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平成21年度介護報酬改定 (医療機関による短時間通所リハビリ)

 日経ヘルスケア2009年2月号 「特集② 速報! 09年度介護報酬改定 プラス3%の中身は? 訪問介護と通所介護で明暗」 に、短時間通所リハビリテーションの解説記事が掲載されていますので紹介します。


(資料1) 短時間通所リハビリテーション

 リハビリテーションの利用者が、医療保険から介護保険に移行しても、ニーズに沿ったサービスを継ぎ目なく一貫して受けることができるよう、短時間・個別のリハビリテーションについての評価を行うとともに、リハビリテーションの実施者について医療保険との整合性を図る。
 また、理学療法士等を手厚く配置している事業所を評価する。
 さらに、医療保険において、脳血管等疾患リハビリテーション又は運動器疾患リハビリテーションを算定している病院・診療所については、介護保険の通所リハビリテーションを行えるよう 「みなし指定」 を行う。

①通所リハビリテーション (1時間以上2時間未満) 【通常規模型】 (新規)
  要介護1:270単位、要介護2:300単位、要介護3:330単位、
  要介護4:360単位、要介護5:390単位
  (a) 個別リハビリテーションを20分以上実施した場合に限り算定
  (b) 医師又は理学療法士が個別リハビリテーションの実施前に指示を行い、か
   つ、当該個別リハビリテーションの実施後に当該療法に係る報告を受ける
   場合であって、定期的に適切な研修を修了している看護師、准看護師、柔
   道整復師又はあん摩マッサージ指圧師
が個別リハビリテーションを行う場
   合は、所定単位数の100分の50に相当する単位数を算定する。
  (c) 理学療法士等体制強化加算 (新規):30単位/日
    ◎算定要件:常勤かつ専従の理学療法士等を2名以上配置していること。

②短期集中リハビリテーション実施加算
 早期かつ集中的なリハビリテーションをさらに充実する観点から評価を見直すとともに、3か月以内に限定にする。併せて、3か月以降の個別リハビリテーションについて、新たな評価を行う。
 ◎短期集中リハビリテーション実施加算
     退院・退所後又は認定日       退院・退所後又は認定日
     から起算して            から起算して
    1月以内:180 単位/日→→→→→→→1月以内:280 単位/日
    1月超3月以内:130 単位/日→→→→1月超3月以内:140 単位/日
  注1.上記①-(b) を算定している場合は算定しない。
  注2.リハビリテーションマネジメント加算を算定しない場合は算定しない。
  注3.個別リハビリテーション実施加算 [退院・退所後又は認定日から起算し
    て、3月超:80単位/日 (月13 回を限度)] は、短時間通所リハビリテー
    ションの場合、算定できない。

③リハビリテーションマネジメント加算
 リハビリテーションマネジメント加算について、リハビリテーションの定期的な評価として位置づけるとともに、事務処理の簡素化の観点から、月に1回評価を行うこととし、報酬額を再設定する。
 ◎リハビリテーションマネジメント加算:20単位/日→→→→230単位/月
   注.月に8回以上通所リハビリテーションを行っている場合に算定。


(資料2) 短時間リハは診療所に恩恵なし (註:日経ヘルスケア解説記事の見出し)

①通所リハビリの改定項目で最も注目されるのは、1時間以上2時間未満の短時間サービスの導入だ。
 その狙いは、医療機関が外来で行う維持期のリハビリの介護保険への移行にある。

②厚労省が維持期リハビリを介護保険へ移行させる方針を初めて打ち出したのは、2006年度診療報酬改定。
 だが、介護保険側にリハビリの受け皿が不足していたため、患者の移行は進まなかった。
 2008年度改定以降も暫定措置を設け、疾患別リハビリの算定日数上限 (脳血管疾患等:180日、運動器:150日) を過ぎても、医療保険での算定を月13単位まで認めている

③厚労省は外来リハビリの大半が1~2時間である点に着目し、次回改定では要介護者向けの通所リハビリに短時間サービスの報酬を新設。
 さらに、脳血管疾患等、運動器の疾患別リハビリ料を算定する医療機関が、短時間に特化した通所リハビリ事業所に転換できるように 「みなし指定」 を行う。

④理学療法士などによる20分以上の個別リハビリの提供を基本とし、介護報酬を1回270~390単位と、診療報酬より高く設定して移行を促す

⑤例えば、回復期リハビリ病棟を持つ病院が、退院して維持期に移行した患者に短時間の通所リハビリを提供する形が想定される。
 特に脳血管疾患等の患者の場合、要介護認定で要介護3、4に判定されるケースが多いため、大幅な増収が見込めるだろう

⑥一方、整形外科の診療所にとって、みなし指定のメリットはほとんどない
 「診療所が外来で行う運動器リハビリの患者の大半は、要介護認定を受けると要支援のランク。みなし指定を受けても、対象となる要介護1以上の人は少数しかいない」 (日本臨床整形外科学会理事長の藤野圭司氏)。

⑦診療所にとって悩ましいのは、介護予防通所リハビリがみなし指定の対象外になることだ。
 「介護予防の実施時間には定めがなく、制度上、短時間のリハビリを行えるため、みなし指定は必要ない」 というのが厚労省の見解。

⑧だが、2010年度診療報酬改定で、仮に算定日数上限を超えてリハビリの算定ができなくなれば、患者確保のために介護予防の指定を受けざるを得ない。人員配置や設備、運営に関する基準を満たさなければならない手間から、転換を断念すれば、患者を失いかねない。

⑨診療所は今後、生き残りをかけて厳しい選択を迫られそうだ。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)資料1・資料2-①~④の通り、平成21年度介護報酬改定で、脳血管等疾患リハビリテーションまたは運動器疾患リハビリテーションを算定している医療機関において、現在、外来で行っている維持期のリハビリテーションを介護保険に移行させるために、リハビリテーション特化型の短時間通所リハビリテーションが新設されました。
 また、「みなし指定」・「1単位当たりの診療報酬より、高い介護報酬 (270~390単位)」・「理学療法士等体制強化加算:30単位/日」・「短期集中リハビリテーション実施加算の増額 (特に1月以内)」 のインセンティブを設定しています。

(2)資料2-⑤にて、回復期リハビリテーション病棟を持つ病院が、退院して維持期に移行した患者に、外来で短時間通所リハビリテーションを提供する場合、(特に脳血管疾患等の患者で要介護3、4が多い場合)、大幅な増収が見込めると記しています。

 しかしながら、要介護3、4の方の場合、入浴サービス・送迎サービス・レスパイトも含めて、「長時間型の通所リハビリテーション」 を選択する可能性が少なくないと推察されます。(あるいは訪問リハビリテーションを利用)。
 一方、以前の当ブログ記事 [『介護と生活をめぐって利用者・家族が直面している 「9つの困難」』、「平成21年度介護報酬改定 (訪問リハビリテーション改定における陥穽)」] でも論じましたが、「利用者の自己負担・支給限度額」 の問題が、短時間通所リハビリテーションの利用頻度の阻害因子になると思われます。

(3)資料2-⑥~⑨は、整形外科の診療所にとっては厳しい指摘です。
 現在、整形外科診療所の外来リハビリテーションにおいては、要支援レベルの運動器リハビリテーション対象疾患患者が多いと思われます。したがって、要介護1以上が対象である短時間通所リハビリテーションを施行できる対象者はあまり多くないと思われます。
 また、以前の当ブログ記事 (「平成21年4月の要介護認定システム改正に関する政府・厚労省見解」) にて論じましたが、平成21年4月から導入される新しい要介護認定システムにより、今まで以上に要介護認定が厳しくなり、益々、要介護1が減り、要支援が増える可能性が高いと考えられます。

(4)上記以外にも、次のような運用上の問題が挙げられます。

①医療機関において、診療報酬請求業務だけでも大変なのに、短時間通所リハビリテーション導入に伴う介護保険請求業務がどのくらいの過重負担になりうるか? (あるいは、今まで医療保険の請求業務しか行ってきていない医療機関が介護保険請求事務の繁雑さから撤退?) という問題

②医療機関 (特に病院) において、医療保険での外来リハビリテーションから、介護保険における短時間通所リハビリテーションへの移行に伴い、患者さんの自己負担が変わることに対する説明同意取得業務や関係書類作成業務の増大等のリハビリテーション・スタッフへの負担の問題

③急性期メインの病院で、短時間通所リハビリテーションを導入することにより、標準的算定日数以内 (特に早期リハビリテーション加算を算定可能) の入院患者さんに対する集中的リハビリテーションが阻害されないかという問題。

(5)「リハ医の独白」 ブログの記事 (「通所リハ、リハマネジメント加算の矛盾」・「パブリックコメント送付」) にて論じられていますが、改定後の通所リハビリテーションの試算の結果、赤字になるとのことです。
 その理由は、「リハビリテーションマネジメント加算」 が、月8回以上通所リハビリテーションを施行しないと算定できず、そして、「リハビリテーションマネジメント加算」 を算定できないと、「短期集中リハビリテーション実施加算」 および 「個別リハビリテーション実施加算 (註:短時間通所リハビリテーション算定時は算定不可)」 が算定できないからだそうです。
 即ち、「月8回以上」 となると、最低週2回以上、短時間通所リハビリテーションを利用する必要があります。週1回以下利用群は 「リハビリテーションマネジメント加算」 を算定できず、結果として、「短期集中リハビリテーション実施加算」 が算定できなくなります。週2回以上群でも、体調不良で休み、月7回以下になった場合には、算定できなくなります。
 この件は、今のところ、解釈通知・Q&A待ちのようですが、厚生労働省の善処を期待します。

(6)短時間通所リハビリテーションにおいて、資料1-①の通り、代替有資格者 (定期的に適切な研修を修了している看護師、准看護師、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師) の場合は、所定単位数の50%算定であり、且つ、資料1-②の通り、短期集中リハビリテーション実施加算は算定できません
 また、理学療法士等体制強化加算 (30単位/日) の算定要件は、専従する常勤の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を2名以上配置することです。
 この改定項目については、リハビリテーションの質を保つためにも妥当な項目だと思います。

(7)以上、平成21年度介護報酬改定における医療機関による短時間通所リハビリテーションについて論じました。
 
 この短時間通所リハビリテーションの導入により、(要介護者に対する) 現行の医療保険における維持期リハビリテーション (月13単位までの算定) の中止時期の問題が挙げられます。
 順当ならば、平成22年度診療報酬改定の時と考えられます。まさか、平成19年度の時のように、平成21年度診療報酬 「臨時」 改定はないとは思いますが・・・。
 理想的には、介護保険における短時間通所リハビリテーションの導入状況・問題点を充分検証し、問題あれば代替システムの導入のことも含めて、平成24年度診療報酬・介護報酬同時改定の時がベストと思います (まずないとは思われますが・・・)。

 ここで素朴な疑問として、「①要支援あるいは非該当の方」「②介護保険対象外の方」 の維持期リハビリテーションの問題が挙げられます。
 医療保険の月13単位までの維持期リハビリテーションが完全廃止となって、上記①・②ともに、算定日数制限除外規定の 「治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合」 として、(繁雑な書類作成・事務作業を強要されながら)、疾患別リハビリテーションを施行することになるのか?
 それとも、②は月13単位リハビリテーション継続可能、①は上記の除外規定以外は、医療保険でのリハビリテーションは算定不可となり、介護予防・地域支援事業で対処せざるを得ないことになるのか?
 今後の厚生労働省の動向が気になります。

 当ブログ管理人の最大の懸念は、介護保険における短時間通所リハビリテーションの導入に伴う医療保険における疾患別リハビリテーションの標準的算定日数の短縮化です。
 例えば、脳血管疾患等リハビリテーションが180日→150日または120日、運動器リハビリテーションが150日→120日または90日。
 急性期・回復期の充分な集中的リハビリテーションの担保およびリハビリテーション難民の増大防止のためにも、現行の標準的算定日数の堅持が望まれます。

 解釈通知・Q&Aが出ていないので、不透明な部分も未だ多いですが、介護保険における短時間通所リハビリテーションの質・量ともに充分な体制が、全国的に普及することを切望します (上記の懸念があり、複雑な心境ではありますが・・・)。
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