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  2. 2009年06月

厚生労働省の分割論 (2週間で白紙撤回:ブレブレの麻生首相)

 毎日新聞のホームページ (2009/6/5) に政治部記者の興味深い記事が掲載されていますので、下記に示します。

記者の目:また発言二転三転 麻生さん=吉田啓志
 
 麻生太郎首相は、自ら言った厚生労働省の分割論を、事実上2週間で撤回した。
 政策をめぐって首相が発言を二転三転させるのは今に始まったことではない。
 それでも一度示した分割案を、形勢が悪くなるや 「こだわらない」 と否定したのには驚いた。
 結局こうしたぶれは、首相の志向に基軸がないから起こるのだろう。
 日本丸の船長がかじを切る方向を迷っていたら、国民を漂流させてしまう。
 麻生氏には 「首相としてこうしたい」 という理念が感じられない。
 もし 「首相でいること」 が目的なら、早晩国民から見放されるだろう。

 厚労省の分割騒ぎは、5月15日の政府の安心社会実現会議が発端だ。
 委員の渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長が分割私案を説明し、賛同した麻生首相が 「医療、介護、年金、福祉が社会保障省。雇用、児童、少子化などは国民生活省」 との対案を披露したことに始まる。
 首相は同19日の経済財政諮問会議で、与謝野馨財務・金融・経済財政担当相に具体案作りを指示し、一気に政官界に緊張が走った。

 ただ、あまりの拙速ぶりに、政府・与党内に支持は広がらなかった。
 人員増を伴わない分割に当の舛添要一厚労相が異を唱え、文部科学省の幼稚園所管部門と、厚労省の保育所を受け持つ部門を国民生活省に統合する構想には、族議員が一斉に反発した。

 5月28日の衆院本会議後、文教族のドン、森喜朗元首相は河村建夫官房長官の肩を捕まえ、「(幼保) 一元化という言葉で始末をつけようとすると、(文教・厚労族) 両方おさまらなくなる」 と脅し文句をささやいた。
 伝え聞いた首相は揺らぎ、同日夕には自らの分割案について 「全然こだわりませんよ。自由な論議をした途端、既成事実のような話をするのはやめた方がいい」 と記者団に述べた。

 首相の発言を振り返ると、安心社会実現会議では 「国民生活に力を入れる省を作ってはどうか。単に厚労省を2分割するのではなく、内閣府を含め国民の安心を所管する省を検討してもよい」 と述べている。
 他の会議や会見での語り口からも、確かに厚労省だけを狙い撃ちする意図はなかったように思われる。

 それでも、省の名まで挙げて一度口にした 「社会保障省と国民生活省」 という案に対し、「こだわっていない」 と言ったのはどういうことか。
 これでは厚労省分割を含めた自らの省庁再編方針について、「旗色が悪くなったから否定した」 と受け止められても仕方ない。
 「こだわらないなら最初から口にすべきでない」 (民主党・森ゆうこ参院議員) のである。

 首相のぶれは、就任直後から続いている。
 民主党の鳩山由紀夫代表からは 「ぶれ続けている点でぶれていない」 とまで言われる始末だ。
 事実言いえて妙で、当初首相が 「低所得者対策」 と言っていた定額給付金は、後に 「景気対策」 へと変わった。
 11年度に消費税を上げる決意を示したかと思いきや、土壇場で先送り。
 小泉純一郎内閣の閣僚として受け入れたはずの郵政民営化については、「賛成じゃなかった」 と口走り、与野党から総すかんを食った。

 一連の言動に共通しているのは、いったん決断したように語ったことでも、与党内で反発を受けた途端、あっさりと撤回してしまったことだ。
 ぶれるのはともかく、「では、一体何がしたいのか」 という点がさっぱり伝わってこず、すべてが 「政権維持のため」 としか映らない。

 厚労省分割騒動もそうだ。
 政府は年金制度を安定化させる最善策に 「少子化克服」 を掲げ、年金と人口政策を同じ省で手がけることの重要性を強調してきた。
 どう制度を変えようが、支え手を無視して年金を安定させることはできないからだ。
 ところが麻生案では年金と少子化は別の省が担当する。
 是非はともかく、これまでの方針との整合性が感じられず、変える理由の説明もないままだった。

 年金と雇用政策は不可分というのも政府の主張なのに、これも麻生案では担当省が分かれていた。
 65歳定年が普及しない中で、退職から65歳の年金受給開始までの空白期をどう埋めていくのかが重要課題に浮上している。
 別の省になるメリットの方が大きいのか。
 検証も一切行われていないのに、そう関心のなかった話に飛びつくから、「選挙目当て」 とか 「増税の地ならし」 と批判されるのだ。

 「何かしたくて首相になるんじゃない。首相になることが目的の人だ」。
 自民党幹部はかつて麻生氏をこう語った。
 しかし麻生氏も、政権維持のためなら何でもしてきた自民党という土壌が生み出した政治家の一人に過ぎない。
 党内にはまたぞろ 「選挙の顔」 を替えようとする動きもあるが、そろそろ自民党自体が賞味期限切れを迎えていることを自覚すべきではないか。

(1)高度成長時代の 「富の分配」 の時代から、低成長時代の 「負担の分配」 の時代に変わり、賞味期限が切れ、政権担当能力にも大きな疑問が持たれている自民党。

 戦後、一貫して、「財界・大企業・金融機関・官僚・お金持ち・アメリカ・外資」 等の既得権益グループの言うがままに政策を行ってきた自民党にとって、高度成長時代の 「富の分配」 の時代には、既得権益グループ以外の一般国民にも富が分配され、1億総中流階級社会が維持され、自民党も栄華を極めてきました。

 しかしながら、低成長時代の 「負担の分配」 の時代に変わり、既得権益グループだけが負担を免れ、且つ富が益々流れ、それ以外の一般国民には負担だけが押しつけられるようになると、自民党の没落が始まり、今や末期症状を呈しています。

(2)一方、民主党はどうかといえば、多くの国民が、その寄り合い所帯の実態を鑑みるに、民主党の政権担当能力に少なからぬ不安を抱いていると思われます。

 その不安が、各マスメディアの世論調査において、次期政権として自民党・民主党の大連立を願う国民が少なくないという結果に表れていると思われます。

(3)目前に迫った次期総選挙の結果、現在の 「自公政権」 が維持されるのか、政権交代後の 「民主党を中心とした連立政権」 なのか、はたまた、「大連立政権」 (あるいは 「中連立政権」) なのか・・・。

 少子超高齢時代を迎え、どういう政権になろうとも、崩壊した (破壊された) 「医療・介護・福祉・年金・雇用」 の 「社会保障・セーフティネット」 の再建・再生だけは成就して頂きたいと切に願っております。




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