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2009年度の新規DPC対象病院は570病院 (約130病院が移行せず)

 Japan Medicine (2009/3/4) に、平成19年度DPC準備病院の 「平成21年度DPC対象病院への移行状況」 に関する記事が掲載されていますので紹介します。

●09年度の新規DPC対象は570病院 130病院が移行せず

①2007年度からDPC準備病院となった約700病院のうち、570病院が09年度からDPC対象病院へ移行する見通しとなった。移行しない病院は約 130病院で、多くが自主的に準備病院にとどまる選択をしたとみられる。

 DPC対象病院に移行しない理由について厚生労働省保険局医療課は、中医協・診療報酬基本問題小委員会やDPC評価分科会などで検討を進めている調整係数廃止後の新係数の成り行きを見守る病院が多いためではないかとみている。

②医療課によると、09年度の新規DPC対象病院に対しては3月上旬までに調整係数を内示する。対象病院への移行は4月実施と7月実施の2回に分けて行う。
 DPC病院としての告示は、4月実施の病院は3月下旬をめどに、7月実施は6月中旬~下旬頃を予定している。

● 「より良い急性期医療へ貢献」 がDPCの趣旨

③厚労省は2月27日、09年度の新規DPC対象病院に対する説明会を都内で開き、DPC導入までのスケジュールや請求に関する注意点などを説明した。

④医療課の宇都宮啓企画官は、「DPC病院にならなければ生き残れない、DPCはもうかるとの声を聞くが、それは大きな勘違い。対象病院になるのは、標準化や効率化を進めて最終的には医療の質の向上につなげ、より良い急性期の入院医療に貢献するためという認識を持ってほしい」 と呼び掛けた。

⑤また、「データが不正確ではDPC全体の係数や点数に影響を与えてしまう。正確なデータを期限までに出してもらうことが大事。出せない病院は中医協に呼んで事情を聞くこともあり得る」 と述べ、正確なデータを提出することでDPC制度全体に貢献するとの意識も必要とした。

⑥中医協の基本問題小委員会やDPC評価分科会で議論が進む新しい機能評価係数については、「現行の調整係数で担保されている部分をそのまま機能係数にすることはない。何らかの機能を有して地域医療に貢献してもらう必要がある。調整係数が残っているうちに何とか滑り込めたという考えのないようにしてほしい」 と強調した。

⑦療養病棟も併せ持つケアミックス型の病院に向けては、「急性期の病棟と療養病棟の役割分担をきちんとしてほしい」 と要請した。


 上記に関する当ブログ管理人の考察・結論は、下記の通りです。

(1)上記①の通り、2007年度からDPC準備病院となった約700病院のうち、570病院が2009年度からDPC対象病院へ移行する見通しとなり、現行のDPC対象病院718病院と合わせて、2009年度は、DPC対象病院が全国で、1,288病院となる予定です。

 一方、移行しない病院は約 130病院で、多くが自主的にDPC準備病院にとどまる選択をしたとみられます。
 そして、その理由として、厚生労働省保険局医療課は、中医協・診療報酬基本問題小委員会やDPC評価分科会などで検討を進めている調整係数廃止後の新係数の成り行きを見守る病院が多いためではないかとみています。

(2)DPC 「新機能評価係数」 に関しては、2009年3月5日のDPC評価分科会において、次のような議論が行われています。

 (a) DPC 「新機能評価係数」 の候補は次の通り。
   [以前の当ブログ記事 (「DPC 「新機能評価係数」 候補の選定)」 参照]
  1.「医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について」:10項目
  2.「社会的に求められている機能・役割の評価について」:8項目
  3.「地域医療への貢献の評価について」:8項目
  4.「その他」:11項目
  5.「ヒアリング医療機関からの要望」:24項目 (重複有り)

 (b) 今後は、(1) 新たな 「機能評価係数」 に関する基本的考え方との合致、(2) 現
  行の 「DPCの影響評価に関する調査」 の活用、(3) 現行の機能評価係数や出
  来高部分と評価が重複する可能性がある項目の整理、等を考慮しながら、新
  たな 「機能評価係数」 として評価するべき項目の絞り込みが行われ、そして、
  絞り込まれた項目について、具体的な検討が進める。

 (c) 調整係数の廃止と新機能評価係数の導入は段階的に行うこととされているこ
  とから、次回診療報酬改定で採用にならなかった項目でも、次々回の改定で
  取り上げることもあり得る。
   今回は、上記項目の中から先ず、2010年度改定の候補として、既にデータ
  があるものや、しっかりしたデータの裏付けができるような項目を優先的に
  議論
する。
   現状で、データのない項目については、次回改定での評価は難しいが、次
  々回の評価はあり得るとされた。「副傷病」・「術後合併症」 については、報告
  様式を変更し記載欄を設けてデータを収集することが提案された。

 (d) 分科会では、特に、DPCの係数として評価すると、出来高払い方式の加算
  などと 「重複評価」 になってしまう項目
が議論になった。その他、評価手法
  におけるメリット・デメリット (含、リスク調整、二重評価、変なインセンテ
  ィブ、モラルハザード等)、大学病院 (研究や教育) や地方病院 (地域格差) の立
  場の違い等により、意見を集約できないものも多かった。
   議論の詳細は、『後発医薬品使用状況のDPC評価、結果の公開で 新機
  能係数評価候補の絞り込み議論 分科会 (Online Med:2009/3/5)
』 および
   『病院の機能、「二重評価してもいい」 (CBニュース:2009/3/5)』 を参照。

(3)上記④の通り、厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官は、「DPC病院にならなければ生き残れない、DPCはもうかるとの声を聞くが、それは大きな勘違い。対象病院になるのは、標準化や効率化を進めて最終的には医療の質の向上につなげ、より良い急性期の入院医療に貢献するためという認識を持ってほしい」 と述べています。

 しかしながら、『DPC対象病院は、標準化や効率化を進めて、最終的には医療の質の向上につなげ、より良い急性期の入院医療に貢献するもの』 との発言は、「DPC対象病院以外の病院は、急性期病院をあきらめて、亜急性期以降に移行しなさい」 と言っているようなものです。上記⑥の発言も、同じような意味と思われます。

 また、厚生労働省の常套手段として、ある医療提供体制が普及するまでは、診療報酬上で優遇し、普及した時点で梯子を外します。DPC対象病院も同じ運命をたどると考えられます。そして、それを受け入れられない (それに耐えられない) と、急性期病院として生き残れない (勝ち残れない) と考えられます。

(4)上記⑤の通り、同企画官は、「データが不正確ではDPC全体の係数や点数に影響を与えてしまう。正確なデータを期限までに出してもらうことが大事。出せない病院は中医協に呼んで事情を聞くこともあり得る」 と述べ、正確なデータを提出することでDPC制度全体に貢献するとの意識が必要と強調しました。

 この件に関しては、DPC 「新機能評価係数」 の候補に、「DPC病院として正確なデータを提出していることの評価」 が含まれています。
 また、DPCの点数、入院期間Ⅰ・Ⅱ・特定入院期間等は、基本的に全DPC対象病院のデータの平均値が用いられますので、不正確なデータがある一定程度以上に増えると、前述の各数値に悪影響を与え、DPC診療報酬体系が崩壊します。
 したがって、各DPC対象病院が正確なデータを提出することが、DPC制度の根幹です。

(5)上記⑦の通り、同企画官は、療養病棟も併せ持つケアミックス型の病院に向けては、「急性期の病棟と療養病棟の役割分担をきちんとしてほしい」 と要請しています。

 この件に関しては、多くの 「中小病院」 および 「ケアミックス型病院」 が関係します。
 以前の当ブログ記事 (「DPC新機能評価係数と中小病院 (厚労省保険局医療課企画官の見解)」) でも述べていますが、以前、同企画官は、今後、DPC対象病院として中小病院が多く参入してくる現状にあることや、機能評価係数は必ずしも大病院向けだけのものではないとの基本的考え方を説明。その上で、「係数には大病院向けの係数、中小病院向けの係数があるが、中小病院向けの係数を設定したことで大病院がマイナス評価を受けることはない」 とし、機能評価係数の基本的考え方に沿って検討することを明言し、幅広い視点での議論を求める発言をしています。

 また、ケアミックス型病院についても、当初、「患者を一般病床と療養病床等とでキャッチボールするのではないか」・「後方病床があるケアミックス型病院とそれがない一般急性期病院とでは、平均在院日数等で不公平が生じるのではないか」 等の懸念がありましたが、厚生労働省の調査により、(a) DPC対象病院とDPC準備病院の両方において、ケアミックス型病院のDPC算定病床の割合が少なくても、平均在院日数・救急搬送件数・肺炎等による緊急入院割合・再入院率などにおいて、ケアミックス型病院とDPCのみの病院との間に明らかな差がみられない、(b) 「DPC算定病床の割合が小さい病院では、一部の疾患で、手術などを行う患者の割合が少ない傾向にあるものの、それらは診断群分類が別なものとなることから、大病院で実施される手術などを伴う症例の点数設定には影響しない」 として、医療資源の投入の少なさから、DPC点数が低めに設定されることになるのではないかとする大規模病院側からの懸念も問題はない、ということが判明し、最終的に、ケアミックス型病院をDPC対象病院に加えることが了承されました。

 しかしながら、「中小病院 (特に、民間中小病院)」 および 「急性期一般病床の占める割合が少ないケアミックス型病院」 については、基本的には、高度急性期医療およびDPCを断念して、亜急性期以降の医療を担ってもらいたいという厚生労働省の思惑、即ち、上記病院の役割として、次のような 「亜急性期病院、慢性期病院、ケアミックス型病院、介護保険施設」 が想定されていると推察されます。
 (1) 軽度 (~中等度) の救急・急性期医療 (特に、認知症の合併症がある高齢者
  の骨折等・入院を繰り返す高齢者・慢性疾患の急性増悪等の救急・急性期
  患者)
 (2) 「急性期後」 の亜急性期医療 (亜急性期入院医療管理料を算定する病床、回
  復期リハビリテーション病棟)
 (3) 慢性期医療 [療養病床 (医療療養病床、介護療養型医療施設)]
 (4) 特殊疾患病棟、障害者病棟 (障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟)
 (5) 在宅医療
 (6) 場合によっては、介護療養型老人保健施設への移行

 したがって、急性期の病棟と療養病棟の役割分担をきちんとできない病院は、上記の (1)~(6) の病院・施設へ、厚生労働省が誘導すると考えられます。

 但し、「専門特化型」 急性期中小病院、あるいは、「専門特化型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院は、場合によっては、大病院等よりも、質の高い効率的なDPC対象病院であることが少なくないということで、このような病院にインセンティブを与えるような 「新機能評価係数」 の設定が望まれます。(スケールメリット不足を補填する評価、高い専門性・充実したチーム医療への評価等)。

 それ以外は、基本的には、DPCに馴染まず、医療マンパワー不足もあることから、将来的には亜急性期以降への移行を促される可能性が高いと考えられます。

 また、地方の中小自治体病院に多い、「準総合病院型」 急性期中小病院および 「準総合病院型」 の急性期一般病棟を持つケアミックス型中小病院については、総務省・公立病院改革ガイドライン (平成19年12月) を厳格に適用すると、廃止・民営化の道をたどると考えられます。
 しかし、その病院が、地域唯一の病院であり、不採算医療 (政策的医療や救急医療等) を担っているということで、充分な公的支援があれば、(DPC適用の可否は別として)、存続できると考えられます。

(6)以上、平成19年度DPC準備病院の 「平成21年度DPC対象病院への移行状況」 について論じました。

 平成21年度DPC対象病院に移行しない約130のDPC準備病院には、おそらく多くの中小病院・ケアミックス型病院が含まれていると推察されます。

 特に、中小病院については、「地方」・「ケアミックス」・「公立・民間 (公私格差要因も含めて)」 の多因子が複雑に絡み、DPCとの整合性を図ることが非常に難しい面があると思われます。

 しかしながら、上記(5)で述べたように、DPC対象病院として相応しいと考えられる中小病院・ケアミックス型病院については、上記(2)で記したDPC 「新機能評価係数」 の候補において、当該病院に相応しい項目を、入念に精査・抽出し、正式項目化を行って頂きたいと思います。
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