺の医療機関が乏しく機能分化が困難」・「連携施設不足」 など、都市部に比べDPCの制度化では不利な点が多い、との考え方を示した。
 その上で、地方病院の医療を評価する観点から、①患者の年齢構成による評価 (高齢者診療機能)、②マグネットホスピタルとしての地方の診療所や中小病院への医師派遣機能に対する評価、③入院時医学管理加算の外来縮小要件の廃止、④在宅医療への評価、などを求めた。

 これに対して、小山信彌委員 (東邦大医療センター大森病院教授) は、「地方の病院だけでなく、都市部の病院も同様の状況だ」 とし、地方限定の評価軸ではないとの認識を示した。

(5)上述の通り、中小病院については、「地方」・「ケアミックス」・「公立・民間 (公私格差要因も含めて)」 の多因子が複雑に絡み、DPCとの整合性を図ることが非常に難しい面があります。
 しかしながら、DPC対象病院として相応しいと考えられる中小病院については、当ブログ記事 (『DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件』・『DPC 「新機能評価係数」 (松田研究班長・私案)』) で示している 「新機能評価係数」 候補35項目DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件 (厚生労働省)新機能評価係数に関する8項目 (松田研究班長・私案)、その他、において、当該中小病院に相応しい項目を、入念に精査・抽出あるいは新規作成、そして正式項目化を行って頂きたいと思います。
 
(6)以上、今後の中医協診療報酬基本問題小委員会およびDPC評価分科会の動向が注目されます。

 また、各DPC病院における周到な対策・準備のため、できるだけ早期の 「新機能評価係数」 決定を切望します。





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これからの人工呼吸-非侵襲的陽圧換気療法 (NPPV)

 近年、急性期リハビリテーションの分野において、急性呼吸不全および慢性呼吸不全の急性増悪等に伴う人工呼吸器装着患者に対する呼吸リハビリテーションのニーズが益々高まっています。

 セラピストも、スキルアップ・キャリアアップのため、3学会合同呼吸療法認定士の資格取得の機運が高まっており、呼吸療法認定士に対する診療報酬上のインセンティブ [呼吸器リハビリテーション料 (Ⅰ) の施設基準] も既に導入されています。(将来的には、もう少し高いインセンティブの導入が望まれます)。
 
 一方、人工呼吸療法において、本邦では、気管切開人工呼吸 (TPPV:tracheostomy positive pressure ventilation) が主流ですが、欧米では超急性期のICUから在宅まで、非侵襲的陽圧換気療法 (NPPV:non-invasive positive pressure ventilation) が人工呼吸療法の主流になりつつあります。

 NPPVは、「患者にやさしい治療」 (下記の記事および下記の看護雑誌の 「紹介文」 参照) という大きなメリットがある反面、「医療者にとっては 『侵襲的』」 (排痰・気道クリアランス保持等、リスクマネジメントおよびケアに係るマンパワーやスキルを、TPPVよりも必要とする場合がある) というデメリットもあります (詳細は下記記事参照)。

 週刊医学界新聞 (2009/2/16) に、NPPVに関する記事が掲載されています。
 記事の全文・参考資料が、下記のウェブサイトにアップロードされていますので、興味ある方は、(長文ですが)、ご参照下さい。

座談会・これからの人工呼吸-非侵襲的陽圧換気療法NPPVの展望と課題


 この記事の中で、『JJNスペシャル 2008年09月号 (通常号) (No.83) 「NPPV (非侵襲的陽圧換気療法) のすべて-これからの人工呼吸」 (編者:石川悠加・国立病院機構八雲病院小児科医長)』という看護雑誌のことが、編者から下記のように紹介されています。

 欧米では超急性期のICUから在宅まで、人工呼吸療法の主流になりつつあるNPPVですが、わが国では評価をされながらも、爆発的に広がったとは言えない状況で推移しています。
 初めての導入がうまくいかずに、あきらめてしまった施設も少なくないのではないでしょうか。
 ひとつでも多くの施設に成功してほしいという願いを込めて発行しました。



 また、同看護雑誌の 「紹介文」 は、下記の通りです。

 NPPV (非侵襲的陽圧換気療法) は、マスクやマウスピースなど、非侵襲的なインターフェースを使った人工呼吸です。
 人工呼吸としての効果は、従来の人工呼吸と同じか、それ以上のことも。
 急性呼吸不全から慢性呼吸不全まで、適応がますます拡大し、すでに欧米での人工呼吸の主流はNPPVになっています。
 すぐ始められて、すぐ止められて、自己抜管の心配もなく、人工呼吸器関連肺炎のリスクが軽減。
 一番のメリットは、患者さんのQOLの維持・向上ができること。
 人工呼吸をしながら、食べることも、話すことも可能です。
 問題は、まだ使い慣れていない方法であること。
 どうすれば、効果的に、安全に、NPPVを活用できるか? それは、この本を読めばわかります。



 呼吸リハビリテーションに携わっている呼吸療法認定士 (特にNPPVの経験があまり深くない方) のみならず、呼吸療法認定士の資格取得を目指している方も含めて、各専門職種の方々等に、ご一読をお勧めします。(コメディカル目線の非常に分かり易い内容です)。
 また、下記の 「NPPVハンドブック」 (医学書院、2006) も推奨されます。


● 「NPPV (非侵襲的陽圧換気療法) のすべて-これからの人工呼吸
   JJNスペシャル 2008年09月号 (通常号) (No.83) [医学書院]
   (編者:石川悠加・国立病院機構八雲病院小児科医長)


「NPPVハンドブック」 (医学書院)

NPPVハンドブックNPPVハンドブック
(2006/05)
聖路加国際病院呼吸療法チーム

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歯科レセプト審査に対する厚生労働省の介入による査定率の大幅減

 2009年2月17日の asahi.com (朝日新聞) に、下記の興味深い記事が掲載されていますので紹介します。

(資料) 歯科レセプト審査、厚労省 「介入」 で支払い不認可9割減

①歯科医からの診療報酬請求を審査する社会保険診療報酬支払基金の神奈川県の審査委員会で、審査のあり方に厚生労働省が 「介入」 した結果、支払いを認めない処分件数が従来の10分の1にまで減少、請求に占める処分の割合が全国最低レベルになったことが分かった。
 「審査の独立性が損なわれた」 と委員から反発の声が上がっている。

②神奈川県の歯科の審査は全国的に見て厳格という評判が高く、毎月、全体の2%弱 (全国平均は約0.5%) にあたる1万件程度について、請求を認めない処分 「査定」 をしてきた。
 こうした現状について、衆院神奈川5区の坂井学議員 (自民) が昨年、「神奈川は査定が飛び抜けて多い」 などと国会で2度にわたり問題にした。

③複数の審査委員からの取材によると、1月の審査委員会初日に、神奈川基金を管轄する関東信越厚生局神奈川事務所の指導医療官が委員に 「神奈川基金取決事項・取決が厳しいと思われる事項」 と題したリストを配った。
 その際の説明によると、厚労省医療課の歯科医療管理官と課長補佐が指導医療官にリストを手渡し、「査定率が高い。上の方は、このままだと問題になると言っている」 などと、リストの項目を査定しないよう要請したという。

④指導医療官と審査委員の話し合いで、急な要請で審査基準の統一が保てないため、原則として、レセプト (診療報酬明細書) の査定を一切せず、問題があるレセプトは医療機関に差し戻す 「返戻」 にすることになった。
 歯科担当の委員48人の多くが、この方針に従って査定をした。
 この結果、1月の査定は千件程度と、約10分の1に減り、査定率が全国で最も低い大阪府並みになった。
 一方、医療機関への返戻が通常の2,500件程度から約1万1千件に急増した。

⑤異例の事態に危機感を持った神奈川基金の事務局が 「事務局から見ても明らかなものは査定としてほしい」 と申し出るなど動揺が広がり、委員会終了後に本省の歯科医療管理官が神奈川基金で説明する騒ぎになった。
 委員からは 「目の前のレセプトが正しいか、正しくないかで、査定率は結果でしかない」・「高い査定率が問題なら低いほうも問題にすべきだ」 と批判が出た。

⑥この経過について、上條英之歯科医療管理官は 「リストは全国の基準を超えた神奈川独自の基準の疑いがある項目で、一律の判断をすることがないよう求めた。査定をしないよう求めたことはない」 と説明している。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)資料①の通り、神奈川県の社会保険診療報酬支払基金の審査委員会による歯科レセプト審査に対して、厚生労働省が介入し、査定率が 「大幅に減少」 という非常に珍しいことが起こりました。

(2)資料②~④の通り、神奈川県の社会保険診療報酬支払基金による歯科レセプト審査の査定率が、全国平均よりもかなり高いということで、自民党の坂井学衆議院議員 (神奈川5区) の政治的圧力もあり?、上記のような介入が行われ、結局、査定率が全国で最も低い大阪府並みになりました。

(3)資料①・④・⑤の通り、審査委員からは、「審査の独立性が損なわれた」・「査定率は結果でしかない」・「他県の低い査定率の方を問題にすべきだ」 との批判が続出しました。また、神奈川県の社会保険診療報酬支払基金も異例の事態に危機感を持ちました。
 これに対して、資料⑥の通り、厚生労働省保険局医療課歯科医療管理官は、「全国の基準を超えた神奈川独自の基準が問題。査定をしないよう求めたことはない」 と少し苦しい説明をしています。

(4)上記(3)の通り、レセプト審査においては、医科・歯科ともに、レセプト審査基準に、都道府県による独自基準・地域格差があり、現場の医療機関が一番困っています。
 厚生労働省は、中央官僚特有の 「全国一律」 の原則・査定率を主張し、一方、都道府県の支払基金・審査委員は 「審査の独立性」 に由来する? 「独自基準」 を主張しています。
 しかしながら、現場の医療機関が一番望むのは、(「全国一律の査定率」 でもなく、「都道府県独自の審査基準 (それに伴う地域格差)」 でもなく)、「全国一律の (地域格差のない、統一された) レセプト審査基準および審査基準の透明性・説明責任」 であり、そのことを関係者の方々にきちんと認識して頂きたいと思います。

(5)以上、「歯科レセプト審査に対する厚生労働省の介入による査定率の大幅減」 について論じました。

 特に、リハビリテーション医療におけるレセプト審査においては、他の診療報酬と異なり、リハビリテーションに関する理解不足等による理不尽査定・曖昧査定・地域格差・エビデンスのない査定・数字の辻褄合わせの経済審査が目立つ (特に国保) ため、関係者の方々には善処して頂きたいと切に思います。




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平成21年度介護報酬改定 (医療機関による短時間通所リハビリ)

 日経ヘルスケア2009年2月号 「特集② 速報! 09年度介護報酬改定 プラス3%の中身は? 訪問介護と通所介護で明暗」 に、短時間通所リハビリテーションの解説記事が掲載されていますので紹介します。


(資料1) 短時間通所リハビリテーション

 リハビリテーションの利用者が、医療保険から介護保険に移行しても、ニーズに沿ったサービスを継ぎ目なく一貫して受けることができるよう、短時間・個別のリハビリテーションについての評価を行うとともに、リハビリテーションの実施者について医療保険との整合性を図る。
 また、理学療法士等を手厚く配置している事業所を評価する。
 さらに、医療保険において、脳血管等疾患リハビリテーション又は運動器疾患リハビリテーションを算定している病院・診療所については、介護保険の通所リハビリテーションを行えるよう 「みなし指定」 を行う。

①通所リハビリテーション (1時間以上2時間未満) 【通常規模型】 (新規)
  要介護1:270単位、要介護2:300単位、要介護3:330単位、
  要介護4:360単位、要介護5:390単位
  (a) 個別リハビリテーションを20分以上実施した場合に限り算定
  (b) 医師又は理学療法士が個別リハビリテーションの実施前に指示を行い、か
   つ、当該個別リハビリテーションの実施後に当該療法に係る報告を受ける
   場合であって、定期的に適切な研修を修了している看護師、准看護師、柔
   道整復師又はあん摩マッサージ指圧師
が個別リハビリテーションを行う場
   合は、所定単位数の100分の50に相当する単位数を算定する。
  (c) 理学療法士等体制強化加算 (新規):30単位/日
    ◎算定要件:常勤かつ専従の理学療法士等を2名以上配置していること。

②短期集中リハビリテーション実施加算
 早期かつ集中的なリハビリテーションをさらに充実する観点から評価を見直すとともに、3か月以内に限定にする。併せて、3か月以降の個別リハビリテーションについて、新たな評価を行う。
 ◎短期集中リハビリテーション実施加算
     退院・退所後又は認定日       退院・退所後又は認定日
     から起算して            から起算して
    1月以内:180 単位/日→→→→→→→1月以内:280 単位/日
    1月超3月以内:130 単位/日→→→→1月超3月以内:140 単位/日
  注1.上記①-(b) を算定している場合は算定しない。
  注2.リハビリテーションマネジメント加算を算定しない場合は算定しない。
  注3.個別リハビリテーション実施加算 [退院・退所後又は認定日から起算し
    て、3月超:80単位/日 (月13 回を限度)] は、短時間通所リハビリテー
    ションの場合、算定できない。

③リハビリテーションマネジメント加算
 リハビリテーションマネジメント加算について、リハビリテーションの定期的な評価として位置づけるとともに、事務処理の簡素化の観点から、月に1回評価を行うこととし、報酬額を再設定する。
 ◎リハビリテーションマネジメント加算:20単位/日→→→→230単位/月
   注.月に8回以上通所リハビリテーションを行っている場合に算定。


(資料2) 短時間リハは診療所に恩恵なし (註:日経ヘルスケア解説記事の見出し)

①通所リハビリの改定項目で最も注目されるのは、1時間以上2時間未満の短時間サービスの導入だ。
 その狙いは、医療機関が外来で行う維持期のリハビリの介護保険への移行にある。

②厚労省が維持期リハビリを介護保険へ移行させる方針を初めて打ち出したのは、2006年度診療報酬改定。
 だが、介護保険側にリハビリの受け皿が不足していたため、患者の移行は進まなかった。
 2008年度改定以降も暫定措置を設け、疾患別リハビリの算定日数上限 (脳血管疾患等:180日、運動器:150日) を過ぎても、医療保険での算定を月13単位まで認めている

③厚労省は外来リハビリの大半が1~2時間である点に着目し、次回改定では要介護者向けの通所リハビリに短時間サービスの報酬を新設。
 さらに、脳血管疾患等、運動器の疾患別リハビリ料を算定する医療機関が、短時間に特化した通所リハビリ事業所に転換できるように 「みなし指定」 を行う。

④理学療法士などによる20分以上の個別リハビリの提供を基本とし、介護報酬を1回270~390単位と、診療報酬より高く設定して移行を促す

⑤例えば、回復期リハビリ病棟を持つ病院が、退院して維持期に移行した患者に短時間の通所リハビリを提供する形が想定される。
 特に脳血管疾患等の患者の場合、要介護認定で要介護3、4に判定されるケースが多いため、大幅な増収が見込めるだろう

⑥一方、整形外科の診療所にとって、みなし指定のメリットはほとんどない
 「診療所が外来で行う運動器リハビリの患者の大半は、要介護認定を受けると要支援のランク。みなし指定を受けても、対象となる要介護1以上の人は少数しかいない」 (日本臨床整形外科学会理事長の藤野圭司氏)。

⑦診療所にとって悩ましいのは、介護予防通所リハビリがみなし指定の対象外になることだ。
 「介護予防の実施時間には定めがなく、制度上、短時間のリハビリを行えるため、みなし指定は必要ない」 というのが厚労省の見解。

⑧だが、2010年度診療報酬改定で、仮に算定日数上限を超えてリハビリの算定ができなくなれば、患者確保のために介護予防の指定を受けざるを得ない。人員配置や設備、運営に関する基準を満たさなければならない手間から、転換を断念すれば、患者を失いかねない。

⑨診療所は今後、生き残りをかけて厳しい選択を迫られそうだ。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)資料1・資料2-①~④の通り、平成21年度介護報酬改定で、脳血管等疾患リハビリテーションまたは運動器疾患リハビリテーションを算定している医療機関において、現在、外来で行っている維持期のリハビリテーションを介護保険に移行させるために、リハビリテーション特化型の短時間通所リハビリテーションが新設されました。
 また、「みなし指定」・「1単位当たりの診療報酬より、高い介護報酬 (270~390単位)」・「理学療法士等体制強化加算:30単位/日」・「短期集中リハビリテーション実施加算の増額 (特に1月以内)」 のインセンティブを設定しています。

(2)資料2-⑤にて、回復期リハビリテーション病棟を持つ病院が、退院して維持期に移行した患者に、外来で短時間通所リハビリテーションを提供する場合、(特に脳血管疾患等の患者で要介護3、4が多い場合)、大幅な増収が見込めると記しています。

 しかしながら、要介護3、4の方の場合、入浴サービス・送迎サービス・レスパイトも含めて、「長時間型の通所リハビリテーション」 を選択する可能性が少なくないと推察されます。(あるいは訪問リハビリテーションを利用)。
 一方、以前の当ブログ記事 [『介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」』、「平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)」] でも論じましたが、「利用者の自己負担・支給限度額」 の問題が、短時間通所リハビリテーションの利用頻度の阻害因子になると思われます。

(3)資料2-⑥~⑨は、整形外科の診療所にとっては厳しい指摘です。
 現在、整形外科診療所の外来リハビリテーションにおいては、要支援レベルの運動器リハビリテーション対象疾患患者が多いと思われます。したがって、要介護1以上が対象である短時間通所リハビリテーションを施行できる対象者はあまり多くないと思われます。
 また、以前の当ブログ記事 (「平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解」) にて論じましたが、平成21年4月から導入される新しい要介護認定システムにより、今まで以上に要介護認定が厳しくなり、益々、要介護1が減り、要支援が増える可能性が高いと考えられます。

(4)上記以外にも、次のような運用上の問題が挙げられます。

①医療機関において、診療報酬請求業務だけでも大変なのに、短時間通所リハビリテーション導入に伴う介護保険請求業務がどのくらいの過重負担になりうるか? (あるいは、今まで医療保険の請求業務しか行ってきていない医療機関が介護保険請求事務の繁雑さから撤退?) という問題

②医療機関 (特に病院) において、医療保険での外来リハビリテーションから、介護保険における短時間通所リハビリテーションへの移行に伴い、患者さんの自己負担が変わることに対する説明同意取得業務や関係書類作成業務の増大等のリハビリテーション・スタッフへの負担の問題

③急性期メインの病院で、短時間通所リハビリテーションを導入することにより、標準的算定日数以内 (特に早期リハビリテーション加算を算定可能) の入院患者さんに対する集中的リハビリテーションが阻害されないかという問題。

(5)「リハ医の独白」 ブログの記事 (「通所リハ、リハマネジメント加算の矛盾」・「パブリックコメント送付」) にて論じられていますが、改定後の通所リハビリテーションの試算の結果、赤字になるとのことです。
 その理由は、「リハビリテーションマネジメント加算」 が、月8回以上通所リハビリテーションを施行しないと算定できず、そして、「リハビリテーションマネジメント加算」 を算定できないと、「短期集中リハビリテーション実施加算」 および 「個別リハビリテーション実施加算 (註:短時間通所リハビリテーション算定時は算定不可)」 が算定できないからだそうです。
 即ち、「月8回以上」 となると、最低週2回以上、短時間通所リハビリテーションを利用する必要があります。週1回以下利用群は 「リハビリテーションマネジメント加算」 を算定できず、結果として、「短期集中リハビリテーション実施加算」 が算定できなくなります。週2回以上群でも、体調不良で休み、月7回以下になった場合には、算定できなくなります。
 この件は、今のところ、解釈通知・Q&A待ちのようですが、厚生労働省の善処を期待します。

(6)短時間通所リハビリテーションにおいて、資料1-①の通り、代替有資格者 (定期的に適切な研修を修了している看護師、准看護師、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師) の場合は、所定単位数の50%算定であり、且つ、資料1-②の通り、短期集中リハビリテーション実施加算は算定できません
 また、理学療法士等体制強化加算 (30単位/日) の算定要件は、専従する常勤の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を2名以上配置することです。
 この改定項目については、リハビリテーションの質を保つためにも妥当な項目だと思います。

(7)以上、平成21年度介護報酬改定における医療機関による短時間通所リハビリテーションについて論じました。
 
 この短時間通所リハビリテーションの導入により、(要介護者に対する) 現行の医療保険における維持期リハビリテーション (月13単位までの算定) の中止時期の問題が挙げられます。
 順当ならば、平成22年度診療報酬改定の時と考えられます。まさか、平成19年度の時のように、平成21年度診療報酬 「臨時」 改定はないとは思いますが・・・。
 理想的には、介護保険における短時間通所リハビリテーションの導入状況・問題点を充分検証し、問題あれば代替システムの導入のことも含めて、平成24年度診療報酬・介護報酬同時改定の時がベストと思います (まずないとは思われますが・・・)。

 ここで素朴な疑問として、「①要支援あるいは非該当の方」「②介護保険対象外の方」 の維持期リハビリテーションの問題が挙げられます。
 医療保険の月13単位までの維持期リハビリテーションが完全廃止となって、上記①・②ともに、算定日数制限除外規定の 「治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合」 として、(繁雑な書類作成・事務作業を強要されながら)、疾患別リハビリテーションを施行することになるのか?
 それとも、②は月13単位リハビリテーション継続可能、①は上記の除外規定以外は、医療保険でのリハビリテーションは算定不可となり、介護予防・地域支援事業で対処せざるを得ないことになるのか?
 今後の厚生労働省の動向が気になります。

 当ブログ管理人の最大の懸念は、介護保険における短時間通所リハビリテーションの導入に伴う医療保険における疾患別リハビリテーションの標準的算定日数の短縮化です。
 例えば、脳血管疾患等リハビリテーションが180日→150日または120日、運動器リハビリテーションが150日→120日または90日。
 急性期・回復期の充分な集中的リハビリテーションの担保およびリハビリテーション難民の増大防止のためにも、現行の標準的算定日数の堅持が望まれます。

 解釈通知・Q&Aが出ていないので、不透明な部分も未だ多いですが、介護保険における短時間通所リハビリテーションの質・量ともに充分な体制が、全国的に普及することを切望します (上記の懸念があり、複雑な心境ではありますが・・・)。




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特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケア

 厚生労働省は、平成21年2月12日、第1回特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会を開催しました。
 この検討会の目的は、「特別養護老人ホームにおける重度化の進行等により、医療的なケアを提供するニーズが高まっている状況に対応するため、看護職員と介護職員が連携・協働して、入所者にとって安心・安全なケアを提供するための方策について検討する」 ことです。
 この検討会は、医政局長及び老健局長の私的検討会としての位置づけで、事務局は、医政局医事課及び老健局計画課です。

 CBニュース 「特養での看護と介護の連携で検討会-厚労省」 (平成21年2月12日) によると、厚生労働省および各委員から次のような趣旨の発言があったそうです。


(a)厚生労働省・宮島俊彦老健局長
 「特養の入所者の重度化が進んでおり、医療ニーズが高まっている」 と指摘。「2009年度の介護報酬改定でも、看護職員の手厚い配置への評価などをしている。今後、いかに看護と介護で連携していくかが重要だ」 と述べた。

(b)厚生労働省・外口崇医政局長
 「今後の高齢化を踏まえると、介護現場での医療的なケアについて考えることは必要」 と強調。「看護職員と介護職員の連携はもちろん、入所者や入所者の家族にとっての安心・安全も考慮して議論してほしい」 と述べた。

(c)厚生労働省 「特別養護老人ホームにおける医療的ケアに関する実態調査」
 1.平成20年9~10月に特養6,083施設に対して調査票を送付し、3,370施設か
  ら回答を得た。
 2.午前9時~午後5時に看護職員が勤務している施設は全体の99.8%。午後
  8~10時は3.4%。午後10時~午前6時は2.6%
 3.実施頻度の高い医療的ケアについては、①服薬管理が74.6%で最も多く、
  以下、②経鼻経管栄養及び胃瘻による栄養管理 9.9%、③吸引5.3%、④創傷
  処置4.6%、⑤浣腸3.7%、⑥摘便3.7%と続いた。

(d)老施協総研介護委員長・桝田和平氏
 現場での医療的ケアの提供の実態と比べると 「数字が少し低いのでは」 と指摘。介護職員による医療的ケアは違法なため、「無記名のアンケートとはいえ、心理的に書けない部分があり、実態より低い数値が出たのでは」 との見方を示した。
 「多くの施設で基準より手厚く看護職員を配置しているが、夜間の配置には難しい面がある」 と指摘。「(医療ニーズに対応するには) 手厚い看護配置をするということも一つの考えかもしれないが、現場実態を踏まえた議論をしてほしい」 と述べ、介護職員による医療的ケアの必要性を示唆した。

(e)日本介護福祉士会副会長・木村晴恵氏
 「そういう (介護職員による医療的ケアの) 実態があるとは聞いている」 と語った。

(f)首都大学東京都市教養学部法学系学系長・木村光江氏
 「違法性があるという状態は、利用者にとっても介護従事者にとっても危ない状態だ」 と指摘。

(g)日本看護協会常任理事・高階恵美子氏
 「働く職員の 『安全』 を考える必要がある」 と述べた。

(h)日本医師会常任理事・三上裕司氏
 「そもそも、24時間医療行為を必要とする人が特養に入って来ていいものか。医療ニーズのある人が増えているのであれば、医療行為ができる施設を増やしていくのが本来あるべき姿だ」 と強調。
 特養での医療ニーズの増加に合わせて医療行為にかかわるスタッフを増やしていく方向性に疑問を呈した。
 また、「喀痰吸引は、場合によっては窒息を起こしてしまう、命にかかわる行為だ」 と指摘した。

(i)樋口座長 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
 「ニーズに合わせて多数の医師や看護師を配置するのは、実際には難しい」 などとした上で、「今の現場の状況を踏まえた現実的な対応が必要では」 と述べた。

(j)その他
 「介護職員が医療的ケアにかかわる場合、そのための研修体制を整えることが必要」 との意見も出た。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)本検討会の主目的は、「安心と希望の介護ビジョン」 (平成20年11月20日) における下記の事項の実現と考えられます。

【医療と介護の連携強化 「関係者間での連携」】

①介護従事者が、質の高い総合的なケアを提供できるようにするため、将来的には、医師や看護師との連携の下に、介護の現場で必要な医療行為を行うことができるようにすることを含め、資格・研修のあり方の検討

②当面、利用者の重度化が進み、夜間も含めた医療的なケアのニーズが高まっている施設において、必要な知識・技術に関する研修を受けた介護従事者が、医師や看護師との連携の下に、経管栄養や喀痰吸引を安全性が確保される範囲内で行うことができる仕組みの整備

(2)厚生労働省サイドの発言(a)・(b)は、上記(1)の 「介護従事者による医療行為の一部許容」 を意図しています。
 また、2012年 (平成24年) 3月の介護療養型医療施設の廃止を念頭に、医療必要度の高い要介護者を、病院ではなく、特養にて看護職員と介護職員が協働してケアしていくという意図があります。
 それらのことを座長の発言(i)がサポートしています。

(3)上記(c)の厚生労働省提出資料は、現実の介護現場において、看護師が勤務していない時間帯は、 介護職員が医療行為を現に施行していることを示唆しています。(厚生労働省お得意の 「既成事実化」)。
 介護職員サイドの発言(d)・(e)は、そういう実態を肯定し、現場実態を踏まえた 「介護職員による医療的ケアの必要性」 を主張しています。

(4)一方、法学者の発言(f)・看護サイドの発言(g)は、法律上・安全上の立場から、否定的な発言です。

(5)医師サイドの発言(h)は、そもそも論 (医療必要度が高い要介護者は、特養ではなく、介護療養型医療施設または病院でケアすべき) および 医療安全管理・医療事故・医療過誤・医療訴訟を念頭においた否定的な発言です。

(6)以上、「介護従事者による医療行為の一部許容」 に向けて、厚生労働省と座長が、どう軟着陸させるかが見物です。
 但し、厚生労働省が、「医療費抑制・介護保険料抑制」 のことばかり考えて、「要介護者の安全」 ならびに 「介護従事者の防護・庇護」 がおろそかにならないように充分配慮して頂きたいと思います。





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DPC 「新機能評価係数」 (松田研究班長・私案)

 平成21年2月12日、現行の調整係数に代わる新機能評価係数を検討している中央社会保険医療協議会 (中医協) 下部組織の診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会 (分科会長:西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長) が開催されました。

 Online Med ニュース 「DPC新機能評価係数、総合性・高度性・専門性・地域医療支援病院を軸に検討・分科会議論」 (2009/2/12) によると、同分科会において、「包括払い方式が医療経済及び医療提供体制に及ぼす影響に関する研究」 班 (主任研究者:松田晋哉・産業医科大学公衆衛生学教授) (以下、松田研究班) の松田班長から、次のような新機能評価係数に関する8項目が示されました。

●新機能評価係数に関する8項目 (松田私案)

  ①総合性
  ②高度性 (複雑性)
  ③効率性
  ④専門性 (手術)
  ⑤専門性 (がん手術)
  ⑥専門性 (脳血管疾患)
  ⑦専門性 (循環器疾患)
  ⑧地域医療支援病院。


 現在のDPC病院とDPC準備病院の現状についての分析を行った結果、評価軸としてこうした項目があげられるとのことです。但し、上記の評価項目は今後変更があり得るものとしています。

 また、松田班長は、新機能評価係数の一つとして、「年齢構成に応じた評価」 について言及し、研究班でも討議しているものの、年齢をどこで区分するかで意見がまとまらない状況にあることを明らかにしました。
 65歳以上での区分では違いが見られず、80歳から85歳以上で区分すれば違いがみられるとのことです。

 さらに、松田班長は、研究班としては新機能評価係数を設定するための評価軸を示すことにとどまるものであり、係数の設定方法自体は中医協での議論になるとの姿勢を示しました。

 一方、CBニュース 『新機能係数 「地域病院への配慮を」』 (2009/2/12) によると、厚生労働省は同日のDPC評価分科会終了後、当初は年度内としていた新機能評価係数候補の取りまとめ時期について、平成21年4月以降にずれ込む可能性もあるとの見方を示しました。
 この日の分科会では、DPCだけでなく包括部分の見直しを求める意見もあったため、今後は中医協の基本問題小委員会と並行して議論を進めるとのことです。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)以前の当ブログ記事 (DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件) で述べたように、平成21年1月21日現在のDPC 「新機能評価係数」 候補は、「①医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について」 が10項目、「②社会的に求められている機能・役割の評価について」が8項目、「③地域医療への貢献の評価について」 が8項目、「④その他」 が9項目、合計35項目です。

(2)厚生労働省保険局医療課・宇都宮企画官は、平成21年1月24日の講演 「DPCの調整係数廃止と新機能評価係数の導入」 において、次のようなDPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件を公表しました。

 ①根拠となるデータが提示できること
 ②新規調査ではなく、既存のデータが活用できること
 ③医療現場が具体的に運用していく上で納得できる指標であること


(3)今回、松田私案の8項目が公表され、DPC新機能評価係数候補も大分煮詰まってきたようです。

(4)しかしながら、厚生労働省は同日のDPC評価分科会終了後、当初は年度内としていた新機能評価係数候補の取りまとめ時期について、平成21年4月以降にずれ込む可能性もあるとの見方を示し、且つ、DPCだけでなく包括部分の見直しを求める意見もあったため、今後は中医協の基本問題小委員会と並行して議論を進めると表明しました。

 「包括部分の見直し」 を求める意見の詳細が、現時点では分かりませんので、論評できませんが、場合によっては、DPC病院の経営戦略に影響を及ぼしかねない状況になる可能性も否定できません。詳細な情報が待たれます。

(5)一方、新機能評価係数候補の取りまとめ時期の平成21年4月以降へのずれ込みも、DPC病院の経営戦略立案の遅延に繋がりますので、厚生労働省には善処をお願いしたいと思います。

(6)以上、今後のDPC評価分科会および中医協基本問題小委員会の議論の動向が注目されます。




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平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解

 厚生労働省は、今回の要介護認定システム改正について、パブリックコメント [「要介護認定等基準時間の推計の方法 (平成12年厚生省告示第91号) の一部改正について」] の意見公募要領の 「改正概要」 の中で、次のように説明しています。

 現在、要介護認定は、認定調査結果に基づき、コンピュータにより介護に要する時間を推計する一次判定と、一次判定結果及び主治医意見書に基づき、医師等の専門家からなる認定審査会において個々の心身の状況を加味する二次判定により行われている。
 現行の一次判定における介護に要する時間を推計するロジックに関して、「平成13年のデータを用いている」・「調査項目が多く調査が煩雑なものとなっている」 という理由で、平成18年から平成20年にかけて、要介護認定調査検討会、高齢者介護実態調査、モデル事業等を行い、「最新のデータに基づく一次判定ロジックの構築」・「認定調査の負担軽減の観点から、精度が落ちないことを前提にした調査項目の見直し」 を行った。
 そして、「新たに構築した一次判定ロジック」・「新しい調査項目」 を用いて、平成21年4月1日から要介護認定を行うことにしている。

【注釈】 要介護認定の調査項目の変更点
削除項目:①拘縮 (肘関節)、②拘縮 (足関節)、③褥創、④皮膚疾患、⑤飲水、
      ⑥幻視・幻聴、⑦暴言・暴行、⑧火の不始末、⑨不潔行為、⑩異
      食行動、⑪環境等の変化、⑫電話の利用、⑬指示への反応、⑭日
      中の生活
追加項目:①話がまとまらず、会話にならない、②買い物、③簡単な調理、
      ④自分勝手に行動する、⑤独り言や独り笑いをする、⑥集団への
      参加ができない


 一方、要介護認定に関しては、介護保険導入当初より、高齢者や家族等に不平・不満があり、次に、2006年介護保険改正による要支援1・2の導入後の要介護認定の厳格化で、不平・不満が増し、さらには、平成21年4月の要介護認定システム改正を前にして、その判定方法の大きな変更・多くの認定調査項目の削減に対して、対象者 (要介護者・高齢者等) や家族は、「要介護度が下がってサービスが減るのではないか」・「現実と乖離した要介護度の判定が出るのでは」 等の不安が広がっています。

 「要介護調査・認定の見直しに関する質問主意書」 (参議院・質問第149号) (平成20年12月22日、質問者:小池 晃・参院議員) に対する政府答弁書 (内閣参質170第149号) (平成21年1月9日、内閣総理大臣・麻生太郎) にて、今回の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省の見解が公表されましたので、紹介します。


●要介護調査・認定の見直しに関する質問主意書

 来年度実施にむけて要介護調査・認定制度の見直しが進められている。今回の見直しでは調査の簡素化などを目的とする調査項目の大幅な削減、介護認定審査会 (以下、「認定審査会」) 提出資料の簡素化などが行われており、関係者からはより軽度に判定されることになるのではないか、現在以上に実態が反映しにくくなるのではないかと心配の声が寄せられている。
 実際モデル事業の認定審査会に携わった方からも、介護度はより重度と思われるが資料からはそれがわかりにくいなどの指摘がある。
 そこで以下質問する。

1.調査・認定の見直しにおいて、「主治医意見書により代替可能」 な項目は削除するとされている。

①日常的に要介護者の介護業務を行っていない主治医が、「暴言・暴行」・「異食行動」 などについてどの程度状態を把握できると考えているのか。十分に判断できるとするなら、その根拠を示されたい。


(回答) お尋ねについては、被保険者の主治の医師は、その医学的知見や診察の際に同行する家族等からの情報に基づき、「暴言・暴行」、「異食行動」 など認知症に係る周辺症状等についても十分把握できるものと考えている。

②調査項目がなくなることで、項目ごとの特記事項がなくなると、認定審査会に重要な情報が伝わらなくなるおそれはないのか。

(回答) 今般の要介護認定及び要支援認定 (以下、「要介護認定等」 という) に係る調査項目 (以下、「認定調査項目」 という) の見直しに当たっては、介護認定審査会に適切に情報が伝わるよう、認定調査票に認知症高齢者の日常生活自立度及び障害高齢者の日常生活自立度に関する特記事項の記入欄を設けることとしており、御指摘のようなおそれはないものと考えている。

2.社会保障審議会介護給付費分科会 (以下、「給付費分科会」) に提出されたモデル事業用審査会資料の見本を見ると、従来あった 「2.認定調査項目」 の 「〇●」 の欄、「3.中間評価項目得点表」 のレーダーチャート、「4.日常生活自立度の組み合わせ」 の当該自立度の場合の介護度分布の資料、「5.認知機能・廃用の程度の評価結果」 の廃用の程度に関する調査項目の認定調査結果や認知機能・廃用の認定から推定される給付区分の項目や情報が削除されている。モデル事業に携わった方からは、一次判定結果よりも実際の状態の方がより介護度が重いのではないかと疑われる場合でも、情報が少ないため介護度変更が非常に難しくなっているという声が寄せられている。これまで認定審査会に提供してきた項目・情報を減らすことにより適正な判定ができなくなるのではないか。

(回答) 今般の介護認定審査会資料の見直しに当たっては、当該資料に中間評価項目得点や認知機能・状態の安定性の評価結果から推計される給付区分を掲載することとしており、これにより、これまでと同等の情報を介護認定審査会に提供し、適正な認定の確保を図ることとしている。
 また、日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布、要介護度変更の指標については、これらを参照して行った要介護認定等が適正なものになっていない事例が確認されていることから、今般の見直し後は、介護認定審査会に対して当該指標を提供しないこととしている。

3.新しくする認定ロジックのデータは、これまでと同じく入居施設のデータによるものである。

①「電話の使用」 などは、項目を削除してもロジックに影響がないと言うが、それは施設のデータにもとづいているからではないか。

(回答) 御指摘の電話の利用の項目については、平成19年度に実施した在宅の者を含む要介護認定モデル事業の結果についても勘案した上で、これを認定調査項目から削除したとしても、一次判定の精度に大きな影響を与えるものではなく、適正な判断の妨げとはならないと判断したものである。

②「火の不始末」 のように生活実態の基本や、命にかかわるような項目を削除して適正な判断ができるのか。

(回答) 御指摘の 「火の不始末」 の項目については、要介護認定等の一次判定の精度に大きな影響を与えるものではなく、認定調査項目から削除したとしても適正な判断の妨げになるとは考えていない。

③在宅、もしくは在宅により近いグループホームなどのデータをもとにした要介護調査・認定の仕組みを作っていくべきではないか。そうしてこそより実態を反映した要介護認定となるのではないか。

(回答) お尋ねについては、そもそも、在宅介護の状況は家族の状況等により様々であり、これらのデータに基づいた標準的な調査・認定の仕組みを構築できるかどうか疑問があること、また、仮に可能であるとしても、これらのデータ収集のためには、調査者が被保険者個人の居宅に一定期間滞在する必要があるため家族等の協力が得られにくいことなどの問題点があると考えている。

4.現在でも、「状態に変化はないのに、更新で、要介護認定が軽度になった」 などの苦情が寄せられている。実際モデル事業の結果では、要介護度5の出現状況は一次・二次判定結果でも現行制度のもとでの判定との乖離が見られ、給付費分科会でも問題点が指摘されている。今回の調査・認定の 「見直し」 で、申請者の生活実態にてらして、より軽度に判定されるようになるおそれはないのか。

(回答) 今般の要介護認定等の見直しについては、平成19年に厚生労働省が実施した高齢者介護実態調査の結果も踏まえ、これを行うこととしており、仮に、見直し後の要介護認定等によって従来より軽度に判定されたとしても、その結果は介護の状況をより的確に反映したものであると考えられる。

5.事務負担軽減など、見直しの趣旨に賛同する自治体からも、調査項目の大幅な削減については、「情報不足となり、認定審査会の審査・判定が不安定になる」・「問題行動の多い認知症の方の場合、介護度が軽度になる可能性がある」 などの意見が出されており、来年度4月の実施を延期して、さらに慎重に検討すべきではないか。

(回答) 厚生労働省としては、今般の認定調査項目等の見直しについては、1の②について及び4についてでお答えしたとおり、適切なものであると考えており、平成21年4月からの実施を延期して、さらに検討を行う必要はないものと考えている。
 なお、見直し後の要介護認定等が円滑に実施されるよう、自治体等に対し、必要な情報の提供等を行ってまいりたい。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)要介護認定をめぐっては、以前から判定基準が明確でないことや、認知症の人の判定が低くなりやすいとして、不平・不満が少なくありません。病状や障害の状態は変わらないのに、認定更新のたびに判定が軽くなり、必要なサービスを使えなくなる高齢者も少なくありません。
 平成21年4月から、「新たに構築した一次判定ロジック」・「新しい調査項目」 を用いて行われる要介護認定に対しては、多くの関係者の方々が、大きな不安を抱いていると思われます。

(2)厚生労働省は、上記パブリックコメント意見公募要領の 「改正概要」 において、今回の改正の理由を、「平成13年のデータを用いている」・「調査項目が多く調査が煩雑なものとなっている」 と述べていますが、最大の理由は、『2006年度以降、2次判定で振り分けていた 「要介護1」 と 「要支援2」 に、地域によってばらつきが生じているため、1次判定で行えるようにする』 とされています。
 即ち、できるだけ要介護者を減らし (要支援者を増やし)、介護保険料の増大・市町村の負担増大をできうる限り避けたいという意図が見え見えです。

(3)上記の問1-①に対する回答 「主治医意見書により代替可能な削除項目のうち、認知症に係る周辺症状等について主治医は充分把握できると考えている」 については、厚生労働省 (老健局だから?) は全く医療現場のことがわかっていないと思われます。
 繁忙な医師 (特に急性期病院の医師) の負担を軽減しようというのが今のご時世です。平成20年度診療報酬改定で医師事務作業補助体制加算が導入されましたが、全ての急性期病院で算定しているわけではありません。また、認知症について充分な知識・経験を持っている医師 (特に急性期病院の医師) はあまり多くはありません。さらに、回復期リハビリテーション病棟や療養病床の医師も、膨大な書類の山と格闘しています。
 したがって、認定調査の負担軽減の観点ではなく、繁忙な主治医の視点で考えるべきであり、安易な項目削除をすることなく、現行通り、経験豊富な調査員に充分な認定調査を任せるべきです。
 逆に、穿った見方をすると、瑕疵なく秀逸な主治医意見書により、上記(2)の厚生労働省の魂胆 (要介護者をできるだけ少なくしたい) を妨害されたくないのかも知れません・・・。

(4)問1-②、問2も、(3)と同様の厚生労働所の魂胆 (要介護者をできるだけ少なくしたい) に基づく回答と考えられます。
 即ち、「調査項目の削除→項目ごとの特記事項が消失」 ならびに 「日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布や要介護度変更の指標を介護認定審査会に提供しない」 等の介護認定審査会に対する情報隠し・情報操作により、二次審査での介護度変更を困難にしようとしていると考えられます。

 問2の回答において、厚生労働省が本音の一端を次のように吐露しています。
 「日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布、要介護度変更の指標については、これらを参照して行った要介護認定等が適正なものになっていない事例が確認されていることから、今般の見直し後は、介護認定審査会に対して当該指標を提供しないこととしている」。

 したがって、「現行の介護認定審査会による二次判定」 と 「新システムによる介護認定審査会による二次判定」、どちらが適正なのか、しっかりと検証 (第三者委員会で!) して頂きたいと思います。

(5)問3については、以前からの大問題です。即ち、基本的に、在宅ケアを推進する立場の厚生労働省としては、認定ロジックのデータは、(入居施設のデータではなく)、在宅のデータを使うべきであり、本末転倒・言行不一致・支離滅裂です。
 問3-③の回答で、色々言い訳・申し開き・詭弁・言い逃れをしていますが、それを言うならば、そもそも、「入居施設のデータを用いて作成した認定ロジックを、在宅要介護者に適用する」 ことは、全くエビデンスがなく、この認定ロジックを要介護認定に利用してはならないと思います。
 要介護認定一つで、多くの方々の将来・人生が大きく左右される (場合によっては死に至る!) ことを、厚生労働省は肝に銘じてもらいたいと思います。
 また、同様に、問3-①・②の回答には、充分なエビデンスが認められないと考えられます。

(6)問4の回答 「仮に、見直し後の要介護認定等によって従来より軽度に判定されたとしても、その結果は介護の状況をより的確に反映したものであると考えられる」 には唖然としてしまいます。
 エビデンスが不充分な上、官僚特有の 「無謬性・匿名性・無責任体制」 に由来する 「上から目線の無責任かつ厚顔無恥な回答」 です。この回答を作成した輩が 、仮に、自分自身が要介護者の立場あるいは身内に要介護者がいる立場で、このように言われたら、怒り心頭になると思いますが・・・。

(7)問5の回答についても、(6)と同様に、エビデンスが不充分な上、官僚特有の 「無謬性・匿名性・無責任体制」 に由来する 「上から目線の無責任かつ厚顔無恥な回答」 です。また、自治体や国民の声に対して、聞く耳を持たない体質と思われます。
 制度・システムに明らかに問題がある時、国民・自治体等に大きな疑念がある時は、無謬性神話・無責任体制・プライドは捨て、名誉ある勇気ある一時撤退をすべきと思います。

(8)以上、平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解について考察しました。

 以前の当ブログ記事 [『介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)』、「厚生労働省のキャッチフレーズ及び行動指針の策定について」] で述べたように、厚生労働省は、日頃は、「患者・高齢者・介護サービス利用者の視点を一番大事にします」 と言っておきながら、肝心な時には、「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「介護保険料の視点・市町村の視点」 の方を重視してきました。
 この自己矛盾を打破し、国民の安全・安心・納得・満足のために、国民本位の社会保障政策、医療・介護・福祉政策の立案・実施を切望します。
 また、「まやかしのエビデンス」 ではなく、現場の介護従事者・サービス利用者・家族等が納得する 「真のエビデンス」 に基づく要介護認定システム改正を行って頂きたいと思います。

【追記】
 現在、厚生労働省は、「要介護認定等基準時間の推計の方法 (平成12年厚生省告示第91号) の一部改正について」 に関するパブリックコメントを募集中です (締切日:2009年3月2日)。

 要介護認定システム改正の詳細については、「masaの介護福祉情報裏板」 ブログの記事 (「新認定調査ルールも軽度誘導へ。(前編)」・「新認定調査ルールも軽度誘導へ。(中編)」・「新認定調査ルールも軽度誘導へ。(後編)」) をご参照下さい。






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平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設のリハビリ:追加情報)

 以前の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」) において、介護療養型医療施設におけるリハビリテーション改定について論じました。

 「旅とグルメの日々 イニシア 田原はじめのblog」 ブログの記事 「介護報酬改定のナイショ話 (その4)」 において、介護療養型医療施設におけるリハビリテーション改定に関する興味深い話が掲載されていますので紹介します。


(資料1) 介護療養型医療施設におけるリハビリテーション (特定診療費)

 介護療養型医療施設におけるリハビリテーションについては、医療保険との役割分担の明確化や整合性を図る観点から評価を見直すとともに、ADLの自立等を目的とした理学療法等を行った場合の評価を廃止する。併せて、リハビリテーションマネジメント及び短期集中リハビリテーションについて、介護老人保健施設と同様の見直しを行う。

  理学療法 (Ⅰ) 180 単位/回
  理学療法 (Ⅱ) 100 単位/回→→→理学療法 (Ⅰ) 123 単位/回
  理学療法 (Ⅲ) 50 単位/回→→→理学療法 (Ⅱ) 73 単位/回
  作業療法   180 単位/回→→→作業療法   123 単位/回
  言語聴覚療法 180 単位/回→→→言語聴覚療法 203 単位/回
  摂食機能療法 185 単位/日→→→摂食機能療法 208 単位/日
   (注) リハビリテーションマネジメントについては、理学療法(Ⅰ)等に包括
    化する。

  短期集中リハビリテーション 60単位/日→→→240単位/日
   注1.入院日から起算して3月以内に限る。
   注2.理学療法 (Ⅰ)・(Ⅱ)、作業療法、言語聴覚療法又は摂食機能療法を算
      定する場合には、短期集中リハビリテーションを算定できない。

  集団コミュニケーション療法の評価
  ◎言語聴覚士が集団に対して実施するコミュニケーション療法について、新
   たに評価を行う。
  ◎集団コミュニケーション療法 (新規):50単位/回 (1日に3回を限度)
    ※算定要件 (次のいずれにも該当する場合)
      ①専任の常勤医師を配置していること。
      ②常勤かつ専従の言語聴覚士を配置していること。
      ③専用かつ8平方メートル以上の集団コミュニケーション療法室を確
      保していること。(言語聴覚療法を行う個別療法室との共用は可能)。
      ④必要な器械及び器具が具備されていること。


(資料2) 介護報酬改定のナイショ話 (その4)
 
「施設系は、どうかな?」。

H氏 「介護療養には厳しいね」。

「リハビリをかなりカットしているね。介護療養にはリハは要らないということ?」。

H氏 「ひどいね、確かに。リハをやって在宅に帰すなら老健にしろと言っているように見える。確かに要介護1~3が多ければ、介護療養より老健の方が有利だ。もっともそんなに軽い人を診ている介護療養はないだろうけど」。

「介護療養は、ほとんど要介護4、5で平均介護度は4.5以上というところも、ざらにあるからね。むしろ、そんなに重い人ばかりだから、リハビリは要らないだろうと言っているかのようだね。そのくせ重度療養管理もカットしている」。

H氏 「まったくだ。上がったのはSTと口腔ケアだけ。実態を反映しているとも言えなくはないが」。

「介護療養を2012年で廃止という決定は覆らないの?」。

H氏 「政権がこれからどうなるかだが・・・。ウルトラCの大逆転で介護療養存続になった方がいいように思うな」。

このあたりで芋焼酎のロックを呷る速度が上がったのを感じた。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)以前の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」) において述べたように、「理学療法 (Ⅰ) (180単位/回)」・「作業療法 (180単位/回)」は、人員配置基準上、医療保険における脳血管疾患等リハビリテーション (Ⅲ) (100点) や運動器リハビリテーション料 (Ⅱ) (80点) と同等とみなされ、両方ともベースを 「理学療法 (Ⅱ) (100単位/回)」 へランク下げした上で、一律 「+23単位」 し、123単位/回になったと考えられます。
 一方、言語聴覚療法 (ST) と摂食機能療法は、(ランク下げせずに) 現行の点数にそのまま一律 「+23単位」 しています (上記資料1参照)。

(2)理学療法 (PT)・作業療法 (OT) のマイナス改定の理由として、次のことが挙げられます。

①上記(1)の通り、医療保険の人員配置基準との整合性を図った結果と考えられます。

②上記資料2の通り、介護療養型医療施設の入所者は、ほとんどの方が要介護4・5の重度の方であり、積極的なPT・OTアプローチはあまり必要ないのではないかと厚生労働省が判断した可能性が考えられます。

③以前の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」) において示した数字ですが、月平均の理学療法等 (特定診療費:リハビリテーション全体の数字) が約113万件、一方、STの算定実績 (STが1対1で行うもの) が約9万7千回と大きな開きがあります。
 即ち、介護療養型医療施設におけるリハビリテーションにおいて、STに比して、PT・OTは相対的に算定実績があり、充分浸透・定着したと厚生労働省が判断した可能性が考えられます。(リハビリテーションマネジメントの包括化も、同様の理由と考えられます) 【従来からの厚生労働省の狡猾な常套手段ですが・・・】。

(3)一方、STと摂食機能療法のプラス改定の理由として、次のことが挙げられます。

①上記資料2において、「上がったのはSTと口腔ケアだけ。実態を反映しているとも言えなくはないが」 と述べられており、また、以前の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」) においても論じていますが、介護療養型医療施設においては、失語症・構音障害・摂食嚥下障害を持つ脳卒中患者が多く、STのニーズ (特に摂食嚥下障害) が高いとされています。
 即ち、介護療養型医療施設の入所者は、ほとんどの方が要介護4・5の重度の方であり、積極的なPT・OTアプローチはあまり必要ないが、失語症・構音障害・摂食嚥下障害に対する積極的なSTアプローチは効果が見込めるのではないかと厚生労働省が判断した可能性が考えられます。
 但し、介護療養型医療施設におけるSTのニーズは、通常、失語症・構音障害よりも、摂食嚥下障害の方がかなり高く、その意味では、摂食機能療法だけプラス改定でもよかったのではないかと主張されている方々もいるようですが・・・。

②別の理由としては、上述の通り、月平均の理学療法等 (特定診療費:リハビリテーション全体の数字) (約113万件) に比して、STの算定実績 (STが1対1で行うもの) が約9万7千回と少なく、患者ニーズと乖離しており、介護療養型医療施設のSTを増やす必要があると厚生労働省が判断した可能性が考えられます。

(4)リハビリテーションマネジメントの包括化ならびに集団コミュニケーション療法の新規導入についての詳細は、以前の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」) を、ご参照下さい。

(5)以上、介護療養型医療施設におけるリハビリテーション改定に関する追加情報について論じました。

 但し、現時点で、解釈通知等が発出されてないため、不明確・不透明な点が多々あります。
 したがって、介護現場および介護サービス利用者・家族等が混乱しないためにも、平成21年3月末までに公布・発出される予定の 「改正省令・告示」・「関係通知・Q&A」 が、出来るだけ早期に公表されることを切望します。




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平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーションに関する別の情報)

 前回の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)」) において、「利用者の自己負担・支給限度額」 が、訪問リハビリテーションに及ぼす悪影響について論じました。

 日経ヘルスケア2009年2月号 「特集② 速報! 09年度介護報酬改定 プラス3%の中身は? 訪問介護と通所介護で明暗」 に、訪問リハビリテーションの解説記事が掲載されていますので紹介します。


(資料1) 訪問リハビリテーション費
 ①理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が実施:305単位/回
                        (現行:500単位/日)
 ②20分間リハビリテーションを行った場合に1回として算定。
 ③短期集中リハビリテーション実施加算
  (a) 退所・退院または要介護認定を受けた日から1ヶ月以内
    ◎+340単位/日 (週2回以上・1回40分以上)
      [現行:+330単位/日 (週2回以上・1回20分以上)]
  (b) 退所・退院または要介護認定を受けた日から1ヶ月超3ヶ月以内
    ◎+200単位/日 (現行と同じ)
 ④サービス提供体制強化加算+6単位/回 (新設)
    ※算定要件:利用者にサービスを直接提供する理学療法士等に、勤続年数
          3年以上の者を配置。
 ⑤現行のリハビリテーションマネジメント加算 (20単位/日) は廃止。


(資料2) 60分の訪問リハで報酬がほぼ倍増

①訪問リハビリテーションは、サービス提供拠点を増やす狙いから、次回改定で手厚く評価される。地域区分の報酬単価が見直され、都市部は1単位当たりの額が0.88~3.34%上がるほか、基本報酬が大幅に引き上げられる。

②具体的には、算定方式が1日500単位から1回305単位に見直される。20分間のリハビリを1回と数えるため、1日40分のリハビリを行えば計610単位、60分行えば計915単位算定できるようになる。3月までに厚労省が出す通知では、週6回まで算定を認める見通しだ。
 「現状では週1日、40~60分のリハビリを行っているケースが多いので、改定後は増収になるはずだ」 と全国訪問リハビリテーション研究会顧問の石川誠氏 (医療法人輝生会理事長) は話す。

③さらに厚労省は、訪問看護ステーションが行う訪問リハビリも推進する。現在、理学療法士などの訪問回数が看護師、保健師の訪問回数を上回ることを制限しているが、これを撤廃する通知を出すもよう。管理者要件も緩和し、看護師、保健師に限らず、理学療法士なども認める方針だ。

④そのほか、介護老人保健施設が行う訪問リハビリの対象患者も広がる。従来は、老健施設を退所して1ヶ月以内の利用者に限られていた。次回改定では、老健施設に併設された通所リハビリの利用者が通所困難になった場合にも、1ヶ月に限り訪問リハビリを算定できるようになる。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記資料2のタイトル (解説記事の小見出し) および①~④によると、
 ①60分の訪問リハで報酬がほぼ倍増。
 ②訪問リハビリテーションは、サービス提供拠点を増やす狙いから、次回改定
  で手厚く評価される。
 ③ (現行は500単位/日だが)、改定後は、1日40分のリハビリを行えば、計610
  単位、60分行えば計915単位算定できる。
 ④2009年3月までに厚労省が出す通知では、週6回まで算定を認める見通し。
 ⑤ 「現状では週1日、40~60分のリハビリを行っているケースが多いので、改
  定後は増収になるはずだ」 という石川氏の言。
 ⑥厚労省は、訪問看護ステーションが行う訪問リハビリも推進する。現在、理
  学療法士などの訪問回数が看護師、保健師の訪問回数を上回ることを制限し
  ているが、これを撤廃する通知を出すもよう。
等々、改定後の訪問リハビリテーション・訪問看護7は、非常に手厚い評価であり、バラ色の人生が待っているかのように見えます。

(2)しかしながら、前回の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)」) にて論じたように、現実はそう甘くはないと考えられます。

 やはり、「サービス利用者の自己負担・支給限度額の問題」 が、相当、訪問リハビリテーションに悪影響を及ぼすのではないかと思われます。
 ケースバイケースですが、訪問リハビリテーションの利用が真に必要なのに、上記問題にてやむなく、ケアプランに組み込めない方も少なくないのではないかと推察されます。(金持ちの方で、1割の自己負担分、あるいは支給限度額を超えた分の全額自己負担分を払える人は、いいのですが・・・)。

(3)診療報酬・介護報酬における 「患者またはサービス利用者の自己負担の問題 (負のスパイラル問題)」 に関しては、前回の当ブログ記事 (「平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)」) にて詳述していますので、ご参照下さい。

(4)以上、平成21年度介護報酬改定後、最終的に 「訪問リハビリテーションのサービス提供拠点は充分に増えるのか」「訪問看護7も含めて、介護保険における訪問リハビリテーションは今以上に充実した質の高い体制ができるのか」 については、
  ①サービス利用者の自己負担・支給限度額等の問題
  ②質の高い充分な訪問リハビリテーション・サービスを提供するために必要な
   リハビリテーション・マンパワーが未だ不充分であり、且つ施設間格差・地
   域格差もあるという問題

等にて、未だ不透明な部分がありますが、是非、それらを克服して、介護保険における訪問リハビリテーションの質・量とも充分な体制が、全国的に普及することを切望します。




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平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)

 平成21年度介護報酬改定において、「訪問リハビリテーション」 が次のように改定されました。

(資料1) 訪問リハビリテーションの改定概要

 基本報酬については、医療保険等との整合性を図る観点から、1日単位ではなく、サービス提供時間に応じた評価に見直す

  ●訪問リハビリテーション費:500単位/日→→→→→→305単位/回

    (注) 20分間リハビリテーションを行った場合に1回として算定

①介護老人保健施設からの訪問リハビリテーション
 通所リハビリテーションの利用者が通所できなくなった際にも円滑な訪問リハビリテーションの提供を可能とする観点から、介護老人保健施設で通所リハビリテーションを受けている利用者については通所リハビリテーション終了後1月に限り、当該施設の配置医師がリハビリテーション計画を作成し訪問リハビリテーションを提供することを可能とする。

②短期集中リハビリテーション実施加算
 早期かつ集中的なリハビリテーションを推進する観点から、短期集中リハビリテーション実施加算の評価を見直す。

  退院・退所日又は認定日から起算して  退院・退所日又は認定日から起算して
   1月以内の場合330単位/日→→→→→→1月以内の場合340単位/日
   (週2回以上・1回20分以上)      (週2回以上・1回40分以上)


 資料1の改定概要において、「訪問リハビリテーション」 は一見有利な改定に見えますが、「旅とグルメの日々 イニシア 田原はじめのblog」 ブログの記事 「介護報酬改定のナイショ話 (その2)」 において、次のような怖い話が語られています。


(資料2) 「介護報酬改定のナイショ話 (その2)」

「訪問リハも見直しになったよね。在宅復帰を推進するためにプラスの評価なんだろうね」。

H氏 「どうかな・・・」。

「訪問リハ費が1日500単位から、1回305単位になったよね。1回が20分だから、訪問して40分、つまり2回算定すれば610単位になるから引き上げってこと?」

H氏 「それが素人考えというもの」。

「なんで?」

H氏 「自己負担を考えると、2回にすると訪問リハの負担額が今より多くなるということ。なかなかそうしたプランを組めないよ」。

「短期集中リハの、1月以内は1日340単位という加算は、週2回で1回40分以上という条件になっているね」。

H氏 「これもなかなか取れないね。今は1回20分以上の規定だから、これも今より算定が難しくなる」。

「じゃあ、訪問リハは実質マイナス?」

H氏 「その可能性が大きいね。訪問リハはとても重要なのに、なんでこんな改定をしたんだろうね」。

酔いが瞬時に醒めるような会話だった。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)資料1の改定概要の通り、訪問リハビリテーションは、医療保険等との整合性を図る観点から、1日単位ではなく、「サービス提供時間に応じた評価」 に見直され、「介護老人保健施設からの訪問リハビリテーションにおける特例」、早期かつ集中的なリハビリテーションを推進する観点からの 「短期集中リハビリテーション実施加算の増額」 という評価も成されて、基本的にはプラス改定と考えられます。

(2)しかしながら、資料2のブログ記事で示された 「利用者の自己負担の問題」 により、次のようなことが想定されます。

訪問リハビリテーションを、利用者1人あたり、1日2回分 (20分×2=40分) 算定すると、305単位/回×2回=610単位、3回分 (60分) だと915単位 (現行は1日500単位) と成り、サービス提供者側は増収になります。
 一方、サービス利用者側からすると、自己負担額が今より多くなるため (場合によっては、支給限度額も影響)、そういうケアプランを容易には組めなくなると想定されます。

短期集中リハビリテーション実施加算も、算定要件が、週2回以上・1回40分以上 (現行は、週2回以上・1回20分以上) と成り、上記①と同じ理由で算定が難しくなると想定されます。

(3)結局、厚生労働省は、介護保険における訪問リハビリテーションをどうしようと思っているのでしょうか? 「訪問リハビリテーションは重要だから、より普及させよう」 とは思っていないのでしょうか?

(4)同様の矛盾が、リハビリテーションに限らず、また、介護保険に限らず、現実に生じています。即ち、診療報酬・介護報酬における 「患者またはサービス利用者の自己負担の問題」 です。

 厚生労働省が、診療報酬・介護報酬において、ある医療・介護サービスをもっと評価しよう・普及させようとして、報酬をアップ (医療・介護サービス提供者にとっては増収) させると、「自己負担制度」 により、患者またはサービス利用者の負担が増えるために、その医療・介護サービスを利用することを手控えてしまい、結局、医療・介護サービス提供者の増収も望めないという 「矛盾・悪循環・負のスパイラル」 が生じます。

 また、場合によっては、患者またはサービス利用者が必要な医療・介護サービスの利用を手控えることにより、その方の病状・障害像・要介護度・介護者負担等が増悪します! (最悪の場合、死に至ります!!)

(5)厚生労働省は、上記(4)の矛盾を理解していなくて、「現場感覚無しの机上の理論 (空論)」 で施策を行っているのでしょうか? それとも、全て分かっていながら、恣意的に行っているのでしょうか?
 後者ではないことを祈りますが・・・。財務省の財政再建至上主義に逆らえないため、やはり後者かな!? (苦笑&泣笑)。

 以前の当ブログ記事 (『日本慢性期医療協会からの 「7つの約束と3つのお願い」』) でも述べましたが、厚生労働省は、本来の使命 (国民の安心・安全・納得・満足) のために、机上の理論 (空論) はやめ、現場感覚・国民の視点で、医療・介護・福祉施策を立案・実施して頂きたいと思います。

(6)さらに、現実に、上記(4)の問題が全国的に少なからず生じていると思われますので、「医療費の窓口負担 『ゼロの会』」 も提唱していますが、医療・介護サービスの自己負担ゼロ化が望まれます。

(7)以上、上述の 「介護サービス利用者の1割自己負担、要介護度・支給限度額、ケアマネジメント等の問題」 ならびに 「充分な質の高い訪問リハビリテーションサービスを提供するために必要なリハビリテーション・マンパワーが未だ不充分であり、且つ施設間格差・地域格差もあるという問題」 等を克服して、介護保険における訪問リハビリテーションが全国的に普及することを切望します。




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平成21年度介護報酬改定 (短期入所療養介護:リハビリテーション)

 前回の当ブログ記事 [「平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)」] に引き続き、全日本病院協会主催の平成21年度介護報酬改定説明会 (2009/2/4) における講演 (「介護報酬改定の内容について」 厚生労働省老健局老人保健課・鈴木康裕課長) の資料より、短期入所療養介護における個別リハビリテーションに関する項目を紹介します。


●短期入所療養介護の主な改定内容について (リハビリ関連部分のみ抜粋)

(資料1) 個別リハビリテーションの評価 【→参考1】

◎短期入所中の集中的なリハビリテーションについては、その効果が高いことを踏まえ、介護老人保健施設における短期入所療養介護について個別のリハビリテーションの提供を評価する。
  (※) 介護療養型医療施設は、現在でも 「特定診療費」 において対応可能

   個別リハビリテーション実施加算 (新規) →→→240単位/日
    (※) 算定要件:理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、1日20分以上
           の個別リハビリテーションを行った場合


(参考1) 短期入所におけるリハビリテーション実施の効果について
  ●出典:在宅総合ケアセンター元浅草 (院長:石川誠) における、短期入所によ
      る集中的リハサービス実施による成果の概要

①救急入院に入院するべき明らかな傷病ではないが、急激にADL能力が低下した者 (96名) を短期入院させ集中的なリハビリテーションを実施。

 (a) 短期・集中的にリハを行うことになった原因は、「骨折等を伴わない転倒」・
  「急に発症した腰痛」・「他施設短期入所利用後」・「身内の不幸」・「その他」 で
  あった。

 (b) 要介護度分布は、多い方から、要介護3→要介護4→要介護2→要介護5→
  要介護1→要支援の順でした。要介護3・要介護4・要介護2で約80%を占
  めていた。

②入院期間は平均8.6日 (ほとんどは14日以内)、1日の平均リハビリテーション提供時間は5~6単位が最も多く、次に3~4単位が多かった (1単位=20分) (平均5.1単位)。

③実施前後のADLの改善については、特に「起き上がり動作」・「立ち上がり動作」・「立位保持」・「移乗動作」 の改善の頻度が高くなっている。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)短期入所療養介護における個別リハビリテーション実施加算は、救急入院に入院するべき明らかな傷病ではないが、何らかの要因 (例:骨折等を伴わない転倒、急に発症した腰痛) にて急にADL能力低下・生活機能低下が生じた要介護者に対する短期入所中の集中的なリハビリテーションを評価するものです。

(2)在宅総合ケアセンター元浅草における 「短期入所による集中的リハビリテーションサービス実施による成果」 に基づいて、制度設計がなされており、約2週間の集中的かつ濃厚なリハビリテーションを想定しているようです。

(3)基本的には良い制度と思いますが、問題は、上記の集中的かつ濃厚なリハビリテーションが行えるリハビリテーション・マンパワーを持つ介護老人保健施設が全国でどのくらい存在するかということです。
 また、「同様なことが、介護療養型医療施設においては、現在でも特定診療費において対応可能」 と、厚生労働省が言ってますが、上述のようにリハビリテーション・マンパワーによります。
 やはり、病院間格差・施設間格差・地域格差が相当あると思います。

(4)以上、平成21年度介護報酬改定における短期入所療養介護での個別リハビリテーションに関する項目を紹介しました。
 リハビリテーション・マンパワー、利用者の1割自己負担、要介護度・支給限度額、ケアマネジメント等、色々難しい面があると思いますが、個別リハビリテーション実施加算が全国的に普及することを切望します。




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平成21年度介護報酬改定 (介護療養型医療施設:リハビリテーション)

 全日本病院協会主催の平成21年度介護報酬改定説明会 (2009/2/4) における講演 (「介護報酬改定の内容について」 厚生労働省老健局老人保健課・鈴木康裕課長) の資料を入手しましたので、介護療養型医療施設におけるリハビリテーションに関して、可能な範囲で解説したいと思います。


●介護療養型医療施設の主な改定内容について (リハビリ関連部分のみ抜粋)

(資料1) リハビリテーションの評価 (特定診療費) 【→(参考1)、(参考2)】

①医療保険との役割分担の明確化や整合性を図る観点から理学療法等についての評価を見直すとともに、ADLの自立等を目的とした理学療法等を行った場合の評価を廃止する。

②リハビリテーションマネジメントについては、理学療法 (Ⅰ) 等に包括する。

③入院後間もない期間に集中的に行うリハビリテーションを推進する観点から、評価を見直す。

 ◎短期集中リハビリテーション
  ●60単位/日→→→→→240単位/日 (入院日から3ヶ月以内)
   (注) 理学療法 (Ⅰ)・(Ⅱ)、作業療法、言語聴覚療法又は摂食機能療法を算定す
     る場合には、短期集中リハビリテーションは算定できない。


(資料2) 集団コミュニケーション療法の評価 【→(参考3)】

◎言語聴覚士が集団に対して実施するコミュニケーション療法について、新たに評価を行う。

  集団コミュニケーション療法 (新規)→→→→→50単位/回 (1日に3回を限度)


(参考1) 介護療養型医療施設におけるリハビリテーションに係る加算の算定状況

①リハビリテーションマネジメント加算については、特定診療費における理学療法等の算定回数に対して、約9割の算定実績がある。

②短期集中リハビリテーション実施加算については、特定診療費における理学療法等の算定回数と比べ、算定実績は必ずしも高くはない (約5%)。

理学療法等 (特定診療費):約113万件
         (介護給付費実態調査 H19.5審査分からH20.4審査分の月平均)


(参考2) リハビリテーションの人員配置基準

◎特定診療費における理学療法 (Ⅰ) 及び作業療法に関する人員配置基準は、医療保険における脳血管疾患等リハビリテーション (Ⅲ) や運動器リハビリテーション料 (Ⅱ) と同等。


(参考3) 集団コミュニケーション療法について

①平成20年度診療報酬改定において、脳卒中後の者などのうち、失語症等の言語障害を有する者について、言語聴覚士が集団で実施するコミュニケーション療法が新設されたが、介護報酬上の評価はなされていない。

②介護療養病床には、脳血管疾患の患者や失語症の患者も入院している。

(a) 失語症患者に対する集団療法及び個別療法の効果 (田上ら)
  ●言語機能改善・コミュニケーションADLの改善・社会適応の改善・心理的
   改善において、集団療法の効果が認められた。
(b) 介護療養病床入院患者について (平成18年介護サービス施設・事業所調査)
  ●全入院者 (111,099人) 中、脳血管疾患患者 (57,388人) (51.7%)。

(c) 介護療養病床入院患者について [平成18年度 「慢性期入院医療の包括評価に関する調査」 (複数回答)]
  ●調査対象者 (2,671人)のうち、失語症 (11.2%)・脳梗塞 (47.8%)・脳出血 (17.1
  %)。

(d) 言語聴覚療法の算定実績 (言語聴覚士が1対1で行うもの)
  ●約9万7千回 (介護給付費実態調査:平成20年5月審査分)


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)資料1-①・参考2により、「理学療法 (Ⅰ) (180単位/回)」・「作業療法 (180単位/回)」 は、人員配置基準上、医療保険における脳血管疾患等リハビリテーション (Ⅲ) (100点) や運動器リハビリテーション料 (Ⅱ) (80点) と同等とみなし、両方ともベースを 「理学療法 (Ⅱ) (100単位/回)」 へランク下げした上で、一律 「+23単位」 したと考えられます (下記参照)。

  理学療法 (Ⅰ) 180単位/回
               (+23単位)
  理学療法 (Ⅱ) 100単位/回→→→→→→→理学療法 (Ⅰ) 123単位/回
               (+23単位)
  理学療法 (Ⅲ) 50単位/回→→→→→→→理学療法 (Ⅱ) 73単位/回

  作業療法   180単位/回→→→→→→→作業療法   123単位/回
   ●実際上は、「理学療法 (Ⅱ)→理学療法 (Ⅰ)」 と同様の計算で、
    100+23=123単位/回)

               (+23単位)
  言語聴覚療法 180単位/回→→→→→→→言語聴覚療法 203単位/回

               (+23単位)
  摂食機能療法 185単位/日→→→→→→→摂食機能療法 208単位/日

(2)一方、言語聴覚療法 (ST) と摂食機能療法とは、(ランク下げせずに) 現行の点数にそのまま一律 「+23単位」 しています。
 介護療養型医療施設においては、失語症・構音障害を持つ患者のみならず摂食嚥下障害患者も相当多く、STのニーズも高いためとされています。(但し、摂食嚥下障害に対するSTアプローチは摂食機能療法として算定できるのですが・・・)。
 別の解釈としては、月平均の理学療法等 (特定診療費) (約113万件) (参考1-③) に比して、STの算定実績 (STが1対1で行うもの) [参考3-(d)] が約9万7千回と少なく、患者ニーズと乖離しているため、とも考えられます。

(3)資料1-②・参考1-①より、リハビリテーションマネジメントは、約9割の算定実績があり、充分浸透し、所期の目的を果たしたため、包括化 [「理学療法 (Ⅰ) 等に包括」]、一方、資料1-③・参考1-②より、短期集中リハビリテーション実施加算は、算定実績が高くなく、未だ浸透していないため評価 (「60単位/日→240単位/日」) したと考えられます。(従来からの厚生労働省の狡猾な常套手段ですが・・・)。

(4)資料2・参考3-①・②・(a)~(d) により、集団コミュニケーション療法が導入されたと考えられます。
 改定後、実際のレセプト査定において、言語聴覚療法 (203単位/回) は高いので、集団コミュニケーション療法 (50単位/回) (最大:50単位/回×3回/日=150単位/日) に減額査定されるのではないかと、穿った見方をする方もいますが、真偽の程は現時点では予想がつきません。

(5)以上、平成21年度介護報酬改定における介護療養型医療施設でのリハビリテーション料の決定過程・理由の一端が少し理解できたような気がします。

 今後、各団体による平成21年度介護報酬改定説明会にて、もっと詳細な介護報酬改定の決定過程・理由が判明すると思います。
 
 改定のスケジュールは、
  ◎1月22日~2月20日まで:パブリックコメント募集
  ◎3月末まで:改正省令・告示の公布
         関係通知・Q&Aの発出
となっています。

 介護現場および介護サービス利用者・家族等が混乱しないためにも、出来るだけ早期の関係通知・Q&Aの発出を切望します。





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医療立国論Ⅱ 厚生労働省解体-医療庁を設置せよ! (大村昭人氏著)

 日経メディカル・ブログ (本田宏の 「勤務医よ、闘え!」) の記事 「医療費亡国論は保険局長の“私の考え方”」 において、「医療費亡国論」 が次のように紹介されています。

 1983年、当時の厚生省保険局長・吉村仁氏 (その後、事務次官、退官後すぐに逝去) が、社会保険旬報に 「医療費をめぐる情勢と対応に関する私の考え方」 という論文を執筆しました。
 同氏は、『このまま医療費が増え続ければ国家がつぶれるという発想さえ出ている。これは仮に 「医療費亡国論」 と称しておこう』 として、論文の中で以下の3点を強調しています。

 ①医療費亡国論:このまま租税・社会保障負担が増大すれば、日本社会の活力が
         失われる。
 ②医療費効率逓減論:治療中心の医療より予防・健康管理・生活指導などに重点
           を置いたほうが効率的である。
 ③医療費需給過剰論:供給は一県一大学政策もあって近い将来医師過剰が憂えら
           れ、病床数も世界一、高額医療機器導入数も世界的に高い。


 最近、少し風向きが変わり、医療費増の方向にベクトルが変わったようではありますが、未だに、上記の 「医療費亡国論」 ならびに 「小泉竹中構造改革」 が引き起こした 「医療費抑制、医師不足 (特に勤務医不足)」 による 「医師 (特に勤務医) の過重労働と疲弊および立ち去り型サボタージュ (→残された医師の過重労働と疲弊が増悪→悪循環)、医療崩壊 (特に病院崩壊、救急医療崩壊) および医療破壊、医療難民 (特に脳卒中、認知症)、救急難民、妊産婦難民、リハビリ難民、介護難民、等々」 の現状 (惨状) を、「医療再建・医療再生」 させるには、いまだ道遠しと思います。

 2007年、大村昭人氏 (帝京大学名誉教授・麻酔科) は、「医療立国論 崩壊する医療制度に歯止めをかける!」 を刊行され、「医療費の削減・市場原理主義の導入では医療改革は成功しない」・「医療費亡国論から医療立国論へ」・「医療は、経済活性化の要である。即ち、1兆円医療費を使えば、1兆円以上の経済波及効果がある。医療費は消費されて消えてしまうものでなく、医療に直接または間接的に関係する方々の雇用 (雇用創出効果) などを通して、医療費は国の経済発展の原動力となる」 等を主張され、広い支持を集めました。

医療立国論―崩壊する医療制度に歯止めをかける!医療立国論―崩壊する医療制度に歯止めをかける!
(2007/05)
大村 昭人

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 このたび、同氏は、第2弾 「医療立国論Ⅱ 厚生労働省解体-医療庁を設置せよ!」 を刊行されました。目次は次の通りです。

【目次】
 第1章.医療崩壊は既に始まっている
 第2章.まず 「日本の医療制度の問題点」 を整理する
 第3章.医療再生:すぐにできることはいくらでもある
 第4章.対談:医療崩壊を深刻に憂うる医療現場から提言
 第5章,医療庁を設置せよ! 4省にまたがる縦割り医療行政を再編統合しなけ
     れば医療再生はありえない

 同書のメインテーマは、「医療政策に関わる省庁の再編統合なくして医療制度改革は実現しない」 であり、次のような4省 (厚生労働省、文部科学省、総務省、経済産業省) にまたがる縦割りの医療行政を再編・統合して、「医療庁」 を創設し、「医療再生」 を図る必要があると力説されています。

 ①医師養成制度において、卒前教育および大学院は文部科学省、卒後は厚生労働
  省が所管する。
 ②救急医療において、救急搬送は消防庁 (総務省)、救急医療本体は厚生労働省が
  所管する。
 ③自治体病院については、総務省と厚生労働省とが関与する。
 ④製薬企業・医療機器産業については、厚生労働省と経済産業省とが関与する。

 現在の、「医療崩壊・医療破壊」 の現状 (惨状)、そして、それを 「医療再建・医療再生」 させるための方策等が明快に述べられており、一読をお勧めします。

医療立国論〈2〉―厚生労働省解体 医療庁を設置せよ!医療立国論〈2〉―厚生労働省解体 医療庁を設置せよ!
(2008/12)
大村 昭人

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救急医療機関における救急患者の 「受け入れ不能」 問題

 最近、連日のごとく、新聞・テレビ等のマスメディアにて、「救急患者のたらい回し (実際は、救急患者の『情報』のたらい回し)」 が報道されていますが、現実は、「①他の救急患者への処置中・手術中で手が回らない、②病床あるいはICUが満床、③専門外あるいは疾患の特殊性のため対応が困難」 等による、救急医療機関における 『救急患者の受け入れ不能』 というのが正確な表現です。

 「ぷにっと囲碁!なブログ」 において、救急患者の 「受け入れ不能」 に関する興味深い記事が掲載されていますので紹介します。

救急受け入れ問題FAQ  (註:FAQ=頻繁に尋ねられる質問)

(問1) なんで急患の受け入れを断るの?
(答) (人員・設備が足りない・・・などの) 物理的問題で、(受け入れると犯罪になってしまうケースがある・・・などの) 法的問題で、断らざるを得ない状態にあり、これは 「受け入れ拒否」 ではなく、「受け入れ不能」 なんです。

(問2) なんで 「専門外だから」 が断る理由になるの?
(答) 「専門外の患者を受け入れるのは犯罪」 という司法の判例 (奈良心タンポナーデ事件) があるからなんです。
 
(問3) ベッドが無いなら、廊下で治療すればいいんじゃないの?
(答) 「設備不十分な状態で患者を受け入れるのは犯罪」 という司法の判例 (加古川心筋梗塞事件) があるんです。(「勤務医 開業つれづれ日記・2」 ブログの記事 『加古川終了へ 司法による医療制限 「加古川市民病院・内科の外来制限/兵庫」』 参照)。
 そもそも、「ベッド」・「ベッド」 って言われてますけど、病院で言うところの 「ベッド」 は、心電図とか、酸素マスクとか、呼び出し用ボタンとか、それを管理する人員とか、それら全て 「込み」 ですからね。もはや 「ベッド」 というより 「設備」 と言ったほうが適当かも。

(問4) 応急処置してから、他の病院に移すのは駄目なの?
(答) 「応急処置の後、他病院に転送するのは犯罪」 という司法の判例 (上に同じく、加古川心筋梗塞事件) があるんです。

(問5) なんで、一度断った病院が、後になって受け入れるなんて事があるの?
(答) 救命中であった患者が 「落ち着く」 か 「亡くなる」 かのどちらかで、病院側に 「空き」 が出来たからです。

(問6) 有名人や金持ちだったら嬉々として受け入れるんじゃないの?
(答) 西村真悟議員の息子の飛び降り自殺・・・。アレも、重度のうつ状態で入院の必要があるとされながらも、「ベッドが無い」 という理由で入院できませんでしたよね。もはや、コネやカネではどうにも出来ない程に、患者の受け入れが困難な状況なんです。

(問7) ぶっちゃけ、人の命より金儲けのほうが大事なんでしょ?
(答) 金儲けのほうが大事だったら、そもそも、不採算部門である救急なんて、最初からやりません。

(問8) 医師が足りないなら、海外から医師を呼んだらいいんじゃない?
(答) 本国より遥かに待遇の悪い日本に来る理由が見当たりません。というのも、実は、日本の医師の待遇は、諸外国のソレよりも遥かに悪いんです。

(問9) ドクターヘリを導入したら? 空からなら直通でしょ?
(答) ヘリを導入するにも、周囲の建物が邪魔で安全に飛べなかったり (ビルに激突、民家に墜落・・・の危険性あり)、ヘリポートのある (作れる) 病院が少なかったり、騒音問題で導入を反対する住民がいたり・・・など、色々と問題が山積みなんです・・・。
 あと、ドクターヘリを必要とするほどの重症患者を扱う 「3次救急」 自体の数が減っていることも問題の一つとなっています。

(問10) リアルタイムでベッドの空き情報の分かるネットワーク、システムを作ったらいいんじゃない?
(答) いくら良いシステム、良いネットワークを作っても、医師の手術スピードが上がる訳でもなく、患者を診るための設備が増える訳ではないため、根本的な解決とはなり得ません。
 また、それに近いシステムが既にあるのですが、現在、病院側にそのシステムを操作するマンパワーが足りないために、空き情報をリアルタイムに更新出来ない・・・という問題が発生しています。

(問11) 救急病院が急患を受け入れられないなら、救急病院を辞めちゃえば?
(答) 現実に次々と辞め・・・ていうか、潰れていってるんです・・・。過去5年で430件以上・・・。
 特に、重症患者を扱う 「2次救急」、救急最後の砦である 「3次救急」 が減っていることが深刻な問題となっています。
 また、一つの病院が救急を撤退してしまうと、その病院が受け入れていた患者が他の病院に流れ込み、その病院のキャパシティをオーバーして受け入れ不能・・・という、「受け入れ不能のドミノ状態」 に陥ってしまう・・・という危険性があります。

(問12) 1次・2次・3次って何? どれも救急病院じゃないの?
(答) 救急病院は、患者の緊急度の度合いによって、「1次救急」・「2次救急」・「3次救急」 に種別されています。
 「1次救急」 は、入院や手術の必要が無い患者が対象で、「2次救急」 は、入院や手術が必要な患者が対象、「3次救急」 は、1次・2次では対応できないレベルの重症患者が対象となっています。
 ここ数年、救急医療が不要なレベルの 「軽症患者」 が、夜間救急・・・特に 「2次救急」・「3次救急」 に駆け込み、夜間救急がパンク状態になっている事が、深刻な問題となっています。

(問13) 20~30件も断わられる事なんてあるの?
(答) 大多数の救急が、マンパワー不足・キャパシティ不足のために、常にパンク寸前 (or 本当にパンク) の状態に陥っており、20~30件、いや、それ以上断られる可能性は、大いにありえます。
 また、過重労働で医師が倒れる、燃え尽きて退職・・・などで、救急を辞める病院も出ており、今後は 「受け入れ不能」 状態が加速、最悪、「たらい回せる病院」 すら無くなり、立ち往生・・・という事態もあり得ます。

(問14) 救急病院が多い東京でも患者の受け入れが出来ないのはなぜ?
(答) 救急病院は多いですが、それでも追いつかない程に人口が多すぎるんです。
 また、東京の周囲の他県の受け入れ状況も非常に厳しく、他県からの救急患者が東京に流れ込んでしまっている・・・という問題を抱えていたりします。(大阪府も同じような問題を抱えている)。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)救急受け入れ問題FAQは、一般の方々の素朴な疑問に対して、軽妙洒脱・当意即妙の回答がなされており、多くの一般国民およびマスメディアの方々への周知徹底が望まれる有意義な 「Q&A」 と思います。

(2)FAQの問1~4は、救急医療機関が、人員・設備等、不充分な手薄な体制のもと、救急患者を受け入れ、その結果、不幸な転帰をとった時、責任を負わされる (犯罪になるという司法判例がある) ため、「受け入れ不能」 とせざるを得ない現実があるということです。

 「新小児科医のつぶやき」 ブログにおいても、次のように述べられています。

 受け入れ病院には非常に重い十字架が架せられています。最近の医療では不十分な体制で受け入れる事も非難される時代になっています。義侠心を出して手薄な体制で引き受け、結果として不幸な転帰を取った時には 「引き受けた方が悪い」 と非難の的になります。「なぜもっと万全の体制の医療機関に送らなかったのか」 の厳しい批判です。

 批判は単なる言葉だけの問題ではありません。莫大な賠償金付きの訴訟が待っています。訴訟が起されればマスコミからのリンチのような社会的制裁が待っています。そんなものを受ければ病院の存亡に関わる事態になりかねませんし、担当した医師は医師生命を断たれてしまいます。

 この十字架についてはネットに参加する医師の間では既に常識化しており、「ロシアン・ルーレット」 とか 「ババ抜き」 と表現されています。患者の為に医師の使命感に燃え、無理を承知で引き受けたものが破滅する怖ろしいシステムです。この十字架は都市伝説の類ではなく、立派に司法の場で繰り返し断罪され判例となっている事実なんです。


(3)FAQの問10については、平成20年度診療報酬改定において、医師事務作業補助体制加算が新設され、特に忙しい救急外来・ERにおける 「診断書などの文書作成補助、診療記録への代行入力」 および 「救急医療情報システムへの入力」 等を、医療クラークが行えば、診療報酬が算定できるようになりました。
 しかし現実は、救急医療機関において、コスト・ベネフィット等の関係で未だ算定していない医療機関 (特に中小病院) があり、また、現在の診療報酬点数では、充分な人数の補助者が雇用できないという問題があります。

(4)FAQの問12は、救急医療 (特に夜間救急) をパンクさせる 「軽症患者・コンビニ受診患者」 の問題です。

 m3.com (2009/2/6) でも、「“コンビニ受診”で現場は疲弊している」 という記事で、次のように述べられています。

●患者の“コンビニ受診”が大半を占め、現場は疲弊している。患者教育をしないと、救急をやりたいと思う医師は増えない。

●医師や看護師などの不足のため、救急医療をやめる医療機関が多い。そのため、救急医療をやっている医療機関に患者が集中し、その多忙さの故に医師、看護師が退職してしまう、という悪循環が生じている。

●他の先進国の数分の1しかいない、貧弱な病院勤務医の定数のため、交代制勤務すら組めず、最低限の人員で救急に当らないといけない現状と、司法や国民の求める (時には妄想としか思えないような) 高い医療水準による訴訟リスクのため、各地の救急医療供給体制は急速に崩壊している。


 一方、共同通信社 (2009/2/5) の 「救急車の出動件数2年ぶり減少 適正利用の広報が奏功」 の記事は下記の通りです。

 2008年に全国の救急車が出動した件数は2007年比3.6%減の510万31件で、2年ぶりに減少したことが5日、総務省消防庁の集計 (速報値) で分かった。搬送人数も4.5%減の468万606人だった。
 出動件数の減少理由として、緊急性のない出動要請を控えるなど 「救急車の適正利用に関する市民への広報活動」 や、「頻繁に利用する人への個別指導」 などの効果を挙げる消防本部が多かった。
 出動件数を都道府県別に見ると、急病患者の搬送が増加した大分、宮崎の2県を除き、45都道府県で減った。減少率は北海道と大阪がともに5.6%、東京が5.5%など、搬送人数の多い自治体で高かった。
 年間出動件数は、統計を取り始めた1964年から増加し続けていたが、2006年に初めて減少。2007年は微増だった。


 上記の通り、救急医療に対する一般の方々の理解が良くなっている傾向も見られますが、未だコンビニ救急・コンビニ受診にて救急医療の現場が困っている現実があります。

 しかしながら、「AEDで子供を救おう」 ブログの記事 「救急車の適正利用」 で述べられているように、真に必要な時 (特に、心筋梗塞、脳卒中) に、救急車の利用を躊躇すると手遅れとなり、死亡あるいは重い後遺症が残ります
 まさしく、不正利用・誤った利用・過少利用ではなく、救急車の 「適性利用」 が重要なのですが、一般の方々の判断にはやはり限界がありますので、行政および各関連医学会により、地域住民への各種救急疾患の症状等の充分な啓発・啓蒙を地道に行うべきと思います。

(5)FAQの問11・13は、救急医療システムの根源的な問題です、

 即ち、医療亡国論および小泉竹中構造改革による 「医療費抑制、医師不足 (特に勤務医不足)」 により、これまで2次救急を担ってきた中小病院の多くが、救急医療から撤退し、それが、3次救急を担っている医療機関に更なる負担をかけ、結果的に救急患者受け入れ不能を更に悪化させるという図式 (救急患者受け入れ不能のドミノ状態) に陥ります。

 「高齢者の増加に伴う救急患者数の増加」 ならびに 「コンビニ受診 (軽症患者の夜間休日救急外来受診) というモラルの問題、モンスター・ペイシェント (医療従事者や医療機関に対して自己中心的で理不尽な要求、果ては暴言・暴力を繰り返す患者やその家族・保護者等) 問題」 等の患者側の問題 も、この根源的な問題の悪化に拍車をかけています。(『「やぶ医師のつぶやき」~健康、病気なし、医者いらずを目指して』 ブログの記事 「医療崩壊 、医師不足を切り口に」 参照)。

 最終的には、救急患者受け入れ不能状態が加速→「たらい回せる病院」 すら無くなる→救急医療完全崩壊という、国民にとって最悪のシナリオが待っています。

(6)最近、少し風向きが変わり、医療費増の方向にベクトルが変わったようではありますが、未だに、上述の医療亡国論および小泉竹中構造改革による 「医療費抑制、医師不足 (特に勤務医不足)」 の重い後遺症が残存しており、それが、医師 (特に勤務医) の過重労働と疲弊および立ち去り型サボタージュ (→残された医師の過重労働と疲弊が増悪→悪循環)」 を生じさせています。
 また、特定の診療科医師 (特に、救急医、産科医、小児科医、麻酔科医、外科医) の不足、新生児集中治療室 (NICU) のベッド不足・医療スタッフ不足等も挙げられます。
 現在の 「救急医療崩壊・破壊」 の現状 (惨状) を、「再建・再生」 させるのは、並大抵のことではありません。

(7)理論的には、厚生労働省が提唱しているように、特定の病院 (3次救急医療機関・高度急性期総合病院・地域拠点病院) に、医師・看護師等のマンパワーを集約し、北米型ER (緊急救命室)・総合診療科機能も併せ持った上で、当該医療圏の1次~2次~3次救急患者全員を絶対断らずに一旦受け入れて、トリアージで、1次救急患者および2次救急患者の一部を診療所・中小病院に逆搬送するという体制を作るのが理想的です。

 しかしながら、この理論にも落とし穴があり、(医師・看護師の絶対数が足りない今の現状で) 医師等を上記の特定の病院に集約化すると、「1次救急患者および2次救急患者の一部を逆搬送される診療所・中小病院において、医師等のマンパワーが少なくなり、医療パワーも低下し、ある程度医療必要度等が高い救急患者は受け入れられない」 という矛盾が生じます。

 また、上記の特定の病院で急性期を終えた患者が、急性期後のケアを受けるため、亜急性期病院 (回復期リハビリテーション病棟、亜急性期病床) へ転院しようと思っても、「①亜急性期病院の数が不足、②医師・看護師等のマンパワー、即ち医療パワーが充分でないため、ある程度医療必要度・看護必要度が高い患者を受け入れることが出来ない亜急性期病院が少なくない、③亜急性期病院も、出口 (療養病床・介護保険施設・在宅ケア等での慢性期・維持期ケア) が充分でないと、病床の空きが出来ず、急性期病院から患者さんを受け入れられない」 という問題があります。
 その結果、医療必要度の高い患者等が、救急病院に長期入院せざるを得ないという問題が生じています。

 即ち、結果的に現在、医療難民・リハビリ難民・救急難民・介護難民等が生じており、根本的な現状打破は今のところ困難といわざるを得ない状況と考えられます。

(8)一方、一般住民・マスメディア等への救急医療の惨状の啓発・啓蒙は必要であり、(医療訴訟との兼ね合いも含めて)、「医療には、不確実性・限界・リスクがある」・「医療は、医療スタッフと患者との協働である (パートナーシップ)」・「患者・家族・地域住民の医療参加」 ということは特に啓蒙する必要があります。

 以前の当ブログ記事 [一般の方に知って頂きたいリハビリテーション医療7ヶ条 (試作版)] に取り上げた 「非医療者に知ってもらいたい医療10ヶ条 (修正版)」 が参考になると思いますので、再掲します。

非医療者に知ってもらいたい医療10ヶ条 (修正版)

①医療は不確実です。医療には限界があります。医師がどんなに手を尽くしても亡
 くなることはあります。

②医師はエスパーではありません。症状をきちんと伝える為に 「いつから、どこが
 どう痛いのか」 等を予めメモにまとめておきましょう。

③医師は敵ではありません。敵なのは病気であり、医師は共に戦う仲間です。

④医師は病気を治すのではありません。医師は病気を治す手伝いをするのです。

⑤新聞やニュースの医療記事を鵜呑みにしないようにしましょう。偏向報道の場合
 があるので出来たらネット等で調べ、多角的に考えましょう。

⑥ 「たらい回し」・「受け入れ拒否」 という言葉は使わないようにしましょう。これら
 は人手・設備不足等で受け入れ能力がないために起こります。つまり 「受け入れ
 不能」・「受け入れ困難」 の方が適切です。

⑦ “ベッドが満床”のベッドは、物理的なベッド以外に、酸素マスクや看護する人
 員等含んだ設備と言う意味があります。つまり「ベッドが満床」=「(物理的な) ベッ
 ド・設備・人員すべて受け入れる余力が無い」 んです。それから“ベッドが無けれ
 ばソファに寝かせて治療”は重症患者ではとてもできません。

⑧ 「一般人だからわからない」 と言わずに調べるくせをつけましょう。自分の病気に
 ついても人任せにしないで正しい知識をつけましょう。

⑨時間外の救急外来に平日昼間のような設備や人員は望めません。コンビニ受診は
 控えましょう。

⑩医療崩壊について調べてみましょう。医療崩壊、医師不足や受け入れ不能事件の
 一因は我々国民にもあることを自覚し、何をしたらいいのか建設的に考えていき
 ましょう。我々非医療者、医療者が協力し合わなければ医療崩壊はくい止められ
 ません。





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介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」

 2008年11月、全日本民主医療機関連合会 (全日本民医連) は、『介護保険の利用実態と制度改善の課題 「介護1000事例調査」 報告書』 を公表し、728事例の分析に基づき、介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」 について、対策を含めて考察していますので、紹介します。


●介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」

 ①重い費用負担のため、利用を断念もしくは手控えざるを得ない事態が広がって
  いる。

 ②認定結果と本人の状態が著しく乖離する傾向が強まっており、その結果、サー
  ビスの利用に制約が生じている。

 ③予防給付への移行や、軽度者に対する福祉用具の利用制限などにより、状態の
  悪化や生活上の支障を生じている。

 ④支給限度額の範囲では十分なサービスを受けられない、もしくは支給限度額を
  超えた利用が必要なため、多額の自費負担が発生している。

 ⑤家族との同居を理由とする生活援助の機械的な打ちきりなどの 「ローカルルー
  ル」 の適用、外出支援など、利用に対する様々な制約が広がっている。

 ⑥重度化が進むが施設入所もままならず、家族介護、介護費用の二重の負担が増
  大する中で、在宅生活の維持、療養の場の確保に困難をきたしている。

 ⑦医学的管理を要する場合の施設入所、在宅生活が困難になっている。

 ⑧独居・老々世帯では、在宅での介護、生活の継続に様々な困難をかかえている。

 ⑨在宅での重度認知症の生活・介護が深刻化している。


 全体の特徴として、第1に、利用者の経済状態が非常に厳しくなっている中で、利用料をはじめとする費用負担の問題 (①) が多くの事例で共通していること、第2に、給付を抑制するしくみによって利用の手控えやとりやめが広がっており、利用者・家族の介護、生活に様々な支障をもたらしていること (②~⑤)、第3に、いわゆる 「行き場のない」 利用者の事例 (⑥~⑨) が過去に実施した調査と比較して数多く寄せられたこと、が挙げられます。

●求められる介護保険制度の大幅な改善

 介護保険制度は、「介護の社会化」 の理念を掲げてスタートしました。しかし、国による給付抑制が徹底されるなか、この理念そのものが、もはやほとんど顧みられなくなっているのが現実です。
 介護の充実は、「安心して老後を送りたい」 というすべての高齢者・国民の願いです。今後いっそう高齢化が進行します。独居、老々世帯が急増し、重度の疾患や障害をかけた高齢者、「認々介護」 と報じられるような認知症の高齢者も増えていきます。「誰もが経済的な心配なく、必要な介護を受けながら住み慣れた地域で暮らし続けること」 を保障しうる 「介護の社会化」 の真の実現が求められています。
 2009年度は介護報酬の改定が実施されますが、それだけにとどまることなく、利用者の介護・生活実態に正面から向き合い、介護保険の運用に対する真摯でかつ詳細な検証、それに基づいた制度全般の総合的な見直しを行うことが必要であると私たちは考えます。

1.制度の何を見直すべきか

(1)重い費用負担

 高齢者の生活状態がかつてなく悪化しています。高齢者世帯のうち生活保護基準の以下の収入で生活をしている世帯が26% (女性独居世帯は42%) となっており (「国民生活基礎調査」)、「低所得者ほど要介護状態になりやすい」 (近藤克則:『健康格差社会』、医学書院) という事実は、最も公的サービスを必要とする層が、費用を負担できないために最も利用から遠ざけられている事態を類推させます。
 今回の調査では、利用料や施設等での居住費・食費などの支払いが在宅サービスの利用、施設入所の大きな足かせになっていることを改めて浮き彫りにしました。税制改定や後期高齢者医療制度の保険料など、ここ2~3年、介護費用以外の様々な負担も大幅に増えています。
 利用者負担の軽減と、抜本的な低所得者対策が必要です。

(2)利用の制約につながる様々な仕組み
 現行の介護保険制度には、前述の費用負担の他、不透明な要介護・要支援認定、サービス内容や提供方法が改編された予防給付、保険給付の上限を定めた支給限度額、「これもダメ、あれもダメ」 の提供基準など、必要なサービスであってもその利用を遠ざける様々な仕組みが組み込まれています。
 こうした仕組みを改め、必要に応じて介護サービスを利用できる (必要充足原則) 制度への改善が必要です。例えば、支給限度額の大幅な引き上げ (または廃止) が利用料負担の軽減と合わせて実施されれば、要介護5、独居でも介護保険サービスを利用しながら在宅生活を継続できる条件が広がるでしょう。「同居家族がいる場合の生活援助の機械的打ち切り」 など、自治体 (保険者) の独自判断による利用制限は即刻やめるべきです。

(3)施設などの基盤整備
 全国で38万人と言われている特養待機者は減る兆しがみえません。重度の待機者は医療機関の入転院、家族介護でつなぎながら空きを待っている状態です。レスパイトや緊急時のショートステイもなかなか利用できません。療養病床の削減などにより、在宅で胃瘻、経管栄養などの医学的管理を要する高齢者も急増しています。夜間を含めた在宅24時間対応や認知症高齢者への支援はまだまだ遅れています。
 高齢化が進む中、このままでは施設にも入れず、入院もできず、在宅では暮らしていけない、いわば 「行き場のない高齢者」 が今後いっそう増えていくことが予想されます。施設整備、在宅ケアの拠点づくりなど、介護や医療が必要になっても、安心して過ごせる生活や療養の場を確保・保障することが急務です。

(4)利用者の視点での介護報酬 (基準) 改定
 介護報酬 (基準) は、保険で給付される介護サービスの水準や内容を規定します。例えば、介護予防訪問介護での月定額制報酬や1時間以上の生活援助に対する報酬頭打ちの仕組みはヘルパーの長時間の滞在を困難にし、利用者とのコミュニケーションの機会を減らすとともに、買い物などの家事の十分なサポートや 「調理などをヘルパーと共に行うことで自立を促す 『自立支援型』 の援助」 を難しくしています、このような 「細切れ、駆け足」 介護では、利用者一人一人の生活を総合的に支えることは困難です。
 すべての利用者に対して、「安心・安全の介護、行き届いた介護」 を保障する観点からも、介護報酬 (基準) の体系と水準、内容の見直しが必要です。

2.具体的提言

(1)介護保険制度の緊急改善

 現状の困難を直ちに打開するため、以下の緊急改善を求めます。
 ①利用料、介護保険料の負担軽減を図ること。
 ②本人の状態が正確に反映されるよう認定制度を改善すること。がん末期の場合
  は要介護5とみなし、相当の介護サービスを利用できるようにすること。認知
  症については、見守りや精神的援助の必要性を考慮した認定結果になるようシ
  ステムを見直すこと。
 ③支給限度額を大幅に引き上げること。要介護5については支給限度額を廃止す
  ること。
 ④予防給付の対象であっても、必要な介護サービスを利用できる仕組みに改善す
  ること。
 ⑤特養建設に対する国の補助金を復活させ整備を進めること。緊急で入所できる
  ショートステイの拡充等、介護者を支援するための基盤整備を強化すること。
 ⑥同居家族がいる場合の生活援助の規制など、いわゆる 「ローカルルール」 によっ
  て、利用の抑制や打ち切りが行われることがないよう、保険者に対する国の指
  導を強めること。
 ⑦介護報酬を大幅に引き上げるとともに、利用しやすい制度になるよう諸基準を
  見直すこと。

(2)介護保険制度の抜本的改善
 現行制度に組み込まれている様々な 「制約・排除の仕組み」 を抜本的に改めることを求めます。
 ①利用の足かせとなっている利用料を廃止すること。介護保険料は応能負担とし、
  滞納者への制裁措置や特別徴収をとりやめること。
 ②支給限度額を廃止すること。
 ③認定制度を抜本的に見直し、国は状態像に関する大枠のガイドラインのみ定め、
  具体的な利用内容は、本人とケアマネジャーが協議し決定する仕組みに改める
  こと。
 ④適切なケアマネジメントに基づいて必要と判断されたサービスは、すべて保険
  から給付すること。
 ⑤サービス体系を見直すこと。医療系サービスは医療保険に戻すとともに、予防
  給付のあり方を見直すこと。
 ⑥施設をはじめとする基盤整備に対する公的支援を強化すること、地域支援事業
   (地域包括支援センター) は介護保険と切り離し、別財源とすること。
 ⑦介護報酬の体系・水準を抜本的に見直すこと。

(3)高齢者福祉制度の強化・拡充
 介護保険制度だけで、介護問題すべてに対応することは困難です。介護保険ではカバーしきれない介護 (=生活) 問題に対応するために、現行の老人福祉法の改善など高齢者福祉制度の強化・拡充を求めます。

(4)以上を実現するために
 介護保険は、介護サービスの拡充、介護報酬の引き上げが介護保険料、利用料に直結する制度設計になっています。今後の高齢化に伴う介護費用の増大に対応し、「制度の持続可能性の確保」 をはかるためにも、介護保険に対する国の負担分の構成比を引き上げることが必要です。
 ①調整交付金分をのぞいた国の負担分を50%に引き上げること、少なくても当面
  30%まで引き上げること。
 ②財源は、逆進性が強く応能原則に逆行する消費税増税によるのではなく、税金
  のあり方を根本的な見直しによって生み出すこと。
 ③社会保障費2,200億円削減方針を直ちに撤回すること。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記の通り、全日本民医連では、介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」 を挙げ、介護保険制度の見直すべき点として、「重い費用負担」・「利用の制約につながる様々な仕組み」・「施設などの基盤整備」・「利用者の視点での介護報酬 (基準) 改定」 の4項目を指摘しています。

 また、具体的な提言では、現状の困難を直ちに打開するための 「介護保険制度の緊急改善」 として、利用料・介護保険料の負担軽減を図ることや本人の状態が正確に反映される認定制度への改善など7項目を要求しています。

 さらに、7項目の 「介護保険制度の抜本的改善」 策および介護保険ではカバーしきれない介護 (=生活) 問題に対応するための高齢者福祉制度の強化・拡充を求めており、その財源について、「介護保険に対する国の負担分 (調整交付金分を除く) を50%に引き上げること、少なくても当面、30%まで引き上げること」・「財源は、逆進性が強く応能原則に逆行する消費税増税によるのではなく、税金のあり方を根本的な見直しによって生み出すこと」・「社会保障費の2,200億円削減方針を直ちに撤回すること」 の3項目を提言しています。

(2)平成21年度介護報酬改定は、以前の当ブログ記事 [介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)] で記した通り、3つの基本的視点 「①介護従事者の人材確保・処遇改善、②医療との連携や認知症ケアの充実、③効率的なサービスの提供や新たなサービスの検証」 に則って、改定が行われます。

 2009年度 (平成21年度) 介護報酬改定においては、改定率がプラス3% (うち、在宅分:1.7%、施設分:1.3%) です。
 しかしながら、過去2回の介護報酬改定は、2003年 (マイナス2.3%)、2006年 (2005年10月を含め、マイナス2.4%) と大幅なマイナス改定であり、また、2006年の介護保険制度改定による軽度者の介護給付制限 (介護予防給付の創設) による影響を換算すると、マイナス10%以上にもなるとされています。

(3)したがって、改定率プラス3%では、介護保険制度の改善は甚だ不充分なものになると考えられ、ましてや、上述の全日本民医連の要求レベルには到底及ばないと考えられます。

 「masaの介護福祉情報裏板」 ブログ記事 「戦いの本番は3年後。」 でも次のように強調されています。

 今回の介護報酬はとりあえずの対症的処方でとりあえず3%報酬をアップさせたが、改革の本丸は3年後のダブル改定であると考えている官僚は多いだろう。

 まさしく、2012年度の診療報酬・介護報酬の同時改定の時が、最大の山場になると思われますので、医療・介護従事者連合軍で、国民の安心・安全・納得・満足を勝ち取っていくのが、我々の使命と考えられます。




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DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件

 DPC対象病院・DPC準備病院において、次期平成22年度診療報酬改定にて導入される 「新機能評価係数」 に対する関心は非常に高いと思います。

 平成21年1月21日開催のDPC評価分科会にて提案されたDPC 「新機能評価係数」 候補は下記の通りです。また、Japan Medicine (2009/1/28) に、厚生労働省保険局医療課の宇都宮企画官の 「DPCの調整係数廃止と新機能評価係数の導入」 に関する講演の記事が掲載されましたので紹介します。


(資料1) DPC 「新機能評価係数」 候補 (平成21年1月21日現在)
     (平成20年度第9回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会)

 1.医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について
  (1)透明化の評価
    ア.部位不明・詳細不明コードの発生頻度による評価
  (2)効率化の評価
    ア.効率性指数による評価
    イ.後発医薬品の使用状況による評価
  (3)標準化の評価
    ア.手術症例数又は手術症例割合に応じた評価
    イ.診療ガイドラインに沿った診療の割合による評価
    ウ.標準レジメンによるがん化学療法の割合による評価
  (4)医療の質の評価
    ア.術後合併症の発生頻度による評価
    イ.重症度・看護必要度による改善率
    ウ.医療安全と合併症予防の評価
    エ.退院支援及び再入院の予防の評価

 2.社会的に求められている機能・役割の評価について
  (1)特殊な疾病等に係る医療の評価
    ア.複雑性指数による評価
    イ.副傷病による評価
    ウ.診断群分類のカバー率による評価
    エ.希少性指数による評価
       ◎難病や特殊な疾患等への対応状況の評価
  (2)高度な機能による評価
    ア.高度な設備による評価
    イ.特定機能病院又は大学病院の評価
    ウ.がん、治験、災害等の拠点病院の評価
    エ.高度医療指数

 3.地域医療への貢献の評価について
  (1)地域での役割の評価
    ア.医療計画で定める事業について、地域での実施状況による評価
    イ.救急・小児救急医療の実施状況による評価
    ウ.救急医療における患者の選択機能の評価
    エ.産科医療の実施状況の評価
    オ.地域医療支援病院の評価
    カ.地域中核病院の評価
    キ.小児科・産科・精神科の重症患者の受け入れ体制の評価
    ク.全診療科の医師が日・当直体制をとっていることの評価

 4.その他
  (1)医療提供体制による評価
    ア.医師、看護師、薬剤師等の人員配置による評価
  (2)望ましい5基準に係る評価
    ア.ICU入院患者の重症度による評価
    イ.全身麻酔を実施した患者の割合による評価
    ウ.病理医の数による評価
    エ.術中迅速病理組織標本作製の算定割合による評価
  (3)その他
    ア.新規がん登録患者数
    イ.高齢患者数の割合による看護ケアの評価
    ウ.入院患者への精神科診療の対応の評価
    エ.チーム医療の評価


(資料2) 「DPCの調整係数廃止と新機能評価係数の導入」 に関する講演要旨
     (厚生労働省保険局医療課・宇都宮企画官、平成21年1月24日)


 ①DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件
  (a) 根拠となるデータが提示できること
  (b) 新規調査ではなく、既存のデータが活用できること
  (c) 医療現場が具体的に運用していく上で納得できる指標であること

 ②新機能評価係数の導入は、次期診療報酬改定だけで完了させるのではなく、改定
  後も継続的に検討を進め、DPCに基づく診療報酬体系をよりブラッシュアップ
  していくことが必要。
  ◎DPC調整係数の廃止は、医療現場の激変緩和のため次期改定だけで廃止
   することには慎重論が多く、何回かに分けて段階的に廃止される可能性が
   高い。それに伴い、DPCの新機能評価係数も改定時に段階的に導入する
   可能性が高い。

 ③DPCの新機能評価係数は、平成21年1月21日現在の候補項目以外にも、幅広く
  集め、その中から新機能評価係数に相応しいものに絞り込む検討を進めていき
  たい。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)資料1の通り、平成21年1月21日現在のDPC 「新機能評価係数」 候補は、「①医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について」 が10項目、「②社会的に求められている機能・役割の評価について」 が8項目、「③地域医療への貢献の評価について」 が8項目、「④その他」 が9項目、合計35項目です。

 DPC 「新機能評価係数」 候補は、相当程度、出揃った感がありますが、厚生労働省は、まだ継続して候補項目を集める予定です。

(2)資料2の通り、現時点での厚生労働省の考え方は、「DPCの調整係数廃止と新機能評価係数の導入」 を同時並行して、段階的に行う予定です。

(3)DPCの 「新機能評価係数」 の3つの必須要件である 「①根拠となるデータが提示できること」・「②新規調査ではなく、既存のデータが活用できること」・「③医療現場が具体的に運用していく上で納得できる指標であること」 が公表され、この3要件を、資料1の 「平成21年1月21日現在のDPC新機能評価係数候補35項目」 に適用し、大分、絞り込むことが出来るようになりました。

(4)DPC評価分科会および中医協基本問題小委員会の当面のスケジュールは、①平成21年3月末までに、 「新機能評価係数」 として相応しい係数の候補の選定を取りまとめる、②平成21年4月より、「新機能評価係数」 としての妥当性の評価から議論を開始する、となっています。

(5)一方、「いじかちょうなまいにち」 ブログの記事 「きのうひょうかけいすう って その5」 で次のように述べられています。

 7:1看護で見られたように、評価をすると極端にその方向に走るケースが現れかねないと懸念する意見も複数の委員から出されました。

 確かに7:1看護の採用によって、民間病院の看護師の採用数とレベルが一気に下がったように、新たな評価が人的資源や症例数に寄るものになれば大病院や公立病院にとっては、有利に働くと思いますが、中小病院や民間病院はまたもや厳しい状況におちいる可能性を秘めていると思います。

 まぁ厚労省は病床削減が目的ですから、中小病院や公的資金でバックアップされない民間病院がつぶれて目的が達せられればいいのかもしれませんが・・・。



 正に、的を得たご意見ですが、民間中小病院の立場に立つと、複雑な気持ちに陥ります・・・ (苦笑&泣笑)。


 以上、今後のDPC評価分科会および中医協基本問題小委員会の議論の動向が注目されます。(DPC対象病院・準備病院は、ヒラソル等のDPC解析ソフトを駆使して、シミュレーションおよび各種指標を算出し、早めに準備した方がベターと思います)。




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急性期・亜急性期のリハビリ料の出来高払いの既定事実化 (二木教授)

 以前の当ブログ記事 (リハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性) においてリハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性について論じました。

 『二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター (通巻54号)』に転載された、日本福祉大学の二木教授の対談記事 「対談:リハビリテーションの制度改革と診療報酬」 において、リハビリテーション診療報酬における 「制限診療の導入」 および 「急性期・亜急性期のリハビリテーション料の出来高払いの既定事実化」 について述べられていますので紹介します。

1.リハビリテーション診療報酬における 「制限診療の導入」
 ①2002年に患者一人当たりの合計回数の上限が導入。
  ◎当時は回復期リハビリテーション病棟でも、6単位まで
 ②2006年にリハビリテーション算定日数の上限が導入。
  ◎急性期~亜急性期 (回復期) リハビリテーションは医療保険で給付、維持期
   リハビリテーションは介護保険で給付という、厚生労働省の 「医療保険の純
   化」
路線。

2.リハビリテーション診療報酬における 「急性期・亜急性期のリハビリテーション
 料の出来高払いの既定事実化」

 私は、介護保険がスタートした2000年の段階では、中長期的には、リハ医療は回復期リハ病棟を含めて、包括払いに組み込まれるようになると予測していました。
 しかし、2003年3月に閣議決定された 「医療制度改革基本方針」 で、「診療報酬体系については、①医療技術の適正な評価 [ドクターフィー的要素 (注1)]、②医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価 [ホスピタルフィー的要素 (注1)]、③患者の視点の重視等の基本的考え方に立って見直しを進める」 とされたこと、および同年から大学病院等の特定機能病院を対象にして導入されたDPC包括評価の対象からリハ料が除外されたことを総合判断して、急性期・亜急性期医療 (回復期リハ病棟も含む) のリハ料は、今後も出来高払いであり続けると考えるようになりました。
 「医療制度改革基本方針」では、「ドクターフィー的要素」 の範囲は明示されていませんでしたが、DPC包括評価の実績から、それには医師技術料だけでなく、リハ料も含まれる=出来高払いとされると判断したわけです。
 その後の3回の診療報酬改定 (2004、2006、2008年) により、急性期・亜急性期のリハ料は包括払いの対象に含めないとの方針は、既定事実化あるいは既得権化したと思います。

(注1) ドクターフィー的要素、ホスピタルフィー的要素
 これらの表現は、坂口力氏 (元厚生労働大臣) が2002年9月に 「診療報酬体系の見直しについての改革私案」 を発表したときに用いられ、「診療報酬体系を医療技術の評価 (ドクターズフィー的要素) と医療機関の運営コストを反映した評価 (ホスピタルフィー的要素) に再編」 することを提起した。[『医療改革と病院』 (勁草書房、2004)]。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記1の通り、リハビリテーション診療報酬においては、「患者一人当たり合計回数の上限の導入」・「リハビリテーション算定日数上限の導入」 という 「制限医療」 が既に導入されていることを厳粛に受け止める必要があります。

 リハビリテーション医療の分野は、他の医療分野に比して、医療費等への影響が比較的小さい領域ということで、これまでの診療報酬改定において、厚生労働省による実験場的役割 (制限医療の導入、疾患別リハビリテーション体系化、回復期リハビリテーション病棟への成果主義の導入) を果たしていました。

 しかしながら、リハビリテーション従事者・現場の立場としては、短期間に制度がガラッと変わるので、辟易の極致です!!
 次期改定はリハビリテーションの何がターゲットになるのかと考えると憂鬱になります。(厚生労働省の机上の理論に振り回されるのは、もう懲り懲りです・・・)。[今日はちょっと情緒不安定です (苦笑)]。

(2)上記2の 「診療報酬における急性期・亜急性期のリハビリテーション料の出来高払い」 に関しては、二木先生が仰るとおり、これまでの診療報酬改定の歴史・経緯を見ても、「急性期・亜急性期医療 (回復期リハビリテーション病棟も含む) のリハビリテーション料は、今後も出来高払いであり続ける」・「急性期・亜急性期のリハビリテーション料は包括払いの対象に含めないとの方針は、既定事実化あるいは既得権化した」 と思われます。

 厚生労働省DPC研究班・主任研究者の松田教授 (産業医科大学) も、「制度設計は厚労省、中医協が行うことだ」 と前置きした上で、DPCについては、傷病名が優先される分類であるため、疾病横断的なリハビリテーションを包括化していくことは難しく、出来高範囲に置く方が妥当との見方を示しています。[Japan Medicine (2007/6/11)]。

(3)一方、全国医学部長病院長会議は、前回の平成20年度診療報酬改定の際に、次のような 「超急性期リハビリテーションにて急性期加算の設定」 を要望していました。
 「大学病院における超急性期リハビリテーションは、ベッドサイドでの訓練の必要性や、患者にとっては突然の機能喪失に対するモチベーションの低下など多くの困難を伴うが、発病後2週間で主病名の治療以外に適切なリハビリテーションを行うことが重要であるということで、同会議・DPC検討委員会では、大学病院の超急性期リハビリテーションの提供を促進するため、個別のリハビリテーション点数だけでなく、発病後2週間以内のリハビリテーションに急性期加算を設定すべきという要望を出すことになった」。

 その要望を受けて、前回の平成20年度診療報酬において、次のような 幻の急性期リハビリテーション料包括化計画」 が考えられていたそうです。 [「医療経営Phase3 (フェイズ・スリー)」 (平成19年12月号)]。
●急性期リハビリテーション料の新設
 リハビリテーションは発症初期から開始することが重要であり、平成18年度診療報酬改定でも急性期・回復期のリハビリを評価している。
 急性期・回復期のリハビリは、発症直後から関節可動域訓練などを開始することが重要視されているが、急性期は臥床したままで、リハビリの専門病院に転院した後、または回復期リハビリ病棟に転棟した後に、リハビリを開始する事例も多い。
 この場合、リハビリを開始する時点で既に回復が困難なレベルにまで拘縮が進んでいるため、回復期リハビリが充分な効果を発揮できない事例があることも、厚労省は把握している。
 これらをもとに同省では、発症直後から何らかのリハビリを開始することを評価した点数を設定することを検討している。
 具体的には、「1日につき150点の急性期リハビリテーション加算を新設する」 意向だ。
 算定条件としては、
  ①リハビリを必要と認める患者に対して発症直後から2週間までの間に、
   医師の指示の下、看護師 (准看護師を含む)、または理学療法士が関節
   可動域訓練などを実施した場合に、入院基本料に加算できる。
  ②対象者を疾患別リハビリの対象患者に限定する。
  ③疾患別リハビリ料とは併算不可とする。
などが考えられている。
 財政負担は、年間16億円程度と試算されている。

 また、次期衆議院総選挙のマニフェストの基になる 「民主党 INDEX 2008」 の 「厚生」 の章26ページに下記の記載があります。
●包括払い制度の推進
 超急性期・回復期・維持期リハビリテーションについては、その重要性を考慮し、当面は出来高払い制度としますが、スタッフの充実度および成果を検証し、将来的には包括払い制度に組込みます。

(4)以上、次期平成22年度診療報酬改定における急性期リハビリテーション料の 「包括化およびセラピスト以外の代替有資格者 (看護職員) の算定可能化」 の導入の可能性は完全には否定できませんが、基本的には、二木教授が仰るとおり、「急性期・亜急性期医療 (回復期リハビリテーション病棟も含む) のリハビリテーション料は、今後も出来高払いであり続ける」・「急性期・亜急性期のリハビリテーション料は包括払いの対象に含めないとの方針は、既定事実化あるいは既得権化した」 と思われます。

 しかしながら、DPC対象病院に限らず、急性期・亜急性期のリハビリテーション料において、「ドクターフィー (医師技術料) あるいはドクターフィー的要素 (コメディカル技術料)」 と 「ホスピタルフィー」 の考え方が、導入される可能性も否めません。

 急性期・亜急性期のリハビリテーション料の出来高制度を守るためにも、以前の当ブログ記事 (リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務) で論じたように、リハビリテーション医療における医師および疾患別リハビリテーション専任医師の関与度 (特に、リハビリテーション適応判定、定期的なリハビリテーション治療効果判定、原疾患・合併症・併存疾患の医学的コントロールならびにリハビリテーション・リスク管理等の責務) をより高め、且つ、セラピストのスキルアップおよび多専門職種による徹底したチーム・アプローチによる、リハビリテーション治療効果の更なる向上を図る必要があります。

 そして、リハビリテーション医療の効率化と質の管理、リハビリテーション成果 [アウトカム評価は、患者・家族要因、環境要因、社会的要因等に左右されるため、「プロセス評価」 および人員基準等の一部のストラクチャー評価がベター] のエビデンスを示していく必要があると思います。

【関連記事】
 ◎リハビリテーション診療報酬における 「医師の技術料」 (政府見解)
 ◎疾患別リハビリテーションにおける専任医師の人員基準
 ◎リハビリ医療における 「医師および疾患別リハビリ専任医師」 の責務
 ◎リハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性)




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脳卒中急性期医療体制の構築 (東京都脳卒中急性期医療機関 2009)

 以前のブログ記事 [地域リハビリテーション (CBR:community based rehabilitation)] において、下記のような脳卒中医療に関する問題点を提起しました。

●実際の脳卒中医療において、①不充分な急性期治療・②不充分な早期リハビリテーション・③「医原性」 の二次的合併症・障害 (廃用症候群・過用症候群・誤用症候群)・④不充分な回復期リハビリテーションあるいは回復期リハビリテーションの欠如のため、結果的に障害の回復が不充分なまま、あるいは余計な障害まで作られた上で、介護保険・福祉に受け継がれることが未だ少なくなく、全県的な脳卒中医療、リハビリテーション・ネットワークの構築の必要性が喚起されています。

 したがって、脳卒中医療および脳卒中リハビリテーションにおいては、急性期の濃厚な治療ならびに早期リハビリテーションが肝要です。

 東京都より、下記の 「脳卒中急性期医療機関の認定基準および認定状況」 が公表されましたので、現行の診療報酬における脳卒中急性期医療関連の算定項目も含めて、紹介します。


(資料1) 東京都脳卒中急性期医療機関・認定基準 (2009)
     (東京都全域における脳卒中医療連携体制の構築に向けて)


1.東京都全域における脳卒中救急搬送体制構築の考え
 脳卒中については、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があるが、脳梗塞の超急性期において適応となるアルテプラーゼ (t-PA) 静注療法を含め、病態、時間経過に応じて他にも有効な手段が多々ある。従って、全ての脳卒中患者が同様に可能な限り早期に脳卒中急性期医療機関に搬送され、可能な限り、予測される後遺障害が軽減されるような適切な治療を受けることが重要である。

2.「脳卒中急性期医療機関」 の認定基準 (2009)
 東京都脳卒中医療連携体制において、当該医療機関が責任を持って以下の条件を満たすものを 「脳卒中急性期医療機関」 とする。

【東京都脳卒中急性期医療機関・認定基準項目】

<必須項目>
 ①急性期脳卒中に対する十分な知識と経験を有する医師及びコメディカルスタ
  ッフが対応できること
 ②頭部 CT や MRI などの画像検査や必要な臨床検査が来院から速やかに
  実施できる院内体制が整備されていること
 ③脳卒中急性期患者を収容する専門の病床または病棟を有し、急性期リハビリ
  テーションを行える理学療法士 (PT) または 作業療法士 (OT) が常勤して
  いること
 ④脳神経外科的な処置が必要な患者に対して速やかに脳神経外科専門医の診療
  を受けられる体制が整備されていること (脳神経外科医が常駐していない場
  合でもオンコール体制や連携病院への転送などにより、必要時、迅速に脳神
  経外科専門医にコンサルテーションできること)

<超急性期の脳梗塞患者に対して、t-PA 治療を実施する場合の必須項目>
 ①~④
 ⑤脳卒中医療の質を確保するため、日本脳卒中学会の承認する t-PA 使用
  のための講習会を受講し、その証明を取得している医師が1名以上配置され
  ており、t-PAの使用にあたっては当該医師の指導の下に実施すること。
 ⑥ t-PA 静注療法の適応のある患者に、来院から1時間以内に治療を実施で
  きる院内体制が整備されていること

 ⑦ t-PA 静注療法を施行した場合、その後の患者管理の観点から、最短でも
  治療後36時間まで、副作用の発現に速やかに対応できるよう、必要な観察を
  継続できること

【2009年2月1日現在の認定状況】
 ①東京都脳卒中急性期医療機関数:155医療機関
  ◎指定二次救急医療機関 (259医療機関) の約6割が参加。
 ② t-PA 治療の実施に必要な態勢をとれる日や時間帯がある医療機関:101
  ◎東京都脳卒中急性期医療機関数 (155医療機関) の65%
  ◎ t-PA 治療:超急性期の脳梗塞治療で、発症後3時間以内に遺伝子組み
          換え型 t-PA (組織プラスミノーゲン・アクチベーター) 製
          剤 (薬剤名:アルテプラーゼ) の静脈内投与による血栓溶解
          療法を指す。


(資料2) 診療報酬 (脳卒中ケアユニット入院医療管理料)

●脳卒中ケアユニット入院医療管理料

【告示】
 A301-3 脳卒中ケアユニット入院医療管理料 (1日につき):5,700点
  注1.別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社
    会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、脳梗塞、脳出血又は
    くも膜下出血の患者に対して、専門の医師等により組織的、計画的に脳
    卒中ケアユニット入院医療管理が行われた場合に、発症後14日を限度と
    して算定する。
  注2.第1章基本診療料並びに第2章第3部検査、第6部注射、第9部処置
    及び第13部病理診断のうち次に掲げるものは、脳卒中ケアユニット入院
    医療管理料に含まれるものとする。
     イ.入院基本料
     ロ.入院基本料等加算 (臨床研修病院入院診療加算、超急性期脳卒中
      加算、妊産婦緊急搬送入院加算、医師事務作業補助体制加算、地域
      加算、離島加算、栄養管理実施加算、医療安全対策加算、褥瘡患者
      管理加算及び褥瘡ハイリスク患者ケア加算を除く)
     ハ.第2章第3部の各区分の検査 (同部第1節第2款の検体検査判断
      を除く)
     ニ.点滴注射
     ホ.中心静脈注射
     ヘ.酸素吸入 (使用した酸素及び窒素の費用を除く)
     ト.留置カテーテル設置
     チ.第13部第1節の病理標本作製料
【通知】
 (1) 脳卒中ケアユニット入院医療管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる
  疾患であって、医師が脳卒中ケアユニット入院医療管理が必要であると認め
  た者であること。
   ア.脳梗塞
   イ.脳出血
   ウ.くも膜下出血
 (2) 脳卒中ケアユニット入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、
  当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

●脳卒中ケアユニット入院医療管理料の施設基準
【告示】
 (1) 病院の一般病棟の治療室を単位として行うものであること。
 (2) 当該治療室の病床数は、30床以下であること。
 (3) 脳卒中ケアユニット入院医療管理を行うにつき必要な医師が常時配置され
  ていること。
 (4) 当該治療室における看護師の数は、常時、当該治療室の入院患者の数が
  又はその端数を増すごとに1以上であること。
 (5) 当該治療室において、常勤の理学療法士又は作業療法士が1名以上配置さ
  れていること。
 (6) 脳梗塞、脳出血及びくも膜下出血の患者を概ね8割以上入院させる治療室
  であること。
 (7) 脳卒中ケアユニット入院医療管理を行うにつき十分な専用施設を有してい
  ること。
 (8) 脳卒中ケアユニット入院医療管理を行うにつき必要な器械・器具を有して
  いること。
【通知】
 (1) 当該保険医療機関内に、神経内科又は脳神経外科の経験を5年以上有する
  専任の常勤医師が常時1名以上
いること。
 (2) 脳卒中ケアユニット入院医療管理を行うにふさわしい専用の治療室を有し
  ていること。
 (3) 当該管理を行うために必要な次に掲げる装置及び器具を当該治療室内に常
  時備えていること。ただし、当該治療室が特定集中治療室と隣接しており、
  これらの装置及び器具を特定集中治療室と共有しても緊急の事態に十分対応
  できる場合においては、この限りではない。
   ア.救急蘇生装置 (気管内挿管セット、人工呼吸装置等)
   イ.除細動器
   ウ.心電計
   エ.呼吸循環監視装置
 (4) 当該治療室勤務の看護師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治
  療室以外での夜勤を併せて行わないものとすること。
 (5) 脳血管疾患等リハビリテーションの経験を有する専任の常勤理学療法士又
  は専任の常勤作業療法士が1名以上、当該治療室に勤務していること。なお、
  当該理学療法士又は当該作業療法士は、疾患別リハビリテーションを担当す
  る専従者との兼務はできないものであること。
 (6) 当該治療室の入院患者数の概ね8割以上が、脳梗塞、脳出血又はくも膜下
  出血の患者であること。
 (7) コンピューター断層撮影 (CT)、磁気共鳴コンピューター断層撮影 (MRI)、
  脳血管造影等の必要な脳画像撮影及び診断が常時行える体制であること。
 (8) 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)、(Ⅱ) 又は (Ⅲ) の届出を行ってい
  ること。


(資料3) 診療報酬 (超急性期脳卒中加算)

●超急性期脳卒中加算
【告示】
 A205-2 超急性期脳卒中加算 (入院初日):12,000点
  注.別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会
   保険事務局長に届け出た保険医療機関に入院している患者 [第1節の入院
   基本料 (特別入院基本料を除く) 又は第3節の特定入院料のうち、超急性期
   脳卒中加算を算定できるものを現に算定している患者に限る] であって別
   に厚生労働大臣が定めるものに対して、組織プラスミノーゲン活性化因子
   を投与した場合に、入院初日に限り所定点数に加算する。
【通知】
 (1) 当該加算は脳梗塞と診断された患者に対し、発症後3時間以内に組織プラス
  ミノーゲン活性化因子を投与した場合に入院初日に限り所定点数に加算する。
  なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、
  入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。
 (2) 投与に当たっては、日本脳卒中学会医療向上・社会保険委員会 rt-PA (アルテ
  プラーゼ) 静注療法指針部会作成の 「rt-PA (アルテプラーゼ) 静注療法適正治
  療指針」 を踏まえ適切に行われるよう十分留意すること。
 (3) 投与を行う保険医は日本脳卒中学会等の関係学会が行う脳梗塞 t-PA 適正使
  用に係る講習会を受講していること。

●超急性期脳卒中加算の施設基準等
【告示】
 (1) 超急性期脳卒中加算の施設基準
   イ.当該保険医療機関内に、脳卒中の診療につき十分な経験を有する専任
    の常勤医師が配置されていること。
   ロ.当該保険医療機関内に、薬剤師が常時配置されていること。
   ハ.その他当該治療を行うにつき必要な体制が整備されていること。
   ニ.治療室等、当該治療を行うにつき十分な構造設備を有していること。
 (2) 超急性期脳卒中加算の対象患者
   ◎脳梗塞発症後3時間以内である患者
【通知】
 (1) 当該保険医療機関において、専ら脳卒中の診断及び治療を担当する常勤の医
  師 (専ら脳卒中の診断及び治療を担当した経験を10年以上有するものに限る)
  が1名以上
配置されており、日本脳卒中学会等の関係学会が行う脳梗塞 t-
  PA 適正使用に係る講習会を受講
していること。
 (2) 薬剤師常時配置されていること。
 (3) 診療放射線技師及び臨床検査技師常時配置されていること。
 (4) 脳外科的処置が迅速に行える体制が整備されていること。
 (5) 脳卒中治療を行うにふさわしい専用の治療室を有していること。ただし、I
  CUやSCUと兼用であっても構わないものとする。
 (6) 当該管理を行うために必要な次に掲げる装置及び器具を当該治療室内に常時
  備えていること。ただし、これらの装置及び器具を他の治療室と共有してい
  ても緊急の事態に十分対応できる場合においては、この限りではない。
   ア.救急蘇生装置 (気管内挿管セット、人工呼吸装置等)
   イ.除細動器
   ウ.心電計
   エ.呼吸循環監視装置
 (7) コンピューター断層撮影 (CT)、磁気共鳴コンピューター断層撮影 (MRI)、
  脳血管造影等の必要な脳画像撮影及び診断が常時行える体制
であること。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)東京都の脳卒中急性期医療体制 (資料1) においては、指定二次救急医療機関 (259医療機関) の約6割の155医療機関が、「東京都脳卒中急性期医療機関」 に認定されており、また、その脳卒中急性期医療機関の65%において、t-PA 治療が可能であり、他県に比して、脳卒中急性期医療体制は比較的充実していると考えられます。
 但し、東京都においても 「地域格差」・「日中夜間格差」・「医療機関間における早期リハビリテーション体制の充実度の格差」 の存在が否定できないと推察されます。(いわんや、他県、特に地方においては尚更だと思われます)。

(2)東京都全域における脳卒中医療連携体制においては、脳卒中の回復期 (回復期リハビリテーション病棟・亜急性期病床)・維持期 (療養病床・介護保険施設・在宅ケア) の体制および急性期~回復期~維持期の脳卒中医療連携体制は、未だ不充分と言われています。(この点も、都道府県によって相当温度差があるようです)。

(3)t-PA 治療については、発症後3時間以内という制約 (資料3) があるため、一般的に、「発症・発見から来院までの猶予はわずか2時間、病院側も患者来院から60分以内に治療を始める必要がある」 とされています。
 東京都の 「超急性期の脳梗塞患者に対して、t-PA 治療を実施する場合の必須項目」 (資料1) に、「⑥ t-PA 静注療法の適応のある患者に、来院から1時間以内に治療を実施できる院内体制が整備されていること」 という項目があります。
 しかしながら、これは容易なことではなく、豊富なマンパワー (脳卒中専門医あるいは脳卒中の経験が深い神経内科医または脳神経外科医、脳卒中専門ナース等の看護師のみならず、薬剤師・診療放射線技師・臨床検査技師の24時間体制) および高度医療機器 (CT、MRI、脳血管造影等) の24時間稼働体制が必要です (資料1・3)。
 さらに、発症・発見から来院までの猶予はわずか2時間ということで、一般の方々への脳卒中およびその症状の啓発・啓蒙 (ブレイン・アタック:脳卒中も心筋梗塞などと同様に救急対応するべき疾患であるということを周知徹底することが必要) および脳卒中救急搬送体制の整備 (下記参照) も肝要です。

●東京都脳卒中救急搬送体制について
 ①迅速・適切な脳卒中急性期治療の実施でより一層の救命と後遺症の軽減を図る。
 ②東京消防庁の救急搬送先の選定基準に 「脳卒中疑いの有無判断」 を新たに追加。
  ◎救急隊は脳卒中疑いのある患者を 東京都脳卒中急性期医療機関 に搬送する。
 ③救急隊による 「脳卒中疑い有無判断基準」
  ◎脳卒中発症が疑われる主な徴候 (シンシナティ病院前脳卒中スケールの場合)
   ■次のような徴候が突然現れた場合、脳卒中が疑われる。
    (a) 歯を見せたり笑ってみせたときに、顔のゆがみがある。
    (b) 目を閉じて、10秒間両腕を挙げているようにしても、片側だけ挙がら
     ない、または挙がり方に差がある。
    (c) 話をしても不明瞭な言葉が出たり、あるいは全く話せない。

(4)t-PA 治療施行率は、上記(3)の多くの様々な制約があり、我が国の2007年の全国調査によると、脳梗塞患者の2%にとどまっています。
 しかし、我が国において、ストローク・ユニット (SU) を有する全国24施設では、2005年の t-PA 承認後わずか3ヶ月で、t-PA 治療施行率が0.9%から5.2%に有意に増加したという報告 (Stroke 40: 30-34, 2009) があり、脳卒中急性期治療におけるSUの有用性が示されています [Medical Tribune (2009/1/29)]。
 それ以外にも、下記のような t-PA 関連報告がなされています。
  ①アルテプラーゼの血栓溶解療法により、脳梗塞発症後3~4.5時間でも臨床
   転帰を改善 (第6回世界脳卒中会議 2008/9) (Japan Medicine 2008/10/31)。
  ②第24回日本脳神経血管内治療学会 (Medical Tribune 2009/1/29)
   (a) t-PA 静注・非再開通例に対する PTA (経皮的血管形成術:バルー
    ンによる機械的血栓破砕術) の追加は有用。
   (b) t-PA 静注禁忌例や重症例には ENER (緊急脳血管内血行再建術)
    で対処。
   (c) ストローク・バイパス (救急隊が、脳卒中患者を単に近医に搬送するの
    ではなく、発症から3時間以内の症例を直接、脳卒中センターに搬送す
    る) の構築、地域格差を是正するためのドクターヘリやテレメディスン
    の活用。
   (d) 効率的な連携を実現するための啓発活動の重要性 (t-PA 適応患者の
    救急隊による直接搬送例は増加。一方、t-PA 非適応患者が局所線溶
    療法を施行できない医療機関に搬送され、t-PA 以外の血管内治療を
    受ける機会のないままに放置されている可能性がある)。

(5)脳卒中リハビリテーションについては、下記のようにステージごとの充実したリハビリテーション・アプローチならびにそのリハビリテーション連携体制が重要です。
  ①急性期リハビリテーション
   ◎廃用症候群の予防、徹底したリスク管理のもとの早期離床・早期リハビ
    リテーション
  ②回復期リハビリテーション
   ◎在宅を視野に入れた実用的なADL向上を目的とした集中的リハビリテ
    ーションと多専門職種による徹底したチームアプローチ
  ③維持期リハビリテーションの充実
   ◎生活機能低下予防・介護予防、特に在宅等での訪問リハビリテーション・
    通所リハビリテーション

 現在、一部の県や地域を除いて、上記のリハビリテーション・システムおよび地域リハビリテーション連携システムは、未だ不充分であり、患者さんの早期退院・早期社会復帰ならびに在院日数の短縮のためにも、システムの確立が望まれます。(未だ未だ、当ブログ記事の冒頭の 「脳卒中医療に関する問題点」 が県や地域によっては見られます。特に、急性期の早期リハビリテーション体制!)。

(6)診療報酬上の 「脳卒中ケアユニット入院医療管理料」+「超急性期脳卒中加算」 (資料2・3) の算定要件・施設基準を満たすものが、いわゆる 「脳卒中センター」 あるいは日本で言う 「ストローク・ケア・ユニット (SCU)」 で、各専門の医療スタッフが集まり組織づくりをし、チームで脳卒中の発症予防、早期発見および急性期 (発症時) 治療から超急性期~急性期リハビリテーションまでの一貫した総合的な治療を提供します。
 構成メンバーとして、「24時間体制の、脳卒中専門医 (あるいは脳卒中の経験が深い神経内科医・脳神経外科医、脳血管内治療医)、脳卒中専門ナース等の看護師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師」・「放射線科専門医、循環器専門医、呼吸器専門医等の協力」、「リハビリテーション科専門医の関与」、「特に急性期脳卒中リハビリテーションの経験が深い理学療法士 (PT)・作業療法士 (OT)・言語聴覚士 (ST)、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー (MSW)」 が挙げられます。
 また、高度医療機器 (CT、MRI、脳血管造影、SPECT、超音波検査等) は24時間フル稼働体制です。
 上記のような脳卒中センターが、全国の各二次医療圏に設置され、円滑に運用されれば、脳卒中急性期医療体制は、地域格差も解消され、飛躍的に進化すると思います。
 但し、急性期後の回復期・維持期の医療体制および脳卒中医療連携体制も同時に確立させないと片手落ちになり、それが、医療難民・救急難民・リハビリ難民・介護難民等を生み出します。

(7)以上、超急性期・急性期~回復期~維持期の各ステージの脳卒中医療体制・リハビリテーション体制が確立し、且つ、充実した脳卒中医療連携体制および地域リハビリテーション連携ネットワークの構築が実現すれば、実際の脳卒中医療において、『濃厚な急性期治療ならびに充分な早期リハビリテーションが実施されることにより、脳の損傷が最小限に抑えられ、且つ 「医原性」 の二次的合併症・障害 (廃用症候群・過用症候群・誤用症候群) の出現も防止でき、そして、その後、充分な回復期リハビリテーションが行われることにより、「可能な限りの障害の回復が得られ、余計な障害も作られることなく」、介護保険・福祉に円滑に受け継がれる』という理想的な流れが得られると思います。
 そのためには、マンパワー確保・システム構築のための医療費・診療報酬の増額・確保が必要であり、また、「脳卒中対策基本法」 の制定が肝要と思います。


【注釈】 「SCU・SUの解説」 (熊本市民病院・橋本洋一郎氏) (平成17年7月17日)
 現在、わが国では、SCU (stroke care unit) 欧州型 SU (stroke unit) が区別されずに論じられていることが多い。わが国の SCU は、脳卒中集中治療室で intensive な病棟のことである。欧州型 SU は、病棟のハードウェアそのものは一般病棟と同じで、治療に従事するスタッフが脳卒中の専門家である点が一般病棟と異なる。脳卒中専門医を中心に心臓内科医や内科医、さらにリハビリ専門医などの関与が必要で、stroke nurse、PT、OT、ST、薬剤師、管理栄養士、MSW などから構成されるチーム医療が核となる。人・金・物を投入した SCU では一般病棟に比べて予後が当然良いと推測されるが、すべての脳卒中患者を SCU において治療するには莫大な投資が必要で収支が合わず、多くの施設にすぐには設置ができない。
 現実的な方法は、軽症から中等症の脳卒中息者を SU で治療し、重症患者は初期治療を ICU (あれば、SCU) で行い、病状が落ち着いた段階で SU に移していく方法である。わが国においては、地方の基幹病院でも ICU や脳卒中診療に必要な CT、MRI、頸部血管エコー、心エコー、SPECT などの機器を既に備えており、ハードウェアは整っている。
 従って、 ①脳卒中専門医を確保し、②施設内のチーム医療体制を確立すれば、病棟再編を必嬰としない移動チーム方式の SU の導入は、比較的容易と思われる。脳卒中患者を多く集めることができる大都市の病院では収支が合うため SCU と欧州型 SU の両方を備えることにより、重装備の脳卒中センターをつくることができる。搬送システムが整えば、SCU を持たない施設の重症患者もこの脳卒中センターが受け入れるような広域の連携システムが構築可能となるであろう。


【関連記事】
 ◎脳卒中リハビリテーションにおける 「早期離床」
 ◎障害者施設等入院基本料・算定要件の解釈の厳格化
 ◎回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎リハビリ算定日数制限 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)
 ◎平成20年度リハビリ診療報酬改定 (日本リハビリ医学会の総括)
 ◎「入院医療のあり方 (機能分化)」 日本病院団体協議会の提言
 ◎リハビリテーション医療におけるリスク管理
 ◎地域リハビリテーション (CBR:community based rehabilitation)




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水面下で決まった2008年度診療報酬改定の改定率

 2008年度 (平成20年度) 診療報酬改定における改定率の決定時の内幕に関する記事が、Japan Medicine (2009/2/2) に掲載されていますので紹介します。

 診療報酬改定の改定率は内閣が決定することになっているが、「内閣」 とはどこなのか、いまいち判然としない。
 2008年度改定の改定率は、2007年12月17日夜に、東京・紀尾井町のホテルの一室で開かれた非公開の会合で最終的に決定した。
 表向きは翌18日の厚労大臣と財務大臣による折衝で決定したことになっているが、実際は前日に決まっていたのだ。

 ここに至るまでには、厚労関係議員が中心となって日医や病院団体からヒアリングをしたり、財務省と交渉したりと水面下での綱引きが連日続けられた。
 少なくとも2008年度の改定率はこうした水面下のプロセスで決定したわけであり、エビデンスに基づいて決まったとは言い難い。



 平成21年1月28日の中央社会保険医療協議会 (中医協)・調査実施小委員会において、2009年度に実施する医療経済実態調査は、(従来の改定前年の6月診療分・単月データを対象とする調査方法を変更し)、「現行の調査項目の削減を行い、収支等の主要調査項目について、単月 (6月) データでの調査と1年分の年間 (決算) データでの調査を実施する」 ことが決定しました。

 したがって、診療報酬の改定率を決定する上で大変重要な 「医療経済実態調査」 のデータの信頼性・透明性がより高まり、(上述のような改定率の不透明な決定方法から)、よりエビデンスの高い改定率決定方法への移行が図れると考えられます。


 以前のブログ記事 (「平成20年度リハビリ診療報酬改定 (日本リハビリ医学会の総括)」、「障害者施設等入院基本料・算定要件の解釈の厳格化」) でも述べたように、厚生労働省は、財務省の財政再建・医療費削減の圧力に屈し、これまで様々な診療報酬改定 (改悪) を行ってきました。

 厚生労働省は、日頃は、「患者さんの視点を一番大事にします」 と言っておきながら、肝心な時には、「財政再建の視点」・「社会保障費削減の視点」・「医療費削減の視点」・「財務省の視点」・「厚生労働省の視点 (省益・局益)」・「診療報酬支払い側の視点」 の方を、これまで重視してきました。この自己矛盾を打破し、国民本位の診療報酬改定を切望します。

 そして、「まやかしのエビデンス」 ではなく、今回の 「医療経済実態調査」 の実施方法の変更による信頼性・透明性・エビデンスの向上等も含めて、現場の医療従事者・患者さん・家族が納得する 「真のエビデンス」 に基づく診療報酬改定を行って頂きたいと思います。

【追記】
 最近、少し風向きが変わり、医療費増の方向にベクトルが変わったようですが、「医療亡国論」・「小泉竹中構造改革」 によるこれまでの大幅な医療費削減による 「医療崩壊・医療破壊」 の現状 (惨状) を、「医療再建・医療再生」 させるには、いまだ道遠しと思います。

【関連記事】
 ◎回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎リハビリ算定日数制限 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎「入院医療のあり方 (機能分化)」 日本病院団体協議会の提言
 ◎「後期高齢者医療制度」 与野党間の不毛な議論
 ◎「リハビリテーション医療のあり方」 日病協の提言




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靴の中敷きの微小振動による高齢者の転倒防止

 65 歳以上の高齢者において、転倒の年間発生率は10~20%であり、そのうちの約10%は骨折に至ると報告されています。
 転倒を経験した高齢者は、たとえ軽傷で済んでも心理面に強い影響を受け、閉じこもって不活発な生活に陥り易く、様々な健康障害を招くことが知られています。
 不幸にも、骨折 (特に大腿骨頸部骨折) に至った場合は、その後の手術やリハビリテーションの治療効果ならびに患者要因 (高齢、重度・重複障害、複数の合併症・併存疾患) によっては、廃用症候群も重なり、寝たきりになることも少なくありません。
 したがって、高齢者の転倒防止は、生活・人生の質 (QOL) のためにも、重要な課題です。

【関連記事】
 ◎リハビリテーション医療におけるリスク管理

 Medical Tribune (2008/10/23) に、靴の中敷きの微小振動を用いた転倒防止対策に関する記事が掲載されていますので紹介します。

●靴からの振動で高齢者の転倒防止

 米国ボストン大学生体力学センターの James J. Collins 教授と Attila A. Priplata 博士が行っている研究によると、70歳の高齢者が20歳の若者と同等のバランスを維持するためには、靴の中敷きから雑音 (ノイズ) が出るようにした 「ノイジーシューズ」 が一つの解決策となるかもしれない。

 高齢者は転倒しやすく、骨折に至ることも多い。
 今回の方法は、バランス感覚にかかわるすべての障害の解決策になることは期待できないものの、少なくとも高齢者にとっては役立つ可能性がある。
 また、この方法は、足の感覚が失われてしまう糖尿病患者にも役立つ可能性がある。

 今回考案されたノイジーシューズは、統合閾値を持つ感覚神経系におけるノイズに対する反応を利用するものである。
 高齢者では活動を促す信号が加齢とともに衰えるが、この信号の弱まりを救済するのがノイズである。

 Collins 教授らが開発したのは、ゲル状の中敷きに電気モーターを挿入し、そこから微小振動を足に伝えることで、感覚神経にノイズを加える方法である。

 同教授らは高齢者にノイジーシューズを履いてもらい、静止して立っている間にどの程度揺れてしまうかを測定し、バランス維持能力を調査した。
 その結果、この中敷きの効果によって、高齢者の揺れは普通の靴を履いた20代の若者と同等にまで改善されたという。

 電気中敷きを敷いたノイジーシューズは、Afferent 社 (米国ロードアイランド州) が製造し、2年以内に上市される予定である。

【関連論文】
 ●Priplata AA, Patritti BL, Niemi JB, Hughes R, Gravelle DC, Lipsitz LA, Veves A,
  Stein J, Bonato P, Collins JJ. Noise-enhanced balance control in patients with
  diabetes and patients with stroke. Ann. Neurol. 59 (1): 4-12, 2006.


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)ノイジーシューズは、靴の中敷きタイプの転倒予防装置であり、装着しやすく、実用性・利便性は高いと思われます。

(2)上記関連論文によると、電気モーター (電池式) による微小振動刺激 (ランダムな刺激) については、「本人が気がつかないほど、非常に微弱なもの」 で、不快感は生じにくいとのことです。
 但し、微小振動刺激が、脳卒中・糖尿病患者あるいは高齢者において、下肢のしびれ (異常感覚) を出現・増悪させる可能性も否定できないと思われます。(刺激パターンの工夫が必要と思われます)。
 また、下肢の末梢神経障害の程度によっては、転倒予防効果はあまり望めないと推察されます。

(3)高齢者の転倒・骨折は、寝たきり、あるいは閉じこもり・廃用症候群を生じやすく、医療費も相当かかります。
 転倒には、多くの様々な内的要因・外的要因が関与しますので、本装置だけでは完全には防止できませんが、少しでも、数%でも、高齢者の転倒事故が減少すれば、高齢者のQOLに大きく貢献すると思います。
 できるだけ早期の製品化が望まれます。




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日本慢性期医療協会からの 「7つの約束と3つのお願い」

 日本慢性期医療協会は、平成20年7月2日、名称を 「日本療養病床協会」 から 「日本慢性期医療協会」 に改称しました。
 従来からの会員 (医療療養病床、介護療養型医療施設等の慢性期病床を持つ病院) に加えて、回復期リハビリテーション病棟や亜急性期病床を持つ病院などを幅広く会員として受け入れていく方針とし、療養病床にポイントを絞った考え方ではなく、日本の慢性期医療の在り方を視野に入れた提言を続けていきたい意向とのことです。
 そして、下記のような 「7つの約束と3つのお願い」 が、日本慢性期医療協会から宣言されました。

●日本慢性期医療協会からの 「7つの約束と3つのお願い」

(1)7つの約束
 ①高度急性期病院の治療を引き継ぎ、救急難民を防ぎます。
 ②医療と介護が一体となった機能を維持します。
 ③地域支援型医療拠点として在宅連携を支えます。
 ④高度慢性期病床として診療の質を確保します。
 ⑤チーム医療を徹底します。
 ⑥亜急性期病床の機能を担当します。
 ⑦リハビリテーション力を強化します。

(2)3つのお願い
 ①まじめに慢性期医療を提供している医療機関の入会をお待ちしています。
 ②慢性期急性増悪の治療はお任せ下さい。
 ③良質な慢性期医療が急性期医療を支えていることをご理解下さい。


 上記に関する当ブログ管理人の考察は、下記の通りです。

1.「7つの約束と3つのお願い」 を、全て遂行するためには、医師・看護職員・介護職員・リハビリテーション・その他のコメディカル (薬剤師・診療放射線技師・臨床検査技師等) の現行施設基準を上回る充分な人員数が必要であり、現実的には、日本慢性期医療協会の会員病院の多くが対応出来ないのではないかと推察されます。

2.(1)-①・⑥ (「高度急性期病院の治療を引き継ぎ、救急難民を防ぐ」・「亜急性期病床の機能を担当」) は、高度急性期病院から約2週間で転院してくる 「急性期後 (post-acute)」 の患者さんが対象ですが、まだ原疾患・病態自体が不安定で且つ重度障害、重複障害、複数の合併症・併存疾患を持った患者さん (特に、高齢者の場合) であれば、現行の多くの療養病床単独では対処できないと思われます。
 医師・看護師等が充分配置されている 「医療療養病床単独・回復期リハビリテーション病棟単独および2つの組合せのケアミックス病院」、あるいは 「亜急性期病床 (亜急性期入院医療管理料を算定する一般病棟の病室)」 でしか対処できないと思われます。

3.(1)-⑦ (「リハビリテーション力を強化」) については、急性期後または亜急性期の患者さんが相当増えるため、リハビリテーション・リスク管理の観点も含めて、回復期リハビリテーション病棟、医療療養病床、介護療養型医療施設、各々の現行施設基準のリハビリテーション人員では到底足りません。
 リハビリテーションの質の向上・リハビリテーション算定日数制限との兼ね合い・自宅等退院率のアップ・在院日数短縮のためには、豊富なリハビリテーション・パワーが不可欠と思います。

4.(2)-② (「慢性期急性増悪の治療」) については、特に、外来業務を行っていない 「回復期リハビリテーション病棟単独、医療療養病床単独、介護療養型医療施設単独および3つの組合せのケアミックス病院」 では対処困難な例も多いと推察されます。
 また、軽度~中等度の慢性期急性増悪の治療といえども、現行の少ない医師・看護師パワーおよび不充分な救急外来体制を考えると、現時点では、充分な対応が出来ない会員病院が少なくないと推察されます。

5.上記の1~4を鑑みると、(1)-①~⑦ ならびに (2)-② の約束、即ち、 『8つの約束』 の全てを遂行できる自己完結型の病院は、「医師・看護職員・介護職員・リハビリテーション・その他のコメディカル (薬剤師・診療放射線技師・臨床検査技師等) が充実した病院で、且つ、急性期一般病棟 (場合によっては、ICUも)、亜急性期入院医療管理料を算定する一般病棟の病室、回復期リハビリテーション病棟、医療療養病床、<介護療養型医療施設、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)、特殊疾患病棟>を持つケアミックス病院」 と考えられます。
 急性期一般病棟・救急外来が無い 「回復期リハビリテーション病棟単独、医療療養病床単独、介護療養型医療施設単独および3つの組合せのケアミックス病院」 等では対処困難と思われます。

6.素朴な疑問ですが、「7つの約束と3つのお願い」 をそのまま素直に読むと、「会員病院であれば、一つの病院にて自己完結的に 『8つの約束』 を全て対処可能である」 と解釈でき、一般の方々もそのように思ってしまうと推測されます。
 即ち、「会員病院であれば、どの病院でも、高度急性期病院の治療を引き継ぐことが可能であり、高度慢性期病床として診療の質を確保しており、亜急性期病床の機能 (充分な医療パワー) および豊富なリハビリテーション力を保持し、慢性期急性増悪の治療にも対応可能です」 と、一般の方々は、解釈 (誤解?) すると思います。
 しかし、現実的には、各会員病院の多くは、『8つの約束』 の全ての履行は不可能と思います。
 となると、一般の方々が、上記解釈に基づき、会員病院に受診または入院相談に行った時に、「当病院では対処できません」 と言われたら、その病院および協会に対する不信・不満が生じると推測されます。
 ところで、(1)-④の 「高度慢性期病床」 は、『8つの約束』 を全て履行可能である病床という意味でしょうか?

7.日本慢性期医療協会は、各会員病院が 『8つの約束』 を全て果たせる病院になるように促し、もし、対処不能な病院は、介護療養型老人保健施設等の介護保険施設へ移行して下さいと勧告するのでしょうか?
 また、いわゆる地域完結型医療の視点で考えると、どういう解釈および対策になるのでしょうか?
 「会員病院同士の各々の強みを生かした病病連携? (結局、転院)」・「手に負えない病態または慢性期急性増悪患者のほとんどは今まで通り、急性期一般病院へ送る? (結局、転院)」・・・。
 やはり、自己完結型ケアミックス病院でしか、『8つの約束』 の遂行は無理と思われます。
 したがって、一般の方々に、上述のような誤解を抱かせる可能性がある 「7つの約束と3つのお願い」 は、当座は、下記のように改訂した方がベターと思います。

 (例1) ①高度急性期病院の治療を引き継ぐことができる会員病院を紹介します。
    ⑥亜急性期病床の機能を担当できる会員病院を紹介します。
    ⑦リハビリテーション力を強化した会員病院を紹介します。

 (例2) ②慢性期急性増悪の治療ができる会員病院を紹介します。

 (例3) ②慢性期急性増悪の治療ができるようになることを目指します。

 (※) もしかしたら、「7つの約束と3つのお願い」 の文中の 「・・・します」 と
   は、 「・・・することを目指します」 という意味なのでしょうか?


 以上、「日本慢性期医療協会からの7つの約束と3つのお願い」 について、当ブログ管理人独自 (管理人の思いこみ・誤解で、上記の解釈が間違っていたら申し訳ないです) の考察を述べてきました。

 急性期病院の在院日数の短縮に伴い、円滑な自宅等退院および転院のための地域医療連携が重要視されている現在、日本慢性期医療協会が進める 『8つの約束』 が、仮に、全会員病院にて現実化した場合、地域医療連携体制は強固なものとなり、医療難民・リハビリ難民・救急難民・脳卒中難民・認知症難民・介護難民は相当解消されると思います。(但し、後方の介護保険施設・在宅ケア等の地域包括ケア体制の整備状況にもよりますが・・・)。
 その意味では、非常に期待しています。

 但し、慢性期医療においては、「療養病床の再編」、「介護療養型医療施設の平成23年度末廃止」、「後期高齢者医療制度」、「療養病床への成果主義の本格的導入」、あるいは 「日病協が提唱している地域一般病棟の導入の可能性」 等、未だ不透明な要素があります。

 現在、特に問題視されているのが、医療療養病床・介護療養型医療施設等の移行先として設けられた 「介護療養型老人保健施設」 (新型老健) です。次期平成21年度介護報酬改定にて、少しは改善されるようですが、やはり中途半端な不充分な施設だと思います。

 「特養事務員GM~我が為すことは、我のみぞ知る~」 ブログの記事 『新型老健は退院患者の受け皿としては 「不適」』においても、下記のように述べられています。

 病院からは追い出す→でも新型老健は整備が進んでいない→特養などでは受け入れ自体が難しいケースが多い上に満床→在宅サービスは満足に機能しない。・・・いったい、どうしろと言うんだ? 

 本当に一体、厚生労働省は、国民の安心・安全・納得・満足のために!!、どうしたいのか?? もう、机上の理論 (空論) はやめて、現場感覚・国民の視点で医療・介護・福祉施策を立案・実施して頂きたいと思います。

【関連記事】
 ◎障害者施設等入院基本料・算定要件の解釈の厳格化
 ◎回復期リハビリ病棟への成果主義の導入 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎リハビリ算定日数制限 (厚労省保険局医療課の見解)
 ◎介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)
 ◎平成20年度リハビリ診療報酬改定 (日本リハビリ医学会の総括)
 ◎「入院医療のあり方 (機能分化)」 日本病院団体協議会の提言
 ◎リハビリテーション医療におけるリスク管理
 ◎「後期高齢者医療制度」 与野党間の不毛な議論
 ◎「リハビリテーション医療のあり方」 日病協の提言
 ◎地域リハビリテーション (CBR:community based rehabilitation)




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地域リハビリテーション (CBR:community based rehabilitation)

 地域リハビリテーションに関して、「都道府県によって活動の度合いに温度差が相当ある」・「地域リハビリテーションに関する考え方・方向性が、関係者間で異なることが少なくない」・「マンパワー・予算不足等にて、活動の実効性・効果があまり高くない」 等、様々な問題点が浮き彫りになっています。
 本ブログ記事では、地域リハビリテーションの在り方について考察したいと思います。

(資料1) 地域リハビリテーション (CBR:community based rehabilitation) の定義
     (ILO・UNESCO・WHO、1994年)


 地域リハビリテーション (CBR) とは、障害のあるすべての人々のリハビリテーション、機会の均等、そして社会への統合を地域の中で進めるための戦略である。
 CBRは、障害のある人々と家族、そして地域、さらに適切な保健医療、教育、職業および社会サービスが一体となって努力する中で履行されていく。

(資料2) 地域リハビリテーションの定義と活動指針
     (日本リハビリテーション病院・施設協会、2001年)


●定義
 地域リハビリテーションとは、障害のある人々や高齢者およびその家族が住み慣れたところで、そこに住む人々とともに、一生安全に、いきいきとした生活が送れるよう、医療や保健、福祉及び生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行う活動のすべてを言う。

●活動指針
 これらの目的を達成するためには、障害の発生を予防することが大切であるとともに、あらゆるライフステージに対応して継続的に提供できる支援システムを地域に作っていくことが求められる。
 ことに医療においては廃用症候の予防および機能改善のため、疾病や傷害が発生した当初よりリハビリテーション・サービスが提供されることが重要であり、そのサービスは急性期から回復期、維持期へと遅滞なく効率的に継続される必要がある。
 また、機能や活動能力の改善が困難な人々に対しても、できうる限り社会参加を可能にし、生あるかぎり人間らしく過ごせるよう専門的サービスのみでなく地域住民も含めた総合的な支援がなされなければならない。
 さらに、一般の人々が障害を負うことや年をとることを自分自身の問題としてとらえるよう啓発されることが必要である。

(資料3) 地域リハビリテーション支援体制整備推進事業 (厚生労働省老健局)

 高齢者が寝たきり状態になることを予防するためには、脳卒中や骨折等による障害発生時においては、急性期リハビリテーション及びその後の回復期リハビリテーション、また、安定期にある場合や廃用症候群に対しては、維持期リハビリテーションというように、高齢者それぞれの状態に応じた適切なリハビリテーションが提供されることが必要である。
 さらに、障害を持つ者や高齢者が、閉じこもり状態となり、老化に伴う心身機能の低下とあわせて寝たきり状態となることを予防し、住み慣れた地域において、生涯にわたって生き生きとした生活を送ることができるよう、保健・医療・福祉の関係者のみならず、ボランティア等の地域における住民が参画して行う、いわゆる地域リハビリテーションが適切に行われることも重要である。
 このような、高齢者等の様々な状況に応じたリハビリテーション事業が適切かつ円滑に提供される体制の整備を図ることを目的として、地域リハビリテーション支援体制整備推進事業を実施するものである。
 地域リハビリテーション支援体制整備推進事業のシステムは、下記の (図1) 参照。

(資料4) 地域リハビリテーション支援体制整備推進事業の現状
     (全国地域リハビリテーション支援事業連絡協議会)

 地域リハビリテーション支援体制整備推進事業が平成12年に始まり、現在、全国に都道府県リハビリテーション支援センターと約300の地域リハビリテーション広域支援センターが指定されている。これまで地域リハビリテーションの拠点施設として、現地指導や研修会の開催、介護予防事業への取り組みなど、様々な活動に成果を上げてきた。
 平成17年度からは国の補助事業から、各都道府県における事業へと移行した。その結果、全国的に都道府県における地域リハビリテーション事業への取り組みは、自主性と独創性を持つようになった。
 同時に介護予防事業や障害者自立支援法のスタートにより、地域リハビリテーション広域支援センターの果たす役割はより重要になってきている。

(資料5) 今後の地域リハビリテーション推進課題
     (日本リハビリテーション病院・施設協会、2007年)


 ①地域リハビリテーション活動課題
  (a) 介護予防の推進
    ◎地域包括支援センターと地域リハビリテーション推進組織との連携
  (b)在宅リハビリテーション推進拠点の確立 (在宅リハビリテーションセンター、
   訪問リハビリテーションステーション等) とその支援 (診療所・「かかりつけ
   医」、介護サービス提供事業所等との連携)
  (c) 地域医療連携 (リハビリテーションの流れ) づくり
    ◎地域リハビリテーション連絡協議会等を発展させた地域連携の推進
  (d) 当事者・市民が参画する地域リハビリテーション活動の展開 (住民組織等へ
    の支援)
 ②地域リハビリテーション推進組織としての課題
  (a) 都道府県全体の意識向上
    ◎都道府県ごとの地域リハビリテーション推進体制の再構築
  (b) 地域リハビリテーション広域支援センターの活性化


 (図1) 地域リハビリテーション支援体制整備推進事業のシステム
地域リハシステム図.gif


 上記に関する当ブログ管理人の考察は、下記の通りです。

(1)地域リハビリテーションの主なタスクは、次の通りです。
 ①急性期リハビリテーションの充実
  ◎廃用症候群の予防、徹底したリスク管理のもとの早期離床・早期リハビリテ
   ーション
 ②回復期リハビリテーションの充実
  ◎在宅を視野に入れた実用的なADL向上を目的とした集中的リハビリテーシ
   ョンと多専門職種による徹底したチームアプローチ
  ◎回復期リハビリテーション病棟の更なる普及と質の向上
 ③維持期リハビリテーションの充実
  ◎生活機能低下予防・介護予防、特に在宅等での訪問リハビリテーション・通
   所リハビリテーション
 ④地域リハビリテーション連携の推進
  ◎急性期~回復期~維持期のシームレスなリハビリテーション連携体制
  ◎地域連携クリニカルパス、地域医療連携室、地域医療連携カンファレンス、
   ケアカンファレンス、情報の共有化 (特に患者・利用者の生活機能に関する
   情報)・IT (情報技術) 化、プライマリケアを担う 「かかりつけ医」 の明確化
   と連携
  ◎「脳卒中モデル」 のみならず 「廃用症候群モデル」 にも対応したシステム
 ⑤予防的リハビリテーションの推進
  ◎健康増進、生活機能低下予防、介護予防 (新予防給付、地域支援事業)
 ⑥地域リハビリテーションを支える人材の確保・育成
  ◎リハビリテーション専門職のみならず、リハビリテーション・マインドを持
   った看護職員・介護職員・介護支援専門員・ソーシャルワーカー等の養成も
   必要。
 ⑦新たなニーズに応じたリハビリテーションの提供
  ◎特に、高次脳機能障害、摂食嚥下障害、認知症
 ⑧テクノエイドサービスの充実
  ◎福祉機器・用具や住宅改修などのテクノエイドサービスの提供、テクノエイ
   ドサービスの拡充とノーマライゼーション社会の実現を目的としたネットワ
   ークの整備
 ⑨地域リハビリテーション、リハビリテーションマインドの普及・啓発活動の推進
  ◎障害のある方、家族、地域住民、医療機関・「かかりつけ医」、訪問看護ステ
   ーション、介護保険施設、居住系施設 (高齢者専用賃貸住宅、有料老人ホー
   ム、グループホーム等)、障害者施設、関係団体 [職能団体 (医師会・看護協
   会等)、住民組織 (患者の会・家族の会・ボランティアグループ等)]、行政 (県
   や市町村、保健所、地域包括支援センター) 等の関係者への啓発
 ⑩NPO法人やボランティアの育成、支援
 ⑪高齢者・障害のある方にやさしい福祉のまちづくりの推進
  ◎バリアフリー、ユニバーサルデザイン
 ⑫ノーマライゼーションの推進
  ◎「高齢者も障害者も子どもも女性も男性もすべての人々が、人種や年齢、身
   体的条件に関わりなく、自分らしく生きたいところで生き、したい仕事や
   社会参加ができる、そうしたチャンスを平等に与えられる」 “みんなが一緒
   に”暮らせる社会が“当たり前”だとする考え方
 ⑬障害者雇用の促進
  ◎社会での役割を担う (社会参加、社会貢献)、生きがい・QOLの向上

(2)資料1の通り、地域リハビリテーションは、CBR (community based
rehabilitation)
、即ち、地域に根ざした (あらゆる) リハビリテーション・アプローチのことです。
 また、資料2・3に記されているように、地域リハビリテーションは、(健康増進~生活機能低下予防~) 急性期~回復期~維持期のシームレスなリハビリテーション連携体制が肝要です。
 しかしながら、地域リハビリテーション支援体制整備推進事業は、厚生労働省の老健局が所掌したため (対象者が介護保険制度の被保険者であり)、どちらかといえば、事業の活動が、維持期リハビリテーション・介護保険リハビリテーション (訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション)・介護予防・地域支援事業等に偏っていることは否めません。

(3)資料4の通り、平成17年度からは、地域リハビリテーション支援体制整備推進事業が、国の補助事業から、各都道府県における事業へと移行したため、(都道府県によって温度差がありますが)、予算とマンパワーの不足が本事業の大きな阻害因子となっています。
 また、 「関係機関・関係者 [(1)-⑨参照] の地域リハビリテーション、リハビリテーション・マインドについての理解不足および連携不足」・「リハビリテーション科以外の医師、リハビリテーション・ナース以外の看護師、セラピスト以外のコメディカル等の地域リハビリテーション、リハビリテーション・マインドについての理解不足」 等も同様に地域リハビリテーション活動およびリハビリテーション医療の阻害因子となっています。
 したがって、地域リハビリテーションを推進するためには、上記の方々に対する地域リハビリテーション、リハビリテーション・マインドの普及・啓発活動の推進が重要と考えられます。特に、行政サイドの充分な理解が肝要です。

(4)都道府県によって相当な温度差がありますが、マンパワー・予算不足の現状では、実際の地域リハビリテーション活動は、研修会や技術指導・支援 (主に、地域リハビリテーション概念の普及、脳卒中リハビリテーション関連) 、各種相談事業および介護予防事業を中心とした活動 (運動機能向上・転倒予防・体力向上、口腔ケア、認知症への取り組み等) に限定されている所も少なくないようです。

(5)各都道府県およびその二次医療圏においては、人口・人口密度・高齢者比率、各種医療・介護・福祉サービス医療提供体制、地域医療連携体制、地域リハビリテーション連携体制、リハビリテーション資源、地域リハビリテーションとリハビリテーション・マインドに関する理解度、地域包括ケア体制等々に、かなりの地域差があり、各地域独自の地域リハビリテーション支援体制の構築が必要と考えられます。(熊本方式、尾道方式が有名です)。

(6)上記の通り、地域リハビリテーション活動には、様々な障壁がありますので、資料5のように、日本リハビリテーション病院・施設協会が、今後の地域リハビリテーション推進課題と対策について記しています。

(7)地域リハビリテーションにおいて、当ブログ管理人が一番問題視しているのは、脳卒中の急性期・回復期リハビリテーションの充実 [(1)-①・②] です。(この充実度は、都道府県および各二次医療圏によって相当異なりますが)。
 この項目を挙げた理由は、下記の通りです。

●実際の脳卒中医療において、①不充分な急性期治療・②不充分な早期リハビリテーション・③「医原性」 の二次的合併症・障害 (廃用症候群・過用症候群・誤用症候群)・④不充分な回復期リハビリテーションあるいは回復期リハビリテーションの欠如のため、結果的に障害の回復が不充分なまま、あるいは余計な障害まで作られた上で、介護保険・福祉に受け継がれることが未だ少なくなく、全県的な脳卒中医療、リハビリテーション・ネットワークの構築の必要性が喚起されています。

 上記理由の①には 「患者・家族等の脳卒中発症サインの理解不足による病院受診遅延」 とそれに伴う 「血栓溶解療法 (t-PA) の断念」、②・③には 「急性期病院サイドのリハビリテーション・廃用症候群等についての理解不足」、④には 「急性期病院サイドのリハビリテーションについての理解不足 (急性期病院から、リハビリテーションを充分には提供しないまま、回復期リハビリテーション病棟も経由させずに、そのまま自宅等・療養病床・老人保健施設等に退院・転院させる医療機関が未だ存在します)」 および 「回復期リハビリテーション病棟の数的不足および質の問題」 等の関与が挙げられます。

 地域リハビリテーション活動にて、維持期リハビリテーション・介護予防等をいくら頑張っても、急性期・回復期リハビリテーションが不充分であれば、障害が重度化 (当初軽度障害→結局中等度障害、当初中等度障害→結局重度障害) して、どうにもなりません。片手落ちあるいはお手上げ状態になります。
 したがって、地域リハビリテーション活動として、「脳卒中や骨折等で入院した高齢者等が、発症後早期に適切なリハビリテーションが受けられるように、急性期リハビリテーションの重要性について、医療機関等に働きかける」・「医療機関に回復期リハビリテーション病棟の開設・増床を働きかける」 必要があります。
 但し、上記の働きかけが一番困難なタスクであり (当ブログ管理人も困っていますが・・・)、各医療機関のポリシー、財務事情、リハビリテーション・マンパワー等も絡みます。
 地域リハビリテーション支援事業のマンパワー・予算が潤沢であれば、「当該医療機関へのリハビリテーション・マンパワーの派遣」「充分なリハビリテーション機能を持つストロークユニット (脳卒中専門病棟)・回復期リハビリテーション病棟の開設の促進」、あるいは 「熊本方式等の地域リハビリテーションシステム構築」 等が出来るのですが・・・。(それだけのことをする価値は充分あるのですが・・・)。


 以上、地域リハビリテーションについて、当ブログ管理人独自 (いつも好き勝手な意見かつ長々とした文章で恐縮ですが) の考察を述べてきました。

 リハビリテーション従事者以外の関係機関・関係者 [(1)-⑨参照] の一部に誤解があるようですが、地域リハビリテーションは、単に介護保険下の維持的リハビリテーション (訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション)・介護予防のみを指すのではありません。
 真の地域リハビリテーションとは、地域 (二次医療圏) における包括的なリハビリテーションシステム (CBR:community-based rehabilitation) です。
 したがって、「健康増進リハビリテーション~生活機能低下予防リハビリテーション~超急性期・急性期リハビリテーション~回復期 (集中的) リハビリテーション~維持期 (断続的) リハビリテーションまでのシームレスなリハビリテーションが、二次医療圏において円滑に進むようなシステム」 を構築する必要があります。

 また、地域リハビリテーション (CBR) の確立のためには、「緊密な病診連携・病病連携・病介 (病施設) 連携による地域医療連携・地域リハビリテーション連携システムの構築」、「医療保険と介護保険の円滑な流れ・連携」、ならびに、「リハビリテーション・マインドの啓発・啓蒙」 が重要と考えられます。

 但し、地域リハビリテーション活動には、医療制度・診療報酬問題 (疾患別リハビリテーション体系・単価の減額、リハビリテーション算定日数制限、回復期リハビリテーション病棟の成果主義、障害者施設等入院基本料からの脳卒中・認知症患者の除外、後期高齢者医療制度等) ・介護報酬問題 (要介護認定の厳格化、介護給付費の抑制等)・障害者自立支援法 (応能負担→一律1割の応益負担、年収制限の厳格化、障害区分認定問題) 等も大きく影響します。
 したがって、医療難民・リハビリ難民・救急難民・脳卒中難民・認知症難民・介護難民・障害者難民等を防止するためにも、厚生労働省の医療・介護・福祉政策の策定・施行に対して、エビデンスを掲げて、良い意味での影響力を行使するのも、地域リハビリテーション活動の一つと思います。
 また、地域リハビリテーション支援事業の実効性をより高めるためには、当該事業の実施に、厚生労働省の老健局・保険局・医政局・健康局・障害保健福祉部の横の連携・コラボレーションが肝要と思います。

【関連記事】
 ◎脳卒中リハビリテーションにおける 「早期離床」
 ◎障害者施設等入院基本料・算定要件の解釈の厳格化
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 ◎介護保険改革は 「家族の問題は遮断」 (厚労省老健局長)
 ◎平成20年度リハビリ診療報酬改定 (日本リハビリ医学会の総括)
 ◎「入院医療のあり方 (機能分化)」 日本病院団体協議会の提言
 ◎リハビリテーション医療におけるリスク管理
 ◎脳血管疾患等リハビリ料における廃用症候群の 「外科手術」 とは
 ◎「後期高齢者医療制度」 与野党間の不毛な議論
 ◎「リハビリテーション医療のあり方」 日病協の提言
  




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