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平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)

 平成21年度介護報酬改定において、「訪問リハビリテーション」 が次のように改定されました。

(資料1) 訪問リハビリテーションの改定概要

 基本報酬については、医療保険等との整合性を図る観点から、1日単位ではなく、サービス提供時間に応じた評価に見直す

  ●訪問リハビリテーション費:500単位/日→→→→→→305単位/回

    (注) 20分間リハビリテーションを行った場合に1回として算定

①介護老人保健施設からの訪問リハビリテーション
 通所リハビリテーションの利用者が通所できなくなった際にも円滑な訪問リハビリテーションの提供を可能とする観点から、介護老人保健施設で通所リハビリテーションを受けている利用者については通所リハビリテーション終了後1月に限り、当該施設の配置医師がリハビリテーション計画を作成し訪問リハビリテーションを提供することを可能とする。

②短期集中リハビリテーション実施加算
 早期かつ集中的なリハビリテーションを推進する観点から、短期集中リハビリテーション実施加算の評価を見直す。

  退院・退所日又は認定日から起算して  退院・退所日又は認定日から起算して
   1月以内の場合330単位/日→→→→→→1月以内の場合340単位/日
   (週2回以上・1回20分以上)      (週2回以上・1回40分以上)


 資料1の改定概要において、「訪問リハビリテーション」 は一見有利な改定に見えますが、「旅とグルメの日々 イニシア 田原はじめのblog」 ブログの記事 「介護報酬改定のナイショ話 (その2)」 において、次のような怖い話が語られています。


(資料2) 「介護報酬改定のナイショ話 (その2)」

「訪問リハも見直しになったよね。在宅復帰を推進するためにプラスの評価なんだろうね」。

H氏 「どうかな・・・」。

「訪問リハ費が1日500単位から、1回305単位になったよね。1回が20分だから、訪問して40分、つまり2回算定すれば610単位になるから引き上げってこと?」

H氏 「それが素人考えというもの」。

「なんで?」

H氏 「自己負担を考えると、2回にすると訪問リハの負担額が今より多くなるということ。なかなかそうしたプランを組めないよ」。

「短期集中リハの、1月以内は1日340単位という加算は、週2回で1回40分以上という条件になっているね」。

H氏 「これもなかなか取れないね。今は1回20分以上の規定だから、これも今より算定が難しくなる」。

「じゃあ、訪問リハは実質マイナス?」

H氏 「その可能性が大きいね。訪問リハはとても重要なのに、なんでこんな改定をしたんだろうね」。

酔いが瞬時に醒めるような会話だった。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)資料1の改定概要の通り、訪問リハビリテーションは、医療保険等との整合性を図る観点から、1日単位ではなく、「サービス提供時間に応じた評価」 に見直され、「介護老人保健施設からの訪問リハビリテーションにおける特例」、早期かつ集中的なリハビリテーションを推進する観点からの 「短期集中リハビリテーション実施加算の増額」 という評価も成されて、基本的にはプラス改定と考えられます。

(2)しかしながら、資料2のブログ記事で示された 「利用者の自己負担の問題」 により、次のようなことが想定されます。

訪問リハビリテーションを、利用者1人あたり、1日2回分 (20分×2=40分) 算定すると、305単位/回×2回=610単位、3回分 (60分) だと915単位 (現行は1日500単位) と成り、サービス提供者側は増収になります。
 一方、サービス利用者側からすると、自己負担額が今より多くなるため (場合によっては、支給限度額も影響)、そういうケアプランを容易には組めなくなると想定されます。

短期集中リハビリテーション実施加算も、算定要件が、週2回以上・1回40分以上 (現行は、週2回以上・1回20分以上) と成り、上記①と同じ理由で算定が難しくなると想定されます。

(3)結局、厚生労働省は、介護保険における訪問リハビリテーションをどうしようと思っているのでしょうか? 「訪問リハビリテーションは重要だから、より普及させよう」 とは思っていないのでしょうか?

(4)同様の矛盾が、リハビリテーションに限らず、また、介護保険に限らず、現実に生じています。即ち、診療報酬・介護報酬における 「患者またはサービス利用者の自己負担の問題」 です。

 厚生労働省が、診療報酬・介護報酬において、ある医療・介護サービスをもっと評価しよう・普及させようとして、報酬をアップ (医療・介護サービス提供者にとっては増収) させると、「自己負担制度」 により、患者またはサービス利用者の負担が増えるために、その医療・介護サービスを利用することを手控えてしまい、結局、医療・介護サービス提供者の増収も望めないという 「矛盾・悪循環・負のスパイラル」 が生じます。

 また、場合によっては、患者またはサービス利用者が必要な医療・介護サービスの利用を手控えることにより、その方の病状・障害像・要介護度・介護者負担等が増悪します! (最悪の場合、死に至ります!!)

(5)厚生労働省は、上記(4)の矛盾を理解していなくて、「現場感覚無しの机上の理論 (空論)」 で施策を行っているのでしょうか? それとも、全て分かっていながら、恣意的に行っているのでしょうか?
 後者ではないことを祈りますが・・・。財務省の財政再建至上主義に逆らえないため、やはり後者かな!? (苦笑&泣笑)。

 以前の当ブログ記事 (『日本慢性期医療協会からの 「7つの約束と3つのお願い」』) でも述べましたが、厚生労働省は、本来の使命 (国民の安心・安全・納得・満足) のために、机上の理論 (空論) はやめ、現場感覚・国民の視点で、医療・介護・福祉施策を立案・実施して頂きたいと思います。

(6)さらに、現実に、上記(4)の問題が全国的に少なからず生じていると思われますので、「医療費の窓口負担 『ゼロの会』」 も提唱していますが、医療・介護サービスの自己負担ゼロ化が望まれます。

(7)以上、上述の 「介護サービス利用者の1割自己負担、要介護度・支給限度額、ケアマネジメント等の問題」 ならびに 「充分な質の高い訪問リハビリテーションサービスを提供するために必要なリハビリテーション・マンパワーが未だ不充分であり、且つ施設間格差・地域格差もあるという問題」 等を克服して、介護保険における訪問リハビリテーションが全国的に普及することを切望します。
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